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商標取消審判

2022-300291

イイクリニック、クリニック、イイ

審判番号
2022-300291
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2003-085692外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
4771403
請求日
2022年03月25日
審決日
2024年04月30日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
T132 .1 -Y (Y44)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
図形・ロゴ等(別掲)
論点(本文から自動抽出・参考)
称呼観念商品・役務の類否不使用(50条)使用の事実・証明社会通念上同一濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第7号、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4771403号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 本件商標

本件登録第4771403号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成15年10月1日に登録出願、第44類に属する別掲2のとおりの役務を指定役務として、同16年5月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年4月11日である。

なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成31年(2019年)4月11日から令和4年(2022年)4月10日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張

折りたたみ中(クリックで表示)

請求人は、本件商標の指定役務中、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」(以下「請求に係る役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した(以下、甲第○号証を「甲○」、乙第○号証を「乙○」のように表記する。)。

1 請求の理由

本件商標は、その指定役務中、請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人提出の乙各号証について

乙1の1は、被請求人のリーフレットチラシ(写)とされるものである。

被請求人は、当該三つ折りチラシの表紙及び裏表紙の下段には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている旨主張している。

しかしながら、本件商標の態様は、「e」のロゴの上に「CLINIC」の文字を重なるように一体的に表しているところ、当該リーフレットチラシの表紙上段に記載されている標章は、「e」のロゴと「クリニック」の文字が重ならずに記載されており、かつ「クリニック」の文字は片仮名文字で表されていることから、これを本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない(甲2参照)。

また、同チラシ表紙下段に記載されているロゴは、「e」ロゴと重なる文字が不鮮明であり、本件商標の使用ということはできない。

そして、同チラシは、「東京・大阪で健康セミナー開催」「健康スクール開催」といった記載内容となっており、この内容からすれば、第41類に属する「セミナーの開催(類似群コード41A03)、知識の教授(類似群コード41A01)」に関するものであるから、請求に係る役務「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」(第44類類似群コード42V02)とは全く異なるものである。加えて、同チラシの作成時期、頒布対象者、頒布時期等については、その証左の提出がないことから、本件商標を要証期間に使用したとはいえない。

乙1のメールには、品名として「eクリニック案内(リーフレット版)」と記載されているのみで本件商標の記載もなく、また、本「eクリニック案内(リーフレット版)」を受注者が被請求人に納品した事実も確認できない。したがって、本メールの存在により乙1の1のリーフレットチラシが被請求人に納品し、被請求人が当該リーフレットチラシを一般に頒布した事実も何ら証明されていないことから、本件商標を要証期間に使用したとはいえない。

乙2の1のリーフレットチラシは、「wiseクラブ」への登録案内及び同クラブの事業案内、セミナーの案内に関するものであるから、当該リーフレットチラシで行っているものは、「セミナーの企画・運営又は開催」(第41類類似群コード41A03)に関するものであり、本件不使用取消対象役務とは全く異なるものである。加えて、当該リーフレットチラシの作成時期、頒布対象者、頒布時期等について何らその証左の提出がないことから、本件商標を要証期間に使用したとはいえない。

乙2の2のメールには、品名として「Wiseクラブ案内」と記載されているのみで、本件商標の記載もなく、また、「Wiseクラブ案内」を受注者が被請求人に納品した事実も確認できない。したがって、本メールの存在により乙2の1のリーフレットチラシが被請求人に納品し、被請求人が当該リーフレットチラシを一般に頒布した事実も何ら証明されていないことから、本件商標を要証期間に使用したとはいえない。

乙3の1ないし3は、セミナーのチラシ(写)とのことであるが、内容としてはいずれもセミナーの開催に関する役務の提供であり、被請求人が主張する「医業・健康診断・医療情報の提供」には該当しない。このセミナーのチラシを被請求人が要証期間内に一般に頒布した事実も証明されていない。

乙4の1ないし3は、被請求人の動画サイトチャンネルで公開した動画とのことであるが、そもそもこれらの動画部分に記載されている日付は不鮮明であり具体的に確認することができない。また、被請求人が主張する本件商標の使用についても、その具体的な態様が不鮮明であり、内容は確認できない。

また、被請求人が提供している役務は、動画サイトという媒体を介した「動画の提供」にあたると考えられるところ、これは第41類に属する役務であり、被請求人が主張する「医業・健康診断・医療情報の提供」ではあり得ないものである。このため、これらの証拠からは、被請求人が本件商標を要証期間に請求に係る役務に使用しているとはいえない。

なお、審決によれば、「医療情報の提供」が、被請求人の行う電子雑誌等の媒体を通じて一般公衆に対して医療的な話題を提供する行為ではなく、医師又はそれに準ずる専門的な立場で患者等に対して個別に情報を提供する役務が該当することと考えるのが相当である。

また、「健康に関する情報の提供」についても、類似群コードが「42V02」に加え、「栄養の指導」が属する類似群コード「42V03」が付与されていることからすると、当該役務が、医師や栄養士又はそれに準ずる専門的な立場の者が、患者等に対して個別的に健康管理に関する見解を提供する役務が該当するといえる。」とされており、このことが裏付けられている(甲3)。

乙5は、被請求人ウェブサイトの写しとのことであるが、この内容からは、「健康賢者をめざしましょう! Healthy wise ~一緒に学んで元気で長生き~」との記載は認められるが、具体的に被請求人が提供する役務が具体的に不明であるとともに、左肩上の印刷日と思われる「2022/06/06 14:02」が記載されているが、これは要証期間外のものであるから、要証期間に被請求人が本件商標を使用したとはいえない。

第3 被請求人の主張

折りたたみ中(クリックで表示)

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び令和5年4月28日付け審尋に対する審判事件回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙25(枝番号を含む。)を提出した。

1 審判事件答弁書における主張

被請求人(商標権者)は、本件商標を、要証期間に、日本国内において、本件商標の取消請求に係る指定役務中の「医業,医療情報の提供,健康診断」について使用している。また、被請求人は、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を、社章として自己の事業全体に使用している。以下に、その使用の事実について、乙1の1ないし乙5を提出して説明する。

(1)ア 乙1の1は、被請求人のリーフレットチラシの写しである。また、乙2の1は、被請求人が行う事業の1つである「wiseクラブ」のリーフレットチラシの写しである。

当該チラシは、被請求人に所属する医師達のクリニックの待合室に置かれたり、当該医師達が患者に直接手渡しする等して配布されている。

イ 乙1の2及び乙2の2は、上記乙1の1及び乙2の1のリーフレットチラシについて、印刷受注者であるP社から印刷発注者である被請求人宛の受注確認メールである。当該メールによると、乙1の1のチラシは、2019年5月27日に被請求人によって1000部発注され、乙2の1のチラシは、2019年4月12日に被請求人によって700部発注されている。

ウ 乙3の1ないし3は、2019年5月26日(日)、2019年6月1日(土)、2019年10月27日(日)及び2019年11月16日(土)に被請求人が開催したセミナーのチラシである。

これらのチラシには、それぞれ本件商標及び被請求人の名称が表示されており、これらのセミナーでは、被請求人に所属する医師達により医業・健康診断や医療情報の提供が行われたことが分かる。また、当該チラシは、被請求人に所属する医師達のクリニックの待合室に置かれたり、当該医師達が患者に直接手渡ししたり、取引企業、各種新聞社や自治体に送付する等して配布された。

エ 乙4の1ないし3は、被請求人の動画サイトチャンネルに、2020年4月7日、2020年9月11日、2022年1月17日に公開された動画のスライドである。

これらの動画のスライド1枚目には、それぞれ公開日及び被請求人のウェブサイトのアドレスが記載されている。当該被請求人のウェブサイトのトップページには、本件商標と被請求人の名称が表示されている(乙5参照)。これらの動画のスライド2枚目以降には、動画の右下に商標が常に表示されている。また、動画の内容も被請求人の代表者による医療情報を提供するものとなっている。なお、乙4の3のスライドの最後には、二次元コードが表示されており、当該二次元コードから被請求人のウェブサイトにアクセスすることができる。

オ 乙5は、被請求人のウェブサイトトップページの写しである。当該ウェブサイトの上部には、商標が表示されており、その横には、被請求人の名称が表示されている。また、乙4の1及び3に記載されたアドレスは、本件ウェブサイトのアドレスと一致する。

(2)本件商標の使用について

ア 商標法第2条第3項第7号で規定する「使用」について

(ア)本件商標の使用者について

乙4の1ないし3のスライド1枚目には被請求人のウェブサイトのアドレスが記載され、当該ウェブサイトには、商標と被請求人の名称が表示されている(乙5参照)。また、乙4の3の最後のスライドに表示されている二次元コードから、被請求人のウェブサイトにアクセスすることができる。また、乙4の1ないし3の動画には被請求人の代表者が出演しているから、動画サイトチャンネルは、被請求人によって運営されていることが分かる。したがって、乙4の1ないし3に表示された商標の使用者は被請求人である。

(イ)本件商標の使用に係る商標の社会通念上の同一性について

乙4の1ないし3に表示された商標は、「CLINIC」の文字部分が白抜きで表示されている点を除き、本件商標と「e」の図形部分、文字部分「CLINIC」の書体(明朝体)及び各構成要素の大きさ・比率が共通する。したがって、使用に係る商標と本件商標とは、構成文字、称呼及び観念を共通にする社会通念上同一の商標である。

(ウ)使用役務について

乙4は、被請求人の動画サイトチャンネルに公開された動画のスライドであって、医療情報を提供するものである。

(エ)本件商標の使用時期について

乙4は、要証期間内に被請求人の動画サイトチャンネルに公開されている。なお、動画公開日を公開者側から変更することはできない。

(オ)小括

以上のことから、商標権者である被請求人は、本件審判の要証期間内に、我が国において、医療情報の提供を目的とする動画を動画サイトにおいて公開し、当該動画には本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていたことは明らかであるから、商標法第2条第3項第7号に該当する。

イ 商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」について

(ア)本件商標の使用者について

乙1の1、乙2の1の表紙及び裏表紙の下部には、本件商標と社会通念上同一の商標と、被請求人の名称が表示されている。また、乙3の1ないし3の左上には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示され、下部には被請求人の名称が表示されている。したがって、乙1の1、乙2の1、乙3の1ないし3に記載の商標の使用者は被請求人である。

(イ)本件商標の使用に係る商標の同一性について

乙1の1、乙2の1、乙3の1ないし3に表示された商標は、「CLINIC」の文字部分が白抜きで表示されている点を除き、本件商標と「e」の図形部分、文字部分「CLINIC」の書体(明朝体)及び各構成要素の大きさ・比率が共通する。したがって、使用に係る商標と本件商標とは、構成文字、称呼及び観念を共通にする社会通念上同一の商標である。

(ウ)使用役務について

乙1の1のチラシには、「活動」の欄に「腸内細菌叢検査の実施」、「患者会開催」と記載されており、これらの活動は、「医業医療情報の提供,健康診断」に該当する。また、「治療サポートクラブ」の項目には「西洋医学、(中略)病気の根本原因を改め、自己治癒力を推進することが治癒への近道と考えサポートします。」と記載され、その右下には「春秋セミナー」「中医養生セミナー」と記載されており、これらの活動は、「医業,医療情報の提供,健康診断」に該当する。

乙2の1のチラシには、被請求人に所属する医師達の写真及び氏名とともに、「健康、食、運動、薬、病気など医療・医学にまつわる情報を吟味・精査し、さらに最新の情報をも加えながら、ホントの医療・医学を本音で全国に配信しています。」と記載され、当該活動は、「医療情報の提供」に該当する。

乙3の1ないし3は、被請求人に所属する医師達による全3部からなるセミナーであって、医業、健康診断及び医療情報の提供を行っている。

(エ)本件商標の使用時期について

乙1の1のチラシ及び乙2の1のチラシは、要証期間内に被請求人によって発注され、被請求人に所属する医師達のクリニックの待合室に置かれたり、当該医師達が患者に直接手渡しする等して配布されている。

乙3の1ないし3に記載のセミナーは、要証期間内に、いずれも被請求人によって開催された。これらのチラシは、被請求人に所属する医師達のクリニックの待合室に置かれたり、当該医師達が患者に直接手渡ししたり、取引企業、各種新聞社や自治体に送付する等して配布された。

(オ)小括

以上のことから、商標権者である被請求人は、要証期間内に我が国において、被請求人の医業及び医療情報の提供を目的とする役務の内容を記載したリーフレットチラシを発注、頒布し、当該チラシには本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていた。また、商標権者である被請求人は、要証期間内に我が国において、医業、医療情報の提供及び健康診断を目的とするセミナーに関するチラシを頒布し、当該チラシには本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていたから、商標法第2条第3項第8号に該当する。

また、乙4の1ないし3は、上記のとおり、それぞれ要証期間内に動画サイトの動画内に本件商標と社会通念上同一の商標が表示されており、これらは広告若しくは情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に当たるから、商標法第2条第3項第8号に該当する。

2 令和5年6月7日差出の審判事件回答書における主張

(1)「eクリニックセミナー」の表示とその実態について

商標権者の代表者は、2003年に仲間の医師とともに「特定非営利活動法人21世紀の医療を考える会」を設立させた。その活動の一つとして「eクリニックセミナー」を標題とする会合を永年継続して催している。その内容は、患者自身による健康の維持、促進状況のチェック、スタッフ医師による医療についてのレクチャー及び患者が直接医師に面接し、患者自身の病状に応じた治療方法等について指導を受けること等であって、患者に対して直接医療を指導する行動を含むものとなっている。

(2)乙3の3について

被請求人は、新たに乙6の1ないし乙14の6を提出し、当該主張を補充する。

本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が付された乙3の3のチラシは、被請求人が2019年9月3日付けでF社に2,000部発注し(乙6の1)、同月9日付けでF社から被請求人に対し乙3の3のチラシが発送され(乙6の3)、被請求人から、被請求人と関係のある医師及び取引先に送付され(乙7)、当該医師及び取引先から患者及び関係者に配布されることで参加者を募り(乙14)、現にチラシの配布を受けた患者及び関係者から参加の申込が行われ(乙8、乙9)、乙10に記載のスケジュール及び乙11に記載のブース配置図により、同年10月27日(日)に第69回セミナーが開催された。

また、これらのセミナーにおいて、医師との個別面談を希望した参加者は(乙12)、乙13の写真で確認できるように、医師と個別で面談を行った。当該面談において担当した各医師は、各患者の個別の病気やその症状に関する個別の相談を受け、医師として専門的な知識に基づき診断し、当該病気や症状に対する予防・治療方法等の医療情報又は健康情報の提供を行った(乙14)。

したがって、上記のように被請求人が、乙3の3のチラシを被請求人と関係のある医師及び取引先に配布し、当該医師及び取引先が関係者に配布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当することから、被請求人は要証期間内に本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を「医業,医療情報の提供,健康診断」において使用していたといえる。

(3)乙1の1に記載されている「腸内細菌叢検査」について

被請求人は、審判事件答弁書において、被請求人の三つ折りリーフレットの写し(乙1の1)を提出しており、当該リーフレットの「活動」(3頁目左下)欄には、「腸内細菌叢検査の実施」と記載されている。

「腸内細菌叢検査の実施」の記載がある乙1の1のリーフレットは、2019年5月29日にP社から被請求人に納品(乙15の1、2)され、被請求人は当該リーフレットを各医師が配布し、各医師から患者及び関係者に配布された(乙14)。

また、2020年12月10日付けで被請求人に対し、被請求人の会員であるK氏から、自身及びH氏の腸内細菌叢検査を希望する旨の申し入れがなされ(乙16)、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が付された2021年2月4日付けの送付状(乙17)とともに検査キット及び納品書(乙18)を送付し(乙19)、他機関によって2021年3月26日付けで発行された報告書(乙20)をもとに被請求人に所属する医師が腸内環境を診断し、2021年4月15日付けでK氏に報告書を送付した(乙21)。

したがって、被請求人は当該リーフレットを各医師に配布し、各医師から患者及び関係者に配布された事実は、当該リーフレットを見た患者から2020年12月10日付けで現に腸内細菌叢検査の実施を希望する申込があったことからみても明らかであるから、当該配布行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。また、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が付された2021年2月4日付けの送付状を被検者に送付する行為も、商標法第2条第3項第8号に該当する。

よって、被請求人が要証期間内に、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を「医業医療情報の提供,健康診断」において使用していたことは明らかである。

(4) 被請求人に理事として所属する医師のクリニックのウェブサイトにて、本件商標を表示したことについて

被請求人に理事として所属する医師が、自身のクリニックのウェブサイトにて、要証期間内に本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を表示していた事実を、新たに乙22ないし乙24を提出して証明する。

国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業によって紹介されている「Wayback Machine」を用いて「2022年3月28日に保存された、T医師のクリニックのウェブページ状況」を閲覧したところ、当該ウェブページには、「在宅訪問診療も行っています。お気軽にご相談ください」という記載とともに、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が表示されている(乙23)。また、T医師は、2022年1月22日時点で被請求人の理事であるから(乙24)、被請求人からT医師に対し、本件商標の使用を黙示で許諾していたことは明らかであるので、T医師は、被請求人の通常使用権者であった。

したがって、通常使用権者であるT医師は、2022年3月28日時点で、自身が院長を務めるクリニックのウェブページに「在宅訪問診療も行っています。お気軽にご相談ください」という記載とともに、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を表示していることから、当該表示行為は商標法第2条第3項第8号に該当する。

よって、被請求人は要証期間内に本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を「医業,医療情報の提供,健康診断」に使用していたことは明らかである。

(5) 審判事件弁駁書について

請求人は、乙1の1のリーフレットチラシの表紙上段に記載されている標章は、本件商標とは社会通念上同一の商標ではない旨主張している。

しかしながら、被請求人は、あくまで、当該リーフレットの表紙及び裏表紙の左下段に表示された標章と本件商標が社会通念上同一と認められる商標であると主張しているのであって本件商標と上記標章が社会通念上同一の商標であるとの主張を行ったことはない。

また、請求人は、当該リーフレットの表紙及び裏表紙の左下段に表示された標章が不鮮明であると主張している。被請求人の目では、当該リーフレットにおける当該標章が十分に鮮明かつ認識可能であるが、念のため当該リーフレットのPDFデータを印刷したものを提出する(乙25)。当該PDFデータは、被請求人が当該リーフレットの作成をP社に発注する際に、該社に提供したものと同じである。

第4 当審の判断

1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。

(1)被請求人である商標権者は、2003年に、その代表者及び仲間の医師によって設立された団体である。

被請求人の発行するリーフレットチラシには、活動内容として、「腸内細菌叢検査の実施」と記載されている(乙1の1、3葉目)。

(2)2020年12月10日付けで、被請求人の会員であるK氏から被請求人に対し、メールにて、K氏の腸内細菌叢検査の実施を希望する旨の申し入れがあった(乙16)。

(3)商標権者は、2021年2月4日付けで、K氏に対し、腸内細菌叢検査の検査キット及び納品書を、送付状とともに送付した。送付状には、差出人として、商標権者を表す「NPO法人「21世紀の医療・医学を考える会」」の記載があり、左上には、別掲3のとおりの標章(以下「使用商標」という。)が表示されている。また、納品書には、「腸内セルフチェックキットをお送りします。・・・検体の返送をお願いいたします。」の記載がある(乙17、乙18)。

(4)K氏の腸内細菌叢検査の結果に関する報告書は、2021年3月下旬頃に作成・発行され、日本郵便のレターパックのシールに手書きで記された日付によれば、上記報告書は同年4月中旬頃に、商標権者からK氏に宛てて発送された(乙20、乙21)。

2 判断

上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「e」の文字を水色でややデザイン化して大きく表し、その上に重ねるように「CLINIC」の文字を青色にて横書きしてなるものである。他方、使用商標は、別掲3のとおり、「e」の文字を、下部分(底部)の丸みがわずかに直線的に表されているものの、大部分を水色でややデザイン化して大きく表し、その上に重ねるように「CLINIC」の文字を青色にて横書きしてなるものであるから、本件商標と使用商標とは、構成の軌を一にし、同一視し得るものである。そうすると、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。

(2)使用者について

上記1(3)によれば、使用商標を付した送付状は、商標権者の名称が差出人として記載されていることから、商標権者によって発行されたものと認められる。よって、使用商標の使用者は、商標権者である。

(3)使用役務について

上記1(2)ないし(4)によれば、商標権者は、K氏から腸内細菌叢検査の申込みを受け、K氏に検査キットを送付し、検体を受領し、後にK氏に対し、腸内細菌叢検査の診断結果を送付したものとみることができる。これらの行為から、商標権者は、K氏に対し、腸内細菌叢検査に関する結果を診断し、その情報を提供したといえるものであって、これは、請求に係る役務中、「医療情報の提供、健康診断」の役務に該当する。

(4)使用時期及び使用行為について

上記1(3)によれば、商標権者は、要証期間である2021年2月4日に、K氏に対して「医療情報の提供、健康診断」の役務を提供するにあたり、取引書類(送付状)に使用商標を付して頒布したものといえる。

(5)小括

上記(1)ないし(4)のとおり、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る役務中、「医療情報の提供、健康診断」の役務を提供するにあたり、取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布したものと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。

したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲(理由中で参照)

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別掲1 (本件商標。色彩は原本を参照。)J-PlatPatで画像を確認(書誌) ↗
別掲2 (本件商標の指定役務)
内容を表示(1行)

第44類「保健衛生に関する指導,保健衛生に関する情報の提供,健康・医療相談,健康・医療相談に関する情報の提供,美容,理容,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」

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2022-300291

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