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特許拒絶査定不服審判

2023-002886

木質バイオマス燃料発電システム及び木質バイオマス燃料発電方法

審判番号
2023-002886
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-213060
請求日
2023年02月20日
審決日
2024年03月25日
公報発行日
2024年04月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】千代田化工建設株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人大島特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 充
  • 審判官 間中 耕治
  • 審判官 竹下 和志
分類
P18 .121-WY (F23G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-213060「木質バイオマス燃料発電システム及び木質バイオマス燃料発電方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月28日出願公開、特開2020- 79674、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願は、平成30年11月13日の出願であって、令和4年6月3日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年11月17日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた。 これに対し、令和5年2月20日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。 第2 本件補正の適否について 1.本件補正の内容 (1)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 【請求項1】 木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電システムであって、 燃料を乾燥させる乾燥機と、 燃焼用空気を予熱する空気予熱器と、 前記乾燥機によって乾燥した前記燃料を、前記燃焼用空気を用いて燃焼させるボイラーと、 前記ボイラーによって加熱された蒸気により駆動される少なくとも1つの発電用蒸気タービンと、 を備え、 前記発電用蒸気タービンは、前記ボイラーから供給された前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記ボイラーから前記高圧蒸気タービンを介して供給された前記蒸気によって駆動される多段抽気型の低圧蒸気タービンと、を含み、 前記低圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気は、前記高圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気よりも低圧であり、 前記乾燥機は、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、 前記空気予熱器は、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱することを特徴とする木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項2】 乾燥用空気を供給する送風機と、 前記第1の抽出蒸気および前記乾燥用空気の熱交換により、前記乾燥機に導入される前記乾燥用空気を加熱する熱交換器と、 を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項3】 前記乾燥機に導入される前記乾燥用空気の温度が120℃~150℃の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項4】 前記乾燥機は、前記燃料を収容すると共に前記乾燥用空気が導入される収容容器と、前記燃料の水分を含む前記乾燥用空気を前記収容容器から排出するベントとを備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項5】 前記空気予熱器から前記ボイラーに導入される前記燃焼用空気の温度が200℃~250℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項6】 前記発電用蒸気タービンに付設された復水器を更に備え、 前記乾燥機において前記燃料の乾燥に用いられた前記第1の抽出蒸気が、前記復水器に循環されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項7】 前記燃料は、前記乾燥機による乾燥前に40~50重量%の水分を含み、かつ前記乾燥機による乾燥後に20重量%以下の水分を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項8】 木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電方法であって、 燃料を乾燥させる乾燥工程と、 燃焼用空気を予熱する空気予熱工程と、 前記乾燥工程によって乾燥した前記燃料を、ボイラーによって前記燃焼用空気を用いて燃焼させる燃焼工程と、 前記燃焼工程における燃焼熱によって加熱された蒸気により少なくとも1つの発電用蒸気タービンを駆動する発電工程と、 を有し、 前記発電用蒸気タービンは、前記ボイラーから供給された前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記ボイラーから前記高圧蒸気タービンを介して供給された前記蒸気によって駆動される多段抽気型の低圧蒸気タービンと、を含み、 前記低圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気は、前記高圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気よりも低圧であり、 前記乾燥工程では、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、 前記空気予熱工程では、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱することを特徴とする木質バイオマス燃料発電方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和4年8月9日に手続補正した特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。 「 【請求項1】 木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電システムであって、 燃料を乾燥させる乾燥機と、 燃焼用空気を予熱する空気予熱器と、 前記乾燥機によって乾燥した前記燃料を、前記燃焼用空気を用いて燃焼させるボイラーと、 前記ボイラーによって加熱された蒸気により駆動される少なくとも1つの発電用蒸気タービンと、 を備え、 前記乾燥機は、前記発電用蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、 前記空気予熱器は、前記発電用蒸気タービンから取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱することを特徴とする木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項2】 乾燥用空気を供給する送風機と、 前記第1の抽出蒸気および前記乾燥用空気の熱交換により、前記乾燥機に導入される前記乾燥用空気を加熱する熱交換器と、 を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項3】 前記乾燥機に導入される前記乾燥用空気の温度が120℃~150℃の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項4】 前記乾燥機は、前記燃料を収容すると共に前記乾燥用空気が導入される収容容器と、前記燃料の水分を含む前記乾燥用空気を前記収容容器から排出するベントとを備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項5】 前記空気予熱器から前記ボイラーに導入される前記燃焼用空気の温度が200℃~250℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項6】 前記発電用蒸気タービンは、前記ボイラーから供給された前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記ボイラーから前記高圧蒸気タービンを介して供給された前記蒸気によって駆動される低圧蒸気タービンを含み、 前記低圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気は、前記高圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気よりも低圧であり、 前記第1及び第2の抽出蒸気は、前記低圧蒸気タービンから取り出されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項7】 前記発電用蒸気タービンに付設された復水器を更に備え、 前記乾燥機において前記燃料の乾燥に用いられた前記第1の抽出蒸気が、前記復水器に循環されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項8】 前記燃料は、前記乾燥機による乾燥前に40~50重量%の水分を含み、かつ前記乾燥機による乾燥後に20重量%以下の水分を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の木質バイオマス燃料発電システム。 【請求項9】 木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電方法であって、 燃料を乾燥させる乾燥工程と、 燃焼用空気を予熱する空気予熱工程と、 前記乾燥工程によって乾燥した前記燃料を、前記燃焼用空気を用いて燃焼させる燃焼工程と、 前記燃焼工程における燃焼熱によって加熱された蒸気により少なくとも1つの発電用蒸気タービンを駆動する発電工程と、 を有し、 前記乾燥工程では、前記発電用蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、 前記空気予熱工程では、前記発電用蒸気タービンから取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱することを特徴とする木質バイオマス燃料発電方法。」 2.本件補正の目的及び新規事項の追加の有無について 本件補正は、請求項1の「発電用蒸気タービン」について、 「前記発電用蒸気タービンは、前記ボイラーから供給された前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記ボイラーから前記高圧蒸気タービンを介して供給された前記蒸気によって駆動される多段抽気型の低圧蒸気タービンと、を含み、 前記低圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気は、前記高圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気よりも低圧であり、」であることを特定するとともに、「第1の抽出蒸気」が「低圧」蒸気タービンから取り出されること、および「第2の抽出蒸気」が「低圧」蒸気タービンの「前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して」取り出されることを特定するものであって、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。 請求項1に対する補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、単に「当初明細書等」という。)に記載された以下の事項に基づくものであるから、当初明細書等に記載された事項に記載された範囲内においてするものである。 ・「前記発電用蒸気タービンは、より高圧の前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記高圧蒸気タービンを介して供給されたより低圧の前記蒸気によって駆動される低圧蒸気タービンを含み、前記第1及び第2の抽出蒸気は、前記低圧蒸気タービンから取り出される」(請求項6) ・「高圧蒸気タービン101は、主蒸気ラインL3を介してボイラー31から供給される蒸気によって駆動される。」(【0061】) ・「一方、高圧蒸気タービン101の排出蒸気の一部は、上述の再熱器72が設けられた排出蒸気ラインL4を介して低圧蒸気タービン102に供給される。」(【0062】) ・「低圧蒸気タービン102は、多段抽気型の蒸気タービンであり、第1~第4抽気ラインL9a~L9dを介して異なる圧力の蒸気が抽出される。」(【0063】) ・「発電設備4には、第4抽気ラインL9dから分岐する乾燥空気用蒸気ラインL11及び第2抽気ラインL9bから分岐する加熱空気用蒸気ラインL12が設けられている。」(【0065】) ・「乾燥空気用蒸気ラインL11には、上述の熱交換器13が設けられており、乾燥空気用蒸気ラインL11の下流端は復水ラインL10に接続されている。」(【0066】) ・「加熱空気用蒸気ラインL12には、上述の第1補助予熱器95及び第2補助予熱器96が設けられており、加熱空気用蒸気ラインL12の下流端は脱気器105に接続されている。」(【0067】) なお、請求項8は、請求項1のカテゴリー違いの発明であるから、請求項8に対する手続補正は、請求項1と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。 以上のとおり、請求項1及び請求項8に対する手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであり、同条第第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1及び請求項8に記載される発明(以下「本願補正発明1」、「本願補正発明8」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3.独立特許要件について (1)引用文献に記載された事項及び引用発明 ア 引用文献1(特開2012-145293号公報)に記載された事項及び引用発明 (ア)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は、廃棄物をガス化溶融処理する廃棄物処理設備において、廃棄物ガス化溶融炉に廃棄物と共に、あるいは単独で投入する木材チップを乾燥させる方法に関する。」 ・「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明が解決しようする課題は、廃棄物ガス化溶融炉に投入する木材チップの水分含有量のばらつきを抑え、木材チップの投入による吹き抜け現象の抑制効果及びコークス使用量の低減効果を確実に得ることができるように、木材チップを乾燥させる方法を提供することにある。」 ・「【0017】 廃棄物ピット1に貯留された廃棄物は、廃棄物クレーン2により廃棄物ガス化溶融炉(以下、単に「溶融炉」という。)3に炉上部より投入される。 【0018】 溶融炉3は、シャフト炉式の溶融炉であり、円筒状のシャフト部3aと、その下部の朝顔部3b、さらにその下部の炉底部3cとを備えてなる。一般的に、シャフト部3aの上部側は、主として廃棄物が乾燥及び予熱される乾燥・予熱帯を構成し、シャフト部3aの下部側から朝顔部3bの上部側は、主として廃棄物中の可燃分が熱分解・ガス化される熱分解ガス化帯を構成し、コークスベッド3gが形成される炉底部3cは、主として灰分や乾留残渣等が燃焼・溶融される燃焼溶融帯を構成する。 【0019】 炉底部3cには下段羽口3dが周方向に複数配置されている。この下段羽口3dからは空気又は酸素富化空気を供給し、コークスベッド3gを形成するコークス及び廃棄物の可燃性乾留残渣(固定炭素)を燃焼させて、これを溶融熱源とする。一方、上段羽口3eからは空気を供給し、主に廃棄物を燃焼させる。溶融した廃棄物は、出滓口3fより排出される。 【0020】 ガス化により生成した可燃性ガスは、溶融炉1(当審注:「溶融炉3」の誤記と認める。)の上部に接続されたガス管4を経由して燃焼室5へ導入されて燃焼される。燃焼後の高温の燃焼排ガスはボイラ6へ送られ、熱回収が行われる。熱回収後の燃焼排ガスは、減温塔7で温度を調整して集じん機8に通し、さらには触媒反応塔9で公害物質を除去した後、煙突10から排出される。 【0021】 ボイラ6で発生した蒸気は、蒸気タービン11に導入され、付帯する発電機12により発電する。蒸気タービン11で仕事を取り出した後の蒸気(低圧蒸気)は、蒸気復水器13により冷却され復水する。 【0022】 本発明では、蒸気復水器13で発生する排熱を利用して、溶融炉1(当審注:「溶融炉3」の誤記と認める。)に投入する木材チップを乾燥させる。図1の例では木材チップ14はチップピット15に保管されており、この木材チップ14を蒸気復水器13で発生する排熱を利用して乾燥させる。乾燥後の木材チップ14は、溶融炉1に直接投入されるか、あるいは廃棄物ピット1に一旦保管されて廃棄物と共に溶融炉1に投入される。溶融炉1(当審注:「溶融炉3」の誤記と認める。)には、廃棄物と木材チップのほか、コークスや石灰石などの副原料が投入される。 【0023】 溶融炉1(当審注:「溶融炉3」の誤記と認める。)に投入された木材チップは、炉内を降下するにしたがい、対向して流れる高温ガスにより廃棄物と共に乾燥・熱分解(乾燥・乾留)される。木材チップ及び廃棄物が熱分解・ガス化することによる乾留残渣は、図1に模式的に示すように、灰分や不燃成分とともにコークスベッド3gの上面に堆積して炭化物粒子層3hを形成する。炭化物粒子層3hは通気抵抗層として機能し、下段羽口3dから吹き込まれる空気や乾留ガスなどの炉内ガスが局所的に吹き抜けることを妨げ、ガスの流れを整流化する。 【0024】 図2は、木材チップを蒸気復水器で発生する排熱を利用して乾燥させる本発明の乾燥方法を実施するための乾燥装置の一例を示す。 【0025】 図2に示す蒸気復水器13は、ヘッド13aに供給された蒸気タービン11からの蒸気(低圧蒸気)を細管13bに流し、その下方に配置されたファン13cによって送風される空気との熱交換により蒸気を冷却し復水させる。この蒸気復水器13は、図2において紙面に垂直な方向に沿って所定の長さを有し、これに合わせてファン13cも所定の間隔をおいて複数台配置されている。 【0026】 蒸気復水器13の上方にネットコンベア16が配置されている。ネットコンベア16のコンベア面(コンベアベルト)16aは通気性のあるネット材で形成されており、コンベア面16a上に木材チップ14が載せられて搬送される。コンベアベルト16aによる搬送方向は、蒸気復水器13の長手方向と同じ、図2において紙面に垂直な方向である。 【0027】 蒸気復水器13においてファン13cによって送風される空気は、細管13bを流れる蒸気と熱交換して50℃程度に加温される。その加温された空気は、ネットコンベア16のコンベア面16aを通過し、コンベア面16a上の木材チップ14を乾燥させる。乾燥後の木材チップ14は、先に説明したように、溶融炉1(当審注:「溶融炉3」の誤記と認める。)に直接投入されるか、あるいは廃棄物ピット1に一旦保管されて廃棄物と共に溶融炉1に投入される。 【0028】 本発明者らの実験によると、水分含有量の多い木材チップの一種である間伐材(生木)の水分含有量は50~60質量%程度であり、これをそのまま溶融炉に投入すると炉内での炭化が不十分となる場合があった。そこで、間伐材を雨等の影響を受けない場所で自然乾燥させたところ、24時間で水分含有量は20質量%まで低下し、その後ほぼ一定となった。この乾燥後の間伐材を木材チップとして溶融炉に投入したところ、炉内で十分に炭化され、炭化物粒子層の形成に寄与した。 【0029】 この実験結果から、溶融炉に投入する木材チップは、その水分含有量が20質量%程度となるまで乾燥させれば良いと言えるが、図2の乾燥装置を使用した本発明の乾燥方法によれば、50℃程度に加熱した空気にて1~1.5時間程度で、水分含有量が50~60質量%程度の木材チップを水分含有量が20質量%程度まで乾燥できることが確認された。すなわち、図2の乾燥装置において、蒸気復水器13上に配置されたネットコンベア16による木材チップ14の搬送時間を1~1.5時間程度になるように調整すれば、木材チップ14を連続的に乾燥させることができる。なお、この搬送時間は、乾燥装置の大きさ、木材チップの量や性状などに応じて適宜設定する。 【0030】 本発明において使用する木材チップの形状及び大きさは、特に限定されないが、好ましい一例として、長さ(最長部)が100mm以下、幅が30mm以下、厚さが10mm以下である。木材チップの種類も特に限定されない。」 ・「【図1】 [図:0001408721000001.jpg] 」 ・「【図2】 [図:0001408721000002.jpg] 」 (イ)認定事項 ・【0027】から、乾燥後の木材チップ14は、溶融炉3に投入されることが理解できる。そして、【0022】及び【0023】から、溶融炉3に投入された木材チップ14は、乾燥・熱分解されてガス化することが理解できる。 ・【0020】及び【0021】から、ガス化により発生した可燃性ガスは、燃焼室5に導入されて燃焼され、燃焼後の高温の燃焼排ガスは、ボイラ6に送られ、ボイラ6で発生した蒸気は、蒸気タービン11に導入され、付帯する発電機12により発電することが理解できるから、引用文献1には、木材チップ14を燃料として用いて発電を行う木材チップ発電システムが記載されていると認められる。 ・可燃性ガスは、燃焼用空気を用いて燃焼することが技術常識であるから、引用文献1に記載された燃焼室5に導入された可燃性ガスは、燃焼用空気を用いて燃焼するものと認められる。 (ウ)引用発明 上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明」という。)。 (引用発明) 「木材チップ14を燃料として用いて発電を行う木材チップ発電システムであって、 木材チップを蒸気復水器で発生する排熱を利用して乾燥させる乾燥装置と、 乾燥後の木材チップ14は、溶融炉3に投入され、溶融炉3に投入された木材チップ14は、乾燥・熱分解されてガス化され、ガス化により発生した可燃性ガスは、燃焼室5に導入され、燃焼室5に導入された可燃性ガスは、燃焼用空気を用いて燃焼され、燃焼後の高温の燃焼排ガスは、ボイラ6に送られ、ボイラ6で発生した蒸気は、蒸気タービン11に導入される、木材チップ発電システム。」 イ 引用文献2に記載された事項 (ア)引用文献2(特開2012-83031号公報)には、以下の事項が記載されている。 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は、単位発電量当たりの石炭使用量やCO2排出量を削減し得る石炭乾燥装置及び石炭乾燥方法に関し、石炭を燃料とする石炭火力発電設備に適用可能なものである。」 ・「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 この一方、蒸気タービンから蒸気を抽気して、該抽気蒸気を加熱源として空気を加熱し、微粉砕機に供給する方法も提案されている(特許文献1)。しかし、上記で説明したように高水分石炭にはこの特許文献1は適用できないし、微粉砕機での酸素濃度の上昇につながり、炭塵爆発の危険性が増大する欠点を有していた。 【0008】 他方、蒸気タービンから蒸気を抽気して、該抽気蒸気を加熱源として石炭を乾燥する方法も、既に提案されている(特許文献2)。しかし、石炭の乾燥排ガスは、集塵機で除塵された後、大気に通常放出されていて、熱回収(主に蒸発潜熱回収)をこの特許文献2も経済的に行うことはできなかった。 【0009】 尚ここで、石炭火力発電所の熱収支を考えると、入熱と出熱は概略次のようになる。入熱としては、燃料の熱量、燃焼空気(大気)の熱量、補給純水(室温)の熱量であり、また、出熱としては、復水器放散放熱量、排ガス熱量、機器等の放熱量、発電量である。 【0010】 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、単位発電量当たりの石炭消費量やCO2排出量を削減し得る石炭乾燥装置及び石炭乾燥方法を提供することを目的とする。」 ・「【0034】 図2は、本実施の形態が適用される再過熱・再生方式の石炭火力発電設備を示す概略図である。 この図2に示すように、スチームチューブドライヤ1から排出される乾燥された乾燥炭DCが投入可能なように、微粉砕機2が配置されており、また、この微粉砕機2で粉砕されて粉状になった乾燥炭DCが投入可能なように、ボイラ3が取り付けられている。ボイラ3で発生した蒸気S1及びボイラ燃焼排ガスEG4が、第1過熱器4に送り込まれるようになっていて、この第1過熱器4を通過した過熱蒸気S2が高圧蒸気タービン7に送り込まれて、この高圧蒸気タービン7が駆動されるようになっている。 【0035】 そして、この高圧蒸気タービン7は、低圧蒸気タービン8に連結されているだけでなく、図示しない発電機に繋がっていて、高圧蒸気タービン7と低圧蒸気タービン8とが連動して回転することで、電力を発生するようになっている。また、ボイラ燃焼排ガスEG4は第1過熱器4を通過して、ボイラ燃焼排ガスEG5として再過熱器5を通過するだけでなく、この後、ボイラ燃焼排ガスEG6として空気加熱器6に投入される。最終的には、ボイラ燃焼排ガスEG1となって、排ガスとされると共に、ボイラ燃焼排ガスEG2とされて微粉砕機2に送り込まれるようになっている。 【0036】 他方、過熱蒸気S2が投入された高圧蒸気タービン7からは排気蒸気S3が排出され、再過熱器5に投入されて、この再過熱器5で再過熱されて再過熱蒸気S4となり、低圧蒸気タービン8に供給されるようになっている。これに伴い、この低圧蒸気タービン8からは排気蒸気S5が排出されるが、この排気蒸気S5は復水器9に送り込まれるようになっていて、この復水器9で排気蒸気S5が復水されてドレインD1となる。この復水器9は熱交換機11に繋がっていて、このドレインD1が熱交換機11に送り込まれるようになり、この熱交換機11で乾燥排ガスDEGと熱交換されて、乾燥排ガスDEGから熱回収する。 【0037】 さらに、この熱交換機11はボイラ3に繋がっていて、このドレインD1は熱交換機11を通過してボイラ給水D2となって、ボイラ3に送り込まれるようになる。この際、低圧蒸気タービン8の途中から排出された蒸気の一部とされる抽気蒸気S9、S10及び、高圧蒸気タービン7の途中から排出された蒸気の一部とされる抽気蒸気S7、S8が、この途中に投入されて、ボイラ給水D2を加熱する。 【0038】 他方、スチームチューブドライヤ1から排出されたドレインD3は、STDキャリアガス加熱器10で外気A3を加熱してキャリアガスCGとすると共に、ドレインD4となってボイラ給水D2に混合されるようになっている。 【0039】 次に、本実施の形態が適用される石炭火力発電設備における手順を説明する。 図2に示すようにスチームチューブドライヤ1に石炭Cが供給されると、乾燥されて乾燥炭DCとなり、乾燥した乾燥炭DCを排出すると共に乾燥排ガスDEGを排出し、この乾燥炭DCが微粉砕機2で微粉砕される。他方、空気加熱器6前後の温度の相互に異なる出口燃焼排ガスEG6と出口燃焼排ガスEG1とが混合されて温度調整された排ガスEG2とされ、この排ガスEG2が微粉砕機2に供給され、この微粉砕機2が石炭を乾燥しながら微粉砕する。そして、この排ガスEG2が微粉砕物を同伴してボイラ3に供給され、このボイラ3内の図示しないバーナーで燃焼される。 【0040】 ボイラ3で発生した熱媒体である蒸気S1は、第1過熱器4においてボイラ燃焼排ガスEG4により加熱されて過熱蒸気S2となり、高圧蒸気タービン7に供給され、この高圧蒸気タービン7を駆動する。この高圧蒸気タービン7の途中から蒸気の一部が抽出されて抽気蒸気S7、S8となり、ボイラ給水D2を加熱する。残りの大部分の蒸気は、高圧蒸気タービン7から排気蒸気S3として排出され、再過熱器5でボイラ燃焼排ガスEG5により再過熱されて再過熱蒸気S4となり、低圧蒸気タービン8に供給される。 【0041】 低圧蒸気タービン8の途中から蒸気の一部は抽気蒸気S9、S10として排出され、同じくボイラ給水D2を加熱する。また、低圧蒸気タービン8の途中の1ケ所からSTD加熱用蒸気S11が抽気され、スチームチューブドライヤ1に供給される。この際のSTD加熱用蒸気S11の圧力は、3MPa以下望むらくはO.3MPa~1.5MPaの範囲とされる。このSTD加熱用蒸気S11はスチームチューブドライヤ1で石炭Cを加熱して乾燥させ、凝縮してドレインD3となり排出される。このドレインD3は、STDキャリアガス加熱器10において外部から取り込んだ空気A3を加熱してキャリアガスCGとした後、ドレインD4となってボイラ給水D2の加熱に利用される。 【0042】 低圧蒸気タービン8の排気蒸気S5は復水器9で復水した後、熱交換機11で乾燥排ガスDEGから熱回収されて再加熱された後、ドレインD4と混合されて昇温し、さらに、前述のように高圧蒸気タービン7及び低圧蒸気タービン8の抽気蒸気S7~S10で加熱され、ボイラ給水D2となりボイラ3に給水する。 【0043】 他方、再過熱器5から排出された出口燃焼排ガスEG6は、空気加熱器6でボイラ燃焼空気A1を加熱した後、燃焼排ガスEG1となって、大部分は図示していない排ガス処埋設備で処理された後、放出される。尚、空気加熱器6の代わりにボイラ給水を加熱する節炭器とすることもできる。 【0057】 本発明は、樹脂、食品、有機物などの乾燥をはじめとして、木質バイオマスや有機廃棄物などの乾燥などを目的とした乾燥に応用できる他、他の産業用機械に適用可能となる。」 ・「【図2】 [図:0001408721000003.jpg] 」 (イ)認定事項 ・【0034】、【0039】及び【0043】から、ボイラ3は、微粉砕機2で粉砕されて粉状となった乾燥炭DCが投入され、ボイラ燃焼空気A1を用いて燃焼が行われるものと認められる。 ・【0034】~【0036】から、高圧蒸気タービン7及び低圧蒸気タービン8は、ボイラ3で発生した蒸気によって駆動される発電用の蒸気タービンと認められる。 ・【0034】~【0036】の高圧蒸気タービン7及び低圧蒸気タービン8を駆動する蒸気は、高圧蒸気タービンからの排気蒸気S3が再過熱されて再過熱蒸気S4となって低圧蒸気タービン8供給されるのであるから、低圧蒸気タービン8が駆動される再過熱蒸気S4は、高圧蒸気タービンが駆動される過熱蒸気S2よりも低圧であると認められる。 ・【0037】及び【0041】から、低圧蒸気タービン8から、複数段にわたって蒸気が抽気されていることから、低圧蒸気タービン8は、多段抽気型のものと認められる。 (ウ)引用文献2記載事項 上記(ア)、(イ)から、引用文献2には、以下の事項が記載されているといえる(以下、「引用文献2記載事項」という。)。 「石炭火力発電設備であって、 石炭Cを乾燥させて乾燥炭CDにするスチームチューブドライヤ1と、 ボイラ燃焼空気A1を加熱する空気加熱器6と、 微粉砕機2で粉砕されて粉状になった乾燥炭DCが投入され、ボイラ燃焼空気A1を用いて燃焼が行われるボイラ3と、 ボイラ3で発生した蒸気によって駆動される発電用蒸気タービンと、 を備え、 発電用蒸気タービンは、ボイラ3で発生した蒸気S1及びボイラ燃焼排ガスEG4が、第1過熱器4に送り込まれ、第1過熱器4を通過した過熱蒸気S2が高圧蒸気タービン7に送り込まれて駆動される高圧蒸気タービン7と、高圧蒸気タービン7からは排気蒸気S3が排出され、再過熱器5に投入されて、再過熱器5で再過熱されて再過熱蒸気S4となって供給される多段抽気型の低圧蒸気タービン8と、を含み、 低圧蒸気タービン8が駆動される再過熱蒸気S4は、高圧蒸気タービンが駆動される過熱蒸気S2よりも低圧であり、 低圧蒸気タービン8の途中の1ケ所からSTD加熱用蒸気S11が抽気されスチームチューブドライヤ1に供給され、STD加熱用蒸気S11はスチームチューブドライヤ1で石炭Cを加熱して乾燥させ、 空気加熱器6は、再過熱器5から排出された出口燃焼排ガスEG6でボイラ燃焼空気A1を加熱すること。」 ウ 引用文献3に記載された事項 (ア)引用文献3(特開平6-82002号公報)には、以下の事項が記載されている。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はパルプ工場におけるパルプ製造過程で生成される黒液を燃料とする黒液回収ボイラとガスタービンとを有して、建設費の低減と、信頼性の向上と、回収電力量の増加を可能にするガスタービン排ガス利用回収ボイラ発電プラントに関するものである。 【0002】 【従来の技術】図2は高温高圧回収ボイラと背圧タービンを用いた従来の発電プラントの例である。図2において、回収ボイラ51の過熱器52を出た高温高圧の蒸気は蒸気タービン56に送られ、仕事をして低圧蒸気(約0.3MPaG)となり、減温装置57で、この圧力の飽和温度より若干高い温度まで減温されて工場プロセスに送られて行く。工場内で熱を奪われて復水となるが、この内の数十%は再びドレンタンク(図示せず)に戻り、鉄分等を除去された後、純水装置(図示せず)から送り出された補給水67と合流し、給水タンク58に蓄えられる。給水タンク58内の給水は脱気器給水ポンプ59により脱気器60に送られるが、途中低圧給水加熱器61内で回収ボイラ51からの排ガスと熱交換し加温される。 【0003】脱気器60からボイラ給水ポンプ62によって回収ボイラ51の節炭器53へ送られた給水は加温され、蒸気ドラム54に入る。 【0004】一方、燃焼用空気は押込送風機63によって低温蒸気式空気予熱器64および高温蒸気式空気予熱器65を通じて約150℃程度まで加熱された後、回収ボイラ51に送られ、炉壁の空気口70から火炉55内に燃焼用空気として供給されている。 【0005】蒸気タービン56の途中段から、中圧蒸気(1.5MPaGクラス)が抽気され、減温装置66によって飽和蒸気温度程度に減温された後、パルプ蒸解用等のプロセス蒸気用および高温蒸気式空気予熱器65等のボイラ所内蒸気に使用される。 【0006】また、タービンからの排気は低圧蒸気(0.2~0.3MPaGクラス)として上述のように工場プロセスに送られる他に、脱気器60、蒸気式黒液加熱器68、低温蒸気式空気予熱器64或いはスメルト69の加熱等、回収ボイラ51の所内蒸気として使用される。」 (イ)引用文献3記載事項 上記(ア)から、引用文献3には、以下の事項が記載されているといえる(以下、「引用文献3記載事項」という。)。 「蒸気タービン56の途中段から、中圧蒸気(1.5MPaGクラス)が抽気されて高温蒸気式空気予熱器65に供給され、蒸気タービン56からの排気は低圧蒸気(0.2~0.3MPaGクラス)として低温蒸気式空気予熱器64に供給され、燃焼用空気は、押込送風機63によって低温蒸気式空気予熱器64および高温蒸気式空気予熱器65を通じて約150℃程度まで加熱された後、回収ボイラ51に送られ、炉壁の空気口70から火炉55内に燃焼用空気として供給されること。」 (2)本願補正発明1について ア 対比 本願補正発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「木材チップ14」、「燃料」、「発電」、「木材チップ発電システム」は、本願補正発明1の「木質バイオマス」、「燃料」、「発電」、「木質バイオマス燃料発電システム」に相当するから、引用発明の「木材チップ14を燃料として用いて発電を行う木材チップ発電システム」は、本願補正発明1の「木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電」に相当する。 引用発明の「乾燥装置」は、本願補正発明1の「乾燥機」に相当するから、引用発明の「木材チップを蒸気復水器で発生する排熱を利用して乾燥させる乾燥装置」は、本願補正発明1の「燃料を乾燥させる乾燥機」に相当する。 引用発明の「燃焼用空気」は、本願補正発明1の「燃焼用空気」に相当する。 してみると、引用発明の「乾燥後の木材チップ14は、溶融炉3に投入され、溶融炉3に投入された木材チップ14は、乾燥・熱分解されてガス化され、ガス化により発生した可燃性ガスは、燃焼室5に導入され、燃焼室5に導入された可燃性ガスは、燃焼用空気を用いて燃焼され、燃焼後の高温の燃焼排ガスは、ボイラ6に送られ」ることは、本願補正発明1の「ボイラー」が「前記乾燥機によって乾燥した前記燃料を、前記燃焼用空気を用いて燃焼させる」ことに相当する。 引用発明の「蒸気タービン11」は、発電システムにおいて蒸気タービンによって発電機を駆動して発電することが技術常識であることを勘案すると、本願補正発明1の「発電用蒸気タービン」に相当する。 してみると、引用発明の「ボイラ6で発生した蒸気は、蒸気タービン11に導入される」ことは、本願補正発明1の「少なくとも1つの発電用蒸気タービン」が「前記ボイラーによって加熱された蒸気により駆動される」ことに相当する。 してみると、本願補正発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 (一致点) 木質バイオマスを燃料として用いて発電を行う木質バイオマス燃料発電システムであって、 燃料を乾燥させる乾燥機と、 前記乾燥機によって乾燥した前記燃料を、前記燃焼用空気を用いて燃焼させるボイラーと、 前記ボイラーによって加熱された蒸気により駆動される少なくとも1つの発電用蒸気タービンと、 を備えた、木質バイオマス燃料発電システム。」 (相違点1) 本願補正発明1は、「燃焼用空気を予熱する空気予熱器」を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。 (相違点2) 本願補正発明1は、「前記発電用蒸気タービンは、前記ボイラーから供給された前記蒸気によって駆動される高圧蒸気タービンと、前記ボイラーから前記高圧蒸気タービンを介して供給された前記蒸気によって駆動される多段抽気型の低圧蒸気タービンと、を含み、前記低圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気は、前記高圧蒸気タービンが駆動される前記蒸気よりも低圧であ」るのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。 (相違点3) 本願補正発明1は、「前記乾燥機は、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、前記空気予熱器は、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱する」るのに対して、引用発明は、「乾燥装置」が「木材チップを蒸気復水器で発生する排熱を利用して乾燥させる」点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 上記(1)イ(ウ)のとおり、引用文献2記載事項は、「空気加熱器6は、再過熱器5から排出された出口燃焼排ガスEG6でボイラ燃焼空気A1を加熱する」ことを含むものであるが、「出口側燃焼排ガスEG6」は、「空気加熱器6に投入される」「ボイラ燃焼排ガスEG6」(引用文献2の【0035】)で「ボイラ燃焼用空気A1」を加熱するものであって、低圧蒸気タービンから抽出された蒸気によって燃焼用空気を加熱するものではない。 また、上記(1)ウ(イ)のとおり、引用文献3記載事項は、「蒸気タービン56の途中段から、中圧蒸気(1.5MPaGクラス)が抽気されて高温蒸気式空気予熱器65に供給され、蒸気タービン56からの排気は低圧蒸気(0.2~0.3MPaGクラス)として低温蒸気式空気予熱器64に供給され、燃焼用空気は、押込送風機63によって低温蒸気式空気予熱器64および高温蒸気式空気予熱器65を通じて約150℃程度まで加熱され」るものであるが、低温蒸気式空気予熱機器64及び高温蒸気式空気予熱器65に供給される蒸気の温度が、燃料を乾燥させる乾燥機に供給される蒸気よりも高温であることまでを開示するものではない。 また、燃焼用空気を予熱するための蒸気の温度を、燃料を乾燥させるための蒸気の温度よりも高温とすることが技術常識であるということもできない。 してみると、引用発明に、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項を適用したとしても、本願補正発明1の相違点3に係る構成は、得られないことが明らかである。 したがって、相違点1、2について検討するまでもなく、本願補正発明1は、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではない。 (3)本願補正発明8について 本願補正発明8は、本願補正発明1の「木質バイオマス発電システム」を「木質バイオマス発電方法」としたカテゴリー違いの発明であって、本願補正発明1と同様に「前記乾燥工程では、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、前記空気予熱工程では、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱する」ことを発明特定事項に含むものである。 よって、本願補正発明1と同様の理由により、本願補正発明8は、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではない。 4.小括 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たし、同条第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。 第3 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される、上記第2の1.(1)のとおりのものである。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりである。 理由1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2012-145293号公報 引用文献2.特開2012-83031号公報 引用文献3.特開平6-82002号公報 引用文献4.特開平10-339416号公報 引用文献5.米国特許出願公開第2018/0231247号明細書 引用文献6.特開2013-117336号公報 引用文献7.特開2018-173245号公報 ・請求項1、2、9に対して、引用文献1~3 ・請求項3に対して、引用文献1~4 ・請求項4に対して、引用文献1~5 ・請求項5、6に対して、引用文献1~6 ・請求項7、8に対して、引用文献1~7 第5 原査定に対する当審の判断 1.本願発明1について 本件補正により、本願発明1は、「前記乾燥機は、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、前記空気予熱器は、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱する」という発明特定事項を有するものとなった。 そして、上記第2の3.(2)で説示した理由と同様の理由から、本願発明1は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~3に基いて容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2~7について 本願発明2~7は、直接的又は間接的に本願発明1を引用する発明であって、本願発明1と同様に、「前記乾燥機は、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、前記空気予熱器は、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱する」という発明特定事項を有するものである。 よって、本願発明1と同様の理由で、本願発明2~7は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~7に基いて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明8について 本件補正により、本願発明8は、「前記乾燥工程では、前記低圧蒸気タービンから取り出された第1の抽出蒸気の熱により前記燃料を乾燥させ、前記空気予熱工程では、前記低圧蒸気タービンから前記第1の抽出蒸気とは異なる抽気ラインを通して取り出され、且つ前記第1の抽出蒸気よりも高温の第2の抽出蒸気の熱により前記燃焼用空気を予熱する」という発明特定事項を有するものとなった。 そして、上記第2の3.(3)で説示した理由と同様の理由から、本願発明8は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~3に基いて容易に発明できたものとはいえない。 4.小括 以上のとおりであるから、原査定の理由1を維持することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-002886

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