特許拒絶査定不服審判
2023-012799
アミノベンゾイミダゾール誘導体、治療、およびヒストン脱アセチル化酵素を阻害する方法
- 審判番号
- 2023-012799
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-513848
- 請求日
- 2023年07月31日
- 審決日
- 2025年03月21日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】トランスレイショナル・ドラッグ・ディベロップメント・エルエルシー
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 審判長/審判官
- 審判長 木村 敏康
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 冨永 保
- 分類
- P18 .113-Z (C07D) / P18 .004-Z (C07D) / P18 .575-Z (C07D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法39条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-513848「アミノベンゾイミダゾール誘導体、治療、およびヒストン脱アセチル化酵素を阻害する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日国際公開、WO2019/051125、令和 2年11月19日国内公表、特表2020-533316〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)9月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年9月6日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和3年8月17日に上申書及び手続補正書が提出され、令和4年9月14日付けで拒絶理由が通知され、同年12月16日に意見書及び手続補正書が提出され、令和5年3月28日付けで拒絶査定され、同年7月31日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、令和6年7月11日に上申書が提出されたものである。
第2 令和5年7月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年7月31日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正の概要及び補正後の請求項1~4、5、9及び10の記載
令和5年7月31日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の請求項1に補正前の請求項2に記載の発明特定事項を組み込んで補正後の請求項1にするとともに、補正前の請求項3~5を補正後の請求項2~4に繰り上げ、補正前の請求項6に補正前の請求項7に記載の発明特定事項を組み込んで補正後の請求項5にするとともに、補正前の請求項8~20を補正後の請求項6~18に繰り上げる補正を含むものであって、補正後の請求項1、4、5、9及び10の記載は、次のとおりである。(下線部は、本件補正による記載の変更箇所である。ID番号1~10の化合物に関する変更は下線を省略した。)
「 【請求項1】
細胞のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)アイソフォームのヒストン脱アセチル化活性を阻害することにおける使用のための医薬組成物であって、式(I)の化合物を含み
:
【化1】
[図:0001425040000001.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)、
前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在し、
前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000002.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000003.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000004.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000005.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000006.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000007.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000008.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000009.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000010.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000011.jpg]
からなる群から選択される、前記医薬組成物。・・・
【請求項4】 細胞が、がん細胞、神経細胞、免疫系の細胞、循環系の細胞、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】 対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、式(I)の化合物:
【化12】
[図:0001425040000012.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)と、薬学的に許容される担体とを含み、 前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、HDAC関連障害を治療するまたはHDACアイソフォームに関連する疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在し、 前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000013.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000014.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000015.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000016.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000017.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000018.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000019.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000020.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000021.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000022.jpg]
からなる群から選択される、前記医薬組成物。・・・
【請求項9】
疾患または障害が、がん、自己免疫障害、炎症性障害、神経変性疾患、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
疾患または障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、消化管間質腫瘍(GIST)、神経膠芽腫(GBM)、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、白血病、肺がん、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、卵巣がん、膵管腺がん、末梢T細胞リンパ腫、前立腺がん、子宮がんおよびワルデンシュトレーム骨髄腫からなる群から選択されるがんである、請求項9に記載の医薬組成物。」
(2)本件補正前の請求項1、2、5、6、7、11及び12の記載
本件補正前の、令和4年12月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2、5、6、7、11及び12の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
細胞のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)アイソフォームのヒストン脱アセチル化活性を阻害することにおける使用のための医薬組成物であって、式(I)の化合物を含む、前記医薬組成物:
【化1】
[図:0001425040000023.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)。
【請求項2】
化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000024.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000025.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000026.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000027.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000028.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000029.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000030.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000031.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000032.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000033.jpg]
からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。・・・
【請求項5】
細胞が、がん細胞、神経細胞、免疫系の細胞、循環系の細胞、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、式(I)の化合物:
【化12】
[図:0001425040000034.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項7】
化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化13】
[図:0001425040000035.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化14】
[図:0001425040000036.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化15】
[図:0001425040000037.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化16】
[図:0001425040000038.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化17】
[図:0001425040000039.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化18】
[図:0001425040000040.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化19】
[図:0001425040000041.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化20】
[図:0001425040000042.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化21】
[図:0001425040000043.jpg]
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化22】
[図:0001425040000044.jpg]
,
からなる群から選択される、請求項6に記載の医薬組成物。・・・
【請求項11】
疾患または障害が、がん、自己免疫障害、炎症性障害、神経変性疾患、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
疾患または障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、消化管間質腫瘍(GIST)、神経膠芽腫(GBM)、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、白血病、肺がん、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、卵巣がん、膵管腺がん、末梢T細胞リンパ腫、前立腺がん、子宮がんおよびワルデンシュトレーム骨髄腫からなる群から選択されるがんである、請求項11に記載の医薬組成物。」
(3)補正の目的について
本件補正は、補正後の請求項1については、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である式(I)の化合物を補正前の請求項2に記載されたID番号1~10の化合物に特定し、「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在」することを特定したものであり、補正後の請求項5については、補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である式(I)の化合物を補正前の請求項7に記載されたID番号1~10の化合物に特定し、「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、HDAC関連障害を治療するまたはHDACアイソフォームに関連する疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在」することを特定したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明、及び補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項5に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1及び5に係る発明(以下、それぞれ、「本願補正発明1」、「本願補正発明5」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(いわゆる「独立特許要件」))について、以下、検討する。
2 本願補正発明1及び5の独立特許要件の判断
(1)本願補正発明1及び5
本願補正発明1及び5は、上記1(1)に摘記した本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1及び5に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2)特許法第29条第1項第3号の要件について
ア 引用文献1及びその記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2016/191397号には、次の記載がある。なお、引用文献1は英文で記載されているため、図表の記載を除いて当審合議体による和訳にて摘記する。また、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。以下、同様である。
(ア)「
4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#24
[図:0001425040000045.jpg]
4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#25
[図:0001425040000046.jpg]
4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#26
[図:0001425040000047.jpg]
」(78頁のID#24~ID#26)
(イ)「実施例1:ID#24と抗PD-1抗体とを含む組成物の抗転移活性
方法
6週齢メスbalb/cマウスの右側腹部に、4T1-luc2マウス乳腺腫瘍(細胞おおよそ1×106個/マウス)の懸濁液を含有する、0.1mLの50%RPMI/50%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford,MA)混合物を皮下接種した。4T1-luc2乳腺腫瘍は、強化光を生じさせるためにホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2ベクター)を安定的にトランスフェクトした、マウス乳腺由来の腺癌細胞株を発現するルシフェラーゼ株である。したがって、ルシフェラーゼ誘起発光が、これらの細胞の検出方法でありうる。
接種の8日後、デジタルノギスを使用して腫瘍を測定した。このノギスを使用して、腫瘍径の幅および長さを測定した。測定値を、動物研究管理ソフトウェア、Study Director V.2.1.1(Study Log)を使用してデジタル記録した。次の式を用いて腫瘍体積を算出した:
[図:0001425040000048.jpg]
(式中、「b」は最小径であり、「a」は最大径である)。306~519mm3の腫瘍体積を有するマウスを、8匹ずつのマウス群に、各群がおおよそ450mm3の1日目平均腫瘍体積(Study Directorを使用して算出)を有するように無作為に釣り合わせることにより、無作為に割り当てた。腫瘍体積を、マウスを無作為化したときに記録し、週3回記録を取った。
処置は、実験の1日目に開始した。化合物ID#24での処置を研究終了まで強制経口投与により施した。抗マウスPD-1(CD279、クローンJ43)(PD-1阻害剤)抗体および抗マウスCTLA4(CD152、クローン9H10)(CTLA4阻害剤)抗体を1日おきに8日間、腹腔内投与した。この実験における処置群は、以下のものであった:
・第1群:化合物ID#24ビヒクル対照(PO)+アイソタイプ対照 0.25mg/用量(IP)
・第3群:PD-1阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第4群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+アイソタイプ対照 0.25mg/用量(IP)
・第6群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+PD-1阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第7群:CTLA4阻害剤 0.25mg/用量(IP)+PD-1阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第8群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+CTLA4阻害剤 0.25mg/用量(IP)+PD-1阻害剤 0.25mg/用量(IP)。
対照腫瘍が≧2300mm3の平均値に達したら、マウスを安楽死させ、肺組織を採取し、自然肺転移を(発光強度によって検出して)評価した。安楽死の30分前に、マウスに150mg/kgのルシフェリンを腹腔内注射した。肺をルミノメーターに入れ、発光強度を読み取った。
結果
図1および3に示されているように、ベンズアミド化合物、化合物ID#24、とPD-1阻害剤抗体の組合せは、個々の処置より高レベルの腫瘍細胞成長阻害を生じさせた。したがって、PD-1阻害剤と化合物#24の併用処置には、4T1腫瘍細胞に対して相乗的抗がん効果がある。・・・
実施例2:ID#24とCTLA4阻害剤とを含む組成物の抗腫瘍細胞成長および抗転移活性
方法
6週齢メスbalb/cマウスの右側腹部に、4T1-luc2マウス乳腺腫瘍(細胞おおよそ1×106個/マウス)の懸濁液を含有する、0.1mLの50%RPMI/50%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford,MA)混合物を皮下接種した。4T1-luc2乳腺腫瘍は、強化光を生じさせるためにホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2ベクター)を安定的にトランスフェクトした、マウス乳腺由来の腺癌細胞株を発現するルシフェラーゼ株である。したがって、ルシフェラーゼ誘起発光が、これらの細胞の検出方法でありうる。
接種の8日後、デジタルノギスを使用して腫瘍を測定した。このノギスを使用して、腫瘍径の幅および長さを測定した。測定値を、動物研究管理ソフトウェア、Study Director V.2.1.1(Study Log)を使用してデジタル記録した。次の式を用いて腫瘍体積を算出した:
[図:0001425040000049.jpg]
(式中、「b」は最小径であり、「a」は最大径である)。306~519mm3の腫瘍体積を有するマウスを、8匹ずつのマウス群に、各群がおおよそ450mm3の1日目平均腫瘍体積(Study Directorを使用して算出)を有するように無作為に釣り合わせることにより、無作為に割り当てた。腫瘍体積を、マウスを無作為化したときに記録し、週3回記録を取った。
処置は、実験の1日目に開始した。化合物ID#24での処置を研究終了まで強制経口投与により施した。抗マウスCTLA4(CD152、クローン9H10)(CTLA4阻害剤)抗体および抗マウスPD1(CD279、クローンJ43)(PD1阻害剤)抗体を1日おきに8日間、腹腔内投与した。この実験における処置群は、以下のものであった:
・第1群:化合物ID#24ビヒクル対照(PO)+アイソタイプ対照 0.25mg/用量(IP)
・第2群:CTLA阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第4群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+アイソタイプ対照 0.25mg/用量(IP)
・第5群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+CTLA4阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第7群:CTLA阻害剤 0.25mg/用量(IP)+PD1阻害剤 0.25mg/用量(IP)
・第8群:化合物ID#24 50mg/kg(PO)+CTLA4阻害剤 0.25mg/用量(IP)+PD1阻害剤 0.25mg/用量(IP)。
対照腫瘍が≧2300mm3の平均値に達したら、マウスを安楽死させ、肺組織を採取し、自然肺転移を(発光強度によって検出して)評価した。安楽死の前に、マウスに150mg/kgのルシフェリンを腹腔内注射した。肺をルミノメーターに入れ、発光強度を読み取った。
結果
図2に示されているように、ベンズアミド化合物、化合物ID#24、とCTLA4阻害剤抗体の組合せは、個々の処置より高レベルの腫瘍細胞成長阻害を生じさせた。・・・」(83頁4行~86頁16行)
(ウ)「実施例3:細胞生存率に対するベンズアミド化合物の効果
様々な濃度のベンズアミド化合物の存在下の異なる時点での細胞生存率を使用して、化合物の細胞傷害性および細胞増殖に対する効果を評価した。ヒト急性白血病細胞株(HL-60)におけるベンズアミド化合物についてのIC50(またはパーセント活性)データを表2に要約する。
[図:0001425040000050.jpg]
細胞生存率アッセイ-細胞生存率を、CellTiter-Glo(登録商標)細胞生存率アッセイPromega(Madison、Wis.)によって測定した。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescenct Cell Viability Assayは、代謝活性細胞の存在を示す、存在するATPの定量に基づいて培養中の生細胞の数を決定するホモジニアス法である。処置後、CellTiter-Glo(登録商標)を処置ウェルに添加し、37℃でインキュベートする。Molecular Devices Spectramaxマイクロプレートリーダーを使用して発光値を測定した。
単剤研究-細胞を集密度70%に増殖させ、トリプシン処理し、計数し、96ウェル平底プレートに細胞2.5×103~5×103個/ウェルの最終濃度で播種した(0日目)。最大接着を可能にするために細胞を増殖培地中で24時間インキュベートしておいた。試験薬剤または基準薬剤での処置は、1日目に開始して72時間継続した。72時間の時点で、処置剤含有培地を除去した。上で説明したようにCellTiter-Glo(登録商標)細胞生存率アッセイにより生細胞数を定量した。同じ濃度を3回ずつ用いて実験を行って成長阻害活性を判定した。これらの研究からの結果を使用して、各化合物についてのIC50値(対照の細胞増殖を50パーセント阻害する薬物の濃度)を算出した。
データ収集-単剤および組合せ研究のために、各実験からデータを収集し、次の計算:細胞増殖率(%)=(f試験/fビヒクル)×100
を使用して細胞増殖率(%)として表した。この式中のf試験は、被験試料の発光であり、fビヒクルは、薬物を溶解した溶媒の発光である。Prism 6ソフトウェア(GraphPad)を使用して、用量反応グラフおよびIC50値を生成した。」(86頁18行~87頁19行)
イ 引用文献1に記載された発明
上記アの摘記(ア)には、ID#24~ID#26ベンズアミド化合物が記載され、摘記(ウ)には、それらの化合物を種々の濃度で単剤として用いて、ヒト急性白血病細胞株(HL-60)に適用し細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を評価し、IC50を算出したことが記載されており、種々の濃度で単剤として用いているのであるから、他の製剤成分が含有されているのは当然であり組成物であるといえる。
そうすると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#24
[図:0001425040000051.jpg]
、
4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#25
[図:0001425040000052.jpg]
、
4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#26
[図:0001425040000053.jpg]
から選択されたベンズアミド化合物を単剤として含有するヒト急性白血病細胞株(HL-60)に適用し細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を有する組成物。」
ウ 本願補正発明5と引用発明1の対比・判断
(ア)本願補正発明5と引用発明1の対比
本願補正発明5と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#24
[図:0001425040000054.jpg]
、
4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#25
[図:0001425040000055.jpg]
、
4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド ID#26
[図:0001425040000056.jpg]
から選択されたベンズアミド化合物」は、ID#24、25、26の化合物が、それぞれ、本願補正発明5のID番号1、2、3の化合物であるから、本願補正発明5の「
式(I)の化合物:
【化12】
[図:0001425040000057.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)」及び
「前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000058.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000059.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000060.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000061.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000062.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000063.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000064.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000065.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000066.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000067.jpg]
からなる群から選択される」ことに相当する。
また、引用発明1の「ヒト急性白血病細胞株(HL-60)に適用し細胞傷害性および細胞増殖に対する効果を有する組成物」は、単剤として評価され、ヒト急性白血病細胞に対する細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を有したものであるとの結果を得ているのであるから、本願補正発明5の「対象の」「疾患の治療に使用するための医薬組成物」に相当する。
さらに、引用発明1のID#24~26の化合物を「単剤として含有」し「ヒト急性白血病細胞株(HL-60)に適用し細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を有する組成物」であることは、本願補正発明5の「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、」「疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在」していることにほかならない。
そして、引用発明1の組成物は、医薬化合物が「単剤として含有」されたものであり(本願明細書の【0101】及び【0102】の担体の記載を考慮すると、本願補正発明5における担体の概念は広い概念のものである。)、引用文献1の実施例で、IC50値を求めているということは、所定の濃度で試験を行っているといえるので、本願補正発明5における担体に該当するなんらかの溶媒に溶解させていることは明らかである。したがって、引用文献1の50頁1行の「ゼラチン」や51頁の「ゲル基材」の記載も考慮すれば、医薬用の製剤として用いる以上、希釈剤、添加剤、賦形剤等の何らかの薬学的に許容される担体を含むことは、引用文献1に記載されているに等しい事項である。
(イ)したがって、本願補正発明5と引用発明1とは、
「疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、式(I)の化合物: 【化12】
[図:0001425040000068.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)と、薬学的に許容される担体とを含み、
前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在し、
前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000069.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000070.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000071.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000072.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000073.jpg]
4-((1-(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000074.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000075.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000076.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000077.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000078.jpg]
からなる群から選択される、前記医薬組成物。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。
相違点1:治療対象の障害又は疾患が、本願補正発明5は、「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患」であるのに対して、引用発明1は、「ヒト急性白血病細胞株(HL-60)に適用し細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を有する」疾患である点。
(ウ)相違点1の判断
本願補正発明5における「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患」に関して、請求項5の記載を引用する請求項8及び9の
「 【請求項9】 疾患または障害が、がん、自己免疫障害、炎症性障害、神経変性疾患、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
疾患または障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、消化管間質腫瘍(GIST)、神経膠芽腫(GBM)、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、白血病、肺がん、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、卵巣がん、膵管腺がん、末梢T細胞リンパ腫、前立腺がん、子宮がんおよびワルデンシュトレーム骨髄腫からなる群から選択されるがんである、請求項9に記載の医薬組成物。」との記載、【0043】及び【0044】に記載された「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連疾患」の記載から、「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害」又は「対象のHDACアイソフォームに関連する疾患」に、広くがんや急性白血病が包含されていることは明らかである。
したがって、本願補正発明5の「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害」又は「対象のHDACアイソフォームに関連する疾患」に引用発明1の「ヒト急性白血病」が該当する以上、相違点1は実質的な相違点とはいえない。
(エ)審判請求人の主張について
a 審判請求書における主張について
審判請求人は、審判請求書の4頁15~25行及び6頁13~19行において、引用文献1の表1(審決注:表2の誤記であると認める。)の結果は、ヒト急性白血病細胞(HL-60)の培養系に対して細胞毒性及び細胞増殖に対する効果を評価しており、本願補正発明5に包含される、対象のインビボ治療は教示も示唆すらもしていない旨主張している。
しかしながら、ヒト急性白血病細胞(HL-60)の培養系に対して細胞毒性及び細胞増殖に対する効果を評価しているのであるから、対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療又は対象のHDACアイソフォームに関連する疾患にヒト急性白血病が該当しており、かつ引用発明1の組成物が単剤として評価され、ヒト急性白血病細胞に対する細胞傷害性及び細胞増殖に対する効果を有したものであるとの結果を得ているのであるから、本願補正発明5の「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患の治療に使用するための医薬組成物」に相当しているといえる。
本願補正発明5においては、「対象の」「疾患の治療に使用するための医薬組成物」と特定されているだけであり、引用文献1には、実施例1及び2において、第4群として化合物ID#24の個別の処置によっても腫瘍細胞成長阻害を生じさせたことを示すインビボ実験が示されており(摘記(1b))、上記インビトロ実験とインビボ治療の差違を強調した審判請求人の主張は採用できない。
b 令和6年7月11日に提出された上申書における主張について
審判請求人は、上記上申書の1~2頁において、HDAC関連障害は単なるがんよりはるかに広いことや、がんの処置は、HDAC症状の処置を示唆しない旨主張している。
しかしながら、前記ウにおいて述べたように、HDAC関連障害に広くがんや急性白血病が包含されていることは本願明細書の記載から明らかであり、「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患の治療に使用する」と特定しているだけの本願補正発明5は、医薬組成物の技術常識を考慮すれば、引用文献1に記載された発明であるといえる。
エ 小括
したがって、本願補正発明5は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法29条の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(3)特許法第39条第1項の要件について(本願補正発明5と先願4(特願2018-546039号)に係る発明の対比・判断)
ア 先願4及びその特許請求の範囲の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前の出願である特願2018-546039号(国際出願日:2016年5月23日)の特許請求の範囲(特許第6768078号公報参照)には、次の記載がある。
(ア)「
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[図:0001425040000079.jpg]
[式中:
Xは-Hまたは-ハロであり、Qは-Hである;
Aは置換されていない-Cl-C6アルキルであり、Yは-C3-C7シクロアルキル、-アリール、または-3~10員複素環;それらはいずれも置換されていないか、あるいは下記のうち1以上で置換されている:-ハロ、-C1-C6アルキル、-O-(C1
-C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、-NHR’、-N(R’)2、-NHC(O)R’、および-C(O)NHR’;これらにおいてR’は
-Hまたは-Cl-C6アルキルである;。
【請求項2】
Aが置換されていない-Cl-C2アルキルであり、そして、
Yが-C3-C7シクロアルキル、-アリールまたは-3~10員複素環であり、それらはいずれも置換されていないか、あるいは1以上の-ハロで置換されている
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが置換されていない-Clアルキルであり、そして、
Yが-C5-C7シクロアルキル、-アリールまたは-3~10員複素環であり、それらはいずれも置換されていないか、あるいは1以上の-ハロで置換されている
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物が下記のものからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 1)
【化2】
[図:0001425040000080.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 4)
【化3】
[図:0001425040000081.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 5)
【化4】
[図:0001425040000082.jpg]
4-((1-(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 6)
【化5】
[図:0001425040000083.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 7)
【化6】
[図:0001425040000084.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 8)
【化7】
[図:0001425040000085.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド (ID# 9)
【化8】
[図:0001425040000086.jpg]
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 10)
【化9】
[図:0001425040000087.jpg]
【請求項5】
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1-5のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に許容できるキャリヤーを含む、医薬組成物。
【請求項7】
さらにポマリドミド、デキサメタゾン、または両方を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象において癌を処置するために用いられる請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
対象が、悪性疾患と関連する染色体トランスロケーション、ポリポーシス、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、癌または前癌疾患を伴ったもしくは伴っている者との血縁、および発癌性物質への曝露、からなる群から選択される悪性疾患に対する素因を示す、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
染色体トランスロケーションが、フィラデルフィア染色体およびt(14;18)からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌細胞の拡張を遅延させるための、請求項1-5のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に許容できるキャリヤーを含む、医薬組成物。
【請求項12】
癌細胞が、過形成、化生、または異形成を特徴とする異常な細胞増殖を伴なう、請求項11に記載の医薬組成物。」
イ 先願4に係る発明
上記アの摘記(ア)には、請求項1を引用する請求項4を引用する請求項6を引用する請求項8に係る発明として以下の発明が記載されている。
「 式(I)の化合物:
【化1】
[図:0001425040000088.jpg]
[式中:
Xは-Hまたは-ハロであり、Qは-Hである;
Aは置換されていない-Cl-C6アルキルであり、Yは-C3-C7シクロアルキル、-アリール、または-3~10員複素環;それらはいずれも置換されていないか、あるいは下記のうち1以上で置換されている:-ハロ、-C1-C6アルキル、-O-(C1-C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、-NHR’、-N(R’)2、-NHC(O)R’、および-C(O)NHR’;これらにおいてR’は-Hまたは-Cl-C6アルキルであり、;
式(I)の化合物が下記のものからなる群から選択される化合物:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 1)
【化2】
[図:0001425040000089.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 4)
【化3】
[図:0001425040000090.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 5)
【化4】
[図:0001425040000091.jpg]
4-((1-(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 6)
【化5】
[図:0001425040000092.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 7)
【化6】
[図:0001425040000093.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 8)
【化7】
[図:0001425040000094.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド (ID# 9)
【化8】
[図:0001425040000095.jpg]
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 10)
【化9】
[図:0001425040000096.jpg]
および医薬的に許容できるキャリヤーを含む、対象において癌を処置するために用いられる医薬組成物。」(以下「先願4発明」という。)
ウ 本願補正発明5と先願4発明の対比・判断
(ア)本願補正発明5と先願4発明の対比
本願補正発明5と先願4発明とを対比する。
先願4発明の「 式(I)の化合物:
【化1】
[図:0001425040000097.jpg]
[式中:
Xは-Hまたは-ハロであり、Qは-Hである;
Aは置換されていない-Cl-C6アルキルであり、Yは-C3-C7シクロアルキル、-アリール、または-3~10員複素環;それらはいずれも置換されていないか、あるいは下記のうち1以上で置換されている:-ハロ、-C1-C6アルキル、-O-(C1-C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、-NHR’、-N(R’)2、-NHC(O)R’、および-C(O)NHR’;これらにおいてR’は-Hまたは-Cl-C6アルキルであり、;
式(I)の化合物が下記のものからなる群から選択される化合物:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 1)
【化2】
[図:0001425040000098.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 4)
【化3】
[図:0001425040000099.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 5)
【化4】
[図:0001425040000100.jpg]
4-((1-(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 6)
【化5】
[図:0001425040000101.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 7)
【化6】
[図:0001425040000102.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 8)
【化7】
[図:0001425040000103.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド (ID# 9)
【化8】
[図:0001425040000104.jpg]
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド (ID# 10)
【化9】
[図:0001425040000105.jpg]
」
は、ID #1、4~10の化合物が、それぞれ、本願補正発明5のID番号1、4~10の化合物であるから、本願補正発明5の「
式(I)の化合物:
【化12】
[図:0001425040000106.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)」「前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000107.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000108.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000109.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000110.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000111.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000112.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000113.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000114.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000115.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000116.jpg]
からなる群から選択される」ものであることに相当する。
また、先願4発明の「医薬的に許容できるキャリヤー」は、本願補正発明5の「担体」に相当する。
さらに、先願4発明の「対象において癌を処置するために用いられる医薬組成物」は、本願補正発明5の「対象の」「疾患の治療に使用するための医薬組成物」に相当する。
そして、先願4発明は、「対象において癌を処置するために用いられる医薬組成物」として、本願補正発明5と同一の化合物群が治療のための有効成分として特定され、先願4発明では、他の有効成分が発明特定事項として特定されていないこと、対象に対する医薬組成物である以上有効な「量」で存在することは自明であるから、「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、」「疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在」することを特定しているといえる。
(イ)したがって、本願補正発明5と先願4発明とは、
「対象の疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、式(I)の化合物: 【化12】
[図:0001425040000117.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)と、薬学的に許容される担体とを含み、
前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在し、
前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000118.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000119.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000120.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000121.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000122.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000123.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000124.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000125.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000126.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000127.jpg]
からなる群から選択される、前記医薬組成物。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。
相違点2:治療対象の障害又は疾患が、本願補正発明5は、「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患」であるのに対して、先願4発明においては、「対象において癌を処置するために用いられる」障害又は疾患である点。
(ウ)相違点2の判断
本願補正発明5における「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または」「HDACアイソフォームに関連する疾患」に関して、本願補正発明5を引用する請求項8及び9の
「 【請求項9】 疾患または障害が、がん、自己免疫障害、炎症性障害、神経変性疾患、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
疾患または障害が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、消化管間質腫瘍(GIST)、神経膠芽腫(GBM)、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、白血病、肺がん、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、卵巣がん、膵管腺がん、末梢T細胞リンパ腫、前立腺がん、子宮がんおよびワルデンシュトレーム骨髄腫からなる群から選択されるがんである、請求項9に記載の医薬組成物。」との記載、【0043】及び【0044】に記載された「対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害」の記載から、「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害」に、先願4発明に記載されるような広い概念の癌が包含されていることは明らかである(先願4発明の「癌」の意味を明らかにする意味で、先願4の明細書【0070】及び【0071】を参照しても本願の請求項10に記載される癌や血液起源の癌と変わるところはない。)。
したがって、本願補正発明5の「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または」「HDACアイソフォームに関連する疾患」は先願4発明の「対象において癌を処置するために用いられる」障害又は疾患と異なるものとはいえず、相違点2は実質的な相違点とはいえない。
エ 小括
したがって、本願補正発明5は、先願4発明と同一であり、特許法第39条第1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)特許法第39条第1項の要件について(本願補正発明1と先願5(特願2019-527847号)に係る発明の対比・判断)
ア 先願5及びその特許請求の範囲の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前の出願である特願2019-527847号(国際出願日:2017年11月24日、優先権主張の根拠となる米国出願62/426031号(優先日2016年11月23日)には、先願5の内容が記載されている。)の特許請求の範囲(特許第7080234号公報参照)には、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
4-1BBに対する抗体およびGITRに対する抗体からなる群から選択される、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーと結合する薬剤と、
4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#24)、4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#25)、および4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#26)からなる群から選択される化合物
と
を含む、
がんを処置する、がん免疫療法を提供する、または少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼを阻害し、自然および適応免疫を増強する使用のための組成物。
【請求項2】
前記TNFRSFのメンバーと結合する薬剤が、抗4-1BB(CD137)抗体からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗4-1BB(CD137)抗体が、抗m4-1BB抗体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記TNFRSFのメンバーと結合する薬剤が、抗GITR抗体からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗GITR抗体が、抗mGITR抗体である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物であって、ここで前記組成物の量が、がんの進行を遅延させるのに十分な治療有効量である、組成物。
【請求項7】
前記がんが、結腸直腸がん、黒色腫、非小細胞がん、卵巣がん、乳がん、膵がん、血液系悪性腫瘍、および腎細胞癌腫からなる群から選択される、請求項6に記載のがんを処置する使用のための組成物。
【請求項8】
細胞における少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害することにおける使用のための組成物であって、
4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#24)、4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#25)、および4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#26)からなる群から選択される化合物を含む、組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのHDACが、HDAC3および/またはHDAC6である、請求項8に記載の組成物。」
イ 先願5に係る発明
上記アの摘記(ア)には、請求項8に係る発明として以下の発明(以下「先願5発明」という。)が記載されている。
「 細胞における少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害することにおける使用のための組成物であって、
4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#24)、4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#25)、および4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#26)からなる群から選択される化合物を含む、組成物。」
ウ 本願補正発明1と先願5発明の対比・判断
(ア)本願補正発明1と先願5発明の対比
本願補正発明1と先願5発明とを対比する。
先願5発明の「4-(1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#24)、4-(1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#25)、および4-(1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イルアミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(化合物ID#26)からなる群から選択される化合物」は、化合物ID#24、25、26の化合物が、それぞれ、本願補正発明5のID番号1、2、3の化合物であるから、本願補正発明1の「
式(I)の化合物を含み
:
【化1】
[図:0001425040000128.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)、」
「前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000129.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000130.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000131.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000132.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000133.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000134.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000135.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000136.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000137.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000138.jpg]
からなる群から選択される」ものに相当する。
また、先願5発明の「細胞における少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害することにおける使用のための組成物」は、医薬組成物であることは明らかであるから、「細胞のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)アイソフォームのヒストン脱アセチル化活性を阻害することにおける使用のための医薬組成物」に相当する。
(イ)したがって、本願補正発明1と先願5発明とは、
「細胞のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)アイソフォームのヒストン脱アセチル化活性を阻害することにおける使用のための医薬組成物であって、式(I)の化合物を含み
:
【化1】
[図:0001425040000139.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)、
前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在し、
前記化合物が、以下:
4-((1-(シクロヘキシルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号1)
【化2】
[図:0001425040000140.jpg]
4-((1-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号2)
【化3】
[図:0001425040000141.jpg]
4-((1-シクロヘプチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号3)
【化4】
[図:0001425040000142.jpg]
4-((1-((1-フルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号4)
【化5】
[図:0001425040000143.jpg]
4-((1-(シクロペンチルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号5)
【化6】
[図:0001425040000144.jpg]
4-((1ー(2-シクロペンチルエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号6)
【化7】
[図:0001425040000145.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号7)
【化8】
[図:0001425040000146.jpg]
4-((1-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号8)
【化9】
[図:0001425040000147.jpg]
N-ヒドロキシ-4-((1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ベンズアミド(ID番号9)
【化10】
[図:0001425040000148.jpg]
,
および
4-((5-フルオロ-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)-N-ヒドロキシベンズアミド(ID番号10)
【化11】
[図:0001425040000149.jpg]
からなる群から選択される、前記医薬組成物。」の点で一致し、以下の点で一応相違点している。
相違点3:本願補正発明1は、「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在」すると特定されているのに対して、先願5発明においては、化合物が「細胞における少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害することにおける使用のため」に組成物中に含有しているものであることが特定されている点。
(ウ)相違点3の判断
先願5発明の「細胞における少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害することにおける使用のための組成物」とは、本願補正発明1と同一の化合物群が医薬組成物の有効成分として特定されていることは明らかであり、他の有効成分が特定されていないのであるから、上記化合物が阻害に単独で有効な量で組成物中に存在しているのは当然で、追加の治療剤の存在の有無も特定しない広い範囲を包含して特定しているだけの本願補正発明1の「前記化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在」することを特定しているのに他ならない。
したがって、相違点3は実質的な相違点とはいえない。
エ 小括
したがって、本願補正発明1は、先願5発明と同一であり、特許法第39条第1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 補正の却下の決定のむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
令和5年7月31日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~20に係る発明は、令和4年12月16日にされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されたとおりのものであると認められ、その請求項1及び6に係る発明は、前記第2 1(2)に摘記したとおりのものである。
「 【請求項1】
細胞のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)アイソフォームのヒストン脱アセチル化活性を阻害することにおける使用のための医薬組成物であって、式(I)の化合物を含む、前記医薬組成物:
【化1】
[図:0001425040000150.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)。」(以下「本願発明1」という。)
「 【請求項6】 対象のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)関連障害の治療または対象のHDACアイソフォームに関連する疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、式(I)の化合物:
【化12】
[図:0001425040000151.jpg]
(式中、
XはH、ハロ、-C1~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Aは結合、-C1~C6アルキルおよび-C3~C7シクロアルキルからなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
YはH、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリールおよび-3~10員複素環からなる群から選択され、これらのいずれも非置換である、または-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)の1つもしくは複数で置換されており;
Qは-H、-ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’および-C(O)NHR’(式中、R’は-Hまたは-C1~C6アルキルである)からなる群から選択される)と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。」(以下「本願発明6」という。)
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりのものと認める。
1 令和4年9月14日付け拒絶理由通知の内容
2.(新規性)この出願の請求項1-9、11-12、15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
4.(先願)この出願の請求項1-12、15に係る発明は、その出願日前の出願4及び5に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
1.国際公開第2016/191397号
4.特願2018-546039号(特許第6768078号公報)
5.特願2019-527847号(特許第7080234号公報)
2 令和5年3月28日付け拒絶査定の内容
「この出願については、令和4年9月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由2-6によって、拒絶をすべきものです。
・・・
●理由2(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項1-9,11-12,15-20
・引用文献1
・・・
●理由4(特許法第39条第1項)について
・請求項1-12,15-20
・引用文献4
●理由4(特許法第39条第1項)について
・請求項1-12,15-20
・引用文献5
・・・
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2016/191397号
4.特願2018-546039号(特許第6768078号公報)
5.特願2019-527847号(特許第7080234号公報)」
なお、拒絶査定時の本願発明1は、本願補正発明1に、本願発明6は、本願補正発明5にそれぞれ対応している。
第5 当審合議体の判断
当審合議体は、原査定の拒絶の理由のとおり、本願発明6は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、原査定の拒絶の理由で引用されたものと同じ引用文献1に記載された発明であるから、新規性が欠如しており、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができないし、本願発明1は、出願5に係る発明と同一であり、本願発明6は、出願4に係る発明と同一であり、特許法第39条第1項の規定により、特許を受けることはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。
1 引用文献及び先願及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び同文献に記載された発明(「引用発明1」)、出願4の特許請求の範囲の記載及び出願4に係る発明(先願4発明)、並びに出願5の特許請求の範囲の記載及び出願5に係る発明(先願5発明)は、前記第2 2(2)ア及びイ、(3)ア及びイ、並びに(4)ア及びイのとおりである。
2 対比・判断
本願発明1及び6は、前記第2 2で検討した本願補正発明1及び5と比較して、式(1)の化合物に関して、「化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、細胞におけるHDACアイソフォームのヒストン脱アセチル化活性の阻害に単独で有効な量で前記組成物中に存在」すること又は「化合物は、組成物中にいかなる追加の治療剤が存在するかどうかにかかわらず、HDAC関連障害を治療するまたはHDACアイソフォームに関連する疾患を治療するために単独で有効な量で前記組成物中に存在」すること、及び式(1)の化合物を(ID番号1)~(ID番号10)から選択することが限定されていないものである。
そうすると、本願発明6の発明特定事項を全て備え、さらに上記特定事項を追加して範囲を限定したものに相当する本願補正発明5が、前記第2 2(2)に記載したとおり、引用文献1に記載された発明であるから、本願発明6も、引用文献1に記載された発明である。
また、本願発明6の発明特定事項を全て備え、さらに上記特定事項を追加して範囲を限定したものに相当する本願補正発明5が、前記第2 2(3)に記載したとおり、先願4発明と同一であるから、本願発明6も、先願4発明と同一である。
さらに、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに上記特定事項を追加して範囲を限定したものに相当する本願補正発明1が、前記第2 2(4)に記載したとおり、先願5発明と同一であるから、本願発明1も、先願5発明と同一である。
3 小括
以上のとおり、本願発明6と引用発明1との対比において実質的な相違点はなく、本願発明6は、引用文献1に記載された発明である。
また、本願発明6は、先願4発明と同一であり、本願発明1は、先願5発明と同一である。
第6 むすび
上記のとおりであって、本願発明6は、本願の優先日前に、日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により特許を受けることができず、本願発明1及び6は、同法第39条第1項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-012799