特許拒絶査定不服審判
2022-017773
排ガス処理装置
- 審判番号
- 2022-017773
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-129806
- 請求日
- 2022年11月07日
- 審決日
- 2023年08月14日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社荏原製作所
- 【請求人代理人】廣澤 哲也
- 【請求人代理人】渡邉 勇
- 【請求人代理人】郷戸 学
- 【請求人代理人】金沢 充博
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 竹下 和志
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P18 .121-WY (F23G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-129806「排ガス処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月21日出願公開、特開2019- 27776、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成30年7月9日(優先権主張平成29年8月3日)の出願であって、令和4年2月9日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年8月1日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた。
これに対し、同年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1-14に係る発明は、以下の引用文献1-8に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2016-169935号公報
2.特開昭52-124782号公報
3.特開2010-118652号公報
4.特開2003-202106号公報
5.特開2010-249509号公報
6.特開2008-107031号公報
7.特開2008-31847号公報
8.特開2002-188810号公報
第3 本願発明
本願の請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和4年6月7日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
水素を含む処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置であって、
水素を含む処理ガスを燃焼する燃焼室は、円筒状の燃焼室として構成され、
前記燃焼室は、処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルとを備え、
前記処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルは、前記燃焼室の軸線に直交する同一平面上に位置しており、
前記支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにしたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記支燃性ガス用ノズル内を流れる支燃性ガスに前記冷却水供給配管から冷却水を合流させることにより冷却水を細粒化し、細粒化した冷却水を含む支燃性ガスを前記燃焼室に吹き込むようにしたことを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記燃焼室の上部壁に、冷却水を供給して前記上部壁を冷却する冷却ジャケットを形成したことを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記冷却ジャケットから排出された冷却水を前記冷却水供給配管に供給するようにしたことを特徴とする請求項3記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記支燃性ガス用ノズルに支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給ラインに逆止弁を設け、前記燃焼室内の処理ガスが支燃性ガス供給ラインに逆流しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記冷却水供給配管に逆止弁を設け、前記燃焼室内の処理ガスが前記冷却水供給配管に逆流しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記水素を含む処理ガスは、EUV露光装置から排出される排ガスであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
水素を含む処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理方法であって、
水素を含む処理ガスを燃焼する燃焼室は、円筒状の燃焼室として構成され、
前記燃焼室の軸線に直交する同一平面上に位置している処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルとから、処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込んで、処理ガスと支燃性ガスの二種混合の旋回流を形成し、
前記支燃性ガス用ノズルに冷却水を供給し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むことを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項9】
前記支燃性ガス用ノズル内を流れる支燃性ガスに冷却水を合流させることにより冷却水を細粒化し、細粒化した冷却水を含む支燃性ガスを前記燃焼室に吹き込むことを特徴とする請求項8記載の排ガス処理方法。
【請求項10】
前記燃焼室の上部壁に冷却水を供給して前記上部壁を冷却することを特徴とする請求項8記載の排ガス処理方法。
【請求項11】
前記燃焼室の上部壁を冷却した後の冷却水を前記支燃性ガス用ノズルに供給することを特徴とする請求項10記載の排ガス処理方法。
【請求項12】
前記水素を含む処理ガスは、EUV露光装置から排出される排ガスであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項13】
前記燃焼室には、処理ガスおよび支燃性ガスの吹き込み位置から前記燃焼室の軸線方向に離間した位置で、水供給ノズルから水を供給し、前記燃焼室の内周面上に水膜を形成することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項14】
前記水供給ノズルから水を水溜め部の内周面の接線方向に向けて噴出することにより、前記水溜め部に、半径方向外側から内側に向かって斜め下方に傾斜した水面を有する旋回流からなる水膜を形成することを特徴とする請求項13記載の排ガス処理方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)「【0001】
本発明は、半導体デバイス、液晶、LED等を製造する製造装置等から排出される排ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置に関するものである。」
(2)「【0019】
以下、本発明に係る排ガス処理装置の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の排ガス処理装置の燃焼室の構成例を示す模式的断面図である。燃焼室1は、一端(図示例では上端)が閉塞され他端(図示例では下端)が開口した円筒容器状の燃焼室として構成されている。円筒容器状の燃焼室1には、閉塞端部近傍で燃料(燃料ガス)と支燃性ガス(酸素含有ガス)と処理ガス(排ガス)とが吹き込まれるようになっている。燃焼室1の閉塞端部には、点火用のパイロットバーナ2が設置されており、パイロットバーナ2には燃料と空気が供給されるようになっている。なお、図1においては、燃焼室1の下方にある洗浄部などは図示を省略している。
【0020】
図2は、図1のII-II線断面図である。図2に示すように、燃料を吹き込む燃料用ノズル3Aと、支燃性ガスを吹き込む支燃性ガス用ノズル3Bと、処理ガスを吹き込む処理ガス用ノズル3Cとが燃焼室1の内周面の接線方向に向けて設置されている。図2に示す例においては、燃料用ノズル3Aと支燃性ガス用ノズル3Bは各1個ずつ設置され、処理ガス用ノズル3Cは2個設置されているが、各ノズル3A,3B,3Cの個数は、燃焼室のサイズや設置スペース等に応じて適宜変更可能であり、同一平面上に設置する燃料用ノズル3Aと支燃性ガス用ノズル3Bと処理ガス用ノズル3Cのセットを複数段設置することも可能である。この場合、燃料流量と支燃性ガス流量と処理ガス流量のバランスを変えることで、火炎の安定性を向上させることができる。燃料を吹き込む燃料用ノズル3Aと、支燃性ガスを吹き込む支燃性ガス用ノズル3Bと、処理ガスを吹き込む処理ガス用ノズル3Cは、円筒状の燃焼室1の軸線に直交する同一平面上に位置している。ここで、同一平面上に位置しているとは、3つのノズルの燃焼室内周面側の開口の一部が同一平面上に位置していることをいう。
【0021】
図1に示すように、燃焼室1には、燃料,支燃性ガス,処理ガスの吹き込み位置のやや下方の位置に、燃焼室1の内壁面に濡れ壁(水膜)を形成するための水を供給する水供給ノズル5が設置されている。
【0022】
図1および図2に示すように構成された燃焼室1において、燃料用ノズル3Aと支燃性ガス用ノズル3Bと処理ガス用ノズル3Cとから、燃料と支燃性ガスと処理ガスとを燃焼室1の内周面の接線方向に向けて、火炎の燃焼速度以上の流速で吹き込む。これにより、燃焼室1の内壁から浮いた三種混合の円筒状混合火炎が形成される。円筒状混合火炎は燃焼室1の軸線方向に沿って形成される。三種のガスを共に接線方向に吹き込むことで、旋回遠心力により円筒状混合火炎の外側は温度が低く重い未燃の三種混合ガス、内側は温度が高く軽い三種混合の燃焼後ガスの分布が形成される。したがって、円筒状混合火炎は、温度の低い未燃の三種混合ガスに覆われた自己断熱された状態となるため、放熱による温度低下がなく、燃焼効率の高いガス処理が行われる。また、処理ガスは通常N2ガス等により希釈されて排ガス処理装置へ流入するので、このN2ガスを含む処理ガスを燃料と支燃性ガスと混焼することで、緩慢な燃焼となり、局所的な高温部が形成されないため、NOxの発生が抑制される。
【0023】
また、N2ガスを含む処理ガスを燃料と支燃性ガスと混焼することで、円筒状となる火炎の径が小さくなり、燃焼室1の内壁面温度が低下する。すなわち、本燃焼方式の特徴である火炎の断熱性が促進されるため、図1に示すように、燃焼室1の内壁面に濡れ壁(水膜)を形成しても火炎および火炎内側の燃焼ガス温度が低下することはない。そして、燃焼後に生成されるSiO2等の粉体は、ガス旋回流の遠心力により外側の濡れ壁水に捕集され下部へ洗い流されるため、燃焼室1の内壁面に堆積せず、また燃焼室で大部分の粉体が濡れ壁水に捕集されることとなるため、排ガス処理装置のスクラバー性能(粉体除去性能)が向上する。腐食性ガスも濡れ壁水により洗い流され、燃焼室1の内壁面の腐食を防止できる。さらに、濡れ壁水により燃焼室1の内壁面は低温に保たれるため、熱損傷することはなく、ステンレス鋼等の安価な材料で燃焼室1を構成することができ、製造コストを低減出来る。」
(3)「図1
[図:0001401431000001.jpg]
」
(4)「図2
[図:0001401431000002.jpg]
」
(5)上記摘記(1)、上記摘記(2)段落【0019】及び段落【0022】の記載から、排ガス処理装置は、通常N2ガス等により希釈されて排ガス処理装置へ流入する処理ガス(排ガス)を、燃焼処理して無害化するものと認められる。
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「N2ガスを含む処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置であって、
円筒容器状の燃焼室1は、処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む処理ガス用ノズル3Cと支燃性ガス用ノズル3Bとを備え、
前記処理ガス用ノズル3Cと支燃性ガス用ノズル3Bは、前記燃焼室の軸線に直交する同一平面上に位置しており、
前記支燃性ガス用ノズル3Bから支燃性ガスを前記燃焼室1の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにしたことを特徴とする排ガス処理装置。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「
[図:0001401431000003.jpg]
」(第4ページ左下欄第5-18行)
したがって、上記引用文献2には、カーボンブラックの製造において発生する排ガスにH2が含まれるという技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0021】
さらに、制御装置20は、排気配管に設けられた流量調整器MFC3を制御することにより、ターゲット容器10内の圧力を調整する(ステップS13)。流量調整器MFC3を通ったガスは、真空ポンプ14を通して大気へ排出される。なお、還元ガスが水素ガス(H2)である場合には、水素ガスは爆発性があるので、水素ガスを希釈もしくは燃焼させて大気に放出する。また、還元ガスが一酸化炭素ガス(CO)である場合には、一酸化炭素ガスは毒性を有するので、一酸化炭素ガスを無害化してから大気に放出する。ターゲット容器10に設置され、微細な射出孔であるターゲット通路が形成されたターゲットノズル13は、真空チャンバに開口している。従って、ターゲット容器10内のガスが真空チャンバに流出するので、真空チャンバ内のガスも真空ポンプで吸引して、上記と同様の処理をした上で大気中に放出することが好ましい。」
したがって、上記引用文献3には、還元ガスに水素ガスを用いるという技術的事項が記載されていると認められる。
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】1.基本事項:直溶炉(直接にごみをガス化すると共にダストを溶融するガス化溶融炉)のように廃棄物を焼却したり、間接加熱したりすると、廃棄物からガスが発生する。このガスは熱分解ガスと呼ばれ、可燃性である。一般に、このような熱分解ガスに空気を混合して燃焼させる炉を再燃焼炉と呼び、再燃焼炉で発生した高温の燃焼ガスに水を噴霧させて冷却する方式の炉が本発明の対象になるが、このような再燃焼炉が具備すべき基本機能は下記の通りである。すなわち、
機能○1(当審注:「○1」は、○の中に数字の1):ダストが、再燃焼炉内壁に付着・成長しないこと。」
(2)「【0046】動作の説明
廃棄物を加熱することによって発生する熱分解ガスGは、排気ダクト9より再燃焼バーナー12へ至る。再燃焼バーナー12の中心部の導入口13から熱分解ガスGが炉11内に吹き込まれる。熱分解ガス吹込み用中心部の周囲を囲み、空気ヘッダー15が設けられており、その空気ヘッダー15の複数の空気吹き込みノズル15aから空気Bが炉11内に吹き込まれる。このノズル15aの中心軸は熱分解ガスGの吹き込み方向とはややずれているため、炉11内に吹き込まれた空気Bの流れは旋回流となって熱分解ガスGと良好に混合されて燃焼する。上述のとおり、空気ヘッダー15内の冷却水噴霧ノズル16aから空気中に吹き込まれた冷却水Wは空気Bと共に熱分解ガスGと良好に混合され、熱分解ガスGが燃焼する際に蒸発して燃焼ガスを均一に冷却する。」
(3)「図1
[図:0001401431000004.jpg]
」
したがって、上記引用文献4には、再燃焼炉で発生した高温の燃焼ガスに水を噴霧させて冷却するために、冷却水噴霧ノズル16aから空気中に吹き込まれた冷却水Wを空気Bと共に空気ヘッダー15の複数の空気吹き込みノズル15aから炉11内に吹き込むという技術的事項が記載されていると認められる。
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0060】
燃焼温度:1300℃ 以上
処理するガス:N2ガス
排出ガスのNOx濃度
セラミックス製の内壁:25ppm
ステンレス製の内壁:数100~数1000ppm
図3及び図4は本発明の排ガス処理装置のバーナー部の他の構成例を示す図で、図3は縦断面図、図4は図3の矢視A 図である。同図において、図1及び図2と同じ符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。また、他の図面においても同様とする。本バーナ部10は円筒体11の外周部に助燃ガス室20に隣接して冷却ジャケット21を設けている。
該冷却ジャケット21には冷却媒体を供給している。該冷却ジャケット21に冷却媒体を供給することにより、該冷却ジャケット21は開口部に形成される火炎により加熱された円筒体11を冷却する。冷却媒体には、温度差のあるものならばよく、水等の液体や空気等の気体を用いる。」
したがって、上記引用文献5には、円筒体11の外周部に助燃ガス室20に隣接して冷却ジャケット21を設けるという技術的事項が記載されていると認められる。
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0030】
そして、この管状火炎バーナ10においては、燃料含有ガス用ノズル12に燃料含有ガスを供給する配管に、燃料含有ガスの急激な流量変動を緩和する流量変動緩和手段31が設置され、酸素含有ガス用ノズル13に酸素含有ガスを供給する配管に、酸素含有ガスの急激な流量変動を緩和する流量変動緩和手段41が設置されている。流量変動緩和手段31、41としては、バッファタンク、絞り、フィルタ(膜、充填層)等が用いられる。また、図1中の32と42は流量計、34と43は流量調整弁、34と44は逆止弁、35と45は開閉弁である。ここで、流量計32、42としてマスフローメーターを用いた場合には、マスフローメーターには流量変動緩和機能もあるので、流量変動緩和手段31、41としてのバッファタンク、絞り、フィルタ等を設置しなくともよい。」
(2)「図1
[図:0001401431000005.jpg]
」
したがって、上記引用文献6には、酸素含有ガス用ノズル13に空気を供給する空気供給ラインに逆止弁44を設けるという技術的事項が記載されていると認められる。
7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0036】
本発明による実施例1では、図2に示す燃料ノズル9の分配管33と逆止弁34の間に、水を供給する手段から逆止弁28を介して水を供給する。」
したがって、上記引用文献7には、水を供給する手段から逆止弁28を介して水を供給するという技術的事項が記載されていると認められる。
8.引用文献8について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0049】図5、6は冷却部(12)の他の実施例で、回流壁(15)を設ける代わりに噴出管(17a)を直接冷却壁(13)に沿わせて配設し、その下方にリング状の液溜リング(24)が冷却壁(13)の内周に設置された例である。リング状の液溜リング(24)と冷却壁(13)との間に冷却流体(20)が通過できる間隙が形成されている。噴出管(17a)から噴出された冷却流体(20)は冷却壁(13)の内周に沿って螺旋を描いて流下し、その一部が間隙を通って更に流下していき、残部が液溜リング(24)上に堰き止められる事になる。この場合も、遮蔽壁(19)と不活性ガス供給ノズル(26)の作用により、冷却流体(20)の蒸気は遮蔽され、排ガス分解処理室(1a)に流入し難い。」
したがって、上記引用文献8には、噴出管(17a)から噴出された冷却流体(20)が冷却壁(13)の内周に沿って螺旋を描いて流下するという技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「処理ガス」、「支燃性ガス」、「燃焼室1」、「内周面」、「接線方向」、「処理ガス用ノズル3C」、「支燃性ガス用ノズル3B」は、本願発明1における「処理ガス」、「支燃性ガス」、「燃焼室」、「内周面」、「接線方向」、「処理ガス用ノズル」、「支燃性ガス用ノズル」に相当する。
してみると、引用発明における「処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置」は、本願発明1における「処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置」に相当し、以下同様に、引用発明の「処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む処理ガス用ノズル3Cと支燃性ガス用ノズル3B」は、本願発明1の「処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズル」に、引用発明の「前記処理ガス用ノズル3Cと支燃性ガス用ノズル3Bは、前記燃焼室1の軸線に直交する同一平面上に位置しており」は、本願発明1の「前記処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルは、前記燃焼室の軸線に直交する同一平面上に位置しており」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「円筒容器状の燃焼室1」は、処理ガスを燃焼するものであるから、本願発明1の「処理ガスを燃焼する燃焼室」が「円筒状の燃焼室として構成され」るものに相当する。
また、引用発明の「N2ガスを含む処理ガス」は、本願発明1における「水素を含む処理ガス」と、「処理ガス」である限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1は引用発明と、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「処理ガスを燃焼処理して無害化する排ガス処理装置であって、
処理ガスを燃焼する燃焼室は、円筒状の燃焼室として構成され、
前記燃焼室は、処理ガスと支燃性ガスとをそれぞれ燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルとを備え、
前記処理ガス用ノズルと支燃性ガス用ノズルは、前記燃焼室の軸線に直交する同一平面上に位置したことを特徴とする排ガス処理装置。」
(相違点1)「処理ガス」について、本願発明1は、「水素を含む」のに対して、引用発明は、「N2ガスを含む」ものである点。
(相違点2)本願発明1では、「支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにした」ものであるのに対して、引用発明では、そのような構成がない点。
(2)相違点についての判断
事例に鑑みて、上記相違点2から検討する。
第4 4.に記載のとおり、引用文献4には、再燃焼炉で発生した高温の燃焼ガスに水を噴霧させて冷却するために、冷却水噴霧ノズル16aから空気中に吹き込まれた冷却水Wを空気Bと共に空気ヘッダー15の複数の空気吹き込みノズル15aから炉11内に吹き込むという技術的事項が記載されている。
しかしながら、相違点2に係る本願発明1の「支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにした」という構成の技術的意義は、本願の発明の詳細な説明の段落【0011】に「・・・支燃性ガスとともに燃焼室に吹き込まれた冷却水の水滴はガスより重いため、冷却水の水滴は円筒状混合火炎における未燃の二種混合ガスよりもさらに壁面際を周回し、燃焼の障害にはならない。そして、冷却水の水滴は周回中に燃焼室の内壁を冷却する。これにより、処理ガス中に水素が多量に含まれる場合であっても、燃焼室内に局所的な高温部が形成されることがなく、ガス処理性能を確保しつつ燃焼室の熱損傷を防止することが可能である。」と記載されているとおり、燃焼に障害とならずに、燃焼室の内壁を冷却することで、ガス処理性能を確保しつつ燃焼室の熱損傷を防止するものである。
これに対して、引用文献4に記載された上記技術的事項は、燃焼ガス自体を冷却するものであって、燃焼室の内壁を冷却することを目的とするものではない。
引用文献1には、上記第4 1.(2)の段落【0022】の「・・・円筒状混合火炎は、温度の低い未燃の三種混合ガスに覆われた自己断熱された状態となるため、放熱による温度低下がなく、燃焼効率の高いガス処理が行われる。・・・」及び段落【0023】の「・・・火炎の断熱性が促進されるため、図1に示すように、燃焼室1の内壁面に濡れ壁(水膜)を形成しても火炎および火炎内側の燃焼ガス温度が低下することはない。・・・」と記載されているから、引用発明は、燃焼効率の高いガス処理を意図するものであり、燃焼ガスの冷却は意図していないと考えられる。
よって、引用発明に対して、引用文献4に記載された上記技術的事項を適用する動機付けはないといえる。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献4に記載された技術的事項から、相違点2に係る構成を容易に想到することはできない。
さらに付言すると、引用文献1には、上記第4 1.(2)の段落【0022】の「・・・処理ガスは通常N2ガス等により希釈されて排ガス処理装置へ流入するので、このN2ガスを含む処理ガスを燃料と支燃性ガスと混焼することで、緩慢な燃焼となり、局所的な高温部が形成されないため、NOxの発生が抑制される。」という記載されているから、引用発明は、NOxの発生を抑制することを意図し、処理ガスをN2ガスで希釈し、緩慢な燃焼となるようにするものであるといえる。
そして、引用文献4の段落【0021】には、NOxの発生を抑制することについて示唆する記載があるため、引用発明と共通する課題を有するということができる。
しかしながら、仮に、引用発明に対して、引用文献4に記載されている技術的事項を適用するのであれば、引用文献1の上記段落【0022】の記載から、処理ガスに対して燃焼を緩慢とさせるための冷却水Wを付加することが考えられるから、支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続するものは得られない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1の「支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにした」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「支燃性ガス用ノズルに冷却水供給配管を接続し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込むようにした」に対応する「支燃性ガス用ノズルに冷却水を供給し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.本願発明9-14について
本願発明9-14も、本願発明8の「支燃性ガス用ノズルに冷却水を供給し、前記支燃性ガス用ノズルから支燃性ガスを冷却水とともに前記燃焼室の内周面の接線方向に向けて吹き込む」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明8と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-8に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-14は、当業者が引用発明及び引用文献2-8に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017773