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特許異議申立

2022-701293

熱交換設備、発電設備及び熱交換方法

審判番号
2022-701293
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-180616
登録番号
7096118
請求日
2022年12月23日
審決日
2024年07月18日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】関西電力株式会社
  • 【権利者代理人】中原 正樹
  • 【異議申立人】▲濱▼▲崎▼ 拓也
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 間中 耕治
  • 審判官 村山 美保
分類
P1652.121-ZDB(F28D) / P1652.537-ZDB(F28D) / P1652.851-ZDB(F28D) / P1652.856-ZDB(F28D) / P1652.857-ZDB(F28D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7096118号発明「熱交換設備、発電設備及び熱交換方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7096118号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項14、15~17、19~21、23、24について訂正することを認める。 特許第7096118号の請求項1~5、7に係る特許を取り消す。 特許第7096118号の請求項6係る特許を維持する。 特許第7096118号の請求項14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7096118号の請求項1~14に係る特許は、平成30年9月26日の出願であって、令和4年6月27日にその特許権の設定登録がされ、同年7月5日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年12月23日 :特許異議申立人 ▲濱▼▲崎▼ 拓也(以下「申立人」という。)による請求項1~7および14に係る特許に対する特許異議の申立て 令和5年 5月11日付け:取消理由通知 同年 7月14日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 同年11月17日付け:訂正拒絶理由通知 同年12月14日 :特許権者による意見書の提出及び手続補正 令和6年 2月29日付け:取消理由通知(決定の予告) なお、特許権者が令和5年7月14日にした訂正の請求について、申立人に対して期間を指定して意見を提出する機会を設けたが、申立人からの応答はなかった。 また、特許権者に対して令和6年2月29日付け取消理由通知(決定の予告)により期間を指定して意見を提出する機会を設けたが、特許権者からの応答はなかった。 第2 本件訂正の適否 1.令和5年12月14日にした手続補正について 令和5年12月14日にした手続補正は、同年7月14日にした訂正の請求について以下のとおり補正するものである。 (1)訂正事項6について 特許請求の範囲の請求項8について、請求項4を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項18とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正するという請求を、請求項4を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項18とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」かつ「前記第一流体としての空気は、加圧されて前記第二流体としての液化燃料よりも沸点が高い空気、または、加圧されずに前記第二流体としての液化燃料よるも沸点が高い空気である」を追加する訂正に補正するものである。 (2)訂正事項10について 特許請求の範囲の請求項9について、請求項4を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項22とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正するという請求を、請求項4を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項22とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」かつ「前記第一流体としての空気は、加圧されて前記第二流体としての液化燃料よりも沸点が高い空気、または、加圧されずに前記第二流体としての液化燃料よるも沸点が高い空気である」を追加する訂正に補正するものである。 (3)当審の判断 上記訂正事項6及び訂正事項10についての補正は、訂正事項の記載を変更することによって審理事項を追加するものであるから、訂正の請求の要旨を変更する補正であるといわざるを得ない。 よって、令和5年12月14日にした手続補正は、不適法な補正であるといわざるを得ないから、認められない。 2.令和5年7月14日にした訂正の請求について (1)一群の請求項1~13について ア 訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (ア)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1~5、7を削除する。 (イ)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換設備と、」とあるのを、「請求項6に記載の熱交換設備と、」に訂正する(請求項8の記載を直接的または間接的に引用する請求項9~13も同様に訂正する。)。 (ウ)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8について、請求項1を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項15とする。 (エ)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8について、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項16とする。 (オ)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8について、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項17とする。 (カ)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8について、請求項4を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項18とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正する (キ)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8について、請求項5を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項19とする。 (ク)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8について、請求項7を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項20とする。 (ケ)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9について、請求項1を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項21とする。 (コ)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9について、請求項4を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項22とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正する。 (サ)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項9について、請求項5を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項23とする。 (シ)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項9について、請求項7を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項24とする。 (ス)一群の請求項について 訂正前の請求項1~13について、請求項2、3、8~13は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 また、訂正前の請求項8~13は、それぞれ請求項4~7を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項4~7に連動して訂正されるものである。 よって、訂正前の請求項1~13に対応する訂正後の請求項[1~13、15~24]は、一群の請求項である。 イ 訂正の適否についての判断 (ア)訂正事項1について a 訂正の目的 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1~5,7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1は、請求項1~5、7を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内で訂正するものであることが明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。 c 特許出願の際独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の請求項1~7について特許異議の申立てがされているから、特許出願の際独立して特許を受けることができることの要件(以下、「独立特許要件」という。)は課されない。 (イ)訂正事項2について a 訂正の目的 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換設備と、」とあるのを、「請求項6に記載の熱交換設備と、」に訂正するものであって、択一的記載の要素の削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換設備と、」とあるのを、「請求項6に記載の熱交換設備と、」に訂正するものであるから、特許明細書等に記載された事項の範囲内で訂正するものであることが明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。 c 特許出願の際独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の請求項1~7について特許異議の申立てがされているから、独立特許要件は課されない。 (ウ)訂正事項3~5、7~9、11~12について a 訂正の目的 訂正事項3~5、7~9、11~12は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3~5、7~9、11~12は、請求項間の引用関係を解消するものであるから、特許明細書等に記載された事項の範囲内で訂正するものであることが明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。 c 特許出願の際独立して特許を受けることができること 訂正事項3~5、7~9、11~12は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、独立特許要件は課されない。 (エ)訂正事項6について a 訂正の目的 訂正事項6は、請求項4を引用する請求項8を独立形式に改めて新たな請求項18とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、特許明細書等の段落【0051】に「例えば、第一熱媒体n1は、圧力、濃度等が調整されることで、沸点が、第一流体f1の沸点よりも低く第二流体f2の沸点よりも高い温度になるように設定されている。」、段落【0052】に「この場合、第一熱媒体n1が窒素であれば、2.3MPa程度まで加圧することで、また、第一熱媒体n1がアルゴンであれば、1.1MPa程度まで加圧することで、第一熱媒体n1の沸点を約-155℃に設定することができる。」と記載されているから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 c 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項6は、請求項間の引用関係を解消すると同時に、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 d 特許出願の際独立して特許を受けることができること 訂正前の請求項8は、特許異議の申立てがされていない請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、訂正後の請求項18が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて検討する。 (a) 訂正後の請求項18は、「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点」を有することを発明特定事項とするものであるから、「第一熱媒体」の沸点は、以下の関係を満たすものといえる。 「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」 (b) また、訂正後の請求項18は、「前記第一流体として空気を冷却して液化させ」、「前記第二流体として液化燃料を加熱して気化させる」ことを発明特定事項とするものであるから、アの「第一流体の沸点」及び「第二流体の沸点」は、それぞれ「空気の沸点」及び「液体燃料の沸点」を意味すると解される。 (c) 「空気の沸点」について検討すると、訂正後の請求項18は、「第一流体」である「空気」の圧力等についての特定がないから、「1気圧」の時の「空気の沸点」を意味すると解される。そして、「1気圧」の時の空気の主要な成分である「窒素の沸点」が「-196℃」、「酸素の沸点」が「-183℃」であることを勘案すると、「1気圧」における「空気の沸点」は、「-196℃~-183℃」ということができる。 (d) 一方、「液体燃料の沸点」について検討すると、訂正後の請求項18は、「第二流体」である「液体燃料」の種類について特定がない。そこで願書に添付した明細書を参酌すると、段落【0044】に「また、第二流体f2は、液化天然ガス(LNG)または液化水素(LH2)等の液化燃料であり、第一流体f1と熱交換を行った後に、天然ガス(NG)または水素(H2)等のガス燃料となる。」と記載されているから、「液体燃料」は、「液化天然ガス(LNG)」を含むものと解される。そうすると、「液化天然ガス(LNG)の沸点」は、その主部分である「メタンの沸点」からみて、「-161.5℃」ということができる。 (e) そして、「第一流体の沸点」である「空気の沸点」が「-196℃~-183℃」であって、「第二流体の沸点」である「液化天然ガス(LNG)の沸点」が「-161.5℃」であるから、「第一流体の沸点」は、「第二流体の沸点」よりも低温であり、上記アの「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」という関係式は、そもそも成立し得ないといえる。 (f) そうすると、「第一流体」が「空気」であって「第二流体」が「液体燃料」であることが特定されている訂正後の請求項18の「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点」との発明特定事項は、技術常識及び明細書の記載を参酌しても、「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」との関係が成立しないから、その技術的な意味が不明確であるといわざるを得ない。 よって、訂正後の請求項18は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (オ)訂正事項10について a 訂正の目的 訂正事項10は、請求項4を引用する請求項8を更に引用する請求項9を独立形式に改めて新たな請求項22とするとともに、訂正前の請求項4の「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」とあるのを「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、」に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項10は、特許明細書等の段落【0051】に「例えば、第一熱媒体n1は、圧力、濃度等が調整されることで、沸点が、第一流体f1の沸点よりも低く第二流体f2の沸点よりも高い温度になるように設定されている。」、段落【0052】に「この場合、第一熱媒体n1が窒素であれば、2.3MPa程度まで加圧することで、また、第一熱媒体n1がアルゴンであれば、1.1MPa程度まで加圧することで、第一熱媒体n1の沸点を約-155℃に設定することができる。」と記載されているから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 c 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項10は、請求項間の引用関係を解消すると同時に、発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 d 特許出願の際独立して特許を受けることができること 訂正前の請求項9は、特許異議の申立てがされていない請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、訂正後の請求項22が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて検討する。 訂正後の請求項22も、訂正後の請求項18と同様に、「第一流体」が「空気」であって「第二流体」が「液体燃料」であることが特定され、「前記第一熱媒体は、圧力が調整されることで、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点」との発明特定事項を含むものであるから、技術常識及び明細書の記載を参酌しても、「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」との関係が成立せず、その技術的意味が不明確であるといわざるを得ない。 よって、訂正後の請求項22は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 ウ 小括 以上のとおり、一群の請求項である訂正前の請求項1~13に対応する訂正後の請求項[1~13、15~24]に対する訂正事項1~12は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 しかしながら、訂正事項6及び訂正事項10は、訂正後の請求項18及び請求項22が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。 そして、本件訂正は、訂正後の請求項15~24のそれぞれの請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として訂正することを求めるものであるから、訂正後の請求項15~17、19~21、23、24についての訂正は、一群の請求項[1~13]と別の訂正単位として取り扱われる。 したがって、特許請求の範囲について、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のうち訂正後の請求項15~17、19~21、23、24について訂正することを認める。 (2)請求項14について ア 訂正の内容 訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項14を削除する、というものである。 イ 訂正の適否 (ア)訂正の目的 訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項14を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項13は、請求項14を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内で訂正するものであることが明らかであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことが明らかである。 (ウ) 特許出願の際独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の請求項14について特許異議の申立てがされているから、独立特許要は課されない。 ウ 小括 以上のとおり、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲について、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のうち訂正後の請求項14について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~24に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明24」という。)は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項、および訂正特許請求の範囲の請求項14、15~17、19~21、23、24に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 【請求項1】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有する 熱交換設備。 【請求項2】 前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有し、 前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管及び前記第二配管を収容する第一容器を有する 請求項1に記載の熱交換設備。 【請求項3】 前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有し、 前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管を収容する第二容器と、前記第二配管を収容する第三容器と、前記第二容器及び前記第三容器を接続する接続配管と、を有する 請求項1に記載の熱交換設備。 【請求項4】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるととも に、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、前記第一流体として空気を冷却して液化させ、 前記第二熱交換部は、前記第二流体として液化燃料を加熱して気化させる 熱交換設備。 【請求項5】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、液化された不燃性ガスを前記第一熱媒体として加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、気化された前記不燃性ガスを冷却して液化させる 熱交換設備。 【請求項6】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記熱交換設備は、さらに、 前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体と、前記第二熱交換部から流出した後の前記第二流体との熱交換を行う第二熱交換器を備え、 前記第二熱交換器は、 当該第一流体を冷却するとともに、当該第一流体の温度よりも低い沸点を有する第二熱媒体を加熱して気化させる第三熱交換部と、 当該第二流体を加熱するとともに、当該第二流体の温度よりも高い沸点を有する前記第二熱媒体を冷却して液化させる第四熱交換部と、を有する 熱交換設備。 【請求項7】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記熱交換設備は、さらに、 前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体を圧縮する圧縮機を備える 熱交換設備。 【請求項8】 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、 を備える発電設備。 【請求項9】 前記第一熱交換器は、前記第一流体として空気を液化させて液化空気を生成するとともに、前記第二流体として液化燃料を気化させてガス燃料を生成し、 前記発電部は、前記ガス燃料が供給されるガスタービンを有し、 前記熱交換設備は、前記液化空気及び前記ガス燃料の少なくとも一方が有する冷熱を用いて、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する 請求項8に記載の発電設備。 【請求項10】 前記熱交換設備は、前記液化空気を、前記ガスタービンに吸気される空気に供給する 請求項9に記載の発電設備。 【請求項11】 前記熱交換設備は、前記液化空気を酸素富化して酸素富化液化空気を生成し、生成した前記酸素富化液化空気を、前記ガスタービンに吸気される空気に供給する 請求項10に記載の発電設備。 【請求項12】 前記熱交換設備は、前記ガス燃料を加熱するとともに、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する第三熱交換器を有する 請求項9~11のいずれか1項に記載の発電設備。 【請求項13】 前記熱交換設備は、前記液化空気を加熱して膨張タービンに供給するとともに、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する第四熱交換器を有する 請求項9~12のいずれか1項に記載の発電設備。 【請求項14】 (削除) 【請求項15】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有する 発電設備。 【請求項16】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有し、 前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有し、 前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管及び前記第二配管を収容する第一容器を有する 発電設備。 【請求項17】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有し、 前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有し、 前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管を収容する第二容器と、 前記第二配管を収容する第三容器と、前記第二容器及び前記第三容器を接続する接続配管と、を有する 発電設備。 【請求項18】 【請求項19】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、液化された不燃性ガスを前記第一熱媒体として加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、気化された前記不燃性ガスを冷却して液化させる 発電設備。 【請求項20】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記熱交換設備は、さらに、 前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体を圧縮する圧縮機を備える 発電設備。 【請求項21】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有し、 前記第一熱交換器は、前記第一流体として空気を液化させて液化空気を生成するとともに、前記第二流体として液化燃料を気化させてガス燃料を生成し、 前記発電部は、前記ガス燃料が供給されるガスタービンを有し、 前記熱交換設備は、前記液化空気及び前記ガス燃料の少なくとも一方が有する冷熱を用いて、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する 発電設備。 【請求項22】 【請求項23】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、液化された不燃性ガスを前記第一熱媒体として加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、気化された前記不燃性ガスを冷却して液化させ、 前記第一熱交換器は、前記第一流体として空気を液化させて液化空気を生成するとともに、前記第二流体として液化燃料を気化させてガス燃料を生成し、 前記発電部は、前記ガス燃料が供給されるガスタービンを有し、 前記熱交換設備は、前記液化空気及び前記ガス燃料の少なくとも一方が有する冷熱を用いて、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する 発電設備。 【請求項24】 第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備と、 前記熱交換設備の第一熱交換器から流出した後の第一流体及び第二流体の少なくとも一方の流体を用いて発電を行う発電部と、を備え、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記熱交換設備は、さらに、 前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体を圧縮する圧縮機を備える 前記第一熱交換器は、前記第一流体として空気を液化させて液化空気を生成するとともに、前記第二流体として液化燃料を気化させてガス燃料を生成し、 前記発電部は、前記ガス燃料が供給されるガスタービンを有し、 前記熱交換設備は、前記液化空気及び前記ガス燃料の少なくとも一方が有する冷熱を用いて、前記ガスタービンに吸気される空気を冷却する 発電設備。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 当審が令和5年5月11日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性) 下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 理由2(明確性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、下記の請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 <甲号証> 甲第1号証:特開2004-69215号公報 甲第2号証:特開平6-144820号公報 甲第3号証:特開昭63-233269号公報 (以下、甲第1号証~甲第3号証をそれぞれ「甲1」~「甲3」という。) 理由1(進歩性) 請求項1、3、5、7に対して甲1 請求項2に対して甲1、甲2 請求項4に対して甲1、甲3 理由2(明確性) 請求項4に係る発明は明確でない。 第5 甲号証に記載された事項 1.甲1について (1)甲1に記載された事項 甲1には、図面とともに次の記載がある(なお、下線は、理解の一助のために当審において付したものである。以下同様。) ア「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、熱交換装置及び液化天然ガスの冷熱を利用した炭酸ガスの液化方法に関し、詳しくは、液化天然ガスが有する冷熱を効率よく炭酸ガスに伝達することができる熱交換装置の構成、及び、この構成の熱交換装置を使用することにより、液化天然ガスの冷熱を有効に利用して炭酸ガスを効率よく精製液化する方法に関する。」 イ「【0006】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本発明の熱交換装置は、被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器と、冷却源流体と前記中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器とを備え、前記冷却源流体の冷熱により前記中間冷媒を介して前記被冷却流体を冷却するための熱交換装置であって、前記第1熱交換器及び第2熱交換器は、前記中間冷媒が封入される容器と、該容器内に設けられて前記被冷却流体又は前記冷却源流体が流れる流体通路とをそれぞれ有しており、両熱交換器の容器には、第2熱交換器の容器内の液相を第1熱交換器の容器内に導入する液相管路と、第1熱交換器の容器内の気相を第2熱交換器の容器内に導入する気相管路とを備えるとともに、前記中間冷媒として、その融点が前記冷却源流体の第2熱交換器への導入温度よりも低い冷媒を用いたことを特徴としている。この熱交換装置は、前記被冷却流体としての炭酸ガスを、前記冷却源流体としての液化天然ガスで冷却液化する際に利用することができ、前記中間冷媒には、第2熱交換器への液化天然ガスの導入温度、すなわち、一般的な液化天然ガスの貯蔵温度より低い融点を有するトリフルオロメタン、エタン、プロパン、プロピレンを使用することができる。」 ウ「【0010】 まず、図1に示すように、本発明の熱交換装置10は、被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器11と、冷却源流体と前記中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器21とを有している。各熱交換器11,21は、前記中間冷媒が封入される容器12,22と、該容器12,22内に設けられて前記被冷却流体が流れる流体通路13又は前記冷却源流体が流れる流体通路23と、各流体通路13又は流体通路23に被冷却流体又は冷却源流体を導入、導出するためのヘッダー14,24と、第2熱交換器21の容器22内の液相Lを第1熱交換器11の容器12内に導入する液相管路15と、第1熱交換器11の容器12内の気相Gを第2熱交換器21の容器22内に導入する気相管路25とを備えている。 【0011】 被冷却流体は、例えばガス状で第1熱交換器11に導入されて冷却液化されるものであって、このとき、ガス状の被冷却流体PGは、導入管16からヘッダー14の上部室14aを経て流体通路13に流入し、容器12内の中間冷媒によって冷却されて液化し、液状の被冷却流体PLとなり、ヘッダー14の下部室14bを通って導出管17に流出する。 【0012】 また、冷却源流体は、例えば液状で第2熱交換器21に導入されて加熱気化されるものであって、このとき、液状の冷却源流体CLは、導入管26からヘッダー24の下部室24aを経て流体通路23に流入し、容器22内の中間冷媒によって加熱されて気化し、ガス状の冷却源流体CGとなり、ヘッダー24の上部室24bを通って導出管27に流出する。 【0013】 一方、前記中間冷媒は、前記第2熱交換器21で前記冷却源流体と熱交換することにより冷却されて液化し、前記液相管路15を通って前記第1熱交換器11に導入され、該第1熱交換器11で被冷却流体と熱交換することにより加熱されて気化し、前記気相管路25を通って前記第2熱交換器21に循環する。すなわち、第2熱交換器21での冷却液化と、第1熱交換器11での加熱気化とを繰り返すことによって冷却源流体と被冷却流体とを間接的に熱交換させ、これによって冷却源流体を加熱気化し、被冷却流体を冷却液化することになる。 【0014】 このとき、第1熱交換器11の容器12と、第2熱交換器21の容器22とは、液相管路15及び気相管路25とで接続されているので、両容器12,22の圧力は等しくなる。このため、中間冷媒の融点、沸点は等しくなる。また、容器22の液化中間冷媒(液相)は、液相管路15により容器12に供給循環しているため、容器12及び容器22における液化中間冷媒の温度も基本的に等しくなる。」 エ「【0018】 なお、被冷却流体、冷却源流体及び中間冷媒の状態は、前記熱交換過程で全て液状又はガス状であってもよく、被冷却流体、冷却源流体及び中間冷媒が熱交換によって相変化を伴わない場合の各流体の導入、導出経路は任意であり、ポンプ等の移送手段を用いることもできる。中間冷媒においては、潜熱を有効に利用して熱交換効率を高めることができるように、第2熱交換器21での熱交換温度で液化し、第1熱交換器11での熱交換温度で気化するように熱交換条件を設定することことが好ましい。 【0019】 例えば、前記冷却源流体が、-150℃程度で貯蔵されている液化天然ガスの場合は、融点が-155.0℃で沸点が-82.05℃のトリフルオロメタン、融点が-183.2℃で沸点が-88.55℃のエタン、融点が-187.7℃で沸点が-42.05℃のプロパン、融点が-185.3℃で沸点が-47.65℃のプロピレン等が適当である。そして、被冷却流体が、固化点が-56.6℃の炭酸ガスの場合は、第1熱交換器11における中間冷媒の温度を、この温度(-56.6℃)以上に設定すればよい。なお、温度設定は、沸点が負圧にならないように、各流体の圧力も考慮して行われる。」 オ「【0021】 次に、図2に基づいて、石油精製設備から排出される水分や臭気成分を含む炭酸ガスを精製して液化する本発明の炭酸ガスの液化方法の一例を、具体的に説明する。なお、前記熱交換装置10を使用した予備冷却用熱交換装置及び液化用熱交換装置において、予備冷却用熱交換装置には図1に記載した符号に100を加えた符号を、液化用熱交換装置には図1に記載した符号に200を加えた符号をそれぞれ付し、各熱交換装置における詳細な説明は省略する。 【0022】 まず、石油精製設備から排出された10000Nm3/h、10kPaG、40℃の炭酸ガス(原料炭酸ガス)MCは、圧縮機31で2500kPaGまで圧縮された後、アフタークーラー32で40℃に冷却される。圧縮された原料炭酸ガスは、予備冷却用熱交換装置110に導入される。また、冷却源流体である液化天然ガス(LNG)は、LNG貯槽33からLNG経路34に抜き出されて第1LNG経路35と第2LNG経路36とに分岐し、一方は第1LNG経路35から弁37を経て予備冷却用熱交換装置110の第2熱交換器121に導入され、他方は第2LNG経路36から弁38を経て液化用熱交換装置210の第2熱交換器221に導入される。また、両熱交換装置110,210における中間冷媒には、トリフルオロメタンを使用した。 【0023】 前記予備冷却用熱交換装置110では、第2熱交換器121において、液導入管126からヘッダー124を経て流体通路123に導入された1.2ton/h、1100kPaG、-152℃のLNGと、容器122内の5.2ton/h、2400kPaG、0℃のガス状のトリフルオロメタンとが熱交換を行い、LNGが-60℃に加熱されてガス化するとともに、トリフルオロメタンが冷却されて液化する。」 カ「【図1】 [図:0001417590000001.jpg] 」 キ「【図2】 [図:0001417590000002.jpg] 」 ク 段落【0011】、【0013】より、第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させる点が理解できる。 ケ 段落【0012】、【0013】より、第2熱交換器21は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させる点が理解できる。 コ 段落【0011】、【0013】より、第1熱交換器11は、液状の中間媒体が収容される点、第1熱交換器11内に配置された流体通路13では、ガス状の被冷却流体PGが流入し且つ液状の被冷却流体PLが流出する点が理解できる。 サ 段落【0012】~【0014】より、第2熱交換器21は、第1熱交換器11と接続され、ガス状の中間媒体が収容される点、第2熱交換器21内に配置された流体通路23では、液状の冷却源流体CLが流入し且つガス状の冷却源流体CGが流出する点が理解できる。 (2)甲1に記載された発明 上記(1)を総合すると、甲1には、以下の発明が記載されている。 ア 甲1発明1 「冷却源流体の冷熱により中間冷媒を介して被冷却流体を冷却するための熱交換装置10であって、 熱交換装置10は、 被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器11と、 冷却源流体と中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器21と、を有し、 第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させ、 第2熱交換器21は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させ、 第1熱交換器11は、 液状の中間媒体が収容されるとともに、第1熱交換器11内に配置された流体通路13では、ガス状の被冷却流体PGが流入し且つ液状の被冷却流体PLが流出し、 第2熱交換器21は、 第1熱交換器11と接続され、ガス状の中間媒体が収容されるとともに、第2熱交換器21内に配置された流体通路23では、液状の冷却源流体CLが流入し且つガス状の冷却源流体CGが流出する、 熱交換装置10。」(以下、「甲1発明1」という。) イ 甲1発明2 「流体通路13には被冷却流体が流れ、 流体通路23には冷却源流体が流れ、 熱交換装置10は、流体通路13を収容する容器12と、流体通路23を収容する容器22と、容器12及び容器22を接続する液相管路15及び気相管路25とを有する、 甲1発明1。」(以下、「甲1発明2」という。) ウ 甲1発明4 「冷却源流体の冷熱により中間冷媒を介して被冷却流体を冷却するための熱交換装置10であって、 熱交換装置10は、 被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器11と、 冷却源流体と中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器21と、を有し、 第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させ、 第2熱交換器21は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させ、 第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体として炭酸ガスを冷却して液化させ、 第2熱交換器21は、液状の冷却源流体として液化天然ガスを加熱してガス化させる、 熱交換装置10。」(以下、「甲1発明4」という。) エ 甲1発明5 「冷却源流体の冷熱により中間冷媒を介して被冷却流体を冷却するための熱交換装置10であって、 熱交換装置10は、 被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器11と、 冷却源流体と中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器21と、を有し、 第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させ、 第2熱交換器21は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させ、 第1熱交換器11は、液化された中間媒体としてのトリフルオロメタンを加熱して気化させ、 第2熱交換器21は、気化された中間媒体としてのトリフルオロメタンを冷却して液化させる、 熱交換装置10。」(以下、「甲1発明5」という。) オ 甲1発明7 「冷却源流体の冷熱により中間冷媒を介して被冷却流体を冷却するための熱交換装置10であって、 熱交換装置10は、 被冷却流体と中間冷媒とを熱交換させる第1熱交換器111と、 冷却源流体と中間冷媒とを熱交換させる第2熱交換器211と、を有し、 第1熱交換器111は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させ、 第2熱交換器211は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させ、 熱交換装置10は、さらに、 第1熱交換器111に流入する前の被冷却流体を圧縮する圧縮機31を備える 熱交換装置10。」(以下、「甲1発明7」という。) 2.甲2について (1)甲2に記載された事項 ア「【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、密閉容器内部に中間冷媒を収納し、該容器内部の該中間冷媒が蒸気状にある上部空間に第1熱交換部を、また該容器内部の該中間冷媒が液体状にある下部空間に第2熱交換部をそれぞれ設置し、LNGを第1熱交換部に供給し、CO2 ガスを第2熱交換部に供給することによりCO2 ガスから液化CO2 を製造するに際し、CHF3 ,CH3 CF3 ,CH3 CHF2 およびCH2 FCF3 よりなる群から選ばれた1種以上のフッ素化炭化水素と炭素数2~4の炭化水素系化合物の1種以上との混合物を前記中間冷媒として用いることを特徴とするLNG冷熱による液化CO2 の製造方法である。」 イ「【0016】LNG(液体)をライン4より供給し、第1熱交換部2を経由してライン5より抜き出す。次に、ライン11より中間冷媒混合物を供給し、LNGにより冷却されている第1熱交換部2で中間冷媒混合物を冷却・液化し、第2熱交換部3より上方に液化中間冷媒混合物10の液面を保持するに必要な中間冷媒混合物を供給し、その後、中間冷媒混合物の供給を止める。 【0017】次に、ライン8よりCO2 ガスを供給し、液化中間冷媒混合物10により冷却されている第2熱交換部3によりCO2 ガスを冷却液化し、ライン9より液体CO2 を抜き出す。 【0018】このような方法により、中間冷媒混合物は第2熱交換部3表面でCO2 の熱で沸騰し、第1熱交換部2でLNG冷熱により凝縮する沸騰・凝縮を繰り返しながら、密閉容器1内部を循環し、容易にLNGによりCO2 が液化できる。」 ウ「【図1】 [図:0001417590000003.jpg] 」 エ 段落【0016】~【0018】の記載より、ライン4に供給されるLNGとライン8より供給されるCO2との熱交換を、密閉容器1に収納された中間冷媒を介して行うことが理解できる。 オ 段落【0016】~【0018】の記載及び図1の図示より、密閉容器1は単一の容器であることが理解できる。 (2)甲2記載事項 (1)を総合すると、甲2には、以下の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。 「ライン4に供給されるLNGとライン8より供給されるCO2との熱交換を、単一の密閉容器1に収納された中間冷媒を介して行うこと。」 3.甲3について (1)甲3に記載された事項 ア「・・・液化天然ガスの気化設備側にLNG冷熱回収熱交換器を設置し、回収した冷熱によって空気を液化する・・・」(第2ページ右上欄第5~7行) イ「第1図において、原料空気は取入口1からフィルター2を経て、空気圧縮機3に入り、ここで約2.5kg/cm3に圧縮される。次いで、水洗塔4で洗浄、冷却され、ライン5及びバルブ6を通ってリバーシング熱交換器10へ送られる。また、このリバーシング熱交換器10には、空気液化塔21からライン17及び20を通って低温ガスが導入される。このリバーシング熱交換器10において、導入された原料空気と低温ガスとの間で熱交換が行われ、ここで原料空気はほぼその液化温度である-180℃にまで冷却される。この冷却された空気はバルブ11及びライン18を通って空気液化塔21に送られる。」(第2ページ右上欄第15行~左下欄第6行) ウ「リバーシング熱交換器10を出た低温ガスは、熱交換器27に導入され、ここでライン31を通って導入されるLNGとの間の熱交換器によって冷却された後、圧縮機28で約50kg/cm3Gに昇圧される。この昇圧ガスは、LNG熱交換器29で約-140℃まで冷却され、LN Gの蒸発に伴う冷熱が低温ガスに十分に伝達される。そして、十分に冷却されたこの低温ガスは空気液化塔21に膨張バルブ25を介して循環される。膨張バルブを通った低温ガスはジュール・トムソン効果によってさらにその温度を下げ、空気液化塔21内の冷却空気を液化させる。なお、前記したライン17を通る低温ガスは液化空気とほぼ平衡にあるガスで窒素を90%以上含有する。」(第2ページ左下欄第15行~右下欄第7行) エ「LNGは約-160℃でライン13から入り、循環ガス圧縮機の吸込側および吐出側に設けられたLNG熱交換器27、29においてガスを十分に冷却した後に、大部分が蒸発してライン32から系外へ出る。・・・ 以上のようにしてLNG冷熱は液化空気としての冷熱エネルギーに変換される。」(第2ページ右下欄第18行~第3ページ左上欄第9行) オ 「 [図:0001417590000004.jpg] 」 カ 上記イ~エより、原料空気と液化天然ガスとは、低温ガスを介して熱交換することが理解できる。 (2)甲3記載事項 (1)を総合すると、甲3には、以下の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている。 「低温ガスを介して、液化天然ガスの冷熱を熱交換して空気を液化すること。」 第6 当審の判断 1.進歩性について (1)本件発明1 本件発明1と甲1発明1とを対比する。 甲1発明1の「冷却源流体」、「被冷却流体」は、それぞれ、本件発明1の「第一流体」、「第二流体」に相当し、甲1発明の「熱交換装置10」は、本件発明1の「第一熱交換器」及び「熱交換設備」に相当する。 甲1発明1の「中間冷媒」、「第1熱交換器11」、「第2熱交換器21」は、それぞれ、本件発明1の「第一熱媒体」、「第一熱交換部」、「第二熱交換部」に相当する。 甲1発明1において「第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体を冷却液化させるとともに、液化した中間冷媒を加熱気化させ」ることは、本件発明1において、「前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ」ることに相当する。 甲1発明1において、「第2熱交換器21は、液状の冷却源流体を加熱気化させるとともに、気化した中間冷媒を冷却液化させ」ることは、本件発明1において、「前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ」ることに相当する。(ここまでを、以下、「共通する相当関係」という。) さらに、甲1発明1の「流体通路13」は、本件発明1の「第一流路」に相当する。そして、甲1発明1において、「第1熱交換器11は、液状の中間媒体が収容されるとともに、第1熱交換器11内に配置された流体通路13では、ガス状の被冷却流体PGが流入し且つ液状の被冷却流体PLが流出」することは、本件発明1において、「前記第一熱交換部は、液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有」することに相当する。 甲1発明1の「流体通路23」は、本件発明1の「第二流路」に相当する。そして、甲1発明1において、「第2熱交換器21は、第1熱交換器11と接続され、ガス状の中間媒体が収容されるとともに、第2熱交換器21内に配置された流体通路23では、液状の冷却源流体CLが流入し且つガス状の冷却源流体CGが流出する」ことは、本件発明1において、「前記第二熱交換部は、前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有する」ことに相当する。 したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。 (一致点1) 「第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 前記第一熱交換部は、 液体の状態の前記第一熱媒体が収容される第一収容部と、 前記第一収容部内に配置され、気体の状態の前記第一流体が流入し且つ液体の状態の前記第一流体が流出する第一流路と、を有し、 前記第二熱交換部は、 前記第一収容部と接続され、気体の状態の前記第一熱媒体が収容される第二収容部と、 前記第二収容部内に配置され、液体の状態の前記第二流体が流入し且つ気体の状態の前記第二流体が流出する第二流路と、を有する 熱交換設備。」 (相違点1) 本件発明1では、「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有」するのに対し、甲1発明1では、「冷却源流体」、「被冷却流体」及び「中間冷媒」の沸点の温度関係が不明な点。 以下、相違点1について検討する。 甲1の段落【0019】、【0023】には、中間冷媒としてトリフルオロメタン、被冷却流体として炭酸ガス、冷却源流体として液化天然ガス(LNG)を用いる点、トリフルオロメタンの沸点が-82.05℃である点が記載されている。 ここで、1気圧での炭酸ガスの沸点が-78.46℃である点、及び、1気圧での液化天然ガスの沸点が-161℃であることは、いずれも技術常識であることを参酌すれば、中間冷媒としてのトリフルオロメタン(沸点-82.05℃)は、被冷却流体としての炭酸ガス(沸点-78.46℃)よりも低く、冷却源流体としての液化天然ガス(沸点は-161℃)よりも高い沸点を有することが理解できる。よって、甲1発明1において、技術常識を参酌し、相違点1に係る構成を想起することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明1は、甲1発明1及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2 本件発明2と甲1発明2とを対比する。 本件発明2と本件発明1とで共通する事項については、上記(1)で検討した共通する相当関係が認められる。 さらに、甲1発明2の「流体通路13」は、本件発明2の「第一流路」及び「第一配管」に相当し、甲1発明2の「流体通路23」は、本件発明2の「第二流路」及び「第二配管」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲1発明2とは、一致点1に加えて更に以下の一致点2で一致し、相違点1に加えて更に以下の相違点2で相違する。 (一致点2) 「前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有」する点。 (相違点2) 本件発明2では、「前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管及び前記第二配管を収容する第一容器を有する」のに対し、甲1発明2では、そのような構成とはなっておらず、容器12及び容器22の2つの容器を備える点。 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 上記(1)で検討したとおりである。 (相違点2について) 甲2記載事項にみられるように、第一流体と第二流体との熱交換を、中間冷媒を介して行う熱交換装置において、単一の容器に中間冷媒を収容するとともに、第一流体が流れる第一配管及び第二流体が流れる第二配管を当該単一の容器に収容することは、従来周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。 甲1発明2と周知技術とは、第一流体と第二流体との熱交換を、中間冷媒を介して行う熱交換装置である点で、技術分野が共通するので、甲1発明2において、周知技術を適用し、容器12、22を単一の容器として構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明2は、甲1発明2、技術常識及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3 本件発明3と甲1発明2とを対比する。 本件発明3と本件発明1とで共通する事項については、上記(1)で検討した共通する相当関係が認められる。 また、上記(2)で検討したように、甲1発明2の「流体通路13」は、本件発明2の「第一流路」及び「第一配管」に相当し、甲1発明2の「流体通路23」は、本件発明2の「第二流路」及び「第二配管」に相当し、さらに、甲1発明2の「液相管路15及び気相管路25」は、本件発明3の「接続配管」に相当する。そして、甲1発明2において、「熱交換装置10は、流体通路13を収容する容器12と、流体通路23を収容する容器22と、容器12及び容器22を接続する液相管路15及び気相管路25とを有する」ことは、本件発明3において、「前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管を収容する第二容器と、前記第二配管を収容する第三容器と、前記第二容器及び前記第三容器を接続する接続配管と、を有する」ことに相当する。 そうすると、本件発明3と甲1発明2とは、一致点1に加えて更に以下の一致点3で一致し、相違点1で相違する。 (一致点3) 「前記第一流路は、前記第一流体が流れる第一配管を有し、 前記第二流路は、前記第二流体が流れる第二配管を有し、 前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記第一配管を収容する第二容器と、前記第二配管を収容する第三容器と、前記第二容器及び前記第三容器を接続する接続配管と、を有する」点。 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 上記(1)で検討したとおりである。 したがって、本件発明3は、甲1発明2及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件発明4 本件発明4と甲1発明4とを対比する。 本件発明4と本件発明1とで共通する事項については、上記(1)で検討した共通する相当関係が認められる。 さらに、甲1発明4において、「第1熱交換器11は、ガス状の被冷却流体として炭酸ガスを冷却して液化させ」ることと、本件発明4において、「前記第一熱交換部は、前記第一流体として空気を冷却して液化させ、」ことは、「第一熱交換部は、第一流体としてガス状の被冷却流体を冷却して液化させ」るという限りにおいて一致する。 甲1発明4において、「第2熱交換器21は、液状の冷却源流体として液化天然ガスを加熱してガス化させる」ことは、本件発明4において、「前記第二熱交換部は、前記第二流体として液化燃料を加熱して気化させる」ことに相当する。 そうすると、本件発明4と甲1発明4とは、一致点1に加えて更に以下の一致点4で一致し、相違点1に加えて更に以下の相違点3で相違する。 (一致点4) 「前記第一熱交換部は、前記第一流体としてガス状の被冷却流体を冷却して液化させ、 前記第二熱交換部は、前記第二流体として液化燃料を加熱して気化させる」点。 (相違点3) 「第一熱交換部」が、「第一流体として」「冷却して液化」する対象に関して、本件発明4では「空気」であるのに対し、甲1発明4では炭酸ガスである点。 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 上記(1)で検討したとおりである。 (相違点3について) 甲1発明4と甲3記載事項とは、いずれも、中間冷媒を介して、液化天然ガスの冷熱によりガス状物を液化させる点で、技術分野及び作用が共通する。よって、甲1発明4における熱交換装置を、甲3記載事項のように空気を冷却して液化するものに代えることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明3は、甲1発明4、甲3記載事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明5 本件発明5と甲1発明5とを対比する。 本件発明5と本件発明1とで共通する事項については、上記(1)で検討した共通する相当関係が認められる。 さらに、トリフルオロメタンが不燃性ガスであることが技術常識である点を踏まえれば、甲1発明5において、「第1熱交換器11は、液化された中間媒体としてのトリフルオロメタンを加熱して気化させ、第2熱交換器21は、気化された中間媒体としてのトリフルオロメタンを冷却して液化させる」ることは、本件発明5において、「前記第一熱交換部は、液化された不燃性ガスを前記第一熱媒体として加熱して気化させ、前記第二熱交換部は、気化された前記不燃性ガスを冷却して液化させる」ことに相当する。 そうすると、本件発明5と甲1発明5とは、一致点1に加えて更に以下の一致点5で一致し、相違点1で相違する。 (一致点5) 「前記第一熱交換部は、液化された不燃性ガスを前記第一熱媒体として加熱して気化させ、前記第二熱交換部は、気化された前記不燃性ガスを冷却して液化させる」点。 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 上記(1)で検討したとおりである。 したがって、本件発明5は、甲1発明5及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明7 本件発明7と甲1発明7とを対比する。 本件発明7と本件発明1とで共通する事項については、上記(1)で検討した共通する相当関係が認められる。 さらに、甲1発明7の「圧縮機31」は、本件発明7の「圧縮機」に相当し、甲1発明7において、「熱交換設備10は、さらに、第1熱交換器111に流入する前の被冷却流体を圧縮する圧縮機31を備える」ことは、本件発明7において、「前記熱交換設備は、さらに、前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体を圧縮する圧縮機を備える」ことに相当する。 そうすると、本件発明7と甲1発明7とは、一致点1に加えて更に以下の一致点6で一致し、相違点1で相違する。 (一致点6) 「前記熱交換設備は、さらに、前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体を圧縮する圧縮機を備える」点。 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 上記(1)で検討したとおりである。 したがって、本件発明7は、甲1発明7及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)小括 以上のとおりであるから、本件発明1~5、7は、甲1発明1、甲1発明2、甲1発明4、甲1発明5、甲1発明7及び甲2記載事項又は甲3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2.明確性について (1) 請求項4において、「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有し」、「前記第一熱交換部は、前記第一流体として空気を冷却して液化させ、前記第二熱交換部は、前記第二流体として液化燃料を加熱して気化させる」と記載されているから、「第一熱媒体」の沸点は、以下の関係を満たすものといえる。 「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」 ここで、「第一流体の沸点」及び「第二流体の沸点」は、それぞれ「空気の沸点」及び「液体燃料の沸点」を意味すると理解される。 (2)そして、「液体燃料の沸点」について検討すると、請求項4は、「第二流体」である「液体燃料」の種類について特定がない。 そこで願書に添付した明細書を参酌すると、段落【0044】に「また、第二流体f2は、液化天然ガス(LNG)または液化水素(LH2)等の液化燃料であり、第一流体f1と熱交換を行った後に、天然ガス(NG)または水素(H2)等のガス燃料となる。」と記載されているから、「液体燃料」は、「液化天然ガス(LNG)」を含むものと理解される。 そうすると、「液化天然ガス(LNG)の沸点」は、その主部分である「メタンの沸点」からみて、「-161.5℃」ということができる。 (3)次に「空気の沸点」について検討すると、請求項4は、「第一流体」である「空気」の圧力等についての特定がないから、「1気圧」の時の「空気の沸点」を意味すると解される。そして、「1気圧」の時の空気の主要な成分である「窒素の沸点」が「-196℃」、「酸素の沸点」が「-183℃」であることを勘案すると、「1気圧」における「空気の沸点」は、「-196℃~-183℃」ということができる。 (4)そして、「第一流体の沸点」である「空気の沸点」が「-196℃~-183℃」であって、「第二流体の沸点」である「液化天然ガス(LNG)の沸点」が「-161.5℃」であるから、「第一流体の沸点」は、「第二流体の沸点」よりも低温であり、上記(1)の「第一流体の沸点」>「第一熱媒体の沸点」>「第二流体の沸点」という関係式は、そもそも成立し得ないといえる。 (5)なお、願書に添付した明細書の段落【0052】には、「この場合、第一熱媒体n1が窒素であれば、2.3MPa程度まで加圧することで、また、第一熱媒体n1がアルゴンであれば、1.1MPa程度まで加圧することで、第一熱媒体n1の沸点を約-155℃に設定することができる。」と記載される一方で、段落【0096】には、「当該空気を、例えば2.5~3MPa程度まで加圧し、沸点を、窒素が約-150℃、酸素が約-130℃等にまで上昇させる。これにより、第二流体f2の温度が第一流体f1の大気圧下での沸点よりも高い場合でも、第一流体f1の沸点を上げることにより、第一流体f1及び第二流体f2の熱交換において、気体の状態の第一流体f1を液化させることができる。」と記載されている。 そうすると、技術常識及び発明の詳細な説明の記載を参酌しても、請求項4における「第一熱媒体」、および「第一流体」である「空気」の「沸点」は、一般に大気圧下として扱われる物性値として扱うことができず、どのような条件下における「沸点」であるのかが不明であるといわざるを得ないので、発明の技術的範囲が明確でない。 したがって、特許請求の範囲の請求項4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について (1)進歩性について 申立人は、本件発明6について、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張するので、以下に検討する。 本件発明6と甲1発明1とを対比すると、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 (一致点7) 「第一流体と第二流体との熱交換を行う第一熱交換器を備える熱交換設備であって、 前記第一熱交換器は、 第一流体と第一熱媒体との熱交換を行う第一熱交換部と、 第二流体と前記第一熱媒体との熱交換を行う第二熱交換部と、を有し、 前記第一熱交換部は、気体の状態の前記第一流体を冷却して液化させるとともに、液体の状態の前記第一熱媒体を加熱して気化させ、 前記第二熱交換部は、液体の状態の前記第二流体を加熱して気化させるとともに、気体の状態の前記第一熱媒体を冷却して液化させ、 熱交換設備。」 (相違点1) 本件発明6では、「前記第一熱媒体は、前記第一流体よりも低く前記第二流体よりも高い沸点を有」するのに対し、甲1発明1では、「冷却源流体」、「被冷却流体」及び「中間冷媒」の沸点の温度関係が不明な点。 (相違点4) 本件発明6では、 「 前記熱交換設備は、さらに、 前記第一熱交換部に流入する前の前記第一流体と、前記第二熱交換部から流出した後の前記第二流体との熱交換を行う第二熱交換器を備え、 前記第二熱交換器は、 当該第一流体を冷却するとともに、当該第一流体の温度よりも低い沸点を有する第二熱媒体を加熱して気化させる第三熱交換部と、 当該第二流体を加熱するとともに、当該第二流体の温度よりも高い沸点を有する前記第二熱媒体を冷却して液化させる第四熱交換部と、を有する」のに対して 甲1発明1では、 「 第1熱交換器11は、 液状の中間媒体が収容されるとともに、第1熱交換器11内に配置された流体通路13では、ガス状の被冷却流体PGが流入し且つ液状の被冷却流体PLが流出し、 第2熱交換器21は、 第1熱交換器11と接続され、ガス状の中間媒体が収容されるとともに、第2熱交換器21内に配置された流体通路23では、液状の冷却源流体CLが流入し且つガス状の冷却源流体CGが流出する」ものである点。 事案に鑑み、相違点4について検討する。 甲1の【0022】~【0027】には、「液化用熱交換装置210」に流入する前の「炭酸ガス(原料炭酸ガス)MC」が「予備冷却用熱交換装置110」に流入して冷却されることが記載されている。 しかしながら、「予備冷却用熱交換装置110」において「炭酸ガス(原料炭酸ガス)MC」と熱交換される「冷却源流体である液化天然ガス(LNG)」は、「LNG貯槽33からLNG経路34に抜き出されて第1LNG経路35と第2LNG経路36とに分岐し、一方は第一LNG経路35から弁37を経て予備冷却用熱交換器110の第2熱交換器121に導入」(【0022】)されるものであるから、甲1に記載された「予備冷却用熱交換装置110」は、「前記第二熱交換部から流出した後の前記第二流体との熱交換」を行うものではない。 そして、技術常識を参酌しても、甲1の「予備冷却用熱交換装置110」に、「液化用熱交換装置210」から流出した後の「冷却源流体である液化天然ガス(LNG)」を導入する理由はなく、甲2、甲3にも、そのような構成は記載されていない。 してみると、その余について論じるまでもなく、本件発明6は、甲1発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 申立人は、甲1の【0022】の記載を引用して、「甲第1号証には、熱交換装置(第一熱交換器)よりも前に被冷却流体(第一流体)を冷却する予備冷却用熱交換装置(第二熱交換器)に対して、熱交換装置(第一熱交換器)に冷却源流体(第二流体)を供給する配管から分岐して並列に、冷却源流体を供給する構成(段落0022,図2)が開示されている。」とした上で、「ここで、熱交換を行う流体を、並列的に供給するのか、直列的に供給するのかは、当業者が適宜設定し得る事項の範囲内である。」と主張する。 しかしながら、上記のとおり、甲1の「予備冷却用熱交換装置110」に、「液化用熱交換装置210」から流出した後の「冷却源流体である液化天然ガス(LNG)」を導入する理由はなく、甲2、甲3にも、そのような構成は記載されていない以上、申立人の主張を採用することはできない。 (2)明確性について 申立人は、請求項1について、『「第一収容部」と「第二収容部」とは、第一熱媒体および第一熱媒体の状態(液体および気体)により規定されることになる。』とした上で、『熱交換設備の構造を規定した請求項1において、「第一熱媒体」が収容されていない場合においては、「第一収容部」および「第二収容部」が各々どの部分を示しているのかが構造的に明確ではない。』と主張する(以下、「主張A」という。)。 さらに申立人は、「第1熱媒体が収容されている場合でも、第一流体、第二流体および第一熱媒体の熱交換の状態に応じて、第一熱媒体の気体の量および液体の量は変化するものと考えられる。」とした上で、『「第一収容部」および「第二収容部」が各々どの部分を示しているのかが構造的に明確ではない。また、「第一収容部」および「第二収容部」の示している部分が構造的に不明確であるため「第一収容部内に配置された第一流路」および「第二収容部内に配置された第二流路」がどこに配置されているのかも明確ではない。』と主張する(以下、「主張B」という。)。 上記主張Aについて検討する。 本件発明1は、「第一熱媒体」を介して「第一流体」と「第二流体」との間で熱交換を行うものであるから、『「第一熱媒体」が収容されていない場合』は、そもそも本件発明1ではない。 そして、「第一収容部」及び「第二収容部」は、それぞれ「液体の状態の第一熱媒体が収容される」箇所及び「気体の状態の第一熱媒体が収容される」箇所として明確に理解できる。 よって、申立人の主張を採用することはできない。 次に主張Bについて検討する。 本件特許の明細書の段落【0075】~【0079】には、以下の事項が記載されている。 ・「第一容器123の下半分(Z軸方向矢印側と反対側の半分)に、液体の状態の第一熱媒体n1(n1l)が収容され、第一容器123の上半分(Z軸方向矢印側の半分)に、気体の状態の第一熱媒体n1(n1a)が収容されている。この第一容器123の下半分の部位が、第一収容部121aであり、第一容器123の上半分の部位が、第二収容部122aである。」(【0075】) ・「第一収容部121aは、第一熱交換部121の一部として、液体の状態の第一熱媒体n1lが収容される部位であり、第二収容部122aは、第二熱交換部122の一部として、気体の状態の第一熱媒体n1aが収容される部位である。」(【0076】) ・「第一流路121bは、水平方向に延びる筒状の部材であり、少なくとも一部が第一収容部121a内に配置されている。また、第一流路121bには、気体の状態の第一流体f1(f1a8)が流入し、かつ、第一流路121bから、液体の状態の第一流体f1(f1l1)が流出する。」(【0077】) ・「第二流路122bは、水平方向に延びる筒状の部材であり、少なくとも一部が第二収容部122a内に配置されている。また、第二流路122bには、液体の状態の第二流体f2(f2l)が流入し、かつ、第二流路122bから、気体の状態の第二流体f2(f2a1)が流出する。」(【0078】) ・「第一配管121c内を流れる第一流体f1a8と、第一配管121cの周囲の第一熱媒体n1lとが熱交換を行い、第一流体f1a8が液化されて第一流体f1l1となり、第一熱媒体n1lが気化されて第一熱媒体n1aとなる。そして、気体となった第一熱媒体n1aは、第一収容部121a内から第二収容部122a内へ移動する。また、第二配管122c内を流れる第二流体f2lと、第二配管122cの周囲の第一熱媒体n1aとが熱交換を行い、第二流体f2lが気化されて第二流体f2a1となり、第一熱媒体n1aが液化されて第一熱媒体n1lとなる。そして、液体となった第一熱媒体n1lは、第二収容部122a内から第一収容部121a内へ移動する。」(【0079】) 以上の記載を参酌すれば、「第一収容部」と「第二収容部」とは、それぞれ「液体の状態の第一熱媒体」と「気体の状態の第一熱媒体」とを収容する領域であって、「第一流路」と「第二流路」とは、少なくとも一部がそれぞれ「第一収容部」又は「第二収容部」内に配置されているものであって、「第一流路」が「気体の状態の第一流体が流入し」かつ「液体の状態の第一流が流出」し、「第二流路」が「液体の状態の第二流体が流入し」かつ「気体の状態の第二流体が流出」するものであることが明確に理解できる。 してみると、本件発明1の「第一収容部」、「第二収容部」、「第一流路」及び「第二流路」は、明細書の記載を参酌することにより、それぞれの構造や技術的意義、相互の関係が明確に理解できるものであるから、申立人の主張を採用することはできない。 第7 まとめ 以上のとおり、請求項1~5、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 請求項6に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議の申立て理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に請求項6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項14に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより申立人による特許異議の申立てについて、請求項14に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701293

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