特許拒絶査定不服審判
2022-021027
遊技機
- 審判番号
- 2022-021027
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-253568外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月26日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】河野 元
- 分類
- P18 .4 -Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第39条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-253568「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月22日出願公開、特開2019-118455〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年12月28日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和2年12月24日 :手続補正書の提出
令和3年10月27日付け:拒絶理由通知書
同年11月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月17日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 5月25日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月22日付け:令和4年5月25日の手続補正についての補
正却下の決定、拒絶査定(謄本送達日:同年
10月4日)
同年12月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年12月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年12月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正は、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載についての補正を含むところ、そのうち請求項1の記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は、補正箇所を示す。記号A等は分説するために当審で付した。
「【請求項1】
A 所定条件の成立に基づいて、識別情報を変動表示する識別情報表示手段
と、
B 前記識別情報の変動表示に伴って所定の遊技演出を実行可能な遊技演出
実行手段と、
C 遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態
と、に変化可能な可変入球口と、
D 前記識別情報の変動表示の結果が特定結果となると前記可変入球口を入
球可能状態とする特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E を備えた遊技機であって、
F 特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の識別
情報の変動表示より前の識別情報の変動表示に伴って開始する事前演出と
、
G 前記特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の
識別情報の変動表示に伴って開始する特定演出と、を有し、
B1 前記遊技演出として、第1演出と第2演出とを有し、
B2 前記第1演出は、前記事前演出及び前記特定演出の何れとしても実行
可能とされると共に、前記事前演出として実行される場合の方が、前記
特定演出として実行される場合よりも、前記特別遊技の実行可能性とし
て高い可能性を示すものとされ、
B3 前記特定演出として実行される前記第2演出は、前記特定演出として
実行される前記第1演出よりも、前記特別遊技の実行可能性として高い
可能性を示すものとされ、
B4 前記第1演出が前記事前演出として実行された場合、当該事前演出に
係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後に特定条件が予め定めた回
数成立するまで、前記第1演出が前記特定演出として実行される可能性
を低下させ、
B5 前記第2演出は、前記所定期間において前記特定演出として実行可能
である
H ことを特徴とする遊技機。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年11月29日にされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
A 所定条件の成立に基づいて、識別情報を変動表示する識別情報表示手段
と、
B 前記識別情報の変動表示に伴って所定の遊技演出を実行可能な遊技演出
実行手段と、
C 遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態
と、に変化可能な可変入球口と、
D 前記識別情報の変動表示の結果が特定結果となると前記可変入球口を入
球可能状態とする特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E を備えた遊技機であって、
F 特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の識別
情報の変動表示より前の識別情報の変動表示に伴って開始する事前演出と
、
G 前記特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の
識別情報の変動表示に伴って開始する特定演出と、を有し、
B1 前記遊技演出として、第1演出と第2演出とを有し、
B2 前記第1演出は、前記事前演出及び前記特定演出の何れとしても実行
可能とされると共に、前記事前演出として実行される場合の方が、前記
特定演出として実行される場合よりも、前記特別遊技の実行可能性とし
て高い可能性を示すものとされ、
B3 前記特定演出として実行される前記第2演出は、前記特定演出として
実行される前記第1演出よりも、前記特別遊技の実行可能性として高い
可能性を示すものとされ、
B5’前記第2演出は、所定期間において前記特定演出として実行可能であ
る
H ことを特徴とする遊技機。」
2 補正の適否
(1)補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に、発明を特定するために必要な事項として、「前記第1演出は、前記事前演出及び前記特定演出の何れとしても実行可能とされる」(構成B2)ことが特定されていたところ、補正により「前記第1演出が前記事前演出として実行された場合、当該事前演出に係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後に特定条件が予め定めた回数成立するまで、前記第1演出が前記特定演出として実行される可能性を低下させ」る(構成B4)と特定することで、「前記第1演出が前記事前演出として実行された場合」の「前記第1演出が前記特定演出として実行される可能性」について限定するものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法17条の2第5項ただし書2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当する目的を含む。
なお、本件補正により追加された構成B4に係る事項は、本願の出願時の明細書、特許請求の範囲及び図面の段落【0381】~【0383】の記載に基づくものといえる。
3 独立特許要件についての判断
本件補正は、上記2で検討したとおり、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)が、同法同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明1は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)同日出願発明
令和4年9月22日付け補正の却下の決定において引用された特願2017-253565号(特許第6503546号公報)は、本願と同日に特許出願がされ、平成31年4月24日に設定登録がされたところ、その請求項1に係る発明(以下「同日出願発明1」という。)は、次のとおりのものである。本件補正発明1と同じ発明特定事項からなる構成については、同じ分説記号を付した。
【同日出願発明1】
A 所定条件の成立に基づいて、識別情報を変動表示する識別情報表示手段
と、
B 前記識別情報の変動表示に伴って所定の遊技演出を実行可能な遊技演出
実行手段と、
C 遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態
と、に変化可能な可変入球口と、
D 前記識別情報の変動表示の結果が特定結果となると前記可変入球口を入
球可能状態とする特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E を備えた遊技機であって、
F 特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の識別
情報の変動表示より前の識別情報の変動表示に伴って開始する事前演出と
、
G 前記特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の
識別情報の変動表示に伴って開始する特定演出と、を有し、
B1 前記遊技演出として、第1演出と第2演出とを有し、
B2 前記第1演出は、前記事前演出及び前記特定演出の何れとしても実行
可能とされると共に、前記事前演出として実行される場合の方が、前記
特定演出として実行される場合よりも、前記特別遊技の実行可能性とし
て高い可能性を示すものとされ、
B3 前記特定演出として実行される前記第2演出は、前記特定演出として
実行される前記第1演出よりも、前記特別遊技の実行可能性として高い
可能性を示すものとされ、
B4’前記第1演出が前記事前演出として実行された場合、当該事前演出に
係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後の所定期間、前記第1演出
が前記特定演出として実行されるのを制限され、
B5 前記第2演出は、前記所定期間において前記特定演出として実行可能
である
H ことを特徴とする遊技機。
(3)対比、判断
ア 本件補正発明1を先願とし、同日出願発明1を後願と仮定した場合
本件補正発明1を先願とし、同日出願発明1を後願と仮定して、両者を対比すると、本件補正発明1における構成A~G、B1~B3、Hと同日出願発明1における構成A~G、B1~B3、Hについては、それぞれ発明特定事項が同じであり、それらの技術的意味を異なって理解すべき理由もないから、本件補正発明1における構成A~G、B1~B3、Hは、同日出願発明1における構成A~G、B1~B3、Hに相当する。
本件補正発明1における構成B4と同日出願発明1における構成B4’を比較すると、先願に係る本件補正発明1の構成B4における「特定条件が予め定めた回数成立するまで」は、後願に係る同日出願発明1の構成B4’における「所定期間」の一態様といえるから、本件補正発明1における構成B4は、同日出願発明1における構成B4’に相当する。
本件補正発明1における構成B5と同日出願発明1における構成B5を比較すると、先願に係る本件補正発明1の構成B5における「前記所定期間」は、「所定期間」が前記されておらず、「前記特定条件が予め定めた回数成立するまで」の誤記と認められるところ、「前記特定条件が予め定めた回数成立するまで」は、後願に係る同日出願発明1の構成B5おける「前記所定期間」の一態様といえるから、本件補正発明1における構成B5は、同日出願発明1における構成B5に相当する。
したがって、本件補正発明1は、同日出願発明1と同一である。
イ 同日出願発明1を先願とし、本件補正発明1を後願と仮定した場合
上記アで検討したのと同様の理由により、同日出願発明1における構成A~G、B1~B3、Hは、本件補正発明1における構成A~G、B1~B3、Hに相当する。
同日出願発明1における構成B4’と本件補正発明1におけるB4を比較すると、後願に係る本件補正発明1の構成B4における「特定条件が予め定めた回数成立するまで」は、先願に係る同日出願発明1の構成B4’おける「所定期間」の一態様であるから、同日出願発明1における構成B4は、本件補正発明1における構成B4’と「前記第1演出が前記事前演出として実行された場合、当該事前演出に係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後の所定期間、前記第1演出が前記特定演出として実行されるのを制限され」るものである点で共通する。
同日出願発明1における構成B5と本件補正発明1における構成B5を比較すると、上記アで検討したとおり、後願に係る本件補正発明1の構成B5における「前記所定期間」は、「前記特定条件が予め定めた回数成立するまで」の誤記と認められるところ、「前記特定条件が予め定めた回数成立するまで」は、先願に係る同日出願発明1のB5における「前記所定期間」の一態様であるから、同日出願発明1における構成B5は、本件補正発明1における構成B5と「前記第2演出は、前記所定期間において前記特定演出として実行可能である」点で共通する。
以上から、同日出願発明1と本件補正発明1とは、以下の点で一応相違し、その余の点で一致する。
(相違点)(構成B4、B5)
「前記第1演出が前記事前演出として実行された場合」に「前記第1演出が前記特定演出として実行されるのを制限され」、「前記第2演出」が「前記特定演出として実行可能である」のが、同日出願発明1では、「当該事前演出に係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後」の「所定期間」であるのに対し、本件補正発明1では、「当該事前演出に係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後」に「特定条件が予め定めた回数成立するまで」である点。
上記相違点について検討する。
遊技球の始動入賞の発生に伴う識別図柄(演出図柄)の可変表示や始動入賞時に取得した乱数値抽選を行うことを特徴とする遊技機において、所定時間を設定したり、変動表示の回数を規定したり、何らかの条件の成立をもって「所定期間」を設定することは、特開2016-97061号公報(段落【0284】の「本実施の形態では、所定回(5回)の変動を開始するまでの期間を「所定期間」としたが、これに限るものではなく、所定時間(例えば、3分)が経過するまでの期間を「所定期間」としてもよい。・・・また、始動入賞が所定回数発生するまでの期間や、遊技者による所定の操作を受け付けるまでの期間を「所定期間」とするものであってもよい。」との記載を参照)や特開2015-62544号公報(段落【0359】の「この実施の形態では、5分間など一定時間の経過により所定期間が経過して特定演出が終了する場合を示したが、「所定期間」は、そのような一定期間の経過により特定演出を終了させるものにかぎらず、例えば、変動回数や演出の実行回数も含まれる概念である。例えば、特定演出を開始した後、演出図柄の変動表示を30回終了したことにもとづいて所定期間が経過したとして特定演出を終了するようにしてもよいし、リーチ演出が5回実行されたことにもとづいて所定期間が経過したとして特定演出を終了するようにしてもよい。」との記載を参照)に示されるように、当該遊技機の性質上「所定期間」の具体化に際して当然に考慮されるべき事項にすぎず、「所定期間」を「特定条件が予め定めた回数成立するまで」と具体化することで新たな効果を奏するものでもないから、上記相違点が実質的な相違点であるとは認められない。
したがって、同日出願発明1は、本件補正発明1と同一である。
ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、引用発明1(審決注:本審決における「同日出願発明1」のこと)は「前記第1演出が前記事前演出として実行された場合、当該事前演出に係る前記特定の識別情報の変動表示の終了後の所定期間、前記第1演出が前記特定演出として実行されるのを制限され、」の構成を有しているのに対し、本件補正後の請求項1における「特定条件が予め定めた回数成立するまで、」の構成は、引用発明1の「所定期間」の構成の下位概念に相当するから、本願発明1(審決注:本審決における「本件補正発明1」のこと)と引用発明1とは上位概念、下位概念の関係にあり、両発明は同一でも実質同一でもないという旨主張する。
しかし、上記イで検討したとおり、遊技球の始動入賞の発生に伴う識別図柄(演出図柄)の可変表示や始動入賞時に取得した乱数値抽選を行うことを特徴とする遊技機においては、その性質上、何らかの条件の成立をもって「所定期間」を設定することは、「所定期間」の具体化に際して当然に考慮されるべき事項にすぎず、「所定期間」を上記のように具体的に特定することで新たな効果を奏するものでもないから、上記相違点は実質的な相違点であるとは認められない。
したがって、請求人の当該主張は採用することができない。
(4)小括
以上検討したところによれば、本件補正発明1と同日出願発明1は同一であり、後者について既に設定登録がされているから、本件補正発明1は、特許法39条2項の規定により、特許を受けることができない。
4 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものの、同法同条6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年12月26日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年11月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、令和4年3月17日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2であり、その概要は、以下のとおりである。
1)(新規性)この出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本
国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電
気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29
条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
2)(進歩性)この出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本
国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電
気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に
その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明
をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許
を受けることができない。
引用文献1:特開2015-229012号公報
3 引用発明
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-229012号公報(平成27年12月21日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
ア「【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。
・・・
【0025】
パチンコ遊技機1は、遊技媒体としての遊技球を遊技領域7に打込んで遊技が行なわれる遊技機である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
・・・
【0030】
遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示(可変表示ともいう)可能な演出表示装置9が設けられている。遊技領域7における演出表示装置9の右側方には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられている。
【0031】
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、数字および文字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(・・・)で構成されている。演出表示装置9は、液晶表示装置(LCD)で構成されており、表示画面において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示等の各種画像を表示する表示領域が設けられる。このような表示領域には、たとえば「左」,「中」,「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を変動表示する図柄表示領域が形成される。
【0032】
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、主基板(遊技制御基板)に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行され、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行されるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
・・・
【0042】
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件(第1実行条件)または第2始動条件(第2実行条件)が成立(たとえば、遊技球が始動入賞領域としての第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲート等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。また、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のような始動領域に遊技球が進入したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない変動表示について、所定の上限数の範囲内で情報を記憶することが保留記憶と呼ばれる。また、このような保留記憶という用語は、保留記憶された情報(保留記憶情報)を示す(特定する)場合にも用いられる。
【0043】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
【0044】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(・・・)、遊技者にとって有利な状態になる。・・・
・・・
【0047】
・・・遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1特別図柄の変動表示が開始可能となる第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。・・・
【0048】
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第2特別図柄の変動表示が開始可能となる第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。・・・
【0049】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当り表示結果として大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
・・・
【0051】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」
イ「【0099】
また、パチンコ遊技機1においては、識別情報としての演出図柄、および、第1,第2特別図柄のそれぞれの変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまで、演出表示装置9において、所定の演出態様としての擬似連と呼ばれる演出(以下、擬似連演出と称する)が実行される場合がある。擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものを、複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。
・・・
【0136】
この実施の形態において、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示に対応して行なわれる演出図柄の演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、演出図柄の変動表示動作、リーチ演出等における演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出動作というような、様々な演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。また、予告演出制御パターンは、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータ等から構成されている。
・・・
【0207】
次に、本実施の形態で行なわれる擬似連演出について、演出表示装置9の表示画像に基づいて説明する。擬似連演出には、特定演出が実行される特定演出擬似連と、特定演出が実行されない特定演出なし擬似連とが含まれる。特定演出は、チャンスゾーン演出とも呼ばれ、遊技者にとって有利な状況(チャンスゾーン)となっていることを特定の演出モードに属する演出を用いて示唆する演出である。この実施の形態では、特定演出として、その他の演出モードでは表示されない特定の背景画像(演出図柄の背景を構成する画像)を表示する演出を一例として示す。このような特定演出は、擬似連の変動表示が実行されるときの他に、後述するような先読み演出が実行されるときにも、先読み特定演出として表示される場合がある。・・・
【0208】
特定演出擬似連は、仮停止図柄として特定擬似連図柄のような特定画像が表示されたときに実行される。特定演出擬似連は、仮停止図柄として特定擬似連図柄以外の通常擬似連図柄のような所定画像が表示されたときには実行されない。・・・
【0209】
特定演出擬似連には、第1特定演出が実行される第1特定演出擬似連と、第2特定演出が実行される第2特定演出擬似連とが含まれる。この実施の形態では、第2特定演出擬似連の方が第1特定演出擬似連よりも、特別図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるときに選択される割合が高くなるように設定されている。
【0210】
特定演出擬似連において実行される特定演出としては、遊技者にとって有利な状態であることを示唆する演出として、特定背景画像を所定期間に亘り表示する演出が実行される。
【0211】
特定演出擬似連には、第1特定演出が実行される第1特定演出擬似連と、第2特定演出が実行される第2特定演出擬似連とが含まれる。第1特定演出擬似連では、特定演出(第1特定演出)として、第1特定背景画像が表示され、第2特定演出擬似連では、特定演出(第2特定演出)として、第1特定背景画像とは異なる第2特定背景画像が表示される。
・・・
【0234】
この実施の形態では、前述した第1特定背景画像の表示および第2特定背景画像の表示のような特定演出は、1回の変動表示において擬似連の演出として行なう特定演出に加えて、複数回の演出図柄(特別図柄)の変動表示に跨る先読み演出により、大当りとなる期待度の高さを示唆可能な演出としても実行される場合がある。
【0235】
このような先読み特定演出は、いずれかの保留記憶に基づく変動表示をターゲットとして、保留記憶情報について、変動表示結果等の所定事項についての先読み判定をし、その先読み判定結果に基づいて、たとえば、ターゲットとなる保留記憶に基づく変動表示が実行されるまでに、前述の特定演出を複数回の演出図柄(特別図柄)の変動表示に跨る先読み演出としても実行することが可能な演出である。
・・・
【0237】
以下の説明において、このような先読み演出としての特定演出は、先読み特定演出と呼ばれる場合がある。このような先読み特定演出は、ターゲットとなる保留記憶に基づく変動表示の表示結果が大当り表示結果となるときに、はずれ表示結果となるときよりも高い割合で実行されるように設定されている。これにより、先読み特定演出が実行されたときには、実行されないときよりも、大当り遊技状態に制御される期待度が高いと遊技者が認識することができる。
・・・
【0239】
そして、前述した第1特定背景画像および第2特定背景画像のような特定背景画像を表示する特定演出は、実行タイミングが、特定演出擬似連による仮停止時、および、先読み特定演出による複数回の各変動表示時というように、複数種類設けられ、たとえば、擬似連の演出として実行されるときの方が、先読み特定演出として実行されるときよりも大当りに対する期待度が高い等、その実行タイミングにより大当りに対する期待度が異なるので、遊技者を特定演出の実行タイミングに注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。」
ウ「【0417】
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点等を以下に列挙する。
(1)・・・また、前述した実施の形態では、特定演出擬似連の演出により特定演出が実行される方が、先読み特定演出により特定演出が実行されるときよりも、大当りとなる期待度が高い例を示したが、大当りとなる期待度の高さの設定は逆であってもよい。」
(2)引用発明
以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。記号a等は、本願発明1の分説記号Aに概ね対応させて当審にて付した。
(引用発明)
e パチンコ遊技機1は、遊技媒体としての遊技球を遊技領域7に打込んで
遊技が行なわれる遊技機であり(【0025】)、
a 遊技領域7における演出表示装置9の右側方には、各々を識別可能な複
数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示
器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を
変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられており(【0030】
)、
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件で
ある第1始動条件または第2始動条件が成立した後、変動表示の開始条件
が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過す
ると表示結果(停止図柄)を導出表示し、表示結果を導出表示するとは、
図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることであり(【0042
】)、
b 遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報とし
ての演出図柄を変動表示可能な演出表示装置9が設けられており(【00
30】)、演出表示装置9は、液晶表示装置で構成され(【0031】)
、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および
第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用
(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行ない(【0049】)
、
cd 第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊
技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設け
られており(【0044】)、可変入賞球装置15の下方には、特別可変
入賞球装置20が設けられており、特別可変入賞球装置20は開閉板を備
え、第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときと、第2
特別図柄表示器8bに大当り図柄が導出表示されたときに生起する大当り
遊技状態においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御される
ことによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になり(【0051】
)、
g また、識別情報としての演出図柄、および、第1,第2特別図柄のそれ
ぞれの変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまで、演出表
示装置9において、所定の演出態様として擬似連演出が実行される場合が
あり、擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるも
のを、複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれている
ように見せる演出表示であり(【0099】)、
f 擬似連演出には、特定演出が実行される特定演出擬似連と、特定演出が
実行されない特定演出なし擬似連とが含まれ、特定演出は、遊技者にとっ
て有利な状況(チャンスゾーン)となっていることを特定の演出モードに
属する演出を用いて示唆する演出であり、このような特定演出は、擬似連
の変動表示が実行されるときの他に、先読み演出が実行されるときにも、
先読み特定演出として表示される場合があり(【0207】)、
b1b3 特定演出擬似連には、第1特定演出が実行される第1特定演出擬
似連と、第2特定演出が実行される第2特定演出擬似連とが含まれ、第2
特定演出擬似連の方が第1特定演出擬似連よりも、特別図柄の変動表示結
果が大当り表示結果となるときに選択される割合が高くなるように設定さ
れており(【0209】)、
b2 第1特定演出擬似連では、特定演出として、第1特定背景画像が表示
され、第2特定演出擬似連では、特定演出として、第1特定背景画像とは
異なる第2特定背景画像が表示され(【0211】)、第1特定背景画像
の表示および第2特定背景画像の表示のような特定演出は、1回の変動表
示において擬似連の演出として行なう特定演出に加えて、複数回の演出図
柄(特別図柄)の変動表示に跨る先読み演出により、大当りとなる期待度
の高さを示唆可能な演出としても実行される場合があり(【0234】)
、
先読み演出としての特定演出は、先読み特定演出と呼ばれ(【0237
】)、第1特定背景画像および第2特定背景画像のような特定背景画像を
表示する特定演出は、擬似連の演出として実行されるときの方が、先読み
特定演出として実行されるときよりも大当りに対する期待度が高い等、そ
の実行タイミングにより大当りに対する期待度が異なるので、遊技者を特
定演出の実行タイミングに注目させることができ、遊技の興趣を向上させ
ることができ(【0239】)、大当りとなる期待度の高さの設定は逆で
あってもよい(【0417】)、
h パチンコ遊技機1(【0025】)。
4 対比、判断
(1)本願発明1との対比、判断
本願発明1と引用発明とを分説毎に対比する。
ア 構成Aについて
引用発明の構成aにおける「各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8b」は、本願発明1における「識別情報を変動表示する識別情報表示手段」に相当する。
そして、引用発明の構成aによれば、「第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示」は、「変動表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立した後、変動表示の開始条件が成立したことに基づいて開始され」るところ、このことは、本願発明1における「所定条件の成立に基づいて、識別情報を変動表示する」ことに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成Aを備える。
イ 構成Bについて
引用発明の構成bによれば、「演出表示装置9」では、「第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行な」われるところ、「第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄(識別情報)の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄(識別情報)の変動表示時間中」は、本願発明1の構成Bにおける「前記識別情報の変動表示に伴」うことに相当し、「装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示」は、本願発明1の構成Bにおける「所定の遊技演出」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成B(前記識別情報の変動表示に伴って所定の遊技演出を実行可能な遊技演出実行手段と、)に相当する構成を備える。
ウ 構成Cについて
引用発明の構成cdによれば、「特別可変入賞球装置20」は、「ソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、」「入賞領域となる大入賞口が開放状態にな」るから、かかる「開放状態」は、本願発明1の構成Cにおける「遊技球が入球可能な入球可能状態」に相当するといえ、「開放状態」にない場合は、本願発明1の構成Cにおける「遊技球が入球不能な入球不能状態」に相当するといえる。
そうすると、引用発明における構成cdの「特別可変入賞球装置20」における「入賞領域となる大入賞口」は、本願発明1の構成Cにおける「遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態と、に変化可能な可変入球口」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成C(遊技球が入球可能な入球可能状態と、遊技球が入球不能な入球不能状態と、に変化可能な可変入球口と、)を備える。
エ 構成Dについて
引用発明の構成cdによれば、「特別可変入賞球装置20」は「第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに大当り図柄が導出表示されたとき」に「大当り遊技状態においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態にな」るところ、「第1特別図柄表示器8a」、「第2特別図柄表示器8b」に「大当り図柄が導出表示され」ることは、本願発明1の構成Dにおける「前記識別情報の変動表示の結果が特定結果となる」ことに相当し、「ソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態にな」る「大当り遊技状態」は、本願発明1の構成Dにおける「前記可変入球口を入球可能状態とする特別遊技」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明1の構成D(前記識別情報の変動表示の結果が特定結果となると前記可変入球口を入球可能状態とする特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、)に相当する構成を備える。
オ 構成Gについて
引用発明の構成gにおける「擬似連演出」は、「1つの保留記憶に対応する1回の変動」であるから、本願発明1の構成Gにおける「前記特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出」に相当するといえ、また、「第1,第2特別図柄のそれぞれの変動表示が開始されてから」「演出表示装置9において、所定の演出態様として」「実行される」ものであるから、本願発明1の構成Gにおける「当該特定の識別情報の変動表示に伴って開始する特定演出」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成G(前記特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の識別情報の変動表示に伴って開始する特定演出と、を有し、)を備える。
カ 構成Fについて
引用発明の構成fにおける「特定演出が実行される特定演出擬似連」は、「擬似連の変動表示が実行されるときの他に、先読み演出が実行されるときにも、先読み特定演出として表示される場合があ」るところ、「特定演出擬似連」が「先読み特定演出」として「表示される」ものは、本願発明1の構成Fにおける「特定の識別情報の変動表示の内容を示す演出であって、当該特定の識別情報の変動表示より前の識別情報の変動表示に伴って開始する事前演出」に相当するといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成Fを備える。
キ 構成B1、B3、B5’について
引用発明における構成b1b3の「特定演出擬似連」には、「第1特定演出が実行される第1特定演出擬似連と、第2特定演出が実行される第2特定演出擬似連とが含まれ」ところ、「第1特定演出擬似連」と「第2特定演出擬似連」は、それぞれ、本願発明1の構成B1における「第1演出」、「第2演出」に相当する。
引用発明の構成b1b3によれば、「第2特定演出擬似連」(第2演出)の方が「第1特定演出擬似連」(第1演出)よりも、「特別図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるときに選択される割合が高くなるように設定されて」いるところ、このことは、本願発明1の構成B3において「前記特定演出として実行される前記第2演出は、前記特定演出として実行される前記第1演出よりも、前記特別遊技の実行可能性として高い可能性を示すものとされ」ることに相当する。
引用発明の構成b1b3における「第2特定演出擬似連」(第2演出)において「第2特定演出が実行される」ことが、本願発明1の構成B5’における「前記第2演出」が「所定期間において前記特定演出として実行可能である」ことに相当することは明らかである。
以上から、引用発明は、本願発明1の構成B1、構成B3及び構成B5’を備える。
ク 構成B2について
引用発明の構成b2によれば、「第1特定演出擬似連」における「特定演出」は、「1回の変動表示において擬似連の演出」として行なう場合と、「複数回の演出図柄の変動表示に跨る先読み演出により、大当りとなる期待度の高さを示唆可能な演出」として実行される場合があるところ、「第1特定演出擬似連」(第1演出)における「特定演出」が、「1回の変動表示において擬似連の演出」(特定演出)として行なう場合と、「複数回の演出図柄の変動表示に跨る先読み演出により、大当りとなる期待度の高さを示唆可能な演出」(事前演出)として実行される場合があることは、本願発明1の構成B2における「前記第1演出は、前記事前演出及び前記特定演出の何れとしても実行可能とされる」ことに相当する。
引用発明の構成b2によれば、「第1特定演出擬似連」における「特定演出」について、「擬似連の演出(特定演出)として実行されるとき」の方を「先読み特定演出(事前演出)として実行されるときよりも大当りに対する期待度が高」くすることに加え、「大当りとなる期待度の高さの設定は逆であってもよい」ことが特定されているから、後者の場合に着目すれば、本願発明1の構成B2における「前記第1演出は、」「前記事前演出として実行される場合の方が、前記特定演出として実行される場合よりも、前記特別遊技の実行可能性として高い可能性を示すものとされ」ることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成B2を備える。
ケ 構成E、Hについて
引用発明の構成e、構成hにおける「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願発明1の構成E、構成Hにおける「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の構成E及び構成Hを備える。
以上検討したところによれば、本願発明1と引用発明との間に相違するところはない。
また、仮に本願発明1と引用発明との間に相違するところがあるとしても、当業者が容易に想到し得たものである。
(2)小括
以上から、本願発明1は、引用発明と同一である。
また、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明1は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-021027