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商標取消審判

2024-300744

クラワンカ

審判番号
2024-300744
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1978-066814
登録番号
1742772
請求日
2024年10月11日
審決日
2025年08月21日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】杉浦 健文
  • 【被請求人】森野 直樹
  • 【被請求人代理人】弁理士法人 丸山国際特許事務所
  • 【被請求人】白井 貴子
  • 【被請求人代理人】弁理士法人 丸山国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 高橋 幸志
分類
T131 .1 -Y (Y30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第1742772号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第1742772号商標(以下「本件商標」という。)は、「くらわんか」の文字を縦書きしてなり、昭和53年9月8日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とし、同60年1月23日に設定登録され、その後、平成17年10月12日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 そして、本件審判請求の登録日は、令和6年10月30日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同3年10月30日から同6年10月29日までを、以下「要証期間」という場合がある。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和6年12月20日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同7年3月12日付け審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。枝番号を全て含む場合には枝番号の表記を省略する。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人の主張について ア 請求人による反論1(使用者及び使用場所) 被請求人は、以下の点を立証する趣旨で、乙第1号証を提出している。 ・「くらわんか餅の世界」枚方本店の住所(乙1の1) ・被請求人M氏が「くらわんか餅の世界」の前身「くらわんか餅NAOKI」を開業(乙1の2) ・「くらわんか餅NAOKI」を「くらわんか餅の世界」に屋号変更(乙1の3) ・「くらわんか餅の世界」の代表者(乙1の4) この点、被請求人の一人であるM氏が「くらわんか餅の世界」という菓子店(以下、「菓子店」という場合がある。)を営む個人事業主であること、及び、M氏の住所「大阪府枚方市伊加賀本町」に同菓子店の枚方本店を設置し、営業していることについて、意見はない。 イ 請求人による反論2 被請求人は、以下の点を立証する趣旨で、乙第2号証ないし乙第4号証を提出している。ここで、被請求人が提出した各乙号証について、以下検討する。 (ア)乙第2号証の1 乙第2号証の1の写真中には、そもそも「くらわんか餅」(くらわんか)の文字が記載されておらず、当該写真の商品が「くらわんか餅」(くらわんか)であるとはいえない。そして、当該写真の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間の使用ではない。したがって、乙第2号証の1は、当該写真の商品が「くらわんか餅」であることを立証するものではない。 (イ)乙第2号証の2 乙第2号証の2の写真では、「くらわんか餅」「KURAWANKAMOCHI」を「餡ころ餅」の標章として使用していることが確認できる。しかし、乙第2号証の2の写真には、「くらわんか」の文字の記載はない。そして、当該写真の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間の使用を証明するものではない。したがって、乙第2号証の2は、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。 (ウ)乙第2号証の3 乙第2号証の3は、ウェブページについて令和6年12月3日に出力したものである。そのため、当該ウェブページの写しの出力日は、「令和6年12月3日」であって、要証期間の使用を証明するものではない。この点、請求人は、乙第2号証の3と同じウェブページを、予告登録日以前である令和6年10月28日付で出力したものを提出する(甲2)。ここで、甲第2号証と乙第2号証の3との相違点は、甲第3号証のとおりである。つまり、予告登録日(令和6年10月30日)直前である令和6年10月28日時点において、被請求人は、「くらわんか餅」を登録商標として記載し、かつ「くらわんか餅(R)」(審決注:(R)は○内にRを表したもの。以下同じ。)、「くらわんかもなか(R)」と登録商標を示すマークとして一般的に使用されている「(R)」を付して使用していた事実が伺える。その後、被請求人は、当該ウェブサイトの記載を自らに有利な証拠とするため、上記登録商標の記載及び「(R)」の記載を改変し、乙第2号証の3を提出したものと容易に推測できる。したがって、乙第2号証の3の信用性は非常に低いものと考える。以上から、乙第2号証の3は、その信用性が低いため、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。 (エ)乙第3号証 乙第3号証の写真の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間の使用を証明するものではない。また、乙第3号証の写真を検討すると、写真では、下記の文言が記載されたラベルシール(カード)のようなものを貼付、載置しているように見える。 一段目:菓子詰合せギフト 二段目:「くらわんか」 三段目:12個税込¥3590 四段目:くらわんか餅 くらわんか栗もなか 五段目:招き猫もなか くらわんかりんとう ここで、当該ラベルシール(カード)を作成することは、容易である。そのため、当該ラベルシール(カード)は、いつでも後から商品に貼付、載置することは可能である。しかし、乙第3号証から、当該「ラベルシール(カード)がいつどのように貼付、載置されたものかは不明である。要証期間に貼付、載置されたものであることを証明する証拠もない。一方、甲第2号証4頁中段右において、「イロドリギフトセット12個入」の文字が記載されている。そして、当該「イロドリギフトセット12個入」の内容物は、「菓子詰合せギフト「くらわんか」」と同じである。この点、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、本来「イロドリギフトセット12個入」として販売している商品を、「菓子詰合せギフト「くらわんか」」を記載したラベルシール(カード)を貼付、載置した可能性が高い。そのため、乙第3号証の信用性は非常に低いものと考える。したがって、乙第3号証は、その信用性が低いため、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。 (オ)乙第4号証 乙第4号証の写真の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間の使用を証明するものではない。次に、乙第4号証の写真を検討すると、商品の外装に「くらわんか」の文字が記載されている。ここで、「くらわんか」の文字を、商品の外装に記載することは非常に容易である。そのため、例えばスタンプ等によって、「くらわんか」の文字をいつでも後から外装に追加して記載することは可能である。しかし、乙第4号証から、当該「くらわんか」の文字がいつどのように外装に記載されたかは不明である。要証期間に記載されたものであることを証明する証拠もない。また、例えば、被請求人が運用するインスタグラムの投稿で、以下のものが確認されている(甲4)。甲第4号証の投稿写真では、商品の外装に「くらわんか餅の世界」と記載されている。この点、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、本来外装には「くらわんか餅の世界」と記載されているところ、別途「くらわんか」の文字を記載した外装を作成した可能性が高い。そのため、乙第4号証の信用性は非常に低いものと考える。したがって、乙第4号証は、その信用性が低いため、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。 (カ)小括 被請求人は乙第2号証ないし乙第4号証をそれぞれ提出しているが、そのいずれもが要証期間に撮影、出力されたものではない。 そして、乙第2号証の1は、当該写真の商品が「くらわんか餅」であることを立証するものではなく、乙第2号証の2は、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。また、乙第2号証の3は、審判請求書副本送達後に被請求人に有利な記載への改変された事実があるため、その信用性は非常に低いことから、商品が「くらわんか」であることを立証するものではない。さらに、乙第3号証の当該ラベルシール(カード)を、後から商品に貼付、載置することは容易に可能である。しかし、要証期間に貼付、載置されたものであることを証明する証拠もなく、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、乙第3号証の信用性は非常に低いものと考える。乙第4号証も、乙第3号証と同様に、信用性は非常に低いものと考える。 したがって、被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第4号証をもって、被請求人は、菓子店において、「くらわんか栗もなか」、菓子詰合せギフト「くらわんか」等の和菓子を販売しているとはいえない。 ウ 請求人による反論3 被請求人は、例えば、「くらわんか餅」について、「餅」の文字部分は、商品の普通名称であることから識別力がなく、自他商品識別機能を有するのは本件商標と同一の文字からなる「くらわんか」の文字部分であると主張している。しかしながら、仮に、登録商標に自他商品識別力に乏しい文字が付加された場合であって、当該付加部分を除いて登録商標との同一性が判断されるのではなく、使用商標の構成全体を考慮し、付加部分も含めた全体で一体のものとして識別力を発揮していると認められるものについては、使用商標全体について登録商標との同一性の有無が判断されるべきである(取消2002-30341参照)。 (ア)くらわんか餅 「くらわんか餅」は、各証拠において、以下のとおり、表示されている。 ・「くらわんか餅」「の」「世界」と分けて表示されている(乙1の1)。 ・「くらわんか餅」とカギ括弧で表示されている(乙1の4)。 ・「枚方(大阪)の伝統銘菓」「くらわんか餅」と表示されている。また、「くらわんか餅」「KURAWANKAMOCHI」と表示されている(乙2の2)。 ・「くらわんか餅(R)」「くらわんかもなか(R)」と表示されている。また、「くらわんか餅は登録商標です。」と表示されている(甲2)。 ・「くらわんか餅」と表示されている(乙6)。 ・「大阪枚方銘菓 登録商標 くらわんか餅(R) こしあん」と表示されている(乙7)。(審決注:乙7における「(R)」は○内にRを表したものではなく「(R)」と表記されているもの。乙7における「(R)」は以下同じ。) また、被請求人の枚方本店において、「枚方銘菓 登録商標 くらわんか餅」と表示している事実がある(甲5)。 上記のとおり、「くらわんか餅」は、被請求人によって、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記されている。また、当該構成文字に相応して生ずる「クラワンカモチ」の称呼も、その構成音数が7音と格別冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼し得るものである。そして、「くらわんか」とは、辞書に掲載されている語ではないため、「くらわんか餅」からは特定の観念が生じない一種の造語と認められる。 してみれば、「くらわんか餅」は、外観上、称呼上、観念上一体としてとらえ得るものであるから、「餅」の文字部分が商品の普通名称である点を考慮したとしても、「くらわんか」の文字のみが独立して分離観察されるものではなく、「くらわんか餅」の文字全体をもって一つの造語を形成している商標とみるのが相当である。 さらに、被請求人は、登録商標が「くらわんか餅」であるかのように表示を行っている。具体的には以下のとおり表示を行っている。 ・「くらわんか餅」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記している(例えば、乙1の1)。 ・全体が一体の登録商標であるかのように「(R)」を付している(例えば、甲2)。 ・「くらわんか餅」とカギ括弧で表示している(例えば、乙1の4)。 ・「くらわんか餅」の表示で改行を行っている(例えば、乙1の1)。 ・看板でも「くらわんか餅」の文字で一体に表記している(甲5)。 したがって、被請求人は、「くらわんか餅」で一体に商標であることを意識しており、意図して一体で使用を行っていることがいえる。このため、需要者は、「くらわんか餅」から「くらわんか」の文字だけ分離して観察することなく、「くらわんか餅」の全体を商品の出所識別標識と捉えることになる。 (イ)くらわんかもなか 「くらわんか餅(R)」「くらわんかもなか(R)」と表示されている。また、「くらわんか餅は登録商標です。」と表示されている(甲2)。 上記のとおり、「くらわんかもなか」は、被請求人によって、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記されている。また、当該構成文字に相応して生ずる「クラワンカモナカ」の称呼も、その構成音数が8音と格別冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼し得るものである。そして、「くらわんか」とは、辞書に掲載されている語ではないため、「くらわんかもなか」からは特定の観念が生じない一種の造語と認められる。 してみれば、「くらわんかもなか」は、外観上、称呼上、観念上一体としてとらえ得るものであるから、「もなか」が商品の普通名称である点を考慮したとしても、「くらわんか」の文字のみが独立して分離観察されるものではなく、「くらわんかもなか」の文字全体をもって一つの造語を形成している商標とみるのが相当である。 さらに、被請求人は、登録商標が「くらわんかもなか」であるかのように、表示を行っている。具体的には以下のとおり表示を行っている。 ・「くらわんかもなか」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記している(例えば、甲2)。 ・全体が一体の登録商標であるかのように「(R)」を付している(例えば、甲2)。 ・「くらわんかもなか」の文字で改行することなく一体に表記している(乙3)。 したがって、被請求人は、「くらわんかもなか」で一体に商標であることを意識しており、意図して一体で使用を行っていることがいえる。このため、需要者は、「くらわんかもなか」から「くらわんか」の文字だけ分離して観察することなく、「くらわんかもなか」の全体を商品の出所識別標識と捉えることになる。 (ウ)くらわんか栗もなか 「くらわんか栗もなか」は、乙第3号証でしか記載されていない。例えば、甲第2号証において、「くらわんか栗もなか」との記載は確認できない。単に「栗もなか」と記載されているだけである。また、乙第3号証は、上述したとおり、証拠の信用性が低いものである。 仮に、標章「くらわんか栗もなか」の使用が乙第3号証によって認められた場合であっても、「くらわんか栗もなか」は、被請求人によって、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記されている。また、当該構成文字に相応して生ずる「クラワンカクリモナカ」の称呼も、その構成音数が10音と格別冗長ではなく、淀みなく一気一連に称呼し得るものである。そして、「くらわんか」とは、辞書に掲載されている語ではないため、「くらわんか栗もなか」からは特定の観念が生じない一種の造語と認められる。 してみれば、「くらわんか栗もなか」は、外観上、称呼上、観念上一体としてとらえ得るものであるから、「栗もなか」が商品の普通名称である点を考慮したとしても、「くらわんか」の文字のみが独立して分離観察されるものではなく、「くらわんか栗もなか」の文字全体をもって一つの造語を形成している商標とみるのが相当である。 さらに、被請求人は、登録商標が「くらわんか栗もなか」であるかのように、表示を行っている。具体的には以下のとおり表示を行っている。 ・「くらわんか栗もなか」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記している(例えば、乙3)。 ・「くらわんか栗もなか」の文字で改行することなく一体に表記している(乙3)。 また、「くらわんか栗もなか」は、「くらわんかもなか」と同じような表記方法で陳列されている(乙3)。 このことから、「くらわんか栗もなか」は、需要者に、「くらわんか餅」、「くらわんかもなか」と同様に認識されることになる。したがって、被請求人は、「くらわんかもなか」で一体に商標であることを意識しており、意図して一体で使用を行っていることがいえる。 このため、需要者は、「くらわんか栗もなか」から「くらわんか」の文字だけ分離して観察することなく、「くらわんか栗もなか」の全体を商品の出所識別標識と捉えることになる。 (エ)乙3号証及び乙第4号証 被請求人は、乙第3号証をもって、菓子詰合せギフト「くらわんか」の使用について主張している。また、被請求人は、乙第4号証をもって外装への「くらわんか」の使用について主張している。 しかしながら、上述したとおり、乙第3号証及び乙第4号証の証拠の信用性は低い。そして、これらの写真の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間の使用を証明するものではない。 (オ)小括 以上から、「くらわんか餅」、「くらわんかもなか」、「くらわんか栗もなか」は、その構成や被請求人による使用によって、いずれも「くらわんか」の文字が分離観察されることなく、文字全体をもって自他商品識別機能を有し、一つの造語を形成している商標である。 したがって、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」、「くらわんかもなか」、「くらわんか栗もなか」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。また、乙第3号証及び乙第4号証はその証拠の信用性が低いため、本件商標「くらわんか」の使用を立証するものではない。 よって、上記各標章を使用する行為は、商標法第2条第3項第1号、同第2号及び同第8号に規定の使用行為に該当しない。 エ 請求人による反論4 (ア)乙第6号証 被請求人は、本件商標「くらわんか」が、2022年(令和4年)12月頃に使用されていた事実を立証する趣旨で、乙第6号証を提出している。この点、乙第6号証から、同店のオープンが2022年であることを確認することはできない。また、乙第6号証で使用されている標章は「くらわんか」ではなく、「くらわんか餅」である。そして、上述したとおり、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。 したがって、乙第6号証は、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証するものではない。 (イ)乙第7号証 被請求人は、本件商標「くらわんか」が、2024年9月26日又は同年10月10日に使用されていた事実を立証する趣旨で、乙第7号証を提出している。この点、乙第7号証で使用されている標章は「くらわんか」ではなく、「くらわんか餅」である。また、乙第7号証には、「大阪枚方銘菓 登録商標 くらわんか餅(R)」と記載されている。そして、上述したとおり、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。 したがって、乙第7号証は、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証するものではない。 (ウ)乙第8号証 被請求人は、本件商標「くらわんか」が、2024年8月25日に使用されていた事実を立証する趣旨で、乙第8号証を提出している。この点、当該会計票は、手書きで作成されたものである。そして、「菓子詰合せギフトくらわんか」、「くらわんか餅」の各文字を、会計票に記載することは非常に容易である。そのため、「菓子詰合せギフトくらわんか」、「くらわんか餅」の各文字をいつでも後から会計票に記載することは可能である。 しかし、乙第8号証から、当該「菓子詰合せギフトくらわんか」、「くらわんか餅」の各文字がいつどのように会計票に記載されたかは不明である。要証期間に記載されたものであることを証明する証拠もない。この点、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、審判請求書副本送達後に、新しく「菓子詰合せギフトくらわんか」、「くらわんか餅」の各文字を会計票に記載、作成した可能性が高い。そのため、乙第8号証の信用性は非常に低いものと考える。また、乙第8号証の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間のものではない。 したがって、乙第8号証は、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証するものではない。 (エ)乙第9号証の1及び2 被請求人は、本件商標「くらわんか」が、2024年8月7日に使用されていた事実を立証する趣旨で、乙第9号証の1及び2を提出している。この点、当該送り状は、手書きで作成されたものである。そして、「くらわんか餅」、「ギフトセットくらわんか」の各文字を、送り状に記載することは非常に容易である。そのため、「くらわんか餅」、「ギフトセットくらわんか」の各文字をいつでも後から送り状に記載することは可能である。 しかし、乙第9号証から、当該「くらわんか餅」、「ギフトセットくらわんか」の各文字がいつどのように送り状に記載されたかは不明である。送り状のご依頼主控えのみ提出されており、その複写を確認することはできない。要証期間に記載されたものであることを証明する証拠もない。また、送り状の品名欄に記載されている「くらわんか餅」の文字と「ギフトセットくらわんか」の文字とを比較すると、その筆跡及び文字色の濃さが異なっている。特に、「くらわんか餅」と「ギフトセットくらわんか」とは、文字色の濃さが大きく異なっており、同時に連続して記載されたものとは思えない。この点、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、審判請求書副本送達後に、新しく「ギフトセットくらわんか」の文字を送り状に記載した可能性が高い。そのため、乙第9号証の1及び2の信用性は非常に低いものと考える。また、乙第9号証の撮影日は、「令和6年11月28日」であって、要証期間のものではない。そして、上述したとおり、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。 したがって、乙第9号証の1及び2は、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証するものではない。 (オ)乙第9号証の3 被請求人は、本件商標「くらわんか」が、令和5年12月14日に使用されていた事実を立証する趣旨で、乙第9号証の3を提出している。この点、乙第9号証の3で使用されている標章は「くらわんか」ではなく、「くらわんか餅」である。そして、上述したとおり、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。 したがって、乙第9号証の3は、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証するものではない。 (カ)小括 被請求人は乙第6号証ないし乙第9号証をそれぞれ提出している。しかし、乙第6号証、乙第7号証、乙第9号証の3において使用されている標章は、「くらわんか餅」であって、「くらわんか」ではない。そして、上述したとおり、本件商標「くらわんか」と、「くらわんか餅」とは、社会通念上同一性を有する商標ではない。また、乙第8号証の会計票は、後からいつでも作成することが容易に可能なものである。しかし、要証期間に作成されたものであること証明する証拠もなく、乙第2号証の3のウェブサイトの改変の事実を鑑みるに、乙第8号証の信用性は非常に低いものと考える。乙第9号証の1及び2も、乙第8号証と同様に、信用性は非常に低いものと考える。 したがって、当該証拠によって、本件商標「くらわんか」が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことを立証することはできない。 オ 請求人による反論5 被請求人が提出した各乙号証をもっても、本件商標「くらわんか」が、要証期間内に日本国内において商標権者によってその指定商品「菓子」について使用されたと認められない。よって、本件商標「くらわんか」は、その指定商品(役務)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。 被請求人のM氏は、「くらわんか餅の世界」という菓子店を営む個人事業主であり、被請求人の住所「大阪府枚方市伊加賀本町」に同菓子店の枚方本店を設置し、営業している(乙1)。 被請求人は、菓子店の枚方本店、天満店及び楽天ショップ等において、「くらわんか餅」、「くらわんかもなか」、「くらわんか栗もなか」、菓子詰合せギフト「くらわんか」等の和菓子を販売している(乙2~乙4)。本件商標は「くらわんか」の文字を縦書きにしてなる(乙5)。「くらわんか餅」、「くらわんかもなか」、「くらわんか栗もなか」は、本件商標「くらわんか」に商品の普通名称「餅」、「もなか」、「栗もなか」を各々、結合させてなるところ、「餅」、「もなか」、「栗もなか」の文字部分は商品の普通名称であることから識別力がなく、自他商品識別機能を有するのは本件商標と同一の文字からなる「くらわんか」の文字部分といえる。「くらわんか」の文字部分は本件商標と縦書きか横書きかの相違はあるとしても、各標章は「くらわんか」の文字部分から「クラワンカ」の称呼が生ずるから、本件商標「くらわんか」と社会通念上同一の商標であるといえる。また、菓子詰合せギフト「くらわんか」は、「くらわんか」がカギ括弧で表示されていることから、「くらわんか」の文字部分が要部として認識されるものであり、菓子詰合せギフト「くらわんか」も、本件商標と社会通念上同一の商標といえる(乙3)。加えて、その外装には「くらわんか」の文字が縦書きで表示されているところ、本件商標と字体がやや異なるとはいえ、同一の商標の範囲内のものである(乙4)。なお、商品「餅」、「もなか」、「栗もなか」や、これらの商品を詰め合わせた「菓子詰合せ」はいずれも指定商品「菓子」の範ちゅうに含まれる商品である。よって、上記の各標章を使用する行為は、商標法第2条第3項第1号、同第2号及び同第8号に規定の使用行為に該当する。 使用時期に関しては、2022年(令和4年)12月に開業のもより市樟葉駅グランドオープン協賛セールのチラシにおいて、「12月7日(水)限り」の販売商品に「くらわんか餅4個入」が掲載されている(乙6)。乙第7号証は枚方市ふるさと納税指定返礼品「くらわんか餅」の2024年(令和6年)9月26日付及び10月10日付けの発送控えを示している。乙第8号証は菓子詰合せギフトくらわんかの2024年(令和6年)8月25日付け会計票を、乙第9号証はくらわんか餅及びギフトセットくらわんかの荷受印が2024年(令和6年)8月7日付けの送り状、くらわんか餅の荷受印が令和5年12月14日の送り状を示している(なお、一部を墨消ししている)。よって、乙第6号証ないし乙第9号証より、本件商標が要証期間内にその指定商品「菓子」について使用されたことは明らかである。 第4 当審の判断 1 請求人の提出に係る甲各号証及び被請求人の提出に係る乙各号証並びに被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)菓子店「くらわんか餅の世界」について ア 菓子店「くらわんか餅の世界」は、「大阪府枚方市伊加賀本町」に「枚方本店」という店舗を有している(乙1の1)。 イ 平成26年8月4日に枚方税務署が受け付けた「個人事業の開業・廃業等届出書」は上記アの店舗と住所を同じくする「大阪府枚方市伊加賀本町」にM氏が「くらわんか餅の製造販売」の事業を平成26年6月5日より新設することを内容とするもので、店舗の屋号を「くらわんか餅NAOKI」とするものである(乙1の2)。 ウ 令和2年7月27日に枚方税務署が受け付けた「○所得税・○消費税の納税地の異動に関する届出書」は、上記イの「くらわんか餅NAOKI」の屋号を「くらわんか餅の世界」に変更することを内容とするもので、当該異動年月日は平成28年11月1日である(乙1の3)。 エ 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という場合がある。)は、M氏とS氏であり、本件商標権者の一であるM氏の氏名及び住所は、上記イ及びウの菓子店の届出者の氏名及び住所と同一である。 (2)菓子店「くらわんか餅の世界」のウェブサイトついて 甲第2号証は、菓子店「くらわんか餅の世界」が運営するウェブサイトであるところ、2/6ページには「くらわんかもなか(R)」と称する商品が紹介されており、その「くらわんかもなか」の文字が表示されている下に「焼いて食べる栗もなか」「焼いて食べる大納言もなか」「焼いて食べる招き猫もなか」「アイスジェラートモナカ」「焼いて食べる炒り胡麻もなか」の5種類の「もなか」が写真とともに掲載されていることから、これらの商品(以下「使用商品」という。)を表示するものとして「くらわんかもなか(R)」の商標(以下「使用商標」という。)が使用されていることが認められる。 また、甲第2号証は、各ページの左上にある日時の表示から、令和6年10月28日にプリントアウトされたものと認められる。 2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「くらわんか」の文字を縦書きしてなるものである。 他方、使用商標は、「くらわんかもなか(R)」の文字を横書きしてなるものであるところ、「(R)」は、登録商標であることを表したものと認められるから、使用商標は、実質的には「くらわんかもなか」の文字を表したものである。 また、使用商標の構成中「もなか」の文字部分は、紹介されている商品に係る商品名を表す語で、自他商品の識別標識として機能を有しない部分というのが相当であるから、その構成中の「くらわんか」の文字部分が自他商品の識別標識として機能を果たす文字部分といえ、使用商標の要部であるとみるのが相当である。 そうすると、本件商標と使用商標の要部は、同一の構成文字からなり、縦書き及び横書きの相違にすぎないことから、両者は、記載方法のみに変更を加えた同一の文字からなる社会通念上同一と認められる商標といえる。 (2)使用商品について 使用商標が使用されている「もなか」は、請求に係る指定商品中「菓子」の範ちゅうに含まれる商品である。 (3)商標の使用行為、使用時期、使用者について ア 使用行為について 上記1(2)によれば、菓子店「くらわんか餅の世界」が運営するウェブサイトおいて、使用商品の広告をするために、本件商標と社会通念上同一の商標といえる使用商標が表示されていることが認められる。 そうすると、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」といえるものである。 イ 使用時期について 上記1(2)によれば、甲第2号証がプリントアウトされたのは令和6年10月28日と認められるから、遅くともこの時期には、上記アの広告が菓子店「くらわんか餅の世界」が運営するウェブサイトおいて閲覧可能となっていたということができる。 そして、上記閲覧可能日は要証期間内である。 ウ 使用者について 上記1(1)によれば、本件商標権者の一はM氏であり「大阪府枚方市伊加賀本町」を住所とするものである。そして、菓子店「くらわんか餅の世界」は、「枚方本店」が「大阪府枚方市伊加賀本町」に所在し、店舗の設置に関する届出における届出者の氏名及び住所はM氏の氏名及び住所と一致することから、上記アの使用行為はM氏により行われたものということができる。 (4)小括 以上によれば、本件商標権者は、要証期間内である令和6年10月28日に日本国内の需要者に向け「くらわんか餅の世界」のウェブサイトを通じて、請求に係る指定商品中「菓子」の範ちゅうに含まれる「もなか」(使用商品)について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標(使用商標)を使用して商品の広告を行ったといえる。そして、この行為は商標法第2条第3項第8号に該当する。 3 請求人の主張について 請求人は、「くらわんかもなか」の文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記され、当該構成文字に相応して生ずる「クラワンカモナカ」の称呼も淀みなく一気一連に称呼し得るもので、特定の観念が生じない一種の造語と認められ、外観上、称呼上、観念上一体としてとらえ得るものであるから、「もなか」が商品の普通名称である点を考慮したとしても、「くらわんか」の文字のみが独立して分離観察されるものではなく一つの造語を形成している商標とみるのが相当である旨主張する。 さらに、請求人は、被請求人が「くらわんかもなか」の文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、まとまりよく一体に表記し、全体が一体の登録商標であるかのように「(R)」を付し、「くらわんかもなか」の文字で改行することなく一体に表記していることから、「くらわんかもなか」で一体に商標であることを意識しており、意図して一体で使用を行っていることがいえる旨主張する。 しかしながら、上記2(1)のとおり、「くらわんかもなか」の構成中「もなか」の文字は、使用商品である「もなか」を表していると直ちに認識できるものであり、「くらわんか」が商品の出所識別標識としての機能を果たす部分であると、これに接する者に理解、把握されるものであるから、その構成がまとまりよく一体であることや一般に登録商標であることを表示する記号として用いられている「(R)」の表示があるからといって、この認識が否定されることにはならない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、請求に係る指定商品中「菓子」の範ちゅうに含まれる商品「もなか」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきではない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-300744

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