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特許拒絶査定不服審判

2022-018340

通信システム、通信装置、通信方法及びプログラム

審判番号
2022-018340
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-142724外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月15日
審決日
2023年05月29日
公報発行日
2023年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-142724「通信システム、通信装置、通信方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月 6日出願公開、特開2020- 22003、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年7月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年 2月15日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 8月10日付け:拒絶査定
令和4年11月15日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年8月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2008-228221号公報

2.特開2017-130722号公報(周知技術を示す文献)

3.国際公開第2015/029416号(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和4年11月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、7は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
冗長構成された複数の通信装置と、
前記複数の通信装置のうち運用系の通信装置に呼情報を送信する制御装置と、
を含み、
前記運用系の通信装置は、受信した呼情報を前記複数の通信装置のうち待機系の通信装置に転送し、
前記待機系の通信装置は、前記転送された呼情報に基づき、フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する、通信システム。」
「【請求項7】
自装置が運用系の装置である場合に、制御装置から取得した呼情報を他の待機系の装置に転送し、
自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づき、フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する、通信装置。」

また、本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。

さらに、本願発明8は、本願発明1に対応する「通信方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

加えて、本願発明9は、本願発明7に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明7とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明

1 引用文献1、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術においては、現用系のデータ中継サーバに障害が発生して予備系への切り替えが行なわれるときに、次のような問題が生じていた。即ち、現用系の呼情報データベースで保持している呼情報が所定時間毎にしか予備系のデータ中継サーバに送信されないため、障害発生時に、予備系のデータ中継サーバに最新の呼情報が保持されておらず、正常にデータ中継処理を引き継ぐことができなかった。例えば、現用系のデータ中継サーバから予備系のデータ中継サーバへの呼情報の伝送が2秒毎に行なわれている場合、現用系から予備系への切り替えにより、最大で2秒間に発生した呼情報が全て失われ、これらの呼に係る通話が切断される事態が生じていた。そして、それらの呼については、一旦通話を切断して呼の再確立を行なう必要があった。
【0005】
なお、かかる問題を解決すべく、所定時間毎に現用系の呼情報データベースの呼情報を予備系に反映させる代わりに、呼の確立要求又は解放要求が発生する毎に現用系と予備系の両方において呼情報データベースを更新した後、呼を確立又は解放させる方法も考えられる。しかしながら、この方法では呼の確立又は解放までに時間がかかるため、特に呼の確立が遅れることにより、ユーザにとって電話をかけてから通話が始まるまでの待ち時間が長くなるという不都合が発生してしまう。
【0006】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、データ中継サーバが多重化されたIP電話のデータ中継装置において、呼の確立又は解放を遅らせることなく、且つ、データ中継サーバに障害が発生しても通話を極力切断させないようにして高信頼性を実現することを目的とする。」
「【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現用系のデータ中継サーバの呼情報データベースで保持している呼情報を予備系のデータ中継サーバに所定時間毎に送信し、予備系のデータ中継サーバの呼情報データベースに反映させるのみならず、IP電話端末で呼の確立要求又は解放要求が発生する毎に、現用系のデータ中継サーバの呼情報データベースを更新するとともに予備系のデータ中継サーバにその更新情報を送信し、予備系のデータ中継サーバの一時データベースを更新する。このため、所定時間毎に現用系から予備系へ呼情報データベースの反映させた後に発生した呼の呼情報についても、予備系のデータ中継サーバで保持することができる。さらに、現用系のデータ中継サーバに障害が発生したときには、予備系のデータ中継サーバでは、一時データベースの更新情報を呼情報データベースに反映する。このため、現用系のデータ中継サーバに障害が発生しても、予備系の呼情報データベースを、障害発生時における現用系の呼情報データベースと同じ状態、即ち、最新の状態にすることができる。従って、障害発生時に接続されていた通話が切断され難くなり、通話データを継続して中継することができる。また、現用系のデータ中継サーバでは、呼の確立要求又は解放要求の呼情報を呼制御サーバから受信したときに、予備系のデータ中継サーバへの呼情報の反映処理を待たずに呼を確立又は解放を許可するため、呼を確立又は解放するまでの時間も短い。従って、呼の確立又は解放を遅らせることなく、高信頼性を実現することができる。」
「【0010】
図1は、本発明を具現化したIP電話システムの構成を示す。このIP電話システムは、IP電話における呼の確立又は解放を行なう呼制御サーバ10,IP電話の通話データを中継する第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30並びにIP電話の通話を行なうIP電話端末40を含んで構成される。ここで、第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30は、同一のハードウェア構成を有し、設定に応じて、一方が現用系、他方が予備系として動作する。これらの呼制御サーバ10,第1データ中継サーバ20,第2データ中継サーバ30及びIP電話端末40は相互にネットワーク接続されている。そして、呼制御サーバ10及びIP電話端末40の間のネットワークを介して呼の確立及び解放が行なわれる。また、呼制御サーバ10,第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30の間のネットワークを介して呼情報の伝送などが行なわれる。さらに、IP電話端末40と、第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30と、の間のネットワークを介して通話データの伝送が行なわれる。なお、通話データは、単に音声が変換されたデータのみに限らず、例えば通話に伴う映像データなどを含んでもよい。」
「【0012】
第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30は、少なくともCPU、メモリ及び外部記憶装置を備えたコンピュータで構成されたものである。図2は、第1データ中継サーバ20の機能概要を示す。第1データ中継サーバ20は、IP電話端末40において確立されている呼情報を保持するための呼情報データベース(DB)20A、呼情報DB20Aの更新情報を保持するための一時DB20B(これらのDBの詳細は後述する)を備える。また、データ中継プログラムが実行されると、当該データ中継サーバを現用系として動作させるか予備系として動作させるかの設定に応じて次の機能を実現する。即ち、現用系として動作するときにのみ、呼制御サーバ10と通信し呼情報の受信を行なう一方、呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するなどの処理を行なう呼制御連携部20C,現用系として動作するときにのみ、IP電話端末40間の通話データの中継を行なうデータ中継部20D、及び、現用系として動作するときには呼情報を予備系のデータ中継サーバに送信する一方、予備系として動作するときには、現用系のデータ中継サーバから受信した呼情報などで呼情報DB20A及び一時DB20Bを更新する多重化連携部20Eの機能を実現する。
【0013】
呼情報DB20Aは、図3に示すように、呼情報を一意に特定するための呼情報識別子,発呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す発呼側端末情報,着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す着呼側端末情報,IPアドレス及びポートを変換する必要があるか否かを示すアドレス変換要否,IPアドレス及びポートを変換する必要があるときに発呼側のIPアドレス及びポートが着呼側で認識できるように変換された発呼側変換情報並びに着呼側のIPアドレス及びポートが発呼側で認識できるように変換された着呼側変換情報を含んで構成される。
続きを表示(全14行)
【0014】
一時DB20Bは、図4に示すように、呼情報が呼情報DB20Aに追加されたか呼情報DB20Aから削除されたかを示す更新種別,呼情報識別子,発呼側端末情報,着呼側端末情報,アドレス変換要否,発呼側変換情報及び着呼側変換情報を含んで構成される。
【0015】
また、第2データ中継サーバ30も同様に、呼情報データベース30A,一時DB30B,呼制御連携部30C,データ中継部30D及び多重化連携部30Eを含んで構成される。これらの機能は、夫々呼情報データベース20A,一時DB20B,呼制御連携部20C,データ中継部20D及び多重化連携部20Eと同じであるため、説明を省略する。
【0016】
以下、図5を参照し、第1データ中継サーバ20が現用系、第2データ中継サーバ30が予備系として設定され、第1データ中継サーバ20が正常に動作しているときに、IP電話システムにおいて実行される処理の全体の流れについて説明する。なお、図5では、機能していない部分については表示していない(以下同様)。
【0017】
発呼側のIP電話端末40から、呼の確立要求又は解放要求が発信されると(1)、呼制御サーバ10では、発呼側及び着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを特定し、その呼情報を第1データ中継サーバ20の呼制御連携部20Cに送信する(2)。呼制御連携部20Cでは、呼制御サーバ10から受信した呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するとともに(3)、多重化連携部20Eに、呼情報DB20Aの更新情報を通知する(4)。そして、呼制御サーバ10に呼の確立又は解放を許可する応答を返信し(5)、この応答を受信した呼制御サーバ10では、呼情報を着呼側のIP電話端末40に送信する(6)。さらに、呼制御サーバ10では、着呼側のIP電話端末40から応答が返信されると(7)、この応答を発呼側のIP電話端末40に送信し(8)、呼を確立又は解放する。そして、発呼側のIP電話端末40から、通話データが第1データ中継サーバのデータ中継部20Dに送信され(9)、データ中継部20Dでは、呼情報DB20Aを参照し、受信した通話データに含まれる呼情報と一致する呼情報が、呼情報DB20Aに存在するか否かを確認する(10)。ここで、通話データに含まれる呼情報と一致する呼情報が呼情報DB20Aに存在すれば、通話データを着呼側のIP電話端末40に中継し(11)、存在しなければ、呼が確立されていないものとして当該通話データを破棄する。
【0018】
また、(4)において多重化連携部20Eに呼情報DB20Aの更新情報が通知されると、多重化連携部20Eでは、通知された更新情報を第2データ中継サーバ30の多重化連携部30Eに送信する(12)。そして、多重化連携部30Eでは、受信した更新情報に基づいて一時DB30Bを更新する(13)。また、一方で、多重化連携部20Eでは、所定時間毎に呼情報DB20Aの呼情報を読み込み(14)、多重化連携部30Eに送信する(15)。そして、多重化連携部30Eでは、かかる呼情報DB20Aの呼情報を受信すると、その呼情報に基づいて呼情報DB30Aを更新するとともに(16)、一時DB30Bの呼情報を全て削除する。」
「【0055】
次に、図13を用い、第1データ中継サーバ20に障害が発生し、第2データ中継サーバが予備系から現用系に切り替えられるときに、IP電話データ中継装置で実行される処理の全体の流れについて説明する。
【0056】
多重化連携部30Eでは、一時DB30Bの呼情報を全件読み込み(17)、呼情報DB30Aに反映させる(18)。そして、呼制御連携部30Cでは、呼制御サーバ10と通信を開始する(19)一方、データ中継部30Dでは、各IP電話端末40との通信を開始し、呼情報DB20Aの呼情報が反映された呼情報DB30Aを参照して(20)、データ中継を行なう((21)及び(22))。」

【図1】「

[図:0001398172000001.jpg]

」

【図2】「

[図:0001398172000002.jpg]

」

【図3】「

[図:0001398172000003.jpg]

」

【図4】「

[図:0001398172000004.jpg]

」

【図5】「

[図:0001398172000005.jpg]

」

【図13】「

[図:0001398172000006.jpg]

」

したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「IP電話システムは、IP電話における呼の確立又は解放を行なう呼制御サーバ10、IP電話の通話データを中継する第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30並びにIP電話の通話を行なうIP電話端末40を含んで構成され、
第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30は、同一のハードウェア構成を有し、設定に応じて、一方が現用系、他方が予備系として動作し、
第1データ中継サーバ20は、IP電話端末40において確立されている呼情報を保持するための呼情報データベース(DB)20A、呼情報DB20Aの更新情報を保持するための一時DB20Bを備え、
データ中継プログラムが実行されると、当該データ中継サーバを現用系として動作させるか予備系として動作させるかの設定に応じて次の機能を実現し、即ち、現用系として動作するときにのみ、呼制御サーバ10と通信し呼情報の受信を行なう一方、呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するなどの処理を行なう呼制御連携部20C、現用系として動作するときにのみ、IP電話端末40間の通話データの中継を行なうデータ中継部20D、及び、現用系として動作するときには呼情報を予備系のデータ中継サーバに送信する一方、予備系として動作するときには、現用系のデータ中継サーバから受信した呼情報などで呼情報DB20A及び一時DB20Bを更新する多重化連携部20Eの機能を実現し、
続きを表示(全15行)
呼情報DB20Aは、呼情報を一意に特定するための呼情報識別子、発呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す発呼側端末情報、着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す着呼側端末情報、IPアドレス及びポートを変換する必要があるか否かを示すアドレス変換要否、IPアドレス及びポートを変換する必要があるときに発呼側のIPアドレス及びポートが着呼側で認識できるように変換された発呼側変換情報並びに着呼側のIPアドレス及びポートが発呼側で認識できるように変換された着呼側変換情報を含んで構成され、
第2データ中継サーバ30も同様に、呼情報データベース30A、一時DB30B、呼制御連携部30C、データ中継部30D及び多重化連携部30Eを含んで構成され、
第1データ中継サーバ20が現用系、第2データ中継サーバ30が予備系として設定され、第1データ中継サーバ20が正常に動作しているときに、IP電話システムにおいて実行される処理において、
呼制御サーバ10では、発呼側及び着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを特定し、その呼情報を第1データ中継サーバ20の呼制御連携部20Cに送信し、
呼制御連携部20Cでは、呼制御サーバ10から受信した呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するとともに、多重化連携部20Eに、呼情報DB20Aの更新情報を通知し、
多重化連携部20Eに呼情報DB20Aの更新情報が通知されると、多重化連携部20Eでは、通知された更新情報を第2データ中継サーバ30の多重化連携部30Eに送信し、
多重化連携部30Eでは、受信した更新情報に基づいて一時DB30Bを更新し、
多重化連携部20Eでは、所定時間毎に呼情報DB20Aの呼情報を読み込み、多重化連携部30Eに送信し、
多重化連携部30Eでは、かかる呼情報DB20Aの呼情報を受信すると、その呼情報に基づいて呼情報DB30Aを更新するとともに、一時DB30Bの呼情報を全て削除し、
第1データ中継サーバ20に障害が発生し、第2データ中継サーバが予備系から現用系に切り替えられるときに、IP電話データ中継装置で実行される処理において、
多重化連携部30Eでは、一時DB30Bの呼情報を全件読み込み、呼情報DB30Aに反映させる、IP電話システムにおける第1データ中継サーバ20及び第2データ中継サーバ30。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0031】
OFエージェント1は、コントロールプレーンにおいて、コントローラ3とスイッチ2との間に存在し、コントローラ3とスイッチ2とに接続する。OFエージェント1は、コントローラ3が送信したフローエントリを、スイッチ2が制御可能な形式のフローエントリ又はCLI(Command Line Interface)に変換する。上述のように、コントローラ3から通知されるパケット転送情報を含むフローエントリには、ネクストホップのIPアドレスが含まれていないため、コントローラ3のフローエントリの形式に対応していないスイッチ2に通知するフローエントリ又はCLIを作成できないという問題がある。
【0032】
第1実施形態では、OFエージェント1は、コントローラ3からパケット転送情報を含むフローエントリを受信した場合には、ネクストホップIPアドレスを擬似的に生成する。OFエージェント1は、擬似的に生成したネクストホップIPアドレスを用いて、スイッチ2へ通知するフローエントリ又はCLIを生成する。」

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0052] 図13に示すように、第3実施形態による通信システムの第3例では、図12の例と同様に、サーバ33が通信装置4として動作可能な仮想スイッチ4Aを含むが、さらに、制御装置5の機能がVM等のソフトウェアによりサーバ33上に構成される。図13の例では、制御装置5の機能は、仮想コントローラ5Aとして、サーバ33上に構築される。サーバ33は、例えば、仮想スイッチ4A、仮想ゲートウェイ3Aもしくは仮想コントローラ5Aの少なくとも1つをサーバ33上に起動可能な制御部(図13には図示せず)を備える。図13の例では、仮想ゲートウェイ3Aは、仮想C-Plane30、仮想U-Plane31、仮想スイッチ4Aおよび仮想コントローラ5Aで構成される。図13の例では、サーバ33は、仮想スイッチ4Aもしくは仮想ゲートウェイ3Aの少なくとも一つの機能を有する制御装置5として動作可能である。」

「[0138] 制御装置5Aは、通信装置4Bのフローテーブルに処理規則(フローエントリ)を設定することで、通信装置4Bの動作を制御する。フローエントリは、通信装置4Bが受信したパケットのヘッダに含まれる情報(例えば、宛先IPアドレスやVLAN ID等)と照合するためのマッチングルールと、マッチングルールにマッチするパケットの処理ルールを規定する指示(Instruction)と、を含む。」

[図13]「

[図:0001398172000007.jpg]

」

第5 対比・判断

1 本願発明7について

(1)対比

本願発明7と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「第1データ中継サーバ20」及び「第2データ中継サーバ30」は、いずれも、通信に関する装置であるといえるから、本願発明7の「通信装置」に相当する。また、引用発明の「現用系」及び「予備系」は、それぞれ、本願発明7の「運用系」及び「待機系」に相当する。さらに、引用発明の「呼制御サーバ10」は、制御に関する装置であるといえるから、本願発明7の「制御装置」に相当する。加えて、引用発明の「受信」は、取得する意味も含むから、本願発明7の「取得」に相当する。

イ 引用発明の「呼情報DB20Aの」「更新情報」は、「呼情報DB20Aは、呼情報を一意に特定するための呼情報識別子、発呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す発呼側端末情報、着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを示す着呼側端末情報、IPアドレス及びポートを変換する必要があるか否かを示すアドレス変換要否、IPアドレス及びポートを変換する必要があるときに発呼側のIPアドレス及びポートが着呼側で認識できるように変換された発呼側変換情報並びに着呼側のIPアドレス及びポートが発呼側で認識できるように変換された着呼側変換情報を含んで構成され」、「呼制御サーバ10では、発呼側及び着呼側のIP電話端末40のIPアドレス及びポートを特定し、その呼情報を第1データ中継サーバ20の呼制御連携部20Cに送信し」、「呼制御連携部20Cでは、呼制御サーバ10から受信した呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新する」ことから、「呼制御サーバ10から受信した」「呼情報」と同じ情報であるといえる。したがって、引用発明の「更新情報」は、本願発明7の「呼情報」に相当する。また、引用発明において、「多重化連携部20Eでは、通知された更新情報を第2データ中継サーバ30の多重化連携部30Eに送信」しているが、「更新情報」は「呼制御サーバ10から受信した」「呼情報」と同じ情報であることを踏まえると、上記「送信」は「転送」であるともいえる。したがって、引用発明の「送信」は、本願発明7の「転送」に相当する。

ウ 引用発明において、「第1データ中継サーバ20が現用系、第2データ中継サーバ30が予備系として設定され、第1データ中継サーバ20が正常に動作しているときに、IP電話システムにおいて実行される処理において」、「呼制御連携部20Cでは、呼制御サーバ10から受信した呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するとともに、多重化連携部20Eに、呼情報DB20Aの更新情報を通知し」、「多重化連携部20Eでは、通知された更新情報を第2データ中継サーバ30の多重化連携部30Eに送信」することから、自装置が現用系の第1データ中継サーバ20である場合に、呼制御サーバ10から受信した更新情報を他の予備系の第2データ中継サーバ30に送信しているといえる。

したがって、上記ア、イを踏まえると、引用発明の「自装置が現用系の第1データ中継サーバ20である場合に、呼制御サーバ10から受信した更新情報を他の予備系の第2データ中継サーバ30に送信」する構成は、本願発明7の「自装置が運用系の装置である場合に、制御装置から取得した呼情報を他の待機系の装置に転送」する構成と一致する。

エ 引用発明において、「第1データ中継サーバ20が現用系、第2データ中継サーバ30が予備系として設定され、第1データ中継サーバ20が正常に動作しているときに、IP電話システムにおいて実行される処理において」、「呼制御連携部20Cでは、呼制御サーバ10から受信した呼情報に基づいて呼情報DB20Aを更新するとともに、多重化連携部20Eに、呼情報DB20Aの更新情報を通知し」、「多重化連携部20Eでは、通知された更新情報を第2データ中継サーバ30の多重化連携部30Eに送信し」、「多重化連携部30Eでは、受信した更新情報に基づいて一時DB30Bを更新」することから、自装置が予備系の第2データ中継サーバ30である場合に、送信された更新情報に基づき、一時DB30Bを更新しているといえる。

したがって、上記ア、イを踏まえると、引用発明の「自装置が予備系の第2データ中継サーバ30である場合に、送信された更新情報に基づき、一時DB30Bを更新」する構成は、本願発明7の「自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づき、フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する」構成と、「自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づき、処理を行う」点で共通する。

したがって、本願発明7と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「自装置が運用系の装置である場合に、制御装置から取得した呼情報を他の待機系の装置に転送し、
自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づき、処理を行う、通信装置。」

(相違点)

自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づいて行う処理が、本願発明7では、「フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する」ことであるのに対し、引用発明では、「一時DB30Bを更新」することである点。

(2)相違点についての判断

上記相違点について検討する。

引用文献2-3には、上記相違点に係る本願発明7の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の出願前において周知技術であったともいえない。

また、上記第4の2、3の記載から、「通信装置がフローエントリを生成すること」は、本願の出願前において周知技術であったと認められる。しかしながら、引用発明に上記周知技術を適用しても、「自装置が待機系の装置である場合に、前記転送された呼情報に基づき、フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する」構成には至らない。

したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項から、上記相違点に係る本願発明7の構成を容易に想到することはできない。

よって、本願発明7は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明1について

本願発明1は、上記相違点に係る本願発明7の構成と実質的に同じ「前記待機系の通信装置は、前記転送された呼情報に基づき、フローエントリを前記運用系の通信装置に障害が発生する前に生成する」という構成を備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明2-6について

本願発明2-6は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明8について

本願発明8は、本願発明1の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5 本願発明9について

本願発明9は、本願発明7の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-9は、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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2022-018340

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