商標異議申立
2022-900303
ピクシーダスト、ピキシーダスト、ピクシー、ピキシー、ダスト
- 審判番号
- 2022-900303
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-147145
- 登録番号
- 6555952
- 請求日
- 2022年07月22日
- 審決日
- 2023年06月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社井田ラボラトリーズ
- 【異議申立人】スヨービク・リミテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.25 -Y (W03) / T1651.271-Y (W03) / T1651.222-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6555952号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6555952号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6555952号商標(以下「本件商標」という。)は、「ピクシーダスト」の片仮名と「PIXIE DUST」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、令和3年11月26日に登録出願、第3類「洗濯用柔軟剤,化粧用接着剤,口臭用消臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,人造軽石,化粧用コットン,つけまつ毛,化粧用綿棒」を指定商品として、同4年4月19日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、同人提出の甲第6号証ないし甲第12号証(以下、証拠の表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)に表された商標(次の(1)ないし(7)。以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であるが、いずれも「pixi」の文字(2つめの「i」は点が縦線の下に表されているもの。)が構成中に大きく表されているものであること、及び、申立人提出の証拠、同人の主張の全趣旨から、同人が引用する商標は当該「pixi」の文字からなる商標(以下「申立人商標」という。)と認め、以下検討する。
(1)「pixi\skintreats\-since1999-」(甲6)
(2)「pixi\by\petra」(甲7)
(3)「pixi\+Rose」(甲8)
(4)「pixi\+CVIT」(甲9)
(5)「pixi\+」(甲10)
(6)「pixi\bodytreats」(甲11)
(7)「pixi\On-the-Glow」(甲12)
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲1ないし甲22を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
申立人は1998年(平成10年)にイギリスのロンドンで設立された化粧品の製造、販売を主たる事業とする企業である。
天然成分と植物エキスのブレンドを配合し、肌を育てる処方にこだわった「pixi」ブランドの商品は、メイクアップアーティストであり製品開発者として20年以上の経験を持つペトラ・ストランドによって生み出され、イギリスのみならず、世界各国で人気を博している。最近では日本でも絶大な人気を誇るキャラクターであるハローキティとのコラボ商品を発売するなど、その存在感はますます高まっている(甲1)。一般的な検索サイトで「PIXI コスメ」と検索すると約30万件もヒットし(甲2)、「大人気コスメpixiの魅力とは?」(甲3)、「話題のPixi Beautyに行ってきた!」(甲4)といった記事でも紹介されるなど、我が国の国民の関心の高さが見て取れる。
申立人は、「pixi」ブランドにおいて、例えば引用商標を用いてアイシャドウ、マスカラ、チーク、化粧水、乳液、洗顔せっけん等様々な商品展開を行っており、これらの引用商標が付された商品は100種類を超えている(甲5)。引用商標は、申立人の商品のうちのほんの一部であるが、多数展開しているこれらの商品の全てに「pixi○○○」との構成を有する商標が付されている事実をもってしても、これらの引用商標が申立人の業務に係る化粧品、せっけん類を表示するものとしていかに広く一般に周知されているかが伺い知れる。
一方、本件商標は、上記1のとおりであるところ、その構成中の「ダスト\DUST」の語は、「粉末、細粉」との意味を有する語であり、細かい粉状の商品や細かい粉末が含まれた商品について「○○○ダスト」との語が広く一般的に用いられている事実が伺える(甲14)。
そうすると同部分は、本件商標に接した取引者、需要者に、単に商品の品質、形状その他の特徴を認識させるに過ぎず、出所識別標識としての機能を発揮しない部分であって、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるのは「PIXIE」または「ピクシー」の部分であるといえる。
この点、本件商標中「PIXIE」の語と申立人商標とは語尾の「E」の有無はあるものの、いずれも「ピクシー」と片仮名表記され、「ピクシー」との称呼を生じ、同じ「妖精」との意味を有する英単語である(甲15)。英国においては「pixi」は単に「pixie」の綴りを変化させたものであり、両商標が観念上高度に類似するものであるとの判断がなされている事実がある(甲16)。
「Pixie」「pixi」いずれにしても我が国の国民になじみがあるとはいえない英単語であることに加え、上述のとおりの共通点を有する点に鑑みれば「e」の有無が商標全体に与える影響は大きいとはいえない。
引用商標の例のように、申立人が「pixi」の語と様々な語を組み合わせた商品を展開している事実に鑑みれば、要部を共通にする「PIXIE DUST」「ピクシーダスト」と引用商標とは類似するといわざるを得ない。
なお、米国においても申立人が「pixi」の語に「BY PETRA」「GLOW」「BEAUTY」「SKINTREATS SINCE1999」等の様々な語を組み合わせて使用している点に鑑みれば、「DUST」の語が付加されたに過ぎない「PIXIEDUST」との商標が、申立人の商標と混同を生じるおそれがないというには不十分である、との判断がなされている(甲17)。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標の類似性は、上記のとおりである。
本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一であり、取引者、需要者は共通している。
加えて、申立人は、過去に「pixi by petra/Fairy Dust」との商標を用いた商品を販売している(甲18)。
上記のとおりの商標の類似性、商品間の同一性、商品の需要者の同一性、過去の販売履歴に鑑みれば、本件商標に接した取引者・需要者は、申立人の業務に係る商品である「pixi」シリーズの一つの商品であるとの混同を生じる。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、我が国を含め全世界で約100件「pixi」の語を含む登録商標を保有している(甲19ないし甲22)。この事実は、いかに申立人が全世界をまたにかけ事業を展開しているかを示すものであり、申立人の商標「pixi○○○」が申立人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されているかを示している。
本件商標は、申立人の外国において広く認識されている商標に化体した信用、名声、顧客吸引力にあやかるべく不正の目的をもって出願されたものであり、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)申立人商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠から、申立人は、本件商標の登録出願前から、商品「化粧品」について申立人商標を使用しており、それらの商品は我が国においても購入が可能なものであることを確認することができる(甲2ないし甲4)。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠は、その情報の掲載日が不明なものもあり(甲1及び甲5)、また、同証拠よりは、申立人の業務に係る「せっけん類,化粧品」についての広告の方法や規模、商品の売上高などの販売実績はもとより、我が国又は外国における市場シェアについても確認できないものである。
また、申立人が「pixi(PIXI)」の文字からなる又はそれを構成中に含む登録商標などを全世界で約100件保有している(甲19ないし甲22)ことをもって、申立人商標が同人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているとはいえない。
以上のことからすると、申立人の主張及び同人提出の証拠によっては、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 申立人商標の著名性について
申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
イ 本件商標と申立人商標の類否について
(ア)本件商標
本件商標は、「ピクシーダスト」の片仮名と「PIXIE DUST」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定するためのものと容易に看取されるというべきであるから、本件商標よりは、その構成文字に相応した「ピクシーダスト」の称呼が生じる。
また、本件商標の構成中「PIXIE」の文字は「妖精」などを、「DUST」の文字は「ちり、ほこり」などを、それぞれ意味する英語である(出典:「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館)ところ、それらを結合した「PIXIE DUST」又は「ピクシーダスト」の文字が「妖精のちり、ほこり」ほどの意味合いを漠然と想起させ得るとしても、具体的な意味合いまでを直ちに理解させるものではないから、本件商標よりは、特定の観念が生じるとはいえないものである。
なお、申立人は、細かい粉状の商品や細かい粉末が含まれた商品について「○○○ダスト」との語が広く一般的に用いられている事実が伺える(甲14)ことから、本件商標構成中の「ダスト」及び「DUST」の文字部分については、商品の品質、形状その他の特徴を認識させるにすぎず、出所識別標識としての機能を発揮しない部分である旨主張している。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠(甲14)は、その作成日が不明であり、また、「ダスト」の文字は散見されるものの、当該文字が、いかなる商品についてのいかなる品質等を表す語として記載されているのかについての記載もないことから、これが、商品の品質、形状その他の特徴を認識させるとはいい得ないものである。さらに、当審において職権により調査するも「ダスト(DUST)」の文字が、細かい粉状の商品や細かい粉末が含まれた商品の品質や形状を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に一般的に使用されているというべき事実を発見することはできなかった。
そうすると、本件商標構成中の「ダスト」及び「DUST」の文字部分が、自他商品の識別機能を有しないとはいい難いものである。
したがって、出願人の当該主張を採用することはできない。
(イ)申立人商標
申立人商標は、「pixi」の文字を横書きしてなり、そのうち2つめの「i」は点が縦線の下に表されているものであって、これよりはその文字に相応して、「ピクシー」の称呼を生じ、また、これは一般的な辞書類に掲載されている語ではないことから、特定の観念は生じないものである。
(ウ)本件商標と申立人商標の類否
本件商標は、「ピクシーダスト」の片仮名と「PIXIE DUST」の欧文字とを上下2段に書してなるのに対し、申立人商標は「pixi」の文字からなるものであるから、片仮名の有無や文字数が異なり、外観において明らかに区別できるものである。
また、本件商標から生じる「ピクシーダスト」の称呼と申立人商標から生じる「ピクシー」の称呼は、「ダスト」の音の有無に差異を有するから、これらは明りょうに聴別できるものである。
さらに、観念においては、いずれも明確な観念が生じるものとはいえないから、比較することができないものである。
以上のことからすると、本件商標と申立人商標とは、観念においては比較することができないものの、外観において明確に区別でき、称呼においても明りょうに聴別できるものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、互いに非類似の商標というべきである。
ウ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
また、本件商標と申立人商標とは、上記(2)イのとおり、互いに非類似の商標というべきであるから、本件商標と申立人商標の類似性の程度は低いものといえる。
以上のことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る申立人商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
そのほか、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、そして、上記(2)イのとおり、本件商標と申立人商標は互いに非類似の商標であるといえ、本件商標から、申立人商標を連想又は想起させるものではない。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が申立人商標にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
そのほか、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-900303