商標拒絶査定不服審判
2023-014333
ベンザイテンファインクオリティーモチ、ベンザイテンファインクオリティー、ベンザイテンファイン、ベンザイテン、マルダイ、ダイ、カクオーザン、カバードファイネストフルーツスプレンディッドリー、カクオーザンフルーツダイフク、カクオーザンモチ、カクオーザンフルーツ、カクオーザンダイフク
- 審判番号
- 2023-014333
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-054089
- 請求日
- 2023年08月25日
- 審決日
- 2024年06月13日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社弁才天
- 【請求人代理人】田中 尚文
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 勉
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .261-Z (W3543) / T18 .262-Z (W3543) / T18 .263-Z (W3543) / T18 .265-Z (W3543)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-54089拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年4月30日に登録出願されたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和4年 1月11日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月22日 :意見書の提出
令和5年 5月24日付け:拒絶査定
令和5年 8月25日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類及び第43類に属する別掲2に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5496661号商標(以下「引用商標」という。)は、「弁財天」の文字を標準文字で表してなり、平成24年1月10日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年5月25日に設定登録されたが、その後、その指定商品中の第30類「大福」については、商標登録の取消審判により、その登録を取り消すべき旨の審決がされ、令和5年3月6日にその審判の確定審決の登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、左右の両側が半円形に膨らんだ略楕円図形内の中央に、「弁才天」の文字を太字で大きく顕著に表し、当該文字の上下に、「覚王山」及び「BENZAITEN」の文字をそれぞれ小さく表してなるほか、上記図形の枠線付近には、リボン状図形、花や果実の図形、円輪郭内に「大」の文字を配した(以下「〇大」という。)図形、「フルーツ」の文字、「大福」の文字、「創業」及び「令和元年」の文字等が配されており(以上の構成要素をまとめて、以下「略楕円図形部分」という。)、さらに略楕円図形部分の下方には、「フルーツ大福」の文字を中央に大きく顕著に縦書きし、当該文字の左右に、「覚王山」、「創業」及び「令和元年」の文字を、それぞれ小さく縦書きし、「フルーツ大福」の文字の左下部に「〇大」の図形を配した(以上の構成要素をまとめて、以下「下部文字部分」という。)構成からなるものである。
そして、本願商標の構成において、略楕円図形部分と下部文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うこともなく配置され、各構成部分は、それぞれが独立したものであるとの印象を与えることから、視覚上分離して認識されるものである。
イ 本願商標の構成中、略楕円図形部分において、目につきやすい中央部に「弁才天」の文字が太字で大きく顕著に表されているのに対し、その他の文字や図形等は、「弁才天」の文字を一定の間隔を空けて取り囲むように小さく表されていることからすると、外観上、「弁才天」の文字は、他の部分に比して、見る者の注意をより引くものであるといえる。
そして、略楕円図形部分中、「フルーツ」や「大福」の文字は商品名等を、「創業」及び「令和元年」の文字は創業年を、「覚王山」の文字は愛知県名古屋市の地名を、「BENZAITEN」の文字は「弁才天」の読みを欧文字で表したと認識されるものであるから、これらの文字自体は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる一方、「弁才天」の文字は、「音楽・弁才・財福などをつかさどる女神」を意味する語であり(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)、本願商標の指定役務との関係において、役務の質を表示する等の格別な事情は見当たらないことから、当該文字部分は、自他役務の識別標識として、取引者、需要者に強い印象を与えるものである。
そうすると、略楕円図形部分において、「弁才天」の文字は、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず、当該文字を引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであるから、構成文字に相応した「ベンザイテン」の称呼及び「音楽・弁才・財福などをつかさどる女神」の観念が生じるものである。
ウ 以上からすると、本願商標は、その構成中、略楕円図形部分の中央部に太字で大きく顕著に表された「弁才天」の文字が、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、当該文字部分に着目して、取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当であるから、当該文字に相応して、「ベンザイテン」の称呼及び「音楽・弁才・財福などをつかさどる女神」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第3のとおり、「弁財天」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「弁才天」と同様の意味を有する語として辞書(前掲書)に掲載されていることから、上記(1)と同様に、「ベンザイテン」の称呼及び「音楽・弁才・財福などをつかさどる女神」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討すると、両商標は、構成全体の外観においては相違するものの、本願商標の構成中、自他役務の識別標識として、取引者、需要者に強い印象を与える「弁才天」の文字と引用商標とは、2文字目の漢字が異なるのみであるから、両者は外観上近似した印象を与えるものというのが相当である。
そして、両商標は、称呼については「ベンザイテン」の称呼を、観念については「音楽・弁才・財福などをつかさどる女神」の観念を同一とするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念を同一とするものであるから、これらの外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両者は互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定役務と引用商標の指定商品との類否について検討すると、本願商標の指定役務中「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、和菓子屋や、百貨店、スーパーマーケット等の小売店等で提供され、その需要者は一般消費者である。
一方、引用商標の指定商品は「菓子及びパン、但し、大福を除く」であるところ、当該指定商品には、大福以外の和菓子(例えば、団子やもち菓子など。)が含まれており、これらの商品は、和菓子屋や、百貨店、スーパーマーケット等の小売店等で販売され、その需要者は一般消費者である。
そして、大福と、それ以外の和菓子とでは、原材料(例えば、もち米、小豆など。)を共通にする場合があり、大福を製造、販売する事業者が、それ以外の和菓子も製造、販売する場合も多いといえる。
そうすると、本願商標の指定役務中「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品中の「大福以外の和菓子」とは、同一の事業者によって役務の提供や商品の製造、販売が行われる場合も多く、役務の提供場所と商品の販売場所が共通し、需要者の範囲も共通するものであるから、これらに同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の提供、製造又は販売に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるというべきである。
してみれば、本願商標の指定役務中「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定商品と類似する役務である。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定商品と類似の役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標中の略楕円図形部分は、独創的かつ特徴的な手法をもって全体が極めてまとまりよく表されていることに加え、本願商標中で最も顕著に表されているのは「フルーツ大福」の文字であることをも鑑みると、その構成上、本願商標は、特定の文字のみが把握されることのない一体的な商標として認識されるものであり、本願商標から「弁才天/BENZAITEN」の文字部分が分離して認識され、自他役務の識別標識としての機能を独立して果たすことはないとするのが至極相当である旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中、略楕円図形部分において、外観上、「弁才天」の文字は、他の部分に比して、見る者の注意をより引くものであるし、当該文字は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識として、取引者、需要者に強い印象を与えるものである一方、本願商標の構成中、下部文字部分に配された「フルーツ大福」の文字は、請求人が言及するとおり、顕著に表されているとしても、商品名を表すにすぎず、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものである。
そうすると、本願商標の構成中、略楕円図形部分の中央部に太字で大きく顕著に表された「弁才天」の文字部分に着目して、取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当であることは、上記(1)のとおりである。
(2)請求人は、引用商標に係る商標登録に対して商標法第50条第1項に基づく一部取消審判を請求し、その指定商品中の「大福」を取消すとの審決がなされ、既に確定した(取消2021-300858)ことに触れ、引用商標に係る指定商品から「大福」が明示的に除外され、本願指定役務中「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が引用商標に係る指定商品と抵触関係にないこととなり、その結果、原査定において指摘された指定商品及び役務間の類似性もなくなり、そして、本願出願人は、フルーツ大福を専門に取り扱っており、他の菓子やパン類の販売は行っていないといった具体的な取引実情をも考慮すると、これら商品及び役務は、その用途、販売場所・提供場所、需要者の範囲を異にし、類似するものでないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、引用商標の指定商品中「大福」については、その登録が取り消されているとしても、引用商標の指定商品は、いまだ、本願商標の指定役務中、第35類「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、同一営業主の提供、製造又は販売に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあることは、上記(4)のとおりである。
また、商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは、その指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、当該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではないところ、請求人の主張は、いずれも、本願商標の請求人(出願人)の経営方針及び営業形態に着目した個別の取引の実情の一側面を挙げているにとどまるものであって、比較する指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的な事情とは異なるものといわざるを得ず、これを取引の実情として商標の類否判断に当たり考慮することはできない。
してみれば、これら商品及び役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるというべきであるから、本願商標の指定役務中、第35類「大福の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定商品と類似する役務である。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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