2023-011905
スタイラスペン
- 審判番号
- 2023-011905
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-547224外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年07月14日
- 審決日
- 2024年05月13日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ハイディープ
- 【請求人代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 21項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和2年2月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年(平成31年)2月14日(以下、「優先日」という。) 韓国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和5年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 理由1(進歩性)
本願請求項1-5、7、10-12、14、15に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-7に記載された技術事項に基づいて、本願請求項6、13に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-8に記載された技術事項に基づいて、本願請求項8、9、16、17に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-7、9に記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2014-219959号公報
2.国際公開第2002/089157号(周知技術を示す文献)
3.特開2013-162113号公報(周知技術を示す文献)
4.実願昭56-035686号(実開昭57-148831号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
5.特開2016-134512号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2017-211753号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2011-107985号公報(周知技術を示す文献)
8.登録実用新案第3171524号公報(周知技術を示す文献)
9.特表2005-529414号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明17」という。)は、令和4年11月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】ボディ部、前記ボディ部内で外部に露出している伝導性チップ、前記ボディ部内に位置するフェライトコアおよび前記伝導性チップに連結されており、前記フェライトコアの少なくとも一部上に多層に巻線されているコイルを含むインダクタ部、そして続きを表示(全55行)前記ボディ部内に位置し、前記インダクタ部に電気的に接続されて共振回路を形成するキャパシタ部を含み、前記フェライトコアの誘電率が1000F/m以下であり、前記コイルは、隣接する巻線層が交互に位置するように巻線されており、前記コイルは二つ以上の絶縁電線を囲むワイヤーである、スタイラスペン。【請求項2】ユーザと電気的な接続が可能な接地部をさらに含む、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項3】前記コイルは、前記隣接する巻線層がジグザグに位置するように傾斜して巻線されている、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項4】前記フェライトコアはニッケルを含む、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項5】前記コイルはリッツ線である、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項6】前記フェライトコアの少なくとも一部を囲むボビンをさらに含み、前記コイルは前記ボビンの少なくとも一部上に巻線されている、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項7】前記インダクタ部は二つ以上のインダクタ部が直列に連結されている、請求項1に記載のスタイラスペン。【請求項8】前記インダクタ部の少なくとも一部上に位置する伝導性の遮断部材をさらに含む、請求項7に記載のスタイラスペン。【請求項9】前記遮断部材は渦電流の発生を遮断する一つのスリットを含み、前記一つのスリットによって前記遮断部材の両端が第1方向に沿って離隔しており、前記第1方向は渦電流が形成される方向である、請求項8に記載のスタイラスペン。【請求項10】ボディ部、前記ボディ部内で外部に露出している伝導性チップ、前記ボディ部内に位置し、前記伝導性チップに連結されており、前記伝導性チップから伝達される電気信号を共振させる共振回路部;そしてユーザと電気的な接続が可能な接地部を含み、前記共振回路部は、前記ボディ部内に位置するフェライトコアおよび前記伝導性チップに電気的に接続されており、前記フェライトコアの少なくとも一部上に多層に巻線されているコイルを含むインダクタ部、そして前記ボディ部内に位置し、前記接地部と前記伝導性チップに電気的に接続されるキャパシタ部を含み、前記フェライトコアの誘電率が1000F/m以下であり、前記コイルは隣接する巻線層がジグザグに位置するように傾斜して巻線され、前記コイルは二つ以上の絶縁電線を囲むワイヤーである、スタイラスペン。【請求項11】前記フェライトコアはニッケルを含む、請求項10に記載のスタイラスペン。【請求項12】前記コイルはリッツ線(litz wire)である、請求項10に記載のスタイラスペン。【請求項13】前記フェライトコアの少なくとも一部を囲むボビンをさらに含み、前記コイルは前記ボビンの少なくとも一部上に巻線されている、請求項10に記載のスタイラスペン。【請求項14】前記共振回路部は直列に連結される二つ以上のインダクタ部と一つのキャパシタ部を含む、請求項10に記載のスタイラスペン。【請求項15】前記共振回路部は二つ以上のLC共振回路が直列に連結されている、請求項10に記載のスタイラスペン。【請求項16】前記共振回路部の少なくとも一部を囲む、伝導性の遮断部材をさらに含む、請求項14に記載のスタイラスペン。【請求項17】前記遮断部材は渦電流の発生を遮断する一つのスリットを含み、前記一つのスリットによって前記遮断部材の両端が第1方向に沿って離隔しており、前記第1方向は渦電流が形成される方向である、請求項16に記載のスタイラスペン。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)
ア 「【図7A】[図:0001411093000001.jpg]」
イ 「【図7B】[図:0001411093000002.jpg]」
ウ 「【0056】図7A及び図7Bを参照すると、スタイラスペン100の内部には、一つの1次コイルL1 120、1次コイルL1 120と並列接続された共振キャパシタC1 110、及び1次コイルL1 120に連結された導電性チップ(Conductive tip)101が設けられている。【0057】スタイラスペン100内に並列接続された1次コイルL1 120と共振キャパシタC1の一端は導電性チップ101に連結されており、他端は、スタイラスの非伝導性物質からなるスタイラスボディーに連結されて接地される。場合によって、使用者が接地部500を構成するときは、人のボディーに該当する接地部キャパシタChに連結される。すなわち、スタイラスペン100はスタイラス接地部500とも連結されており、スタイラスペン内部の回路を安定化する。」
エ 「【0063】スタイラスペン100内部の1次コイルL1 120と共振キャパシタC1 110は、センサーパネルの交差された第1、第2チャネル(Tx/Rx)により構成されたタッチセンサー200から、キャパシティブカップリングされて形成されたセンシングキャパシタCsx 250を介して入力される信号の周波数と電磁気共振が発生するよう、適切な値を持つように構成される。ここで、共振周波数は、f=1/[2π*(L2*C2)^0.5])の条件を有する。そして、センシングキャパシタCsx 250は、物理的に回路構成を持つ素子ではなく、スタイラスペン100の導電性チップがセンサーパネル201に接する時、接する部位で静電容量カップリングされて発生する仮想の素子である。」
オ 「【0066】図7Bのスタイラスペン構造を参照すると、スタイラスペン100内部の1次コイルL1 120は、スタイラスペン100の軸方向に配置されている磁気コア(magnetic core)135に巻き付けられている。スタイラスペン100の軸方向は、ペンの長さ方向に該当し、X、Y、Z座標系のZ軸に相当する。【0067】また、スタイラスペン100のスタイラスボディー150は、1次コイルL1 120、共振キャパシタC1 110及び磁気コア135を内部に含んでおり、導電性チップ101の一部が突出する孔を有している。ここで、導電性チップ101は、スタイラスボディー150から絶縁されており、そのために、孔の周囲には導電性チップ101を囲む形態の絶縁緩衝部をさらに備えればよい。そして、スタイラスボディー150は、上記のスタイラス接地部500と接続しているのが好ましい。こうすると、1次コイルL1 120の一端は導電性チップ101に、他端はスタイラスボディー150のグラウンド端子125に接続される。」
(2)引用発明
上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「内部に、一つの1次コイルL1 120、1次コイルL1 120と並列接続された共振キャパシタC1 110、及び1次コイルL1 120に連結された導電性チップ(Conductive tip)101が設けられているスタイラスペン100において、並列接続された1次コイルL1 120と共振キャパシタC1の一端は導電性チップ101に連結されており、他端は、スタイラスの非伝導性物質からなるスタイラスボディー150に連結されて接地されており、1次コイルL1 120は、スタイラスペン100の軸方向に配置されている磁気コア(magnetic core)135に巻き付けられており、スタイラスペン100のスタイラスボディー150は、1次コイルL1 120、共振キャパシタC1 110及び磁気コア135を内部に含んでおり、導電性チップ101の一部が突出する孔を有しており、スタイラスペン100内部の1次コイルL1 120と共振キャパシタC1 110は、センサーパネルの交差された第1、第2チャネル(Tx/Rx)により構成されたタッチセンサー200から、キャパシティブカップリングされて形成されたセンシングキャパシタCsx 250を介して入力される信号の周波数と電磁気共振が発生するよう、適切な値を持つように構成されている、スタイラスペン100。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【図3】[図:0001411093000003.jpg]」
イ 「更に、図3あるいは図4に示すように、コイルの中心部(各回路面の中心部を貫通する位置)に鉄、ニッケルなどの単体あるいは合金あるいはその化合物などよりなる磁性体を主成分とした棒状の芯構造4を持たせることにより、より一層強力なィンダク夕ンスが得られる多層コイルとなる。」(公報第10頁1-4行)
3 引用文献3について
(1)引用文献3記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、基板上に面実装されてパワーチョークコイルやパワーインダクタ等として用いられる巻線部品に関するものである。【背景技術】【0002】従来の巻線部品の一種として、表面電気抵抗の高いニッケル系のフェライトによって形成された棒状のコアの外周に、コイルを巻回した構造のパワーチョークコイルが多用されている。このようなパワーチョークコイルを基板上に面実装する場合には、一般的に、上記コイルの巻線をコアの外周に接着剤等で固定することによって、両端部の端子を基板に対して位置決めする構造が採用されている。」
4 引用文献4について
(1)引用文献4記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
ア 「[図:0001411093000004.jpg]」
イ 「第4図は本考案の第1実施例の巻線構造を示す。磁心は第1図の如き口の字状の閉磁路磁心であり、巻線部分は直線で断面が略円形となっている。この場合、巻線は一層目と二層目とを原則として交互に行う。すなわち、丸1(当審注:丸囲い数字を「丸数字」と表記する。以下同様)、丸2の如く一層目を施し、二層目の丸3を巻き、一層目の丸4を巻き、ついで二層目の丸5を巻き、以後これを繰返す。このとき、二層目は一層目に対し線径の1/2だけずれて位置している。」(公報第4頁2-10行)
5 引用文献5について
(1)引用文献5記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。
ア 「【図4】[図:0001411093000005.jpg]」
イ 「【0030】図4は、図3に示すIV-IV線における断面図であり、コイル線30の延びる方向に対して垂直な方向で断面視した断面図である。この図4において、送電コイル12は、中心軸O1の周囲を取り囲むように形成されており、送電コイル12は、外周環状コア27上に配置された下層コイル部34と、この下層コイル部34上に配置された上層コイル部35とを含む。【0031】送電コイル12の端部36に接続線31が接続されており、送電コイル12の他方の端部37に接続線32が接続されている。【0032】送電コイル12は、端部36から端部37に向かって巻き数が増えるにつれて、中心軸O1に近づくようにコイル線30を巻回して形成されている。そして、送電コイル12は、端部36から端部37に向かうにつれて、下層コイル部34と上層コイル部35とを交互に移動するように巻回されている。」
6 引用文献6について
(1)引用文献6記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、次の事項が記載されている。
ア 「【0054】図6に示すコイル部20を形成するワイヤ22としては、特に限定されず、たとえばリッツ線、USTC線、ウレタンワイヤなどが用いられる。特に、リッツ線などの撚り線を用いることで、高周波におけるQ特性などが向上し、電子ペン用コイル装置として特に好ましい。」
7 引用文献7について
(1)引用文献7記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、次の事項が記載されている。
ア 「【0014】本実施例のコイル1は、フェライトコア2の周囲に巻回される導線3(後述する図7参照)を特殊な編み上げ方によって形成したものであり、巻き付ける工程については後述する。コイル1とフェライトコア2は、ペン先部10aの近くに配置されている。ペン軸10bは、その先端側には芯体11が挿通される透孔が形成される。コイル1は、芯体11を摺動自在に挿通し得る透孔が形成されたフェライトコア2上にリッツ線を巻き回して構成され、ペン軸10bの先端側に配置されている。」
8 引用文献8について
(1)引用文献8記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8には、次の事項が記載されている。
ア 「【0011】本考案に係る位置指示器では、前記作動ユニットは更に、前記軸線方向に沿って延びるように前記チャンバー内に取り付けられ、前記受信コイル及び前記送信コイルが巻きつけられるボビンを有し、前記コアが前記ボビンに貫通して設けられることを特徴とする。」
9 引用文献9について
(1)引用文献9記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9には、次の事項が記載されている。
ア 「【図9】[図:0001411093000006.jpg]」
イ 「【0076】図9は、コードレスペン9の他の好ましい構成を示している。コードレスペン9は、先に説明した構成要素と同じ以下の構成要素、すなわち、ハウジング28と、インダクタ30およびコンデンサ32を備える共振回路34と、導電チップ36とを備えている。この構成において、ハウジング28は、絶縁プラスチックによって形成されている。コードレスペン9は結合コイル31を備えている。この結合コイル31は、コードレスペン9のほぼ全長にわたってハウジング28の内面に近接して配置されており、それにより、共振回路34を取り囲んでいる(あるいは、結合コイル31は、ハウジング28の外周に配置されていても良い)。結合コイル31は、共振回路34の第1の側に接続されている。導電チップ36は、共振回路34の第2の側に接続されている。結合コイルは、共振回路34によって供給された交流電流をユーザの手10に対して静電結合するのに役立つ。ハウジング28のプラスチック材料は、結合コイル31とユーザの手10との間に形成されるコンデンサの誘電体に相当する。そのような効果を達成するための好ましい周波数は、例えば100kHzである。コードレスペン9の長さを延ばすことによって、結合コイル31は、ユーザの手10との結合効果を最大にする。結合コイルは、渦電流、したがって、コイル44によって形成される磁場の磁束の吸収を最小限に抑えるように或いは減少させるように配置される。これによって、磁場が共振回路34に達する効率は維持され、あるいは、当該効率が少なくとも著しく低下しない。なお、他の可能性として、結合コイルは、コードレスペン9の長さの一部だけにわたって延在するように配置されても良く、また、例えば共振回路34を取り囲まないように或いは共振回路34に沿って延在しないように配置されても良い。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「スタイラスボディー150」は、本願発明1の「ボディ部」に相当する。
イ 引用発明の「導電性チップ(Conductive tip)101」は、その一部が「スタイラスボディー150」が有する「孔」より「突出する」ものであるから、本願発明1の「前記ボディ部内で外部に露出している伝導性チップ」に相当する。
ウ 引用発明の「磁気コア(magnetic core)135」は、「スタイラスペン100の軸方向に配置されて」おり、「スタイラスボディー150」内に位置することは明らかであるから、引用発明の「磁気コア135」と、本願発明1の「前記ボディ部内に位置するフェライトコア」とは、後記の点で相違するものの、「前記ボディ部内に位置するコア」の点では共通する。
そして、引用発明の「1次コイルL1 120」は、「導電性チップ101」に「連結されて」おり、また、「磁気コア(magnetic core)135に巻き付けられて」いるものである。
してみると、引用発明の「磁気コア135」及び「1次コイルL1 120」と、本願発明1の「前記ボディ部内に位置するフェライトコアおよび前記伝導性チップに連結されており、前記フェライトコアの少なくとも一部上に多層に巻線されているコイルを含むインダクタ部」とは、後記の点で相違するものの、「前記ボディ部内に位置するコアおよび前記伝導性チップに連結されており、前記コアの少なくとも一部上に多層に巻線されているコイルを含むインダクタ部」の点では共通する。
エ 引用発明の「共振キャパシタC1 110」は、「スタイラスボディー150」「内部に含」まれ、「1次コイルL1 120と並列接続され」るものであって、また、引用発明では「1次コイルL1 120と共振キャパシタC1 110は、センサーパネルの交差された第1、第2チャネル(Tx/Rx)により構成されたタッチセンサー200から、キャパシティブカップリングされて形成されたセンシングキャパシタCsx 250を介して入力される信号の周波数と電磁気共振が発生するよう、適切な値を持つように構成され」るものである。
してみると、引用発明の「共振キャパシタC1 110」は、「共振キャパシタC1 110」内に位置し、「1次コイルL1 120」に電気的に接続されて共振回路を形成しているといえる。
したがって、引用発明の「共振キャパシタC1 110」は、上記ウの点も踏まえると、本願発明1の「前記ボディ部内に位置し、前記インダクタ部に電気的に接続されて共振回路を形成するキャパシタ部」に相当する。
オ 引用発明の「スタイラスペン100」は、「スタイラスボディー150」、「導電性チップ101」、「磁気コア135」及び「1次コイルL1 120」、「共振キャパシタC1 110」を含むものであるから、本願発明1の「スタイラスペン」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「ボディ部、前記ボディ部内で外部に露出している伝導性チップ、前記ボディ部内に位置するコアおよび前記伝導性チップに連結されており、前記コアの少なくとも一部上に巻線されているコイルを含むインダクタ部、そして前記ボディ部内に位置し、前記インダクタ部に電気的に接続されて共振回路を形成するキャパシタ部を含む、スタイラスペン。」
〈相違点1〉
「コア」が、本願発明1では、「フェライトコア」であって、また、「前記フェライトコアの誘電率が1000F/m以下であ」るのに対して、引用発明では、「磁気コア135」はフェライトとは特定されておらず、また、誘電率も特定されていない点。
〈相違点2〉
「コイル」が、本願発明1では、「多層に巻線され」、さらに、「隣接する巻線層が交互に位置するように巻線され」るのものであるに対して、引用発明では、「1次コイルL1 120」がどのように「磁気コア135」に巻線されるか特定されていない点。
〈相違点3〉
「コイル」が、本願発明1では、「二つ以上の絶縁電線を囲むワイヤーである」のに対して、本願発明1では、「1次コイルL1 120」についてその旨の特定がされていない点
(2)相違点についての判断
まず、相違点1について検討する。
ここで、本願発明1の「誘電率が1000F/m以下」の「フェライトコアとして、本願の明細書の段落【0078】―【0094】には「比較実験4(コア材質別特性値の比較)」には、フェライトコアの材質として「ニッケル」を用いた実施例が記載されている。
そして、引用文献2には、多層コイルにおいて、コイルの中心部に鉄、ニッケルなどの単体あるいは合金あるいはその化合物などよりなる磁性体を主成分とした棒状の芯構造(コア)を持たせることにより、より一層強力なィンダク夕ンスが得られることが記載され、また、引用文献3には、基板上に面実装されるパワーチョークコイルとして、表面電気抵抗の高いニッケル系のフェライトによって形成された棒状のコアの外周に、コイルを巻回した構造とすることが記載されており、コイルのコアとしてニッケル系のフェライトを用いることは周知の技術であった認められる。
しかしながら、フェライトの材質としては、ニッケル以外にもマンガン、コバルト、銅、亜鉛など様々なものが知られており、どのような材質のものを選択するかは、コイルが用いられる用途等に応じて選択されるものと認められるが、引用文献2のものは多層コイルに用いるものであって、また、引用文献3のものはパワーチョークコイルに用いるものであって、スタイラスペンのコイルに用いるものではない。したがって、スタイラスペンのコイルのコアとして、ニッケルのフェライトコア用いることが周知の技術であったとは認められず、また、スタイラスペンのコイルのコアとして、誘電率が1000F/m以下のフェライトコアを用いることが周知の技術であったとも認められない。
また、引用文献4―9にも、スタイラスペンのコイルのコアとして、誘電率が1000F/m以下のフェライトコアを用いることは記載されていない。
したがって、本願発明1は、相違点2、3について検討するまでもなく、当業者であっても引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-9について
本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明であり、相違点1に係る発明特定事項を含むことから、本願発明2-9は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明10について
本願発明10は、概ね、本願発明1の「スタイラスペン」に、本願発明2及び本願発明3の構成を付加したものであり、相違点1に係る発明特定事項を含むことから、本願発明10は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明11-17について
本願発明11-17は、本願発明10を減縮した発明であり、相違点1に係る発明特定事項を含むことから、本願発明11-17は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
審判請求時の補正により、本願発明1ないし17は上記第3に示したとおりのものとなっているから、本願発明1ないし17は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-9に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1(進歩性)を維持することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-011905