審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-005687

イオン除去装置

審判番号
2023-005687
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-548133
請求日
2023年04月07日
審決日
2024年04月26日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】三菱電機株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 河本 充雄
  • 審判官 松井 裕典
  • 審判官 金 公彦
分類
P18 .121-Z (C02F) / P18 .572-Z (C02F) / P18 .575-Z (C02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-548133「イオン除去装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 9月21日国際公開、WO2023/175873〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は2022(令和 4年) 3月18日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年 8月 8日 :手続補正書 同年 9月21日付け:拒絶理由通知書 同年11月25日 :意見書、手続補正書 同年12月20日付け:拒絶査定 令和 5年 4月 7日 :審判請求書、手続補正書 同年 5月29日付け:前置報告書 同年 7月11日 :上申書 第2 令和 5年 4月 7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年 4月 7日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(当審注:下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 水中の不純物を吸着する吸着機能と、吸着した不純物を脱着する脱着機能とを有する水処理部と、 水を供給する給水部から搬送される水に含まれる不純物を吸着するように前記水処理部を制御する吸着モードと、吸着した不純物を前記給水部からの水の搬送が停止された状態で脱着するように前記水処理部を制御する搬送停止脱着モードとを実行する制御部と、 電圧が印加されることによって水中の不純物を吸着し、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれかが行われることによって、吸着した不純物を脱着する電極部と、 前記電極部に電源を供給する電源部と、 前記電極部を短絡又は前記電極部に吸着時と逆向きの電圧の印加がされるように切り替える回路切替部と、を備え、 前記電極部における電圧、電流及び電荷量のうち少なくとも1つを検出する電気的検出部、又は、前記電源部から電源を供給する時間及び前記回路切替部による回路切替後の時間のうち少なくとも1つを計測する時間管理部のうち少なくとも一つを有し、 前記電気的検出部の検出結果又は前記時間管理部の計測結果に基づいて、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれかが行われることによって、吸着した不純物を脱着する前記搬送停止脱着モードの終了を前記制御部が決定する イオン除去装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 4年11月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 水中の不純物を吸着する吸着機能と、吸着した不純物を脱着する脱着機能とを有する水処理部と、 水を供給する給水部から搬送される水に含まれる不純物を吸着するように前記水処理部を制御する吸着モードと、吸着した不純物を前記給水部からの水の搬送が停止された状態で脱着するように前記水処理部を制御する搬送停止脱着モードとを実行する制御部と、 電圧が印加されることによって水中の不純物を吸着し、電圧の印加の停止、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうち少なくとも1つが行われることによって、吸着した不純物を脱着する電極部と、 前記電極部に電源を供給する電源部と、 前記電極部を短絡又は前記電極部に吸着時と逆向きの電圧の印加がされるように切り替える回路切替部と、を備え、 前記電極部における電圧、電流及び電荷量のうち少なくとも1つを検出する電気的検出部、又は、前記電源部から電源を供給する時間及び前記回路切替部による回路切替後の時間のうち少なくとも1つを計測する時間管理部のうち少なくとも一つを有し、 前記電気的検出部の検出結果又は前記時間管理部の計測結果に基づいて、電圧の印加の停止、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうち少なくとも1つが行われることによって、吸着した不純物を脱着する前記搬送停止脱着モードの終了を前記制御部が決定する イオン除去装置。」 2 補正の適否 本件補正は、本件訂正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「脱着」で「行われること」について、「電圧の印加の停止、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうち少なくとも1つ」から、「回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれか」とし、選択肢を3つから2つへ削減するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項および引用発明 ア 引用文献1について (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、韓国公開特許第10-2013-0074280号公報(平成25年 7月 4日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「 [図:0001411938000001.jpg] [図:0001411938000002.jpg] ・・・ [図:0001411938000003.jpg] ・・・ [図:0001411938000004.jpg] ・・・ [図:0001411938000005.jpg] [図:0001411938000006.jpg] 」 (当審訳: [0015] 図1を参照すれば、本発明の一実施例による電気吸着式脱塩装置は、電極(10)、電源供給部(20)及び制御部(30)を含むことができる。 ・・・ [0028] 電源供給部(20)は、入力される制御信号に応じて、極性が変化するパルス電圧又は予め設定された吸着電圧を前記電極に印加することができる。 ・・・ [0032] 制御部(30)は、動作サイクルに応じて制御信号を送信して、前記電極(10)に印加する電圧及び前記塩水の流入及び流出を制御することができる。 [0033] 前記制御部(30)は、前記電源供給部(20)の動作を制御するのみならず、前記電極(10)に流入する塩水の流入及び流出を制御することができる。具体的には前記制御部(30)は、供給ポンプを制御して前記塩水の供給を制御することができる。 ・・・ [0039] 但し、先に見たとおり、前記「停止」動作で脱着されたイオンが完全に脱着されずに電極界面内に残留していることがありえ、前記イオンはその後に再吸着されて前記電極(10)の吸着容量を低下させるおそれがある。その結果、図2に図示されたとおり、前記電気吸着式脱塩装置の脱塩効率を低下させることになる。 [0040] したがって、これを防止するために、本発明の一実施例による電気吸着式脱塩装置は、以下の表2のように「パルス」動作を追加して制御することができる。 表2 [0041] [図:0001411938000007.jpg] [0042] 前記表2を参照すれば、前記「吸着」及び「排水」動作は前記表1と同一だが、前記「停止」動作の持続時間が短くなっており、「パルス」動作が追加されたことを確認することができる。 [0043] 先に見たとおり、前記「停止」動作によっては、前記電極(10)に吸着したイオンが完全に脱着されないこともあり得るので、前記「パルス」動作を追加して強制的に前記イオンが脱着されるようにすることが可能である。 [0044] 具体的に、前記「パルス」動作は、極性が異なる電圧を交互に印加する動作であって、これは前記電極(10)とイオン間の電気的引力及び斥力を利用して前記イオンを強制的に脱着させることである。すなわち、前記「パルス」動作は反復的に印加される極性が異なるパルスによって、前記イオンが前記電極(10)側に引かれたり逆に遠ざかったりする動作を反復して前記電極(10)から完全に脱着されることが可能である。) (イ)上記表2からは、「+」および「-」の電圧を印加する40秒間の「パルス」動作の後に、0Vの電圧を印加する「排水」動作に切り替えられることが看取できる。 (ウ)以上から、引用文献1には、以下の事項(以下、「引用文献1に記載された事項」ともいう。)が記載されているといえる。 「電極(10)、電源供給部(20)及び制御部(30)を含み、 電源供給部(20)は、入力される制御信号に応じて、極性が変化するパルス電圧又は予め設定された吸着電圧を前記電極に印加し、 制御部(30)は、前記電源供給部(20)の動作を制御し、 「+」および「-」の電圧を印加する40秒間の「パルス」動作の後に、0Vの電圧を印加する「排水」動作に切り替えられる、 電気吸着式脱塩装置。」 イ 引用文献2について (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、中国特許出願公開第105541020号明細書(平成28年 5月 4日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「 [図:0001411938000008.jpg] ・・・ [図:0001411938000009.jpg] [図:0001411938000010.jpg] ・・・ [図:0001411938000011.jpg] ・・・ [図:0001411938000012.jpg] 」 (当審訳:[0002] 容量性脱イオン(Capacitive Deionization、略称CDI)脱塩技術は、汚水と電極との界面に形成される電気二重層を利用して汚水中のイオンを吸着し、イオン吸着が飽和に達したら、逆方向の電界力の作用下で脱離脱着を行って電極を再生するものである。容量性脱イオン法は低電圧が用いられ、化学剤不使用で、イオン(塩)が汚染されずに回収でき、すなわち無汚染、省エネルギー、高付加価値の水処理技術である。しかし、容量性脱イオンは、塩類イオンの除去率のみが高く、汚水中の有機汚染物、窒素及び燐の除去率は低いため、処理する汚水の水質の要件について制限があることが多い。 ・・・ [0026] 実施例1 CDIに基づく複合型人工湿地脱塩システム。前記複合型人工湿地脱塩システムは、予備処理システム及び複合垂直流人工湿地システムからなる。図1に示すとおり、予備処理システムは、第一加圧ポンプ23、流量計1、グレーチング22、CDI装置3、導電率計21、タンク20、第二加圧ポンプ19及び塩水蒸発板9を含む。第一加圧ポンプ23の入水口は管路を介して処理対象の汚水に連通し、第一加圧ポンプ23の出水口は管路を介してグレーチング22の入水口に連通し、グレーチング22の入水口箇所に流量計1が設けられ、グレーチング22の出水口は管路を介して第一遮断弁2の入水口に連通し、第一遮断弁2の出水口はCDI装置3の入水口に連通し、CDI装置3の出水口は管路を介して第二遮断弁5の入水口及び第三遮断弁4の入水口に連通する。第三遮断弁4の出水口は複合垂直流人工湿地の入水口に連通し、入水口は複合垂直流人工湿地の上部に位置する。第二遮断弁5の出水口はタンク20の入水口に連通し、タンク20の出水口は管路を介して第二加圧ポンプ19の入水口に連通し、第二加圧ポンプ19の出水口は塩水蒸発板9の入水口に連通する。 ・・・ [0030] 図2に示すとおり、前記CDI装置3は、ハウジング28の底板及び頂板に4個の取付溝が対称に設けられ、4個の取付溝は等間隔に設置され、各取付溝に絶縁セパレータ26が取り付けられ、1番目及び最後の絶縁セパレータ26はハウジング28の左側及び右側の対応する内壁に当接する構造である。最後の絶縁セパレータ26を除く各絶縁セパレータ26の右側面に電極陽極25が密着し、電極陽極25に近い他の側面に陽イオン交換膜24が設けられる。1番目の絶縁セパレータ26を除く各絶縁セパレータ26の左側面に電極陰極29が密着し、電極陰極29に近い他の側面に陰イオン交換膜31が設けられる。各電極陽極25は電源30の正極に接続され、各電極陰極29は電源30の負極に接続される。電源30の直流電圧は1.5Vである。ハウジング28の入水口27及び出水口32は、対応する1番目の絶縁セパレータ26及び最後の絶縁セパレータ26の通水口に連通し、通し番号が奇数の絶縁セパレータ26の上端に近い箇所に通水口が設けられ、通し番号が偶数の絶縁セパレータ26の下端に近い箇所に通水口が設けられる。導電率計21の液絡部はハウジング28底部を貫通してCDI装置3内部の通水路内に固定される。 ・・・ [0039] 本実施例の作業過程は以下のとおりである。直流電源30に接続し、グレーチング22で予備処理した汚水をCDI装置3内に流入させ、導電率計21によりオンラインで伝導率をモニターする。導電率計21の数値が再び上昇したら、電極のイオン吸着が飽和に達したことを表し、このときCDI装置3は脱離段階へ進み、第一加圧ポンプ23の動作を停止し、第一遮断弁2及び第三遮断弁4を閉じ、電源30からの給電を停止すると、正極と負極が5min短絡して脱着処理が行われる。) 「 [図:0001411938000013.jpg] 」 (イ)引用発明 上記(ア)によれば、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「予備処理システムは、第一加圧ポンプ23、流量計1、グレーチング22、CDI装置3、導電率計21、タンク20、第二加圧ポンプ19及び塩水蒸発板9を含み、 第一加圧ポンプ23の入水口は管路を介して処理対象の汚水に連通し、第一加圧ポンプ23の出水口は管路を介してグレーチング22の入水口に連通し、グレーチング22の入水口箇所に流量計1が設けられ、グレーチング22の出水口は管路を介して第一遮断弁2の入水口に連通し、第一遮断弁2の出水口はCDI装置3の入水口に連通し、 前記CDI装置3は、 汚水と電極との界面に形成される電気二重層を利用して汚水中のイオンを吸着するものであり、 ハウジング28の底板及び頂板に4個の取付溝が対称に設けられ、4個の取付溝は等間隔に設置され、各取付溝に絶縁セパレータ26が取り付けられ、 最後の絶縁セパレータ26を除く各絶縁セパレータ26の右側面に電極陽極25が密着し、 1番目の絶縁セパレータ26を除く各絶縁セパレータ26の左側面に電極陰極29が密着し、 各電極陽極25は電源30の正極に接続され、各電極陰極29は電源30の負極に接続され、 電源30の直流電圧は1.5Vであり、 直流電源30に接続され、グレーチング22で予備処理した汚水をCDI装置3内に流入させ、導電率計21によりオンラインで伝導率をモニターし、 導電率計21の数値が再び上昇したら、脱離段階へ進み、第一加圧ポンプ23の動作を停止し、第一遮断弁2及び第三遮断弁4を閉じ、電源30からの給電を停止し、正極と負極が5min短絡して脱着処理が行われる、 予備処理システム。」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 本願明細書【0004】の「特許文献1に開示された通液型電気二重層コンデンサを用いて、吸着工程の時間及び脱着工程の時間が同じまま脱着工程が行われると、吸着工程で得られたイオン濃度が低い水と同等の量のイオン濃度が高い水が発生する。このため、イオン濃度が低い水を得るために、イオン濃度が低い水の量と同じ量だけ、イオン濃度が高い水の量が発生して排出される。即ち、イオン濃度が高い水の排出量が多くなる。」との記載、及び、【0007】の「本開示によれば、水処理部は、搬送停止脱着モードにおいて、吸着した不純物を給水部からの水の搬送が停止された状態で脱着する。即ち、水処理部が不純物を脱着する際、水が供給されていないため、不純物を含む水が排出されない。このため、イオン濃度が高い水の排出量を低減することができる。」との記載からは、「不純物」が「イオン」であることがわかる。 そのため、引用発明の「汚水中のイオン」は、本件補正発明の「水中の不純物」に相当する。また、引用発明の「汚水と電極との界面に形成される電気二重層を利用して汚水中のイオンを吸着する」ことは、本件補正発明の「水中の不純物を吸着する吸着機能」に相当する。 イ 引用発明の「吸着」した「イオン」を「脱着」させる「脱着処理」は、本件補正発明の「吸着した不純物を脱着する脱着機能」に相当する。 ウ 上記ア及びイを踏まえると、引用発明の、「汚水と電極との界面に形成される電気二重層を利用して汚水中のイオンを吸着」し、「吸着」した「イオン」を「脱着」させる「脱着処理」を行う「CDI装置3」は、本件補正発明の「水中の不純物を吸着する吸着機能と、吸着した不純物を脱着する脱着機能とを有する水処理部」に相当する。 エ 引用発明の「第一加圧ポンプ23」により搬送される「処理対象の汚水」は、本件補正発明の「搬送される水」に相当する。 オ 引用発明の「CDI装置3」の「電極陽極25」及び「電極陰極29」に対して、「直流電圧」「1.5V」を印加することは、「CDI装置3」を電気的に制御しているといえる。 そのため、引用発明の、「CDI装置3」の「電極陽極25」及び「電極陰極29」に対して、「直流電圧」「1.5V」が印加され、「処理対象の汚水に連通し」た「第一加圧ポンプ23の入水口」から「第一加圧ポンプ23」により搬送される「処理対象の汚水」「中のイオンを吸着する」ことと、本件補正発明の「水を供給する給水部から搬送される水に含まれる不純物を吸着するように前記水処理部を制御する吸着モード」は、「搬送される水に含まれる不純物を吸着するように前記水処理部を制御する吸着モード」の点で共通している。 カ 引用発明の「CDI装置3」に対し、「給電を停止し、正極と負極」を「5min短絡」させることは、「CDI装置3」を電気的に制御しているといえる。 また、引用発明において「第一加圧ポンプ23の動作を停止」したならば、「処理対象の汚水に連通し」た「第一加圧ポンプ23の入水口」からの汚水の搬送は停止されることになる。 そのため、引用発明の、「第一加圧ポンプ23の動作を停止し、」「電源30からの給電を停止し、」「CDI装置3」の「正極と負極が5min短絡」される「脱着処理」を行うことと、本件補正発明の「吸着した不純物を前記給水部からの水の搬送が停止された状態で脱着するように前記水処理部を制御する搬送停止脱着モード」は、「吸着した不純物を」「水の搬送が停止された状態で脱着するように前記水処理部を制御する搬送停止脱着モード」の点で共通している。 キ 引用発明は「各電極陽極25は電源30の正極に接続され、各電極陰極29は電源30の負極に接続され」たものであるので、「電極陽極25」、「電極陰極29」、「電源30」を含む回路が存在することは明らかである。 そして、「正極と負極が5min短絡」するということは、上記回路が短絡することを意味しているといえる。 そのため、引用発明の、「各電極陽極25は電源30の正極に接続され、各電極陰極29は電源30の負極に接続され」、「直流電圧」「1.5V」が印加されて「汚水中のイオンを吸着」し、「正極と負極が5min短絡して脱着処理が行われる」、「電極陽極25」及び「電極陰極29」は、本件補正発明の「電圧が印加されることによって水中の不純物を吸着し、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれかが行われることによって、吸着した不純物を脱着する電極部」に相当する(当審注:下線が相当する構成である。)。 ク 引用発明の「電極陽極25」及び「電極陰極29」が「接続」され、「直流電圧」「1.5V」を印加する「電源30」は、本件補正発明の「電極部に電源を供給する電源部」に相当する。 ケ 引用発明は、「電源30」が「直流電圧」「1.5V」を印加して「吸着」し、「正極と負極」が「5min短絡」させられて「脱着」しているものであるから、「電圧」の印加状況が切り替えられているものである。 そのため、引用発明の、「電源30」が「直流電圧」「1.5V」を印加して「吸着」し、「正極と負極」が「5min短絡」させられて「脱着」することと、本件補正発明の「前記電極部を短絡又は前記電極部に吸着時と逆向きの電圧の印加がされるように切り替える回路切替部」とは、「前記電極部を短絡又は前記電極部に吸着時と逆向きの電圧の印加がされるように切り替える」点で共通している(当審注:下線が相当する構成である。)。 ク 引用発明の「汚水中のイオンを吸着する」「CDI装置3」を含む「予備処理システム」は、本件補正発明の「イオン除去装置」に相当する。 ケ 以上から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「水中の不純物を吸着する吸着機能と、吸着した不純物を脱着する脱着機能とを有する水処理部と、 搬送される水に含まれる不純物を吸着するように前記水処理部を制御する吸着モードと、吸着した不純物を水の搬送が停止された状態で脱着するように前記水処理部を制御する搬送停止脱着モードと、 電圧が印加されることによって水中の不純物を吸着し、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれかが行われることによって、吸着した不純物を脱着する電極部と、 前記電極部に電源を供給する電源部と、を備え、 前記電極部を短絡又は前記電極部に吸着時と逆向きの電圧の印加がされるように切り替える、 イオン除去装置。」 <相違点> 相違点1 本件補正発明は「水を供給する給水部」を備えるのに対し、引用発明は「水を供給する給水部」を備えるか不明である点。 相違点2 「吸着モード」及び「搬送停止脱着モード」の実行に関し、本件補正発明は「制御部」を備えるのに対し、引用発明は「制御部」を備えるか不明である点。 相違点3 本件補正発明は「回路切替部」を備えるのに対し、引用発明は「回路切替部」を備えるか不明である点。 相違点4 本件補正発明は、「前記電極部における電圧、電流及び電荷量のうち少なくとも1つを検出する電気的検出部、又は、前記電源部から電源を供給する時間及び前記回路切替部による回路切替後の時間のうち少なくとも1つを計測する時間管理部のうち少なくとも一つを有」するのに対し、引用発明はそのような構成を備えるか不明である点。 相違点5 本件補正発明は、「電気的検出部の検出結果又は前記時間管理部の計測結果に基づいて、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれかが行われることによって、吸着した不純物を脱着する前記搬送停止脱着モードの終了を前記制御部が決定する」のに対し、引用発明は、「正極と負極が5min短絡して脱着処理が行われる」ものである点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用発明の「予備処理システム」は、「第一加圧ポンプ23の入水口」が「管路を介して処理対象の汚水に連通」しているものであるので、「第一加圧ポンプ23の入水口」に接続された「管路」の上流に「処理対象の汚水」の供給源、すなわち、「水を供給する給水部」が存在することは明らかである。 そのため、相違点1は実質的な相違点ではない。 イ 相違点2について 一般に、「吸着」と「脱着」という異なる動作を単一のシステムで実現するためには、両動作を切り替えるための「制御部」を備えることが必要不可欠である。 そのため、「吸着」と「脱着」を実現している引用発明の予備処理システムは、引用文献2の明細書中に明示的な記載がなくとも、当然に制御部を備えているものといえる。 したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。 ウ 相違点3について 「電源30」が「直流電圧」「1.5V」を印加する動作と、「正極と負極」が「5min短絡」する動作とを切り替えるためには、当然に電気回路の切り替え機構、すなわち、回路切替部が必要である。 そのため、「電源30」が「直流電圧」「1.5V」を印加する動作と、「正極と負極」が「5min短絡」する動作とを実現している引用発明の予備処理システムは、引用文献2の明細書中に明示的な記載がなくとも、当然に回路切替部を備えているものといえる。 したがって、相違点3は実質的な相違点ではない。 エ 相違点4について 引用発明は、「正極と負極」を「5min短絡」する「脱着処理」を行っている。 これは脱着時間が5min、すなわち5分間であり、脱着処理の開始から5分後に脱着処理を終了していることを意味しているといえる。 そして、5分間の経過を把握するためには、時計等の、通電が短絡に切り替えられてからの時間を計測する時間管理部を備えることが必要不可欠である。 そのため、「正極と負極」を「5min短絡」する「脱着処理」を行っている引用発明の予備処理システムは、引用文献2の明細書中に明示的な記載がなくとも、当然に、通電が短絡に切り替えられてからの時間を計測する時間管理部を備えているものといえる。 したがって、相違点4は実質的な相違点ではない。 オ 相違点5について (ア)上記ウで記載したとおり、引用発明の「予備処理システム」は、「正極と負極」を「5min短絡」する「脱着処理」を行っていることから、当然、通電が短絡に切り替えられてからの時間を計測する時間管理部を備えるものであるから、当該時間管理部が「5min」を計測した場合に「短絡」を終了しているといえる。 (イ)上記(2)ア(ウ)で検討したとおり、引用文献1には、 「電極(10)、電源供給部(20)及び制御部(30)を含み、 電源供給部(20)は、入力される制御信号に応じて、極性が変化するパルス電圧又は予め設定された吸着電圧を前記電極に印加し、 制御部(30)は、前記電源供給部(20)の動作を制御し、 「+」および「-」の電圧を印加する40秒間の「パルス」動作の後に、0Vの電圧を印加する「排水」動作に切り替えられる、 電気吸着式脱塩装置。」 が記載されており、40秒の時間経過後の動作切り替えは制御部(30)が行っている。 (ウ)システムにおいて自動化を図ることは自明な課題であるところ、引用発明の「予備処理システム」において、引用文献1に記載された時間経過後の動作切り替えを制御部(30)が行う点を採用し、通電が短絡に切り替えられてからの時間を計測する時間管理部が「5min」を計測した際、制御部が「短絡」による「脱着処理」を終了させるようにすること、すなわち、上記相違点5に係る「時間管理部の計測結果に基づいて、回路の短絡」「が行われることによって、吸着した不純物を脱着する前記搬送停止脱着モードの終了を前記制御部が決定する」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 カ 本件補正発明の効果について 本願明細書【0007】の記載によれば、本件補正発明は、水処理部が不純物を脱着する際、水が供給されず、不純物を含む水が排出されないため、イオン濃度が高い水の排出量を低減することができるとの効果を奏するものである。 一方、引用発明は、「正極と負極が5min短絡して脱着処理が行われる」際に、「第一加圧ポンプ23の動作を停止」しているから、「イオン」を含む「汚水」が排出されない。 そうすると、引用発明は、本件補正発明と同様に、イオン濃度が高い水の排出量を低減することができるとの効果を奏するものといえる。 したがって、本件補正発明の効果は、引用発明の効果と比較して、格別顕著なものとはいえない。 (5)請求人の主張 請求人は、審判請求書の「(3)拒絶査定についての意見」において「更に、引用文献2には、本願発明の特徴は何ら開示されておらず、示唆もありません。」と主張しており、令和 5年 7月11日提出の上申書においても同様の主張をしている。 しかしながら、本件補正発明と引用発明との間に一致点が存在することは上記(3)で検討したとおりであり、相違点についても、相違点1~4は実質的な相違点ではなく、相違点5についても引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到できたものであることは上記(4)で検討したとおりであるので、上記請求人の主張は採用できない。 (6)よって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 令和 5年 4月 7日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、令和 4年11月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、引用文献2を主たる引用例とした拒絶の理由の概要は次のとおりである。 (1)この出願の請求項1、2、4~6に係る発明は、本願の出願日前に頒布された以下の引用文献2に記載された発明、及び、引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)この出願の請求項1~3、5、6に係る発明は、本願の出願日前に頒布された以下の引用文献2に記載された発明、及び、引用文献1、3、4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.韓国公開特許第10-2013-0074280号公報 引用文献2.中国特許出願公開第105541020号明細書 引用文献3.特表2008-525163号公報 引用文献4.中国特許出願公開第112110577号明細書 3 引用文献の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項及び引用発明は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2の検討によれば、本件補正発明の「脱着」で「行われること」について、「回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうちいずれか」を、「電圧の印加の停止、回路の短絡及び吸着時と逆向きの電圧の印加のうち少なくとも1つ」とし、選択肢を2つから3つへと増やしたものである。 そうすると、本願発明の選択肢3つのうち2つを含む本件補正発明が、上記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-005687

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決934件(三菱電機株式会社)
  • 2025-009951拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)点灯装置および照明装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-010761拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)光源ユニット及び照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-007101拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)増幅回路
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-010598拒絶査定不服審判 / 2026-08-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)半導体装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
  • 2025-002413拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)清掃装置および清掃方法
    同じ当事者: 三菱電機株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)324件(121・C02F、572・C02F、575・C02F)
  • 2024-014405拒絶査定不服審判 / 2026-02-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)純水製造装置及び純水製造方法
    共通の審決分類: 121・C02F、575・C02F
  • 2024-012593拒絶査定不服審判 / 2025-12-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)超純水製造装置、超純水の製造方法、及び超純水の製造プログラム
    共通の審決分類: 121・C02F、575・C02F
  • 2023-014244拒絶査定不服審判 / 2024-10-22 / 請求不成立循環型排水処理ユニット、および循環型排水処理システム
    共通の審決分類: 121・C02F、575・C02F
  • 2022-008040拒絶査定不服審判 / 2023-07-18 / 請求不成立紫外線光処理水分配システム及び方法
    共通の審決分類: 121・C02F、575・C02F
  • 2022-006951拒絶査定不服審判 / 2023-06-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)水処理方法および水処理装置
    共通の審決分類: 121・C02F、572・C02F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存