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特許拒絶査定不服審判

2023-016731

樹木処理システム

審判番号
2023-016731
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-207091外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年10月03日
審決日
2024年09月09日
公報発行日
2024年10月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-207091「樹木処理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月27日出願公開、特開2021- 78374、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和元年11月15日の出願であって、令和5年2月6日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月12日付けで手続補正がされ、同月23日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和5年6月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1. 特開2011-186586号公報

第3 本願発明

本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和5年6月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
伐採された樹木の処理を行って木材に加工する樹木処理装置と、
前記処理の実施時に前記木材を計測して、前記木材の長さ、直径および重量を含む木材データを取得する情報計測部と、
前記処理を実施した位置を計測し、位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記木材データに前記位置情報を加えて記録する記録部と、を備え、
樹木の伐採を行う作業エリアに点在する複数の木材の集積領域から、出荷時に要求された規格を満たす木材を選別して再集荷する際に用いる、前記木材データに前記位置情報を加えたデータを、前記樹木処理装置による前記処理時に生成することを特徴とする樹木処理システム。」

なお、本願発明2-3の概要は以下のとおりである。

本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明3は、本願発明1を減縮した発明である本願発明2を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 記載事項、図面の図示、及び図より看取される事項

折りたたみ中(クリックで表示)

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0016】
図1、図2に示すように、森林資源流通支援システムは、土場aに配備された作業機械10に搭載されたコントローラ(コンピュータ)4と、森林資源の搬送車両20、30に搭載されたコントローラ(コンピュータ)24と、基地局cに設置された基地局コンピュータ50と、顧客bが保有するコンピュータ70、管理事務所d等に設置されたサーバSV、都道府県庁e等に設置された地図データベース72とを備える。
作業機械10は、森林資源(丸太、残材等)を生産するとともに余剰樹木を伐採する。
基地局cおよび管理事務所dは、例えば森林を管理する組織が運営する。そのような組織としては、単独あるいは複数の森林組合によって運営される組織、あるいは、個人の山林所有者等が共同運営する組織等がある。」
「【0017】
森林資源流通支援システムは、コントローラ4に接続されたGPS装置1および通信装置6、コントローラ24に接続されたGPS装置31および通信装置26、基地局コンピュータ50に接続された通信装置51、基地局コンピュータ50に設けられたデータベース53を備える。」

「【0018】

GPS装置1、31はGPS衛星75の電波を受信し、作業機械10の位置、搬送車両20、30の位置をそれぞれ算出する。

通信装置6、26、52は通信衛星74を介して相互に通信する。

GPS装置1、31で算出された位置のデータはコントローラ4、24に取り込まれる。

コントローラ4、24は、作業機械10、搬送車両20、30の機体ID、位置データ測定時刻とともに、位置データを、内蔵タイマを参照しつつ、所定のタイミングで、通信装置6、26から通信装置52に送信する。

通信装置52が受信した位置情報はコンピュータ50に取り込まれ、作業機械10や搬送車両20、30の稼働状況が管理される。

なお、図2において符号2、22はGPSアンテナ、符号7、27、51は通信アンテナを示す。

「【0019】
コンピュータ50、70、地図データベース72、サーバSVはネットワーク回線73を介して相互に通信可能である。
コンピュータ50は、GPS装置1、31で算出された作業機械10、搬送車両20、30の位置情報を、地図データベース72の地図データと照合し、位置情報を地図データに変換する。
土場a、搬送車両20の作業場所、搬送車両30の移動経路、顧客bの所在地等は、地名、地番で管理されているので、地図データへの変換は必須である。」
「【0026】
ここで作業機械10をより詳細に説明する。
作業機械10は、下部走行体11と、下部走行体11に旋回可能に装着された上部旋回体12と、上部旋回体12に装着された作業装置16とを備える。
作業装置16は、上部旋回体12に装着された上下揺動可能なブーム13と、ブーム13の先端部に装着されかつ上下揺動可能なアーム14と、アーム14の先端部に装着されたプロセッサヘッド(作業具)15とを備える。」
「【0027】
図3に示すように、プロセッサヘッド15には、アーム14への装着のための取付部100が設けられ、取付部100には重量センサ101が取り付けられている。
重量センサ101には、支持部材102を介して、作業具本体103が取り付けられ、作業具本体103には、一対のグラップルアーム104、104が装着されている。」
「【0028】
グラップルアーム104、104は、油圧シリンダ(図示省略)によって駆動され、相互に接近、離間するように揺動し、丸太等を把持、開放し得るように構成している。
各グラップルアーム104部には、それぞれ角度センサ105が設けられ、両角度センサ105によって検出された角度検出信号がコントローラ4に入力されるように構成している。コントローラ4は、角度検出信号に基づいて、グラップルアーム104によって把持された丸太の直径を算出する。」
「【0029】
重量センサ101は、作業具15自体の重量、および把持した丸太の重量を検出し、重量検出信号をコントローラ4に入力する。」
「【0030】
作業具本体103には、把持した丸太を切断するチェーンソー106が装着され、チェーンソー106は、一方のグラップルアーム104の枢支部で揺動可能に支持されている。
チェーンソー106は、通常時は作業具本体103内部に収納され、丸太切断時には、グラップルアーム104、104の間に進出する。」
「【0031】
作業具本体103および各グラップルアーム104には、ローラ状の送材装置107が設けられ、送材装置107は、把持状態の丸太に当接する。この状態で送材装置107を回転すると、作業具本体103に対して、丸太をその長手方向に移送することができる。
送材装置107で、丸太を所定長さ送材することによって、所定長の丸太を生産し得る。」
「【0032】
作業具本体103には測長装置108が設けられ、測長装置108は、作業具本体103に設けられた送材装置107に接続さている。送材装置107による送り量(製材される丸太の長さ)は測長装置108によって計測され、コントローラ4に入力される。
コントローラ4は、送材装置107を駆動して、所定の送り量だけ丸太を送り、送材装置107を一旦停止してから、チェーンソー106によって丸太を切断する。」
「【0033】
作業具本体103および両グラップルアーム104には、丸太の枝払いのためのカッタ109、110がそれぞれ設けられ、カッタ109は作業具本体103に固定され、カッタ110はグラップルアーム104に対して揺動可能である。
カッタ109はグラップルアーム104、104で把持された丸太に接触するように、グラップルアーム104、104間に突出している。
一方、カッタ110は、ピン111によって、グラップルアーム104に枢着され、把持状態の丸太に向かって揺動し得る。
カッタ109、110は、把持状態の丸太の移送方向上流側に配置され、把持状態の丸太に当接する。ここで送材装置107によって丸太を移送すると、丸太の枝がカッタ109、110に向かって順次進行し、切り払われる。」
「【0035】
プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級、本数はコントローラ4から、通信装置6を介して、通信装置52に送信され、コンピュータ57に取り込まれた後、データベース53に登録される。
すなわち、作業機械10の稼働状況は迅速にデータベース53に登録される。」
「【0091】
以上のとおり、本実施形態は、データベース53に森林資源の在庫情報のみならず、短期、長期の生産計画、作業機械10の配置、稼働状況、搬送車両20、30の運行指図、稼働状況を登録し、一元管理するので、短期、長期を含め多様な注文に、効率的に対応し得る。」
「【0108】
データベース53においては、以下のテーブルが定義され、同テーブル内にデータが格納される。」
「【0122】
(14)生産データヘッダテーブル(図28)
識別ID、機種コード、号機番号、作業日、林業機械情報ID、事業地ID、データ最終計測時刻、緯度、経度、総材積、登録時刻が格納される。
本テーブルはデータベース53において登録される。生産データ集計通信情報管理の生産データ集計通信情報取得処理において、受信したデータを解析し、登録する。」
「【0123】
(15)生産データ明細テーブル(図29)
ヘッダデータID、識別ID、樹種ID、等級ID、長さID、径級ID、本数、単材積が格納される。
本テーブルはデータベース53において登録される。生産データ集計通信情報管理の生産データ集計通信情報取得処理において、受信したデータを解析し、登録する。」

【図3】

「
[図:0001414979000001.jpg]
」

上記段落【0027】-【0033】の記載を踏まえると、上記【図3】より、「プロセッサヘッド15」が、「グラップルアーム104、104」、「チェーンソー106」、「送材装置107」、「カッタ109、110」、「角度センサ105」、「重量センサ101」、及び「測長装置108」を備えることが、看取される。

2 記載された発明

上記(1)より、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、「基地局コンピュータ50」と「コンピュータ50」とは、同じものを指すことが明らかであるから、「基地局コンピュータ50」に表記を統一した。

<引用発明>

「土場aに配備され、森林資源(丸太等)を生産するとともに余剰樹木を伐採する作業機械10と、森林資源の搬送車両20、30と、基地局コンピュータ50に設けられたデータベース53とを備える、森林資源流通支援システムであって(【0016】、【0017】)、
作業機械10は、プロセッサヘッド15に、丸太等を把持するグラップルアーム104、104、把持した丸太を切断するチェーンソー106、把持状態の丸太を長手方向に移送する送材装置107、及び丸太の枝払いのためのカッタ109、110を備え(【0026】、【0028】、【0030】-【0033】、【図3】)、
プロセッサヘッド15は、グラップルアーム104による把持時に、丸太の直径を算出する角度検出信号を検出する角度センサ105、把持した丸太の重量を検出する重量センサ101、チェーンソー106による丸太切断時に、送材装置107による送り量(製材される丸太の長さ)を計測する測長装置108を備え(【0028】-【0029】、【0032】、【図3】)、
GPS装置1、31は、作業機械10の位置、搬送車量20、30の位置をそれぞれ算出し、GPS装置1、31で算出された作業機械10、搬送車両20、30の位置情報は、基地局コンピュータ50において位置情報を地図データに変換し、作業機械10や搬送車量20、30の稼働状況が管理され(【0017】-【0019】)、
プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級、本数は送信された後、データベース53に登録され(【0035】)、
データベース53に森林資源の在庫情報のみならず、短期、長期の生産計画、作業機械10の配置、稼働状況、搬送車両20、30の運行指図、稼働状況を登録し、一元管理するので、短期、長期を含め多様な注文に、効率的に対応し得(【0091】)、
データベース53には、緯度、経度、総材積が格納された生産データヘッダテーブルと、等級ID、長さID、径級ID、本数、単材積が格納された生産データ明細デーブルとが登録される(【0108】、【0122】-【0123】)、
森林資源流通支援システム(【0016】)。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明において、「作業機械10」が、「プロセッサヘッド15に、丸太等を把持するグラップルアーム104、104、把持した丸太を切断するチェーンソー106、把持状態の丸太を長手方向に移送する送材装置107、及び丸太の枝払いのためのカッタ109、110カッタ109を備え」て行う、「森林資源(丸太等)を生産するとともに余剰樹木を伐採する」処理は、本願発明1において、「樹木処理装置」が行う、「伐採された樹木の処理」に相当する。

また、引用発明において、「作業機械10」が、上記の処理により、「森林資源(丸太等)を生産する」ことは、本願発明1において、「樹木処理装置」が、「樹木の処理を行って木材に加工する」ことに、相当する。

そして、引用発明における「作業機械10」は、本願発明1における「樹木処理装置」に相当する。

イ 引用発明において、「グラップルアーム104による把持時に、丸太の直径及び重量を算出する角度検出信号を検出する角度センサ105、把持した丸太の重量を検出する及び重量センサ101、チェーンソー106による丸太切断時に、送材装置107による送り量(製材される丸太の長さ)を計測する測長装置108」は、本願発明1において、「前記処理の実施時に前記木材を計測して、前記木材の長さ、直径および重量を含む木材データを取得する情報計測部」に、相当する。

ウ 引用発明において、「作業機械10」の「位置」を算出して「位置情報」とする「GPS装置1」と、本願発明1において、「前記処理を実施した位置を計測し、位置情報を取得する位置情報取得部」とは、「位置情報を取得する位置情報取得部」の点で、共通する。

エ 引用発明において、「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」が「送信」された後に「登録」される「データベース53」と、本願発明1において、「前記木材データに前記位置情報を加えて記録する記録部」とは、「前記木材データを記録する記録部」の点で、共通する。

オ 引用発明における「森林資源流通支援システム」は、「森林資源(丸太等)を生産する」処理を行う「作業機械10」を含む「システム」であるから、本願発明1における「樹木処理システム」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「伐採された樹木の処理を行って木材に加工する樹木処理装置と、
前記処理の実施時に前記木材を計測して、前記木材の長さ、直径および重量を含む木材データを取得する情報計測部と、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記木材データを記録する記録部と、を備える樹木処理システム。」

<相違点1>

本願発明1においては、「位置情報取得部」が、「伐採された樹木の処理」である「前記処理」を「実施した位置」を「計測し、位置情報を取得」して、「記録部」が、「木材データに前記位置情報を加えて記録」をするとともに、「前記木材データに前記位置情報を加えたデータを、前記樹木処理装置による前記処理時に生成する」と特定されているのに対し、

引用発明においては、「GPS装置1」が、「作業機械10」が「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった処理を実施した位置を「位置情報」として取得して、「データベース53」が、「作業機械10」の「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」に、「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった上記処理を実施した「位置情報」を加えて記録しているか不明であるとともに、上記「森林資源の重量、長さ、径級」に上記処理を実施した「位置情報」を加えたデータを、「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった上記処理時に生成しているか不明な点。

<相違点2>

本願発明1においては、「前記木材データに前記位置情報を加えたデータ」について、「樹木の伐採を行う作業エリアに点在する複数の木材の集積領域から、出荷時に要求された規格を満たす木材を選別して再集荷する際に用いる」と特定されているのに対し、

引用発明においては、そのように特定されていない点。

(2)相違点についての判断

上記相違点1について検討する。

引用発明は、「生産データヘッダテーブル」に「緯度、経度」を「格納」しているが、「生産データヘッダテーブル」における「緯度、経度」は「総材積」とともに「格納」されたものであるから、「等級ID、長さID、径級ID、本数、単材積」が格納された「生産データ明細テーブル」より多くの木材の集約された情報に対応して付された「緯度、経度」であって、「GPS装置1」によって「作業機械10」が「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった処理を実施した位置が取得され、「作業機械10」の「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」を加えたデータとして上記処理時に生成されて記録されたものとはいえない。

また、引用発明において、「生産データヘッダテーブル」における「緯度、経度」とは別の位置情報として、「GPS装置1、31で算出された作業機械10、搬送車両20、30の位置情報」は、「地図データに変換」した「作業機械10や搬送車量20、30の稼働状況」として「管理され」るものであるから、「作業機械10」が「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった処理を実施した位置について、「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」を加えたデータとして、上記処理時に生成されて記録されるものとはいえない。

そして、引用発明において、「データベース53に森林資源の在庫情報のみならず、短期、長期の生産計画、作業機械10の配置、稼働状況、搬送車両20、30の運行指図、稼働状況を登録し、一元管理するので、短期、長期を含め多様な注文に、効率的に対応し得る」からといって、「生産データヘッダテーブル」において「総材積」とともに「格納」される「緯度、経度」、及び「作業機械10や搬送車量20、30の稼働状況」として「管理され」る「地図データに変換」した「作業機械10、搬送車両20、30の位置情報」のほかに、さらに「作業機械10」が「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった処理を実施した位置について、「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」を加えたデータとして、上記処理時に生成して記録することは、引用文献1中に記載も示唆もされておらず、そのような動機付けがあるとはいえない。

この点に関し、原査定では、「文献1の段落[0019]では、土場の所在地等が地名、地番で管理されているため、「GPS装置1」で算出された「作業機械10」の位置情報を地図データに変換するということが記載されており、「データベース53」の「生産データ」における「緯度」及び「経度」の情報を、「GPS装置1」で算出された位置情報に基づくものとすることも、当業者であれば容易になし得たことということができる。」との見解が示されている。

しかしながら、引用発明における「生産データヘッダテーブル」の「緯度、経度」は、上述したとおり、「作業機械10」が「丸太等を把持」、「把持した丸太を切断」、「把持状態の丸太を長手方向に移送」及び「丸太の枝払い」といった処理を実施した位置について、「作業機械10」の「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」を加えたデータとして、上記処理時に生成して記録したものとはいえない。また、引用発明において、「生産データヘッダテーブル」に「総材積」とともに「格納」される「緯度、経度」について、「作業機械10」が「丸太等を把持」等の処理を実施した位置を、当該処理の実施時に「作業機械10」の「プロセッサヘッド15によって計測された森林資源の重量、長さ、径級」を加えたデータとすることが、技術常識ともいえないから、「緯度、経度」の情報が何らか「GPS装置」による測定に依拠したものであり得るからといって、上記相違点1に係る本願発明1の構成が当業者にとって想到容易ということはできない。

そして、本願発明1は、「伐採された樹木の処理を行って木材に加工する」「処理の実施時」に「木材を計測」した「木材データ」に、「前記処理を実施した位置を計測」した「位置情報」を「加えたデータ」を、「前記樹木処理装置による前記処理時に生成」したうえで「記録部」に「記録」する、という上記相違点1に係る構成をとることにより、「記録部」に記録される「前記木材データに前記位置情報を加えたデータ」が、相違点2に係る本願発明1の構成に特定される「樹木の伐採を行う作業エリアに点在する複数の木材の集積領域から、出荷時に要求された規格を満たす木材を選別して再集荷する際に用いる」ことができるものとなると、理解される。

本願明細書の記載に則して見れば、本願発明1は、上記相違点1に係る構成をとることにより、段落【0004】及び【0005】に記載される、「・・・樹木処理装置を用いて樹木を処理して木材として集荷領域に集積しても、広大な作業エリアの複数カ所で樹木処理を行った場合には、複数カ所の集荷領域に木材を集積することになる。集積された木材は、各集荷領域に隣接する伐採地で伐採されたものであり、樹木種別や直径、長さ等が様々であることから、出荷時に要求された規格を満たす木材を選別して再集荷する必要があった。」、「しかし、広大な作業エリアに点在する集荷領域を全て探索し、出荷規格に該当する木材を選択して再集荷する工程は労力と時間が必要であった。」という課題に関し、段落【0047】に記載される、「目的とする種類とサイズの木材が何処の伐採地と集荷領域に配置されているかを容易に把握して集荷でき、集荷の効率を向上させることができる」という効果を奏すると理解される。

そうすると、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことではない。

したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2、3について

本願発明2、3も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-3は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-016731

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