2022-300251
コンセントリックス
- 審判番号
- 2022-300251
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2013-059238外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 5738508
- 請求日
- 2022年03月14日
- 審決日
- 2024年12月02日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ギンコ バイオワークス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】中村 稔
- 【請求人代理人】井滝 裕敬
- 【請求人代理人】▲吉▼田 和彦
- 【請求人代理人】藤倉 大作
- 【請求人代理人】相良 由里子
- 【請求人代理人】松下 友哉
- 【被請求人】コンセントリクス シーブイジー カスタマー マネジメント デラウェア リミテッド ライアビリティ カンパニー
- 【被請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 分類
- T132 .1 -Y (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 標準文字
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第1条、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第4号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第3号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 本件商標
本件登録第5738508号商標(以下「本件商標」という。)は、「CONCENTRIX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年7月30日に登録出願、「コンピュータソフトウェア・コンピュータハードウェア及びコンピュータネットワークシステムの検査」を含む第42類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年2月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年3月31日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成31年3月31日~令和4年3月30日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
折りたたみ中(クリックで表示)
請求人は、本件商標の指定役務中、第42類「コンピュータソフトウェア・コンピュータハードウェア及びコンピュータネットワークシステムの検査」(以下「請求に係る指定役務」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和4年6月1日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月16日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 請求の理由
本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)は、本件商標をその指定役務のうち請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標の商標登録原簿(甲1)に示すとおり、本件商標について、専用使用権者は存在せず、また、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
すなわち、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても、前記役務について使用されていないものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定役務のうち請求に係る指定役務については取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)以下に述べるように、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第9号証によっては、本件商標の使用に関する被請求人の主張事実は証明されていないから、本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、取り消されるべきである。
(2)乙各号証の検討
被請求人は、本件商標が、第42類「コンピュータソフトウェアの検査」について使用されている根拠として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出しているが、乙各号証をもってしても、本件商標が商標法第2条第3項各号に規定されるいかなる態様で使用されているかは何ら立証されていない。
以下、提出された各乙号証について検討する。
ア 乙第1号証及び乙第2号証
被請求人は、これら証拠に基づいて、コンセントリクス・カタリスト株式会社(以下「カタリスト社」という。)が本件商標に係る商標権について使用許諾を受けている旨を主張していることがうかがえる。
しかしながら、これら証拠は、カタリスト社が本件商標に係る商標権について通常使用権を有することを何ら証明するものではない。
すなわち、乙第1号証の記載からは、日本コンセントリクス株式会社(以下「日本コンセントリクス社」という。)が「CONCENTRIXグループ」の一員として活動していることはうかがえるものの、商標権者が、被請求人が主張する「CONCENTRIXグループ」を構成する者であるかは不明であるし、かつ、商標権者と日本コンセントリクス社との関係性も不明である。
さらに、乙第2号証からも、Tigerspike株式会社(以下「Tigerspike社」という。)がConcentrixグループに買収され、「Concentrix Tigerspike」として継続して活動していた後、2022年5月22日に「コンセントリクス・カタリスト株式会社(Concentrix Catalyst Co.,Ltd.)」へと社名変更されたことはうかがえるものの、商標権者と日本コンセントリクス社との関係性は全くもって不明である。
加えて、答弁書には、カタリスト社が商標権者の日本における法人組織であるとの説明が記載されているが、これを裏付ける証拠は何ら提出されていない。
したがって、乙第1号証及び乙第2号証は、乙第5号証及び乙第6号証に係るプロジェクトの実施者であるTigerspike社が、本件商標について商標権者より使用許諾を受けている事実を裏付ける客観的な証拠とはなり得ない。
以上よりすれば、本件商標は、通常使用権者によって使用されているものとは認められない。
イ 乙第3号証ないし乙第5号証
被請求人は、これら証拠に基づき、「ヒューリスティック評価」の定義を明確にした上で、これが「コンピュータソフトウェアの検査」に含まれるものであり、乙第5号証に係る「ヒューリスティック評価分析レポート」が「ソフトウェアの検査」に該当すると主張していることがうかがえる。
また、被請求人は、乙第5号証に記載された「CONCENTRIX」の標章の使用が、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であると主張している。
しかしながら、乙第5号証に示されている使用商標と本件商標とは社会通念上同一ということはできず、また、「ヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)」は第42類「ソフトウェア検査」の役務とは全く異なり、当該役務に包含されるともいえなから、これら主張はいずれも失当である。
(ア)乙第5号証に係る「ヒューリスティック評価分析レポート」における「CONCENTRIX」の標章の使用が本件商標と社会通念上同一の商標の使用ではないことについて
まず、乙第5号証において認められる「CONCENTRIX」の標章は、以下のとおり、他の構成要素と結合して使用されていることが認められる。
a 表紙左上部より切り抜き(別掲1。以下「使用商標1」という。)
b 68頁左上部より切り抜き(別掲2。以下「使用商標2」という。)
使用商標1及び使用商標2は、いずれも、四角い枠の中に「CONCENTRIX」と「tigerspike」の欧文字を二段に書し、その下に、上記の各文字の約3倍の大きさにて略六角形の図形が配された構成からなる商標であるところ、これら使用商標1及び使用商標2は、本件商標とは顕著に異なっていることは明らかであるため、社会通念上同一であるとはいえない。
この点に関し、被請求人は、答弁書において、「『CONCENTRIX』の右上に、小さく『TM』の文字が付されていることから、外観上、『CONCENTRIX』の部分が単独で『商標』(Trade Mark)として機能していることを認識させ」る旨の主張をしている。
しかしながら、「CONCENTRIX」及び「tigerspike」の各文字、及び略六角形の図形は四角い枠の中にまとまり良く表された使用商標1及び使用商標2のそれぞれの構成からすれば、その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案された自他商品役務の出所標識であるといえる。
つまり、需要者は、使用商標1及び使用商標2は枠内に含まれる全ての構成要素からなる一連一体の商標であると捉えるのが自然である。使用商標1及び使用商標2の構成要素を視覚上分離して観察するとしても、「CONCENTRIX/tigerspike」の部分は、「tigerspikeがCONCENTRIX」の一員であることを示すことから、これらの語は観念上密接な関連があり、一体不可分のものと認識されるはずである。
そうすると、乙第5号証における「CONCENTRIX」の各標章は、使用商標1及び使用商標2の構成要素として使用されているものであり、使用商標1及び使用商標2と本件商標とが社会通念上同一の商標ではないことは論じるまでもない以上、乙第5号証は、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることの根拠足り得ない。
(イ)乙第5号証に係る「ヒューリスティック評価分析レポート」が「ソフトウェアの検査」に該当しないことについて
まず、被請求人の答弁中、「『コンピューターソフトウェアの検査』の意味内容としては、『基準に照らして、プログラムを含むコンピュータソフトウェアの適不適などをしらべる』ということになります」との主張があるが、乙第4号証を踏まえると、「コンピュータソフトウェアの検査」とは、「基準に照らして、プログラムを含むコンピューターソフトウェアの適不適や異状・不正の有無などをしらべる」ことを指すものと解釈するべきである。
乙第5号証はtigerspike社が実施するプロジェクトに係る提案資料と認められるところ、被請求人は、当該プロジェクトにおいて採用されている「ヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)」という手法が、前記意味で解釈される第42類「コンピュータソフトウェア検査」の役務に含まれる旨主張をするが、両者はその内容や性質を異にするものである。
乙第3号証の1によれば、「ヒューリスティック評価」とは、「コンピューターソフトウェアのユーザビリティ検査方法であり、ユーザーインターフェース(UI)設計におけるユーザビリティの問題を特定するのに有用」なものである。
しかしながら、「ユーザビリティ」とは、「システム利用の成果に含まれる『目標のために有用である』という属性・特性」であるから(甲2)、「ユーザビリティ検査」とは、コンピューターソフトウェアに適不適や異状・不正があるか否かを検査することを目的とするのではなく、コンピューターソフトウェアに適不適や異状・不正はなく、想定どおりに動いていることを前提としたプロジェクト上で、ユーザーにとって不便、不都合な点がないかどうかを検査することを目的とするものである。
よって、「ヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)」は、その用途・目的において、「ソフトウェア検査」とは大きく異なる。
また、「ヒューリスティック評価」の評価対象はソフトウェアだけでなく、ウェブサイトも含まれる(甲3、甲4)。
後述するとおり、被請求人の証明において採用されている「ヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)」が評価対象とするのは、「ソフトウェア」ではなく「ウェブサイト」である。
被請求人は、答弁書中、当該「ユーザビリティ検査」の具体的内容について、「ページ先頭に戻るボタンの改善」の例を挙げている。
しかしながら、「『ページの先頭へ』ボタンが最下部に配置されているが、長いスクロールを要し、機能していない、すなわち、「効率性」の基準に照らして「不適」であるとの評価がなされて」いることは、あくまでも、ユーザーにとっての「効率性」、つまり便・不便について評価がなされているのであり、例えば「ページの先頭へ」ボタンを押下してもページの先頭へ移動しないというコンピュータソフトウェアエラーが生じていないかという、適不適や異状・不正があるか否かを評価している訳ではない。
また、被請求人は、「コメント投稿時」の例も挙げているところ、「『送信しました。反映まで少しお待ちください』等のメッセージ表示プログラムが仕込まれていないため、『不適』と判断」されていることも、あくまでもユーザーにとっての便・不便について評価がなされているのであり、例えば投稿したコメントが正常に表示されるか否かという、適不適や異状・不正があるか否かを評価している訳ではない。
答弁書中、「コメント送信ボタンのアクティブ条件」の例においても、「必須のコメント入力フォームが未入力でも送信ボタンをアクティブにしておくプログラムは『不適』である、と判断」されていることも、ユーザーが入力フォームに未入力箇所があることに気が付かないという不便性について評価がなされているのであり、例えば、コメント送信ボタン押下によりコメントが正常に送信されるか否かという、適不適や異状・不正があるか否かを評価している訳ではない。
さらに、乙第3号証の2によれば、「ヒューリスティックテスト」とは「ユーザーのゴールを達成するために必要な機能が備わっており、個々の機能が使いやすく、かつ状態がわかりやすくなっているか」、「タスクを行う際に必要な情報が適切な粒度で、適示に提供されているか。情報間の関係が適切に考慮され、UIに反映されているか。」、「システム・サービスの目的に寄与するビジュアルになっていて操作内容と状態を見分けることができるか。ブランド構築に貢献しているか。」という観点から行われる「デザイン診断」の一種であり、既存のソフトウェアの適不適、異状・不正の有無をしらべる「コンピュータソフトウェアの検査」とは性質が異なることがうかがえる。
乙第5号証の3頁目(「1.評価対象と前提条件」)には、当該プロジェクトに係るヒューリスティック評価の評価者の情報が記載されているが、2名とも「Senior UX Designer」や「Mid UX Designer」といった、「ウェブデザイン」の分野における専門家であり、ソフトウェアのバグ等の検査を行う「エンジニア」ではない。
よって、評価者という観点においても、「ヒューリスティック評価」という評価手法は「コンピュータソフトウェアの検査」と同一であるとはいえない。
百歩譲って、「コンピュータソフトウェアのヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)」の評価手法が、第42類「コンピュータソフトウェアの検査」と同一である、又はこれに含まれるとしても、乙第5号証の提出により証明されているプロジェクトの評価対象は、被請求人の答弁書中にも記載されているとおり「医療・健康・介護サイト『Yomi.Dr』」であり、これは「ソフトウェア」でなく「ウェブサイト」に分類される。
「ウェブサイトを対象に行うヒューリスティック評価」が「コンピュータソフトウェアの検査」に含まれる役務ではないことはいうまでもない。
以上より、乙第5号証は、要証期間内に、第42類「ソフトウェア検査」について本件商標が使用されていた事実を裏付ける客観的な証拠とはなり得ない。
ウ 乙第6号証及び乙第7号証
乙第6号証は、Tigerspike社と契約相手会社(以下「G社」という。)との間で「yomiDr.のカタリスト・イグニッションとヒューリスティック評価」と題したプロジェクトについて締結された契約書であり、乙第7号証は当該プロジェクトに関する見積書である。
ただし、乙第5号証に係るプロジェクトに係る分析レポートはtigerspike社から提供先の会社に対して提供されているところ、乙第6号証は提供先の会社との間で締結されたものではなく、乙第7号証に係る見積書も提供先の会社に対して発行されたものとは認められない。
ゆえに、乙第5号証に係るレポートが乙第6号証及び乙第7号証に基づいて作成・納品されたかは不明である。
被請求人は、乙第5号証と同様、乙第7号証を根拠に本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている旨を主張する。
乙第7号証の左上部に表されている商標(以下「使用商標3」という。また、使用商標1ないし使用商標3を総称して、以下「使用商標」という。)は別掲3のとおりである。
使用商標3は、使用商標1及び使用商標2のように四角い枠は表されていないものの、それ以外の部分は使用商標1及び使用商標2とは同一である。
前記のとおり、使用商標1及び使用商標2は構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案された自他商品役務の出所標識と認められるし、また、「CONCENTRIX」と「tigerspike」の部分には観念上の一体性がある以上、「CONCENTRIX」の部分が役務の出所標識として独立して使用されているとは評価できない。
そうすると、使用商標3も本件商標と社会通念上同一であるとはいえない。
エ 乙第8号証
被請求人は、乙第8号証を提出し、過去の審決例をあげて「使用商標に『TM』が付されていることにより、その部分が独立して自他商品役務識別機能を発揮し得ると解する」ことを主張している。
しかしながら、当該審決例とは商標の構成・態様が相違する等、必ずしも本件とは事案を同じくするものとはいえないため、提示された審決例の存在をもって、使用商標の構成中「CONCENTRIX」の部分が要部であると判断することは適切ではない。
特に、使用商標は、乙第5号証に代表されるように「CONCENTRIX」と「tigerspike」の欧文字、及び略六角形の図形が、四角い枠の中にまとまり良く表されている構成からなる商標であり、構成全体でひとつの標識として採用され、かつ、認識されるものであるから、当該審決例に係る審判事件における「乙第9号証-7」ないし「乙第9号証-9」の証拠において表されている、「NIR(R) Elite」と一連に表されている商標とは、需要者に与える印象が大きく異なる。
オ 乙第9号証
被請求人は、乙第9号証を提出し、過去の審決例をあげて「『CONCENTRIX』部分が『tigerspike』部分に比べて、やや小さめに表されているとはいえ、自他商品役務識別標識としての機能を果たすと解すべき」であることを主張している。
しかしながら、乙第8号証と同様に、当該審決例とは商標の構成・態様が相違する等、必ずしも本件とは事案を同じくするものとはいえないため、提示された審決例の存在をもって、使用商標の構成中「CONCENTRIX」の部分が要部であると判断することは適切ではない。
特に、乙第9号証に係る不使用取消審判事件にあっては、「NAMJATOWN」の文字とその上部に併記された「SUNSHINE」の文字とを「常に一体不可分にのみ認識し、把握されるべき格別の事情は,見いだし難い」点が考慮された上で審決がなされており、本件とは事案を異にすることは明らかである。
カ その他
最後に、被請求人は使用証拠として乙第1号証ないし乙第9号証を提出しているところ、本件商標が商標法第2条第3項各号に規定されるいかなる態様で使用されているかは何ら立証されていない。
第3 被請求人の主張
折りたたみ中(クリックで表示)
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書、令和5年2月14日付け審尋(以下「審尋1」という。)に対する同年4月5日付け回答書(以下「回答書1」という。)及び令和6年3月25日付け審尋(以下「審尋2」という。)に対する同年4月23日付け回答書(以下「回答書2」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、請求に係る指定役務のうち、「コンピュータソフトウェアの検査」について、本件商標の使用をしていることを証明する。
なお、請求に係る指定役務は、「コンピュータソフトウェアの検査,コンピュータハードウェアの検査,コンピュータネットワークシステムの検査」を、便宜上一つにまとめて表記したにすぎないものであるので、これらのうちの「コンピュータソフトウェアの検査」について使用の証明がなされれば十分と思料する。
(2)通常使用権者について
商標権者に係る日本における法人組織としては、二社が存在しており、一つは日本コンセントリクス社であり(乙1)、もう一つは、カタリスト社である(乙2の1)。
Tigerspike社は、2017年に、Concentrixグループに買収され(乙2の2)、Concentrix Tigerspikeとして継続していたが、2022年5月22日に、「コンセントリクス・カタリスト株式会社」へと社名変更した(乙2の3)。
なお、Tigerspike社は、ユーザー体験(UX)デザインアプローチとビジネス分析力、モバイル分野での先進的な開発力を用いて、ユーザーが心地よく使えるモバイルアプリ・Web・デジタルプロダクトを世界各地で開発するグローバル企業である。
このTigerspike社が、Concentrixグループの一員であることは、以下の点からも明らかである。
すなわち、カタリスト社のトップページ(乙2の1)に、「PK and Tigerspike are now Concentrix Catalyst.We are the experience design and engineering team of Concentrix,a leading global solutions company that reimagines everything CX.(PK及びTigerspikeは、この度、Concentrix Catalystになりました。私たちは、CXのすべてを再考する世界有数のソリューション企業であるConcentrixのエクスペリエンスデザイン・エンジニアリングチームです。」との記載がある。
また、Tigerspikeからリダイレクトされたカタリスト社のトップページには、「TIGERSPIKE IS NOW CONCENTRIX CATALYST」に続けて、その下方に、「As part of the Concentrix family,Tigerspike can leverage the data,customer understanding,and deep technology capability of a global organization.(Concentrixファミリーの一員として、Tigerspikeは、グローバル組織のデータ・顧客理解及び深い技術能力を活用することができます。)」と記載されている(乙2の4)。
なお、カタリスト社のホームページ左上には、「CONCENTRIX」の右上に小さく「TM」の文字が付され、その「CONCENTRIX」の下に「CATALYST」が配された構成で、社名商標が表示されている(乙2の1、乙2の3、乙2の4)。
以上により、Concentrixグループ傘下のカタリスト社(旧Tigerspike社)が、本件商標につき使用許諾を受けていることは明らかと思われる。
(3)「コンピュータソフトウェアの検査」についての使用
ア カタリスト社(旧Tigerspike社)は、本件商標を、WebアプリやWebサイトのヒューリスティック評価に使用している。
ここで、ヒューリスティック評価とは、「コンピューターソフトウェアのユーザビリティ検査方法」であって、ユーザーインターフェイス(UI)設計におけるユーザビリティの問題を特定するのに有用なもの、とされている(乙3の1)。
すなわち、経験則(ヒューリスティックス)に基づいてユーザビリティを評価し、UI上の問題を発見する「検査手法」をいう。
「ヒューリスティック評価」は、「ヒューリスティックテスト」とも呼ばれている(乙3の2)。
イ ここで、「コンピュータソフトウェアの検査」について、文言の意味内容の確認をする。
「コンピュータソフトウェア」とは、広辞苑の「ソフトウェア」の定義に従えば、「コンピューターのプログラムを抽象的にとらえる呼称。コンピューターの運用に関する手順や処理する情報などを含めてもいう。」となる(乙4の1)。
すなわち、「コンピュータソフトウェア」は、コンピュータプログラムを含む概念であり、コンピューターが処理する情報をも含めていうものである。
また、「検査」とは、広辞苑によれば、「(基準に照らして)適不適や異状・不正の有無などをしらべること。」とある(乙4の2)。
よって、「コンピュータソフトウェアの検査」の意味内容としては、「基準に照らして、プログラムを含むコンピュータソフトウェアの適不適などをしらべる。」ということになる。
ウ 以下、顧客からの依頼に基づいて行ったヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)のレポート(乙5)を参照して、「コンピュータソフトウェアの検査」について使用していることを説明する。
乙第5号証は、医療・健康・介護サイト「Yomi.Dr」に関するヒューリスティック評価のレポートである。
前述のとおり、「検査」とは、「基準に照らして適不適などをしらべること」であるが、一般的に、ヒューリスティック評価において「基準」となるのが、「ニールセンのユーザビリティ10原則」となる(乙3の1、乙5の7頁)。この基準に基づいて、ソフトウェアやデザイン上の問題点を調べることになる。
具体的な内容については、乙第5号証の14頁以降になる。
例えば、項番4の「ページ先頭に戻るボタンの改善」(乙5の18頁)では、「ページの先頭へ」ボタンが最下部に配置されているが、長いスクロールを要し、機能していない、すなわち、「効率性」の基準に照らして「不適」であるとの評価がなされている。
そして、これに関する改善策として、ある程度スクロールダウンした際、画面下に「先頭へ」ボタンをフロート状態で表示することを提案している。
本項目など、まさに、プログラムを含むソフトウェアの適不適を調べていることに他ならない。「ページの先頭へ」ボタンが、長いスクロールを経て、ページ最下部に達して初めて表示されるか(不適な例)、ある程度スクロールダウンした際にフロート状態で表示されるか(適切な例)、は、まさに、そのようにプログラミングされたソフトウェアの働きに他ならないからである。
また、項番22の「コメント投稿時のフィードバック」(乙5の36頁)、及び、項番23の「コメント送信ボタンのアクティブ条件」(乙5の37頁)なども、ソフトウェアの適不適を調査している典型例である。
前者では、「送信しました。反映まで少しお待ちください」等のメッセージ表示プログラムが仕込まれていないため、「不適」と判断されており、後者では、必須のコメント入カフォームが未入力でも送信ボタンをアクティブにしておくプログラムは「不適」である、と判断されている。
前者は、「応答性」の基準に基づいてソフトウェアの適不適を調べており(乙5の73~75頁)、後者は、「許容性」の基準に基づいてソフトウェアの適不適を調べていることになる(乙5の79~81頁)。
エ 以上のとおり、乙第5号証に示すヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)が、「ソフトウェアの検査」に当たることは明らかである。
そもそも、ヒューリスティック評価とは、乙第3号証の1で示したとおり、「コンピューターソフトウェアのユーザビリティ検査」の手法であるから、当然といえば当然であるが、念のため、以下、付言する。
乙第5号証の71頁以降は「appendix」として、カタリスト社(旧Tigerspike社)が実施するヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)の概要が紹介されている。
乙第5号証の72頁には、評価対象として、「iOS/Androidアプリ」「Webアプリ」「Webサイト」の表記が見られる。
ここで、「アプリ」は、「アプリケーションソフトウェア」の略であることは明らかであるから、評価(検査・調査)の対象に「ソフトウェア」が含まれることは明白である。
具体的な内容についても、乙第5号証の72頁以降を参照すれば、これが、ソフトウェアの適不適を調査するものであることは明らかである。
オ したがって、乙第5号証のヒューリスティック評価(ヒューリスティックテスト)は、「ニールセンのユーザビリティ10原則」等の基準に照らして、プログラムを含むコンピュータソフトウェアの適不適などを調べたものであり、「コンピュータソフトウェアの検査」に当たることは明らかである。
カ ここで、乙第6号証として、前記ヒューリスティック評価に関する顧客との協業契約書(Collaboration Agreement)とその参考和訳を提出する。
参考和訳の別紙Aの「プロジェクト概要」欄に、乙第5号証で示した内容の「Yomi.Dr」のヒューリスティック評価が記載されている。
そして、乙第7号証が、本プロジェクトに関する見積書となる。
(4)本件商標の使用について
本件商標「CONCENTRIX」と社会通念上同一の商標が、乙第5号証のレポート表紙の左上、同号証の68頁左上、及び、乙第7号証の見積書の左上に使用されている。
ここで、上記で使用されている「CONCENTRIX」の文字部分は、独立して自他商品役務識別標識として機能しているとみるべきである。以下、その理由を述べる。
ア 使用商標全体の態様は、「CONCENTRIX」と「tigerspike」の文字を上下二段に表し、その下方に略六角形状の図形が配された構成となっている。
そして、「CONCENTRIX」の右上には、小さく「TM」の文字が表示されている。「CONCENTRIX」と「tigerspike」の各文字は、文字種及び文字の大きさがそれぞれ異なっており、また、「CONCENTRIX」が全て大文字であるのに対して、「tigerspike」は全て小文字で表されている。
イ まず、上下二段に表された文字部分と、その下の図形部分については、文字部分と図形部分が、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど一体不可分に強く結合しているとまではいえず、また、文字と図形で特定の意味合いを看取させる等の特別な事情もないことから、文字部分と図形部分に視覚上分離して看取されるとみるべきである。
なお、乙第5号証の各頁右下においては、文字部分と切り離して、図形部分のみが単独で使用されており、文字部分と図形部分が常に一体として使用されているわけではないことが分かる。
そして、文字部分を観察すると、前述のとおり、「CONCENTRIX」と「tigerspike」の各文字は、文字種及び文字の大きさがそれぞれ異なり、また、「CONCENTRIX」が全て大文字であるのに対して、「tigerspike」は全て小文字で表されているなど、上下に表された文字の表示態様は大きく異なっているので、視覚上分離して看取されるものと思われる。
また、「CONCENTRIX」の右上に、小さく「TM」の文字が付されていることから、外観上、「CONCENTRIX」の部分が単独で「商標」(Trade Mark)として機能していることを認識させる。
換言すれば、「CONCENTRIX tigerspike」という一連一体の商標ではないことを認識させる効果を生じさせている。
また、称呼についてみると、「コンセントリクスタイガースパイク」という称呼は、16音といかにも冗長であり、上記外観構成上の態様と相まって、「コンセントリクス」で一拍置き、それに続けて「タイガースパイク」と称呼される、すなわち、「コンセントリクス」と「タイガースパイク」の間で区切って称呼されるとみるのが自然である。
さらに、「CONCENTRIX」と「tigerspike」とに、観念上のまとまりがないことは明らかである。
そして、上記の外観・称呼・観念についての考察に加えて、Tigerspike社がCONCENTRIXグループの傘下に入り、親会社のCONCENTRIXの名を冠することになったという具体的事情をも加味して総合的に判断すれば、「CONCENTRIX」部分は独立して自他商品役務識別機能を有しているとみるのが妥当である。
そうであれば、使用商標中の「CONCENTRIX」の文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるので、乙第5号証のレポート表紙の左上、同号証の68頁左上、及び、乙第7号証の見積書の左上には、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているとみるべきである。
ウ 上述のとおり、使用商標に「TM」が付されていることにより、その部分が独立して自他商品役務識別機能を発揮し得ると解することは、以下の審決からも妥当と思われる。
以下は、使用商標の右上に「(R)」(審決注:「(R)」は「○」の中に「R」を表示した記号を表す。以下、審決中の記載とされるものを除いて同じ。)マークが付されていることにより、その部分が独立して自他商品識別機能を有すると判断された審決例である。
乙第8号証は、登録商標が「NIR」で、使用商標が「NIR(R) Elite」のケースであるが、この審決において、「「NIR(R) Elite」の表示があり、「(R)」の記号は、登録商標であることを表すものであるから、上記の「NIR」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす部分と認め得るものである。」として、本件商標「NIR」と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認定されている。
上記審決と本件では、「(R)」と「TM」の違いはあるにせよ、本件においても、「CONCENTRIX」の右上に「TM」が付されていることにより、上記審決と同様、「CONCENTRIX」の文字部分も独立して自他商品役務識別標識としての機能を果たす部分と認められて然るべきと思われる。
エ なお、本件の使用商標の、上下二段書きの文字部分につき、「tigerspike」部分に比べて「CONCENTRIX」部分が比較的小さく表されているが、このことは、「CONCENTRIX」部分の商標としての機能には、何ら影響を及ぼすものではないと思料される。
この点は、以下の審決からも明らかである。
乙第9号証は、登録商標が「SUNSHINE」で、使用商標が「SUNSHINE」と「NAMJATOWN」を上下二段に表したもので、図案化された大きな「NAMJATOWN」の文字の上部に、小さく「SUNSHINE」の文字が併記された態様からなる商標のケースである。
この審決において、「「SUNSHINE」の文字は,小さく表されているものの,「NAMJATOWN」の文字部分とは態様を異にするばかりでなく,「NAMJATOWN」の文字と常に一体不可分にのみ認識し,把握されるべき格別の事情は,見いだし難いところであるから,「SUNSHINE」の文字部分自体も独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというべきである。」と判断されている。
よって、本件のケースでも同様に、「CONCENTRIX」部分が「tigerspike」部分に比べて、やや小さめに表されているとはいえ、自他商品役務識別標識としての機能を果たすと解すべきである。
オ したがって、本件の使用商標の構成において、「CONCENTRIX」部分は、独立して自他商品役務識別標識としての機能を果たし得る部分といえるので、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと判断されるべきである。
(5)要証期間における使用について
乙第5号証のレポートの表紙には、「June 18th 2021」(2021年6月18日)の記載があり、また、乙第7号証の見積書の右上には、「2/26/2021」(2021年2月26日)の記載があることから、本件商標の使用は、要証期間における使用となる。
(6)以上の立証のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、請求に係る指定役務のうち、「コンピュータソフトウェアの検査」について、本件商標の使用をしている事実がある。
2 回答書1による主張
(1)審尋1における合議体の暫定的な見解に対して
ア 通常使用権者について
(ア)審尋1における暫定的見解(以下「見解1」という。)によれば、要証期間に本件商標の使用をしていた者が、その使用のために、商標権者から本件商標の許諾を受けた事実を直ちに認めることはできない、とされている。
まず、商標権者も、Tigerspike社(2022年5月より、「コンセントリクス・カタリスト株式会社」に社名変更)も、ともに、Concentrix Corporationの子会社である。この点、乙第10号証の1として、Concentrix Corporationの系列会社一覧を提出する。
また、商標権者と、Tigerspike社との関係は、Concentrix Corporationを頂点とする、相互に子会社となる(乙10の2)。
親会社のConcentrix Corporationは、企業の合併・買収を繰り返して成長し、乙第10号証の1に示すとおり、その系列会社(子会社)は膨大なうえ、上記のような関係においては、米国では、契約書としての書面によるLicense Agreementは不要なため、本件商標を対象とするライセンス契約書は存在しないが、乙第11号証として、証明書(Certificate)を提出する。これは、商標権者が、Tigerspike社に対して、本件商標の使用を許諾していたことを宣誓するものである。
商標権者の住所に関しては、令和5年4月5日付で、登録名義人の表示変更登録申請書を提出している。
なお、見解1では、乙第5号証に基づいて使用の証明を行う場合には、「商標権者とConcentrix Tigerspikeとの間の」ライセンス契約書等の証拠が必要、とあるが、Concentrix Tigerspikeというのは、一種のブランド表記であって(乙12の1)、乙第5号証の作成主体(本件商標の使用者)は、Tigerspike社(Tigerspike Co.,Ltd.)となる。
これは、乙第6号証の契約当事者及び乙第7号証の見積書の発行者とも一致するものである。(乙第5号証、乙第6号証及び乙第7号証の関係性については後述する。)
この点、乙第12号証の2は、Tigerspikeに関するWikipediaの記事であるが、この記事中においても、親会社(Parent)が「Concentrix Corporation」であるとの記載に加えて、「Tigerspikeは、2017年にConcentrixに買収され、2020年にConcentrix Tigerspikeにブランド名を変更しました。」との記載がみられる。
(イ)ここで、通常使用権の許諾自体は、口頭によってもなし得るものであるので、商標権者自身が、Tigerspike社を、本商標権についての通常使用権者であると認めている以上、Tigerspike社が本件商標についての通常使用権を有していなかったということまではできないと思料する(例えば、取消2006-31092でも同旨)。
上記に加えて、Tigerspike社が、2017年にConcentrixの傘下に入り、2019年から各種ブランド表記を“Concentrix Tigerspike”に変更した(乙12)という事実も合わせて鑑みれば、Tigerspike社が本件商標の通常使用権者であったと認めて差し支えないものと思料する。
なお、通常使用権の許諾が、契約書としての書面がない口頭の契約であっても有効なものであることは、多くの審決で明示されているところである。
イ 「コンピュータソフトウェアの検査」についての本件商標の使用について
(ア)まず、乙第5号証は、第1頁に社名を伴った「御中」の記載があるが、乙第6号証のCollaboration Agreementから明らかなとおり、これはG社の依頼に基づいて、G社に対して、成果物としてのレポートに係る役務の提供が行われたものである。
このことは、Collaboration Agreementの契約当事者が、G社とTigerspike社であること、別紙Aの「プロジェクト概要」に、「yomiDr.のカタリスト・イグニッションとヒューリスティック評価」の記載があり、「義務」欄に、成果物としてG社にヒューリスティック評価を納品すること、が記載されていることからも明らかである。
よって、乙第7号証の見積書も、依頼者のG社に対して発行されたものであり、乙第7号証の見積書に記載の金額も、乙第6号証の別紙Aに記載の「料金」と一致している。
すなわち、別紙Aの「料金」欄には、G社が、サプライヤー(Tigerspike社)に、上記金額を上限として支払う旨記載されている。
また、乙第7号証の見積書のプロジェクト名も「Catalyst Ignition & Heuristic for yomiDr.」(yomiDr.のカタリスト・イグニッションとヒューリスティック評価)であるので、これも乙第6号証の記載と一致している。
つまり、乙第6号証の別紙Aにあるとおり、サプライヤー(Tigerspike社)は、G社への成果物は作成しない(Provider will not be creating any Deliverables for G)ことになっているため、成果物(乙5)として作成し、依頼者のG社に提供した、いうことになる。
以上が、乙第5号証、乙第6号証及び乙第7号証の関係に関する説明となる。
(イ)見解1によれば、「コンピュータソフトウェアの検査」とは、例えば、バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかについて、当該技術分野の専門家が確認することを意味するものと解される、とされている。
よって、この点につき、乙第5号証の記載との関係も含めて、以下に意見を申し述べる。
a 「コンピュータソフトウェアの検査」について
初めに、答弁書でも記載したとおり、ヒューリスティック評価とは、「コンピューターソフトウェアのユーザビリティ検査方法」であって、ユーザーインターフェイス(UI)設計におけるユーザビリティの問題を特定するのに有用なもの、である(乙3の1)。
すなわち、専門家が、コンピュータソフトウェアのユーザビリティ上の問題点を明らかにしたうえで、その評価を行うものである。
乙第13号証の1によれば、ソフトウェアテストを行う目的には様々なものがあり、例えば、「欠陥やバグを検出する」「要件を満たすことを保証する」「リリース後の品質リスクを見積もる」「開発プロセス改善の指標となる」などが挙げられ、どの目的を重視するかは、開発するソフトウェアプロダクトの目的やニーズなどによって変わってくる、としている。
すなわち、欠陥やバグを検出することを目的とするソフトウェアテストであれば、エンジニア等による「バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかを確認する」内容となるが、そのテストの目的が、例えば、「リリース後の品質リスクの見積もり」であれば、それに相応しい知識を有する者によって、そのリスクがどの程度なのかを見積もり、そのリスクを減らすための対策を提示すること、が必要となる。
したがって、ソフトウェア検査(ソフトウェアテスト)は、その目的に応じて様々な内容を含むものであって、このうち、品質向上の目的から行われる「ユーザビリティテスト」は、ソフトウェアテストを「機能テスト」と「非機能テスト」で分類した場合に、「非機能テスト」に分類されるテストとなる(乙13の1)。
乙第13号証の2は、この非機能テストについて明快に解説している。これによれば、ソフトウェアテストを行う目的によっては、ソフトウェアの機能要件をテストすることもあれば、非機能要件をテストすることもある、としたうえで、非機能テストには、ユーザビリティテスト、すなわち、ソフトウェアが、ユーザーにとって理解されやすく、使いやすく、魅力的であるかどうかを確かめるテスト、が含まれる、としている。
ソフトウェアテストにユーザビリティテストが含まれることは、以下の資料からも明らかである。
乙第13号証の3は、IBM社のウェブサイトであるが、「ソフトウェア・テストにはさまざまな種類があり、それぞれに特定の目的と戦略があります。」としたうえで、「ユーザビリティテスト」は、「ソフトウェアテスト」に含まれることを明示している。
乙第13号証の4では、ソフトウェアテストを、工程・品質の観点・実行方法・技法という4つに分類した場合に、ユーザビリティテストは、「品質の観点」に分類されるテストであり、近年重要性を増している、としている。そしてそのユーザビリティテストの重要性について平易に解説しているのが、乙第13号証の5となる。
乙第13号証の5では、「ソフトウェアの生産性が向上し、機能要件を満たしていることがあたりまえとなった今、使いやすさの重要性が増している」としている。
また、答弁書(4頁)及び乙第3号証の1で紹介した「ニールセンのユーザビリティ10原則」も紹介されており、具体例とともに解説されている乙第13号証の5の内容(3~14頁)は、乙第5号証のヒューリスティック評価における評価指標と極めて近似した内容となっている。
例えば、乙第13号証の5の3頁の「[1]システム状態の視認性を高める」の説明内容は、乙第5号証の74頁(04 appendix内)の「1.Feedbacks 応答性:確実なフィードバックを行う」の説明内容と同内容である。
その他、ソフトウェアテストにユーザビリティテストが含まれることを明示したものとして、乙第13号証の6及び乙第13号証の7を提出する。
いずれにおいても、ユーザビリティテストを、ソフトウェアテストのうち、非機能テストに含まれるもの、としている。
そして、乙第13号証の6では、「機能テストと非機能テストの両方を行ってこそ、包括的なソフトウェアテストプロセスが実現する」とし、また、乙第13号証の7は、「開発したソフトウェア製品の売れ行きは、非機能要件と密接に関わる」として、非機能要件が重要視されている理由を説く。
上記の乙第13号証の1ないし乙第13号証の7を踏まえると、「ソフトウェアテスト」とは、IBM社のウェブサイト(乙13の3)に記載があるように、「ソフトウェア製品が想定どおりに機能するかどうかを検証・評価すること」ほどの意味合いと解される。
このように解すれば、例えば、ユーザが表示情報に混乱し、操作に迷ってしまって送信完了までいかない、といったユーザビリティ上の問題も、それは、「開発者が想定したとおりに機能していない」ということであるから、非機能テストであるユーザビリティテストも上記解釈に含まれ得ることになる。
以上により、乙第5号証のヒューリスティック評価は、当該技術分野(ユーザビリティ)における専門家が、コンピュータソフトウェアのユーザビリティ上の問題点を検証し、その評価を行ったものであるので、「ソフトウェアの検査」(ソフトウェアテスト)の中の「非機能テスト」に含まれるものであることは明らかである。
なお、「テスト」は「試験。検査。」の意味であるので(広辞苑)、「テスト」が「検査」と同義であることは、いうまでもない。
b 「バグ」について
見解1では、「バグの有無」に関して言及があったので、念のため、「バグ」についても意見を申し述べる。
バグと一口にいっても、その内容は様々であり、単純なスペルミスも「バグ」となる(乙14の1)。
また、乙第14号証の2は、バグを障害区分や障害原因で分類したものであるが、この資料において、画面体裁やユーザビリティ、操作不良などは、障害区分としては「ユーザインターフェース不良」に分類される「バグ」である。
なお、あくまでも、ユーザインターフェース「不良」であって、その上に記載されているようなインターフェース「ミス」ではない点には、注意が必要である。つまり、完全な「誤り」ではなくとも、「不良」(質が良くない)は、「バグ」となる、ということである。
また、バグの中には、「パフォーマンスバグ」といわれるバグもある(乙14の3)。
これは、「再帰的な処理で計算量が無駄に多いプログラム」、具体的には、「ページの読み込みに時間がかかる」「ロード時間が長い」「待機時間が必要以上にかかる」等が挙げられる。
パフォーマンスバグは、サーバ負荷のみならず、「ユーザビリティ」にも影響するものである。
また、本号証(乙14の3)には、商品ページの読み込みに3秒かかっていたため、それがユーザ体験にも悪影響を与えていた、との記載もみられる。
なお、「ユーザ体験」(UX)は、ヒューリスティック評価におけるキーワードである。
上記のバグに関する説明を踏まえたうえで、以下に、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」レポートにおいては、バグの有無やバグに関する評価もなされている、ということについて述べる。
乙第14号証の2に記載のとおり、画面体裁やユーザビリティ、操作不良などは、「ユーザインターフェース不良」に分類される「バグ」であるが、乙第5号証の10頁の「Critical(要改善)」欄には、改善が必須な点として、「タスクが完了できない可能性のある点、不完全もしくは機能不全」を評価していることが分かる。
「機能不全」とは、「何らかの不具合があって、全体としてうまく働かないこと」(デジタル大辞泉)であるので、これは、明らかに、「ユーザインターフェース不良」に分類される「バグ」の有無を調べ、評価していることになる。
また、乙第5号証の89頁の「6.Efficiency」(効率性)についての説明中には、ユーザーが効率的にシステムを利用することができるか、という観点から評価するものであるが、その具体例として、「ロード時間が長い」が例示されている。これは、まさに、パフォーマンスバグ(乙14の3)の有無について調べていることに他ならない。
以上により、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」においては、バグの有無の検査やバグに関する評価もなされていることが分かる。
c 「当該技術分野の専門家」について
ソフトウェアの検査(ソフトウェアテスト)には様々な種類があり、それぞれに特定の目的と戦略がある(乙13の2)。
よって、それぞれの目的に合致した専門家である必要がある。
すなわち、乙第13号証に明示されているとおり、ユーザビリティテストは、ソフトウェアテストに含まれるものであるが、このユーザビリティテストは、あくまでも、「ユーザビリティの観点」から、ソフトウェアの評価をなし得る者でなければならない。
この点、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、ユーザビリティの観点から評価を行う専門家(UX Designer)によって作成されたものであるので、必要十分であると思われる。
(2)弁駁書の主張に対して
ア 乙第1号証及び乙第2号証に対する主張について
上記(1)アの説明と、この度提出した乙第10号証及び乙第11号証により、Tigerspike社が、商標権者から使用許諾を受けた者であることは、明らかになったものと思われる。
なお、念のため、カタリスト社(旧Tigerspike社)の会社概要について記された資料を提出する(乙15)。
イ 乙第3号証ないし乙第5号証に対する主張について
(ア)乙第5号証に記載された「CONCENTRIX」と本件商標とは、社会通念上同一の商標とみるべきである。
この点に関しては、答弁書に記載したとおりである。
(イ)乙第5号証の「ヒューリスティック評価」(ヒューリスティックテスト)が「ソフトウェアの検査」に含まれるものであることは、本回答書で詳述したとおりである。
なお、弁駁書9頁において、ヒューリスティック評価の対象は、「Yomi.Dr」という「ウェブサイト」であるから、「ソフトウェア」の検査ではない旨のご主張があるので、念のため、この点についても説明する。
そもそもウェブサイトは、Webサーバ上に置かれた、Webブラウザに対する指示を記述した一種のプログラムである(乙16)。
そして、ソフトウェアとは、簡潔にいえば、「コンピュータに対して命令を出すプログラム」(乙17)であるので、「ウェブサイトの検査であるから、ソフトウェアの検査ではない」との主張は、失当と言わざるを得ない。
ウェブサイトは、いわば、ソフトウェア(プログラム)の集合体といえる。
実際のところ、ウェブサイトで使用されている膨大なソフトウェアを検出して一覧表示するソフトも存在しているところである(乙18)。
なお、答弁書5頁にも記載しているとおり、乙第5号証の72頁には、評価対象として、「iOS/Androidアプリ」及び「Webアプリ」が記載されおり、「アプリ」は、「アプリケーションソフトウェア」の略であるので、評価(検査・調査)の対象に「ソフトウェア」が含まれることは、この点よりしても明らかである。なお、乙第5号証の71頁以降は「appendix」であるので、広告的な使用(商標法第2条第3項第8号)になると思われる。
ウ 乙第6号証及び乙第7号証に対する主張について
乙第5号証、乙第6号証及び乙第7号証の関係性については、上記(1)イ(ア)に記載のとおりである。
乙第7号証に記載された「CONCENTRIX」と本件商標とは、社会通念上同一の商標であるとみるべき点については、答弁書に記載したとおりである。
エ なお、乙第5号証における「CONCENTRIX」の使用は、商標法第2条第3項第3号、同第4号又は同第8号に規定する「使用」に当たり、乙第7号証における「CONCENTRIX」の使用は、商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に当たるものと解される。
3 回答書2による主張
(1)審尋2における合議体の暫定的な見解に対して
審尋2における暫定的見解(以下「見解2」という。)では、第42類「コンピュータソフトウェアの検査」には、コンピュータソフトウェアが、エラー等の意図しない不正な動作を引き起こすことなく、正しく動作するか否か等について専門家等が技術的評価を行うものが該当する、としている。
また、審尋1における見解1では、「コンピュータソフトウェアの検査」とは、例えば、バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかについて、当該技術分野の専門家が確認することを意味するものと解される、とされている。
この点、乙第5号証に示されている「ヒューリスティック評価」は、上記の点に関しても評価を行っていると思料するので、以下に意見を申し述べる。
(2)乙第5号証の「ヒューリスティック評価」について
ア 乙第5号証の10頁に記載があるとおり、評価結果は、問題点(改善点)のレベルごとに、「Minor(軽度)」「Caution(注意)」及び「Critical(要改善)」の三段階に分けて示され、このうち、改善が必須とされる「Critical(要改善)」には、「不完全もしくは機能不全」に陥っていると評価されたものが含まれる。
「機能不全」とは、「何らかの不具合があって、全体としてうまく働かないこと」(デジタル大辞泉)を意味するし、また、広辞苑(第6版)の「不全」の項目には、「機能や発達に欠ける所、弱い所などがあること。不完全。」とあるので、「機能不全」とは、「機能に欠けるところがあること」を指すものと解される。
そうすると、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」では、コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)の不完全もしくは機能不全の有無を確認して評価していることは明らかである。
ウェブサイトにおいて、不具合によって全体としてうまく働かなかったり、機能不全の状態に陥っていたりということはすなわち、そのウェブサイトに係るソフトウェア(プログラム)が不完全もしくは機能不全であることに他ならないからである。
コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)の不完全もしくは機能不全の状態とは、見解2でいうところの「バグ」や「エラー」と略同義と解されるので、結局のところ、乙第5号証10頁の「Critical(要改善)」の「不完全もしくは機能不全」の状態か否かの評価は、見解2で示された「コンピュータソフトウェアの検査」の範ちゅうに含まれるものであることは明らかである。
乙第5号証で示された「ヒューリスティック評価」では、単に、評価対象のウェブサイト「Yomi Dr.」においては、「不完全」もしくは「機能不全」の状態は確認されなかったというだけにすぎず、評価の観点として、「不完全」「機能不全」、すなわち、「コンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)に何らかの不具合があって、全体としてうまく働かない」という点が、「Critical(要改善)」の評価指標として例示されている以上、これらのチェック・検査を行ったものであることは明らかである。
イ なお、見解2の「ソフトウェアの検査」は、あたかも、製品出荷前の検査を意味し、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」では、製品出荷後の評価であるから、この点で両者は性質を異にするものである、と捉えられるかもしれない。
しかしながら、特にソフトウェアの分野においては、実際に使用されてから見つかるバグというものは非常に多く、開発時には想定もしていなかったケースのものが含まれることが往々にしてあるものであり、この点で、バグの管理は、「リリースすれば終わりではなく、むしろそこから長いマラソンが始まる」(乙19)といわれる所以である。
このことは、IT用語辞典における「バグ」の項目中に、「バグの中には、実際にシステムが稼動しないと発見できないような種類のものもあり、システムリリース後にバグが発生することもある。」(乙20)の記載からも明らかである。
また、フリー百科事典における「バグ」の説明中には、以下の記載も見られる。すなわち、「出荷後は、開発元が想定・考慮していない操作を行なった際にバグが発見されることが多い。メーカーのプログラマやテスト担当者は専門家としての知識・経験があるため、無意識のうちに危険な操作や負荷のかかる操作を避けてしまうことも多く、逆に想定外の操作により発生するバグの発見はしばしば困難である。このようなバグは専門知識のない一般利用者が使用することで発見されることも少なくない。」(乙21)。
つまり、ソフトウェアの検査、すなわち、バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかについて確認することは、製品リリース後においても必須であることが分かる。
また、プログラマやテスト担当者は、専門家としての知識・経験があるため、無意識のうちに危険な操作や負荷のかかる操作を避けてしまうことも多く、想定外の操作により発生するバグは、専門知識のない一般利用者が使用することで発見されることも少なくないため、このような視点に立って、バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかについて確認することも必要となる。
この点、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、専門知識のない一般ユーザーの視点に立って行う(乙5(5頁))ものであるから、専門知識のない一般利用者が使用した場合において、想定外の操作により発生するバグを発見し、機能不全に陥ることを確認した結果、「Critical(要改善)」(乙5(10頁))の評価がなされるということは、十分に想定されることである。
ウ 以上のとおり、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」においては、「エラー等の意図しない不正な動作を引き起こすことなく、正しく動作するか否か」や、「バグの有無等、プログラムに異常がないかどうかについて確認すること」についても、評価内容として行っており(その結果、「正しく動作しない」等があれば、「Critical(要改善)」の評価がなされる。)、よって、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、「コンピュータソフトウェアの検査」の範ちゅうに含まれるものと思料する。
(3)商品・役務の二面性について
商標法における商品の二面性については、東京高等裁判所において判示されている(東京高等裁判所昭和57年(行ケ)第67号事件昭和60年5月14日判決言渡及び東京高等裁判所平成12年(行ケ)第447号事件平成13年7月12日判決言渡参照)。
ア 上記判決の考え方を踏まえて、「ヒューリスティック評価」に係る役務について検討する。
上記判決は、ある商品が2つの分類に属する二面性を有することがあり得る旨判示するものである。すなわち、昭和57年(行ケ)第67号は、使用商品は、「『石鹸』であるが同時に『化粧品』でもある商品」と判示し、平成12年(行ケ)第447号は、使用商品が「薬剤」と「医療補助品」の二面性を有する点について判じたものである。
このことは、役務の二面性、ひいては、ある役務が2つの類似群コードに属する二面性を有することについても、当然、当てはまる考え方である。
ここで、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」に係る役務の類似群コードを、仮に、「42Q02」の1つのみであると認定するならば、それは、上記判決の趣旨からしても妥当ではないと思われる。
乙第5号証の「ヒューリスティック評価」では、ソフトウェアの不完全もしくは機能不全についても確認し評価しており、「コンピュータソフトウェアの検査」としての一面をも有している。
また、バグやエラーは、製品リリース後において、専門知識のない一般利用者が使用した場合において、想定外の操作により発生することも多く、これらを検査して評価している乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、「コンピュータソフトウェアの検査」の性質をも有しているとみて差し支えないものと思料する。
実際、「ユーザビリティ上の問題点を発見する行為というのは、ソフトウェアに含まれる「バグ」を発見する行為と似ています。」ともいわれているところである(乙22)。
ここで、第42類「ソフトウェアの検査」の類似群コードは、「42 Q99」と解されるが、実際の商標審査実務においては、「コンピュータソフトウェアの試験」(Testing of computer software)は、「42Q02,42Q99」と2つの類似群コードにまたがっており、また、「コンピュータプログラムの試験」(Testing of computer programs)も同様に、「42Q02,42Q99」と2つの類似群コードが付されている。
なお、「製品の品質評価」は、「42Q01,42Q02,42Q03,42Q99」と4つの類似群コードにまたがるものとなっている。
一般的な「ヒューリスティック評価」が「ソフトウェアテスト」に含まれることは、乙第13号証から明らかであるが、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」には、製品の品質評価的な側面があることも否定できないところである。
イ 上記のような実情に鑑みれば、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」を、「コンピュータソフトウェアの検査」とは全く別の役務として、また、「コンピュータソフトウェアの検査」とは並列的なものとして、排他的に厳然と峻別することは、「二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えない」とする前記判決の趣旨にもとると思われる。
乙第5号証の「ヒューリスティック評価」に係る役務は、「42Q02」に属する役務の一面を有するとともに、「コンピュータソフトウェアの検査」(42Q99)としての側面をも有する役務ということもでき、この観点から、「ヒューリスティック評価」に係る役務を「コンピュータソフトウェアの検査」としては全く使用をしていないとまではいうことはできないものと思料する。
このように、役務の二面性の観点から、請求に係る指定役務に全く使用していないとまではいうことはできない本件商標の登録の維持を認めたとしても、「長期間にわたり全く使用していない登録商標は、第三者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるから、排他的な権利を与えておくべきではない」(平成28年(行ケ)第10115号)という不使用取消審判の制度趣旨に反することにはならないものと解される。
ウ 仮に、本件商標の登録が、請求に係る指定役務「コンピュータソフトウェアの検査」については全く使用されていないとして取り消された場合、「ヒューリスティック評価」に係る役務と「コンピュータソフトウェアの検査」を非類似の役務として扱っている特許庁の運用の下では、第三者が本件商標と同一の商標について、「コンピュータソフトウェアの検査」を指定役務とする商標登録を受けることも可能になり、このような事態は、「ヒューリスティック評価」に係る役務と当該第三者の役務との間に出所の混同を生じさせかねず、「需要者の利益保護」(商標法第1条)に反する結果を招くことにもなりかねない。
それどころか、侵害訴訟の場においては、本件の「ヒューリスティック評価」に係る役務と「コンピュータソフトウェアの検査」とが、確実に非類似の役務と判断される保証はない以上、商標権者は商標権侵害に問われる可能性すらあるため、以後、「ヒューリスティック評価」に関しては、本件商標の使用をちゅうちょせざるを得ず、仮に使用中止となった場合には、これまで長年にわたって商標権者が築いてきた「ヒューリスティック評価」に係る業務上の信用の維持が図られない事態となり、明らかに、法目的(商標法第1条)に反する結果となる。
よって、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」を、「コンピュータソフトウェアの検査」とは全く別の役務として排他的に峻別し、登録を取り消すことは、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、(中略)需要者の利益を保護することを目的とする。」という法目的(商標法第1条)に反する結果となりかねず、妥当ではないと思料する。
エ なお、前記東京高裁判決を受けて、商品・役務の二面性を認めた審決は、極めて多く存在しているところである(乙23~乙26)。
(4)まとめ
以上のとおり、役務の二面性という観点を考慮すれば、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、「42のQ02」に属する役務の一面を有するとともに、「コンピュータソフトウェアの検査」(42Q99)としての側面をも有する役務ということもでき、この観点から、「ヒューリスティック評価」に係る役務を「コンピュータソフトウェアの検査」としては全く使用をしていないとまではいうことはできないものと思料する。
仮に、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」が、「42Q02」の範ちゅうに属すると認められる場合であっても、そのことから、「コンピュータソフトウェアの検査」(42Q99)の範ちゅうに属しないとの結論が当然導かれるとは限らない、というべきである(前記平成12年(行ケ)第447号)。
以上の次第により、乙第5号証の「ヒューリスティック評価」は、第42類「コンピュータソフトウェアの検査」の範ちゅうにも属し得るものと思料する。
第5 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張、甲各号証及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 甲第1号証
甲第1号証は、本件商標の商標登録原簿であり、本件商標の権利者が、その登録時から令和2年(2020年)12月18日まで、シネックス コーポレーションであったことを示す記載がある。
イ 乙第2号証の2
乙第2号証の2は、被請求人が、日本コンセントリクス社のウェブページと主張するものであり、1葉目の上部に、「ConcentrixによるTigerspike買収手続き完了のお知らせ - Concentrix Japan」の記載、その下に、「フリーモント、カルフォルニア州-2017年7月31日-SYNNEX Corporation(NYSE:SNX)の100%子会社であるConcentrixは本日Trigerspikeの買収手続きが完了したことを発表します」の記載がある。
ウ 乙第2号証の3
乙第2号証の3は、被請求人が、カタリスト社のウェブページと主張するものであり、左上に「社名変更のお知らせ」の記載、その下に「さて、このたび弊社が所属するConcentrix Tigerspikeグループが事業統合によりConcentrix Catalystと社名変更されたため、本年5月2日をもちまして「Tigerspike株式会社」から「コンセントリクス・カタリスト株式会社(Concentrix Catalyst Co.,Ltd.)」へと社名変更することになりましたのでお知らせ申し上げます。」の記載、その下に「【変更日】 2022年(令和4年)5月2日」の記載がある。
エ 乙第5号証
乙第5号証は、「Yomi.Dr ヒューリスティック評価 分析レポート」との表題の文書であり、各頁に以下の記載がある。
(ア)第1頁において、左上に使用商標1(別掲1)の記載、右上に、日本国内の会社の社名を伴った「御中」の記載、その下に、表題の「Yomi.Dr ヒューリスティック評価 分析レポート」の記載、その下に、「Concentrix Tigerspike Tokyo」、その下に、「June 18th 2021」の記載がある。
(イ)第3頁において、「1.評価対象と前提条件」の記載、その下に、「評価目的」及び「・専門家の視点で行う本ヒューリスティック評価を踏まえYomi.Drの主要10画面の現状の課題を考察し、改善点を提示する。」の記載、同頁の下部に「対象とする範囲」の記載、その箇条書きとして「・トップページ」、「・コンテンツ閲覧(検索結果、コラム記事、医療大全)」及び「・読者登録(入口まで)」の記載がある。
(ウ)第7頁において、「ヒューリスティック評価について」の記載、その下に、「ヒューリスティック評価とは?」及び「ヒューリスティック評価とは「経験則」という意味である。専門家が既知の経験や基準に照らし合わせてインタフェースを評価しユーザビリティやデザイン上の問題を明らかにする評価手法の一つ。一般的に、ヒューリスティック評価の項目としてニールセンのユーザビリティ10原則」等が広く用いられている。」の記載がある。
(エ)第10頁において、左上に、「評価方法」の記載、右上の背景が紫色の領域に、「Minor/軽度」、その左における当該紫色の領域から伸ばされた紫色の直線の下に、「可能なら改善すべき点。」の記載、その右下の背景が黄色の領域に、「Caution/注意」、その左における当該黄色の領域から伸ばされた黄色の直線の下に、「なるべく改善すべき点。」の記載、その右下の背景が赤色の領域に、「Critical/要改善」の項目名の記載、その左における当該赤色の領域から伸ばされた赤色の直線の下に、「改善が必須な点。」の記載及び「ユーザビリティの観点からタスクが完了できない可能性のある点、不完全もしくは機能不全、ブランド違反。」の記載がある。
(オ)第18頁において、左上に、「ヒューリスティック評価詳細」の記載、その下に、「4 ページの先頭に戻るボタンの改善」の記載、その下に、「Caution」の記載、その下に、「「ページの先頭へ」ボタンは最下部に配置されているが、ページ下方にある大量のリンク(コラムや関連記事等)のために長いスクロールを要し、機能していない。」の記載がある。
(カ)第36頁において、左上に、「ヒューリスティック評価詳細」の記載、その下に、「22 コメント投稿時のフィードバック」の記載、その下に、「Caution」の記載、その下に、「コメント投稿後、特にフィードバックがないので、送信の成否がわからない。特に本サイトの場合、コメント審査のプロセスがあるため、反映されるまでタイムラグがあることを伝えるべき。」の記載がある。
(キ)第37頁において、左上に、「ヒューリスティック評価結果」の記載、「23 コメント送信ボタンのアクティブ条件」の記載、その下に、「Caution」の記載、その下に、「必須のコメント入力フォームが未入力でも送信ボタンがアクティブなため、押下できてしまう(その後該当フォームでエラーを確認できるので気付けるが。」の記載がある。
(ク)第72頁において、左上に、「Severity levels/評価方法について」の記載、その下に、「評価者」の項目に対応する「UXデザイナー/UIデザイナー:1名」の記載、その下に、「評価対象」の項目に対応する箇条書きの「・iOS / Androidアプリ」、「・Webアプリ」及び「・Webサイト」の記載がある。
オ 乙第6号証
乙第6号証は、被請求人が、ヒューリスティック評価に関する顧客との協業契約書(以下「協業契約書」という。)と主張するものであり、10葉目以降の日本語訳によれば、英文で記載された1葉目ないし9葉目の各葉に以下の記載がある。
(ア)1葉目において、表題の「協業契約」の記載、その下に、「本協業契約(以下「本契約」という。)は、発効日をもって有効となり、G社とサプライヤーによって締結されるものです。本契約には、別紙Aのプロジェクト概要(以下「プロジェクト概要」という。)および別紙Bのマイルストーン概要(以下「マイルストーン概要」という。)が含まれます。」の記載、その下の表中、「サプライヤー」の「正式名称」に対応する欄に、タイガースパイク社の社名の記載、G社の社名の一部が記載された欄の「正式名称」に対応する欄に、G社の社名の記載がある。
(イ)6葉目の末尾から7葉目において、「下記の日付で、当事者の正式な代表者が署名しました。」の記載があり、その下に、「サプライヤー」が署名した日付として「2021年4月7日」の記載、G社が署名した日付として「2021年4月8日」の記載がある。
(ウ)8葉目において、中ほどに「別紙A」の記載、その下の表中、「プロジェクト概要」に対応する欄に、「yomiDr.のカタリスト・イグニッションとヒューリスティック評価」の記載、「義務」に対応する欄に、「サプライヤーは、各ニュース発行者をサポートするために、以下のことを行います。」の記載、及びその下の箇条書きのうちの項目「4.」として「ヒューリスティック評価の準備と納品」の記載、「料金」に対応する欄に、「別紙Bのマイルストーン概要に従ってサプライヤーに支払い、本契約に基づき」G社が「支払うべき金額の上限」の額についての記載がある。
カ 乙第10号証
乙第10号証は、被請求人が、Concentrix Corporationの系列会社一覧を示すと主張するものであり、大要、2022年11月30日(乙10の1(1葉目))の時点で、商標権者及びカタリスト社が、ともにConcentrix Corporationの子会社である(乙10の1(2葉目)、乙10の2)ことを示す記載がある。
キ 乙第11号証
乙第11号証は、被請求人が、商標権者がTigerspike社に対して本件商標の使用を許諾していたことを宣誓する証明書と主張するものであり、2葉目の日本語訳によれば、英文で記載された1葉目において、表題の「証明書」の記載の下に、商標権者が、Tigerspike社に対して、2020年12月から2022年5月まで本件商標の通常使用権を許諾していたことを、2023年3月29日付けで宣言する旨の記載がある。
ク 乙第15号証
乙第15号証は、被請求人が、カタリスト社の会社概要について記載されたウェブページと主張するものであり、1葉目において、上部に、「全国法人データバンク」の記載、その下に、「TOP/東京都の法人・会社一覧/中央区の法人・会社一覧/コンセントリクス・カタリスト株式会社」の記載があり、下部に、「コンセントリクス・カタリスト株式会社の概要」の記載、その下に、「コンセントリクス・カタリスト株式会社(コンセントリクス・カタリスト株式会社)は2015年10月05日に法人番号が指定された東京都中央区にある株式会社です。」の記載、3葉目において、「2018-07-09 国内所在地の変更/商号:Tigerspike株式会社/本店所在地 東京都中央区」の記載、その下に、「2022-05-02 商号又は名称の変更/商号:コンセントリクス・カタリスト株式会社/本店所在地 東京都中央区」の記載がある。
ケ 乙第16号証
乙第16号証は、「Webサイト・アプリ等を含むソフトウェアの定義」について記載されたウェブページであり、1葉目において、その表題の記載があり、2葉目において、上部に、「プログラマのKです。「Webサイト・アプリ等を含むソフトウェアの定義」について話をさせていただきます。」の記載、下部に、「Webブラウザはネットワーク経由で、サーバマシン上で動作しているWebサーバと呼ばれるプログラムと連携して動作しています。ホームページは、Webサーバ上に置かれた、Webブラウザに対する指示を記述した一種のプログラムです。」の記載がある。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア Tigerspike社は、2017年7月31日に、SYNNEX Corporation(本件商標の登録時から令和2年(2020年)12月18日まで本件商標の権利者)の100%子会社である、Concentrixによって買収された(甲1、乙2の2)。
その後、Tigerspike社は、2022年5月2日の社名変更によりカタリスト社となり(乙2の3)、さらにその後の2022年11月30日の時点で、カタリスト社は、商標権者とともにConcentrix Corporationの子会社であった(乙10)。
イ 「Concentrix Tigerspike Tokyo」は、第1頁に「Yomi.Dr ヒューリスティック評価 分析レポート」との表題及び使用商標1が表示された文書(以下「本件レポート」という。)を、2021年6月18日付けで作成した(乙5)。
ここで、上記アのとおり、Tigerspike社は2017年7月31日にConcentrixによって買収された一方、Tigerspike社の2018年7月9日ないし2022年5月2日の所在地は東京都中央区である(乙15)から、「Concentrix Tigerspike Tokyo」がTigerspike社を指していることは明らかである。
ウ 乙第5号証の各頁の記載によれば、本件レポートに関して以下の事実が認められる。
(ア)本件レポートの内容には、「Yomi.Dr」ウェブサイトを対象として、そのトップページやコンテンツ閲覧等について、「専門家が既知の経験や基準に照らし合わせてインタフェースを評価しユーザビリティやデザイン上の問題を明らかにする評価手法」であるヒューリスティック評価を行った結果が含まれている(第3頁、第72頁)。
(イ)ヒューリスティック評価の結果は、「Minor」(軽度)、「Caution」(注意)及び「Critical」(要改善)の3段階で示され、このうち、「Critical」の評価は、「ユーザビリティの観点からタスクが完了できない可能性のある点、不完全もしくは機能不全、ブランド違反」が存在すると判断された場合になされる(第10頁)。
(ウ)具体的な評価結果として、特定のウェブページにおける「先頭に戻るボタン」、「コメント投稿」操作及び「コメント入力フォーム」の「送信ボタン」について、それぞれ、「Caution」の評価が示されている(第18頁、第36頁、第37頁)。
エ 協業契約書(乙6)によれば、本件レポートは、Tigerspike社とG社との間で2021年4月8日に成立した協業契約に従って作成されたものであり、顧客に納品され、Tigerspike社はその対価を受けたものと認められる。
ここで、納品先の顧客が、乙第5号証の第1頁に記載された日本国内の会社であることは明らかである。
オ 上記イ及びエによれば、Tigerspike社は、2021年6月18日に、使用商標1が表示された本件レポートを、日本国内の会社に納品したことが認められる。
カ ウェブページは、プログラムの一種である(乙16)。
2 判断
上記1(2)オの、Tigerspike社が2021年6月18日に、使用商標1が表示された本件レポートを日本国内の会社に納品した行為について、次のように判断できる。
(1)使用役務について
上記1(2)ウによれば、本件レポートの内容は、専門家によりウェブページを対象として行われた、ヒューリスティック評価の結果を示したものである。
そして、具体的な評価結果として、一部の評価項目について3段階の評価のうちの「Caution」の評価が示されており、これは「Critical」とは異なるものの、「Critical」は、評価項目が「不完全もしくは機能不全」であると判断された場合の評価結果であるから、本件レポートを作成する際、ウェブページが「不完全もしくは機能不全」であるか否かが評価されているといえる。
そして、上記1(2)カのとおり、ウェブページはプログラムの一種であるから、ヒューリスティック評価は、プログラムが「機能不全」、すなわち意図しない不正な動作をするか否かを検査することを含むものと理解できる。
一方、請求に係る指定役務における「コンピュータソフトウェア」は、プログラムを含む概念である。
そうすると、本件レポートを顧客に納品することは、請求に係る指定役務中「コンピュータソフトウェアの検査」の範ちゅうに属する役務の提供であるとみて差し支えない。
(2)使用者について
Tigerspike社について、上記1(2)アの経緯があることに加え、商標権者が、Tigerspike社に対して、2020年12月から2022年5月まで本件商標の通常使用権を許諾していた旨を宣言している(乙11)ことを併せ考慮すると、Tigerspike社は、本件商標について、2021年6月18日の時点で商標権者から黙示の許諾を受けていたものと推認できる。
よって、使用商標1の使用者は、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(3)使用商標について
使用商標1は、右上に小さな「TM」の文字が付された「CONCENTRIX」の文字と、その下の、当該文字とはフォントが異なる「tigerspike」の文字と、その下の六角形状の図形とから構成されたものである。
そして、その構成中、「CONCENTRIX」と「tigerspike」とは、配置が上下の関係にあること、前者の右上に小さな「TM」が付されていること及びフォントの違いにより、一連一体ではなく、「CONCENTRIX」の文字が、他の部分と独立に、自他商品役務識別機能を発揮し得る部分として分離して認識されるものといえる。
そうすると、本件レポートに付された「CONCENTRIX」の文字からなる商標と本件商標とは、つづりを共通にするものであり、社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)使用時期、使用行為について
本件レポートを日本国内の会社に納品した行為がなされた2021年6月18日は要証期間であり、当該納品行為は、「コンピュータソフトウェアの検査」の提供に当たり、顧客が利用するレポートに「CONCENTRIX」の文字から鳴る商標を付したものを用いて検査結果を提供するものといえ、商標法第2条第3項第4号にいう、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為に該当する。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する、商標法第2条第3項第4号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務を提供し、当該役務に本件商標を使用したことを証明した。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲(理由中で参照)
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-300251