商標拒絶査定不服審判
2023-008902
ピクシオ、ピキシオ
- 審判番号
- 2023-008902
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-113902
- 請求日
- 2023年05月31日
- 審決日
- 2024年04月17日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ピクシオ ユーエスエー インク
- 【請求人代理人】佐藤 勝
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .261-Z (W28) / T18 .262-Z (W28) / T18 .263-Z (W28) / T18 .264-Z (W28)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項、商標法第27条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-113902拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第28類「ゲーム機用コントローラー」を指定商品とし、令和4年3月17日に登録出願された商願2022-30764に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和4年10月4日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年10月28日付け:拒絶理由通知書
令和5年1月31日:意見書の提出
令和5年3月2日付け:拒絶査定
令和5年5月31日:審判請求書の提出
令和5年11月28日付け:審尋
令和6年2月6日:回答書の提出
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1460265号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2の構成よりなり、2019年(平成31年)1月10日に国際登録、第28類「Construction toys incorporating magnets; toy building blocks containing magnets; toy building blocks capable of interconnection.」を指定商品として、令和3年5月14日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和5年11月28日付け審尋(以下「審尋」という。)により、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
(1)引用商標の指定商品は「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」により、強力な磁力を有する複数個の磁石を組み合わせて使用するいわゆるマグネットセットに該当するため、国内では販売が禁止となる商品であって、販売することが違法な商品(以下「違法磁石製品」という。)である。したがって、引用商標の指定商品は、日本国内の玩具店、家電量販店、総合小売店の玩具コーナーや、これらの事業者の運営に係るウェブサイト等で販売されるものではない。また、引用商標の違法磁石製品は、ゲーム機用コントローラーとは、電気信号の送受信が必要か否かという観点や入力手段の有無などの観点から、構造的に近い要素は皆無の、全く異なる商品であって、違法磁石製品のメーカーがゲーム機用のコントローラーを作ることはないと思うのが通常である。さらに、現時点では違法磁石製品を手掛けるメーカーがゲーム機用コントローラーを生産し販売する事実はなく、その数が多いという実情も皆無である。以上から、本願指定商品と引用商標の指定商品とは、同一営業主が販売するような製品でないことは明らかな、非類似の商品である。
(2)引用商標の前段の図形部分は自他識別力のない部分ではなく、この部分も後段部分に負けてはいない印象を見る者に与えるものであり、図形部分の有無により、標章の印象が大きく異なるのは明らかである。また、引用商標の前段の図形部分に、出所識別標識としての呼称が生じないとしても出所識別標識としての観念までは生じないとすることはできない。むしろ、全体がブロックを模した四角形で構成されているという引用商標の本来の構成においては、引用商標の前段の図形部分も印象に残るような要部であり、単に称呼がないから省略されるような態様ではないことから、読むことができる後段の文字部分だけを抽出して類否を判断することは許されず、引用商標と本願商標を比較した場合には、両者はその外観からはっきりと相違しており、類似とはならないものである。
6 当審の判断
(1)結合商標の類否判断について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号判決参照)。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、赤色で「Pixio」の欧文字を表してなるものである。
そして、この文字は、辞書等に載録されていないものであって、特定の意味合いを認識させるものではなく、このように特定の意味合いを有しない欧文字については、我が国で親しまれた英語又はローマ字の発音方法に倣って称呼するのが自然といえるから、本願商標からは、「ピクシオ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、多数の正方形を組み合わせてなる図形を左側に、やや図案化された「PIXIO」の欧文字を右側に配してなるものである。
このうち、図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、引用商標の図形部分及び文字部分は、一定の間隔をもって重なることなく配置されていることからすると、それぞれが視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、また、各部分の間には観念的なつながりもなく、全体として特定の観念を生じないものである。
そうすると、引用商標の構成中の各部分は、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、また、各部分が引用商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表すなどの事情も認められないから、自他商品の識別標識として機能において、軽重の差があるということもできない。
してみれば、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、需要者において、出所識別標識としての称呼及び観念が生じない図形部分より看者の注意をひきやすい引用商標の構成中右側の「PIXIO」の文字部分を要部として取引に資されることもあるというべきであるから、引用商標よりは、その要部に相応して「ピクシオ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないといえるものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討するに、外観について、本願商標と、引用商標の要部である「PIXIO」の文字部分とは、文字の書体及び全て大文字で構成されるか、大文字と小文字が混在して構成されるか等において相違があるとしても、それぞれの構成中の欧文字5文字全てが、同じ綴りの文字からなるものであり、本願商標と引用商標は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。
そして、称呼については、両者は「ピクシオ」の称呼を共通にするものである。
また、観念については、両者はいずれも特定の観念が生じないから比較することができない。
したがって、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、「ピクシオ」の称呼を共通にし、外観上近似した印象を与えるため、これらの外観、称呼及び観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(5)本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品である、第28類「ゲーム機用コントローラー」は、家庭用ゲーム機又は業務用ゲーム機の付属品として、これらのゲーム機を取り扱う事業者及びゲーム機の付属品を取り扱う事業者によって生産され、このうち、家庭用ゲーム機用コントローラーについては、家庭用ゲーム機及びその付属品並びにゲームソフトウェアを記録した電子媒体等を専門的に取り扱う店舗のほか、家電量販店、総合小売店の玩具コーナーや、これらの事業者の運営に係るウェブサイト等で販売されるもので、その用途は、専ら、家庭において、電子ゲームで遊ぶ際に使用されるものである。
ところで、前記のとおり、家庭用ゲーム機用コントローラーは、単独で商品としての機能を果たすものではなく、家庭用ゲーム機に接続されることで機能する、付属品の一種と解されるところ、通常、その需要者は家庭用ゲーム機の需要者と一致するものといえる。
そして、別掲3によれば、家庭用ゲーム機を使用する者には、電子ゲームを好んでプレーする、比較的年長の者のみならず、未就学児から小学生程度の、比較的低年齢の子供を含む家族や親族と余暇を過ごすために、これを使用する者も少なくないというのが相当である。
加えて、一般に、低年齢の子供が、商品を入手する際には、子供が自ら商品の選定や購入を行う場合のほか、保護者等の大人が商品の選定や購入を行う場合も少なくないものといえる。
以上から、家庭用ゲーム機の付属品であって、本願の指定商品の範ちゅうに含まれる、家庭用ゲーム機用コントローラーの需要者の範囲は、未就学児から大人までの、幅広い年齢層の者であるといえる。
一方、引用商標に係る指定商品は、主に玩具を取り扱う事業者によって生産され、玩具店のほか、家電量販店、総合小売店の玩具コーナーや、これらの事業者の運営に係るウェブサイト等で販売されるもので、その用途は、家庭において玩具を用いて遊ぶ際に使用されるものである。
そして、前記と同様に、これらの商品の需要者には、実際に商品を使用する子供のみならず、その保護者等の大人も含まれるといえる。
そうすると、本願の指定商品と引用商標の指定商品は、商品の販売場所、家庭において遊ぶために用いられるという用途及び需要者の範囲を一致することが多いだけでなく、別掲4によれば、家庭用ゲーム機及びその付属品である家庭用ゲーム機用コントローラーは、これらの商品を専門的に取り扱う事業者のみならず、ゲーム機と玩具の両方を取り扱う事業者によって生産されていることも少なくない点を踏まえると、これらの指定商品に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係があるため、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、類似の商品というのが相当である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
7 請求人の主張について
(1)請求人は、「引用商標の指定商品は「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」により、強力な磁力を有する複数個の磁石を組み合わせて使用するいわゆるマグネットセットに該当するため、国内では販売が禁止となる商品であって、販売することが違法な商品である。したがって、引用商標の指定商品は、日本国内の玩具店、家電量販店、総合小売店の玩具コーナーや、これらの事業者の運営に係るウェブサイト等で販売されるものではない。また、引用商標の違法磁石製品は、ゲーム機用コントローラーとは、電気信号の送受信が必要か否かという観点や入力手段の有無などの観点から、構造的に近い要素は皆無の、全く異なる商品であって、違法磁石製品のメーカーがゲーム機用のコントローラーを作ることはないと思うのが通常である。さらに、現時点では違法磁石製品を手掛けるメーカーがゲーム機用コントローラーを生産し販売する事実はなく、その数が多いという実情も皆無である。以上から、本願指定商品と引用商標の指定商品とは、同一営業主が販売するような製品でないことは明らかな、非類似の商品である。」旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品と引用商標の指定商品は、商品の販売場所、家庭において遊ぶために用いられるという用途及び需要者の範囲を一致することが多いだけでなく、家庭用ゲーム機及びその付属品である家庭用ゲーム機用コントローラーは、これらの商品を専門的に取り扱う事業者のみならず、ゲーム機と玩具の両方を取り扱う事業者によって生産されていることも少なくない点を踏まえると、これらの指定商品に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係があるため、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品とは、それらに同一又は類似する商標が使用された場合、その出所について混同を生ずるおそれのある、互いに類似するものというべきであることは、上記6(5)で述べたとおりである。そして、請求人による、引用商標の指定商品は、日本国内で販売することが違法な商品であるとの主張は、請求人から、それを裏付ける証拠の提出がなく、むしろ、商標法第27条第2項において「指定商品又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。」と規定されているように、引用商標の指定商品の範囲は、前記2のとおりであり、請求人の主張する商品に限られるものではない。さらに、仮に、引用商標の商標権者が取り扱う商品の中に、請求人が主張するような製品が含まれる場合であっても、商品の類否の判断においては、その指定商品全般の一般的・恒常的な取引の実情を考慮すべきであって、このような個別の事情によって、その指定商品の範囲を限定的に解釈することはできず、商品の類否の判断にあたっても特段考慮すべきものとはいえないから(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、この請求人の主張は、その前提において、失当であるといわざるを得ない。
(2)請求人は、前記1の審判請求書において、「引用商標の図形部分は、二種類のキリル文字を組み合わせてなるものである」旨を述べるとともに、前記1の回答書(以下「回答書」という。)において、「引用商標の構成中の図形部分は、出所識別標識としての観念が生じるものである。この図形部分は自他商品識別標識としての機能を有する、文字部分に負けてはいない支配的な印象を見る者に与えるものである。全体がブロックを模した四角形で構成されているという引用商標の構成においては、図形部分も印象に残るような要部であり、構成中の文字部分だけを抽出して類否を判断することは許されず、引用商標と本願商標を比較した場合には、両者はその外観からはっきりと相違しており、類似とはならない。」旨主張する。
しかしながら、結合商標の類否判断に係る規範、並びに、引用商標の構成態様とその指定商品との関係からすれば、引用商標の構成中右側の「PIXIO」の文字部分を要部として抽出し、本願商標と比較できることは、前記6(1)及び(3)で述べたとおりである。
また、キリル文字は、我が国で親しまれたものとはいえないことから、これに接する需要者が直ちに、引用商標の図形部分を、キリル文字を組み合わせてなるものと把握、理解するとはいい難いものである。
なお、請求人は、回答書において、「(審尋における暫定的見解は、)引用商標の図形部分が要部とはなり得ないとする判断であり、引用商標の図形部分には識別力がないとする理由も述べていないことから、引用商標に対する正しい認識ではない。」旨述べているが、合議体が審尋において示した暫定的見解は、引用商標の図形部分が要部となり得ないと述べたものではないから、この請求人の主張は、その前提において、失当であるといわざるを得ない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
8 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-008902