特許拒絶査定不服審判
2023-014935
印刷用不織布
- 審判番号
- 2023-014935
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-003727
- 請求日
- 2023年09月06日
- 審決日
- 2025年06月26日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱製紙株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 神山 茂樹
- 審判官 葛原 怜士郎
- 審判官 藤井 眞吾
- 分類
- P18 .121-Z (D21H) / P18 .575-Z (D21H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-3727号「印刷用不織布」拒絶査定不服審判事件〔令和3年8月2日出願公開、特開2021-110070号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月14日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和4年12月28日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 5月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和5年 6月 6日 :原査定の謄本の送達)
令和5年 9月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年9月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年9月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「少なくとも木材パルプ、合成繊維、熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、該木材パルプの濾水度が600ml超であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、木材パルプの含有率が5~75質量%であり、合成繊維の含有率が5~75質量%であり、熱融着性バインダー繊維の含有率が5~50質量%であり、合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊度が0.1~6.0デシテックスであり、合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊維長が2~20mmであることを特徴とする印刷用不織布。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年3月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「少なくとも木材パルプ、合成繊維、熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、該木材パルプの濾水度が600ml超であることを特徴とする印刷用不織布。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「木材パルプ」、「合成繊維」、及び「熱融着性バインダー繊維」の「含有率」、並びに「合成繊維」及び「熱融着性バインダー繊維」の「繊度」及び「繊維長」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)補正発明
補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶理由で引用された本願の出願前に公開された引用文献である特開2011-180441号公報(平成23年9月15日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付した。また、「・・・」は記載事項の省略を示す。以下同様。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、展示用不織布に関するものである。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、印刷適性が良好で、且つ、柔らかい風合いを持ち、他の不織布や織布へ貼り付けて使用可能な展示用不織布を提供することを課題とする。」
「【0018】
本発明の展示用不織布において、原布シートは木材パルプと木材パルプ以外の有機繊維とを含有してなり、湿式抄紙法により製造される。本発明で用いられる木材パルプは、NBKP、LBKP、NBSP、LBSPその他いずれの種類のパルプでも限定はされないが、目詰め・強度の点からNBKPが好ましい。また、濾水度は、特に限定しないが100mlCSF以上が好ましい。濾水度が100mlCSF未満であると、湿式抄紙法による原布シート形成の段階で均一な地合いが得られ難い場合がある。」
「【0020】
本発明において、木材パルプ以外の有機繊維として捲縮型のポリエステル繊維を一部または全量用いることが好ましい。捲縮型ポリエステル繊維としては、顕在捲縮、潜在捲縮のどちらでも用いることができる。さらに、T型、Y型、三角等の異形断面繊維を用いることもできる。該捲縮繊維の配合比率は、原布シート中の10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。配合比率が10質量%より小さいと、貼り付き性が悪くなる場合や、柔らかい風合いが得られ難くなる場合がある。一方、配合比率が80質量%より大きいと、表面強度が弱くなって印刷時に繊維がブランケットに脱落する場合や、シート内の空隙が大きくなって、裏移りや裏抜けが起こる場合がある。」
「【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
【0039】
実施例1
木材パルプとして、未叩解のNBKPカムループス(濾水度600mlCSF)、木材パルプ以外の有機繊維として、顕在捲縮型ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)及びPET-低融点PET芯鞘繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)を用いた。木材パルプ/捲縮型PET繊維/PET-低融点PET芯鞘繊維=30/35/35となるように、パルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、シリンダードライヤーにて乾燥し、120g/m2の原布シートを得た。この原布シートに水分散重合物(アクリル酸エステル共重合体等)60質量%、顔料として炭酸カルシウム(商品名:エスカロン1500、三共製粉株式会社製)を40質量%含有した混合液を、固形分で30g/m2となるようにサイズプレスにて含浸させ、エアースルードライヤーで乾燥を行い、展示用不織布を得た。得られたシートを折り、折った背の5cmの区間を10倍のルーペで観察した際に観察できる立ち上がった毛羽本数が表:30本、裏:33本であった。」
「【0058】
上記の実施例及び比較例で作製した展示用不織布について、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
・・・
【0060】
(2)Dryインキ着肉性評価
RI印刷機(株式会社明製作所製)の印刷用ロールに藍色インキ(商品名:TRANS-G、DIC株式会社製)を0.6cc付着させてよく練りこんだ後、印刷を行い、一昼夜乾燥させた後、印刷部のインキ濃度を以下の4段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:非常に鮮明で良好。
○:鮮明で良好。
△:僅かに鮮明性に劣るが、効果は認められる。
×:くすんでおり、不鮮明。実用上問題がある。
【0061】
(3)Wetインキ着肉性評価
RI印刷機(株式会社明製作所製)の印刷用ロールに藍色インキ(商品名:TRANS-G、DIC株式会社製)を0.6cc付着させてよく練りこんだ後、Wet着肉用ロールを印刷する上流側に取り付ける。ロール両端部を目止めして水をため、印刷部分の半分については水を含ませた後、藍色インキが付着するように印刷を行い、一昼夜乾燥させた後、印刷部のインキ濃度を以下に示す4段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:非常に鮮明で良好。
○:鮮明で良好。
△:僅かに鮮明性に劣るが、効果は認められる。
×:くすんでおり、不鮮明。実用上問題がある。
【0062】
(4)両面印刷適性評価
展示用不織布の表裏面にオフセット印刷を行い、裏移り、裏抜けの度合いについて、以下に示す4段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:裏移りや裏抜けが無く、印刷したどちらの面も非常に鮮明で良好。
○:裏移りや裏抜けが少なく、印刷したどちらの面も鮮明で良好。
△:裏移りや裏抜けが多少あるが、効果は認められる。
×:裏移りや裏抜けが多く、印刷が不鮮明。実用上問題がある。
【0063】
(5)風合い評価
展示用不織布を手で握り、その時の触感を以下に示す4段階で評価した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:非常にしなやかで良好。
○:しなやかで良好。
△:僅かにしなやかさに劣るが、効果は認められる。
×:張り感があり、ペーパーライク。実用上問題がある。
【0064】
【表1】
[図:0001426277000001.jpg]
」
イ 引用文献1に記載された発明
上記アから、引用文献1には、特に実施例1の展示用不織布に着目すると、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「木材パルプとして、未叩解のNBKPカムループス(濾水度600mlCSF)、木材パルプ以外の有機繊維として、顕在捲縮型ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)及びPET-低融点PET芯鞘繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)を用い、木材パルプ/捲縮型PET繊維/PET-低融点PET芯鞘繊維=30/35/35となるように、パルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、シリンダードライヤーにて乾燥し、120g/m2の原布シートを得て、この原布シートに水分散重合物(アクリル酸エステル共重合体等)60質量%、顔料として炭酸カルシウム(商品名:エスカロン1500、三共製粉株式会社製)を40質量%含有した混合液を、固形分で30g/m2となるようにサイズプレスにて含浸させ、エアースルードライヤーで乾燥を行って得た、展示用不織布。」
(3)対比
補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「木材パルプ」は補正発明の「木材パルプ」に相当し、以下同様に、「顕在捲縮型ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維」、「捲縮型PET繊維」は「合成繊維」に、「PET-低融点PET芯鞘繊維」は「熱融着性バインダー繊維」に、それぞれ相当する。
引用発明の「展示用不織布」は、「円網抄紙機で抄紙」されるので、補正発明の「湿式不織布」に相当する。
引用発明の「展示用不織布」と補正発明の「印刷用不織布」とは、不織布の限りで一致する。
引用発明において「木材パルプとして、未叩解のNBKPカムループス(濾水度600mlCSF)、木材パルプ以外の有機繊維として、顕在捲縮型ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)及びPET-低融点PET芯鞘繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)を用い」たことは、補正発明において「少なくとも木材パルプ、合成繊維、熱融着性バインダー繊維を含む」ことに相当する。
引用発明において「木材パルプ/捲縮型PET繊維/PET-低融点PET芯鞘繊維=30/35/35」であることは、補正発明において「湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、木材パルプの含有率が5~75質量%であり、合成繊維の含有率が5~75質量%であり、熱融着性バインダー繊維の含有率が5~50質量%であ」ることに相当する。
引用発明において「顕在捲縮型ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)及びPET-低融点PET芯鞘繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長5mm)を用い」たことは、補正発明において「合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊度が0.1~6.0デシテックスであり、合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊維長が2~20mmである」ことに相当する。
以上のことから、補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「少なくとも木材パルプ、合成繊維、熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、木材パルプの含有率が5~75質量%であり、合成繊維の含有率が5~75質量%であり、熱融着性バインダー繊維の含有率が5~50質量%であり、合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊度が0.1~6.0デシテックスであり、合成繊維及び熱融着性バインダー繊維の繊維長が2~20mmである不織布。」
[相違点1]
補正発明は、「該木材パルプの濾水度が600ml超であ」るのに対して、引用発明は、「木材パルプとして、未叩解のNBKPカムループス(濾水度600mlCSF)」を「用い」たものである点。
[相違点2]
不織布に関して、補正発明は「印刷用不織布」であるのに対して、引用発明は「展示用不織布」である点。
(4)判断
ア 相違点1について
引用発明における木材パルプの濾水度について、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することは当業者の通常の創作能力の発揮といえ、また、引用文献1の【0018】には、木材パルプの濾水度に関して、「濾水度は、特に限定しないが100mlCSF以上が好ましい。濾水度が100mlCSF未満であると、湿式抄紙法による原布シート形成の段階で均一な地合いが得られ難い場合がある。」と記載されているから、引用発明における木材パルプの濾水度として、100mlCSF以上の範囲でどの程度とするかは当業者が適宜決め得ることである。
ここで、引用発明の「木材パルプ」は「濾水度600mlCSF」であるところ、濾水度を600mlに近い範囲で変更して600ml超とすることに格別の困難性はない。
イ 相違点2について
引用文献1の【0008】に記載されているように、引用発明の展示用不織布は、印刷適性が良好な展示用不織布であるから、印刷用のものとすることに格別の困難性はない。
ウ 作用効果について
補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5)審判請求人の主張について
ア 審判請求人の主張の概要
審判請求人は、審判請求書において、(主張a)木材パルプの濾水度が500ml超(補正後600ml超)に対しての示唆は引用文献1にはなく、また、(主張b)木材パルプの濾水度が500ml超(補正後600ml超)によって優れた風合いと印刷適性(脱落繊維の抑制)を達成するという効果についても引用文献1から見出すことはできないものである旨主張する。
イ 主張aについて
上記(4)アで説示したとおり、引用文献1の【0018】には、「濾水度は、特に限定しないが100mlCSF以上が好ましい。」と記載されており、「500ml超」は「100mlCSF以上」の数値範囲に含まれていることから、引用文献1には、木材パルプの濾水度が500ml超(補正後600ml超)とすることが示唆されているといえる。
ウ 主張bについて
引用発明として認定した引用文献1の実施例1は、「風合い」が「○:しなやかで良好」と評価されたものであり(引用文献1の【0063】、【0064】【表1】)、引用発明において、優れた風合いを奏するという効果は予測されるものである。
また、引用文献1の【0020】には、「木材パルプ以外の有機繊維として捲縮型のポリエステル繊維を一部または全量用いることが好ましい。・・・該捲縮繊維の配合比率は、原布シート中の10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。・・・一方、配合比率が80質量%より大きいと、表面強度が弱くなって印刷時に繊維がブランケットに脱落する場合や、・・・がある。」と記載されているところ、引用発明の「捲縮型PET繊維」の含量は35質量%であり、引用文献1の【0020】の記載における「捲縮繊維の配合比率」において「さらに好ましい」とされる範囲に含まれていることから、引用発明において、印刷適性(脱落繊維の抑制)を達成するという効果も予測されるものである。
なお、本願明細書の【0025】に、「湿熱接着性バインダー繊維は必須成分ではないが、木材パルプの濾水度が500ml超であり、且つ熱融着性バインダー繊維を必須成分として含有することによって、熱融着性バインダー繊維と湿熱接着性バインダー繊維を併用した場合よりも、脱落繊維を抑制することができ、風合いに優れた印刷用不織布を得ることができる。」と記載されており、同じく【0017】には、「合成繊維の含有率は、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、5~75質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、15~65質量%であることがさらに好ましい。合成繊維の含有率が5質量%未満である場合、厚みが小さく、密度が高い湿式不織布となることから、湿式不織布の風合いが損なわれる場合がある。一方、合成繊維の含有率が75質量%超である場合、合成繊維以外の繊維が少ないため、脱落繊維が発生しやすく、印刷適性が劣る場合がある。」と記載されているように、「脱落繊維を抑制することができ、風合いに優れた印刷用不織布を得ることができる」という効果は、「熱融着性バインダー繊維を必須成分として含有すること」及び「合成繊維の含有率」にもよるものである。
エ 小括
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。
(6)補正発明についてのまとめ
したがって、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年9月6日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年3月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に公開された下記引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献1 特開2011-180441号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した補正発明から、「木材パルプ」、「合成繊維」、「熱融着性バインダー繊維」の「含有率」、及び「合成繊維」、「熱融着性バインダー繊維」の「繊度」、「繊維長」に関する限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、上記第2[理由]2(3)~(6)で説示したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-014935