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特許拒絶査定不服審判

2023-009626

フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用

審判番号
2023-009626
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-107201外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年06月12日
審決日
2024年09月27日
公報発行日
2025年03月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C07F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-107201「フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月21日出願公開、特開2021-167327〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願は、2017年5月9日(パリ条約による優先権外国庁受理 2016年5月9日 中国(CN))を国際出願日とする特願2018-558377号の一部を令和3年6月29日に特願2021-107201号として新たな特許出願としたものであって、同年同月30日に手続補正書および上申書が提出され、令和4年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年10月18日に意見書および手続補正書が提出され、令和5年2月7日付けで拒絶査定され、同年6月12日(受付日)に拒絶査定不服審判が請求され、同年同月29日(受付日)に審判請求書の手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 本願発明について この出願の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、令和4年10月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 【請求項1】 以下の式: 【化1】 [図:0001419759000001.jpg] を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形I。」 第3 原査定の拒絶の理由 令和5年2月7日付け拒絶査定の拒絶の理由は、令和4年5月30日付け拒絶理由通知書で通知された以下の理由である。 1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・・・ 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・・・ ●理由1(進歩性)について ・請求項 1-21 ・引用文献等 1-3 ・・・ <引用文献等一覧> 1.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19, No. 8,pp. 2129-2132 2.芦澤一英,塩・結晶形の最適化と結晶化技術,Pharm Tech Japan,2002年,Vol. 18, No. 10,pp. 81-96(周知技術を示す文献) 3.平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.17-23,37-40,45-51,57-65(周知技術を示す文献) 拒絶理由通知時点の請求項1は、拒絶査定時点の請求項1と同一のものである。 第4 当審合議体の判断 当審合議体は、上記拒絶査定の拒絶の理由のとおり、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び本願の優先日時点の技術常識に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する物が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないと考える。 記 引用文献1.Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、2009年、Vol.19、p.2129~2132 引用文献2.芦澤一英、塩・結晶形の最適化と結晶化技術、Pharm Tech Japan、2022年、Vol.18、No.10、p.81~96 引用文献3.平山令明編著、有機化合物結晶作製ハンドブック―原理とノウハウ―、2008年、p.17~23、37~40、45~51、57~65 引用文献4.社団法人日本化学会編、化学便覧 応用化学編 第6版、丸善株式会社(2003年1月30日)、p.178 引用文献5.塩選択の現状分析、薬剤学、2013年、Vol.73、No.3、p.176~183 なお、引用文献2~5は、本願優先日時点の技術常識を示すためのものである。 理由は以下のとおりである。 1 引用文献の記載 (1)引用文献1の記載 原査定で引用された本願優先日前に頒布された刊行物である上記「引用文献1」には、次の記載がある。 訳文にて示す。 (1a)「フェノキシベンゾキサボロール化合物群を合成し、PDF4やサイトカイン放出についての阻害活性をスクリーニングした。5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728)はin vivo、in vitro双方において潜在的な活性がある。この化合物は現在、乾癬の局所治療薬として臨床開発中であり、アトピー性皮膚炎の局所治療薬としての研究も進められています。」(2129頁 要約の欄) (1b)「5-フェノキシベンゾオキサボロール誘導体は、Scheme 1及び2に示すように合成されました。ジアリールエーテル骨格は、求核芳香族置換反応によって作られました。化合物2のホルミル基は、2の自己縮合を避けるためにアセタールとして保護されました。4のホルミル基はアルコールに還元され、THPエーテルとして保護されました。次に、ホウ酸の存在下でn-BuLiとのハロゲン金属交換によってホウ素原子が導入されました。これは、in situクエンチプロトコルとして知られています。HClによってアルコールを脱保護すると、結果として生じたヒドロキシメチル基が自発的に環化し、目的のオキサボロールが得られます。」(2129頁右欄14~23行) (1c)「 [図:0001419759000002.jpg] 」(2130頁Figure 1.) (1d)「 [図:0001419759000003.jpg] 」(2130頁Scheme 1.) (1e)「化合物5b(AN2728)が開発候補として選ばれ、現在、乾癬の局所治療の第2相臨床試験が行われており、アトピー性皮膚炎の局所治療への応用も検討されています。」(2131頁右欄15行-2132頁左欄3行) (2)引用文献2の記載 原査定で引用された本願優先日前に頒布された刊行物である上記「引用文献2」には、次の記載がある(下線は、当審合議体にて追加。以下同様。) 。 (2a)「2.結晶化条件 医薬品原薬の多くは,合成工程の精製などの最終工程において結晶状態として製造されることが多い。このことは,結晶は原子,分子が立体的に規則正しく配列するために,一定品質の原薬を安定的に製造することが可能であるとの考えに基づいていると思われる。また,液体に較べ,化学的な安定性に優れ,計量や製剤加工などの取り扱いにおいても,はるかに利便性が高いと考えられる理由かもしれない。このように溶液に較べ,品質的には均質な原薬結晶ではあるが,固体の存在形態を制御し,恒常的に安定製造するためには,結晶化条件についての最適化が必要とされる。結晶は,溶液からの晶析による結晶化によって調製されることが多く,晶析条件に応じて,さまざまな結晶形,形状,大きさ,凝集塊の生成などの現象が観測されることも多い。 晶析操作で,結晶多形を制御する際に基本となるのは,各結晶の結晶化に使用する溶媒に対する溶解度の情報である。一般に医薬品の場合には,図2に示したような温度による溶解度差を利用した冷却晶析が多く,温度-溶解度曲線を作成することが基本となる。・・・ ・・・ (3)結晶化の方法について・・・ ・・・ ○1(原文では、丸数字である。以下同様。)温度変化を制御する結晶化方法 ・・・ ○2溶媒蒸発による結晶化方法 溶媒をゆっくり蒸発させながら結晶を得る有用な方法である。蒸発させることにより,溶媒の量を減少させて結晶化のため飽和溶液,過飽和域への移行を達成させて結晶を造る。・・・ ○3蒸気拡散による結晶化法 ・・・ ○4反応晶析法 ・・・ ○5加圧による圧力晶析法 ・・・ 」(「2.結晶化条件」の項) (2b)「6.開発候補化合物の物性評価 開発候補化合物を決める前の段階で,周辺化合物の物性評価も考慮し,化合物の物性評価を行いながら塩・結晶形についての評価を行う必要がある。 とりわけ,固体の経口投与製剤の場合では,探索の最終段階における開発候補化合物の選定において,塩・結晶形と物性評価が必要と考えられる。物性評価項目としては,橋田らの報告にあるように,化学的安定性,経口吸収性,物理的安定性(結晶化度,水和度)などの評価が優先して行われるべきと考えられる。そして,開発候補化合物の物性の評価項目としては下記の内容があげられる。 ○1(原文では、丸数字である。以下同様。)結晶性の評価 結晶は,化学的な安定性,溶解性,経口吸収性,物理的な安定性(結晶化度,水和度)ならびに原薬・製剤の製造に対して影響を与える重要な基礎物性である。このために,X線回折,熱分析,赤外線吸収スペクトル,自動水分吸着脱着測定などの評価方法を必要に合わせて適宜用いることになる。このことで結晶多形,結晶化度,結晶形間の相転移を評価するとともに,種々 の溶媒を用いて,塩形・結晶形の探索を行って開発候補化合物としての適格性を予測しておく。 ○2化学的な安定性の評価 医薬品の安定性は品質を保証する上で重要な物性の1つである。結晶性の評価とともに,固体状態において,熱,湿度,光に対する安定性を評価する。具体的には,通常行われている安定性試験の条件より過酷な試験条件で短期間に,開発候補化合物としての適格性を予測しておくことが重要である。また,水溶液あるいは各種溶媒,pHを変えた溶液中にて化学的な安定性を評価することで,化合物の基本的な性質を把握し,開発候補化合物としての適格性を予測しておく。 ○3溶解性の評価 薬物の溶解性は,経口吸収性,薬効にまで影響を及ぼす重要な物性である。結晶性や化学的安定性の結果も考慮しつつ,消化管吸収も考慮に入れた溶解性評価が重要である。結晶性の評価結果と合わせて考慮することにより,真の溶解性に近い値を予想することによって,開発候補化合物としての適格性を予測しておく。また,溶解性評価は,吸収を考慮して,日局のJP1液,JP2液などの標準的な水溶液や薬物の特性を考慮した種々の緩衝溶液が使用できるものと思われる。さらにこの段階では,原薬量が十分に確保できないことが予想されるため,少量で評価することを工夫することも必要と思われる。 ○4物理的な安定性 原薬結晶の物理的安定性,すなわち,結晶化度ならびに水和度は,結晶性の評価とともに重要性は高い。水和物の水和数などの水和度は,水の吸着や再結晶工程において,水分子が結晶構造へ取り込まれる過程でその数が変化する場合が多々ある。種々の溶媒を用いた,塩形・結晶形の探索の中で,結晶形間の相転移を評価するとともに,加温や粉砕によって生じる非晶質化のようなメカノケミカルな安定性を把握することも含めて,開発候補化合物としての適格性を予測しておくことが重要である。 ○5吸湿性の評価 吸湿性は製造工程,包装,貯法,化学的ならびに物理的な安定性に影響する重要な基礎物性である。マイクロバランスを用いた水分自動吸着脱着測定装置などを使用することにより,比較的少量で,低い相対湿度から高い相対湿度まで,所望するさまざまな温度において起こる水の吸着と脱着による重量変化から吸湿性を評価し,開発候補化合物としての適格性を検討することができる。」(「6.開発候補化合物の物性評価」の項) (3)引用文献3の記載 原査定で引用された本願優先日前に頒布された刊行物である上記「引用文献3」には、次の記載がある。 (3a)「3 結晶化のための一般的な手法 本書では工業的なスケールの結晶化法については取り扱わないが,以下に述べる実験室スケールの結晶化の方法は,工業的なスケールでの結晶化にも十分参考になるだろう.本章では,低分子有機化合物の良質な単結晶を得るために用いられている方法を概観する。各方法の詳細や具体的な例については,特定の化合物群に関する各章での説明を参照されたい. 3.1 溶液からの結晶化 低分子有機化合物は溶液から結晶されることが圧倒的に多い。・・・ 3.1.1 温度変化の制御による結晶化 高温と低温の溶解度の差が大きい分子の場合,温度勾配をかけることは結晶化上有利である.・・・ 3.1.2 溶媒蒸発法による結晶化 低分子有機化合物の場合,溶媒をゆっくり蒸発させる方法は良好な結晶を得るもっとも手軽で広く用いられている方法である.・・・結晶化に用いる溶媒が1種類の場合,飽和溶液をつくるにはこの溶媒の量を蒸発により少なくすればよい.1種類の溶媒からは良好に結晶化できないときは,混合溶媒を試すことになる.・・・濃度勾配は溶媒の蒸発速度によるので,混合溶媒の比を変えることで結晶成長を制御することが可能になる.・・・ 3.5 筆者の研究室における溶液からの結晶化の実際 ・・・ 結晶化すべき分子の構造があらかじめわかっている場合には・・・情報が十分にない場合には,その分子の化学構造を含めて次のように溶媒を選択する. (1)結晶化すべき化合物が塩であるか,H基を多く含む場合は,メタノール,アセトン,またはエタノールを試す.・・・2-プロパノールを試みる. (2)結晶化すべき化合物が塩でないか,OH基を多く含まない場合は,トルエン,ジクロロメタン,ヘキサン,エタノール,酢酸エチル,エーテル,アセトニトリル・・・を試す. (3)ClとNの含有量が多い化合物はそれぞれジクロロメタンおよびジメチルホルムアミド(DMF)を試す. ・・・ ここに示した溶媒は,低分子有機化合物の結晶化を行う研究室では,最低そろえておくべきであろう.」(37頁の「3 結晶化のための一般的な手法」) (3b)「4.1 はじめに 医薬品の大半は化学合成あるいは天然物由来の有機化合物であり,それらは製造の最終工程で晶析により結晶性粉末として調製されることが多い. 結晶は晶析条件に依存してさまざまな構造,形状,大きさ,凝集状態などを示すが,それら固体物性あるいは粉体物性は,医薬品の生物学的有効性,安定性,製剤化などに重要な影響を与える.たとえば,結晶構造の異なる多形や晶癖の異なる結晶の溶解速度は一般的に異なるため,医薬品の生物学的有効性に相違が生じる.こうした相違は,散剤,錠剤,顆粒剤,カプセル剤などといった固体状態の医薬品を経口投与する場合においてとくに顕著に表れる.医薬品の作用部位への到達濃度を決定する要因の一つに投与部位からの吸収の効果があり,経口投与される医薬品では製剤から放出される主薬の溶解性が消化管での吸収に大きく影響するからである. 結晶多形の密度や融点,格子エネルギ-などは異なり,結果として熱や温度,光といったストレスに対する結晶の物理的あるいは化学的な安定性に相違が生じる。このような理由から保存条件によっては準安定形から安定形への結晶転移が生じ,医薬品の生物学的有効性が変わることもあり得る.したがって,安定性の観点からは,一般に常温で安定な結晶形が選択されることが多い.(57~58頁の「4.1 はじめに」) (3c)「4.2.1 結晶多形の検索 複数の結晶相が存在する結晶多形は,医薬品においてもしばしば認められる現象である.しかし,結晶構造と晶析条件との相関はいまだ解明されておらず,結晶多形の有無は試行錯誤を繰り返しつつ求めざるを得ないのが現状である.したがって,偶然に見いだされる場合も少なくないが,結晶多形の検索に重要な影響を与えると思われる各因子を適宜組み合わせ,比較的簡便な方法で検索しているいくつかの報告もある4)5). 表4.1はその例の一つで、抗高血圧剤あるいは利尿剤として広く用いられているFurosemide(フロセミド)[図4.1(a)]での晶出条件と、各結晶形の析出挙動をまとめたものである4).医薬品における結晶多形の制御は溶媒の選択によってなされることが多いが,ここでも水を含めて18種類の溶媒が検討に用いられた.これら溶媒に対して,さまざまな冷却法や溶媒の蒸発法を組み合わせること [図:0001419759000004.jpg] [図:0001419759000005.jpg] により温度や過飽和度の異なる条件を発生させた.その結果,従来はI形とII形の2種の多形についてだけ報告されていたが,新たに多形1種(III形)と,N,N-ジメチルホルムアミドおよび1,4-ジオキサンを含有した2種の溶媒和物(IV形およびV形)が見いだされた.表4.1(1)の加温溶解し徐冷する方法においてはメタノールやエタノールのような体沸点の溶媒からI形が,ブタノールなどのより高沸点の溶媒からII形が析出する傾向がみられた.(3)の有機溶媒に加温溶解し水を添加する方法でも,また(4)のN,N-ジメチルホルムアミドに加温溶解し他の溶媒を添加する方法においても,同様の傾向がみられた。」(59~60頁の「4.2 結晶多形(polymorph)」) (4)引用文献4の記載 本願優先日前に頒布された刊行物である上記「引用文献4」には、次の記載がある。 (4a)「4.3.3 晶析 a.晶析とその役割 晶析は,目的の特性を有する結晶を,再現性よく,確実に製造する技術である.晶析は,化学物質の製造全般に広く用いられており,分離精製のみならず,機能性固体(結晶)の生産という観点からも重要である.たとえば,糖・アミノ酸などの食品の製造,記録媒体としてのα-鉄(α-Fe)・マグへマイト(γ-Fe2O3)などの電子材料の製造,ナノ粒子の製造,さらにその90%が結晶である医薬品(原薬)とその中間体の製造などであり,いずれも結晶特性の制御が高度に要求されている. 1998年の調査(化学工学会晶析技術特別研究会)によれば,わが国で行われている晶析は,80%が溶液からの晶析である.また,75%が回分法で行われている.次に融液からの晶析が多く,大規模の精製晶析についても優れた技術,たとえばKCP法(呉羽テクノエンジ)が開発されている. b.結晶特性 おもな結晶特性は,晶癖・粒径・粒径分布・純度・多形・結晶化度である.これらの特性が異なれば,溶解度・溶解速度・安定性・比容・操作性(ろ過性(注:ろ過の「ろ」は原文ではさんずいに戸であるが、ひらがなで記す。以下も同じ。)・粉じん爆発性・打錠性・計量性)などが異なり,医薬品ではとくにバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が異なることから,結晶特性の制御は非常に重要である. (i) 晶癖 ・・・ (ii) 粒径・粒径分布・・・ (iii) 純度 結晶への不純物の取込みについては,二つのメカニズムがある.母液の結晶への取込み,あるいは結晶表面への付着によるものと,結晶構造への組込みによるものである.前者は,結晶成長の粗さ,凝集などによって引き起こされるものであり,晶析速度の調整,洗浄などで解決する可能性がある.後者は,溶媒の変更,多形の選択など根本的な変更が必要である.結晶溶媒(結晶構造に組み込まれた溶媒)も不純物と見なすことができる. (iv) 多形 化合物は同じで,結晶構造が異なるものである.結晶溶媒の有無で溶媒和結晶は擬多形とよばれている.多形結晶は,外観のみでは判断できない.粉末あるいは単結晶X線回折・赤外吸収(IR)・示差走査熱量測定(DSC)などで同定する必要がある.多形は,溶媒の種類・温度・冷却速度・過飽和度・かくはん速度・不純物などに影響を受ける.溶媒によって異なる多形が析出する場合が多く,重要な溶媒については混合溶媒も含めて,どのような結晶が析出するか,点検することが必要である.溶媒を選択することによって,目的の結晶多形が唯一選択的に得られる場合と,いったん析出した結晶多形(準安定結晶)が経時的に他の多形(安定結晶)に転移する,いわゆる溶媒媒介転移が起こる場合がある.溶媒媒介転移が起こるのは,準安定結晶と安定結晶の溶解度が異なるためである.どの多形が析出するかはオストワルドの段階則(Ostwald's step rule;状態の移行は,エネルギー的にもっとも近い状態を経由して順次に進行するという法則)に従うとされており,通常,溶解度が大きいほうの結晶が先に析出する.しかし,オストワルドの段階則に従わない場合もあり,多形を制御するためには,平衡論(オストワルドの段階則)のみではなく,速度論的な検討を行う必要がある. c.晶析操作 晶析操作としては,冷却晶析,濃縮晶析,反応晶析,貧溶媒晶析が多い.」(178頁左欄5行~右欄下から7行) (5)引用文献5の記載 本願優先日前に頒布された刊行物である上記「引用文献5」には、次の記載がある。 (5a)「2.米国承認薬における塩選択の分析 Paulekuhn ら 1)は米国 Drug and Food Administration(FDA)が発行するオレンジブックデータベースを基に,医薬品で用いられているカウンターイオンの利用頻度について 2006 年までに承認された1,356 化合物で分析を実施した.その結果を表 1 に示す.全化合物のうち,塩原薬として承認されたのは 697 化合物(51.4%)であり,フリー体原薬の 659化合物(48.6%)を上回っていた.5 年毎の年代別分析では,塩原薬の選択比率に大きな変化は見られなかったが,最近の 5 年間(2002~2006)では塩原薬の比率(47.3%)が低下し,フリー体原薬数との逆転現象が起こった.これは,塩基性化合物(アニオン性カウンターイオン)の塩原薬数が減少したことが要因であった. カウンターイオン種別の分析において,アニオン性カウンターイオンでは,塩酸が 53.4% の割合で最も多く選択されているが,最近は減少傾向を示している(1997~2001:46.6%,2002~2006:38.9%).次いで,アニオン性で選択比率が高いカウンターイオンは,硫酸塩(7.5%),臭化水素酸塩(4.6%),マレイン酸塩,メシル酸塩(4.2%)であった.また,近年は研究手法の変化により,選択されるカウンターイオン種が多様化してきており,選択比率が 5%を超えるカウンターイオン種が 2002~2006 では 7種(塩酸,臭化水素酸,マレイン酸,メシル酸,リン酸,硫酸,酒石酸)と過去最大を示した.一方,カチオン性カウンターイオンでは,ナトリウムが75.3% と総数の 3/4 を占め,次いでカルシウム(6.9%),カリウム(6.3%)の順であった. 剤形別の分析の結果,経口剤で塩原薬が選択される比率は 46.8% で,アニオン性カウンターイオン37.9%,カチオン性カウンターイオン 8.9%の内訳だった.一方,注射剤では,塩選択の比率が 64.5%(アニオン性カウンターイオン 43.2%,カチオン性カウンターイオン 21.4%)で,経口剤に比べ高い比率であった.これは,注射剤ではより高い溶解度が必要になるためと推察している. [図:0001419759000006.jpg] 」(176頁左欄17行~177頁) 2 引用発明 引用文献1は、フェノキシベンゾキサボロール化合物群を合成し、PDF4やサイトカイン放出についての阻害活性をスクリーニングした結果、乾癬の局所治療薬として臨床開発中で、アトピー性皮膚炎の局所治療薬としての研究中である5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728)に関する技術文献であり(摘記(1a))、摘記(1c)には、5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728)の化学構造式が化合物5bとして記載され、摘記(1b)及び(1d)には、上記化合物5bの製造方法が記載されている。 したがって、引用文献1には、5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728)が製造方法を伴って記載されているのであるから、以下の発明が記載されているということができる(以下「引用発明」といい。その化合物である5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロールを「引用化合物」という。) 「5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728)」 3 対比・判断 (1)本願発明と引用発明の対比 ア 引用発明の化合物5bは、「5-(4-シアノフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシ-2,1-ベンゾキサボロール(AN2728) [図:0001419759000007.jpg] 」であり(摘記(1a)、(1c))、 本願明細書の【0004】及び【0005】の記載から「クリサボロール」の化学名は「4-[(1,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシル-2,1-ベンゾオキサボロラン-5-イル)オキシ]ベンゾニトリル」であり、化学構造式は以下の通り [図:0001419759000008.jpg] であることが示されていることから、 上記引用化合物は、本願発明の 「以下の式:」「 [図:0001419759000009.jpg] を有」する「クリサボロール」に相当する。 イ また、本願発明の「フリー体のクリサボロール」とは、塩ではない形態のクリサボロールを意味し、フリー体の概念には、無溶媒和物、水和物、溶媒和物を包含していることは、技術常識である(引用文献5摘記(5a))。 そして、引用発明の引用化合物は、化学構造式から塩の形態となっておらず、製造プロセス上も塩にすることは明示されていないので、上記用語の技術常識から、本願発明の「以下の式:」「 [図:0001419759000010.jpg] を有」する「フリー体のクリサボロール」に相当するといえる。 ウ 以上のことより、本願発明と引用発明とは、 「以下の式: [図:0001419759000011.jpg] を有するフリー体のクリサボロール。」に関する発明 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点: 本願発明においては、フリー体のクリサボロールが、「X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示す」、「結晶形I」と特定されているのに対し、引用発明においては、化合物が結晶形であることが特定されておらず、結晶のX線粉末回析パターンが回析角2θで特定されていない点。 (2) 相違点の判断 ア 本願優先日における医薬化合物の結晶に関する技術常識について 本願優先日当時、一般に医薬化合物については、安定性、純度、扱いやすさ等の観点において結晶性の物質が優れているとの技術常識があったと認められる(摘記(2a)、摘記(3b)、摘記(4a))。また、医薬化合物の結晶の多形体が、結晶化の条件により得られる結晶が異なることによって存在することから(摘記(2a)、摘記(3b))、医薬化合物において結晶が得られる条件を検討したり、その結晶多形体を調べたりすることは、当業者がごく普通に行うことであり(摘記(3c)、摘記(4a))、得られた結晶を同定する方法として、粉末X線回折を行うとの技術常識があったものと認められる(摘記(2b)、摘記(4a))。 そして、結晶を得る方法に関し、摘記(3a)に記載されるとおり、化合物を結晶析出のための溶媒(晶析溶媒)に溶解させ、溶媒をゆっくり蒸発させる晶析方法が広く用いられており、晶析溶媒は、メタノール、エタノール以外にも、酢酸エチルやアセトニトリルなども一般によく用いられるとの技術常識が本願優先日にあったものと認められる。 イ 相違点の容易想到性について (ア)引用文献1の引用化合物は、乾癬の局所治療の第2相臨床試験が行われており、アトピー性皮膚炎の局所治療への応用も検討されていることから明らかなように(摘記(1a)、摘記(1e))、医薬化合物であるといえるところ、上記アの本願優先日時点の技術常識に照らすと、引用文献1に接した当業者には、医薬化合物である引用化合物について、結晶が得られる条件を検討したり、結晶多形体を調べたりすることの強い動機付けがあったものと認められる。 そして、引用化合物の結晶を得るにあたり、当業者は、上記アに記載されたような、結晶を得るためによく用いられる手法を試すこと、すなわち、一般によく使用される晶析溶媒である酢酸エチルやアセトニトリル等を用い、広く用いられる晶析方法である溶媒蒸発法によって結晶化を行い、得られた結晶を粉末X線回折によって同定し、安定性等に優れた結晶を選ぶことは、当業者が通常行うことであると認められる。 (イ)上記の本願発明の結晶形Iの結晶を得るための結晶製造方法及び粉末X線回折による同定に関し、本願明細書の具体的記載に基づき確認してみると以下のとおりである。 a 本願明細書には、結晶形Iの結晶の製造方法として、【0015】には、「1)フリー体のクリサボロールの固体を、単一の揮発性溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させるステップと、生成混合物に対して揮発結晶化を行って、結晶形Iの固体を産生するステップとを含む方法であって、 ここで、単一の揮発性溶媒は、アルキルニトリル、アルキルエーテル、ハロゲン化炭化水素およびエステルから選択され、 アルキルニトリル溶媒は、アセトニトリルであり、 アルキルエーテル溶媒は、メチル(t-ブチル)エーテルであり、 ハロゲン化炭化水素溶媒は、塩素化炭化水素であり、好ましくは、塩素化炭化水素は、クロロホルムおよびジクロロメタンから選択され、 エステル溶媒は、エチルアセテートであり、 揮発結晶化は室温で実施する、方法」と記載されている。 また、【0068】~【0072】には、具体的な結晶形Iの製造例として、「(実施例2) 51.4mgのフリー体のクリサボロールの固体を、1mLのアセトニトリル溶媒に添加した。固体を溶媒中に溶解させてから、溶媒を、空気に曝露させて室温で完全に揮発させて、白色固体の結晶を産生した。・・・検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形Iであることが見出され、X線粉末回析データを、図13および表2に示す。・・・ [図:0001419759000012.jpg] ・・・実施例2に記載した方法と同じ方法を使用することによって、表3のデータを得た。特定の質量の分量のフリー体のクリサボロールの固体を、特定の体積の溶媒に添加した。固体を溶媒中に溶解させてから、溶媒を、空気に曝露させて室温で完全に揮発させて、白色固体の結晶を産生した。XRPDにより、固体が結晶形Iであることを調べた。・・・ [図:0001419759000013.jpg] 」と記載されている。 b 上記記載によれば、結晶形Iを得るために使用された結晶析出溶媒は、塩でない化合物の場合に一般的使用される溶媒である酢酸エチルやアセトニトリルが用いられている(摘記(3a))。 また、その結晶析出の方法も、摘記(3a)に記載されるように基本的な手法である、化合物を溶媒に溶解し、空気中で溶媒を蒸発させて結晶を析出させる、溶媒蒸発法であるといえる。 c そして、得られた結晶形Iを「回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示す」と特定するための結晶形の同定方法は粉末X線回折による方法であるところ(本願明細書【0048】及び【0054】)、この方法は結晶の同定方法として周知慣用の方法であり、上記本願発明の特定は、当業者であればまず試してみる結晶製造方法によって得られた結晶を、結晶の同定方法として周知慣用の方法として採用されている粉末X線回折スペクトル分析を行った結果を提示したものにすぎないから(摘記(2b)、摘記(4a))、上記の得られたXRPDパターンの2θピークを特定することは、技術常識から当業者が容易になし得たことにすぎない。 (ウ)そうすると、当業者は、通常なし得る試行錯誤の範囲で、引用化合物について、結晶探索を行い、結晶形Iの結晶を得ることができたものといえる。 ウ 以上によれば、引用発明において、引用化合物の結晶を得ることを試み、その際に結晶化条件を検討することや、得られた結晶について分析することにより、相違点に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到することである。 エ 本願発明の効果について (ア)本願明細書には、実験実施例1(【0101】~【0105】)には、結晶形I~IVの動的水蒸気吸着(DVS)試験結果が示され水分吸収による重量増加の効果について記載があり、実験実施例2(【0106】~【0108】)には、機械的安定性の試験結果について記載があり、実験実施例3(【0109】~【0111】)には、酸性pH領域での動的溶解性の試験結果について記載があり、実験実施例4(【0112】~【0114】)には、長期安定性及び加速安定性の試験結果について記載があり、実験実施例5(【0115】~【0120】)では、粒子サイズ分布の試験結果について記載がある。 しかしながら、引用文献4に記載されるとおり、おもな結晶特性は、晶癖・粒径・粒径分布・純度・多形・結晶化度であり、これらの特性が異なれば、溶解度・溶解速度・安定性・比容・操作性(ろ過性・粉じん爆発性・打錠性・計量性)などが異なり、医薬品ではとくにバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が異なることから、結晶特性の制御は非常に重要であることは技術常識であること(摘記(4a))、多形間に各特性に相違があることは技術常識であること(摘記(3b)摘記(4a))を考慮すると、求められる特性について、総合的に結果を評価して結晶を選択することは当然のことである。 そうすると、結晶形Iが他の結晶多形に比較して、比較的医薬化合物の結晶として要求される特性に優れた面が多いからといって、本願発明の効果が当業者の予測を超え、かつ顕著な効果であるとはいえない。 4 審判請求人の主張の検討 (1)令和5年6月29日付け審判請求書の手続補正書(方式)における主張の検討 ア 審判請求人は、上記審判請求書の手続補正書(方式)2~3頁において、引用文献1にはクリサボロールの結晶形に関する記載や、クリサボロールの結晶の調整方法の記載がないことや、出願時の技術常識では、溶媒の種類や組合せ、溶解させる濃度や温度の設定等、無限ともいえる組合せが存在するから、各種結晶化方法を試みても、結晶を得ることができるとは限らないし、対象とする化合物に多形が存在するか否かを予測することもできないから、多くの試行錯誤を経ることにより結果的に結晶の存在を見出すことができたとしても、結晶を得ることが決して容易とはいえない旨の主張している。 しかしながら、上記2、3において検討したように、本願発明は、医薬化合物の結晶形の発明であり、医薬化合物については、安定性、純度、扱いやすさ等の観点において結晶性の物質が優れていることから、その物質を結晶化することについては強い動機付けがあり、医薬化合物が結晶で得られる条件を検討したり、結晶多形体を調べたりすることは、本願優先日時点の技術常識であることは、既に述べた通りである。 そして、結晶の発明において、結晶の製造方法(結晶の析出溶媒や結晶の析出方法)が通常のものであり、その効果が予測できない、かつ顕著なものでなければ、その発明は、当業者が容易に発明することができるものといえるところ、本願発明の結晶形Iは、引用発明の医薬化合物において、上記強い動機付けに基づき、通常の結晶の製造方法によって得られたものであり、得られた結晶の特性を、結晶の周知慣用の分析手法で得た結果で示したものにすぎず、得られた多形体結晶が当業者の予測できない、かつ顕著な効果を有しているとはいえないことも上述の通りである。 したがって、審判請求人の溶媒の種類と組合せの選択、溶解させる濃度や温度の設定等、条件の多さや、結晶を得ることができる可能性や多形の存在の予測性に関係した多くの試行錯誤を経ることになるので容易でない旨の記主張は採用できない。 イ 審判請求人は、上記審判請求書の手続補正書(方式)6~7頁において、医薬品において原薬の形態が安定であることは、期待通りの医薬品の薬効が発揮されるために重要で、このような特性を有する結晶形Iは引用文献1に記載された化合物5bと比べ格別に顕著な効果を有していることを指摘し、結晶形I低い水分吸収(実験実施例1)、均質な粒子サイズ分布(実験実施例5)、優れた溶解性(実験実施例3)、優れた長期安定性および加速安定性(実験実施例4)、優れた機械的安定性(実験実施例2)を有している旨主張している。 しかしながら、上記2、3に記載のとおり、医薬品分野において、医薬候補化合物を結晶化させることも、多形体間で物理的特性等が異なることを前提に、製造できた結晶を総合的に評価し、最も優れているものを選び出すことも、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内のことである(また、本願発明の効果の比較対象は引用発明の引用化合物(化合物5b)ではなく、引用化合物が結晶となったと想定した場合の効果である。)。 そして、本願実験実施例1~5の結果について検討しても、結晶形Iが結晶形II~IVと比較して、水分吸収、粒子サイズ分布、溶解性、長期安定性、加速安定性といった医薬化合物の結晶として当然要求される特性が、他の結晶形に比較して総合的にみれば相対的に優れていたというもので(個々の特性をみれば、水分吸収や動的溶解性では、結晶形IIIの方が優れているといえるし、長期安定性や加速安定性等では他の結晶形と何ら異ならない場合もある。)、多形体間で上記特性が異なることは技術常識であることを考慮すると、結晶形Iの上記相対的な特性向上の程度は当業者が予測できる範囲内のものであり、結晶形Iが結晶形II~IVと比較して質的又は量的に格別顕著な効果を奏するとは認めることはできず、単に総合的に結果が良好な結晶形を選択しているに過ぎない。 (2)小括 したがって、上記審判請求人の主張はいずれも採用できない。 5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、並びに引用文献1に記載された技術的事項及び本願優先日時点の技術常識に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明することができたものである。 第5 むすび 請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-009626

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