審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-018988

瞳孔距離測定方法、装着型眼用機器及び記憶媒体

審判番号
2022-018988
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-557090
請求日
2022年11月25日
審決日
2024年02月14日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人】北京京東方光電科技有限公司
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 中塚 直樹
  • 審判官 田邉 英治
分類
P18 .121-WZ (G01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-557090「瞳孔距離測定方法、装着型眼用機器及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月10日国際公開、WO2019/007050、令和 2年 8月31日国内公表、特表2020-526735〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)2月1日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2017年7月7日 中国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 平成30年10月31日 :翻訳文の提出 令和 3年12月 9日付け:拒絶理由通知書 令和 4年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月25日 :原査定の謄本の送達) 同年11月25日 :審判請求書及び手続補正書の提出 令和 5年 2月17日付け:前置報告書 同年 3月 9日 :上申書の提出 同年 6月 6日 :上申書の提出 同年 8月16日付け:拒絶理由通知書 同年11月21日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は、令和5年11月21日に提出された手続補正書により補正された請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップと、 それぞれが1つの眼球を含む2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップと、 前記2つの瞳孔画像位置に基づき、前記両眼瞳孔の間の実際距離を決定するステップと、を含み、 前記した少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップは、第1カメラと第2カメラを用いて、左眼を含む左眼画像と右眼を含む右眼画像をそれぞれ撮影するステップを含み、 前記した前記2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップは、前記左眼画像における左眼瞳孔の瞳孔画像位置と、前記右眼画像における右眼瞳孔の瞳孔画像位置と、を決定するステップを含み、 前記した前記2つの瞳孔画像位置に基づき、前記両眼瞳孔の間の実際距離を決定するステップは、 前記左眼画像における前記第1カメラの画像位置と、前記右眼画像における前記第2カメラの画像位置と、を決定するステップであって、前記左眼画像における前記第1カメラの前記画像位置は、前記左眼画像の画像中心であり、前記右眼画像における前記第2カメラの前記画像位置は、前記右眼画像の画像中心である、ステップと、 前記左眼画像において、前記左眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第1カメラの画像位置との間の第1水平画像距離を決定するステップと、 前記第1水平画像距離に基づき、前記左眼瞳孔と前記第1カメラとの間の第1実際水平距離Sep_lを決定するステップと、 前記右眼画像において、前記右眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第2カメラの画像位置との間の第2水平画像距離を決定するステップと、 前記第2水平画像距離に基づき、前記右眼瞳孔と前記第2カメラとの間の第2実際水平距離Sep_rを決定するステップと、 前記第1実際水平距離Sep_lと前記第2実際水平距離Sep_rに基づき、前記両眼瞳孔の実際距離pdを決定するステップであって、pd=Sep-Sep_l-Sep_rの式に基づいて前記両眼瞳孔の実際距離pdを決定し、Sepは前記第1カメラと第2カメラとの間の実際距離である、ステップと、を含む 瞳孔距離測定方法。」 第3 当審が通知した拒絶の理由 当審が令和5年8月16日付けで通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 本願の令和4年11月25日付け手続補正により補正された請求項1~7に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献5:特開2015-84150号公報 引用文献4:特開昭53-106070号公報 第4 当審の判断 当審は、以下に検討するとおり、本願発明1は、引用文献5に記載された発明及び引用文献4に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。 1 引用発明等の認定 (1) 引用発明 ア 引用文献5の記載事項 前記引用文献5(特開2015-84150号公報)には、以下の記載がある(下線は当審による。以下同様である。)。 「【0001】 本発明は、頭部装着型表示装置に関する。 (中略) 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 頭部装着型表示装置において、狙った輻輳角で仮想オブジェクトの虚像を立体表示させるためには、例えば、液晶ディスプレイの大きさ、使用者の左右の眼前に表示される虚像間の距離、使用者の眼間距離、といった虚像の表示環境に関する種々の条件を考慮することが必要である。しかし、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、この点について十分な考慮がなされていないという問題があった。また、特許文献3に記載の技術では、光学透過型の頭部装着型表示装置を対象としていない。このため、虚像の表示環境に関する種々の条件を考慮して外景に仮想オブジェクトを融像させることで、使用者の視覚的な違和感を緩和した拡張現実感を提供可能な光学透過型の頭部装着型表示装置が望まれていた。 【0008】 また、特許文献4および特許文献5の記載の技術では、カメラで撮影された画像に基づいて仮想オブジェクトを加工するため、現実世界において見られるような、前後関係が複雑な複数の物体や、色彩が似通った物体について、仮想オブジェクトの加工の精度が確保できないという問題があった。このため、より精度よく仮想オブジェクトを外景に融像させることで、使用者の視覚的な違和感を緩和した拡張現実感を提供可能な光学透過型の頭部装着型表示装置が望まれていた。 【0009】 以上のように、使用者の視覚的な違和感を緩和した拡張現実感を提供可能な光学透過型の頭部装着型表示装置が望まれていた。」 「【発明を実施するための形態】 【0026】 A.第1実施形態: A-1.頭部装着型表示装置の構成: 図1は、本発明の一実施形態における頭部装着型表示装置の概略構成を示す説明図である。頭部装着型表示装置100は、頭部に装着する表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、HMD)とも呼ばれる。本実施形態のヘッドマウントディスプレイ100は、使用者が、虚像を視認すると同時に外景も直接視認可能な光学透過型の頭部装着型表示装置である。 【0027】 ヘッドマウントディスプレイ100は、使用者の頭部に装着された状態において使用者に虚像を視認させる画像表示部20と、画像表示部20を制御する制御部(コントローラー)10とを備えている。 【0028】 画像表示部20は、使用者の頭部に装着される装着体であり、本実施形態では眼鏡形状を有している。画像表示部20は、右保持部21と、右表示駆動部22と、左保持部23と、左表示駆動部24と、右光学像表示部26と、左光学像表示部28と、カメラ61と、瞳孔間距離測定部62と、を含んでいる。右光学像表示部26および左光学像表示部28は、それぞれ、使用者が画像表示部20を装着した際に使用者の右および左の眼前に位置するように配置されている。右光学像表示部26の一端と左光学像表示部28の一端とは、使用者が画像表示部20を装着した際の使用者の眉間に対応する位置で、互いに接続されている。 (中略) 【0033】 瞳孔間距離測定部62は、使用者の瞳孔間距離を測定する。瞳孔間距離とは、使用者の右眼REの虹彩の中心と使用者の左眼LEの虹彩の中心との間の距離である。瞳孔間距離測定部62は、図1に示すように画像表示部20の内面に配置されて、使用者の右眼REおよび左眼LEの画像を撮影する2つのカメラと、撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する処理部とからなる。なお、瞳孔間距離測定部62は、カメラに代えて、超音波や赤外線を用いて、使用者の瞳孔間距離を測定してもよい。また、瞳孔間距離測定部62は、上述した方法を複数組み合わせて、使用者の瞳孔間距離を測定することもできる。」 「【図1】 [図:0001412726000001.jpg] 」 「【0037】 図2は、ヘッドマウントディスプレイ100の構成を機能的に示すブロック図である。制御部10は、入力情報取得部110と、記憶部120と、電源130と、無線通信部132と、GPSモジュール134と、CPU140と、インターフェイス180と、送信部(Tx)51および52とを備え、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。 【0038】 入力情報取得部110は、例えば、タッチパッド14や十字キー16、電源スイッチ18などに対する操作入力に応じた信号を取得する。記憶部120は、ROM、RAM、DRAM、ハードディスク等によって構成されている。記憶部120は、眼間距離122と、画素視差角124とを含んでいる。詳細は後述する。電源130は、ヘッドマウントディスプレイ100の各部に電力を供給する。電源130としては、例えば二次電池を用いることができる。無線通信部132は、無線LANやブルートゥースといった所定の無線通信規格に則って、他の機器との間で無線通信を行う。GPSモジュール134は、GPS衛生からの信号を受信することにより、自身の現在位置を検出する。 【0039】 CPU140は、記憶部120に格納されているコンピュータープログラムを読み出して実行することにより、オペレーティングシステム(ОS)150、画像処理部160、音声処理部170、表示制御部190、AR処理部142として機能する。AR処理部142は、OS150や、特定のアプリケーションからの処理開始要求をトリガーとして、拡張現実感を実現させるための処理(以降、「拡張現実処理」とも呼ぶ。)を実行する。詳細は後述する。なお、AR処理部142は、特許請求の範囲における「拡張現実処理部」に相当する。」 「【図2】 [図:0001412726000002.jpg] 」 イ 引用発明の認定 上記アにおいて摘記した記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献5には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「ヘッドマウントディスプレイ100の瞳孔間距離測定部62により使用者の瞳孔間距離を測定する方法であって、(段落【0027】、【0033】) 瞳孔間距離測定部62の、画像表示部20の内面に配置された2つのカメラにより使用者の右眼REおよび左眼LEの画像を撮影し、(段落【0028】、【0033】) 瞳孔間距離測定部62の処理部により、撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算することを含む方法。(段落【0033】)」 (2) 引用文献に記載された技術事項 ア 引用文献4の記載事項 前記引用文献4(特開昭53-106070号公報)には、以下の記載がある。 「この発明は物体、特に板状物の幅を非接触によって測定するための装置に関する。 近年被測定物までの距離、被測定物の長さ等を検出する装置としてリニアアレイセンサーカメラが公知である。これはレンズからの光学像をリニアアレイセンサー上に結像し、その出力をカウントすることにより光学像の長さ、明暗の境界位置等を検出するものである。ところでこのリニアアレイセンサーカメラ(以下単にカメラという)1台で被測定物の長さを測定する場合、特に幅が大なる被測定物の幅にあっては、該カメラを被測定物から相当離さなければならず、そのため解像度が低下し正確なる測定値が得られなかった。 そこで考えられる方法として第1図に示すものが挙げられる。以下この装置について説明する。1,2はレンズ1a,2aと、該レンズ1a,2aからの光学像を検出するリニアアレイセンサー1b,2bを有するカメラにして、μコンピュータによって制御されるパルスモータ3,4の出力ギヤシャフト5,6に取付けられている。そしてパルスモータ3,4の駆動によってカメラ1,2は左右方行に移動するものである。7は被測定物8を照明するための照明灯である。 次に測定方法について説明するに、今カメラ1,2間の距離W0はμコンピュータにおいて記録されている。そしてカメラ1,2において被測定物8の端縁における明暗の境界位置を検出することによって、夫々のカメラ1,2においてカメラ1,2の中心から被測定物8の端縁までの距離W1,W2を知ることができる。従ってμコンピュータによってW0-(W1+W2)を計算すれば被測定物8の幅Wxを測定できるものである。」(1ページ左欄12行~2ページ右上欄1行) 「 [図:0001412726000003.jpg] 」 イ 引用文献4技術事項の認定 上記アにおいて摘記した記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献4には、次の技術事項(以下「引用文献4技術事項)が記載されていると認められる。 「被測定物の幅を測定する方法であって、カメラ1,2間の距離W0と、2台のカメラでそれぞれ検出した被測定物8の端縁からカメラ1,2の中心までの距離W1,W2を用いて、W0-(W1+W2)を計算して被測定物8の幅Wxを測定する方法。」 2 対比・判断について (1) 対比 本願発明1と引用発明を対比する。 ア 「瞳孔距離測定方法」の発明である本願発明1と「ヘッドマウントディスプレイ100の瞳孔間距離測定部62により使用者の瞳孔間距離を測定する方法」の発明である引用発明は、「瞳孔距離測定方法」の発明である点において一致する。 イ(ア) 引用発明において「瞳孔間距離測定部62の、画像表示部20の内面に配置された2つのカメラにより」撮影される「使用者の右眼REおよび左眼LEの画像」は、「使用者の瞳孔間距離を測定する」ために用いられるものであり、瞳孔は虹彩の中央部の孔の部分であるから、当該画像が左右の眼の瞳孔画像位置情報を含む、少なくとも二つの画像であることは明らかである。 (イ) 前記(ア)を踏まえると、引用発明において「瞳孔間距離測定部62の、画像表示部20の内面に配置された2つのカメラにより、使用者の右眼REおよび左眼LEの画像を撮影」する工程は、本願発明1の「少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップ」に相当する。 (ウ) 引用発明の「2つのカメラ」は本願発明1の「第1カメラと第2カメラ」に相当する。また引用発明の「使用者の右眼REおよび左眼LEの画像」は、それぞれが少なくとも右眼と左眼を含む画像であるから、本願発明1の「左眼を含む左眼画像と右眼を含む右眼画像」に相当する。 (エ) したがって、本願発明1と引用発明は、次の点において一致する。 「少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップ」を含み、「前記した少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップは、第1カメラと第2カメラを用いて、左眼を含む左眼画像と右眼を含む右眼画像をそれぞれ撮影するステップを含[む]」点。 ウ(ア) 引用発明の「瞳孔間距離測定部62の処理部により、撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析」する工程は「撮影された画像」を用いて「瞳孔間距離」を測定するものであるから、当該工程中において、二つの瞳孔画像の位置を抽出するステップが含まれることは明らかであり、当該ステップは、前記イ(ウ)を踏まえると、本願発明1の「それぞれが1つの眼球を含む2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップ」に相当する。 (イ) 前記イ(ア)を踏まえると、前記(ア)で検討した、引用発明の「二つの瞳孔画像の位置を抽出するステップ」において「使用者の右眼REおよび左眼LEの画像」における左右の眼の瞳孔画像位置を決定するステップを含むことは明らかであり、当該ステップは、本願発明1の「前記左眼画像における左眼瞳孔の瞳孔画像位置と、前記右眼画像における右眼瞳孔の瞳孔画像位置と、を決定するステップ」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明1と引用発明は、次の点において一致する。 「それぞれが1つの眼球を含む2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップ」を含み、「前記した前記2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップは、前記左眼画像における左眼瞳孔の瞳孔画像位置と、前記右眼画像における右眼瞳孔の瞳孔画像位置と、を決定するステップ」を含む点。 エ 前記ウ(ア)を踏まえると、引用発明の「瞳孔間距離測定部62の処理部により、撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する」工程は、本願発明1の「前記2つの瞳孔画像位置に基づき、前記両眼瞳孔の間の実際距離を決定するステップ」に相当し、本願発明1と引用発明は当該ステップを含む点において一致する。 オ 上記ア~エの対比内容をまとめると、本願発明1と引用発明は、以下の一致点において一致し、後記の相違点において相違する。 [一致点] 「少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップと、 それぞれが1つの眼球を含む2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップと、 前記2つの瞳孔画像位置に基づき、前記両眼瞳孔の間の実際距離を決定するステップと、を含み、 前記した少なくとも2つの眼部画像を撮影するステップは、第1カメラと第2カメラを用いて、左眼を含む左眼画像と右眼を含む右眼画像をそれぞれ撮影するステップを含み、 前記した前記2つの眼部画像から両眼瞳孔に対応する2つの瞳孔画像位置を抽出するステップは、前記左眼画像における左眼瞳孔の瞳孔画像位置と、前記右眼画像における右眼瞳孔の瞳孔画像位置と、を決定するステップを含む、 瞳孔距離測定方法。」 [相違点] 本願発明1においては、 「前記した前記2つの瞳孔画像位置に基づき、前記両眼瞳孔の間の実際距離を決定するステップは、 前記左眼画像における前記第1カメラの画像位置と、前記右眼画像における前記第2カメラの画像位置と、を決定するステップであって、前記左眼画像における前記第1カメラの前記画像位置は、前記左眼画像の画像中心であり、前記右眼画像における前記第2カメラの前記画像位置は、前記右眼画像の画像中心である、ステップと、 前記左眼画像において、前記左眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第1カメラの画像位置との間の第1水平画像距離を決定するステップと、 前記第1水平画像距離に基づき、前記左眼瞳孔と前記第1カメラとの間の第1実際水平距離Sep_lを決定するステップと、 前記右眼画像において、前記右眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第2カメラの画像位置との間の第2水平画像距離を決定するステップと、 前記第2水平画像距離に基づき、前記右眼瞳孔と前記第2カメラとの間の第2実際水平距離Sep_rを決定するステップと、 前記第1実際水平距離Sep_lと前記第2実際水平距離Sep_rに基づき、前記両眼瞳孔の実際距離pdを決定するステップであって、pd=Sep-Sep_l-Sep_rの式に基づいて前記両眼瞳孔の実際距離pdを決定し、Sepは前記第1カメラと第2カメラとの間の実際距離である、ステップと、を含む」 のに対して、 引用発明は「撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する」ものである点。 (2) 判断 上記相違点について検討する。 ア 引用発明の「処理部」で行われる「撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する方法」と、引用文献4技術事項の「被測定物の幅を測定する方法」は、2台のカメラでそれぞれ検出した画像から、二点間の距離(幅)を計算する方法である点において機能が共通しているものである。 イ したがって、引用発明の前記「3角測量による方法」に代えて、引用文献4技術事項の方法における「被測定物の幅を測定する方法であって、カメラ1,2間の距離W0と、2台のカメラでそれぞれ検出した被測定物8の端縁からカメラ1,2の中心までの距離W1,W2を用いて、W0-(W1+W2)を計算して被測定物8の幅Wxを測定する方法。」を採用することは、当業者が容易に選択し得る設計変更にすぎない。 ウ(ア) ここで、引用文献4技術事項の方法を引用発明に採用する場合、測定する前記「被測定物の幅」は「左右の眼の虹彩の中心間の距離」となることは明らかであり、引用文献4技術事項の「カメラ1,2の中心」は前記相違点の「前記左眼画像における前記第1カメラの画像位置」である「前記左眼画像の画像中心」及び「前記右眼画像における前記第2カメラの画像位置」である「前記右眼画像の画像中心」に相当する。 (イ) また、引用文献4技術事項の「被測定物8の端縁からカメラ1,2の中心までの距離W1,W2」は、前記相違点の「前記左眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第1カメラの画像位置との間の第1水平画像距離」に基づいて決定される「前記左眼瞳孔と前記第1カメラとの間の第1実際水平距離Sep_l」及び「前記右眼瞳孔の瞳孔画像位置と前記第2カメラの画像位置との間の第2水平画像距離」に基づいて決定される「前記右眼瞳孔と前記第2カメラとの間の第2実際水平距離Sep_r」に相当する。 (ウ) さらに、引用文献4技術事項の「距離W1,W2を用いて、W0-(W1+W2)を計算して」決定される「被測定物8の幅Wx」は、前記相違点の「前記第1実際水平距離Sep_lと前記第2実際水平距離Sep_rに基づき」、「pd=Sep-Sep_l-Sep_rの式に基づいて」決定される、「前記両眼瞳孔の実際距離pd」であって、「Sepは前記第1カメラと第2カメラとの間の実際距離である」「実際距離pd」に相当する。 (エ) 前記(ア)から(ウ)を踏まえると、引用発明の前記「3角測量による方法」に代えて引用文献4技術事項の方法を採用すると、前記相違点に係る構成を備えるようになるから、引用発明において前記相違点に係る構成を備えることは、引用発明及び引用文献4技術事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。 エ そして、本願発明1の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著なものは、認めることができない。 オ したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献4技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 請求人の主張について (1) 主張の概要 令和5年11月21日に提出した意見書において、請求人は次の主張1及び主張2をしている。 ア 請求人の主張1 引用文献5については、瞳孔間距離測定部62が“画像表示部20の内面に配置されて、使用者の右眼REおよび左眼LEの画像を撮影する2つのカメラ”を有することが記載されているが、それらの“2つのカメラ”は、左眼の画像と右眼の画像をそれぞれ別々に撮影しているのか、それとも、それぞれのカメラが左眼の画像と右眼の画像の両方を撮影するのに使われているのか、ということが引用文献5においては明確に開示されていない。 さらに、引用文献5は、“3角測量による方法を用いて”撮影された画像を解析し、“左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する”としており、このことによって、引用文献5の左眼画像と右眼画像が別々に撮影されているのかどうかを判断するのは不可能である。 したがって、引用文献5の“2つのカメラ”と引用文献4の“カメラ1,2”は、動作原理が互いに同じものであるかどうかは不明であり、動作原理が互いに類似するものであるかどうかも不明である。このため、引用文献5にある“3角測量による方法”を引用文献4にある測定方法に置換することは、当業者にとって容易なことではない。 イ 請求人の主張2 引用文献4と引用文献5は、全く異なる技術分野に属しており、かつ、異なる技術的課題を解決するものであるから、引用文献4を引用文献5に組み合わせることに想到するのは、当業者にとって容易ではない。 引用文献4には、被測定物の寸法ないし長さを測定するための技術的手段が開示されており、引用文献4の、1頁右下欄5行~10行に記載されているように“リニアアレイセンサーカメラ(以下単にカメラという)1台で被測定物の長さを測定する場合、特に幅が大なる被測定物の幅にあって”は“解像度が低下し正確なる測定値が得られなかった”として、第1図の方法に関する2頁右上欄2行~8行の記載では、“カメラ1,2をパルスモータ3,4によって回転する出力ギヤシャフト5,6に螺合し、該出力ギヤシャフト5,6を回転することによってカメラ1,2を移動させるものであるため、出力ギヤシャフト5,6とカメラ1,2との螺合部分の精度を高くしても必ず両者間にガタがある”としている。 このような引用文献4の記載から分かるように、引用文献4にある測定方法は、主に、大きな寸法を有する測定対象物を測定するために使用されるものであり、引用文献4は、カメラの螺合部分と協働するギヤシャフトという手段によってカメラの動きを駆動しているので、それ故にギヤシャフトに内在する“ガタがある”ことから考えると、瞳孔距離測定等に類するような用途に引用文献4の測定方法を適用するのは不可能である。 したがって、引用文献4の技術分野は、引用文献5の技術分野とは関連がなく、引用文献4と引用文献5は、解決する技術的課題も類似しておらず、動作の形態も類似していない。 また、引用文献4は、主に“カメラ1若しくは2の中心線”が“測定時に変位することがあり、従って実際の測定位置で誤差が生じる”ということに関心を寄せており(2頁右上欄9行~11行)、本願にあるような瞳孔距離測定方法とは関連性が低いものになっている。 したがって、当業者にとって、引用文献4を引用文献5に組み合わせることの動機付けは存在しない。 (2) 検討 ア 請求人の主張1についての検討 請求人は引用発明の「“2つのカメラ”は、左眼の画像と右眼の画像をそれぞれ別々に撮影しているのか、それとも、それぞれのカメラが左眼の画像と右眼の画像の両方を撮影するのに使われているのか、ということが引用文献5においては明確に開示されていない。」と主張しているが、引用文献5の図1を見ると、カメラと処理部からなる二つの「瞳孔間距離測定部62」は「画像表示部20」の左右端部内面にそれぞれ配置されており、その配置角度から見て、それぞれの「瞳孔間距離測定部62」のカメラが両眼を撮影できるものとは認められない。 また、仮に二つのカメラが左眼の画像と右眼の画像の両方を撮影しているとしても、前記2(1)アにおいて説示したとおり、引用発明の「使用者の右眼REおよび左眼LEの画像」は、それぞれが少なくとも右眼と左眼を含む画像であるから、それらの撮影工程は「左眼を含む左眼画像と右眼を含む右眼画像をそれぞれ撮影するステップ」に相当するものであって、前記2(2)の判断を左右するものではない。 したがって、請求人の主張1は、採用することができない。 イ 請求人の主張2についての検討 請求人は、技術分野及び技術的課題が異なり、また関連性も低いものであるから、引用文献4技術事項を引用発明に組み合わせることは容易でない旨を主張している。 しかしながら、前記2(2)で説示したように、引用発明の「処理部」で行われる「撮影された画像を例えば3角測量による方法を用いて解析し、左右の眼の虹彩の中心間の距離を計算する方法」と、引用文献4技術事項の「被測定物の幅を測定する方法」は、2台のカメラでそれぞれ検出した画像から、二点間の距離(幅)を計算する方法である点において機能が共通しているものであるから、両者を置換することは、当業者が容易に想到し得る設計変更である。 また、引用文献4の測定方法は、大きな寸法を有する測定対象物を測定するために使用されるものであり、その駆動機構も“ガタがある”ものであって瞳孔距離測定等に適用できないとも主張しているが、引用文献4技術事項の測定原理が寸法の大小により影響を受けるものでないことは明らかであるし、引用文献4に記載された駆動機構を引用発明に採用しようとするものでもないのであるから、これらの事項は引用文献4技術事項を引用発明に採用することを妨げるものではない。 したがって前記請求人の主張2は、採用することができない。 第5 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-018988

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決73件(京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司)
  • 2024-003511拒絶査定不服審判 / 2025-09-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)トレーニング装置
    同じ当事者: 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司
  • 2022-005568拒絶査定不服審判 / 2022-10-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)タッチ表示パネルおよび表示装置
    同じ当事者: 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司
  • 2019-016333拒絶査定不服審判 / 2020-09-17 / 請求不成立画素アレイの駆動方法
    同じ当事者: 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司
  • 2018-008382拒絶査定不服審判 / 2019-12-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)タッチディスプレイ駆動回路、及びその駆動方法とディスプレイデバイス
    同じ当事者: 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司
  • 2018-002585拒絶査定不服審判 / 2018-12-10 / 請求不成立シール剤及びその製造方法
    同じ当事者: 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司、北京京東方光電科技有限公司
同じ論点・分野の審決(審決分類)180件(121・G01B)
  • 2024-015803拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)ひずみゲージ
    共通の審決分類: 121・G01B
  • 2025-006029拒絶査定不服審判 / 2026-06-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)デジタル投影機、工作機械及び投影像表示方法
    共通の審決分類: 121・G01B
  • 2024-010140拒絶査定不服審判 / 2026-06-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)亀裂検出装置
    共通の審決分類: 121・G01B
  • 2024-016827拒絶査定不服審判 / 2026-06-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)車両とトレーラ間の角度を計算する方法及びシステム
    共通の審決分類: 121・G01B
  • 2024-019394拒絶査定不服審判 / 2026-06-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)センシング補正装置
    共通の審決分類: 121・G01B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存