特許拒絶査定不服審判
2023-004552
光学構造およびそれを製造する方法
- 審判番号
- 2023-004552
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-191556
- 請求日
- 2023年03月17日
- 審決日
- 2024年03月18日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】磯野 富彦
- 審判長/審判官
- 審判長 神谷 健一
- 審判官 本田 博幸
- 審判官 関根 洋之
- 分類
- P18 .121-WYA(G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-191556「光学構造およびそれを製造する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月19日出願公開、特開2022- 14422、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願は、令和2年11月18日(パリ条約による優先権主張2020年7月6日、米国)の出願であって、令和3年11月16日付けで拒絶理由が通知され、令和4年1月31日に手続補正書及び意見書が提出され、令和4年5月27日付けで拒絶理由(最後)が通知され、令和4年9月9日に手続補正書及び意見書が提出されたが、令和4年9月9日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)が令和4年12月19日付けで却下されるとともに、同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされた。
本件拒絶査定不服審判事件は、「特願2020-191556について、令和4年12月19日になされた補正の却下の決定ならびに査定を取り消す。本願発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」との趣旨で、令和5年3月17日に請求されたものであって、請求人は、審判請求書中で、補正の却下の決定は不適法なものであり取り消されるべきである旨主張している。
第2 令和4年9月9日に提出された手続補正書による補正後の請求項1ないし9に係る発明
本件補正後の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれを「本件却下発明1」ないし「本件却下発明9」とい、これらを総称して「本件却下発明」ということがある。)は、本件補正後の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本件補正後の請求項1ないし9の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
感知センサ、
前記感知センサの上に配置される平坦化層、
前記平坦化層の上に配置され、上面視において、縦方向、横方向に複数配置される複数の突出部、
前記複数の突出部の上方に配置される光源、および
前記光源と前記複数の突出部の間に配置されるモジュールレンズを含み、
前記複数の突出部は、入射光の位相が0~2πの間になるように制御するサイズ分布を有し、-90度~90度の角度の入射光を0度の角度の光にコリメートする光学システム。
【請求項2】
前記光源は、可視光源または赤外光源を含み、
前記複数の突出部のそれぞれは、上面視において、最大幅のサイズが前記光源から照射される波長より短い請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記複数の突出部は、100nm~1000nmの範囲のピッチを有する請求項1または請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記複数の突出部は、円柱体、立方体、四角柱、またはV字型アンテナを含む請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項5】
前記複数の突出部は、円柱体であり、前記複数の突出部のそれぞれは、40nm~500nmの範囲の直径を有する請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記複数の突出部の材料は、TiO2、SiN、SiO2、SiH、またはそれらの組み合わせを含む請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項7】
前記感知センサ上に光学多層膜を更に含む請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項8】
前記感知センサは、CMOSイメージセンサまたは指紋センサを含む請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記赤外光源は、850nm、940nm、1350nm、または1550nmの波長の光を放射する請求項2に記載の光学システム。」
第3 令和4年12月19日にされた補正の却下の決定の概要
本件補正を却下する決定の理由は、概略、次のようなものである。
本件補正後の請求項1~9についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、本件補正後の請求項1~9に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないが、本件補正後の請求項1~9に係る発明は、次の理由で、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
却下理由(進歩性):
補正後の請求項1~9に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、
補正後の請求項1ないし9に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
却下理由で引用された引用例、周知例、及び、参考例は、次のとおりである。
引用文献1:特開2015-92234号公報(主引例)
引用文献2:特開2018-156999号公報(周知例)
引用文献3:国際公開第2019/109182号(周知例)
参考文献 :特開2005-309286号公報(参考例)
第4 補正の却下の決定の当否に対する当合議体の判断
1 却下理由(進歩性)について
(1)引用文献1に記載された発明
引用文献1の記載(特に、【0039】~【0064】、【0094】、【図1】~【図2】、【図20】、【図23】等を参照。)から、引用文献1に、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「撮像素子アレイ50、
撮像素子アレイ50の上に配置される基板1、
基板1の上に配置され、上面視において、縦方向、横方向に複数配置される複数のリッジ20を有した構造である擬似周期構造層2を含み、
擬似周期構造層2が有する複数のリッジ20は、入射光の位相が0~2πの間になるように制御するサイズ分布を有するレンズ。」
(2)本件却下発明1について
ア 引用発明との対比
本件却下発明1と引用発明を対比すると、両者は、少なくとも、次の点で相違する。
相違点1:
本件却下発明1では、光源と複数の突出部の間に配置されるモジュールレンズを含み、複数の突出部が、-90度~90度の角度の入射光を0度の角度の光にコリメートするのに対して、
引用発明では、擬似周期構造層2の表面2a側または基板1の裏面1a側から入射する光を透過し集光するものであり、-90度~90度の角度の入射光を0度の角度の光にコリメートすること、及び、光源と擬似周期構造層2の間に配置されるモジュールレンズを含むことは明示されていない点。
イ 当合議体の判断
(ア)相違点1の容易想到性について
引用文献1には、引用発明のレンズは、可視光または近赤外線を集光・発散させるのに特に適している旨、及び、そのレンズを透過する光を集光する透過型レンズであるが、集光ではなく、透過光を発散させるレンズとすることもできる旨が記載されている(【0032】、【0154】)が、引用発明のレンズを透過する光を0度の角度の光にコリメートすること、及び、光源と擬似周期構造層2の間に配置されるモジュールレンズを含むことは、記載も示唆もされていない。
また、補正の却下の決定で参考例として引用された特開2005-309286号公報(特に、【0250】、【図23】等を参照。)には、発散的な白色光を平行光に集光させることが記載されているが、たとえ「集光」に発散的な入射光を平行光とすることが含まれるとしても、引用発明において、擬似周期構造層2が有する複数のリッジ20により、-90度~90度の角度の入射光を0度の角度の光にコリメートする動機付けは見当たらないことから、引用発明において、相違点1に係る本件却下発明1の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることが、当業者が容易に想到し得たことということはできない。
さらに、補正の却下の決定で周知例として例示された引用文献2~3のいずれを考慮しても、引用発明において、相違点1に係る本件却下発明1の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることが、当業者が容易に想到し得たことということはできない。
(イ)小括
以上のとおりであるから、本件却下発明1は、引用発明及び引用文献2~3に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件却下発明2~9について
本件補正後の請求項2ないし9は、請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって、本件却下発明2ないし9は、本件却下発明1の発明特定事項を全て具備し、これに限定を加えたものに該当するから、本件却下発明2ないし9と引用発明は、少なくとも相違点1において相違する。
したがって、前記(2)イ(イ)で述べたとおり、本件却下発明1が、引用発明及び引用文献2~3に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、同様の理由で、本件却下発明2ないし9も、引用発明及び引用文献2~3に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)却下理由のまとめ
前記(2)及び(3)のとおりであるから、却下理由によって、本件却下発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものということはできない。
2 補正の却下の決定の当否についての結論
以上のとおり、却下理由によって、本件却下発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものということはできない。また、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
したがって、本件却下発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)に適合する。
よって、令和4年12月19日付け補正の却下の決定を取り消す。
第5 本件発明
前記第4 2のとおり、令和4年12月19日にされた補正の却下の決定は取り消されたから、本件出願の請求項1ないし9に係る発明は、本件補正後の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであって、当該請求項1ないし9の記載は、前記第2で認定したとおりである。
第6 原査定の拒絶の理由の概要及び原査定に対する当合議体の判断
原査定の拒絶の理由は、却下理由と同じである。
そうすると、前記第4 1で述べたのと同様に、原査定の理由によって、本件出願を拒絶することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本件出願を拒絶することはできない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-004552