審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-003320

飛行体

審判番号
2023-003320
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-175460
請求日
2023年02月28日
審決日
2023年09月26日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社エアロネクスト
審判長/審判官
  • 審判長 一ノ瀬 覚
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 筑波 茂樹
分類
P18 .121-WZ (B64C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第44条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-175460号「飛行体」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月16日出願公開、特開2020-108997号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)1月1日(特許法第44条第2項の規定により、本願は、この日に出願したものとみなす。以下「原出願日」という。)を国際出願日とする出願(特願2019-540129号)の一部を令和元年9月26日に新たな特許出願としたものであって、令和4年8月1日に手続補正がなされ、同年8月5日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和5年2月28日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年4月17日付けで当審により拒絶理由が通知され、同年6月19日に意見書の提出とともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~5に係る発明は、令和5年6月19日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 前進飛行および上昇、下降、着陸が可能な飛行体であって、 少なくとも前記飛行体の機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれ設けられ、それぞれ側方が覆われていないプロペラを有する揚力発生部と、 前記機体を前後でそれぞれ支える支持部と、 前記機体の少なくとも幅方向中央を含む内部空間に設けられ、荷物を載せる搭載部と、を備え、 前記支持部は、後側支持部よりも前側支持部が長く、着陸状態において、前記前進飛行時の進行方向が前記飛行体の上斜め前方となるように前記機体を支持しており、 着陸状態において、前記飛行体において左後側及び右後側揚力発生部よりも左前側及び右前側揚力発生部が高く位置し、 左前側及び右前側揚力発生部は、前進飛行状態においても左後側及び右後側揚力発生部よりも前方に位置し、 前記揚力発生部は、少なくとも前記機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、着陸状態における前記搭載部の前後方向の幅より直径が小さいプロペラが複数個ずつ設けられている、 飛行体。」 第3 拒絶の理由 令和5年4月17日付けで当審が通知した拒絶理由のうち理由2は、次のとおりのものである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1~5 ・引用文献1:米国特許出願公開第2010/0051740号明細書 第4 当審の判断 1 引用文献1の記載事項、引用発明 (1) 記載事項 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている({}内に、当審の作成した翻訳文を示す。) ・「[0002]This invention relates to Vertical Take-Off and Landing (VTOL) vehicles generally, and specifically、 to VTOL vehicles with rotors arranged in tandem that are fixedly tilted or adjustably tiltable to specified angles for lift-off, hover, and forward flight.」 {[0002]本発明は、垂直離着陸(VTOL)乗物一般、具体的には、固定的に傾斜している、又は、離陸、ホバリング及び前進飛行のために特定の角度に傾斜調整可能なタンデム状に配置されたローターを備えたVTOL機に関するものである。」 ・「[0017]FIGS. 8 and 9 are schematic side views of another exemplary but non-limiting embodiment of a ducted rotor VTOL vehicle on the ground and in forward flight, where the forward and aft rotors are fixed at negative and positive angles, respectively, of substantially 45° relative to the vehicle fuselage; [0018]FIG. 10 is a schematic front end view of the vehicle in FIG. 8; [0019]FIG. 11 is a schematic side view similar to FIG. 8, but in an unmanned configuration; [0020]FIG. 12 is a section view taken along the line 12-12 in FIG. 11; [0021]FIG. 13 is a schematic side view of the vehicle shown in FIG. 11, but tilted for forward flight; [0022]FIG. 14 is a schematic side view of a VTOL vehicle in accordance with another exemplary but nonlimiting embodiment where the fuselage is aerodynamically shaped to generate additional lift forces;」 {[0017]図8及び図9は、地上及び前進飛行におけるダクト付きローターVTOL機の例示的であるが非限定的な別の実施形態の概略側面図であり、前部及び後部ローターは、乗物の胴体に対する実質的に45°の負及び正の角度で固定されている。 [0018]図10は、図8の乗物の概略正面端面図である。 [0019]図11は、図8に類似しているが、無人の構成の概略側面図である。 [0020]図12は、図11における線12-12に沿って切断した断面図である。 [0021]図13は、前進飛行のために傾斜している図11に示されている乗物の概略側面図である。 [0022]図14は、胴体が空気力学的に追加の揚力を生成するように形成されている、例示的であるが非限定的な別の実施形態による、VTOL機の概略側面図である。} ・「[0041]FIGS. 8-10 illustrate another embodiment of a VTOL vehicle 34 in accordance with an exemplary but non-limiting implementation of the invention. The VTOL vehicle 34 again has three primary components, the forward rotor 36 and associated forward duct (or housing) 38, the fuselage 40 and the rearward rotor 42 and associated duct (or housing) 44. As in the previously described embodiments, the rotors/ducts and fuselage are aligned along a longitudinal axis of the vehicle (see axis L in FIG. 1). [0042]In this embodiment, the ducts 38 and 44 (and hence rotors 36 and 42) are secured to the fuselage 40 at the same fixed, in-flight positive and negative angles A and B shown in FIG. 3. When at rest, the vehicle 34 is oriented with ducts 38 and 44 substantially horizontal (i.e., parallel to ground), with the fuselage 40 tilted at an angle of about 45° relative to the ground (or to the vertically spaced, horizontal planes containing the rotors 36, 42). The fixed tilt angle may, however, be larger than shown, and up to 75° or so depending on application and other design factors. Landing gear struts 46, 48 (which may be retractable), are configured and arranged to permit the vehicle to be oriented in this manner when the vehicle is on the ground, as best seen in FIG. 8. This orientation, where the rotors generate only forces only in an upward direction, facilitates both lift-off and landing of the vehicle as well as flight in the hover mode. FIG. 10 shows more clearly how the forward and aft rotors lie in vertically-spaced and substantially horizontal planes when the vehicle is on the ground. [0043]After lifting off, the orientation of the craft 34 can be altered through differential pitch change of the rotors 36, 42, causing the vehicle to tilt forward to bring the fuselage 40 to a substantially horizontal orientation (FIG. 9). The fixed rotors/ducts are now arranged at positive and negative A and B angles of about 45° (see FIG. 3), so that both lift and thrust force components are generated by the rotors 36, 42. Note, however, that if the fuselage is not aerodynamically shaped, the lift forces will be generated only by the ducted rotors 36, 42. [0044]FIGS. 11 and 13 illustrate an unmanned version of the vehicle 34, thereby eliminating the need for the cockpit 50 shown in FIGS. 8 and 9. The configuration may otherwise be substantially identical to the embodiment shown in FIGS. 8-10. FIG. 12, which is section 12-12 of FIG. 11, schematically illustrates one example of how the vehicle engine 52 may be housed in the fuselage 40, with payload bays 54, 56 (for cargo, instrumentation, etc.) located on either side of the engine 52. Drive shafts (one shown at 58) may extend from opposite ends of the engine, with suitable couplings connecting the drive shafts to other shafts connected to the rotors via suitable gearboxes. [0045]In a variation shown in FIG. 14, a VTOL vehicle 58 includes a fuselage 60 that is aerodynamically shaped, thus generating a lift force Lf supplementing the vertical components of the forces generated by the rotors 62, 64. Otherwise, the vehicle is substantially identical to the vehicle illustrated in FIGS. 8-13. It is envisioned that with unmanned vehicles such as those shown in FIGS. 1-14, higher tilt angles would be utilized, since no consideration need be given to the comfort of occupants in the highly-tilted fuselage while the vehicle is in hover or on the ground. {[0041]図8-10は、本発明の例示的であるが非限定的な実施形態による、VTOL機34の別の実施形態を示す。VTOL機34は、3つの主要な要素は、前部ローター36およびそれに伴う前方ダクト(又はハウジング)38と、胴体40と、後部ローター42およびそれに伴うダクト(又はハウジング)44を有している。前述の実施形態におけるように、ローター/ダクトと胴体は乗物の長手方向軸線に沿って整列している(図1の軸Lを参照)。 [0042]この実施の形態において、ダクト38および44は(その結果、ローター36、42は)、図3に示されるものと同じ固定された飛行中の正および負の角度A及びBで胴体40に固定されている。着地時、乗物34はダクト38及び44が実質的に水平(すなわち、地面に対して平行)であり、胴体40が地面に対して45°の角度で(又はローター36,42を含む水平面が垂直方向に離間するように)傾斜するように向けられる。この固定された傾斜角度は、用途および他の設計要因に応じて、上限75°まで大きくてもよい。(格納可能な)ランディングギアストラット46、48は図8に最もよく見られるように、乗物が地上にあるときに、乗物がこのような方向を向くことができるように構成され配置される。この配向は、ローターが上方向の力のみ発生し、ホバリングモードでの飛行と同様に、乗物の離陸と着陸の両方を容易にする。図10は、より明確に乗物が地上にある場合、前部および後部ローターは、垂直方向に離間し実質的に水平平面に配置される様子を示している。 [0043]離陸した後、航空機34の向きは、ローター36、42の不等ピッチ変化を通じて変更され、胴体40が実質的に水平方向となるよう乗物を前方に傾斜させることができる。(図9)。こうすることで固定ローター/ダクトは約45°の正および負のAおよびBの角度(図3参照)に配置され、ローター36、42によって揚力及び推力の両成分が生成される。しかし、胴体が、空気力学的に成形されていない場合、揚力は、ダクト付きローター36、42によってのみ発生することになる。 [0044]図11及び図13は、乗物34が無人のバージョンを示し、図8及び図9に示されているコックピット50の必要性を排除する。他の構成は実質的に図8-10に示した実施の形態と同一であってもよい。図12は、図11の12-12断面であり、乗物のエンジン52を、エンジン52のいずれかの側に配置された(貨物、機器等のための)ペイロード室54、56とともに、胴体40内に収容する方法の一例を概略的に示す。駆動シャフト(1つを符号58で示す)は、エンジンの対向端部から延在し、適切な連結器で駆動シャフトを他方のシャフトに連結し、適切なギヤボックスを介してローターに接続される。 [0045]図14に示す変形例では、VTOL機58は空気力学的形状の胴体60を備えており、これによりローター62、64によって発生した力の垂直成分を補う揚力Lfを生成する。それ以外は、乗物は実質的に図8-13で示した乗物と同一のものである。なお、図1-14に示されているようなものの無人乗物では、ホバリング中又は地上における胴体の大きな傾斜角度での搭乗員の快適性を考慮する必要がないため、より大きな傾斜角度が利用可能であると予想される。} ・「[0049]While the VTOL vehicles illustrated in FIGS. 1-16 are shown to include rotor ducts or housings, the VTOL vehicle may be configured without ducts as shown in FIGS. 17-19. In this embodiment, the VTOL vehicle 84 includes a forward unducted rotor 86 (represented by a circle of rotation generated by the rotor), a fuselage 88 and an unducted aft rotor 90 (similarly represented).」 {[0049]図1-16には、ローターダクトあるいはハウジングを含むVTOL機が示されているが、VTOL機は、図17-19に示すようにダクトなしの構成としてもよい。この実施形態では、VTOL機は、前部のダクトなしローター86(ローターの回転によって形成される円として表される)、胴体88及びダクトなしの後部ローター90(同様に表される)を含む。} ・[0056]FIGS. 25-28 illustrate additional details relating to the vehicle 114 shown in FIGS. 22-24, and also illustrate some additional, optional features. For example, the cockpit 116 may be formed to include fairing 128 to reduce drag and to provide additional compartments 130 for luggage, cargo, etc.」 {[0056]図25-28は図22-24に示す乗物114に関する付加的な詳細およびいくつかの追加的、任意の特徴を示している。例えば、コックピット116は、抗力を減らすため、及び、荷物、貨物などのための付加的な区画130を供給するため、フェアリング128を含むように形成することができる。} ・図8~図14、図17~図19、図25~図28には以下の内容が示されている。 [図:0001404619000001.jpg] [図:0001404619000002.jpg] [図:0001404619000003.jpg] [図:0001404619000004.jpg] (2)認定事項 ア 段落[0002]の下線部の記載事項から「前進飛行及び垂直離着陸が可能なVTOL機34」であることが理解できる。 イ 段落[0043]の下線部の記載事項からみて「ローター36、42」は揚力を生成する「揚力生成部」であること、及び、この事項を踏まえて、図8、図9からみて、「VTOL機34の胴体40の前側、後側にそれぞれ設けられ、側方がダクト38、44に覆われたローター36、42を有する揚力生成部36、42」が理解できる。 また、図8、図9からみて「揚力生成部36、42は、胴体40の前側と後側にそれぞれにおいてローター36、42が設けられている」ことが理解できる。 ウ 段落[0042]の下線部の記載事項と図8からみて、「胴体40を前後でそれぞれ支えるランディングギアストラット46、48」が理解できる。 エ 段落[0044]の下線部の記載事項と図8、図9からみて、「VTOL機34の幅方向中央を含む内部空間に設けられ、乗員を乗せるコックピット50」が理解できる。 オ 図8は着陸状態を示しており、図8からみて、「ランディングギアストラット46、48は後側のランディングギアストラット48より前側のランディングギアストラット46が長」いことが理解できる。 カ 図9は前進飛行状態を示しており、図8の着陸状態を合わせてみると、以下のことが理解できる。 「着陸状態(図8)において、前進飛行時の進行方向(図9)がVTOL機34の上斜め前方となるように前記胴体40を支持しており、 着陸状態において、前記VTOL機34において後側の揚力生成部42より前側の揚力生成部36が高く位置し(図8)、 前側の揚力生成部36は前進飛行状態においても後側の揚力生成部42よりも前方に位置し(図9)、 前記VTOL機34における前側の揚力生成部36の位置は着陸時(図8)よりも前進飛行時(図9)の方が相対的に低い位置であり、 前記VTOL機34における後側の揚力生成部42の位置は、着陸時(図8)よりも前進飛行時(図9)の方が相対的に高い位置であること」 (3)引用発明 段落[0041]~[0044]の記載事項と図8~図10の図示内容に着目すると引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「前進飛行及び垂直離着陸が可能なVTOL機34であって、 前記VTOL機34の胴体40の前側、後側にそれぞれ設けられ、側方がダクト38、44に覆われたローター36、42を有する揚力生成部36、42と、 胴体40を前後でそれぞれ支えるランディングギアストラット46、48と、 前記VTOL機34の幅方向中央を含む内部空間に設けられ、乗員を乗せるコックピット50と、 を備え、 前記ランディングギアストラット46、48は後側のランディングギアストラット48より前側のランディングギアストラット46が長く、着陸状態において、前記前進飛行時の進行方向が前記VTOL機34の上斜め前方となるように前記胴体40を支持しており、 着陸状態において、前記VTOL機34において後側の揚力生成部42より前側の揚力生成部36が高く位置し、 前側の揚力生成部36は前進飛行状態においても後側の揚力生成部42よりも前方に位置し、 前記VTOL機34における前側の揚力生成部36の位置は着陸時よりも前進飛行時の方が相対的に低い位置であり、 前記VTOL機34における後側の揚力生成部42の位置は、着陸時よりも前進飛行時の方が相対的に高い位置であり、 揚力生成部36、42は、胴体40の前側と後側にそれぞれにおいてローター36、42が設けられている、 VTOL機34。」 2 対比・判断 (1)発明の対比 ア 本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「垂直離着陸」のうち垂直着陸は前者の「着陸」に相当し、以下同様に、「VTOL機34」は「飛行体」に、「胴体40」は「機体」に、「ローター36、42」は「プロペラ」に、「揚力生成部36、42」は「揚力発生部」に、「ランディングギアストラット46、48」は「支持部」に、「コックピット50」は「搭載部」に、それぞれ相当する。 そして、上記相当関係を踏まえると以下のことがいえる。 イ 後者の「前進飛行及び垂直離着陸が可能なVTOL機34」は垂直離着陸が可能であれば上昇、下降が可能であることは明らかであるから、前者の「前進飛行および上昇、下降、着陸が可能な飛行体」に相当する。 ウ 後者の「前記VTOL機34の前側、後側にそれぞれ設けられ、側方がダクト38、44に覆われたローター36、42を有する揚力生成部36、42」と前者の「少なくとも前記飛行体の機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれ設けられ、それぞれ側方が覆われていないプロペラを有する揚力発生部」とは「前記飛行体の機体の前側、後側にそれぞれ設けられ、それぞれプロペラを有する揚力発生部」において共通する。 エ 後者の「胴体40を前後でそれぞれ支えるランディングギアストラット46、48」は前者の「前記機体を前後でそれぞれ支える支持部」に相当する。 オ 後者の「前記VTOL機34の幅方向中央を含む内部空間に設けられ、乗員を乗せるコックピット50」と前者の「前記機体の少なくとも幅方向中央を含む内部空間に設けられ、荷物を載せる搭載部」とは「前記機体の少なくとも幅方向中央を含む内部空間に設けられる、搭載部」において共通する。 カ 後者の「前記ランディングギアストラット46、48は後側のランディングギアストラット48より前側のランディングギアストラット46が長く、着陸状態において、前記前進飛行時の進行方向が前記VTOL機34の上斜め前方となるように前記胴体40を支持して」いることは、前者の「前記支持部は、後側支持部よりも前側支持部が長く、着陸状態において、前記前進飛行時の進行方向が前記飛行体の上斜め前方となるように前記機体を支持して」いることに相当する。 キ 後者の「着陸状態において、前記VTOL機34において後側の揚力生成部42より前側の揚力生成部36が高く位置し」ていることと、前者の「着陸状態において、前記飛行体において左後側及び右後側揚力発生部よりも左前側及び右前側揚力発生部が高く位置し」ていることとは、「着陸状態において、前記飛行体において後側揚力発生部よりも前側揚力発生部が高く位置し」ていることにおいて共通する。 ク 後者の「前側の揚力生成部36は前進飛行状態においても後側の揚力生成部42よりも前方に位置」することと、前者の「左前側及び右前側揚力発生部は、前進飛行状態においても左後側及び右後側揚力発生部よりも前方に位置」することとは、「前側揚力発生部は、前進飛行状態においても後側揚力発生部よりも前方に位置」することにおいて共通する。 ケ 後者の「揚力生成部36、42は、胴体40の前側と後側にそれぞれにおいてローター36、42が設けられている」ことと、前者の「前記揚力発生部は、少なくとも前記機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、着陸状態における前記搭載部の前後方向の幅より直径が小さいプロペラが複数個ずつ設けられている」こととは、「前記揚力発生部は、前記機体の前側、後側にそれぞれにおいて、プロペラが設けられている」ことにおいて共通する。 そうすると、両者は、 「前進飛行および上昇、下降、着陸が可能な飛行体であって、 前記飛行体の機体の前側、後側にそれぞれ設けられ、それぞれプロペラを有する揚力発生部と、 前記機体を前後でそれぞれを支える支持部と、 前記機体の少なくとも幅方向中央を含む内部空間に設けられる、搭載部とを備え、 前記支持部は、後側支持部よりも前側支持部が長く、着陸状態において、前記前進飛行時の進行方向が前記飛行体の上斜め前方となるように前記機体を支持しており、 着陸状態において、前記飛行体において後側揚力発生部よりも前側揚力発生部が高く位置し、 前側揚力発生部は、前進飛行状態においても後側揚力発生部よりも前方に位置し、 前記揚力発生部は、前記機体の前側、後側にそれぞれにおいて、プロペラが設けられている、 飛行体。」 において一致し、以下の各点において相違すると認められる。 <相違点1> 揚力発生部に関して、本願発明では、「それぞれ側方が覆われていないプロペラを有する」ものであり、「少なくとも前記機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、着陸状態における前記搭載部の前後方向の幅より直径が小さいプロペラが複数個ずつ設けられている」のに対して、引用発明では、「それぞれ側方がダクト38、44に覆われたローター36、42(プロペラ)を有する」ものであり、「少なくとも前記機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、着陸状態における前記搭載部の前後方向の幅より直径が小さいプロペラが複数個ずつ設けられてい」るものでない点。 <相違点2> 搭載部が、本願発明では、「荷物を載せる搭載部」であるのに対して、引用発明では、「乗員を乗せるコックピット50」である点。 (2)相違点の検討 <相違点1について> 飛行体の揚力発生部として、機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれ、側方が覆われていない複数個のプロペラを備えるものは、原出願日前において周知の技術である(必要があれば、国際公開第2017/200610号の図1、図5、図6、図10、及び、特表2017-507843号公報の段落【0023】、図32、特開平2-88395号公報の第3図、特開昭62-273197号公報の第3図を参照のこと。)。 そして、引用発明を開示する引用文献1には、別実施例として段落[0049]に「VTOL機は、図17-図19に示すようにダクトなしの構成としてもよい。」(図17~図19を参照のこと)と記載され、すなわち、ダクトの有無は任意に選択できることが示唆されており、引用発明も上記周知の技術も垂直離着陸型航空機に関するものであるから、引用発明の「前側、後側にそれぞれ設けられ、側方がダクト38、44に覆われたローター36、42を有する揚力生成部36、42」について、上記周知の技術を適用し、「少なくとも前記機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、プロペラが複数個ずつ設けられている」ものとすることは、当業者が適宜なし得ることである。 そして、機体の左前側、右前側、左後側、右後側にそれぞれにおいて、プロペラが複数個ずつ設けられることにより、プロペラの直径を小さくすることができることは明らかであり、その際に、プロペラの直径を、着陸状態における搭載部の前後方向の幅より小さくすることは、当業者が適宜採用可能な設計的事項にすぎない。 してみれば、引用発明において、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2について> 引用発明を開示する引用文献1には、別実施例として段落[0056]に「コックピット116は、抗力を減らすため、及び、荷物、貨物などのための付加的な区画130を供給するため、フェアリング128を含むように形成することができる。」(図25~図28を参照のこと)と記載され、コックピット116に荷物などを搭載することが示唆されているから、引用発明のコックピット50に荷物を搭載することに何ら困難性はなく、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の作用効果について検討しても、引用発明、引用文献1に記載された事項及び上記周知の技術に基いて予測される事項から格別のものがあるとはいえない。 (3)小括 本願発明は、引用発明、引用文献1に記載された事項及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-003320

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決7件(株式会社エアロネクスト)
  • 2024-001986拒絶査定不服審判 / 2025-06-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)飛行体
    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
  • 2024-005588拒絶査定不服審判 / 2024-10-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)伸縮棒
    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
  • 2022-000253拒絶査定不服審判 / 2022-03-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)飛行体及びこれを用いた荷物の輸送方法
    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
  • 2019-016674拒絶査定不服審判 / 2020-10-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)長尺に延びる本体部を備えた飛行体
    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
  • 2025-700630異議申立 / 2026-01-13 / 請求成立(取消)フレーム組立体及びフレーム組立体の製造方法
    同じ当事者: 株式会社エアロネクスト
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)59件(121・B64C)
  • 2025-008794拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)拡声装置を備えた無人飛行体、無人飛行体を使用する拡声システム及び拡声方法
    共通の審決分類: 121・B64C
  • 2024-016095拒絶査定不服審判 / 2026-04-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)高速飛行体での冷却および発電のためのシステムおよび方法
    共通の審決分類: 121・B64C
  • 2024-014220拒絶査定不服審判 / 2026-01-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)標的航空機を無力化するための対抗手段を有する航空機
    共通の審決分類: 121・B64C
  • 2024-018527拒絶査定不服審判 / 2025-12-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)飛行体
    共通の審決分類: 121・B64C
  • 2024-014326拒絶査定不服審判 / 2025-11-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)シム無しアセンブリの製造を同調させる方法
    共通の審決分類: 121・B64C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存