特許拒絶査定不服審判
2023-016236
虫捕獲液及び虫捕獲器
- 審判番号
- 2023-016236
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-185436
- 請求日
- 2023年09月26日
- 審決日
- 2025年05月22日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フマキラー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 立澤 正樹
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P18 .561-WZ (A01M) / P18 .57 -WZ (A01M) / P18 .55 -WZ (A01M) / P18 .537-WZ (A01M) / P18 .536-WZ (A01M) / P18 .121-WZ (A01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-185436「虫捕獲液及び虫捕獲器」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月15日出願公開、特開2021- 58152〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
(1) 原査定まで
本願は、令和元年10月8日の出願であって、令和5年3月6日付けで拒絶理由が通知され、同年5月11日受付で意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされたものである。
(2) 審判請求以降
原査定に対し、同年9月26日に審判請求がされた。
それ以降の経緯は、以下のとおりである。
・令和6年 8月 9日付け: 拒絶理由通知
・ 同年10月15日受付: 意見書及び手続補正書の提出
・ 同年11月 7日付け: 最後の拒絶理由通知
・ 同年12月25日受付: 意見書及び手続補正書の提出
第2 令和6年12月25日受付の手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和6年12月25日受付の手続補正書による補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
令和6年12月25日受付の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、下記(1)に示す本件補正前(令和6年10月15日受付の手続補正書による補正後)の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後のとおり補正するものである(下線は補正箇所を示す。)
(1)本件補正前
「糖と、酵母と、水と、非イオン系界面活性剤とを含むとともに前記糖が前記酵母の作用によって発酵し、
前記非イオン系界面活性剤は、食品添加系界面活性剤であり、
前記非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001w/v%以上1.0w/v%以下であり、
酢酸または乳酸を含有し、アルコールを含有していないことを特徴とする虫捕獲液。」
(2)本件補正後
「糖と、酵母と、水と、非イオン系界面活性剤とを含むとともに前記糖が前記酵母の作用によって発酵し、
前記非イオン系界面活性剤は、食品添加系界面活性剤であり、
前記非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001w/v%以上1.0w/v%以下であり、
酢酸または乳酸を含有することを特徴とする虫捕獲液(但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く)。」
2 補正目的
本件補正の目的について検討する。
(1)請求項の削除か否かについて
請求項1について一部の記載を変更する本件補正が、請求項の削除を目的とするものではないことは、明らかである。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項1号に規定する、請求項の削除を目的とするものとは認められない。
(2)特許請求の範囲の減縮か否かについて
本件補正前の請求項1においては、「虫捕獲液」は「アルコールを含有していない」と特定されていたところ、本件補正後の請求項1においては、「アルコールを含有していない」という特定は削除され、「発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」という但し書きとされた。
このような本件補正は、請求項1に係る「虫捕獲液」について、本件補正前には「アルコールを含有していない」ものであったところ、本件補正後には、「発酵開始時」以外の発酵開始前、及び発酵開始後にはアルコールを含有してよいものへと拡張するものであるから、本件補正前の請求項1に係る「虫捕獲液」を限定する補正ではない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。
(3)誤記の訂正か否かについて
誤記の訂正とは、当該記載が誤りであることが明らかである場合において、当該記載を、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうところ、かかる事情について、本件補正と同時に提出された意見書には、何ら説明がされていない。
そして、本件補正前の請求項1における、「虫捕獲液」は「アルコールを含有していない」という記載が、本件補正後の請求項1における、「虫捕獲液」として「発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」という記載と、同一の意味を表示すると、客観的に認められるものではない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項3号に規定する、誤記の訂正を目的とするものとは認められない。
(4)明りようでない記載の釈明か否かについて
明りようでない記載の釈明とは、当該記載それ自体意味の不明りような記載、又は、明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明りようとなっている記載等の記載上の不備を訂正し、その本来の意味内容を明らかにすることをいう。
本件補正前の請求項1における、「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」という記載について、当該記載自体の意味は明りようであり、本来の意味内容が「虫捕獲液」として「発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」というものであったということはできない。
本件補正前の請求項1において、「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」という記載は、同請求項1に記載される「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵する」「虫捕獲液」という記載からすれば、明細書の段落【0003】及び【0067】に記載されるように「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」から、明細書及び請求項1中の他の記載との関係で不合理を生じていた。
しかしながら、明細書の段落【0003】及び【0067】に記載されるように「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」ことからすれば、「発酵」が開始したときは同時に「アルコール」も発生しているから、本件補正前の請求項1における「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」という記載について、他の記載との関係で不合理を生じている不備を正した本来の意味内容が、発酵が開始するより前ではなく「発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」という、本件補正後の請求項1に記載される内容であったということはできない。
また、本件補正後の請求項1の記載自体についてみても、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵する」「虫捕獲液」では、上述のとおり「発酵開始時」には同時に「アルコールと二酸化炭素」が発生しているから、「発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」という記載は、同請求項1に記載される「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵する」「虫捕獲液」という記載と整合しない不備がある。そのため、本件補正後の請求項1の記載自体が不明確であるという点でも、本件補正は、本件補正前の請求項1の本来の意味内容を明らかにしたものとはいえない。
したがって、本件補正は、同補正前の請求項1における「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」という記載について、当該記載それ自体意味の不明瞭な記載、又は、他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等の記載上の不備を訂正し、その本来の意味内容を明らかにするものではなく、特許法17条の2第5項4号に規定する、明りようでない記載の釈明を目的とするものとは認められない。
(5)請求人の主張について
請求人は、本件補正の目的について、本件補正と同日(令和6年12月25日)受付の意見書において、特段の説明をしていない。
しかしながら、上記(1)~(4)のとおり、特許法17条の2第5項1号ないし4号のいずれについて検討しても、本件補正は、同項各号のいずれかを目的としたものとはいえない。
(6)小括
上記(1)~(5)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項1号ないし4号のいずれを目的とするものでもなく、同項の規定に違反するものである。
3 新規事項追加
(1)本件補正後の請求項1に係る「虫捕獲液」について
本件補正後の請求項1に係る発明は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものである。
ここで、「発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵」が開始する時点は必ず存在することが明らかであることを踏まえると、本件補正後の請求項1に係る発明は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「発酵開始時にアルコールを含む」のではない「虫捕獲液」となる。
そこで、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「発酵開始時にアルコールを含む」のではない「虫捕獲液」が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されていたか、または、当初明細書等に記載された全ての事項を総合すれば導出された事項であるかを、以下に判断する。
(2)当初明細書等の記載から導出されるか否かについて
当初明細書等には、請求項2に「虫捕獲液」が「アルコールを含んでいる」旨の記載がある一方、上記(1)のように、「糖と、酵母と、水と」を含んで「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵開始時」に「アルコールを含まない」ことは、記載されていない。
当初明細書等の段落【0003】及び【0067】には、「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」と記載されており、「糖と、酵母と、水と」を含んで「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」は、「発酵」が開始したときは同時に「アルコール」も発生していると理解される。
当初明細書等の段落【0068】には、「アルコールは酵母の発酵により生成するので省略することができる」という記載があり、段落【0069】には、「なお、酢酸および乳酸は、アルコールとエステルを形成するため、これらが同時に配合されていると長期保存により組成が変動する可能性がある。このため、長期の保存性の観点からは、酢酸および乳酸、またはアルコールの少なくともどちらかを省略した方が好ましい。」という記載がある。しかしこれらの記載は、「虫捕獲液」を調合する材料に関し、「発酵」が開始する前の状態について言及するものであって、「発酵開始時」の「虫捕獲液」について、発酵で生成される「アルコールを含まない」ものとすることを、記載または示唆するものとはいえない。
当初明細書等の段落【0080】~【0103】に記載される「誘引剤
処方4」~「誘引剤処方11」は、「処方」としては「アルコール」を「含有」しないと記載されているが、いずれの処方も材料を混ぜて「誘引剤」とした後には、「発酵」によって「二酸化炭素」を発生しているから、「発酵開始時」の「虫捕獲液」について、発酵で生成される「アルコールを含まない」ものとすることを、記載または示唆するものとはいえない。
そして、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵」の開始より前ではなく、「発酵開始時」に「アルコールを含まない」ものとすることは、技術常識でもない。
したがって、本件補正は、たとえ技術常識を考慮したとしても、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加することが、明らかである。
(3)請求人の意見書における主張について
請求人は、本件補正と同日(令和6年12月25日)受付の意見書において、虫捕獲液が発酵開始時にアルコールを含まないことは、当初明細書等の段落【0069】及び【0084】-【0089】等に記載されている旨を主張している。
しかしながら、上記(2)に指摘したとおり、当初明細書等の上記段落における記載は、いずれも「虫捕獲液」を調合する材料に関し、「発酵」が開始する前の状態について言及するものであって、「発酵開始時」の「虫捕獲液」について、発酵で生成される「アルコールを含まない」ものとすることを、記載または示唆するものとはいえない。
したがって、上記請求人の主張を考慮しても、本件補正が新規事項の追加であるか否かについて、上記(2)の判断を変更すべき事情はない。
(4)小括
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
4 補正の適否のまとめ
上記2及び3のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項及び同条5項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下すべきものである。
5 付言
上記1~4のとおり、本件補正は目的外補正及び新規事項の追加として却下すべきものであるが、念のため、本件補正後の請求項1に係る発明が特許を受けることができるものであるかにつき、以下に検討して、付言する。
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1(2)に示した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。
(2)明確性
本願補正発明は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものである。
しかしながら、本願明細書を参酌しても、「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」(段落【0003】、【0067】)ことが前提とされている虫捕獲液について、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」するにもかかわらず、「発酵開始時」に「発酵」で生成される「アルコール」を含まないことは、つじつまが合わない。
なお、本願補正発明について、「発酵開始時」ではなく、発酵が開始するより前の段階に限って「アルコール」を含まないと解するには、特許請求の範囲の記載を離れた解釈を加える必要がある。
したがって、本願補正発明を特定する請求項1の記載は、特許を受けようとする発明を明確に特定するものではなく、特許法36条6項2号の規定に違反する。
(3)実施可能要件
本願補正発明は、上記(2)で指摘したとおり、「糖と、酵母と、水と」を含み、「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものである。
しかしながら、「糖」と「酵母」とによる「発酵」が開始するより前の段階は別として、「発酵開始時」に「虫捕獲液」が「アルコール」を含まないものとすることは、本願明細書において「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」(段落【0003】、【0067】)ことが前提とされていること、「発酵」の開始時に「発酵」で生成されるアルコールを含まないものとする手法は発明の詳細な説明に全く記載されていないこと、並びに、アルコール発酵の開始時にアルコール発酵で生成されるアルコールを存在させることなく、生成と同時に消失させることが技術常識とはいえないことから、当業者にとって過度の試行錯誤を要することが明らかである。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願補正発明に関し、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものとする点で、たとえ技術常識を考慮したとしても、当業者が実施可能な程度の説明を記載したものとはいえない。
よって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願補正発明について、特許法36条4項1号の規定に違反する。
(4)新規事項追加
本願補正発明において、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものとする構成は、本件補正により追加された構成である。
そして、本件補正により追加された構成は、上記3に示したのと同じ理由で、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加したものである。
したがって、本願補正発明は、特許法17条の2第3項の規定を満たさない補正がされたものである。
(5)進歩性
ア 進歩性の判断対象
本願補正発明について、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」ものとすることは、上記(2)~(4)に指摘した不備が顕著であるため、進歩性の評価対象とすることはできない。
以下では、「但し」書きの「発酵開始時」について、「発酵開始」の直前、または、「発酵」は「開始」したが「発酵」による「アルコール」の生成は未だ行われていない、最初の発酵反応の途上の瞬間と解した場合について、進歩性を判断する。
イ 引用文献の記載及び引用発明
(ア)引用文献1
a 当審が令和6年11月7日付け最後の拒絶理由(以下、「最後の拒絶理由」という。)で引用し、本願の出願前に頒布または公開された登録実用新案第3083438号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
(a)「【0024】
また、誘引液17は砂糖を主成分としたもので、例えばこの実施の形態では、砂糖を発酵せしめた発酵溶液に界面活性剤を混入した液体であり、白砂糖(上白糖)500gと、黒砂糖100gと、ドライイースト1gとからなる誘引剤に、水を加えて2リットルとし、1~2日おいて発酵させて発酵溶液を生成し、この発酵溶液に界面活性剤1ccが加えられたものである。なお、1個の誘殺器には約350ccの誘引液17が投入される。この350ccの誘引液17の費用は約22円と安価である。」
(b)「【0025】
上記構成により、誘殺器1の容器本体5に投入された誘引液17から発生するハエの成虫を誘引する誘引物質が蓋部11の内壁9の第2開口部7から外部へ揮発して周辺へ拡散する。一方、誘引液17からはハエを麻痺せしめる麻痺性のガスとしての例えば二酸化炭素も発生するので、この二酸化炭素と誘引物質がガス貯留部21内に充満する。」
(c)「【0026】
上記の誘殺器1は牛舎や豚舎などの畜舎内に置かれることにより、ハエの成虫は誘殺器1の第2開口部7から外方へ揮発する誘引液17中の誘引物質に誘引され、内壁9の第2開口部7を歩行してガス貯留部21内に移動する。ハエは一旦ガス貯留部21へ入ると、ガス貯留部21から内壁9の第2開口部7へ戻ることなく、誘引液17から発生した二酸化炭素で軽く麻痺されるので、行動力が低下して誘引液17へ落下し、界面活性剤により誘引液17中にて溺死する。誘引液17中で死亡したハエが多量になったら、蓋部11が取り外されて網等ですくい取られて処理される。」
(d)「【0029】
また、誘引液17は砂糖を主成分とした食品を材料としているので人畜及び環境にも安心して使用できる。
【0030】
図4を参照するに、この実施の形態の誘殺器1を4個、農家の肥育牛の牛舎においてその効果を調べた結果が示されている。1つの誘殺器1における1日あたりのイエバエ成虫誘殺数は平均で500個体~600個体である。また、1つの誘殺器1における1日あたり1000個体以上が誘殺されたこともあった。なお、ほぼ1ヶ月の設置期間で後半のほぼ10日間では誘殺数が減少している様子が見られており、この実施の形態の誘殺器1の効果性が表れていると思われる。」
b 引用発明
上記aからみて、引用文献1には、下記の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)。なお、関係する段落番号等を括弧書きで付した。
<引用発明>
「砂糖を発酵せしめた発酵溶液に界面活性剤を混入した液体であり、白砂糖(上白糖)500gと、黒砂糖100gと、ドライイースト1gとからなる誘引剤に、水を加えて2リットルとし、1~2日おいて発酵させて発酵溶液を生成し、この発酵溶液に界面活性剤1ccが加えられたものである、誘引液17であって(【0024】)、
誘殺器1の容器本体5に投入された誘引液17から発生するハエの成虫を誘引する誘引物質が揮発して周辺へ拡散するとともに、誘引液17からハエを麻痺せしめる二酸化炭素も発生し(【0025】)、
ハエの成虫は誘引液17中の誘引物質に誘引され、誘引液17から発生した二酸化炭素で軽く麻痺されて誘引液17へ落下したハエの成虫は、界面活性剤により誘引液17中にて溺死し(【0026】)、
砂糖を主成分とした食品を材料としているので人畜及び環境にも安心して使用でき(【0029】)、
1つの誘殺器1における1日あたりのイエバエ成虫誘殺数は平均で500個体~600個体であり、1ヶ月の設置期間で後半のほぼ10日間では誘殺数が減少する(【0030】)、
誘引液17(【0024】)。」
(イ)引用文献2
a 記載事項
当審が最後の拒絶理由で引用し、本願の出願前に頒布または公開された特開2010-14438号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(a)「【0019】
(i)マイクロチャンバー
スライドグラスサイズ(25mm×75mmまたは1インチ×3インチ)のチャンバー表面に、細胞のサイズに合わせたウェルサイズで、数十~数百のウェルが形成されている。細胞懸濁液をマイクロピペットでアプライすることで、各ウェルに細胞が1個(条件によっては、2個、あるいは3個ないし数個)入るように設計されている(図B)。超音波や遠心法を用いることで、各ウェルに導入される酵母の個数の精度をさらに高めることが可能である
【0020】
(ii)検出部
蛍光顕微鏡をベースとした検出機構が、チップ表面の自動フォーカス後、マイクロチャンバー(ウェルに入っている酵母細胞)の蛍光画像を取得する(図C)。酵母は光学的に検出することができるので、容易に検出できる。
【0021】
(iii)解析部
各ウェル座標の蛍光値を解析し、解析結果をヒストグラム(縦軸:細胞数、横軸:蛍光値)として表示する。
【0022】
(iv)回収部
所望の蛍光値を持つ酵母を、解析部のヒストグラムから範囲指定すると、自動的にマニピュレーターによって吸引され、マイクロプレートへ吐出・回収される。酵母の吸引・吐出にはキャピラリが好ましく使用され、酵母をマニピュレータ内に残さないように吐出できることが実験により確認されている。
【0023】
図Cでは、例えば横軸の蛍光量が90~225の範囲を指定すると、1個又は2個の酵母細胞数のその蛍光値を持つ細胞がマイクロプレートから回収され、その抗体断片の配列を酵母を生かしたまま回収して決定することで、目的の抗原に対して強く結合する少なくとも1種の抗体断片の配列を決定することができる。」
(b)「【0028】
マイクロチャンバーへの酵母のアプライは、界面活性剤を含む緩衝液を好ましく使用できる。界面活性剤としてはポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Dextran T-500、Tween 20、Tween 40、Tween 60、NP-40、SB3-14、SB12、CTAB及びTritonX-100などが挙げられ、Tween 20、Tween 40、Tween 60が好ましく例示される。界面活性剤は、抗原抗体複合体あるいは抗原に結合した標識を分離させることなく、酵母の凝集を抑制できるものを、適切な濃度で使用することができる。」
b 引用文献2記載の技術事項
上記aからみて、引用文献2には下記の事項が記載されていると認められる。
引用文献2記載事項
「細胞懸濁液をマイクロピペットでアプライすることで、各ウェルに細胞が入り、ウェルに入っている酵母細胞の蛍光画像を取得できるマイクロチャンバーであって、所望の蛍光値を持つ酵母をマイクロプレートへ吐出し、マイクロプレートから酵母を生かしたまま回収できるマイクロチャンバーにおいて(【0019】-【0023】)、
マイクロチャンバーへの酵母のアプライに使用する緩衝液が含む界面活性剤として、好ましくは酵母の凝集を抑制できるTween 20、Tween 40、Tween 60を、適切な濃度で使用すること(【0028】)。」
(ウ)引用文献3
a 記載事項
当審が最後の拒絶理由で引用し、本願の出願前に頒布または公開された特開2007-044040号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0076】
実施例4 シロイヌナズナAt3g45130 酵母の培養
ラノステロール合成能欠損酵母GIL77 (gal2 hem3-6 erg7 ura3-167) (Kushiro et al. (1998) Eur J Biochem 256: 238-244. 東京大学大学院薬学研究系研究科天然物化学研究室において分譲可能な状態で保管されている。)を、実施例3で構築した酵母発現ベクターpYCAS2および、pYES2で形質転換した。pYCAS2を保持する酵母を、塩化ヘミン (13μg/ml)、エルゴステロール(20μg/ml)、Tween80(5mg/ml)を添加した25 mlのSC-U培地(4本、計100ml)で、30℃、2日間培養した。前培養液5mlを、塩化ヘミン (13μg/ml)、エルゴステロール(20μg/ml)、Tween80(5mg/ml)を添加した100mlの新しいSC-U培地(20本、計2L)に加え、28℃、2日間培養した。培養した酵母を、3500 rpm、5分間遠心することにより集菌し、ガラクトース(20mg/ml)、塩化ヘミン (13μg/ml)、エルゴステロール(20μg/ml)、Tween80(5mg/ml)を添加した100mlのSC-U-グルコース培地(20本、計2L)に懸濁し、28℃、1日間培養した。培養した酵母を、3500 rpm、5分間遠心することにより集菌し、0.1MのKPBに懸濁し洗浄した後、遠心処理により集菌した。これを、グルコース(20mg/ml)、塩化ヘミン (13μg/ml)を添加した100mlのKPB(20本、計2L)に再懸濁し、28℃、1日間培養した。培養した酵母を、3500 rpm、5分間遠心することにより集菌し、400mlの20% KOH/50%エタノール混液に懸濁した。これを120℃で1時間煮沸し、遠心分離により回収した上清に400mlのヘキサンを加え、混合した後、ヘキサン抽出物を回収した。この操作を二回繰り返した。ヘキサン抽出物を減圧下で濃縮した後、クロロホルムに溶解した。
pYES2を保持する酵母についても同様に、培養、抽出を行った。ただし培養はフラスコ1本で行った。」
b 引用文献3記載の技術事項
上記aからみて、引用文献3には下記の事項が記載されていると認められる。
引用文献3記載事項
「酵母を培養する培地にTween80を添加すること(【0076】)」
(エ)引用文献4
a 記載事項
当審が最後の拒絶理由で引用し、本願の出願前に頒布または公開された特開2008-178305号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0060】
(実施例1:界面活性剤で処理したリパーゼ細胞表層提示酵母の調製)
上記調製例1で得られた粉末状態のROL表層提示酵母を10mg-dry cell/mLとなるように蒸留水に懸濁し、1%(w/v)の各種界面活性剤を加えた。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートであるTween20、Tween40、Tween60、およびTween80、ならびに陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いた。この懸濁液を、30℃にて150opmで16時間振とう処理し、酵母表層をこれらの界面活性剤によって被覆した。処理後の懸濁液を8000rpmで5分間遠心分離し、沈殿した酵母を蒸留水で洗浄する操作を2回繰り返した後、減圧下で乾燥させた。こうして得られた白色の粉末を、界面活性剤処理リパーゼ表層提示酵母(以下、界面活性剤処理ROL表層提示酵母)とした。
・・・
【0063】
ROL表層提示酵母は、有機溶媒を用いない加水分解反応やエステル合成反応では高い活性を示すことが知られている(非特許文献4)。しかしながら、図2に示すように、処理を行っていないROL表層提示酵母を用いたPCのエステル交換反応において、菌体量を増やしてもエステル交換率はほとんど向上せず、どの菌体量においても10%以下の値を示した。これは、疎水性有機溶媒であるヘキサンに対する酵母の分散性が問題であると考えられる。
・・・
【0067】
(実施例3:界面活性剤の種類の検討)
上記実施例1で得られた種々の界面活性剤で処理されたROL表層提示酵母について、エステル交換率を上記実施例2と同様に操作して測定した。反応時間は48時間であった。結果を表1に示す。
・・・
【0069】
表1に示すように、全ての非イオン性界面活性剤(各種Tween)処理ROL表層提示酵母では、エステル交換活性が向上した。その中でも、Tween20が最も効果的であった。」
b 引用文献4記載の技術事項
上記aからみて、引用文献4には下記の事項が記載されていると認められる。
引用文献4記載事項1
「Tween20、Tween40、Tween60、およびTween80は、非イオン性界面活性剤であること。」
引用文献4記載事項2
「酵母表層を界面活性剤によって被覆した界面活性剤処理リパーゼ表層提示酵母に関し、エステル合成反応では高い活性を示すことが知られている界面活性剤処理リパーゼ表層提示酵母において、非イオン性界面活性剤であるTween20、Tween40、Tween60、およびTween80で処理された界面活性剤処理リパーゼ表層提示酵母は、エステル交換活性が向上したこと。」
(オ)引用文献5
a 記載事項
本願の出願前に電気通信回線を通じて公知となった「ポリソルベート 20、ポリソルベート 60、ポリソルベート 65 及びポリソルベート 80 の食品添加物の指定に関する添加物部会報告書」(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「1.品目名
ポリソルベート 20
英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monolaurate、Polysorbate 20
その他の名称:モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 20
〔CAS 番号:9005-64-5〕
ポリソルベート 60
英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monostearate、Polysorbate 60
その他の名称:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 60
〔CAS 番号:9005-67-8〕
ポリソルベート 65
英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Tristearate、Polysorbate 65
その他の名称:トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 65
〔CAS 番号:9005-71-4〕
ポリソルベート 80
英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monooleate、Polysorbate 80
その他の名称:オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 80
〔CAS 番号:9005-65-6〕」
「4.概要及び諸外国での使用状況
・・・
米国では、ポリソルベート類は 1960 年代初頭より食品添加物として認可され、ポリソルベート60、同 65 及び同 80 について、使用基準を定めた上で、その使用が認められており、ポリソルベート 20、同 60 及び同 80 は合成香料及び同助剤のリストに収載され、溶解補助剤として使用できる。EU では、食品添加物指令(1995 年)で、ポリソルベート 20、同 40、同 60、同 65 及び同 80 が認可され、使用基準が設定されている。」
b 引用文献5記載の技術事項
上記aからみて、引用文献5には下記の事項が記載されていると認められる。
引用文献5記載事項1
「Tween 20は、英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monolaurate、Polysorbate 20であり、
Tween 80は、英名:Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monooleate、Polysorbate 80であること。」
引用文献5記載事項2
「Tweenであるポリソルベートについて、米国ではポリソルベート60、同 65 及び同 80が食品添加物として認可され、EU ではポリソルベート 20、同 40、同 60、同 65 及び同 80 が食品添加物指令で認可されていること。」
(カ)引用文献6
a 記載事項
当審が最後の拒絶理由で引用し、本願の出願前に頒布または公開された特開2013-18730号公報(以下、「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
<昆虫誘引剤>
本発明の昆虫誘引剤は、糖、アルコール、カルボン酸、水及び酵母を配合してなるものである。
このように本発明の昆虫誘引剤は、水の他に、糖、アルコール、カルボン酸、及び酵母の4成分を配合してなるものである。これにより、後述するとおり、これら4成分のいずれかを省略した場合と比べて、より昆虫の誘引性に優れる。
・・・
【0013】
この糖は、酵母によりアルコール発酵されて、アルコールと二酸化炭素を発生する。この揮発したアルコールにより、昆虫が誘引されるものと考えられる。
・・・
【0018】
[カルボン酸]
カルボン酸としては、樹液に含まれる成分と同様、酢酸、乳酸等が好適に用いられる。
本発明の昆虫誘引剤からカルボン酸を省略したものは、本発明の昆虫誘引剤と比べて誘引性に劣る。このため、カルボン酸は本発明の昆虫誘引剤にとって必須の配合成分である。
・・・」
b 引用文献6記載の技術事項
上記aからみて、引用文献6には下記の事項が記載されていると認められる。
引用文献6記載事項
「糖、水及び酵母を配合してなり、糖が酵母によりアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する、昆虫誘引剤において(【0011】、【0013】)、
カルボン酸として、樹液に含まれる成分と同様、酢酸、乳酸を、好適に配合すること(【0018】、【0011】)。」
ウ 本願補正発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「白砂糖(上白糖)」及び「黒砂糖」は、本願補正発明の「糖」に相当し、引用発明における「ドライイースト」、「水」、「界面活性剤」は、本願補正発明における「酵母」、「水」、「界面活性剤」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明の「白砂糖(上白糖)500gと、黒砂糖100gと、ドライイースト1gとからなる誘引剤に、水を加えて2リットルとし」た液において「砂糖」が「発酵」することは、酵母である「ドライイースト」の作用によることは明らかであるから、本願補正発明の「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」することに相当する。
(ウ)引用発明において、発酵開始前の「誘引液17」が「白砂糖(上白糖)500gと、黒砂糖100gと、ドライイースト1gとからなる誘引剤に、水を加えて2リットルとし」たものであるところ、特に材料としてアルコールを加えることが特定されていない点は、発酵によってアルコールが生成される直前まではアルコールは含まれないと解されることから、本願補正発明において、上記アに進歩性の判断対象として注記したとおり、「発酵開始」の直前、または、「発酵」は「開始」したが「発酵」による「アルコール」の生成は未だ行われていない、最初の発酵反応の途上の瞬間には「虫捕獲液」に「アルコール」が含まれないと解した場合の、「但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く」構成に、相当する。
(エ)引用発明の「誘引液17」は、「ハエの成虫」を「誘引」し「麻痺」させて「界面活性剤により誘引液17中にて溺死」させるから、本願補正発明の「虫捕獲液」に相当する。
以上を整理すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「糖と、酵母と、水と、界面活性剤とを含み、前記糖が前記酵母の作用によって発酵する、
虫捕獲液(但し、発酵開始時にアルコールを含む虫捕獲液を除く)。」
そして、本願補正発明と引用発明とは、次の相違点A~Dで、相違する。
<相違点A>
本願補正発明においては、「糖と、酵母と、水と、界面活性剤とを含むとともに前記糖が前記酵母の作用によって発酵」するとの特定から、「界面活性剤」を「含む」状態で「糖」の「酵母」による「発酵」が行われているのに対し、
引用発明においては、「界面活性剤」を「加え」た後において「発酵」が進行していることは、明確には特定されていない点。
<相違点B>
本願補正発明においては、「界面活性剤」が、「食品添加系界面活性剤」である「非イオン系界面活性剤」であることが特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点C>
本願補正発明においては、「非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001w/v%以上1.0w/v%以下である」ことが特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点D>
本願補正発明においては、「虫捕獲液」が、「酢酸または乳酸を含有」すると特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
エ 相違点についての判断
上記相違点AないしDについて、判断する。
(ア)相違点Aについて
引用発明において、「界面活性剤」を「加え」た「誘引液17」を「誘殺器1の容器本体5に投入」した後に、「誘引液17」から「二酸化炭素も発生」しているところ、「白砂糖(上白糖)」及び「黒砂糖」と「ドライイースト」を含む「誘引液17」においては、「ドライイースト」による「糖」の「発酵」でアルコールと「二酸化炭素」とが発生することが明らかであるから、引用発明に係る「誘引液17」においては、「界面活性剤」を加えて「誘殺器1の容器本体5に投入された」後にも、「二酸化炭素」を発生させる「発酵」が進行していることは、明らかである。
また、引用発明において、「1つの誘殺器1における1日あたりのイエバエ成虫誘殺数は平均で500個体~600個体」であり、「後半のほぼ10日間では誘殺数が減少する」とはいえ「設置期間」は「1ヶ月」であるから、使用開始後にも「誘引液17」における「発酵」が継続することで、誘殺効果を継続的に奏していることは、明らかである。
したがって、相違点Aは、実質的な相違点ではない。
(イ)相違点Bについて
引用発明において、上記(ア)に示したとおり、「界面活性剤」を加えた後にも「二酸化炭素」を発生させる「発酵」を継続することは明らかであるから、引用発明には、「界面添加剤」を加えた後も「ドライイースト」による発酵が継続するように、「ドライイースト」による発酵に悪影響を与えない「界面活性剤」を選択する動機付けが存在している。
また、引用発明において、「砂糖を主成分とした食品を材料としているので人畜及び環境にも安心して使用でき」るものとしていることから、「界面活性剤」についても、「食品を材料と」するのと同程度に「人畜及び環境にも安心して使用でき」るものを選択する動機付けが存在している。
そして、引用文献4記載事項1及び引用文献5記載事項2に示されるとおり、界面活性剤として、食品添加が認められた非イオン系界面活性剤であるTween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80は、周知技術であるところ、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項2に示されるとおり、Tween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80は、培養状態または活性を示す状態の酵母に添加する界面活性剤として使用することも知られたものである。ここで、界面活性剤が酵母自体を失活または死滅させるものである場合、当該界面活性剤は酵母による糖の発酵に悪影響を与えると予測されるところ、Tween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80は、前述のとおり培養状態または活性を示す状態の酵母に添加する界面活性剤として使用することが知られているから、酵母を失活または死滅させるものではないという点で、酵母による糖の発酵に悪影響を与えないと予測されることが明らかである。
そうすると、引用発明において、界面活性剤として、食品を材料とするのと同程度に人畜及び環境にも安心して使用できるものを選択し、また、酵母を失活または死滅させるものではないという点で酵母による発酵に悪影響を与えないと予測されるものを選択するという観点から、周知の食品添加系界面活性剤である非イオン系界面活性剤であり、かつ、培養状態または活性を示す状態の酵母に添加して使用することも知られた、Tween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80を選択し、もって食品添加系界面活性剤である非イオン系界面活性剤を用いるという、上記相違点Bに係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、そうしたことによる効果は、引用発明、及びTween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80に関して知られた特性及び使用例から、事前に予測される範囲を超える格別顕著なものではない。
(ウ)相違点Cについて
引用発明における界面活性剤の濃度は、「2リットル」と「1cc」を足した体積あたり「1cc」であるから、界面活性剤1ccの重量が1g程度とすると、およそ0.05w/v%程度となるところ、上記界面活性剤の濃度は、「落下したハエの成虫」を「界面活性剤により誘引液中にて溺死」させるのに好適な濃度の一例であると理解される。
そして、上記(イ)に検討したとおり、引用発明において、「界面活性剤」として食品添加系界面活性剤でありかつ非イオン系界面活性剤であるTween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80を用いる場合、落下したハエの成虫を誘引液中で溺死させるのに好適な濃度として、上記0.05w/v%程度近傍の適宜の濃度について、酵母の発酵にも悪影響を与えない範囲を実験的に確認して選択し、もって上記相違点Cに係る「0.001w/v%以上1.0w/v%以下」の範囲内の濃度とすることは、当業者が適宜に選択し得た事項である。
これに対し、本願補正発明において、界面活性剤の濃度を「0.001w/v%以上1.0w/v%以下」としたことによる効果は、本願明細書の段落【0020】における「酵母の発酵に悪影響を与えないように液面の表面張力を低下させることができ、誘引された虫の行動を停止させ脱出を防止できる」という記載からみて、引用発明及び上記周知技術から予測し得なかった、異質かつ顕著な効果であるとは認められない。
したがって、引用発明において、上記周知技術を採用する際、界面活性剤の含有量について、0.001w/v%以上1.0w/v%以下となる範囲内の値を選択し、もって上記相違点Cに係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項というべきである。
(エ)相違点Dについて
引用発明において、虫を誘引する観点から、虫を誘引する自然物質が含む成分として、引用文献6記載事項に示される乳酸、酢酸を好適に添加し、もって上記相違点Dに係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、そうしたことによる効果は、引用発明1、及び引用文献6記載事項から事前に予測された範囲を超える、格別顕著なものではない。
オ 請求人の意見書における主張について
(ア)令和6年10月15日受付の意見書における主張について
請求人は令和6年10月15日受付の意見書において、引用発明には酵母による糖の発酵を阻害しない界面活性剤及びその含有量を選択する動機付けがないから、相違点A~Cは想到容易でない旨を主張している。
また請求人は同意見書において、本願発明は相違点Dに係る構成を有し、かつアルコールを含有しないことにより、虫捕獲液の長期の保存性を高めることができるという効果を奏する旨を主張している。
しかしながら、上記エ(ア)及び(イ)で指摘したとおり、引用発明において、使用開始から1ヶ月程度の設置期間にわたって、「二酸化炭素」を発生させる「発酵」を継続させることで虫を誘殺する効果を持続させる意図があること、及び、人畜及び環境にも安心して使用できる材料を使用する動機付けがあることから、「界面活性剤」として食品添加が認められ、かつ培養状態または活性を示す状態の酵母に添加して使用することも知られた、周知のTween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80を選択することは、動機付けがあった事項であって、何ら阻害要因があったものではない。
また、界面活性剤の濃度の選択についても、上記エ(ウ)で指摘したとおり、引用発明における界面活性剤の濃度の周辺で不都合のない濃度を実験的に確認することで、適宜なし得た設計事項程度である。
さらに、相違点Dに係る構成は、上記エ(エ)で指摘したとおり、想到容易であるところ、上記ウ(ウ)の対比で言及したとおり、発酵開始前の材料としてアルコールを用いていない引用発明において、上記エ(エ)のとおり酢酸または乳酸を添加した場合の、長期の保存に悪影響がないという効果についても、事前に予測される範囲を超えた格別顕著なものではない。
したがって、上記請求人の主張について検討しても、上記エの判断を変更すべき事情は見いだせない。
(イ)令和6年12月25日受付の意見書における主張について
請求人は令和6年12月25日受付の意見書において、「すなわち、引用文献1の発明は、砂糖を発酵させた後の発酵溶液に界面活性剤を混入した液体であり、糖を酵母の作用によって発酵させることによって虫を誘引する本願請求項1の発明とは異なっているので、本願請求項1の発明の構成を示唆すらするものではありません。」と主張している。
しかしながら、引用発明は、糖をドライイーストで発酵させて誘引物質及び二酸化炭素を発生するものであるから、「糖を酵母の作用によって発酵させることによって虫を誘引する本願請求項1の発明とは異なっている」という請求人の主張は失当である。
また請求人は、同意見書において、引用文献2~4を含め、界面活性剤であるTweenと酵母による糖の発酵との関係を記載した文献は提示されていないから、引用発明における界面活性剤としてTweenを用いることはたとえ当業者であっても想到容易でない旨を主張している。
しかしながら、上記エ(イ)に判断したとおり、引用発明において、「界面活性剤」として、「食品を材料と」するのと同程度に「人畜及び環境にも安心して使用でき」るものを選択する動機付け、及び、「界面添加剤」を加えた後も「ドライイースト」による発酵が継続するように、「ドライイースト」による発酵に悪影響を与えない「界面活性剤」を選択する動機付けが存在することから、食品添加が認められた周知の界面活性剤であり、かつ、培養状態または活性を示す状態の酵母に添加して使用することが知られ、酵母自体を失活または死滅させないという点で酵母による糖の発酵に悪影響を及ぼさないと予測される界面活性剤である、Tween 20、Tween 40、Tween 60またはTween 80を選択することには、何らの想到困難性もないから、上記請求人の主張は採用することができない。
したがって、上記請求人の主張について検討しても、上記エの判断を変更すべき事情は見いだせない。
カ 進歩性の小括
上記ア~オのとおり、本願補正発明は、引用発明、及び引用文献2ないし6に記載される周知技術または技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(6)付言のまとめ
以上のとおり、本願補正発明は、特許法36条6項2号及び同条4項1号の規定に違反し、同法17条の2第3項の規定に違反する補正がされ、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
また、本件補正は上記2~4に判断した理由以外の理由によっても受け入れられるものではない。
第3 本願について
1 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の令和6年10月15日受付の手続補正書によって補正された、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。
本願発明を特定する、特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記第2の1(1)に摘記したとおりである。
2 拒絶の理由の概要
当審において、令和6年11月7日付けの拒絶理由通知書で通知した最後の拒絶理由の概要は、本願発明について要すれば、以下のとおりである。
(1)明確性要件違反
本願発明を特定する請求項1の記載は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「アルコールを含有していない」とする点で、明確でなく、特許法36条6項2号の規定を満たしていない。
(2)実施可能要件違反
本願発明の詳細な説明の記載は、本願発明について、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「アルコールを含有していない」とする点で、当業者が実施可能な程度の説明を記載したものではなく、特許法36条4項1号の規定を満たしていない。
(3)新規事項追加
本願発明は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「アルコールを含有していない」とする点で、令和6年10月15日受付の手続補正書による補正によって新規事項が追加されており、特許法17条の2第3項の規定に違反する。
(4)進歩性欠如
本願発明は上記(1)~(3)の不備が顕著であり、進歩性の評価対象とすることができないところ、「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」のは「発酵」の開始前であると解した場合について判断すると、下記の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2ないし6に記載される周知技術または技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
<引用文献等一覧>
1.登録実用新案第3083438号公報
2.特開2010-14438号公報
3.特開2007-044040号公報
4.特開2008-178305号公報
5.ポリソルベート 20、ポリソルベート 60、ポリソルベート 65 及びポリソルベート 80 の食品添加物の指定に関する添加物部会報告書,WayBackMachine2011年9月10日収集,インターネットURL;http://web.archive.org/web/20110910022914/https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0809-5c_0001.pdf
6.特開2013-18730号公報
なお、上記引用文献1~6は、上記第2の5(5)で本願補正発明の進歩性について検討した引用文献1~6と同じである。
3 当審の判断
(1)明確性
本願発明は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、かつ、「アルコールを含有していない」ものである。
しかしながら、本願明細書を参酌しても、「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」(段落【0003】、【0067】)ことが前提とされている虫捕獲液について、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」するにもかかわらず、「アルコールを含有していない」ことは、つじつまが合わない。
なお、本願発明について、発酵が開始するより前の段階に限って「アルコールを含有していない」ものと解するには、特許請求の範囲の記載を離れた解釈を加える必要がある。
したがって、本願発明を特定する請求項1の記載は、特許を受けようとする発明を明確に特定するものではなく、特許法36条6項2号の規定に違反する。
(2)実施可能要件
本願発明は、上記(1)で指摘したとおり、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」であって、「アルコールを含有していない」ものである。
しかしながら、「糖」と「酵母」とによる「発酵」が開始するより前の段階は別として、「発酵」の開始以降も「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」ものとすることは、本願明細書において「糖が酵母によってアルコール発酵されてアルコールと二酸化炭素を発生する」(段落【0003】、【0067】)ことが前提とされていること、アルコール発酵の開始以降の「虫捕獲液」を「アルコールを含有していない」ものとする手法は発明の詳細な説明に全く記載されていないこと、並びに、アルコール発酵で生成されるアルコールを存在させることなく生成と同時に消失させることが技術常識とはいえないことから、当業者にとって過度の試行錯誤を要することが明らかである。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願発明に関し、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵」が開始するより前の段階に限ることなく「アルコールを含有していない」ものとする点で、たとえ技術常識を考慮したとしても、当業者が実施可能な程度の説明を記載したものとはいえない。
よって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願発明について、特許法36条4項1号の規定に違反する。
(3)新規事項追加
本願発明において、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「アルコールを含有していない」ものとする構成は、令和6年10月15日受付の手続補正書による補正によって、追加された構成である。
そして、上記補正により追加された構成は、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵」の開始より前に限ることなく「アルコールを含有していない」ものとする点で、上記第2の3において「発酵開始時」にアルコールを含まないものとすることについて指摘したのと同じ理由で、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加したものである。
また、上記補正により追加された構成について、「発酵」の開始より後にアルコールを含有していないものとすることについても、同様に、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項との関係において、新たな技術的事項を追加したものである。
したがって、本願発明は、特許法17条の2第3項の規定を満たさない補正がされたものである。
(4)進歩性
ア 進歩性の判断対象
本願発明に関し、「糖と、酵母と、水と」を含み「前記糖が前記酵母の作用によって発酵」する「虫捕獲液」について、「発酵」の開始より前に限ることなく「アルコールを含有していない」ものとすることは、上記(1)~(3)に指摘した不備が顕著であるため、進歩性の評価対象とすることはできない。
以下では、「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」のは「発酵」の開始より前と解した場合について、進歩性を判断する。
イ 引用文献の記載及び引用発明
当審が最後の拒絶理由した引用文献1~6には、上記第2の5(5)イに示したとおりの事項が記載されている。
そして引用文献1には、上記第2の5(5)イ(ア)bに認定した引用発明が記載されている。
ウ 本願発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
本願補正発明と引用発明とについて、上記第2の5(5)ウの(ア)、(イ)及び(エ)において対比した点は、本願発明と引用発明との対比についても、同様である。
本願補正発明と引用発明とについて、上記第2の5(5)ウ(ウ)において対比した点は、下記(ウ’)のとおりとなる。
(ウ’)引用発明において、発酵開始前の「誘引液17」が「白砂糖(上白糖)500gと、黒砂糖100gと、ドライイースト1gとからなる誘引剤に、水を加えて2リットルとし」たものであるところ、特に材料としてアルコールを加えることが特定されていない点は、発酵によってアルコールが生成されるより前まではアルコールは含まれないと解されることから、本願発明において、上記アに進歩性の判断対象として注記したとおり、「虫捕獲液」が「アルコールを含有していない」のは「発酵」の開始より前と解した場合の、「アルコールを含有していない」構成に、相当する。
以上を整理すると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「糖と、酵母と、水と、界面活性剤とを含み、前記糖が前記酵母の作用によって発酵し、
アルコールを含有していない、
虫捕獲液。」
そして、本願発明と引用発明とは、次の相違点1~4で、相違する。
<相違点1>
本願発明においては、「糖と、酵母と、水と、界面活性剤とを含むとともに前記糖が前記酵母の作用によって発酵」するとの特定から、「界面活性剤」を「含む」状態で「糖」の「酵母」による「発酵」が行われているのに対し、
引用発明においては、「界面活性剤」を「加え」た後において「発酵」が進行していることは、明確には特定されていない点。
<相違点2>
本願発明においては、「界面活性剤」が、「食品添加系界面活性剤」である「非イオン系界面活性剤」であることが特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点3>
本願発明においては、「非イオン系界面活性剤の含有量は、0.001w/v%以上1.0w/v%以下である」ことが特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点4>
本願発明においては、「虫捕獲液」が、「酢酸または乳酸を含有」すると特定されているのに対し、
引用発明においては、そのように特定されていない点。
エ 相違点についての判断
本願発明と引用発明との相違点1~4は、本願補正発明と引用発明との相違点A~Dと同じである。
そして、上記相違点1~4についての判断は、上記第2の5(5)エにおいて、本願補正発明と引用発明との同意点A~Dについて判断したのと同様である。
オ 請求人の意見書における主張について
本願発明の進歩性について、請求人の意見書における主張を考慮しても、上記第2の5(5)オに指摘したのと同様に、上記エの判断を変更すべき事情はない。
カ 進歩性の小括
上記ア~オのとおり、本願発明は、引用発明、及び引用文献2ないし6に記載される周知技術または技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、その余の請求項2~5について判断するまでもなく、当審が通知した拒絶理由により、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-016236