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特許拒絶査定不服審判

2023-001676

エアフォイル及びエアフォイルを製造する方法

審判番号
2023-001676
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-146414外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年02月01日
審決日
2024年03月25日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B64C) / P18 .575-Z (B64C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-146414号「エアフォイル及びエアフォイルを製造する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日出願公開、特開2019- 31275号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年8月3日(パリ条約による優先権主張2017年8月7日(以下「優先日」という。)、米国)の出願であって、令和4年5月27日付けで拒絶理由が通知され、令和4年9月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年9月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、令和5年2月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。 第2 令和5年2月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年2月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所であり、当審で付した。)。 「エアフォイルであって、 その根部から先端までねじれた形状を有するエアフォイル本体と、 前記エアフォイル本体の第1の側部における第1の深さを有する窪み部分であって、前記窪み部分が、 前記窪み部分内に位置する、第2の深さを有する複数のポケット、及び、 前記ポケット間に位置する、前記第1の深さを有するリブ、を含み、前記リブの最も外側の端部が、前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面に対して窪んでいる、前記窪み部分と、 カバーであって、前記カバーの内面が前記リブの前記最も外側の端部に係合し、前記カバーの外面が前記エアフォイル本体の前記第1の側部の前記外面とほぼ面一になるように、前記窪み部分に嵌るように構成されている、前記カバーと、 前記カバーを貫いて前記リブ内へ延在し、前記カバーの前記内面を前記リブの前記最も外側の端部に取り付けるように配置された高エネルギービーム溶接構造体と、を備える、前記エアフォイル。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前の令和4年9月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「エアフォイルであって、 その根部から先端までねじれた形状を有するエアフォイル本体と、 前記エアフォイル本体の第1の側部における第1の深さを有する窪み部分であって、前記窪み部分が、 前記窪み部分内に位置する、第2の深さを有する複数のポケット、及び、 前記ポケット間に位置する、前記第1の深さを有するリブ、を含む前記窪み部分と、 カバーであって、前記カバーの内面が前記リブに係合し、前記カバーの外面が前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面とほぼ面一になるように、前記窪み部分に嵌るように構成されている、前記カバーと、 前記カバーを貫いて前記リブ内へ延在し、前記カバーを前記リブに取り付けるように配置された高エネルギービーム溶接構造体と、を備える、前記エアフォイル。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「リブ」に関して、「前記リブの最も外側の端部が、前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面に対して窪んでいる」との限定を付し、「カバー」に関して、「前記カバーの内面が前記リブの前記最も外側の端部に係合し」との限定を付すとともに、「高エネルギービーム溶接構造体」に関して、「前記カバーの前記内面を前記リブの前記最も外側の端部に取り付けるように配置された」との限定を付すことを含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではないから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載事項等 ア 引用文献1 (ア) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2010/0266415号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、{}内に当審で作成した翻訳文を示す。また、下線は当審で付加した。以下同様。)。 a 「[0014] Now referring to FIG. 1, a hybrid fan blade 10 for a gas turbine engine is provided that includes a base 12, an airfoil 14, and a composite panel 16 disposed in, and forming a part of, a side of the airfoil 14.」 {[0014] ここで図1を参照すると、基部12と、エアフォイル14と、エアフォイル14の側部に配置され、エアフォイル14の側部の一部を形成する複合パネル16とを含むガスタービンエンジン用のハイブリッドファンブレード10が記載されている。} b 「[0016] At least one side 26, 28 of the airfoil 14 includes a plurality of cavities 34, extending inwardly toward the opposite side 28, 26. In the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, the cavities 34 are disposed in one side of the airfoil 14 and do not extend through to the opposite side. In this embodiment, the opposite side of the airfoil 14 continuously extends between the base 20 and the tip 18, and between the leading edge 22 and the trailing edge 24. ・・・ The cavities 34 disposed in a side of the airfoil 14 collectively form an opening 38 within that side of the airfoil 14. The embodiments shown in FIGS. 1-4 and 6 include one or more ribs 40 disposed between adjacent cavities 34, extending outwardly. The one or more ribs 40 each include a mounting surface 42 disposed at a distal end. The rib 40 may be constant in cross-section or it may have a mounting surface 42 having a greater surface area for bonding and support purposes as will be described below.」 {[0016] エアフォイル14の少なくとも1つの側部26、28は、対向する側部28、26に向かって内向きに延びる複数の空洞34を含む。図1及び図2に示す実施形態では、空洞34は、エアフォイル14の一方の側部に配置され、反対の側部には貫通していない。この実施形態では、エアフォイル14の反対の側部は、根部20と先端18との間、前縁22と後縁24との間に連続して延びている。・・・エアフォイル14の1つの側部に配置された空洞34は、全体的に、エアフォイル14の当該側部に開口38を形成する。図1~4、6に示される実施形態では、隣接する空洞34間に配置され、外向きに延びる1つ又は複数のリブ40を含む。1つ又は複数のリブ40は、それぞれ、遠位端に配置された取付面42を含む。リブ40は、断面が一定であってもよいし、後述するように、接着及び支持のために表面積の大きい取付面42を有していてもよい。} c 「[0018] A shelf 44 is disposed around the periphery of the opening 38. The shelf 44 may be described as having portions that extend proximate the leading edge 22, the trailing edge 24, the tip 18, and the base 20. The shelf 44 includes a first mounting surface 46 that typically extends substantially parallel to the adjacent outer surface of the airfoil side, a second mounting surface 48 that extends between the first mounting surface 46 and the outer surface 30,32, and a height 50. The first mounting surface 46 of the shelf 44 and the rib mounting surface 42 are positioned to be contiguous with, and attached to, the composite panel 16. In some embodiments, the shelf 44 may form a mating configuration (e.g., male and female) with the composite panel 16, as will be discussed below.」 {[0018] 棚44は、開口38の周囲に配置されている。棚44は、前縁22、後縁24、先端18及び根部20に近接して延在する部分を有するものとして説明することができる。棚44は、隣接するエアフォイルの側部の外面に対して通常実質的に平行に延びる第1の取付面46と、第1の取付面46と外面30、32との間に延びる第2の取付面48と、高さ50とを含む。棚44の第1の取付面46とリブ取付面42は、複合パネル16に対して、連続するように配置され、取り付けられる。いくつかの実施形態では、棚44は、後述するように、複合パネル16と嵌合構造(例えば、雄雌)を形成することができる。} d 「[0019] ・・・The composite panel 16 has an inner surface 52, an outer surface 54, and an edge 56 extending between the two surfaces 52, 54. The composite panel 16 is shaped to close the opening 38 disposed in the side of the airfoil 14. The panels 16 shown in FIGS. 2-6 have a thickness 58 adjacent the edge that is substantially equal to the height 50 of the shelf. The outer surface 54 of the panel 16 is shaped to assume the aerodynamic shape of the side 26, 28 of the airfoil 14 to which is attached; e.g., the panel 16 can be configured as concave pressure side panel, or a convex suction side panel, and may have a radial twist component depending upon the geometry of the airfoil 14.」 {[0019] ・・・複合パネル16は、内面52、外面54、2つの面52、54の間に延びる縁部56を有している。複合パネル16は、エアフォイル14の側に配置された開口38を閉じるように形成されている。図2~6に示されるパネル16は、棚の高さ50に実質的に等しい縁部に隣接する厚さ58を有する。パネル16の外面54は、取り付けられるエアフォイル14の側部26、28の空気力学的形状となるように形成されており、例えば、パネル16は、凹面状の圧縮側部パネル又は凸面状の吸引側部パネルとして構成することができ、エアフォイル14の形状に応じて、半径方向のねじれ成分を有していてもよい。} e 「[0023] ・・・The composite panel 16 can be attached to the airfoil 14 (shelf 44, spar 36, ribs 40, etc.) through chemical bonding (e.g., an adhesive), or by mechanical fastener, or some combination thereof.」 {[0023] ・・・複合パネル16は、化学的な接合(例えば、接着剤)、機械的な固着又はそのいくつかの組合せにより、エアフォイル14(棚44、翼桁36、リブ40等)に取り付けることができる。} f 「[0026] Metallic panels may be attached by welding or other process along the periphery of the opening 38 and to ribs 40 disposed within the airfoil 14.」 {[0026] 金属パネルは、開口38の周縁に沿って、エアフォイル14内に配置されたリブ40に溶接又は他の方法によって取り付けられてもよい。} g FIG.1は以下のとおりである。 「 [図:0001413800000001.jpg] 」 h FIG.2は以下のとおりである。 「 [図:0001413800000002.jpg] 」 (イ) 上記(ア)の記載事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 a 上記(ア)gの図示内容から、エアフォイル14が根部20から先端18まで連続していることが看取できる。上記(ア)dの「例えば、パネル16は、・・・、エアフォイル14の形状に応じて、半径方向のねじれ成分を有していてもよい」との記載事項と上記(ア)gの図示内容からみて、エアフォイル14は、エアフォイル14の根部20から先端18までねじれた形状を有することが理解できる。 b 上記(ア)hの図示内容から、複合パネル16の外面54と第1の側部26の第1の外面30がほぼ面一であることが看取できる。上記(ア)bの「リブ40は、・・・、接着及び支持のために表面積の大きい取付面42を有していてもよい」との記載事項と上記(ア)hの図示内容から、リブ40の取付面42が複合パネル16の内面52を支持していることが理解できる。そうすると、開口38は、エアフォイル14の第1の側部26において、外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さを含むことが理解できる。 c 上記(ア)bの「エアフォイル14の1つの側部に配置された空洞34は、全体的に、エアフォイル14の当該側部に開口38を形成する」との記載事項、「図1~4、6に示される実施形態では、隣接する空洞34間に配置され、外向きに延びる1つ又は複数のリブ40を含む」との記載事項から、開口38が空洞34及びリブ40を含むこと、空洞34が所定の深さを有することが理解できる。 d 上記(ア)g及びhの図示内容から、空洞34は、開口38内に位置していることが看取できる。 e 上記(ア)hの図示内容から、リブ40の最も外側の端部である取付面42が、エアフォイル14の第1の側部26の第1の外面30に対して窪んでいることが看取できる。 f 上記(ア)hの図示内容から、複合パネル16は、開口38に嵌まるように構成されていることが看取できる。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ハイブリッドファンブレード10であって、 その根部20から先端18までねじれた形状を有するエアフォイル14と、 前記エアフォイル14の第1の側部26における、外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さを有する開口38であって、前記開口38が、 前記開口38内に位置する、所定の深さを有する複数の空洞34、及び、 前記空洞34間に位置する、外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さを有するリブ40、を含み、前記リブ40の最も外側の端部である取付面42が、前記エアフォイル14の前記第1の側部26の外面30に対して窪んでいる、前記開口38と、 複合パネル16であって、前記複合パネル16の内面52が前記リブ40の前記取付面42に支持され、前記複合パネル16の外面54が前記エアフォイル14の前記第1の側部26の前記外面30とほぼ面一になるように、前記開口38に嵌まるように構成されている、前記複合パネル16と、を備え、 前記複合パネル16の前記内面52を前記リブ40の前記最も外側の端部である取付面42に取り付ける、前記ハイブリッドファンブレード10。」 イ 引用文献2 (ア) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2015/0226068号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 a 「[0031] Differently from currently known lightened blades, the shaped airfoil 3 is made up of a main airfoil-shaped body 5 which is preferably realized in one piece with the coupling shank 2, and moreover presents, substantially in the centre of one of its two larger faces, at least one weight-reducing hollow seat 5a of predetermined shape, which preferably exceeds by 40% the total surface of the face of the main air-foil shaped body 5; and of a plate-like cover 6 which covers the face of the airfoil-shaped body 5 where the hollow seat 5a is located, so as to close the hollow seat 5a and create the weight-reducing recess 4, and is immovably fixed on said face of the airfoil-shaped body 5, by means of lap welding 7 which extends, preferably without interruption, along the entire perimeter strip or flap 6a of the cover 6, which rests directly on the surface of the face of the airfoil-shaped body 5, outside the perimeter of the mouth of the hollow seat 5a.」 {[0031] 現在知られている軽量化ブレードとは異なり、成形エアフォイル3は、主エアフォイル形状本体5で構成され、この主エアフォイル形状本体5は、好ましくは連結軸2と一体に形成され、さらに、その2つの大きな面のうちの一方の面の実質的に中央に、好ましくは主エアフォイル形状本体5の全表面の40%を超えて、少なくとも1つの所定の形状の重量減少中空座部5aを有する;そして、中空座部5aが位置するエアフォイル形状本体5の面を、中空座部5aを閉じて重量減少凹部4を形成するように覆う板状のカバー6であって、中空座部5aの開口の周囲の外側で、エアフォイル形状本体5の面の表面上に直接載置されるカバー6の全周片又はフラップ6aに沿って、好ましくは途切れることなく延びる重ね溶接7によって、エアフォイル形状本体5の前記面上に動かないように固定される。} b 「[0049] Preferably, though not necessarily, lap welding 7 may be performed with the MIG (Metal Inert Gas) welding procedure, and/or with the MAG Metal Active Gas) welding procedure, and/or with the TIG (Tungsten Inert Gas) welding procedure, and/or with the Stick or MMA (Metal Manual Arc) welding procedure, and/or with the EBW (Electron Beam Welding) welding procedure, and/or with the LBW (Laser Beam Welding) welding procedure, and/or braze welding. Alternatively, it is possible to use a combination of the above welding procedures.」 {[0049] 好ましくは、必ずしも必要ではないが、重ね溶接7は、MIG(金属不活性ガス)溶接法、及び/又はMAG(金属活性ガス)溶接法、及び/又はTIG(タングステン不活性ガス)溶接法、及び/又はスティック又はMMA(金属手動アーク)溶接法、及び/又はEBW(電子ビーム溶接)溶接法、及び/又はLBW(レーザービーム溶接)溶接法、及び/又はろう付け溶接法で行うことができる。あるいは、上記の溶接法を組み合わせて使用することもできる。} (イ) 上記(ア)a及びbの記載事項から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 「エアフォイル形状本体5とカバー6とを重ね溶接7によって固定するに際し、重ね溶接7として、EBW(電子ビーム溶接)溶接法やLBW(レーザービーム溶接)溶接法を使用できること」 (3) 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 後者の「根部20」は、前者の「根部」に相当し、以下同様に、「先端18」は「先端」に、「エアフォイル14」は「エアフォイル本体」に、「第1の側部26」は「第1の側部」に、「開口38」は「窪み部分」に、「空洞34」は「ポケット」に、「リブ40」は「リブ」に、「最も外側の端部である取付面42」は「最も外側の端部」に、「外面30」は「外面」に、「複合パネル16」は「カバー」に、「内面52」は「内面」に、「支持」は「係合」に、「嵌まる」は「嵌る」に、それぞれ相当する。 後者の「外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さ」は、エアフォイル14の第1の側部26において開口38が有する深さであり、かつリブ40が有する深さであるから、前者の「第1の深さ」に相当する。 後者の「所定の深さ」は、空洞34が有する深さであるから、前者の「第2の深さ」に相当する。 後者の「ハイブリッドファンブレード10」は、エアフォイル14と開口38と複合パネル16とを備えていることから、前者の、エアフォイル本体と窪み部分とカバーとを備える「エアフォイル」に相当する。 以上の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 後者の「その根部20から先端18までねじれた形状を有するエアフォイル14」は、前者の「その根部から先端までねじれた形状を有するエアフォイル本体」に相当する。 後者の「前記エアフォイル14の第1の側部26における、外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さを有する開口38」は、前者の「前記エアフォイル本体の第1の側部における第1の深さを有する窪み部分」に相当する。 後者の「前記開口38内に位置する、所定の深さを有する複数の空洞34」は、前者の「前記窪み部分内に位置する、第2の深さを有する複数のポケット」に相当する。 後者の「前記空洞34間に位置する、外面54及び第1の外面30から取付面42までの深さを有するリブ40」は、前者の「前記ポケット間に位置する、前記第1の深さを有するリブ」に相当する。 後者の「前記リブ40の最も外側の端部である取付面42が、前記エアフォイル14の前記第1の側部26の外面30に対して窪んでいる」ことは、前者の「前記リブの最も外側の端部が、前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面に対して窪んでいる」ことに相当する。 後者の「複合パネル16であって、前記複合パネル16の内面52が前記リブ40の前記取付面42に支持され、前記複合パネル16の外面54が前記エアフォイル14の前記第1の側部26の前記外面30とほぼ面一になるように、前記開口38に嵌まるように構成されている、前記複合パネル16」は、前者の「カバーであって、前記カバーの内面が前記リブの前記最も外側の端部に係合し、前記カバーの外面が前記エアフォイル本体の前記第1の側部の前記外面とほぼ面一になるように、前記窪み部分に嵌るように構成されている、前記カバー」に相当する。 後者の「前記複合パネル16の前記内面52を前記リブ40の前記最も外側の端部である取付面42に取り付ける」ことは、前者の「前記カバーの前記内面を前記リブの前記最も外側の端部に取り付ける」ことに相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「エアフォイルであって、 その根部から先端までねじれた形状を有するエアフォイル本体と、 前記エアフォイル本体の第1の側部における第1の深さを有する窪み部分であって、前記窪み部分が、 前記窪み部分内に位置する、第2の深さを有する複数のポケット、及び、 前記ポケット間に位置する、前記第1の深さを有するリブ、を含み、前記リブの最も外側の端部が、前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面に対して窪んでいる、前記窪み部分と、 カバーであって、前記カバーの内面が前記リブの前記最も外側の端部に係合し、前記カバーの外面が前記エアフォイル本体の前記第1の側部の前記外面とほぼ面一になるように、前記窪み部分に嵌るように構成されている、前記カバーと、を備える、前記エアフォイル。」 [相違点] 本件補正発明は、「前記カバーを貫いて前記リブ内へ延在し、前記カバーの前記内面を前記リブの前記最も外側の端部に取り付けるように配置された高エネルギービーム溶接構造体と、を備える」のに対して、引用発明は、「前記複合パネル16の前記内面52を前記リブ40の前記最も外側の端部である取付面42に取り付ける」ものの、複合パネル16をリブ40の取付面42に取り付ける手段が特定されていないため、複合パネル16を貫いてリブ40内へ延在する高エネルギービーム溶接構造体を備えるのか不明である点。 (4) 相違点の判断 上記(2)イ(イ)で示したように、引用文献2には、「エアフォイル形状本体5とカバー6とを重ね溶接7によって固定するに際し、重ね溶接7として、EBW(電子ビーム溶接)溶接法やLBW(レーザービーム溶接)溶接法を使用できること」が記載されており、「EBW(電子ビーム溶接)溶接法やLBW(レーザービーム溶接)溶接法」は、本件補正発明の「高エネルギービーム溶接」に相当する。 ここで、引用文献1には、上記(2)ア(ア)fで示したように、金属パネル、すなわち複合パネル16は、リブ40と溶接により取り付けてもよいことが示唆されている。また、引用発明において、複合パネル16が開口38に嵌まるように構成されていることから、複合パネル16をリブ40の取付面42に取り付ける際に溶接を行う場合は、エアフォイル14の内側(複合パネル16の内面52側)からは溶接を行うことができず、エアフォイル14の外側(複合パネル16の外面54側)から重ね溶接を行わざるを得ないことは、当業者にとって明らかである。 そうすると、引用発明において、上記引用文献2記載の技術的事項に鑑み、複合パネル16の内面52をリブ40の最も外側の端部である取付面42に取り付ける手段として、「高エネルギービーム溶接」を採用し、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 なお、高エネルギービーム溶接によって2つの対象を溶接すると、一方の溶接対象を貫いて他方の溶接対象内へ延在する高エネルギービーム溶接構造体が生じることは、本願の優先日前における技術常識である(必要ならば、特開2009-255172号公報の【図16】(c)及び関連する説明を参照のこと。)。 本件補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 (5) 請求人の主張の検討 請求人は、審判請求書の「5.(3)本願発明と引用例との対比」において、「本願請求項1,19~21に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、エアフォイル本体の第1の側部に形成された窪み部分に配置されるカバーの内面を、その窪み部分の表面を形成するリブの最も外側の端部に取り付けるように、高エネルギービーム溶接構造体を、「カバーを貫いてリブ内へ延在」させるようにした点に大きな特徴を有しているが、引用文献1,2はいずれもこのような構成を有しておらず、この点で本願発明とは明らかに相違する」と主張する。 しかしながら、この点が容易想到であることは、上記(4)に示したとおりである。 (6) まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年9月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~21に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、「第2 1(2)」に示したとおりのものと認められる。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。 この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:米国特許出願公開第2010/0266415号明細書 引用文献2:米国特許出願公開第2015/0226068号明細書 3 引用文献の記載事項等 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項及び引用発明は、「第2 2(2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 「第2 2」を参照すると、本件補正発明は、本願発明を特定するために必要な事項である「リブ」に関して、「前記リブの最も外側の端部が、前記エアフォイル本体の前記第1の側部の外面に対して窪んでいる」との限定を付し、「カバー」に関して、「前記カバーの内面が前記リブの前記最も外側の端部に係合し」との限定を付すとともに、「高エネルギービーム溶接構造体」に関して、「前記カバーの前記内面を前記リブの前記最も外側の端部に取り付けるように配置された」との限定を付すものであるから、本願発明は、本件補正発明から上記の限定を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに限定した本件補正発明が、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項を検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-001676

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