特許拒絶査定不服審判
2023-008623
車両用複合ケーブル、及び車両用複合ハーネス
- 審判番号
- 2023-008623
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-168616外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年05月26日
- 審決日
- 2023年10月02日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社プロテリアル
- 【請求人代理人】弁理士法人平田国際特許事務所
- 分類
- P18 .55 -WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第44条、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-168616「車両用複合ケーブル、及び車両用複合ハーネス」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月11日出願公開、特開2022- 3654、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和3年10月14日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成26年12月22日を出願日とする特願2014-258954号を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願:特願2014-258954号(平成26年12月22日)
第1世代 :特願2016-255386号(平成28年12月28日)
第2世代 :特願2018-184351号(平成30年 9月28日)
第3世代 :特願2020-038695号(令和 2年 3月 6日)
本 願 :特願2021-168616号(令和 3年10月14日)
2 手続の経緯の概略
本願の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 9月28日付け:拒絶理由通知
令和4年12月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年12月 8日付け:拒絶理由通知(最後)
令和5年 2月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月16日付け:令和5年2月9日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和5年 5月26日 :拒絶査定不服審判の請求
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
1.(新規事項)令和4年12月1日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(新規事項)について
・請求項 1ないし4
出願人は、上記補正によって、請求項2乃至4が引用する請求項1の一部を、
「前記2本の電源線は、互いに離間しており、前記2本の電源線の間隔は、前記第1の絶縁電線の太さ及び前記第2の絶縁電線の太さよりも狭い」
という記載から、
「前記2本の電源線は、互いに離間しており、前記2本の電源線の間隔は、前記第1の絶縁電線の太さ及び前記第2の絶縁電線の太さよりも狭く、前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い」
という記載に変更する補正を行った。
なお、出願人は、意見書において、当該補正に関して、
「2)補正の根拠
請求項1における「前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い、」という補正事項は、
図9等に基づきます。」
と主張している。
しかしながら、特許出願における図面については、設計図のような正確な描写(例:寸法や位置関係)は求められておらず、発明の詳細な説明の欄にある説明の理解の手助けとなるものにすぎない。
そして、発明の詳細な説明の欄には、「前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い、」という技術的思想は開示されておらず、令和4年9月28日付け拒絶理由通知書を受け取った後に、【図9】から「前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い、」という新しい技術的思想(後知恵)を導き出しているといえるから、当該補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。
令和5年2月9日付け手続補正書でした補正は、原査定と同日付けで補正の却下の決定がなされていることから、依然として拒絶理由は解消していない。
第3 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和4年12月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。
「【請求項1】
中心導体を絶縁体で被覆してなる2本の電源線と、
中心導体を絶縁体で被覆してなる2本の第1の絶縁電線を撚り合わせてなる第1のツイストペア線と、
中心導体を絶縁体で被覆してなる2本の第2の絶縁電線を撚り合わせてなる第2のツイストペア線と、
前記2本の電源線と前記第1及び第2のツイストペア線とを一括して被覆するシースと、
を備え、
前記2本の電源線及び前記第1及び第2のツイストペア線は、それぞれシールド導体により被覆されておらず、
前記2本の電源線は、それぞれ前記第1及び第2の絶縁電線よりも大きな外径であり、
前記2本の電源線は、互いに離間しており、前記2本の電源線の間隔は、前記第1の絶縁電線の太さ及び前記第2の絶縁電線の太さよりも狭く、前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い、
車両用複合ケーブル。
【請求項2】
前記2本の電源線の間、及び前記第1ツイストペア線と前記第2ツイストペア線との間には、摩擦抵抗を低減して潤滑性を高めるための潤滑材が配置されている、
請求項1に記載の車両用複合ケーブル。
【請求項3】
前記シースは、前記電源線と前記第1ツイストペア線との間、及び前記電源線と前記第2ツイストペア線との間に入り込んでいる、
請求項1または2に記載の車両用複合ケーブル。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用複合ケーブルを備え、
前記2本の電源線、前記第1のツイストペア線、及び前記第2のツイストペア線は、前記シースの端部から延出されており、
前記2本の電源線の端部には、第1コネクタが取り付けられており、
前記第1のツイストペア線の端部には、車輪速センサが取り付けられており、
前記第2のツイストペア線の端部には、第2コネクタが取り付けられており、
前記第1コネクタ、前記車輪速センサ、及び前記第2コネクタは、それぞれ別体である、
車両用複合ハーネス。」
第4 原査定についての判断
本願の出願当初の第9図には以下の記載がある。
[図:0001402705000001.jpg]
上記第9図によれば、第1のツイストペア線(31および32)と、第2のツイストペア線(41および42)が、2本の電源線(21および22)を挟むように互いに離間していること、および、第1のツイストペア線(31および32)と、第2のツイストペア線(41および42)との間隔が、電源線(21および22)の太さよりも狭いことが把握できる。
したがって、令和4年12月1日付け手続補正書でした補正により導入された「前記第1及び第2のツイストペア線は、前記2本の電源線を挟むように互いに離間しており、前記第1及び第2のツイストペア線の間隔は、前記電源線の太さよりも狭い、」という技術的事項では、いずれも、出願当初の図面から導出されるものであるから、令和4年12月1日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。
よって、原査定の理由1(新規事項)を維持することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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