特許拒絶査定不服審判
2023-011258
非差分的な利得値を表現するのに必要とされる最低整数ビット数をHOAデータ・フレーム表現の圧縮のために決定する方法および装置
- 審判番号
- 2023-011258
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-067561
- 請求日
- 2023年07月05日
- 審決日
- 2024年05月10日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ドルビー・インターナショナル・アーベー
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P18 .4 -Z (G10L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法39条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 67561「非差分的な利得値を表現するのに必要とされる最低整数ビット数をHOAデータ・フレーム表現の圧縮のために決定する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月15日出願公開、特開2021-103337〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)6月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年6月27日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願である特願2016-575016号の一部を令和元年7月31日に新たな特許出願とした特願2019-140704号の、さらにその一部を令和3年4月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和3年 4月13日 :上申書
令和4年 4月28日付け:拒絶理由通知書
同年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月 2日付け:拒絶査定
同年 7月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 9月21日 :前置報告書
令和6年 3月13日 :上申書
2 本願発明について
本願の請求項1~3に係る発明は、令和5年7月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
〔本願発明〕
音または音場の圧縮された高次アンビソニックス(HOA)音表現をデコードする方法であって: 前記圧縮されたHOA音表現を含むビットストリームを受領する段階であって、前記ビットストリームは前記圧縮されたHOA表現に対応するO個のHOA係数を含む、段階と; 最低の整数数βeに基づいて前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階であって、前記最低の整数数βeは 【数1】
[図:0001414842000001.jpg]
に基づいて決定され、Nは次数であり、O=(N+1)2である、段階とを含む、方法。
3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概ね次のとおりである。
(同日出願)この出願の下記の請求項に係る発明は、同日出願された特願2019-140704号(特許第6869296号)に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
4 同日発明
原査定の拒絶の理由に引用された出願であり、本願の出願日(平成27年6月22日)に出願された特願2019-140704号(以下「同日出願」という。)は、令和3年4月15日に特許第6869296号として設定登録されたものであって、その請求項1に係る発明(以下「同日発明」という。)は、次のとおりのものである。
〔同日発明〕
音または音場の圧縮された高次アンビソニックス(HOA)音表現をデコードする方法であって:
前記圧縮されたHOA表現を含むビットストリームを受領する段階であって、前記ビットストリームは前記圧縮されたHOA表現に対応するいくつかのHOA係数を含む、段階と;
最低の整数数βeに基づいて前記圧縮されたHOA表現をデコードする段階であって、前記最低の整数数βeは
【数1】
[図:0001414842000002.jpg]
に基づいて決定され、
【数2】
[図:0001414842000003.jpg]
であり、Nは次数であり、NMAXは関心対象の最大次数であり、Ω1(N),…,ΩO(N)は仮想スピーカーの方向であり、O=(N+1)2はHOA係数シーケンスの数であり、Kは仮想スピーカー位置モード行列の二乗されたユークリッド・ノルム||Ψ||22とOとの間の比である、段階とを含み、
√KMAX=1.5である、
方法。
5 本願発明が同日発明と同一であるか否かの判断
本願発明と同日発明を対比する。
本願発明と同日発明は、「音または音場の圧縮された高次アンビソニックス(HOA)音表現をデコードする方法」として一致する。
同日発明の「前記圧縮されたHOA表現を含むビットストリームを受領する段階であって、前記ビットストリームは前記圧縮されたHOA表現に対応するいくつかのHOA係数を含む、段階」における「いくつかのHOA係数」の数は、「O=(N+1)2はHOA係数シーケンスの数であり」との記載から「O個」であるから、本願発明と同日発明は、「前記圧縮されたHOA音表現を含むビットストリームを受領する段階であって、前記ビットストリームは前記圧縮されたHOA音表現に対応するO個のHOA係数を含む、段階」を含む点で一致する。なお、本願発明及び同日発明における「前記圧縮されたHOA表現」は、当該各記載の前に「音または音場の圧縮された高次アンビソニックス(HOA)音表現」との記載があることから、「前記圧縮されたHOA音表現」の誤記と認めた。
本願発明と同日発明は、「最低の整数数βeに基づいて前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階」を含む点で一致する。
ここで、前記「最低の整数数βe」は、同日発明では、
[図:0001414842000004.jpg]
において√KMAXを所定値の1.5として、HOA係数シーケンスの数O(=(N+1)2)により定まるものであり、本願発明では、
[図:0001414842000005.jpg]
においてHOA係数シーケンスの数O(=(N+1)2)により定まるものである。そうすると、上記「前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階」は、本願発明と同日発明のいずれにおいても、1.5及びHOA係数シーケンスの数O(=(N+1)2)の積に基づいて決定される「最低の整数数βe」に基づいてデコードすることであるから、
本願発明の
「 最低の整数数βeに基づいて前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階であって、前記最低の整数数βeは
【数1】
[図:0001414842000006.jpg]
に基づいて決定され、Nは次数であり、O=(N+1)2である、
段階とを含む、」と
同日発明の
「 最低の整数数βeに基づいて前記圧縮されたHOA表現をデコードする段階であって、前記最低の整数数βeは
【数1】
[図:0001414842000007.jpg]
に基づいて決定され、
【数2】
[図:0001414842000008.jpg]
であり、Nは次数であり、NMAXは関心対象の最大次数であり、Ω1(N),…,ΩO(N)は仮想スピーカーの方向であり、O=(N+1)2はHOA係数シーケンスの数であり、Kは仮想スピーカー位置モード行列の二乗されたユークリッド・ノルム||Ψ||22とOとの間の比である、段階とを含み、
√KMAX=1.5である、」
とは実質的に同一のデコードする段階であるといえる。
なお、請求人は審判請求書において「本願でも出願1でも√KMAX=1.5であることに変わりはありません。しかしながら、出願1はそれだけではなく、βeがmax1≦N≦NMAXK(N,Ω1(N),…, ΩO(N))に関係することも規定しています(ここで、Ω1(N),…,ΩO(N)は仮想スピーカーの方向)。これに対し、本願発明は、βeとK(N,Ω1(N),…, ΩO(N))の関係は規定されていません(ここで、1≦N≦NMAX)。このように、本願発明と出願1の発明は同一ではありません。」と主張し、加えて令和6年3月13日付け上申書においても同様の主張を行っている。
しかしながら、同日発明において、βeがmax1≦N≦NMAXK(N,Ω1(N),…, ΩO(N))に関係することも規定していても、「音または音場の圧縮された高次アンビソニックス(HOA)音表現をデコードする方法」の「前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階」においては、1.5及びHOA係数シーケンスの数O(=(N+1)2)の積に基づいて決定されている「最低の整数数βe」に基づいてデコードすることが行われるにすぎず、βeがmax1≦N≦NMAXK(N,Ω1(N),…, ΩO(N))に関係するか否かで上記1.5の値は影響されることはないから、「βeがmax1≦N≦NMAXK(N,Ω1(N),…, ΩO(N))に関係することも規定」していることは、「前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階」を特定する事項とはいえない。
よって、本願発明と同日発明は、「前記圧縮されたHOA音表現をデコードする段階」について実質的に同一であるから、請求人による上記主張は採用することができない。
以上から、本願発明は、同日発明と実質的に同一である。
また、同日発明は特許されており協議を行うことができない。
6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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