特許拒絶査定不服審判
2023-005319
半導体増幅回路
- 審判番号
- 2023-005319
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-146554
- 請求日
- 2023年04月03日
- 審決日
- 2023年12月19日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社東芝
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】赤岡 明
- 【請求人代理人】川崎 康
- 【請求人】東芝デバイス&ストレージ株式会社
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】赤岡 明
- 【請求人代理人】川崎 康
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 衣鳩 文彦
- 分類
- P18 .113-WY (H03F) / P18 .112-WY (H03F) / P18 .572-WY (H03F) / P18 .575-WY (H03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第6項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-146554「半導体増幅回路」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月22日出願公開、特開2021- 27549、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年8月8日の出願であって、令和4年7月20日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年9月1日に手続補正がされ、令和4年12月23日付けで拒絶査定がされたものである。これを不服として令和5年4月3日に本件審判の請求がされ、同時に手続補正がされた。
第2 令和5年4月3日の手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年4月3日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
令和5年4月3日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和4年9月1日に補正された特許請求の範囲の請求項1-9の記載を、補正後の請求項1-9の記載に補正するものであり、補正前後の請求項1-9の記載は、それぞれ、次のとおりである。(下線部は、補正箇所である。)
[補正前の請求項]
【請求項1】
入力信号に応じたゲート駆動信号を出力するとともに、駆動増強信号が第1論理の間は前記ゲート駆動信号の駆動能力を増強するゲート駆動器と、
前記入力信号が所定の条件を満たしてから所定時間の間は前記駆動増強信号を前記第1論理にし、前記所定時間が経過すると前記駆動増強信号を第2論理に遷移させる増強時間設定部と、
前記ゲート駆動信号が入力されるゲートを有するトランジスタを有し、前記トランジスタから前記入力信号を増幅した増幅信号を出力する出力回路と、を備える、半導体増幅回路。
【請求項2】
前記入力信号は、安定時には同一の電圧レベルで、信号論理が遷移する際に一時的に電圧レベルが相違する第1入力信号及び第2入力信号を含む差動入力信号である、請求項1に記載の半導体増幅回路。
【請求項3】
前記第1入力信号の電圧レベルから前記第2入力信号の電圧レベルを差し引いた第1電圧差が所定の基準電圧より大きいか否かを検出する第1比較器と、
前記第2入力信号の電圧レベルから前記第1入力信号の電圧レベルを差し引いた第2電圧差が前記基準電圧より大きいか否かを検出する第2比較器と、を備え、
前記増強時間設定部は、前記第1電圧差が前記基準電圧より大きいことが前記第1比較器にて検出された場合、又は前記第2電圧差が前記基準電圧より大きいことが前記第2比較器にて検出された場合に、前記所定時間にわたって前記駆動増強信号を前記第1論理に設定する、請求項2に記載の半導体増幅回路。
【請求項4】
前記第1電圧差が前記基準電圧以下になったことが前記第1比較器にて検出された場合、又は前記第2電圧差が前記基準電圧以下になったことが前記第2比較器にて検出された場合に、所定論理の信号を出力する論理演算回路を備え、
前記増強時間設定部は、前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力したときに、前記駆動増強信号を前記第2論理にする、請求項3に記載の半導体増幅回路。
【請求項5】
前記増強時間設定部は、前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力すると直ちに電荷を蓄積し、前記論理演算回路が前記所定論理以外の論理の信号を出力すると蓄積電荷を時間をかけて放電するキャパシタを有し、
前記増強時間設定部は、前記キャパシタが所定量以上の電荷を蓄積している場合に前記駆動増強信号を前記第1論理に設定する、請求項4に記載の半導体増幅回路。
【請求項6】
前記第1入力信号と前記第2入力信号との電圧差に応じた電流を出力する、第1導電型の第1トランジスタ対と、
前記第1トランジスタ対から出力された電流に定電流源からの電流を加算した電流に応じた電圧を出力する電流加算器と、を備え、
前記ゲート駆動器は、前記電流加算器から出力された電圧に応じた前記ゲート駆動信号を出力する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の半導体増幅回路。
【請求項7】
前記第1入力信号と前記第2入力信号との電圧差に応じた電流を出力する、第2導電型の第2トランジスタ対を備え、
前記電流加算器は、前記第1トランジスタ対及び前記第2トランジスタ対から出力された電流に前記定電流源からの電流を加算した電流に応じた電圧を出力する、請求項6に記載の半導体増幅回路。
【請求項8】
前記出力回路から出力される前記増幅信号は、前記第1トランジスタ対のいずれか一方のトランジスタのゲートに負帰還される、請求項6又は7に記載の半導体増幅回路。
【請求項9】
前記駆動増強信号が前記第1論理か前記第2論理かによって、電圧レベルが異なるバイアス電圧を出力するバイアス選択器を備え、
前記ゲート駆動器は、前記バイアス選択器から出力された前記バイアス電圧に応じて前記ゲート駆動信号の駆動能力を切り替える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体増幅回路。
[補正後の請求項]
【請求項1】
入力信号に応じたゲート駆動信号を出力するとともに、駆動増強信号が第1論理の間は前記ゲート駆動信号の駆動能力を増強するゲート駆動器と、
前記入力信号が所定の条件を満たしてから所定時間の間は前記駆動増強信号を前記第1論理にし、前記所定時間が経過すると前記駆動増強信号を第2論理に遷移させる増強時間設定部と、
前記ゲート駆動信号が入力されるゲートを有するトランジスタを有し、前記トランジスタから前記入力信号を増幅した増幅信号を出力する出力回路と、を備え、
前記所定時間は、固定時間である、半導体増幅回路。
【請求項2】
前記入力信号は、安定時には同一の電圧レベルで、信号論理が遷移する際に一時的に電圧レベルが相違する第1入力信号及び第2入力信号を含む差動入力信号である、請求項1に記載の半導体増幅回路。
【請求項3】
前記第1入力信号の電圧レベルから前記第2入力信号の電圧レベルを差し引いた第1電圧差が所定の基準電圧より大きいか否かを検出する第1比較器と、
前記第2入力信号の電圧レベルから前記第1入力信号の電圧レベルを差し引いた第2電圧差が前記基準電圧より大きいか否かを検出する第2比較器と、を備え、
前記増強時間設定部は、前記第1電圧差が前記基準電圧より大きいことが前記第1比較器にて検出された場合、又は前記第2電圧差が前記基準電圧より大きいことが前記第2比較器にて検出された場合に、前記所定時間にわたって前記駆動増強信号を前記第1論理に設定する、請求項2に記載の半導体増幅回路。
【請求項4】
前記第1電圧差が前記基準電圧以下になったことが前記第1比較器にて検出された場合、又は前記第2電圧差が前記基準電圧以下になったことが前記第2比較器にて検出された場合に、所定論理の信号を出力する論理演算回路を備え、
前記増強時間設定部は、前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力したときに、前記駆動増強信号を前記第2論理にする、請求項3に記載の半導体増幅回路。
【請求項5】
前記増強時間設定部は、前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力すると直ちに電荷を蓄積し、前記論理演算回路が前記所定論理以外の論理の信号を出力すると蓄積電荷を時間をかけて放電するキャパシタを有し、
前記増強時間設定部は、前記キャパシタが所定量以上の電荷を蓄積している場合に前記駆動増強信号を前記第1論理に設定する、請求項4に記載の半導体増幅回路。
【請求項6】
前記第1入力信号と前記第2入力信号との電圧差に応じた電流を出力する、第1導電型の第1トランジスタ対と、
前記第1トランジスタ対から出力された電流に定電流源からの電流を加算した電流に応じた電圧を出力する電流加算器と、を備え、
前記ゲート駆動器は、前記電流加算器から出力された電圧に応じた前記ゲート駆動信号を出力する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の半導体増幅回路。
【請求項7】
前記第1入力信号と前記第2入力信号との電圧差に応じた電流を出力する、第2導電型の第2トランジスタ対を備え、
前記電流加算器は、前記第1トランジスタ対及び前記第2トランジスタ対から出力された電流に前記定電流源からの電流を加算した電流に応じた電圧を出力する、請求項6に記載の半導体増幅回路。
【請求項8】
前記出力回路から出力される前記増幅信号は、前記第1トランジスタ対のいずれか一方のトランジスタのゲートに負帰還される、請求項6又は7に記載の半導体増幅回路。
【請求項9】
前記駆動増強信号が前記第1論理か前記第2論理かによって、電圧レベルが異なるバイアス電圧を出力するバイアス選択器を備え、
前記ゲート駆動器は、前記バイアス選択器から出力された前記バイアス電圧に応じて前記ゲート駆動信号の駆動能力を切り替える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体増幅回路。
2 補正の適否
(1)目的
本件補正の請求項1(及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2-9)に係る補正は、補正前の請求項1(及び請求項2-9)に記載した発明特定事項である「所定時間」を「前記所定時間は、固定時間である」と限定するものであって、その補正前の請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決使用する課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
よって、本件補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて次に検討する。
(2)独立特許要件
本件補正後の請求項5に記載されている事項により特定される発明について、以下に検討する。
請求項5は請求項4を引用し、請求項4は請求項3を引用し、請求項3は請求項2を引用し、請求項2は請求項1を引用する、すなわち、請求項5は請求項1を間接的に引用するものであるから、請求項5に係る発明は、請求項1に記載された「前記入力信号が所定の条件を満たしてから所定時間の間は前記駆動増強信号を前記第1論理にし、前記所定時間が経過すると前記駆動増強信号を第2論理に遷移させる」、「前記所定時間は、固定時間である」との発明特定事項を有している。
これらの発明特定事項から、請求項5に係る発明では、駆動増強信号を第1論理にしてから第2論理にするまでの時間(駆動能力を増強する時間)が固定時間であるといえる。
一方で、請求項5に係る発明は、「前記増強時間設定部は、前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力すると直ちに電荷を蓄積し、前記論理演算回路が前記所定論理以外の論理の信号を出力すると蓄積電荷を時間をかけて放電するキャパシタを有し、
前記増強時間設定部は、前記キャパシタが所定量以上の電荷を蓄積している場合に前記駆動増強信号を前記第1論理に設定する」との発明特定事項も有している。
この発明特定事項によれば、請求項5に係る発明は、入力信号が所定の条件を満たして(請求項でいう「前記論理演算回路が前記所定論理の信号を出力」したとき)から該条件が満たされている間はキャパシタに電荷が蓄積されていて駆動増強信号は第1論理に設定されており、入力信号が所定の条件を満たさなくなるとそのときからキャパシタが放電を開始し、所定量以下に放電されると駆動増強信号が第2論理になるものである。すなわち、駆動増強信号を第1論理にしてから第2論理にするまでの時間(駆動能力を増強する時間)は、入力信号によることとなり、必ずしも固定時間とはなり得ない。
したがって、請求項5の記載は、「所定時間」が「固定時間である」こと、及び、「所定時間」が「固定時間でない」こと、の相矛盾する2つのことが成り立つから、請求項5に係る発明は矛盾を含むものであって、特許を受けようとする発明が明確でない。
よって、本件補正後の請求項5に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項で準用する特許法第126条第7項に規定する要件を満たしていない。
したがって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
令和5年4月3日の手続補正は却下されたので、本願の請求項1-9に係る発明は、令和4年9月1日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項(上記「第2 1[補正前の請求項]」)により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-005319