商標取消審判
2022-300859
ハチジューハチヤ
- 審判番号
- 2022-300859
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1934-013079
- 登録番号
- 0261809
- 請求日
- 2022年09月26日
- 審決日
- 2023年05月11日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】鹿島 淳
- 【請求人代理人】岩内 三夫
- 【被請求人】山宇物産 株式会社
- 【被請求人代理人】窪田 英一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T132 .1 -Y (Y30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第261809号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第261809号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「八十八夜」の文字を毛筆体の縦書きで表してなり、昭和9年6月27日に登録出願、第44類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同10年2月5日に設定登録され、その後、平成17年7月13日に指定商品を「茶」を含む第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載の商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年10月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同元年10月11日から同4年10月10日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第30類「茶」について登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品中、上記商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)本件商標の使用について
有限会社京都山宇製茶(以下「山宇製茶」という。)は、令和2年(2020年)1月10日に、奈良市にあるKという茶舗に、本件商標を付した煎茶80g入りと100g入りを販売し、また同月31日には同じく本件商標を付した煎茶80g入りをKに販売している(乙1~乙5)。
乙第4号証及び同第5号証は、山宇製茶からKに販売された煎茶用の袋である。この袋の表面にはいずれも「八十八夜」が縦に漢字で記載されている。乙第4号証の袋に記載された「八十八夜」は、本件商標と同一である。一方、乙第5号証の袋に記載された「八十八夜」は、本件商標とは若干異なる書体で記載されているが、社会通念上はなお本件商標と同一とみなされるものである。
以上から、山宇製茶が、要証期間内に、煎茶について本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を付してKに販売したことが明らかである。
(2)山宇製茶が本件商標権者の通常使用権者であること
本件商標権者は、もともとお茶の事業を行っていたが、平成26年1月にお茶に関する事業を兄弟会社(いずれもT氏が株主かつ代表取締役)の山宇製茶に事業譲渡した。そして、本件商標権者は、同年2月にT氏から現在の所有者であるH1氏、H2氏らに引き継がれることとなった。
本件商標は、平成27年3月にいったん本件商標権者から山宇製茶に譲渡されたが、その後令和元年11月にまた本件商標権者に戻された。この間、山宇製茶は本件商標を用いてお茶の事業を続けており、また本件商標が本件商標権者に戻されてからも、本件商標権者の許諾の下で山宇製茶は本件商標を使い続けていた。本件商標権者と山宇製茶との間に文書で交わされた本件商標の使用許諾契約書などはないが、上記の両社の密接な関係からして、山宇製茶に対して本件商標権者が本件商標の使用許諾をしていたことは明らかである。
なお、山宇製茶が使用していた煎茶用の袋(乙5)には、本件商標権者の商号が入っているが、これはもともと本件商標権者の名前を使用してお茶の事業をしていて、同じ煎茶用の袋を使っていたところ、その袋を変更することに資金を要するため、また取引先も限られていたため、山宇製茶において事実上同じ袋を使い続けていたものである。このことも、本件商標権者と山宇製茶とが密接な関係を有していたことを物語っている。
以上述べた事情から、山宇製茶が令和2年1月の段階で本件商標権者から許諾を受けて本件商標を使用していたことは明らかである。
(3)まとめ
以上から、本件商標は、通常使用権者である山宇製茶により、「茶」について、要証期間内に日本国内において使用されている。
4 当審の判断
(1)事実認定
当事者の提出に係る証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標は、その商標権について本件商標権者から山宇製茶に移転されていた時期があり、また、本件商標権者と山宇製茶の住所は同一である(甲1の1)。
イ 品名・規格(容量)を「八十八夜 100g」とする商品(以下「使用商品」という。)を含む各種商品についての納品伝票が、山宇製茶から奈良市を住所とするKに対して令和2年(2020年)1月10日に発行され(乙1)、当該書面に記載された使用商品を含む各種商品の商品コード、品名・規格(容量)、個数及び単価等の金額並びに各伝票番号は、山宇製茶からKに対する令和2年(2020年)1月31日を締日とする請求書(乙3)に記載の内容と一致する。
ウ 山宇製茶からKに対する請求書には、品名・規格(容量)欄に「八十八夜 100g」のほか、特選ほうじ茶、煎茶、玄米茶及び深むし茶等の記載がある(乙3)。
エ(ア)乙第4号証及び乙第5号証は、商品の包装袋の写真であり、正面(乙4の1葉目、乙5の1葉目)の上部に別掲2のとおりの毛筆体の縦書きによる「八十八夜」の文字の記載がある(以下、これらの文字をまとめて「使用商標」という。)。なお、乙第5号証における「八十八夜」の文字の近傍には、「登録商標」の文字の記載がある。
(イ)乙第4号証及び乙第5号証の正面には、一見して茶の葉と看取される写真が表示されている。また、乙第5号証の正面に「100g」との記載があり、その背面(乙5の2葉目)には、名称欄に「煎茶」、原材料名欄に「緑茶(国産)」、内容量欄に「100g」の記載があるほか、煎茶の入れ方が説明されている。
(ウ)乙第5号証の背面には、製造者として本件商標権者の名称及び住所の記載がある。
オ 前記イないしエ(ア)(イ)によれば、使用商品が少なくとも令和2年(2020年)1月10日に山宇製茶からKに納品され、当該使用商品には、使用商標が表示された商品の包装袋(乙4又は乙5)が使用されていたことが推認される。
(2)判断
前記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
ア 使用商標
本件商標は、「八十八夜」の文字を毛筆体の縦書きで表してなる商標である。
これに対し、使用商標は、「八十八夜」の文字を毛筆体(本件商標の書体とはやや異なる)の縦書きで表してなる商標である。
そうすると、本件商標と使用商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
イ 使用商品
使用商品は、前記(1)ウ及びエ(イ)の認定事実からすれば、「緑茶」と推認され、これは、請求に係る商品である「茶」に含まれるものである。
ウ 使用時期及び使用行為
前記(1)イの認定事実からすれば、使用商品が、山宇製茶から奈良市を住所とするKに対して令和2年(2020年)1月10日に納品(譲渡)されたものと認められ、前記(1)オの認定事実によれば、この譲渡にあたり、使用商品に使用商標が付されていた包装袋を使用していたものとみるのが相当である。
そして、当該日は、要証期間内である。
エ 使用者
本件商標権者と山宇製茶とは、互いの住所を共通にし、本件商標の商標権を移転し合っていた事実があり(前記(1)ア)、両者は緊密な関係にあると認められる。
また、上記両者の関係その他の事実(商品「緑茶」の袋に本件商標権者の名称及び住所の記載があること(前記(1)エ(ウ)))からすると、本件商標権者においては、山宇製茶が使用商標を付した包装袋を使用して使用商品を譲渡していることなどを、要証期間前から認識していたものと認められる。そして、その点について本件商標権者が山宇製茶に対して異議を述べたなどといった事情は何らうかがわれない。
そうすると、本件商標権者は、山宇製茶に対して本件商標を使用する黙示の許諾を与えていたものと認めて差し支えない。
したがって、山宇製茶は、本件商標の通常使用権者であるといえる。
オ 小括
本件商標の通常使用権者である山宇製茶は、要証期間内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、請求に係る商品「茶」に含まれる「緑茶」の包装について付して譲渡したと認められる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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