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特許拒絶査定不服審判

2023-011491

発光装置並びにその製造方法及び該発光装置を備えるディスプレイパネル及び照明器具

審判番号
2023-011491
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-532393
請求日
2023年07月07日
審決日
2024年10月21日
公報発行日
2024年11月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】泉州三安半導体科技有限公司
  • 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 波多江 進
  • 審判官 齋藤 卓司
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-532393「発光装置並びにその製造方法及び該発光装置を備えるディスプレイパネル及び照明器具」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月18日国際公開、WO2021/027405、令和 4年10月13日国内公表、特表2022-543509、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)6月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年8月12日、中国。以下、この日を「優先日」という。)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 4年10月12日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 1月18日 :意見書・手続補正書の提出 同年 4月 3日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同年 7月 7日 :審判請求書・手続補正書の提出 同年 9月29日付け:前置報告書 同年11月20日 :上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年4月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1~24に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1~4及び必要に応じて引用文献5に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2016/190207号 2.特開2017-117973号公報 3.特開2005-175417号公報(周知技術を示す文献) 4.米国特許出願公開第2019/0237593号明細書 5.中国特許出願公開第102543981号明細書 第3 本願発明 本願請求項1~24に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明24」という。)は、令和5年7月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定される発明であり、その請求項1~24の記載は以下のとおりである。 「【請求項1】 互いに間隔を空けてそれぞれの波長の光を射出するように配置された少なくとも3つのLEDチップであって、それぞれが、互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有する少なくとも3つのLEDチップと、 前記少なくとも3つのLEDチップの側面を覆っていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの間の隙間に充填されているパッケージ層と、 前記少なくとも3つのLEDチップの第1の表面の上方に設けられていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの発光領域を覆っているレンズと、 を備え、 前記パッケージ層の上表面において、前記パッケージ層の幾何中心を円心として前記少なくとも3つのLEDチップを囲むことができる最小の円に囲まれた領域を発光領域とすると、前記発光領域の直径(D)は1mm以下であり、 前記レンズと前記パッケージ層との連接面が略楕円であり、該楕円の短軸長さ(a)の長軸長さ(b)との比(a/b)が0.4~0.9であり、該短軸長さ(a)は前記発光領域の直径(D)の1.5倍以上であり、前記レンズの半楕円球体の高さ(h)が該短軸長さ(a)の半分より大きい、 発光装置。 【請求項2】 前記パッケージ層の光射出出力が総発光出力の30%より低いことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項3】 前記パッケージ層は透過率が20%以下の有色シリコーンまたはシリコン樹脂が充填されたものであることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。 【請求項4】 前記レンズは半扁球体であり、前記レンズと前記パッケージ層との連接箇所において形成される略楕円面は、短軸方向に対応する半値角をα、長軸方向に対応する半値角をβとすると、α<βであり、20°<α<70°であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項5】 前記レンズ側から前記LEDチップ側に向かって俯瞰した際に、前記発光領域の幾何中心と前記レンズの光軸とが重なることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項6】 前記レンズはシリコーンまたは樹脂の射出成形品であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項7】 前記少なくとも3つのLEDチップのサイズが380μm×380μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項8】 前記少なくとも3つのLEDチップ同士の間隔が50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項9】 前記発光アセンブリは前記LEDチップを搭載するためのパッケージ基板を備えず、前記LEDチップは前記パッケージ層により位置が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項10】 前記パッケージ層の下部にキャリア基板が設けられており、前記キャリア基板は下面に電極が露出していて、前記発光装置の回路層は前記キャリア基板の上側にある前記パッケージ層内に設けられていて、前記電極と前記回路層を繋ぐリード線は前記キャリア基板にあるスルーホールを通っていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項11】 前記少なくとも3つのLEDチップの上方に散乱混光層が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項12】 前記散乱混光層は散乱粒子が透光性シリコーンまたは樹脂内に均一に分布された硬化成形品であることを特徴とする請求項11に記載の発光装置。 【請求項13】 LEDチップを3つだけ備え、且つそれらは赤色光チップ、緑色光チップ、青色光チップであることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項14】 3つの前記LEDチップは、「品」字状または「一」字状に配列されていることを特徴とする請求項13に記載の発光装置。 【請求項15】 前記少なくとも3つのLEDチップのカソードまたはアノードはカソードコモンまたはアノードコモンを介して引き出されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項16】 前記発光装置の前記第1の表面とは反対する側には露出した電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項17】 前記電極は溶接可能なSMT電極であることを特徴とする請求項16に記載の発光装置。 【請求項18】 前記発光アセンブリの回路層は前記少なくとも3つのLEDチップの第2の表面側にある前記パッケージ層内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 【請求項19】 電気接続ユニットと、筐体と、前記筐体に装着されているパネル体とを備えるディスプレイパネルであって、更に請求項1~18のいずれか一項に記載の発光装置がピクセルとして前記パネル体に装着されていることを特徴とするディスプレイパネル。 【請求項20】 支持体と発光アセンブリとを備え、前記発光アセンブリが前記支持体に装着されている照明器具であって、前記発光アセンブリが請求項1~18のいずれか一項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明器具。 【請求項21】 (1)少なくとも3つのLEDチップを用意し、前記LEDチップは互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有し、前記第2の表面に一対の電極が配置されているLEDチップであって、前記少なくとも3つのLEDチップを、互いに間隔を空け且つそれぞれの前記第2の表面が同一の平面上にあるように上向きに設けられるよう、テープに粘着するステップと、 (2)パッケージ層を、前記少なくとも3つのLEDチップの間の隙間に充填されるように且つ全ての前記LEDチップの側面を覆う一方で全ての前記LEDチップの電極のある面を露出するように形成し、前記パッケージ層の上表面において、前記パッケージ層の幾何中心を円心として前記少なくとも3つのLEDチップを囲むことができる最小の円に囲まれた領域を発光領域とすると、前記発光領域の直径(D)は1mm以下であるステップと、 (3)前記少なくとも3つのLEDチップの電極のある面に、該電極と接続するように回路層を形成するステップと、 (4)前記回路層上に絶縁層を設けると共に、前記回路層の電極リード端を露出させるステップと、 (5)前記テープを取り除くステップと、 (6)前記LEDチップの出光面にレンズを作成し、前記レンズと前記パッケージ層との連接面が略楕円であり、該楕円の短軸長さ(a)の長軸長さ(b)との比(a/b)が0.4~0.9であり、該短軸長さ(a)は前記発光領域の直径(D)の1.5倍以上であり、前記レンズの半楕円球体の高さ(h)が該短軸長さ(a)の半分より大きい、ステップと、 を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。 【請求項22】 ステップ(5)とステップ(6)の間に、前記複数のチップの上部に散乱混光層を作成するステップを更に含むことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。 【請求項23】 前記パッケージ層は透過率が20%以下の有色シリコーンまたはシリコン樹脂の硬化成形品であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。 【請求項24】 前記レンズはシリコーンまたは樹脂の射出成形品であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。」 第4 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2016/190207号)には、次の記載がある(下線は当審が付した。)。 「[0001] 本発明は、LEDデバイス、LEDモジュール及び紫外線発光装置に関する。 本願は、2015年5月28日に、日本に出願された特願2015-108615号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。」 「[0017] 図1A~図1E及び図2A~図2Dは、それぞれ本発明の一実施形態であるLEDデバイス及びその変形例を示す断面図である。 図1Aに示すように、本発明の一実施形態であるLEDデバイス100aは、基板110と、基板110上に配置されたLED素子120と、LED素子120からの出射光の全部又は一部が透過する位置(即ち、LED素子120の光射出面121(側面も光出射面である)を覆う位置)に配置された無機ガラス成形体130と、基板110に接して設けられ、基板110と無機ガラス成形体130とを接着する第1の接着部140と、前記LED素子120と前記無機ガラス成形体130との間に設けられた第2の接着部150と、を備え、LED素子120は基板110と無機ガラス成形体130と第1の接着部140とによって外気から遮断されており、LED素子120と無機ガラス成形体130との間の距離d(即ち、第2の接着部150の厚さ方向の最短距離)は0mm超、0.1mm以下である。 LED素子120は、通常、銀ペーストやシリコーンダイボンド材等で基材110に接着固定されている。 また、第1の接着部140とLED素子120との間の距離は、0mm以上、0.5mm以下が好ましく、0mm以上、0.1mm以下がより好ましい。 第2の接着部は、LED素子の基板と接する側と反対側の面上の、全部に充填されてもよいし、一部に充填されてもよい。第2の接着部がLED素子表面を覆う面積としては、LED素子表面の面積に対して、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。第2の接着部がLED素子表面を覆う面積をこの範囲内とすることで、LED素子と無機ガラス成形体とがより密着されることになる。 [0018] ここで、LED素子120と無機ガラス成形体130との間の距離が一定でない場合には、LED素子120と無機ガラス成形体130との間の最も長い距離(最大距離)を距離dとすればよい。」 「[0028] 本発明の一実施形態であるLEDデバイスは、LED素子を複数備えていてもよい。図3Aは、本発明の一実施形態であるLEDデバイスの一例を示す断面図である。図3Aに示すように、LEDデバイス200aは、基板110と、基板110上に配置された複数のLED素子120a、120b及び120cと、LED素子120a、120b及び120cそれぞれからの出射光の全部又は一部が透過する位置に配置された無機ガラス成形体130と、を備え、基板110と無機ガラス成形体130とは接着部140によって接着されており、LED素子120a、120b及び120cは、それぞれ基板110と無機ガラス成形体130と接着部140とによって外気から遮断されており、LED素子120a、120b及び120cと無機ガラス成形体130との間には第2の接着部150が存在している。LED素子120a、120b及び120cのそれぞれと無機ガラス成形体130との間の距離dは0mm超、0.1mm以下である。 即ち、本発明のLEDデバイスのさらに別の側面は、 基板と、前記基板上に配置された複数のLED素子と、前記複数のLED素子それぞれからの出射光の全部又は一部が透過する位置に配置された無機ガラス成形体と、前記基板と前記無機ガラス成形体とを接着する第1の接着部と、前記複数のLED素子と前記無機ガラス成形体との間に設けられた第2の接着部と、を備え、 前記複数のLED素子は前記基板と前記無機ガラス成形体と前記第1の接着部とによって外気から遮断されており、 前記複数のLED素子のそれぞれと前記無機ガラス成形体との間の距離が0mm超、0.1mm以下である、LEDデバイスである。」 「[0036][LED素子] LED素子120としては、一般的にLED素子として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、青色LED(Light Emitting Diode)、赤色LED、緑色LED、白色LED、紫外線LED等が挙げられる。なお、本明細書において、「紫外線」とは200nm以上、400nm以下の波長の光を意味する。これらのLEDは、例えば、サファイアや窒化アルミニウム等の上にAlInGaP、InGaN、AlGaN等のIII-V族半導体をMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition法)やHVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy法)により成長させて製造される。光は基板に対向する面のみでなく、その面に対して側面と定義される面からも出射する。 本発明の1つの側面は、LED素子がピーク波長200nm以上、400nm以下の出射光を有する。ここで、「ピーク波長」とは、LED素子の出射光のうち最も発光強度が高い波長を意味する。 ・・・(中略)・・・ [0039] LED素子120は、一つの基板110上に少なくとも1個設置される。LED素子120の設置には、LED素子120の光射出面121の反対側の面に設けられた電極と基板110に設けられた電極とを電気的に接続するフリップチップ方式又はLED素子120の光射出面121に設けられた電極と基板110に設けられた電極とを電気的に接続するフェイスアップ方式が用いられる。フリップチップ方式の場合は半田によりLED素子120の電極と基板110上の電極とが電気的に接続される。フェイスアップ方式では金等のワイヤー配線を用いてLED素子120の電極と基板110上の電極とが電気的に接続される。LED素子120上部の空間的自由度が高い観点から、本発明の一実施形態であるLEDデバイスにおいては、LED素子120がフリップチップ方式で実装されることが好ましい。 LED素子の大きさは、0.1~5.0mmであることが好ましく、0.1~3.0mmであることがより好ましく、0.1~2.0mmであることがさらに好ましい。LED素子の大きさをこの範囲内とすることで、LEDデバイスの作製が容易となる。 LEDデバイスの大きさは0.5~30.0mmであることが好ましい。LEDデバイスの大きさをこの範囲内とすることで、LEDデバイスをモジュール化する際の集積化が容易となる。 [0040][樹脂] 本発明の一実施形態であるLEDデバイスにおいて、接着部の形成材料としては、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。なかでも、封止の簡便性の観点から硬化性樹脂であることが好ましく、耐熱性・耐光性に優れることからシリコーン樹脂であることがより好ましい。 即ち、前記第1の接着部及び第2の接着部としては、それぞれフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましく、シリコーン樹脂の硬化物を含むことがより好ましい。」 「[0064](無機ガラス成形体の形状) 本発明の一実施形態であるLEDデバイスにおいて、無機ガラス成形体の形状は、LED素子からの出射光の全部又は一部を透過させることができ、基板と無機ガラス成形体と接着部とによってLED素子を外気から遮断することができる限り特に制限されないが、LED素子に対向する面が平板であるか、又は凸面であることが好ましい。例えば、図1A~図1C及び図1Eに示す無機ガラス成形体130のような半球のレンズ形状を有していてもよく、例えば、図1Dに示す無機ガラス成形体130のような板状であってもよい。無機ガラス成形体の形状としては、上述したほかにも、例えば、円錐台状、円柱状、半楕円球状等の形状が挙げられる。あるいは、図2A~図2Dに示す無機ガラス成形体130のような、LED素子の側面の少なくとも一部を覆う凸部131を有する形状であってもよい。」 「[図1A] [図:0001416019000001.jpg] 」 「[図3A] [図:0001416019000002.jpg] 」 (2)引用文献1から読み取れる事項 ア 図3Aから、LED素子120a、120b及び120cは、互いに間隔を空けて光を射出するように配置され、光射出面と、光射出面の反対側の面と、光射出面と光射出面の反対側の面を繋ぐ側面を有することが見て取れる。 イ 図3Aから、第1の接着部140は、LED素子120a、120b及び120cの側面間の隙間に充填されることが見て取れる。 ウ 図3Aから、無機ガラス成形体130は、LED素子120a、120b及び120cの光射出面の上方に設けられることが見て取れる。 (3)引用発明の認定 上記(1)及び(2)によれば、引用文献1には、図3Aで示されるLEDデバイスについて、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。)。 「LEDデバイスであって、([0001]) LEDデバイス200aは、基板110と、基板110上に配置された複数のLED素子120a、120b及び120cと、LED素子120a、120b及び120cそれぞれからの出射光の全部又は一部が透過する位置(即ち、LED素子の光射出面を覆う位置([0017]))に配置された無機ガラス成形体130と、を備え、基板110と無機ガラス成形体130とは第1の接着部140によって接着されており、LED素子120a、120b及び120cと無機ガラス成形体130との間には第2の接着部150が存在しており、([0028]) LED素子120a、120b及び120cは、互いに間隔を空けて光を射出するように配置され、光射出面と、光射出面の反対側の面と、光射出面と光射出面の反対側の面を繋ぐ側面を有し、(上記(2)ア) 第1の接着部140は、LED素子120a、120b及び120cの側面間の隙間に充填され、(上記(2)イ) 無機ガラス成形体130は、LED素子120a、120b及び120cの光射出面の上方に設けられ、(上記(2)ウ) LED素子120としては、青色LED、赤色LED、緑色LED、白色LED、紫外線LED等が挙げられ、([0036]) LED素子の大きさは、0.1~2.0mmであることが好ましく、LEDデバイスの大きさは0.5~30.0mmであることが好ましく、([0039]) 第1の接着部及び第2の接着部としては、それぞれフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましく、([0040]) 無機ガラス成形体の形状としては、円錐台状、円柱状、半楕円球状等の形状が挙げられる、([0064]) LEDデバイス。」 2 引用文献3、4について (1)引用文献3に記載された技術的事項の認定 原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開2005-175417号公報)には、図1で示される実施形態について、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「発光素子2としてLEDを用いた発光素子アレイにおいて、(【0044】) 発光素子アレイ5は、複数の発光素子2と、各々の発光素子2に1対1に対応して、発光素子2上に形成されたマイクロレンズ4とからなり、(【0044】) マイクロレンズ4は球体を平面で二分することによって得られる半球状をなしていて、円形の平坦面が発光素子2の表面上に密着した状態で形成されており、(【0044】) LEDからなる発光素子2から放出された光束はマイクロレンズ4の面で屈折されるため、発光素子2から放出される光束の発散角は狭められ、(【0045】) 発光素子2の発光部は略矩形状をなしており、矩形の少なくとも短い方の1辺よりはマイクロレンズ4の直径を大きくすることで、発光素子2の矩形状発光部の、短い方の1辺の方向に対しては、発光素子2から放出される光束の発散角を狭くする効果が現れること。(【0047】)」 (2)引用文献4に記載された技術的事項の認定 ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(米国特許出願公開第2019/0237593号明細書)から、次の事項が読み取れる。 図9から、光学素子160は印刷回路基板110との接触面が楕円であること。 イ 上記アによれば、引用文献4には、図9で示される実施形態について、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「放出半導体チップ121であるエミッタ121は、印刷回路基板110上に配置されており、([0115]) エミッタ121は、LEDチップであり、([0116]) ビームを成形するための放射線透過性の光学素子160が、半導体素子121を備えた印刷回路基板110上に設けられ、([0136]) 放射線透過性の光学素子160は、レンズ曲面を有するレンズで構成されており、このような光学素子160は、半導体チップ121に設けられており、異なる半導体チップ121に配置された光学素子160は、それに対応した異なる横方向寸法及び形状をしており、([0137]) 光学素子160は印刷回路基板110との接触面が楕円であること。(上記ア)」 3 その他の文献について 前置報告書において引用された引用文献6(国際公開第2019/037094号)には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 「LEDパッケージは、単一の楕円形のキャビティを有し、キャビティは、パッケージの発光が、円形キャビティと半球状レンズを有するLEDパッケージに比較して、LEDパッケージの軸又は中心線に沿って広角又は広ピッチの発光となるような楕円形レンズを有することができること。([0083])」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 ア 本願発明の「互いに間隔を空けてそれぞれの波長の光を射出するように配置された少なくとも3つのLEDチップであって、それぞれが、互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有する少なくとも3つのLEDチップと、」との特定事項について (ア)引用発明の「LED素子120a、120b及び120c」は、本願発明の「3つのLEDチップ」に相当する。 (イ)そして、当該「LED素子120a、120b及び120c」は、「光射出面と、光射出面の反対側の面と、光射出面と光射出面の反対側の面を繋ぐ側面を有」することから、当該「LED素子120a、120b及び120c」は、本願発明でいう「互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有する」ものであるといえる。 (ウ)したがって、本願発明と引用発明は、「互いに間隔を空けて光を射出するように配置された少なくとも3つのLEDチップであって、それぞれが、互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有する少なくとも3つのLEDチップ」である点で共通する。 (エ)しかしながら、3つのLEDチップから射出される光の「波長」について、本願発明は、「それぞれの波長」であるのに対し、引用発明は、LED素子として青色LED、赤色LED、緑色LED等が挙げられるところ、LED素子120a、120b及び120cから射出されるそれぞれの光の波長は不明である。 イ 本願発明の「前記少なくとも3つのLEDチップの側面を覆っていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの間の隙間に充填されているパッケージ層と、」との特定事項について (ア)引用発明の「第1の接着部140」は、「LED素子120a、120b及び120cの側面間の隙間に充填され」るものであるところ、本願発明でいう「少なくとも3つのLEDチップの側面を覆っていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの間の隙間に充填されている」ものであるといえることから、当該「第1の接着部140」は、本願発明の「パッケージ層」に相当する。 (イ)したがって、引用発明は本願発明の上記特定事項を満たしている。 ウ 本願発明の「前記少なくとも3つのLEDチップの第1の表面の上方に設けられていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの発光領域を覆っているレンズと、」との特定事項について (ア)引用発明の「無機ガラス成形体130」は、「LED素子120a、120b及び120cの光射出面の上方に設けられ」、「LED素子120a、120b及び120cそれぞれからの出射光の全部又は一部が透過する位置(即ち、LED素子の光射出面を覆う位置)に配置され」るものであるところ、本願発明でいう「少なくとも3つのLEDチップの第1の表面の上方に設けられていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの発光領域を覆っている」ものといえ、「無機ガラス成形体の形状としては、円錐台状、円柱状、半楕円球状等の形状が挙げられる」ことから、当該「無機ガラス成形体130」は、本願発明の「レンズ」に相当する。 (イ)したがって、引用発明は本願発明の上記特定事項を満たしている。 エ 本願発明の「前記パッケージ層の上表面において、前記パッケージ層の幾何中心を円心として前記少なくとも3つのLEDチップを囲むことができる最小の円に囲まれた領域を発光領域とすると、前記発光領域の直径(D)は1mm以下であり、」との特定事項について 引用発明は、「LED素子の大きさは、0.1~2.0mmであることが好ましく、LEDデバイスの大きさは0.5~30.0mmであることが好まし」いものであるところ、引用文献1にはLED素子120a、120b及び120cの発光領域が記載されておらず、LED素子120a、120b及び120cによる発光領域の直径が不明である。 オ 本願発明の「前記レンズと前記パッケージ層との連接面が略楕円であり、該楕円の短軸長さ(a)の長軸長さ(b)との比(a/b)が0.4~0.9であり、該短軸長さ(a)は前記発光領域の直径(D)の1.5倍以上であり、」との特定事項について (ア)引用発明は、「基板110と無機ガラス成形体130とは第1の接着部140によって接着され」るものであり、「無機ガラス成形体の形状として」「半楕円球状」「の形状が挙げられる」ものであるから、無機ガラス成形体130と第1の接着部140との接触面の形状は楕円である。したがって、本願発明と引用発明は、「前記レンズと前記パッケージ層との連接面が略楕円であ[る]」点で共通する。 (イ)しかしながら、楕円の形状について、本願発明は、「該楕円の短軸長さ(a)の長軸長さ(b)との比(a/b)が0.4~0.9であり、該短軸長さ(a)は前記発光領域の直径(D)の1.5倍以上であ[る]」のに対して、引用発明は、楕円の形状が不明である。 カ 本願発明の「前記レンズの半楕円球体の高さ(h)が該短軸長さ(a)の半分より大きい、」との特定事項について 引用発明は、「無機ガラス成形体の形状として」「半楕円球状」「の形状が挙げられる」ものであるところ、引用文献1には半楕円球状の高さが記載されておらず、半楕円球状の高さと無機ガラス成形体130の第1の接着部140に接触される面における短軸の長さとの関係が不明である。 キ 本願発明の「発光装置」との特定事項について (ア)引用発明の「LEDデバイス」は、「LED素子120a、120b及び120c」が「光を射出する」ものであることから、本願発明の「発光装置」に相当する。 (イ)したがって、引用発明は本願発明の上記特定事項を満たしている。 以上によれば、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点があるといえる。 <一致点> 「互いに間隔を空けて光を射出するように配置された少なくとも3つのLEDチップであって、それぞれが、互いに反対する第1の表面と第2の表面、及び前記第1の表面と前記第2の表面との間に連接している側面を有する少なくとも3つのLEDチップと、 前記少なくとも3つのLEDチップの側面を覆っていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの間の隙間に充填されているパッケージ層と、 前記少なくとも3つのLEDチップの第1の表面の上方に設けられていると共に前記少なくとも3つのLEDチップの発光領域を覆っているレンズと、 を備え、 前記レンズと前記パッケージ層との連接面が略楕円である、 発光装置。」 <相違点1> 3つのLEDチップから射出される光の「波長」について、本願発明は、「それぞれの波長」であるのに対し、引用発明は、LED素子として青色LED、赤色LED、緑色LED等が挙げられるところ、LED素子120a、120b及び120cから射出されるそれぞれの光の波長は不明である点。 <相違点2> 3つのLEDチップの「発光領域の直径」について、本願発明は、「直径(D)は1mm以下であ」るのに対し、引用発明は、LED素子の大きさは、0.1~2.0mmであることが好ましく、LEDデバイスの大きさは0.5~30.0mmであることが好ましいところ、LED素子120a、120b及び120cによる発光領域の直径が不明である点。 <相違点3> レンズとパッケージ層との連接面の楕円について、本願発明は、「該楕円の短軸長さ(a)の長軸長さ(b)との比(a/b)が0.4~0.9であり、該短軸長さ(a)は前記発光領域の直径(D)の1.5倍以上であ」るのに対し、引用発明は、無機ガラス成形体130と第1の接着部140との接触面の楕円の形状が不明である点。 <相違点4> 「レンズの半楕円球体の高さ」について、本願発明は、「楕円の」「短軸長さ(a)の半分より大きい」ものであるのに対し、引用発明は、無機ガラス成形体の形状として半楕円球状が挙げられるところ、半楕円球状の高さと無機ガラス成形体130の第1の接着部140に接触される面における楕円の短軸の長さとの関係が不明である点。 (2)相違点の判断 相違点4について検討すると、本願発明は道路などの非照射領域がLEDによる光害を受けないようにするために、3つのLEDチップの上に設けるレンズの短軸長さに対するレンズの高さの比が、半円球体の当該比よりも大きい(レンズの高さがレンズ径の半分より高い)半楕円球体として、発光装置のレンズの短軸方向の発光角度を狭くするものである。 引用文献3に記載された技術的事項は、「発光素子2から放出される光束の発散角を狭くする」ために、「発光素子2の発光部」の「矩形の少なくとも短い方の1辺よりはマイクロレンズ4の直径を大きくする」ものであるところ、「マイクロレンズ4は半球状をなして」いるものであり、マイクロレンズ4の高さをマイクロレンズ4のレンズ径の半分より高くする構成ではないことから、相違点4に係る本願発明1の構成を有していない。 引用文献4に記載された技術的事項は、「光学素子160は半導体チップ121を載せる層との接触面が楕円である」ものであるところ、光学素子160の高さと当該楕円の短軸との関係が不明であることから、相違点4に係る本願発明1の構成を有していない。 引用文献6に記載された技術的事項は、「平らなベースを有する楕円形状を有するキャビティを有」するものであるところ、レンズの高さとレンズのキャビティとの接触面の短軸の長さとの関係は不明であることから、相違点4に係る本願発明1の構成を有していない。 また、相違点4に係る本願発明1の構成は、原査定で引用された引用文献2、5にも記載されていない。 したがって、引用発明に引用文献2~6に記載された技術的事項を適用したとしても、引用文献2~6には、相違点4に係る本願発明1の構成が記載されていないことから、当業者が相違点4に係る構成に至るものとはいえない。 また、仮に、引用文献6を主引用例としたとしても、引用文献6には相違点4に係る本願発明1の構成が記載されておらず、引用文献1~5にも、相違点4に係る本願発明1の構成が記載されていないことから、当業者が相違点4に係る本願発明1の構成に至るものとはいえない。 したがって、相違点1~3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2~20について 本願発明2~20も、相違点4に係る本願発明1の「レンズの半楕円球体の高さ(h)が」「楕円の」「短軸長さ(a)の半分より大きい」構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明21~24について 本願発明21~24は、本願発明1に対応する製造方法の発明であり、本願発明1の「レンズの半楕円球体の高さ(h)が」「楕円の」「短軸長さ(a)の半分より大きい」構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1~24は、審判請求時の補正により、「レンズの半楕円球体の高さ(h)が」「楕円の」「短軸長さ(a)の半分より大きい」という事項を有するものとなっているところ、前記第5で検討したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~5に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由2(特許法第29条第2項)を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-011491

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