2022-020798
電磁波シールドフィルム、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板およびその製造方法
- 審判番号
- 2022-020798
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-192723外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月22日
- 審決日
- 2023年12月08日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】信越ポリマー株式会社
- 【請求人代理人】西澤 和純
- 【請求人代理人】川越 雄一郎
- 分類
- P18 .113-WY (H05K) / P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、平成30年10月11日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年9月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献AまたはBに記載された発明、および、引用文献Cに記載された技術事項に基づいてその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
A.特開2017-220592号公報
B.特開2016-115937号公報
C.特開2015-135949号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年7月7日付けで通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1(新規性)
この出願の請求項1-5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
この出願の請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2017-220592号公報(拒絶査定時の引用文献A)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和5年8月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、接着剤および導電性粒子を含む異方導電性接着剤層とを順に有し、続きを表示(全17行)前記異方導電性接着剤層における前記接着剤の厚さAと前記導電性粒子の平均粒子径Bとが、1.62A≦B≦1.93Aの関係を満足し、前記接着剤の厚さAが、5.2μm以上6.2μm以下である、電磁波シールドフィルム。【請求項2】前記導電性粒子の割合が、前記異方導電性接着剤層の100質量%のうち、5質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。【請求項3】基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の面に隣接する絶縁フィルムと、前記異方導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記異方導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルムとを有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。【請求項4】基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板および前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の面に隣接する絶縁フィルムを有し、かつ前記絶縁フィルムに貫通孔が形成された絶縁フィルム付きプリント配線板と、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルムとを、前記絶縁フィルムと前記異方導電性接着剤層とが接するように重ねて圧着する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法。【請求項5】前記絶縁フィルム付きプリント配線板と前記電磁波シールドフィルムとを3MPa以下の圧力で圧着する、請求項4に記載の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明について
(1)引用文献1記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
当審拒絶理由に引用された引用文献1(引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)
ア 「【発明が解決しようとする課題】【0006】しかし、絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層を接着した場合、グランドと導電性接着剤層との接着が不十分となりやすい。そのため、絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離する際や、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を高温で加熱して導電性接着剤層を本硬化させる際に、グランドと導電性接着剤層との間で剥離が生じやすい。そのため、グランドと導電性接着剤層との間の接続抵抗が高くなり、電気的な接続を確実に行えないことがある。」
イ 「【0017】<電磁波シールドフィルム>図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図である。第1の実施形態および第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。【0018】第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有する例である。第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。」
ウ 「【図1】[図:0001405555000001.jpg]」
エ 「【0032】(導電性接着剤層)導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、下記の点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。続きを表示(全20行)・導電性接着剤層がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失をさらに低減できる。・導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。【0033】導電性接着剤層としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。・・・中略・・・【0037】異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。・・・中略・・・【0039】異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。・・・中略・・・【0044】異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。」
オ 「【0070】<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>図4は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、第2の離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2において第1の離型フィルム30が不要になった際には、第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。」
カ 「【図4】[図:0001405555000002.jpg]」
キ 「【0093】(実施例1)第1の離型フィルム30および第2の離型フィルム40として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、180℃における貯蔵弾性率:5×108Pa)を用意した。【0094】続きを表示(全32行)塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部および硬化剤(N-アミノピペラジン)の15質量部、カーボンブラックの5質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。【0095】熱硬化性導電性接着剤組成物として、熱硬化性接着剤24a(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA-4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN-23)の15質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、および導電性粒子24b(銅粒子、平均粒子径:8μm、10%圧縮強度:85.1MPa)の40質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものを用意した。【0096】工程(a):第1の離型フィルム30の離型剤層34の表面に塗料を塗布し、60℃で2分間加熱し、半硬化させて、絶縁樹脂層10(厚さ:10μm、180℃における貯蔵弾性率:1.9×107Pa)を形成した。【0097】工程(b1):絶縁樹脂層10の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、金属薄膜層22(蒸着膜、厚さ:300nm、表面抵抗:0.07Ω、ナノインデンテーション法による硬さ:0.66GPa)を形成した。【0098】工程(b2):金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層24(厚さ:7μm、銅粒子:4.5体積%、180℃における貯蔵弾性率:2×104Pa)を形成した。【0099】工程(c):異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得た。【0100】工程(d):厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(基材フィルム)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が12μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム60(厚さ:25μm)を得た。プリント回路54のグランドに対応する位置に貫通孔62(孔径:2mm)を形成した。【0101】厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(ベースフィルム52)の表面に、プリント回路54が形成されたフレキシブルプリント配線板50を用意した。フレキシブルプリント配線板50に絶縁フィルム60を熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得た。【0102】工程(e):絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、ホットプレス装置(折原製作所社製、G-12)を用い、熱盤温度:170℃、圧力:2MPaで60秒間熱プレスし、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を仮接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。【0103】工程(f):電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:160℃で1時間加熱することによって、異方導電性接着剤層24を本硬化させた。絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離した。貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗を測定した。結果を表1に示す。」
ク 「【0104】(実施例2~5、比較例1~2)金属薄膜層22を構成する金属の種類、金属薄膜層22の厚さ、導電性粒子24bの種類、導電性粒子24bの平均粒子径を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム1を得た。また、電磁波シールドフィルム1を変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗を測定した。結果を表1に示す。」
ケ 「【0105】【表1】[図:0001405555000003.jpg]【0106】金属薄膜層22の厚さが150nm以上400nm以下の範囲内である実施例1~5は、プリント回路54のグランドと電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の接続抵抗は低く、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路に確実に電気的に接続されていた。金属薄膜層22を構成する金属および導電性粒子24bを構成する金属の両方として銀を用いた実施例5は、接続抵抗がやや高くなった。」
コ 上記キの段落【0098】には、実施例1として、異方導電性接着剤層24の厚さを7μmとすることが、また、上記クには、実施例2~5は、「金属薄膜層22を構成する金属の種類、金属薄膜層22の厚さ、導電性粒子24bの種類、導電性粒子24bの平均粒子径を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム1を得」たものであることが、さらに、上記ケの【表1】には、実施例5の導電性粒子24bの平均粒子径が10μmであることが記載されている。
してみると、引用文献1には、実施例5として、導電性粒子24bの平均粒子径が10μmであって、異方導電性接着剤層24の厚さが7μmである
電磁波シールドフィルムが記載されているといえる。
(2)引用発明
上記(1)アないしコの記載内容から、特に実施例5に着目すると、上記引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「絶縁樹脂層10と、絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と、絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と、導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する電磁波シールドフィルムにおいて、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有し、異方導電性接着剤層24は、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含み、異方導電性接着剤層24は、熱硬化性導電性接着剤組成物を金属薄膜層22の表面に塗布し、溶剤を揮発させて形成したものであって、熱硬化性導電性接着剤組成物は、熱硬化性接着剤24a(エポキシ樹脂の100質量部と硬化剤の15質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、および導電性粒子24bの40質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものであって、導電性粒子24bの平均粒子径が10μmであって、異方導電性接着剤層24の厚さが7μmである、電磁波シールドフィルム。」
2 引用文献B、引用文献Cについて
(1)引用文献B記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】本発明は、ソルダーレジストまたは感光性カバーレイフィルムから形成されてなるカバーコート層を有する場合にも、マイグレーション耐性、接続信頼性および屈曲性が良好な電磁波シールドシート付きのプリント配線板の提供を目的とする。」
イ 「【実施例】【0064】以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」に基づく値である。【0065】続きを表示(全40行)実施例で使用した原料を以下に示す。<バインダー樹脂>ウレタン樹脂:(熱硬化性樹脂 酸価=10mgKOH/g、アミン価=0.1mgKOH/g) トーヨーケム製社【0066】<導電性微粒子>導電性微粒子1:(核体に銅、被覆層に銀を使用した樹枝状粒子 D50平均粒子径=11.0μm、)福田金属箔粉工業社製導電性微粒子2:(核体に銅、被覆層に銀を使用した球状粒子 D50平均粒子径=10.0μm、)福田金属箔粉工業社製導電性微粒子3:(核体に銅、被覆層に銀を使用したフレーク状粒子 D50平均粒子径=10.0μm)福田金属箔粉工業社製【0067】<硬化剤>エポキシ化合物:「JER828」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エポキシ当量=189g/eq)三菱化学社製アジリジン化合物:「ケミタイトPZ-33」日本触媒社製【0068】<陽イオン捕集剤>IXE100:ジルコニア系無機陽イオン捕集剤、粒径1μm(東亞合成社製)IXE300:アンチモン系無機陽イオン捕集剤、粒径0.5μm(東亞合成社製)CDA-6:デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド(ADEKA社製)CDA-10:N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(ADEKA社製)<陰イオン捕集剤>IXE500:ビスマス系無機陰イオン捕集剤、粒径1.5μm(東亞合成社製)IXE700F:ハイドロタルサイト系無機陰イオン捕集剤、粒径1.5μm(東亞合成社製)<両イオン捕集剤>IXE PLUS-A1:ジルコニア系無機陽イオン捕集剤とハイドロタルサイト系無機陰イオン捕集剤の混合物、粒径0.5μm(東亞合成社製)【0069】[実施例1]バインダー樹脂を100部、導電性微粒子1を450部、容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比=2:1)の混合溶剤を加えて混合した。次いでエポキシ化合物10部、アジリジン化合物1.0部および陽イオン捕集剤(東亜合成株式会社製「IXE100」)2部を加えディスパーで10分攪拌して導電性接着剤を作成した。さらに得られた導電性接着剤をバーコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電層を得た。【0070】別途、バインダー樹脂100部、エポキシ化合物10部およびアジリジン化合物10部を加えディスパーで10分攪拌することで絶縁性樹脂組成物を得た。次いで得られた絶縁性樹脂組成物をバーコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで絶縁層を得た。さらに導電層に絶縁層を貼り合わせることで電磁波シールドシートを得た。【0071】[実施例2~17、比較例1]実施例1の導電性接着剤の組成を表1、2に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様に行うことで実施例2~17、比較例1の電磁波シールドシートをそれぞれ得た。【0072】[実施例18]バインダー樹脂を100部、導電性微粒子1を50部、容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比=2:1)の混合溶剤を加えて混合した。次いでエポキシ化合物10部、アジリジン化合物1.0部および陽イオン捕集剤(東亜合成株式会社製「IXEPLAS-A1」)2部を加えディスパーで10分攪拌して導電性接着剤を作成した。さらに得られた導電性接着剤をバーコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで異方導電層を得た。【0073】別途、バインダー樹脂100部、エポキシ化合物10部およびアジリジン硬化剤10部を加えディスパーで10分攪拌することで絶縁性樹脂組成物を得た。次いで得られた絶縁性樹脂組成物をバーコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように厚さ3μmの銅キャリア付き電解銅箔の面に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥し、微粘着剥離シートを張り合わせた。次いで、銅キャリアを剥がし、その面に異方導電層を張り合わせることで、微粘着剥離性シート/絶縁層/金属層(電解銅箔)/異方導電層/剥離性シートの構成の電磁波シールドシートを得た。」
ウ 「【0084】【表2】[図:0001405555000004.jpg]」
エ 上記イの段落【0066】、【0069】、【0071】、上記ウの【表2】によれば、引用文献Bには、実施例1として、導電性粒子1のD50平均粒子径が11μmであって、導電性接着剤層の厚さが10μmである電磁波シールドシート、および、実施例6として、導電性粒子1のD50平均粒子径が10μmであって、導電性接着剤層の厚さが10μmである電磁波シールドシート、が記載されているといえる。
(2)引用文献C記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】【請求項1】エポキシ樹脂を主成分とするバインダーと、10%圧縮変形時の圧縮硬さK値が500kgf/mm2以上である導電性粒子とを含有し、前記バインダーの厚みAと前記導電性粒子の平均粒子径Bとの関係が、0.6≦B/A≦1.5であり、前記バインダーの硬化後の100℃における弾性率が、50MPa以上である異方性導電フィルムを介して、配線板上に電子部材を実装する実装工程と、前記実装工程における実装に不都合が生じた場合、前記配線板と前記電子部材とを機械的に引き剥がし、該配線板を再利用して前記実装工程を行う再実装工程とを有する実装体の製造方法。」
イ 「【0093】一方、実施例1~11のように、バインダーの厚みAと導電性粒子の平均粒子径Bとの関係が、0.6≦B/A≦1.5である場合、仮貼り性の評価、及びフレキシブル基板Bの剥離後の評価が良好であった。特に、バインダーの厚みAと導電性粒子の平均粒子径Bとの関係が、0.6≦B/A≦1.0である場合、仮貼り性の評価が特に良好であった。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
ア 本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の「絶縁樹脂層10」、「金属薄膜層22」は、各々、本願発明1の「絶縁樹脂層」、「金属薄膜層」に相当する。
また、引用発明の「異方導電性接着剤層24」は、「熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含」むものであるから、引用発明の「熱硬化性接着剤24a」、「導電性粒子24b」は、各々、本願発明1の「接着剤」、「導電性粒子」に相当し、引用発明の「異方導電性接着剤層24」は、本願発明1の「接着剤および導電性粒子を含む異方導電性接着剤層」に相当する。
さらに、引用発明は、「絶縁樹脂層10と、絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と、絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と、導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有」し、「導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有」するものであるから、引用発明の「電磁波シールドフィルム」は、「絶縁樹脂層10」、「金属薄膜層22」、「異方導電性接着剤層24」の順になっているといえる。
したがって、引用発明の「電磁波シールドフィルム」と、本願発明1とは、後記の点で相違するものの、「絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、接着剤および導電性粒子を含む異方導電性接着剤層とを順に有」する「電磁波シールドフィルム」の点で共通する。
(イ)したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、接着剤および導電性粒子を含む異方導電性接着剤層とを順に有する、電磁波シールドフィルム。」
[相違点1]
「電磁波シールドフィルム」が、本願発明1では、「前記異方導電性接着剤層における前記接着剤の厚さAと前記導電性粒子の平均粒子径Bとが、1.62A≦B≦1.93Aの関係を満足し、前記接着剤の厚さAが、5.2μm以上6.2μm以下である」のに対して、引用発明では、「熱硬化性接着剤24a」の厚さAと「導導電性粒子24b」の平均粒子径Bとが、B/A=10/7(約1.42)であって、接着剤の厚さAが、7μmである点。
イ 相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用文献1には、段落【0037】に「異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい」こと、また、段落【0044】に「異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい」ことは記載されているが、「熱硬化性接着剤24a」の厚さAに対する、「導導電性粒子24b」の平均粒子径Bの割合を特定の範囲とすることに関しては記載も示唆もされていない。
一方、本願発明1は、段落【0092】の【表1】に記載されるように、「前記異方導電性接着剤層における前記接着剤の厚さAと前記導電性粒子の平均粒子径Bとが、1.62A≦B≦1.93Aの関係を満足し、前記接着剤の厚さAが、5.2μm以上6.2μm以下」とすることで、接続抵抗を低くし、かつ剥離強度を高することを可能とするものである。
また、上記相違点1の構成が周知技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は、本願発明1の構成を含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和5年8月24日に提出された手続補正書により補正された請求項1-5は、上記相違点1に係る技術的事項を有するものとなった。
そして、当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Cには記載されておらず、本願の出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-020798