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特許拒絶査定不服審判

2022-021159

電力変換装置

審判番号
2022-021159
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-515494外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年12月27日
審決日
2023年09月12日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (H02M) / P18 .561-Z (H02M) / P18 .575-Z (H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-515494「電力変換装置」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1.手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)11月4日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年 5月12日付け:拒絶理由通知書 令和 4年 7月13日 :意見書、手続補正書の提出 令和 4年 9月27日付け:拒絶査定 令和 4年12月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 5年 2月16日付け:前置報告 令和 5年 4月 4日 :上申書 令和 5年 5月11日 :国際公開(国際公開第2023/0796 17号) 第2.令和4年12月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和4年12月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「 【請求項1】 直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され、 前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和4年7月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側に接続され、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が前記負荷の他端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 2.補正の適否 (1)補正事項 本件補正は、以下の補正事項を含むものである。 ア 補正事項1 補正前の請求項1の「前記駆動部は、前記負荷の一端部側に接続され」との記載を、補正後の請求項1の「前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され」とする補正。 イ 補正事項2 補正前の請求項1に、「前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え、」との記載を追加する補正。 ウ 補正事項3 補正前の請求項1の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が前記負荷の他端部側と接続されている」との記載を、補正後の請求項1の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されている」とする補正。 (2)新規事項について 本件補正が、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、即ち、本件補正が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かについて検討する。 ア 当初明細書等の記載 上記補正事項1ないし補正事項3に関連して、当初明細書等には、以下の記載がある。(下線は、関連する箇所を示すために当審で付したものである。) (ア)「【0002】 電力変換装置では、搭載されたスイッチング素子のオン操作またはオフ操作に起因して電磁ノイズが発生する。電力変換装置から発生する電磁ノイズは、電力変換装置、および電力変換装置に接続された配線または負荷と接地電位の間に生じる対地間インピーダンスを介して筐体から機器外部に伝播するコモンモードノイズと、電源ライン間を伝搬して機器外部に伝搬するディファレンシャルモードノイズに大別される。」 (イ)「【0012】 実施の形態1. 図1は、実施の形態1に係る電力変換装置の回路図である。電力変換装置10は入力端子11a、11bから入力された任意の直流電圧から任意の交流電圧または直流電圧に電圧を変換し、負荷8を駆動する。なお、出力が交流電圧の場合は直流-交流変換器(インバータ)、出力が直流電圧の場合は直流-直流変換器(コンバータ)として機能する。 【0013】 電力変換装置10は、スイッチング素子1、スイッチング素子1を開閉するスイッチング信号を供給する制御部2、チョークコイル4、第1線間コンデンサ5、第2線間コンデンサ6、対地間コンデンサ7とで構成されている。スイッチング素子1と制御部2で駆動部3を構成する。駆動部3と負荷8とは接続配線9で接続され、駆動部から出力される任意の交流電力または直流電力で負荷8を駆動する。なお、第2線間コンデンサ6および対地間コンデンサ7には、寄生インダクタンス14a、14cが存在する。図中、寄生インダクタンスは破線で示している。なお、寄生インダクタンスは、第1線間コンデンサ5またはその他の接続配線にも存在するが、本実施の形態の効果を説明するのに必要な箇所のみを図に示している。」 (ウ)「【0020】 図2に、駆動部3がインバータである場合の回路図の一例を示す。インバータ201は、入力端子11a、11bから、上述した接続を経由して接続端子15a、15bに接続され、入力端子11a、11bに入力された任意の直流電力をスイッチングするスイッチング素子1a、1b、1c、1d、1e、1fの開閉を制御部2が制御することにより、U相、V相、W相から成る任意の三相交流電力に変換し、出力端子101a、101b、101cから出力する。 【0021】 インバータ201の出力端子101a、101b、101cと、負荷8の入力端子102a、102b、102cとは、接続配線9で接続される。これにより、直流電力を変換しU相、V相、W相から成る任意の三相交流電力が負荷8に入力され、負荷8は駆動される。」 (エ)「【0026】 図1において、コモンモードノイズ電流IN0は負荷の対地間インピーダンス13を介して筐体から機器外部に伝播することが知られており、対地間コンデンサ7は、高周波において電力変換装置のマイナス側と筐体電位(接地電位12)を低インピーダンスで接続することで、コモンモードノイズ電流IN0をバイパスする機能を有する。バイパスされたコモンモードノイズ電流IN0は接続端子15a、15bを介してスイッチング素子1に帰還する。」 (オ)「【図1】 [図:0001404515000001.jpg] 」 (カ)「【図2】 [図:0001404515000002.jpg] 」 イ 当審の判断 (ア)補正事項1について 上記アで摘記した当初明細書等には、負荷の接続端子に関して、「一端部側」及び「他端部側」という直接的な語は記載されていないが、上記ア(カ)の図2の記載から、「負荷8の入力端子102a~102c」と「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」との間に対地間インピーダンス13が存在することを読み取ることができるから、請求項1の「前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え」との記載における「負荷の一端部側」及び「他端部側」は、それぞれ、当初明細書等における「負荷8の入力端子102a~102c」及び「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」に対応するものと認められる。 そして、上記ア(ウ)の段落0021の「インバータ201の出力端子101a、101b、101cと、負荷8の入力端子102a、102b、102cとは、接続配線9で接続される。」との記載と上記ア(カ)の図2の記載から、駆動部3は、接続配線9によって「負荷8の入力端子102a、102b、102c」に接続されていることから、補正事項1の「前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され」との事項は、当初明細書等に記載された事項であるといえる。 (イ)補正事項2について 上記ア(カ)の図2の記載から、負荷8は、「負荷8の入力端子102a、102b、102c」と「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」との間に対地間インピーダンス13を備えているから、補正事項2の「前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え、」との事項は、当初明細書等に記載された事項であるといえる。 (ウ)補正事項3について 上記ア(オ)の図1の記載によれば、対地間コンデンサ7は、接地電位12と接続され、かつ、当該接地電位12は、「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」に接続されているから、対地間コンデンサ7の接地線側は、「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」に“直接”接続されているものであって、対地間コンデンサ7の接地線側が、「負荷8の接地電位12が接続されている部分(負荷の筐体)」に“対地間インピーダンスを介して”接続されているとはいえない。 そうすると、補正事項3の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されている」との事項は、当初明細書等に記載された事項ではない。 また、当初明細書等の上記アで摘記した以外の箇所にも、「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されている」ことは記載も示唆もされておらず、また、そのような接続とすることが本願出願前における技術常識であるともいえない。 (エ)小括 したがって、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえず、補正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 ウ むすび よって、上記補正事項3を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (3)独立特許要件について 令和5年4月4日に提出された上申書において、請求人は「審判請求書と同時に提出しました手続補正書を再検討しました結果、手続補正書に誤記があることが判明しました。つきましては、審判請求書と同時に提出しました手続補正書の特許請求の範囲を、下記「特許請求の範囲(案)」のように誤記を修正するために補正の機会を与えていただきますようお願い申し上げます。」と主張しているところ、当該上申書の「特許請求の範囲(案)」(以下、「上申書補正案」という。)の請求項1の記載は次のとおりのものである。 「[請求項1] 直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され、 前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 そうすると、補正事項3に係る「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されている」との記載は、上申書補正案の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されている」の誤記といえなくもない。 その場合、補正事項3は、上申書補正案に従って、「補正前の請求項1の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が前記負荷の他端部側と接続されている」との記載を、補正後の請求項1の「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されている」とする補正」(以下、「補正事項3’」という。)と読み替えることができる。 ここで、補正事項3’は、 ア 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されていること、と イ 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されていること を特定するものであるところ、上記(1)の検討を踏まえると、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。 そして、補正事項1は、補正前の「一端部側」を「一端部側と他端部側のうちの前記一端部側」に限定的に減縮するものであり、補正事項2は、補正前の「前記負荷」を「前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え」るものに限定的に減縮するものであり、また、補正事項3が補正事項3’の誤記であることを前提とすれば、補正事項3は、補正前の「対地間コンデンサ」を「前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されている」ものに限定的に減縮するものであるから、上記補正事項1ないし3を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものである。 そこで、補正事項3が補正事項3’の誤記であることを前提に、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、検討する。 ア 本件補正発明 本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものであるところ、以下に再掲する。なお、各構成のA~Iの符号は、説明のために当審で付与したものであり、以下、構成要件A~構成要件Iと称する。 「A 直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 B 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 C 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 D 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 E 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 F(F-1) 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、(F-2)前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され、 G 前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え、 H 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されていることを特徴とする I 電力変換装置。」 なお、補正事項3が補正事項3’の誤記であることを前提としているので、構成要件Hは、「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されていることを特徴とする」の誤記と認められる。 イ 引用文献 (ア)引用文献1 a 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2011-41415号公報(以下、「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。) (a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、電磁ノイズ低減のためにフィルタを内蔵した電力変換装置とそれ利用したシステムに関する。」 (b)「【背景技術】 【0002】 電力変換装置(以下、インバータと呼ぶ)の普及に伴い、その動作時に発生する電磁ノイズが大きな問題となっている。電磁ノイズはMOSやIGBT等の半導体素子の高速スイッチングにより発生し、電流として電力線を伝導、あるいは電波として空間を伝搬する。この電磁ノイズは、他の電子・電気機器などに誤動作障害を引き起こし、問題となる。従来の電力変換装置であるインバータは公知の技術であるため、説明は割愛する。 【0003】 インバータにおけるノイズ発生モードは、主に図9に示すような2種類が存在する。一つ目は、コモンモードノイズ電流107とよばれる、モータやケーブルの浮遊容量を通してグランド(対地)へ漏洩するものである。もう一つは、インバータと電源間を往復するノーマルモードノイズ電流108である。通常は上記のノイズ電流が流れることによって、放射ノイズも発生するために、電磁ノイズ対策として上記のノイズ電流を抑制する必要がある。」 (c)「【実施例2】 【0034】 図3に本発明の第2の実施形態を示す。また、図4に図3に示した基板実装レイアウトにおけるインバータ装置の等価回路を示す。 【0035】 インバータ装置内部の主回路基板125に配線された順変換器の正極側出力直流配線126に前述の棒状フェライトコアを使用したノーマルモードコイル127を実装しているのに加えて、電源入力配線128にコモンモードコイル129、および電源入力配線128の各相間にXコンである相間コンデンサ130,負極側直流配線131とグランド配線132にYコンである対地コンデンサ133をそれぞれ実装している。 【0036】 また、インバータ装置内部の主回路基板125の裏側には、図4に示す順変換器141,逆変換器140が収められた半導体モジュール134が取り付けられている。 【0037】 このインバータ装置内部の主回路基板125には、基盤上段の背面に半導体モジュール134が配置され、半導体モジュール134の下側の主回路基板125の正面にはノーマルモードコイル127,コモンモードコイル129、および相間コンデンサ130が配置されている。 【0038】 そして、これらのノーマルモードコイル127,コモンモードコイル129、および相間コンデンサ130の下側の主回路基板125の正面には端子台137が配置されている。 【0039】 ここで、本実施例の回路の接続を説明する。 【0040】 端子台137の上部左から1番目,2番目および3番目の端子は、三相の電源線を接続するための端子である。これらの端子は、コモンモードコイル129が挿入された電源入力線128を介して半導体モジュール134の順変換器の入力端子へ接続されている。また、電源入力線128の各相間には、相間コンデンサ130が接続されている。端子台137の上部左から4番目,5番目および6番目の端子は、三相のモータ線を接続するための端子である。これらの端子は、出力配線136を介して、半導体モジュール134の逆変換器の出力端子へ接続されている。 【0041】 端子台137の下部左から1番目の端子は、ノーマルコイル127が挿入された直流配線126を介して、半導体モジュール134の順変換器の正極側出力端子と、接続されている。 【0042】 端子台137の下部左から2番目の端子は、直流配線135を介して、半導体モジュール134の逆変換器の正極側入力端子へ接続されている。 【0043】 端子台137の下部左から3番目の端子は、直流配線131を介して、半導体モジュール134の逆変換器の負極側入力端子へ接続されている。 【0044】 端子台137の下部左から6番目の端子は、モータなどの負荷装置のグランド線を接続するための端子である。この端子は、グランド配線132に接続されている。また、グランド配線132と直流配線131の間には、対地コンデンサ133が接続されている。 【0045】 この実施形態の作用について述べる。図3に示した基板実装レイアウトにおけるインバータ装置の等価回路を図4に示す。まず、電源入力配線128にはコモンモードコイル129が実装されているため、この配線には前述の図9に示したコモンモードノイズ電流107が流れに難くなる。さらに対地コンデンサ133が実装されているため、このコンデンサを通してコモンモードノイズ電流107がインバータ回路140へ回収され、電源側への回り込むのを防ぐことができる。また、ノーマルモードコイル127および相間コンデンサ130は、ノーマルモードフィルタを構築しているため、前記図9に示したノーマルモード電流108が電源側へ流れ出すのを抑制することができる。 【0046】 この構成をとることでフィルタ構成部品の体積と容量が比較的小さいものでも、適切にコモンモードノイズ電流107とノーマルモードノイズ電流108を低減できる。図10のような従来のフィルタ構成では、ノーマルモードノイズ電流108に対して、コモンモードコイル109の僅かなノーマルインダクタンス成分によるフィルタ作用を構築しているに過ぎない。そのため、ノーマルモードノイズ電流108を抑制するには、コモンモードコイル109や相間コンデンサ110,111を非常に大きなものとする必要があった。しかし、本発明によるノーマルモードコイル127がノーマルモードノイズ電流の抑制の役割を果たすため、コモンモードコイル129は、コモンモードノイズ電流107を抑制するため必要な容量があれば十分であり、適切な大きさとすることができ、相間コンデンサ130も従来のものよりも小さい容量にすることが可能である。」 (d)「【実施例3】 【0047】 図5に本発明の第3の実施形態を示す。 【0048】 第3の実施形態は、第2の実施形態において、正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に、コンデンサ142を追加したものである。図6に図5に示した基板実装レイアウトにおけるインバータ装置の等価回路を示す。この実施例で付加したコンデンサ142は、ノーマルモードコイル127および相間コンデンサ130と共にノーマルモードフィルタを構成する。一般に、フィルタは、ノイズ源に対してコイルとコンデンサを交互に並べることで、その減衰特性を良くすることが可能である。しかし、フィルタを構成するコイルとコンデンサの共振周波数付近では、その減衰特性が悪化する場合もある。また、コンデンサを主配線間に接続する場合には、主配線からコンデンサまでの配線を可能な限り短くする方が良い。これは、高周波域ではコンデンサまでの配線の寄生インダクタンスがフィルタの特性を劣化させるためである。 【0049】 したがって、順変換器141の出力側の端子に可能な限り近くにコンデンサ142を付加した構成にすることにより周波数帯によっては第2の実施形態よりもノーマルモードノイズ電流108の低減効果をさらに改善することができる。」 (e)「【実施例4】 【0050】 第4の実施形態は第3の実施形態において、正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に設けたコンデンサ142を電解コンデンサとするものである。電解コンデンサとすることで、コンデンサ142の容量を大きくできる。 【0051】 一般にフィルタに用いられるコンデンサの容量を大きくすると、より低周波域から高い減衰特性を得ることができる。しかし、通常はインバータの直流配線に接続するノイズ対策用のコンデンサは、半導体素子のスイッチングによるサージ電圧を考慮して耐圧の高いフィルムコンデンサが用いられる。そのためコンデンサを大容量化すると、非常に体積の大きなものが必要であった。しかし、本実施例では、スイッチングする半導体素子が実装されている順変換器140(当審注:「順変換器140」は、「逆変換器140」の誤記と認められる。)とコンデンサ142の間には、電解コンデンサ139およびノーマルモードコイル127が接続されているために、コンデンサ142にかかるサージ電圧は小さくなる。そのため、比較的に耐圧は低いが、小型でも大容量である電解コンデンサをコンデンサ142として用いることが可能となる。 【0052】 これにより、本実施例ではノーマルモードノイズ電流108を低減できる周波数帯を低くできる。」 (f)「【0058】 101 電力変換装置 102,140 逆変換器 103 平滑コンデンサ 104,141 順変換器 105 モータ 106 交流電源 107 コモンモードノイズ電流 108 ノーマルモードノイズ電流 109 コモンモードリングコア 110 電源側相間コンデンサ 111 逆変換器側相間コンデンサ 112,133 対地コンデンサ 113,116 取り付け端子台 114,117 珪素鋼板コア 115,118,123 巻き線 119 外付けフィルタ 120 交流リアクトル 121 直流リアクトル 122,144 シリンダーコア 124 直流配線 125 主回路基板 126 整流回路の正極側出力直流配線 127 ノーマルモードコイル 128 電源入力配線 129 コモンモードコイル 130 相間コンデンサ 131 負極側直流配線 132 グランド配線 134 順変換器および逆変換器を構成する半導体モジュール 135 逆変換器の正極側入力直流配線 136 逆変換器の出力配線 137 端子台 138 短絡バーあるいは短絡配線 139 電解コンデンサ 142 コンデンサ 143 対地コンデンサ 145 導体線」 (g)「図3 [図:0001404515000003.jpg] 」 (h)「図4 [図:0001404515000004.jpg] 」 (i)「図5 [図:0001404515000005.jpg] 」 (j)「図6 [図:0001404515000006.jpg] 」 (k)「図9 [図:0001404515000007.jpg] 」 b 引用文献1の上記記載について検討する。 (a)上記a(d)の段落0048の「第3の実施形態は、第2の実施形態において、正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に、コンデンサ142を追加したものである。」との記載と、図3~図6の記載から、第3の実施形態の回路構成(図6)は、コンデンサ142が追加されている点を除けば第2の実施形態の回路構成(図4)と同じであることから、以下で第3の実施形態(図5、図6)から引用発明を認定するにあたり、必要に応じて第2の実施形態(図3、図4)の記載も参照した。 また、上記a(b)の記載と図9は、背景技術に関する記載であるが、図4、図6では、図示及び説明が省略されているモータと浮遊容量についての記載があり、図4、図6の第2の実施形態、第3の実施形態においても、モータの構成を変更している旨の記載は無いことから、第3の実施形態(図5、図6)から引用発明を認定するにあたり、必要に応じて背景技術の記載も参照した。 (b)上記a(c)の段落0036の「逆変換器140」との記載、上記a(c)の段落0042の「端子台137の下部左から2番目の端子は、直流配線135を介して、半導体モジュール134の逆変換器の正極側入力端子へ接続されている」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“直流配線135が正極側入力端子へ接続されている逆変換器140”が記載されているといえる。 また、上記a(c)の段落0043の「端子台137の下部左から3番目の端子は、直流配線131を介して、半導体モジュール134の逆変換器の負極側入力端子へ接続されている」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“直流配線131が負極側入力端子へ接続されている逆変換器140”が記載されているといえる。 また、上記a(c)の段落0040の「端子台137の上部左から4番目,5番目および6番目の端子は、三相のモータ線を接続するための端子である。これらの端子は、出力配線136を介して、半導体モジュール134の逆変換器の出力端子へ接続されている」との記載、及び図3ないし図6の記載から、引用文献1には、“三相のモータ線が出力配線136を介して出力端子に接続されている逆変換器140”が記載されているといえ、前記“三相のモータ線”に“モータ”が接続されることは自明であるから、引用文献1には、“モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続されている逆変換器140”が記載されているといえる。 そして、上記a(e)の段落0051の「スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140」との記載から、“逆変換器140には、スイッチングする半導体素子が実装されて”いるものである。 以上を総合すると、引用文献1には、“直流配線135が正極側入力端子へ接続され、直流配線131が負極側入力端子へ接続され、モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140”が記載されているといえる。 (c)上記a(d)の段落0048の「正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に、コンデンサ142を追加したものである」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に接続されたコンデンサ142”が記載されている。 上記の検討と、上記a(c)の段落0042の「直流配線135」との記載、上記a(e)の段落0051の「スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140とコンデンサ142の間には、電解コンデンサ139およびノーマルモードコイル127が接続されている」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“直流配線135と負極側直流配線131の間に接続された電解コンデンサ139”が記載されている。 (d)上記a(c)の段落0035の「順変換器の正極側出力直流配線126に前述の棒状フェライトコアを使用したノーマルモードコイル127を実装している」との記載、同じく上記a(c)の段落0036の「順変換器141」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“順変換器141の正極側出力直流配線126に実装されたノーマルモードコイル127”が記載されている。 また、上記a(f)の「138 短絡バーあるいは短絡配線」との記載及び図6の記載から、ノーマルモードコイル127は、“順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路”において、“コンデンサ142と電解コンデンサ139との間に接続され”ていることが読み取れる。 してみれば、引用文献1には、“順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路において、コンデンサ142と電解コンデンサ139との間に接続されたノーマルモードコイル127”が記載されているといえる。 (e)上記a(c)の段落0044の「グランド配線132と直流配線131の間には、対地コンデンサ133が接続されている」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、引用文献1には、“直流配線131とグランド配線132との間に接続される対地コンデンサ133”が記載されている。 (f)上記a(d)の段落0048の「図6に図5に示した基板実装レイアウトにおけるインバータ装置の等価回路を示す」との記載、及び図6の記載から、引用文献1の「インバータ装置」は、上記(b)~(e)で検討した各構成を備えたものであるといえる。 また、上記a(b)の段落0002の「電力変換装置(以下、インバータと呼ぶ)」との記載から、「インバータ(装置)」は、「電力変換装置」であるといえる。 そうすると、上記(b)~(e)の検討から、引用文献1には、 “直流配線135が正極側入力端子へ接続され、直流配線131が負極側入力端子へ接続され、モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140、 正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に接続されたコンデンサ142、 直流配線135と負極側直流配線131の間に接続された電解コンデンサ139、 順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路において、コンデンサ142と電解コンデンサ139との間に接続されたノーマルモードコイル127、 直流配線131とグランド配線132との間に接続される対地コンデンサ133、 を備えた電力変換装置”が記載されているといえる。 (g)上記a(j)の図6の記載から、“コンデンサ142の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子からみて、直流配線135と短絡バー138と正極側出力直流配線126とノーマルモードコイル127とを介して接続されている一方、電解コンデンサ139の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子に接続される直流配線135に接続されて”いることが読み取れる。 また、同じく図6の記載から、“コンデンサ142の負極側の端子と電解コンデンサ139の負極側の端子は、共に負極側直流配線131に接続されて”いることが読み取れる。 (h)上記(e)の検討と上記a(f)の「138 短絡バーあるいは短絡配線」との記載、及び図6の記載から、直流配線131とグランド配線132との間には対地コンデンサ133が設けられている一方で、“順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路とグランド配線132との間には対地コンデンサ133に対応するコンデンサが設けられて”いないことが読み取れる。 (i)上記(f)で検討した「モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140」との記載から、引用文献1には、“逆変換器140は、モータのモータ線に接続され”ることが記載されている。 (j)上記a(b)の段落0003の「インバータにおけるノイズ発生モードは、主に図9に示すような2種類が存在する。一つ目は、コモンモードノイズ電流107とよばれる、モータやケーブルの浮遊容量を通してグランド(対地)へ漏洩するものである。もう一つは、インバータと電源間を往復するノーマルモードノイズ電流108である。」との記載、上記a(f)の「102,140 逆変換器」、「105 モータ」との記載、及び図9の回路図の記載から、“コモンモードノイズ電流107は、逆変換器102からモータ105の浮遊容量を通してグランド(対地)へ漏洩すること”が記載されている。 してみれば、引用文献1には、“モータ105は、逆変換器102からグランド(対地)へコモンモードノイズ電流107が漏洩する浮遊容量を備え”ていることが記載されている。 (k)上記a(c)の段落0044の「端子台137の下部左から6番目の端子は、モータなどの負荷装置のグランド線を接続するための端子である。この端子は、グランド配線132に接続されている。また、グランド配線132と直流配線131の間には、対地コンデンサ133が接続されている。」との記載、及び図4、図6の回路図の記載から、モータなどの負荷装置のグランド線及び対地コンデンサ133は、いずれもグランド配線132に接続されているものである。 そうすると、引用文献1には、“対地コンデンサ133は、グランド配線132を介してモータのグランド線に接続されている”ことが記載されているといえる。 c 引用発明 上記b(a)~(k)の検討から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「直流配線135が正極側入力端子へ接続され、直流配線131が負極側入力端子へ接続され、モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140、 正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に接続されたコンデンサ142、 直流配線135と負極側直流配線131の間に接続された電解コンデンサ139、 順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路において、コンデンサ142と電解コンデンサ139との間に接続されたノーマルモードコイル127、 直流配線131とグランド配線132との間に接続される対地コンデンサ133、 を備えた電力変換装置であって、 コンデンサ142の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子からみて、直流配線135と短絡バー138と正極側出力直流配線126とノーマルモードコイル127とを介して接続されている一方、電解コンデンサ139の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子に接続される直流配線135に接続され、コンデンサ142の負極側の端子と電解コンデンサ139の負極側の端子は、共に負極側直流配線131に接続されており、 順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路とグランド配線132との間には対地コンデンサ133に対応するコンデンサが設けられておらず、 逆変換器140は、モータのモータ線に接続され、 モータ105は、逆変換器102からグランド(対地)へコモンモードノイズ電流107が漏洩する浮遊容量を備え、 対地コンデンサ133は、グランド配線132を介してモータのグランド線に接続されている 電力変換装置。」 ウ 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)第1の通電路及び第2の通電路について 引用発明の「ノーマルモードコイル127」は、本件補正発明の「チョークコイル」に相当する。 また、本件補正発明の「第1の通電路」及び「第2の通電路」に関し、構成要件Bでは、「前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ」と記載されている一方で、構成要件Cでは、「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル」とも記載されていて、両者を合わせると、上記(2)ア(オ)に摘記した本願の図1における“11a~15aまでの線路”は、チョークコイル4が線間コンデンサ5と線間コンデンサ6との間に接続されている側の線路であるから、構成要件Cの「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路」に対応し、また、同じく、本願の図1における“11b~15bまでの線路”は、チョークコイル4が接続されていない側の線路であるから、構成要件Dの「前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路」に対応するものと認められる。 上記のことと、上記イ(ア)a(j)に摘記した引用文献1の図6の記載を考慮すると、引用発明の「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路」は、ノーマルモードコイル127(本件補正発明のチョークコイル)が接続されている側の線路である点で、構成要件Cの「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路」に相当し、また、引用発明の「負極側直流配線131」は、ノーマルモードコイル127(本件補正発明のチョークコイル)が接続されていない側の線路である点で、構成要件Dの「前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路」に相当するといえる。 (イ)構成要件Aについて a 引用発明の「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路」は、上記(ア)で検討したとおり、構成要件Cの「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路」に相当し、前記「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138、及び直流配線135」には、正極の“直流電圧”が印加されている。 また、引用発明の「負極側直流配線131」は、構成要件Dの「前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路」に相当し、前記「負極側直流配線131」には、負極の“直流電圧”が印加されている。 そうすると、引用発明の「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路」並びに「負極側直流配線131」は、構成要件Aの「直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路」に相当するといえる。 b 引用発明の「モータ」は、構成要件Aの「負荷」に相当する。 引用発明の「スイッチングする半導体素子」は、構成要件Aの「スイッチング素子」に相当し、引用発明の「逆変換器140」は、スイッチングする半導体素子が実装されているものであるから、“スイッチング素子を有”しているといえる。 引用発明の「逆変換器140」が、「モータ」を駆動するために“制御により変換された電圧”を出力することは技術常識であり、当該“制御により変換された電圧”が“スイッチングする半導体素子”から出力されることも技術常識である。 上記の点を踏まえると、引用発明の、モータと逆変換器140の出力端子とを接続する「三相のモータ線及び出力配線136」は、構成要件Aの、負荷とスイッチング素子とを接続する「接続配線」に相当する。 そうすると、引用発明の「モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140」と構成要件Aの「スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部」とは、“スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部”である点で共通する。 c 引用発明の「逆変換器140」は、「直流配線135が正極側入力端子へ接続され、直流配線131が負極側入力端子へ接続され」るものであるから、上記aの検討も踏まえると、引用発明の「逆変換器140」と構成要件Aの「駆動部」とは、「直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路」に“接続され”ている点で一致する。 d 上記a~cの検討から、引用発明の「直流配線135が正極側入力端子へ接続され、直流配線131が負極側入力端子へ接続され、モータが三相のモータ線及び出力配線136を介して出力端子に接続され、スイッチングする半導体素子が実装されている逆変換器140」と構成要件Aとは、後記する点で一応相違するものの、“直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部”の点で共通する。 (ウ)構成要件Bについて 上記(ア)の検討を踏まえると、引用発明の「正極側出力直流配線126と負極側直流配線131の間に接続されたコンデンサ142」と「直流配線135と負極側直流配線131の間に接続された電解コンデンサ139」は、構成要件Bの「前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ」に相当する。 (エ)構成要件Cについて 上記(ア)及び(ウ)の検討を踏まえると、引用発明の「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路において、コンデンサ142と電解コンデンサ139との間に接続されたノーマルモードコイル127」は、構成要件Cの「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル」に相当する。 (オ)構成要件Dについて 上記(ア)の検討から、引用発明の「直流配線131」は、構成要件Dの「前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路」に相当し、また、引用発明の「グランド配線132」は、構成要件Dの「接地線」に相当する。 したがって、引用発明の「直流配線131とグランド配線132との間に接続される対地コンデンサ133」は、構成要件Dの「前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ」に相当する。 (カ)構成要件Eについて 引用発明では、「コンデンサ142の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子からみて、直流配線135と短絡バー138と正極側出力直流配線126とノーマルモードコイル127とを介して接続されている一方、電解コンデンサ139の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子に接続される直流配線135に接続され、コンデンサ142の負極側の端子と電解コンデンサ139の負極側の端子は、共に負極側直流配線131に接続されて」いるから、コンデンサ142は、電解コンデンサ139に比べるとその正極側の端子がノーマルモードコイル127を介して逆変換器140に接続されている分だけ、逆変換器140から“電気的に遠く”に接続されているといえる。言い換えれば、“電解コンデンサ139は、コンデンサ142よりも逆変換器140に電気的に近くなるように接続され”ているといえる。 そして、構成要件Eでは、「駆動部に電気的に近くなるように接続され」ている線間コンデンサを「第1線間コンデンサ」と呼称し、また、当該「第1線間コンデンサ」よりも「駆動部に電気的に遠くなるように接続され」ている線間コンデンサを「第2線間コンデンサ」と呼称しているものである。 そうすると、引用発明の「電解コンデンサ139」は、構成要件Eの「第1線間コンデンサ」に相当し、また、引用発明の「コンデンサ142」は、構成要件Eの「第2線間コンデンサ」に相当する。 以上の検討と、上記(イ)bの検討を踏まえると、引用発明の「コンデンサ142の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子からみて、直流配線135と短絡バー138と正極側出力直流配線126とノーマルモードコイル127とを介して接続されている一方、電解コンデンサ139の正極側の端子は、逆変換器140の正極側入力端子に接続される直流配線135に接続され、コンデンサ142の負極側の端子と電解コンデンサ139の負極側の端子は、共に負極側直流配線131に接続されて」いることと構成要件Eとは、「前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され」ている点で一致する。 (キ)構成要件F-1について 上記(ア)の検討から、引用発明の「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路」は、構成要件Cの「前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路」に相当するから、構成要件F-1の「一方の通電路」にも相当するといえる。 そして、引用発明では、「順変換器141の正極側出力直流配線126、短絡バー138及び直流配線135からなる線路とグランド配線132との間には対地コンデンサ133に対応するコンデンサが設けられて」いない。 してみれば、上記(オ)の検討も踏まえると、引用発明と構成要件F-1とは、「一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず」という点で一致する。 (ク)構成要件F-2について 上記(イ)bの検討から、引用発明の「逆変換器140」、「モータ」は、構成要件F-2の「駆動部」、「負荷」にそれぞれ相当する。 そして、引用発明のモータには、「モータ線」を介して逆変換器140が接続され、また、「グランド線」を介してグランド配線132が接続されている。 ここで、モータの「モータ線」が接続される側が、構成要件F-2の「前記負荷の一端部側」に相当し、また、モータの「グランド線」が接続される側が、構成要件F-2の「他端部側」に相当する。 そうすると、引用発明の「逆変換器140は、モータのモータ線に接続され」ることは、構成要件F-2の「前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され」ることに相当する。 (ケ)構成要件Gについて 引用発明のモータ105が備える「浮遊容量」は、「逆変換器102からグランド(対地)へコモンモードノイズ電流107が漏洩する」ものであるから、モータが備える“対地間インピーダンス”であるといえる。 したがって、引用発明の「モータ105は、逆変換器102からグランド(対地)へコモンモードノイズ電流107が漏洩する浮遊容量を備え」ることと、構成要件Gの「前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え」ることとは、後記する点で一応相違するものの、「前記負荷は、対地間インピーダンスを備え」る点で共通する。 (コ)構成要件Hについて 上記(オ)及び(ク)の検討を踏まえると、引用発明の「対地コンデンサ133は、グランド配線132を介してモータのグランド線に接続されている」ことと、構成要件Hの「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記対地間インピーダンスを介して前記一端側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されている」(前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と、前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と接続されている)こととは、後記する点で一応相違するものの、「前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と」「接続されている」点で共通する。 (サ)構成要件Iについて 引用発明の「電力変換装置」は、上記(ア)~(コ)で検討した構成を備えている点で、本件補正発明の「電力変換装置」に対応する。 (シ)上記(ア)~(サ)の検討から、本件補正発明と引用発明との一致点、及び、一応の相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側と他端部側のうちの前記一端部側に接続され、 前記負荷は、対地間インピーダンスを備え、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、前記一端部側とは異なる前記負荷の前記他端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 [一応の相違点] (相違点1)本件補正発明では、駆動部が、「前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部」を有しているのに対して、引用発明では、逆変換器140が、「スイッチングする半導体素子」を制御する制御信号を生成する制御部を有することは特定されていない点。 (相違点2)本件補正発明では、「前記負荷は、前記一端部側と前記他端部側との間に対地間インピーダンスを備え」ているのに対して、引用発明では、モータのどこに浮遊容量を備えているのかについて具体的に特定されていない点。 (相違点3)本件補正発明では、前記対地間コンデンサは、前記接地線側が、「前記対地間インピーダンスを介して前記一端部側と」接続されているのに対して、引用発明では、対地コンデンサ133の接地線側が、モータの浮遊容量を介して、“モータ105の逆変換器102が接続される側”に接続されることは特定されていない点。 エ 判断 (ア)相違点1について 引用発明の逆変換器140に実装されている「スイッチングする半導体素子」は、当該半導体素子をスイッチング制御するための制御信号によって制御されるものであることは技術常識であるから、逆変換器140が、半導体素子をスイッチング制御するための制御信号を生成する制御部を備えていることは当業者に明らかである。 してみれば、相違点1は、実質的な相違点とはいえない。 (イ)相違点2について 引用発明の「モータ105」は、「逆変換器102からグランド(対地)へコモンモードノイズ電流107が漏洩する浮遊容量を備え」ているものである。 ここで、「モータ105」の浮遊容量が、“モータ105の逆変換器102が接続される側”(モータの巻線側)と“モータ105のグランド線が接続される側”(モータの筐体側)との間に存在するものであることは、例えば、以下の文献a,bに記載されているように、技術常識である。 a 特開2004-166380号公報 (a)「【0025】8は高位直流電源ラインLH、低位直流電源ラインLLの対地絶縁抵抗、9は高位直流電源ラインLH、低位直流電源ラインLLの対地浮遊容量、10は三相交流モータ5の三相ステータコイル7の一つとモータハウジング(車体接地)との間との浮遊容量、17は低位直流電源ラインLLに接触した人体である。」 (b)「図1 [図:0001404515000008.jpg] 」 b 特開2004-361309号公報 (a)「【0035】3相交流モータ4は、モータ巻線5と車体間に浮遊容量6を有している。」 (b)「図1 [図:0001404515000009.jpg] 」 そうすると、引用発明の「モータ105」は、“逆変換器102が接続される側(一端部側)とグランド線が接続される側(他端部側)との間に浮遊容量を備え”ていることは当業者に明らかである。 したがって、相違点2は、実質的な相違点とはいえない。 (ウ)相違点3について 上記(イ)の検討から、引用発明の「モータ105」は、“逆変換器102が接続される側(一端部側)とグランド線が接続される側(他端部側)との間に浮遊容量を備え”ているといえる。 そうすると、モータ105の「他端部側」は、浮遊容量を介して「一端部側」と接続されているといえるから、結局、引用発明の対地コンデンサ133の接地線側は、モータ105の「他端部側」に接続されると同時に、モータ105の浮遊容量を介して、“モータ105の逆変換器102が接続される側”(一端部側)にも接続されているということができる。 してみれば、相違点3は、実質的な相違点とはいえない。 オ まとめ 以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.補正却下むすび 上記「2.(2)」で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、補正事項3が補正事項3’の誤記であることを前提として上記「2.(3)」で検討したとおり、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 令和4年12月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、令和4年7月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子と前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部とを有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側に接続され、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が前記負荷の他端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、というものである。 ・請求項 1、4、5 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2011-41415号公報 3.引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の記載事項は、上記「第2.」の[理由]の「2.(3)イ」に記載したとおりである。 4.対比・判断 (1)対比 本願発明は、上記「第2.」の[理由]の「2.(3)」で検討した本件補正発明から、補正事項1、補正事項2、及び補正事項3に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、上記「第2.」の[理由]の「2.(3)ウ」の検討から、本願発明と引用発明との一致点、及び、一応の相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「直流電圧が印加される第1の通電路と第2の通電路に接続され、スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子と接続配線で接続される負荷を制御により変換された電圧で駆動する駆動部、 前記第1の通電路と前記第2の通電路とに接続された第1線間コンデンサと第2線間コンデンサ、 前記第1の通電路および前記第2の通電路のいずれか一方の通電路の、前記第1線間コンデンサと前記第2線間コンデンサとの間に接続されたチョークコイル、 前記チョークコイルが接続されていない他方の通電路と接地線との間に接続される対地間コンデンサ、 を備え、 前記第1線間コンデンサは、前記第2線間コンデンサよりも前記駆動部に電気的に近くなるよう接続され、 一方の通電路と接地線との間には対地間コンデンサが設けられておらず、前記駆動部は、前記負荷の一端部側に接続され、 前記対地間コンデンサは、前記接地線側が前記負荷の他端部側と接続されていることを特徴とする電力変換装置。」 [一応の相違点] (相違点a)本願発明では、駆動部が、「前記スイッチング素子を制御する制御信号を生成する制御部」を有しているのに対して、引用発明では、逆変換器140が、「スイッチングする半導体素子」を制御する制御信号を生成する制御部を有することは特定されていない点。 (2)判断 ア 相違点aについて 相違点aは、上記「第2.」の[理由]の「2.(3)エ(ア)」で検討した相違点1と同じである。 したがって、相違点aは、実質的な相違点とはいえない。 イ したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 第4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-021159

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