特許拒絶査定不服審判
2023-003528
通信システムおよびプログラム
- 審判番号
- 2023-003528
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-004372
- 請求日
- 2023年03月01日
- 審決日
- 2024年03月07日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】リンナイ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人 快友国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 充
- 審判官 村山 美保
- 審判官 水野 治彦
- 分類
- P18 .121-WY (F24C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 4372「通信システムおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月27日出願公開、特開2020-112320、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成31年1月15日の出願であって、令和4年8月1日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年12月20日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和5年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1、5に対して 引用文献1~4
・請求項2~4に対して 引用文献1~5
引用文献一覧
引用文献1.特開2017-180935号公報
引用文献2.特開2017-167617号公報
引用文献3.特開2018-40515号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2005-341080号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2017-17415号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和4年10月5日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項によって特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
加熱調理器と、前記加熱調理器と通信可能な外部端末を備える通信システムであって、
前記加熱調理器は、
電池と、
前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備えており、
前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が第1しきい値以下の場合に、前記電池残量に関連する電池残量関連情報を前記外部端末に送信し、
前記外部端末は、前記電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知し、
前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に、前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを示す動作不能情報を前記外部端末に送信し、
前記外部端末は、前記動作不能情報を受信した場合に、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを報知する、通信システム。
【請求項2】
前記電池残量低減情報は、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作を実行可能な期間を示す動作可能期間に関する情報を含んでおり、
前記動作可能期間は、前記電池残量関連情報に基づいて特定される、請求項1の通信システム。
【請求項3】
前記外部端末は、前記電池残量関連情報に基づいて、前記動作可能期間を特定する、請求項2の通信システム。
【請求項4】
前記加熱調理器および前記外部端末と通信可能な外部サーバをさらに備えており、
前記外部サーバは、
前記加熱調理器から、前記電池残量関連情報を受信し、
前記電池残量関連情報に基づいて、前記動作可能期間を特定し、
前記動作可能期間を示す動作可能期間情報を、前記外部端末に送信する、請求項2の通信システム。
【請求項5】
加熱調理器と通信可能な外部端末において実行されるプログラムであって、
前記加熱調理器は、電池と、前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備えており、
前記プログラムは、前記外部端末のコンピュータに、
前記加熱調理器から、前記電池残量が第1しきい値以下の場合に送信される電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知する処理と、
前記加熱調理器から、前記電池残量が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に送信される動作不能情報を受信した場合に、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを報知する処理と、を実行させる、プログラム。」
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項、認定事項及び引用発明
原査定で引用され、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付したものである(以下同様。)。
ア 「【0030】
図3を参照して、ガスコンロ1の電気的構成について説明する。
ガスコンロ1において、筐体本体4の内部には電源部40が収容されている。この電源部40は、例えば2本の乾電池が直列に接続された構成となっており、筐体本体4に対し直接又は他部材を介して間接的に固定されている。また、筐体本体4の内部には、基板本体に各種電子部品が実装されてなるメイン基板9が設けられ、このメイン基板9も筐体本体4に対して直接又は他部材を介して間接的に固定されている。」
イ 「【0036】
マイクロコンピュータ50には、電圧検出回路49が接続されている。電圧検出回路49は、電源部40(電池)の電圧を検出する公知の電圧検出回路として構成されており、マイクロコンピュータ50は、電圧検出回路49からの検出値を監視することで、電池電圧を把握している。
【0037】
次に、ガスコンロ1で行われる可視光通信について説明する。
図4で示す表示処理は、ガスコンロ1の電源投入後、マイクロコンピュータ50によって所定の短時間毎に繰り返し実行される処理である。図4の処理では、処理開始に伴い、電池残量を判定する(S1)。S1では、電源部40の電圧(電池電圧)が閾値電圧未満であるか否かを判断し、電源部40の電圧(電池電圧)が閾値電圧未満である場合、S1にてYesに進む。S1にてYesに進む場合、発光部60を第1の発光状態(点灯状態)で表示する(S4)。S4で発光部60を点灯させる場合、発光部60を連続的且つ継続的に発光させ続ける。」
ウ 「【0041】
このように、本構成では、制御部に相当するマイクロコンピュータ50により表示制御がなされ、第一条件を満たした場合(具体的には、電源部40検出部が検出した場合)に発光部60を第一の発光状態(点灯状態)に制御する。そして、第二条件を満たした場合(電源部40(電池)の所定の出力低下状態とは異なるエラー状態が発生した場合)に発光部60を第一の発光状態(点灯状態)とは異なる第二の発光状態(点灯状態と消灯状態とが繰り返される点滅状態)に制御する。そして、第二の発光状態に制御する場合に可視光通信を行い、発光部60から放出される可視光の発光状態を変化させることで発光状態の変化に対応した情報を外部に送信する。」
エ 「【0049】
図4のS3の処理では、このような詳細情報を可視光通信によって発光部60から送信し、外部に設けられた受信装置(可視光信号を受信し、解析しうる装置)に伝送することができる。」
オ 「図3
[図:0001408739000001.jpg]
」
カ 「図4
[図:0001408739000002.jpg]
」
キ 上記ア及びイの記載、ならびに、電池電圧が電池残量を示すことは技術常識であることを踏まえると、マイクロコンピュータ50は、電源部40の乾電池の電池残量を検出し、電池残量が閾値未満であるか否かを判断していると認められる。
ク 上記イ~エより、ガスコンロ1は、受信装置と通信し、電池が所定の出力低下状態となったことを発光状態にて表示する「システム」を備えると認められる。
ケ 上記エの記載、ならびに、受信装置が可視光信号を受信し、解析する際にはプログラムを実行することが技術常識であることを踏まえると、受信装置は、処理を実行するプログラムを備えると認められる。
以上の事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されている。
<引用発明1>
「ガスコンロ1と、ガスコンロ1と通信可能な受信装置を備え、
ガスコンロ1は、
乾電池と、
乾電池の電池残量を検出可能なマイクロコンピュータ50を備えており、
ガスコンロ1は、マイクロコンピュータ50が検出した電池残量が閾値未満の場合に、電池が所定の出力低下状態となったことを発光状態にて表示するシステム。」
<引用発明2>
「ガスコンロ1と通信可能な受信装置において実行されるプログラムであって、
ガスコンロ1は、乾電池と、乾電池の電池残量を検出可能なマイクロコンピュータ50を備えており、
プログラムは、受信装置に処理を、実行させる、プログラム。」
(2)引用文献2に記載された事項
原査定で引用され、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0012】
本発明による電池式警報器の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて、本発明の電池式警報器における制御データの流れの基本を説明する。この電池式警報器は、機能部として、電池電圧検出部20と、事象検出部3と、制御ユニット4と、音声出力部5と、情報通信部6とを備えている。ここでは、電池2として、定格3Vの電池パック(例えば1.5V電池2本)が用いられている。各機能部は、基本的には、電池2からの給電により各機能を維持することができ、電池2が最低電圧値、例えば1.9V以下となると、その機能の正常な働きが失われる。
【0013】
電池電圧検出部20は、電池電圧を検出し、その検出電圧を出力する。事象検出部3は、火災、ガス漏れ、不完全燃焼による一酸化炭素などの少なくとも1つを検出事象として検出して、事象検出信号を出力するセンサである。音声出力部5における音声は、広い範囲の用語であり、ブザー音や電子音なども含まれ、制御ユニット4からの報知指令に基づいて、必要な音声をブザーやスピーカなどから出力させる。なお、出力される報知には、大きく分けて、事象発生の警告を報知する警報と、電池2の残量が減ってきたことを報知する注意報とがある。情報通信部6は、電話通信網やインターネット回線などを通じて、携帯電話やパソコンなどの外部装置に情報を送信するネットワーク通信インタフェースである。電話番号やメールアドレスなどを登録しておくことで、火災やガス漏れなどの警報や電池切れ(電圧低下)情報が関係者に送信される。
【0014】
制御ユニット4には、主にソフトウエアで構築される、電池電圧判定部40と、第1電圧低下報知部41と、第2電圧低下報知部42と、事象報知部43とが含まれている。電池電圧判定部40は、電池電圧検出部20によって検出された検出電圧に対する判定基準として、第1しきい値と第2しきい値とを有する。第1しきい値と第2しきい値とは、この警報器が動作不能となる、電池2の最低電圧値よりは高く、第1しきい値は第2しきい値より高い。例えば、最低電圧値は1.9V程度、第1しきい値は2.4V程度、第2しきい値は2.1V程度に設定することができる。電池電圧判定部40は、電池2の残量が減り始め、まず検出電圧が第1しきい値以下になった場合、第1指令を出力し、さらに電池2の残量が減り、第2しきい値(2.1V)以下になった場合、第2指令を出力する。第1指令及び第2指令は、電池切れが迫ってきていることを報知するための指令であり、第2指令の方がその緊迫度は高い。まず、第1指令が出力されると、第1電圧低下報知部41が音声出力部5に電圧低下報知指令を与え、電圧低下の報知が行われる。この電圧低下の報知は、ランプの点滅やブザーの間欠音である。その点滅間隔や間欠音の時間間隔は、人が異常に気づく程度のものが良い。その持続時間は、報知による電池の消費を出来るだけ抑えるため、数日程度に抑えられる。この電圧低下の報知が、人によって気づかれず、電池交換がなされなければ、電池2の残量はさらに減り、第2指令が出力される。これにより、第2電圧低下報知部42が情報通信部6に電圧低下情報送信指令を与え、電圧低下の情報送信が行われる。この情報送信の内容は電池電圧の低下であり、電話やメールを通じての、電池の交換を促すものである。なお、第2指令の出力は、電池の残量が危険な段階にきていることを意味するので、電池2の消費を出来る限り抑えるため、電圧低下情報送信指令を伴う第2指令に基づく処理は、好ましくは、1回だけに限定される。」
イ 「図1
[図:0001408739000003.jpg]
」
以上の事項から、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献2記載事項>
「電池式警報器は、電池2の残量を検出可能な電池電圧検出部20を備えており、
第1電圧低下報知部41は、電池電圧検出部20が検出した検出電圧が第1しきい値以下の場合に、電圧低下報知指令を音声出力部5に送信し、
音声出力部5は、電圧低下報知指令を受信した場合に、電池電圧低下の報知をし、
情報通信部6は、電池電圧検出部20が検出した検出電圧が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に、電池の残量が危険な段階にきていることを意味する電圧低下情報を外部装置に送信し、
外部装置は、電池の残量が危険な段階にきていることを意味する電圧低下情報を受信した場合に、電池の残量が危険な段階にきていることを報知すること。」
(3)引用文献3に記載された事項
原査定で引用され、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0038】
ところで、ガスコンロ1と携帯端末5との無線通信機能を利用する場合、使用する携帯端末5をガスコンロ1に予め登録しておく必要がある。その手順を詳述すると、まず、携帯端末5側で、ガスコンロ1の動作状態の表示や自動調理のレシピデータ等の動作条件を設定するための遠隔操作用のアプリケーションプログラム(以下、「コンロ操作AP」という)を起動する。これにより、携帯端末5の操作表示パネル61には、湯沸し、煮物、揚物、炊飯など複数の調理モードを選択設定するための擬似操作キーとなる調理モード設定ボタン、加熱目標温度を設定するための擬似操作キーとなる温度設定ボタン、火力を設定するための擬似操作キーとなる火力設定ボタン、加熱時間を設定するための擬似操作キーとなるタイマ設定ボタン、加熱目標温度や火力、加熱時間の設定を加減するための擬似操作キーとなる加減ボタン、ガスコンロ1との間で通信可能な状態にするための擬似操作キーとなる接続ボタン、携帯端末5の設定を変更するための擬似操作キーとなる設定変更ボタン等が配置された設定操作画面が表示され、自動調理の動作条件の選択設定やガスコンロ1との通信設定が可能な状態となる。」
以上の事項から、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献3記載事項>
「ガスコンロ1が携帯端末5と無線通信を行うこと。」
(4)引用文献4に記載された事項
原査定で引用され、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献4には、次の事項が記載されている。
ア 「【0034】
<本システムにおける情報授受のフロー>
コンロ情報通信システム1は上述のとおり構成されており、次に本システムにおける情報授受のフローについて説明する。情報フローとしては、(1)情報取得、(2)情報提供、(3)遠隔操作の3種類の流れがある。まず、(1)情報取得については、コンロ2で取得される燃焼情報を、一旦、熱源機制御部4aに蓄積し、一定時間蓄積された情報を公衆回線網10を介して管理センタ5に送るものである。また、(2)情報提供については、管理センタ5から顧客の携帯端末21、PC19等に配信するものであり、(1)で取得した燃焼情報に基づいてコンロの有効利用方法等の情報を提供するものである。さらに、(3)遠隔操作については、例えば、外出中の顧客携帯端末21からの要求に基づいて、管理センタ5から自宅のHA端末器17、コンロ2の運転確認、消火等を指示するものである。以下にこれらの制御の詳細について説明する。」
以上の事項から、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献4記載事項>
「コンロ情報通信システム1において、コンロ2で取得される燃焼情報を、一旦、熱源機制御部4aに蓄積し、一定時間蓄積された情報を、公衆回線網10を介して管理センタ5に送り、管理センタ5から顧客の携帯端末21、PC19等に配信すること。」
第5 当審の判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを、その技術的意義を考慮して対比する。
引用発明1の「ガスコンロ1」は、本願発明1の「加熱調理器」に相当し、以下同様に、「受信装置」は「外部端末」に、「乾電池」は「電池」に、それぞれ相当する。さらに、引用発明1の「マイクロコンピュータ50」は、電池残量を検出する部材であるから、本願発明1の「電池残量検出部」に相当する。
よって、引用発明1の「ガスコンロ1と、ガスコンロ1と通信可能な受信装置を備え、ガスコンロ1は、乾電池と、乾電池の電池残量を検出可能なマイクロコンピュータ50を備えて」いることは、本願発明1の「加熱調理器と、前記加熱調理器と通信可能な外部端末を備え、前記加熱調理器は、電池と、前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備えて」いることに相当する。
引用発明1の「電池が所定の出力低下状態となったこと」は、本願発明1の「前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報」に、引用発明1の「表示する」は、本願発明1の「報知する」に相当する。
よって、引用発明1の「ガスコンロ1は、マイクロコンピュータ50が検出した電池残量が閾値未満の場合に、電池が所定の出力低下状態となったことを発光状態にて表示する」ことと、本願発明1の「前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が第1しきい値以下の場合に、前記電池残量に関連する電池残量関連情報を前記外部端末に送信し、前記外部端末は、前記電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知」することとは、「前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が所定の条件を満たさない場合に、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知する」ことの限りにおいて一致している。
引用発明1の「システム」と、本願発明1の「通信システム」とは、「システム」の限りにおいて一致している。
以上のことから、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点で一致し、相違点1及び相違点2で相違する。
<一致点>
「加熱調理器と、前記加熱調理器と通信可能な外部端末を備え、前記加熱調理器は、電池と、前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備えており、前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が所定の条件を満たさない場合に、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知するシステム。」
<相違点1>
「前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が所定の条件を満たさない場合に、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知する」「システム」に関して、本願発明1は、「前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が第1しきい値以下の場合に、前記電池残量に関連する電池残量関連情報を前記外部端末に送信し、前記外部端末は、前記電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知」する「通信システム」であるのに対して、引用発明1は、「ガスコンロ1は、マイクロコンピュータ50が検出した電池残量が閾値未満の場合に、電池が所定の出力低下状態となったことを発光状態にて表示する」「システム」である点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記加熱調理器は、前記電池残量検出部が検出した前記電池残量が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に、前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを示す動作不能情報を前記外部端末に送信し、前記外部端末は、前記動作不能情報を受信した場合に、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを報知する」のに対して、引用発明1は、そのような事項を備えていない点
イ 当審の判断
上記相違点1について検討する。
ガスコンロが携帯端末と無線通信を行うことは、周知事項(引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項を参照。以下、「周知事項」という。)である。そして、当該周知事項を考慮すれば、引用発明1においても、「無線通信によってガスコンロの情報を携帯端末(外部装置)に送信する」という課題が内在するといえる。
引用文献2記載事項は、電池電圧検出部20が検出した検出電圧が第1しきい値以下の場合に、電圧低下報知指令を音声出力部5に送信し、音声出力部5は、電圧低下報知指令を受信した場合に、電池電圧低下の報知をし、第2しきい値以下の場合に、外部装置に電圧低下情報送信し、外部装置が電池の残量が危険な段階にきていることを報知するものといえる。しかしながら、引用文献2記載事項は、「第1しきい値以下の場合」に、電池残量に関連する電池残量関連情報を「外部端末」に送信し、「外部端末」は、電池残量関連情報を受信した場合に、電池残量関連情報に基づいて記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知するものではない。
そうすると、引用発明1に引用文献2記載事項を適用したものは、「第1しきい値以下の場合」に、電池残量に関連する電池残量関連情報を「外部端末」に送信し、「外部端末」は、電池残量関連情報を受信した場合に、電池残量関連情報に基づいて記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知するものにはならない。
したがって、たとえ引用発明1に引用文献2記載事項を適用したとしても、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることはできない。
そして、本願発明1は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項により、加熱調理器の電池残量が第1しきい値以下になった時点で、加熱調理器の電池残量が低減したことを、外部端末を介して使用者に報知することができるという格別な効果を奏するものである。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用文献2記載事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2~4は、本願発明1と同様の理由により、引用発明1、引用文献2記載事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本願発明5について
ア 対比
本願発明5と引用発明2とを、その技術的意義を考慮して対比する。
引用発明2の「ガスコンロ1」は、本願発明5の「加熱調理器」に、引用発明2の「受信装置」は、本願発明5の「外部端末」に相当する。
よって、引用発明2の「ガスコンロ1と通信可能な受信装置において実行されるプログラム」は、本願発明5の「加熱調理器と通信可能な外部端末において実行されるプログラム」に相当する。
引用発明2の「乾電池」は本願発明5の「電池」に相当する。さらに、引用発明2の「マイクロコンピュータ50」は電池残量を検出する部材であるから、引用発明2の「マイクロコンピュータ50」は、本願発明5の「電池残量検出部」に相当する。
よって、引用発明2の「ガスコンロ1は、乾電池と、乾電池の電池残量を検出可能なマイクロコンピュータ50を備え」ることは、本願発明5の「前記加熱調理器は、電池と、前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備え」ることに相当する。
引用発明2の「プログラムは、受信装置に処理を、実行させる、プログラム」と、本願発明5の「前記プログラムは、前記外部端末のコンピュータに、前記加熱調理器から、前記電池残量が第1しきい値以下の場合に送信される電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知する処理と、前記加熱調理器から、前記電池残量が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に送信される動作不能情報を受信した場合に、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを報知する処理と、を実行させる、プログラム」とは、「プログラムは、外部端末のコンピュータに処理を実行させるプログラム」の限りにおいて一致している。
以上のことから、本願発明5と引用発明2とは、次の一致点で一致し、相違点3で相違する。
<一致点>
「加熱調理器と通信可能な外部端末において実行されるプログラムであって、前記加熱調理器は、電池と、前記電池の電池残量を検出可能な電池残量検出部を備えており、プログラムは、外部端末のコンピュータに、処理を実行させるプログラム。」
<相違点3>
「外部端末のコンピュータに処理を実行させるプログラム」に関して、本願発明5は、「プログラムは、前記外部端末のコンピュータに、前記加熱調理器から、前記電池残量が第1しきい値以下の場合に送信される電池残量関連情報を受信した場合に、前記電池残量関連情報に基づいて、前記電池残量が低減したことに関連する電池残量低減情報を報知する処理と、前記加熱調理器から、前記電池残量が前記第1しきい値よりも低い第2しきい値以下の場合に送信される動作不能情報を受信した場合に、前記加熱調理器において前記電池からの電力を利用した動作が不能となることを報知する処理と、を実行させる、プログラム」であるのに対して、引用発明2は、「プログラムは、受信装置に処理を、実行させる、プログラム」である点。
イ 当審の判断
上記相違点3について検討する。
引用発明2の「プログラム」は、電池残量を報知する処理を実行させるものではないから、引用発明2に引用文献2記載事項を適用する動機付けはない。
また、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項は、上記相違点3に係る本願発明5の発明特定事項を開示ないし示唆するものでもない。
そして、本願発明5は、上記相違点3に係る本願発明5の発明特定事項により、加熱調理器の電池残量が第1しきい値以下になった時点で、加熱調理器の電池残量が低減したことを、外部端末を介して使用者に報知することができ、加熱調理器の電池残量が第2しきい値以下になり、もうすぐ電池切れを生じるタイミング、又は電池切れを生じたタイミングで、電池切れにより加熱調理器が動作不能となること、又は動作不能となったことを、外部端末を介して使用者に報知するという格別な効果を奏するものである。
したがって、本願発明5は、引用発明1及び引用文献2記載事項ないし引用文献4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由は、維持することができない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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