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特許拒絶査定不服審判

2022-018182

ダブル発電ユニットシングルセル式モジュール

審判番号
2022-018182
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-514469
請求日
2022年11月11日
審決日
2024年01月05日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】チント・ニュー・エナジー・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 波多江 進
  • 審判官 吉野 三寛
  • 審判官 山村 浩
分類
P18 .55 -Z (H01L) / P18 .57 -Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-514469「ダブル発電ユニットシングルセル式モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月 7日国際公開、WO2020/088027、令和 3年 9月 2日国内公表、特表2021-523581〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)8月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年10月31日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概略は以下のとおりである。 令和3年12月 9日付け:拒絶理由通知書 令和4年 3月16日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月11日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月19日 :原査定の謄本の送達) 同年11月11日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和5年 1月12日付け:前置報告 同月26日 :上申書の提出 第2 令和4年11月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年11月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正後の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「ダブル発電ユニットシングルセル式モジュールであって、 上から下へ順次配置される、上層ガラス(100)と、上層封止膜(200)と、電池シートアレイ層(300)と、下層封止膜(400)と、バックプレート(500)と、前記バックプレート(500)の外部に設けられる接続箱(600)とを備え、 前記電池シートアレイ層(300)は、前記接続箱(600)の正極と負極との間に並列接続される2つの発電ユニット(301)を備え、2つの前記発電ユニット(301)は、前記電池シートアレイ層(300)の中心線の両側に軸対称に設けられ、 前記発電ユニット(301)は、直列接続される複数の大列セルストリング(302)を備え、軸対称に設けられる一組の前記大列セルストリング(302)は、同一のバイパスダイオードに並列接続され、 前記大列セルストリング(302)は、複数の単列セルストリングを備え(303)、前記単列セルストリング(303)は、複数の電池シート(304)を覆瓦状に直列接続して構成され、 複数の前記大列セルストリング(302)の頭尾は、バスバーによって直列接続されて「S」型配列され、前記発電ユニット(301)を構成し、 前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する、離隔装置が更に設けられていることを特徴とするダブル発電ユニットシングルセル式モジュール。」 (2)本件補正前の請求項1、12及び13の記載 本件補正前の、令和4年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、12及び13の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 ダブル発電ユニットシングルセル式モジュールであって、 上から下へ順次配置される、上層ガラス(100)と、上層封止膜(200)と、電池シートアレイ層(300)と、下層封止膜(400)と、バックプレート(500)と、前記バックプレート(500)の外部に設けられる接続箱(600)とを備え、 前記電池シートアレイ層(300)は、前記接続箱(600)の正極と負極との間に並列接続される2つの発電ユニット(301)を備え、2つの前記発電ユニット(301)は、前記電池シートアレイ層(300)の中心線の両側に軸対称に設けられ、 前記発電ユニット(301)は、直列接続される複数の大列セルストリング(302)を備え、軸対称に設けられる一組の前記大列セルストリング(302)は、同一のバイパスダイオードに並列接続され、 前記大列セルストリング(302)は、複数の単列セルストリングを備え(303)、前記単列セルストリング(303)は、複数の電池シート(304)を覆瓦状に直列接続して構成されることを特徴とするダブル発電ユニットシングルセル式モジュール。」 「【請求項12】 複数の前記大列セルストリング(302)は、バスバーによって直列接続されて前記発電ユニット(301)を構成することを特徴とする請求項1に記載のダブル発電ユニットシングルセル式モジュール。」 「【請求項13】 前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、絶縁セパレータが更に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のダブル発電ユニットシングルセル式モジュール。」 2 本件補正の適否 (1)新規事項の追加について 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明に、「複数の前記大列セルストリング(302)の頭尾は、バスバーによって直列接続されて「S」型配列され、前記発電ユニット(301)を構成し」(以下「補正事項1」という。)及び「前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する、離隔装置が更に設けられている」(以下「補正事項2」という。)との限定を行うものである。 そして、補正事項1については、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に、「複数の前記大列セルストリング(302)は、バスバーによって直列接続されて前記発電ユニット(301)を構成する」(【請求項12】)及び「…(前略)…。複数の前記大列セルストリング302は、「S」型配列を呈してもよい。…(中略)…。複数の大列セルストリング302が頭尾直列接続され、…(後略)…。」(【0029】)と、補正事項2については、「前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、絶縁セパレータが更に設けられている」(【請求項13】)及び「具体的な実施では、電池シート304に接触するバスバーが動作中に熱を生じさせ、且つ電池シート304に対して排水効果を発生し、モジュールの発電パワーに不良な影響を与えるため、バスバーと電池シート304との動作安定性が保証されるように、バスバーと電池シート304の間には、離隔装置が設けられてもよい。離隔装置の選択は、複数種の実施案があり得る。例えば、絶縁セパレータが低価でありながらその絶縁効果が強いため、前記バスバーと前記電池シート304の間には、絶縁セパレータが更に設けられてもよい。」(【0038】)と記載されており、新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしている。 (2)本件補正の目的について ア 特許請求の範囲の限定的減縮について (ア)補正事項1は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項(以下「本件補正前請求項1発明特定事項」という。)である「直列接続される」「複数の大列セルストリング」について、「大列セルストリング」の「頭尾」が、「バスバー」によって、「直列接続」されて「S」型配列されると、その構成を限定的に減縮するものといえる。 (イ)補正事項2について a 補正事項2は、本件補正前の請求項1に「離隔装置」を追加するものであるところ、当該「離隔装置」を追加する補正事項は、本件補正前請求項1発明特定事項を減縮するものとはいえない。 また、補正事項2が、「バスバー」と「電池シート」との配置関係を減縮するものとみる余地があるとしても、本件補正前の発明の解決しようとする課題は、ホットスポット効果が発生するときに、バイパスダイオードが過大な負荷電圧によって降伏することなく、パワーロスが低いダブル発電ユニットシングルセル式モジュールを提供することと認められ(【0004】~【0005】、【0019】)、本件補正後の発明の解決しようとする課題は、バスバーの動作中の発熱による電池シートに対する排水効果の発生を低減することと認められるから(【0038】)、本件補正前後の発明の解決しようとする課題は一致していないし、技術的に密接に関連するものともいえない。 b また、本件補正は、補正前の請求項1の記載を引用する請求項12の記載を引用する請求項13に記載された発明に記載された発明を特定するために必要な事項を減縮するものともいえない。 すなわち、本件補正前の請求項13には「絶縁セパレータが更に設けられている」と記載されており、「絶縁セパレータ」を「離隔装置」とする補正は、電気的な離隔を電気的以外(例えば、配置)の離隔にまで技術的範囲を拡張するものであるから、減縮に当たるとはいえない。 イ 請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載について 本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものではないことも明らかである。 ウ 結論 以上より、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げる「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記の訂正」又は「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的としたものにも該当しないから、同項の規定を満たしていない。 (3)独立特許要件 本件補正は、上記(2)において検討したとおり、特許法17条の2第5項の規定を満たしていないが、仮に、本件補正が同項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、予備的に検討する。 ア 明確性要件違反について 本件補正後の請求項1に記載された、「電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する」との記載は、どのような技術的事項を特定するものであるか不明であるから、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 すなわち、当該記載は、「離隔装置」を特定しようとするものであり、バスバーが電池シートと接触している場合に生じる不具合を低減するものと理解できるとしても、「発熱による排水効果」なるものが、明細書の記載及び技術常識に照らしてもどのようなものか不明であるから、本件補正発明は明確でない。 イ 進歩性欠如について (ア)本件補正発明 上記アのとおり、本件補正発明は、「電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する」との記載について、どのような技術的事項を特定するものであるか不明であるが、以下に摘記する明細書の【0038】における、離隔装置として絶縁セパレータを用いるとの記載を参酌して、「電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する」との構成は、離隔装置として絶縁セパレータを用いることで満たされるものとして、本件補正発明を上記1(1)に記載したとおりのものと認める。 「【0038】 …(前略)…。離隔装置の選択は、複数種の実施案があり得る。例えば、絶縁セパレータが低価でありながらその絶縁効果が強いため、前記バスバーと前記電池シート304の間には、絶縁セパレータが更に設けられてもよい。」 (イ)引用文献の記載事項及び引用発明の認定 a 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に発行された文献である、中国特許出願公開第108682700号明細書(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審が付した。以下同様。) (a)請求項9及び10 [図:0001410755000001.jpg] (日本語訳: 9.請求項1~8のいずれか1項に記載の複数のMBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリを備えることを特徴とする光起電力モジュール。 10.前記光起電力モジュールは、対称に配置された上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリとを備え、前記上半分電池アセンブリは、前記下半分電池アセンブリと並列に接続され、前記光起電力モジュールの出力端は、前記上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリの並列接続ラインから導かれ、 前記上半分電池アセンブリと前記下半分電池アセンブリは、それぞれ直列に接続された複数の電池直列アセンブリを含み、前記電池直列アセンブリの各組は、直列に接続された2組の電池並列アセンブリを含み、前記電池並列アセンブリの各組は、並列に接続された少なくとも2組の前記MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリを含み、 前記電池直列アセンブリの各組は、バイパスダイオードによってさらに接続されている、請求項9に記載の光起電力モジュール。) (b)[0002] [図:0001410755000002.jpg] (日本語訳: 現在、太陽光発電モジュールの高効率化は様々な技術ルートがあり、セル自体のセルプロセスと部品生産プロセスの改善から、従来のセル生産と比較して大幅に改善され、純粋に高効率のセル生産プロセス、例えば:PERC、HIT、IBC、MWT、バイフェイシャルセル、マルチマスターグリッド(マルチバスバー、MBB)技術などがある。) (c)[0036]~[0044] [図:0001410755000003.jpg] (日本語訳: [0036] 図1は、本発明の実施形態によって提供されるMBBマルチメイングリッドセルの概略構造を示す。 [0037] 図2は、本発明の実施形態によって提供されるMBBマルチメイングリッドスライスの概略構造を示す。 [0038] 図3は、本発明の実施形態によって提供されるMBBマルチメイングリッドスライス積層領域の連結断面図の1を示す。 [0039] 図4は、本発明の実施形態によって提供されるMBBマルチメイングリッドスライス積層領域の連結断面図の2を示す。 [0040] 図5は、本発明の実施形態によって提供される光起電力モジュールの概略構造を示す。 [0041] 図6は、図5のA部分の部分拡大図、すなわち積層アセンブリの構造の概略図である。 [0042] 図7は、本発明の一実施形態によって提供される光起電力モジュール内の積層アセンブリを一定の間隔で引き離した場合の、より明確な構造を示す概略図である。 [0043] 図8は、本発明の実施形態によって提供される光起電力モジュールの回路の概略図である。 [0044] 1 MBBマルチメイングリッドスライス、11 積層エリア、12 非積層エリア、2 メイングリッド、3 MBBマルチメイングリッドセル、4 銅線はんだ付けテープ、5 導電性接着剤、6 コレクターバー。) (d)[0046] [図:0001410755000004.jpg] (日本語訳: 本発明の目的を達成するために、MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリおよび光起電力モジュールの実施形態のいくつかにおいて、図1、図2、および図6に示すように、MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリは:複数のMBBマルチメイングリッドスライス1を含み、MBBマルチメイングリッドスライス1は、12個のメイングリッド2を備え、MBBマルチマスターグリッドスライス1は、MBBマルチメイングリッドセル3から、MBBマルチメイングリッドセル上のメイングリッドに垂直な方向に沿って切断される。MBBマルチメイングリッドスライス1は、MBBマルチメイングリッドセル3の1/4である。) (e)[0048]~[0051] [図:0001410755000005.jpg] (日本語訳: [0048] MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリを準備する方法であって、以下のステップを含む方法: [0049] MBBマルチメイングリッドセル3を複数用意する。 [0050] MBBマルチメイングリッドセル3上のメイングリッド2に垂直な方向に沿って切断工具を用いてMBBマルチメイングリッドセル3を切断することにより、複数のMBBマルチメイングリッドスライス1を準備する。 [0051] MBBマルチメイングリッドスライス1は、部分的に重なるように接続され、隣接する2つのMBBマルチメイングリッドスライス1上のメイングリッド2は対応するように接続される。) (f)[0066] [図:0001410755000006.jpg] (日本語訳: 本発明の効果をさらに最適化するために、他のいくつかの実施形態では、MBBマルチメイングリッドスライス1の表側と裏側が、積層領域11と非積層領域12とから構成され、隣接するMBBマルチメイングリッドスライス1が積層領域12で重なり合って接続されるという相違点を除いて、残りの特徴は技術的に同じである。) (g)[0083] [図:0001410755000007.jpg] (日本語訳: 本発明の実施の効果をさらに最適化するために、いくつかの他の実施の形態では、残りの特徴技術は同じであるが、コレクターバー6も含まれ、コレクターバー6はMBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリの端部に設けられ、コレクターバー6はMBBマルチメイングリッドスライス1のメイングリッド2に対して垂直であるという相違がある。) (h)図3、5~8 「 図3 [図:0001410755000008.jpg] 」 「 図5 [図:0001410755000009.jpg] 」 「 図6 [図:0001410755000010.jpg] 」 「 図7 [図:0001410755000011.jpg] 」 「 図8 [図:0001410755000012.jpg] 」 b 引用文献の記載から読み取れる事項 上記aの記載事項より、以下の技術的事項が認められる。 (a)バイパスダイオードは上半分電池アセンブリに含まれる電池直列アセンブリに並列接続されており、上半分電池アセンブリに含まれる電池直列アセンブリに並列接続されているバイパスダイオードが、当該電池直列アセンブリと対称に配置された下半分電池アセンブリに含まれる電池直列アセンブリに並列接続されるバイパスダイオードと兼用されていること。(上記a(h)の図7及び8) (b)上記a(h)の図5及び6を参酌しつつ、図7より、複数の電池並列アセンブリのプラス側とマイナス側は、コレクターバーによって直列接続されており、複数の電池並列アセンブリが、上向き、左向き、下向き、左向きを繰り返し、蛇行して接続されている配置(下記参考図参照)がみてとれること。 <参考図> 「 [図:0001410755000013.jpg] 」 (c)上記a(h)の図5及び7を参酌すると、図6に記載された「MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリ」の上端部に設けられたコレクターバー6は「―(マイナス)」側と、下端部に設けられたコレクターバー6は「+(プラス)」側とみてとれるから、当該「MBBマルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を構成する「複数のMBBマルチメイングリッドスライス1」は、電気的に直列接続されているものと理解できる。 c 引用発明の認定 以上a及びbより、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。 <引用発明> 「光起電力モジュールであって、 複数のMBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリを備え、(請求項9、[0002]) 前記光起電力モジュールは、対称に配置された上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリとを備え、 前記上半分電池アセンブリは、前記下半分電池アセンブリと並列に接続され、 前記光起電力モジュールの出力端は、前記上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリの並列接続ラインから導かれ、 前記上半分電池アセンブリと前記下半分電池アセンブリは、それぞれ直列に接続された複数の電池直列アセンブリを含み、 前記電池直列アセンブリの各組は、直列に接続された2組の電池並列アセンブリを含み、 前記電池並列アセンブリの各組は、並列に接続された少なくとも2組の前記MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリを含み、 前記電池直列アセンブリの各組は、バイパスダイオードによってさらに接続されており、(請求項10) 前記MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリは、複数のMBBマルチメイングリッドスライスを含み、([0046]) 前記MBBマルチメイングリッドスライスの表側と裏側が、積層領域と非積層領域とから構成され、隣接するMBBマルチメイングリッドスライスが積層領域で重なり合って接続され、([0066]) 前記複数のMBBマルチメイングリッドスライスは、電気的に直列接続されており、(上記b(c)) 前記複数のMBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドスライスは、MBBマルチメイングリッドセルを切断することにより準備され、([0050]) 前記バイパスダイオードは前記上半分電池アセンブリに含まれる前記電池直列アセンブリに並列接続されており、前記バイパスダイオードは、当該電池直列アセンブリと対称に配置された前記下半分電池アセンブリに含まれる前記電池直列アセンブリに並列接続されるバイパスダイオードと兼用されており、(上記b(a)) 複数の前記電池並列アセンブリのプラス側とマイナス側は、コレクターバーによって直列接続され、複数の電池並列アセンブリが、上向き、左向き、下向き、左向きを繰り返し、蛇行して接続された配置である、(上記b(b)) 光起電力モジュール。」 (ウ)本件補正発明と引用発明の対比及び判断 a 対比(一致点及び相違点) 本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 (a)本件補正発明の「ダブル発電ユニットシングルセル式モジュールであって」との特定事項について (i)引用発明の「光起電力モジュール」は、「対称に配置された上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリとを備え」、「前記上半分電池アセンブリは、前記下半分電池アセンブリと並列に接続され」ているから、当該「光起電力モジュール」は、「上半分電池アセンブリ」と「下半分電池アセンブリ」の2つ電池アセンブリから構成されているものと理解でき、このことは、本件補正発明のモジュールが「ダブル発電ユニット」であることに相当する。 (ii)また、引用発明は、「複数のMBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を備えているところ、当該「MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」は、「複数のMBBマルチメイングリッドスライスを含み」、「前記MBBマルチメイングリッドスライスの表側と裏側が、積層領域と非積層領域とから構成され、隣接するMBBマルチメイングリッドスライスが積層領域で重なり合って接続されて」いる。そして、一般に「シングルセル式モジュール(シングルドセル(shingled-cell)式モジュール)」と呼称される太陽電池モジュールは、太陽電池セルをこけら葺(瓦葺)に配置するものであるから、前記のように構成される「MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を備える引用発明は、「シングルセル式モジュール」と理解することができ、この理解は、本件明細書の「シングルセル式モジュールは、直接電池シートを2つずつ接着して直列接続し、溶接テープの使用を回避させ」(【0003】)との記載からも首肯できるものである。 (iii)よって、引用発明の「光起電力モジュール」は、本件補正発明の「ダブル発電ユニットシングルセル式モジュール」に相当するといえる。 (b)本件補正発明の「上から下へ順次配置される、上層ガラス(100)と、上層封止膜(200)と、電池シートアレイ層(300)と、下層封止膜(400)と、バックプレート(500)と、前記バックプレート(500)の外部に設けられる接続箱(600)とを備え」との特定事項について 引用発明の「複数のMBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を構成する層は、対称に配置された上半分電池アセンブリと下半分電池アセンブリによりアレイ状に配置されているといえるから、本件補正発明の「電池シートアレイ層」に相当する。よって、本件補正発明と引用発明は、「電池シートアレイ層」を備える点で共通する。 他方、引用発明は、その余の上記特定事項を備えるか不明である。 (c)本件補正発明の「前記電池シートアレイ層(300)は、前記接続箱(600)の正極と負極との間に並列接続される2つの発電ユニット(301)を備え、2つの前記発電ユニット(301)は、前記電池シートアレイ層(300)の中心線の両側に軸対称に設けられ」との特定事項について 引用発明の「上半分電池アセンブリ」と「下半分電池アセンブリ」(以下「上下電池アセンブリ」という。)は、「対称に配置され」、「並列に接続され」ている。そうすると、引用発明の「上下電池アセンブリ」は、本件補正発明の「2つの発電ユニット」に相当し、本件補正発明の「並列接続される」及び「中心線の両側に軸対称に設けられ」との上記特定事項を満たすといえる。 そうすると、本件補正発明と引用発明は、上記特定事項の「前記電池シートアレイ層(300)は、」「並列接続される2つの発電ユニット(301)を備え、2つの前記発電ユニット(301)は、前記電池シートアレイ層(300)の中心線の両側に軸対称に設けられ」との点で共通し、その余の点で相違する。 (d)本件補正発明の「前記発電ユニット(301)は、直列接続される複数の大列セルストリング(302)を備え、軸対称に設けられる一組の前記大列セルストリング(302)は、同一のバイパスダイオードに並列接続され」との特定事項について (i)引用発明の「上下電池アセンブリ」は、それぞれ「直列に接続された複数の電池直列アセンブリ」を含み、当該「電池直列アセンブリ」は、「直列に接続された2組の電池並列アセンブリを含」むものであるところ、引用発明の「電池並列アセンブリ」は、本件補正発明の「大列セルストリング」に相当するといえる。よって、引用発明は、本件補正発明の「前記発電ユニット(301)は、直列接続される複数の大列セルストリング(302)を備え」との特定事項を満たしている。 (ii)引用発明の「バイパスダイオード」は、「前記上半分電池アセンブリに含まれる電池直列アセンブリに並列接続されており」、「当該電池直列アセンブリと対称に配置された下半分電池アセンブリに含まれる電池直列アセンブリに並列接続されるバイパスダイオードと兼用されて」いる。そうすると、引用発明の「バイパスダイオード」は、本件補正発明の「バイパスダイオード」に相当し、本件補正発明と引用発明は、「軸対称に設けられる一組の」発電ユニット「は、同一のバイパスダイオードに並列接続され」との点で共通するといえる。 (e)本件補正発明の「前記大列セルストリング(302)は、複数の単列セルストリングを備え(303)、前記単列セルストリング(303)は、複数の電池シート(304)を覆瓦状に直列接続して構成され」との特定事項について (i)本件補正発明の「大列セルストリング(302)」に相当する引用発明の「電池並列アセンブリ」(上記(d)(i)参照)は、「並列に接続された少なくとも2組の前記MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を含むものであり、当該「少なくとも2組の前記MBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」は、本件補正発明の「複数の単列セルストリング」に相当する。 (ii)引用発明「MBBマルチメイングリッドスライス」は、「MBBマルチメイングリッドセルを切断したもの」であるから、セル、すなわち(太陽)電池と理解できる。 よって、引用発明の「複数のMBBマルチメイングリッドスライス」は本件補正発明の「複数の電池シート」に相当する。 (iii)引用発明の「複数のMBBマルチメイングリッドスライス」は、「隣接するMBBマルチメイングリッドスライス」の一方の「表側」と他方の「裏側」とが、「積層領域で重なり合って接続され」るものであるから、「覆瓦状」ということができ、それらは「電気的に直列接続され」たものである。 よって、引用発明は、本件補正発明の「複数の電池シート(304)を覆瓦状に直列接続して構成され」との構成を満たすといえる。 (iv)上記(i)~(iii)から、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たすといえる。 (f)本件補正発明の「複数の前記大列セルストリング(302)の頭尾は、バスバーによって直列接続されて「S」型配列され、前記発電ユニット(301)を構成し」との特定事項について (i)引用発明の「複数の前記電池並列アセンブリのプラス側とマイナス側」は、本件補正発明の「複数の前記大列セルストリング(302)の頭尾」に相当する。 (ii)引用発明は、「複数の前記電池並列アセンブリのプラス側とマイナス側は、コレクターバーによって直列接続され」るものであるから、引用発明の「コレクターバー」は、本件補正発明の「バスバー」に相当する。 (iii)引用発明の「複数の電池並列アセンブリが、上向き、左向き、下向き、左向きを繰り返し、蛇行して接続された配置」は、本件補正発明の「「S」型配列」に相当する。 (iv)引用発明は、「複数の前記電池並列アセンブリのプラス側とマイナス側は、コレクターバーによって直列接続され、複数の電池並列アセンブリが、上向き、左向き、下向き、左向きを繰り返し、蛇行して接続された配置」によって上半分電池アセンブリ及び下半分電池アセンブリを構成するものであるから、上記(i)~(iii)も踏まえれば、本件補正発明の上記特定事項を満たすといえる。 (g)本件補正発明の「前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する、離隔装置が更に設けられている」との特定事項について 引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たしていない。 (h)以上より、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりと認められる。 <一致点> 「ダブル発電ユニットシングルセル式モジュールであって、 電池シートアレイ層(300)を備え、 前記電池シートアレイ層(300)は、並列接続される2つの発電ユニット(301)を備え、2つの前記発電ユニット(301)は、前記電池シートアレイ層(300)の中心線の両側に軸対称に設けられ、 前記発電ユニット(301)は、直列接続される複数の大列セルストリング(302)を備え、軸対称に設けられる一組の発電ユニットは、同一のバイパスダイオードに並列接続され、 前記大列セルストリング(302)は、複数の単列セルストリングを備え(303)、前記単列セルストリング(303)は、複数の電池シート(304)を覆瓦状に直列接続して構成され、 複数の前記大列セルストリング(302)の頭尾は、バスバーによって直列接続されて「S」型配列され、前記発電ユニット(301)を構成する、 ダブル発電ユニットシングルセル式モジュール。」 <相違点> ・相違点1 本件補正発明は、「上から下へ順次配置される、上層ガラス(100)と、上層封止膜(200)と、電池シートアレイ層(300)と、下層封止膜(400)と、バックプレート(500)と、前記バックプレート(500)の外部に設けられる接続箱(600)」を備え、「並列接続される2つの発電ユニット(301)」が、「接続箱(600)の正極と負極との間に」接続されているのに対し、引用発明は、「複数のMBB(マルチバスバー)マルチメイングリッドセル積層アセンブリ」を備えるものの、上層ガラス、上層封止膜、下層封止膜、バックプレート及び接続箱を備えるか不明である点。 ・相違点2 「バイパスダイオード」について、本件補正発明は「軸対称に設けられる一組の前記大列セルストリング(302)」が、同一のバイパスダイオードに並列接続されるのに対し、引用発明は、「前記上半分電池アセンブリに含まれる前記電池直列アセンブリ」と「当該電池直列アセンブリと対称に配置された前記下半分電池アセンブリに含まれる前記電池直列アセンブリ」がバイパスダイオードを兼用し、バイパスダイオードが両電池直列アセンブリに並列接続されるものの、本件補正発明の「大列セルストリング」に相当する「電池並列アセンブリ」に並列接続されるものではない点。 ・相違点3 本件補正発明は、「前記バスバーと前記電池シート(304)との間には、電池シート304に接触する前記バスバーの動作中の発熱による電池シート304に対する排水効果の発生を低減する、離隔装置が更に設けられている」のに対し、引用発明は、当該離隔装置が設けられているかどうか不明である点。 b 判断 (a)相違点1について 一般に、光起電力モジュールが、前面(光入射面)側から順次配置される、前面シート(ガラスシート)、前面側封止部材、太陽電池セル、後面側封止部材及び後面シート並びに後面シート上に設けられる接続箱を備えることは、光起電力モジュールの構成として周知技術(以下「周知技術1」という。例えば、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された周知技術を示す文献である特表2017-517145号公報(以下「周知技術文献1」という。)の【図8A】、【9A】、【0283】及び【0299】参照。)である。 他方、引用発明は「光起電力モジュール」であるから、モジュールを構成するに際して、前記周知技術1を適用する動機はあるといえる。 よって、引用発明に前記周知技術1を適用し、相違点1に係る本件補正発明のごとく、「上から下へ順次配置される、上層ガラス(100)と、上層封止膜(200)と、電池シートアレイ層(300)と、下層封止膜(400)と、バックプレート(500)と、前記バックプレート(500)の外部に設けられる接続箱(600)」を備える構成とすることは、当業者が容易になし得たことといえる。そして、引用発明に前記周知技術1を適用することにより、引用発明の「上下電池アセンブリ」は、接続箱の正極と負極の間に接続されるものと理解できるから、相違点1に係る本件補正発明の「並列接続される2つの発電ユニット(301)」が、「接続箱(600)の正極と負極との間に」接続されているとの構成を満たすことになる。 (b)相違点2について 引用発明の「電池直列アセンブリ」は、「直列に接続された2組の電池並列アセンブリ」を含むものである。そうすると、引用発明から出発して相違点2に係る構成に至るためには、「直列に接続された2組の電池並列アセンブリ」に対して「バイパスダイオード」が並列に接続されている構成を、「直列に接続された2組の電池並列アセンブリ」における2組の「電池並列アセンブリ」のそれぞれに対して「バイパスダイオード」を並列に接続する構成に至れば足りるから、そのようにすることが当業者が容易になし得たことといえるかについて検討する。 ここで、太陽電池セルを直列接続した太陽電池アレイ等にバイパスダイオードを並列接続するに際して、どのような単位(太陽電池セル毎、2つの太陽電池セル毎、太陽電池アレイ毎等)に対してバイパスダイオードを接続するかは、コストとバイパスすべき太陽電池セルの数との兼ね合いや配置設計等に応じ、当業者が適宜設計し得る事項であって、直列接続される2つの電池並列アセンブリのそれぞれにバイパスダイオードを設ける構成も周知技術(以下「周知技術2」という。例えば、周知技術文献1の【図13B】及び【0331】、原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用された周知技術を示す文献である中国実用新案第207624722号明細書の図1及び[0018]参照。)ということができる。 そして、上記のとおり、「バイパスダイオード」をどのような単位に対して接続するかは、当業者が適宜設計し得る事項といえるから、引用発明に前記周知技術2を適用し、「直列に接続された2組の電池並列アセンブリ」毎に並列接続されている「バイパスダイオード」を、「電池並列アセンブリ」毎に並列に接続し、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことといえる。 (c)相違点3について 太陽電池モジュールにおいて、複数の太陽電池アレイ(ストリング)間を電気的に接続する部材であるバスバーを、正面から見てその専有面積を小さくするために電池シートの裏側に折り返し、絶縁部材を介して電池シートに配すること、言い換えれば、電池シートとバスバーとの間に絶縁部材を配して電気的及び空間的に離隔することは周知技術(以下「周知技術3」という。例えば、周知技術文献1の【図8D】、【0287】及び【0288】、本審決において新たに引用する中国実用新案第207611781号明細書の図4及び[0025]並びに本審決において新たに引用する特表2018-515934号公報の図14及び【0041】参照。)である。 他方、モジュールの小型化は、常に求められることであるから、引用発明に前記周知技術3を適用する動機はあるといえる。 よって、引用発明のコレクターバーの専有面積を小さくするため、引用発明に前記周知技術3を適用して、引用発明の「コレクターバー」を「MBBマルチメイングリッドスライス」の裏側に折り返し、「MBBマルチメイングリッドスライス」と「コレクターバー」との間に絶縁部材を配して、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことといえる。 (d)総合検討 そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術1~3の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (e)審判請求人の主張について 審判請求人は、次のことを主張している。 (i)複数の大列セルストリングの頭尾が、バスバーによって直列接続されて「S」型配列されることは、引用文献1~3には開示も示唆もされておらず、この構成により、レイアウトが整列し、使用される導電性媒体が最も少なく生産コストが低くなること。 しかしながら、上記a(f)に説示のとおり、引用発明は上記の構成を満たしており、この点において本件補正発明と引用発明は相違しない。 (ii)バスバーと電池シートとの間に、離隔装置が更に設けられていることは、引用文献1~3には開示も示唆もされておらず、この構成により、電池シートに接触するバスバーの動作中の発熱による電池シートに対する排水効果の発生が低減され、モジュールの発電パワーに不良な影響を与えることを低減し、バスバーと電池シートの動作安定性が補償されること。 しかしながら、上記(c)に説示のとおり、引用発明に周知技術3を適用して上記構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。また、審判請求人の主張する「排水効果」は、上記アに説示のとおり、技術的にいかなるものか不明であり、その効果を参酌することはできないし、仮に何らかの効果があるとしても、引用発明に周知技術3を適用して上記構成が満たされることにより、必然的に奏される効果に過ぎないともいえる。 (iii)よって、審判請求人の上記主張は上記判断を左右するものではない。 (f)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 独立特許要件のまとめ よって、本件補正発明は、特許法36条6項2項に規定する要件を満たしておらず、また、同法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。 3 本件補正についてのむすび 以上より、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定を満たしていないか、又は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年11月11日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~13に係る発明は、令和4年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は次の理由により特許を受けることができない、というものを含むものである。 本願発明は、その出願の優先日前に頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に例示される周知技術に基づいて、その出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 1.中国特許出願公開第108682700号明細書 2.特表2017-517145号公報(周知技術を示す文献) 3.中国実用新案第207624722号明細書(周知技術を示す文献) 3 判断 (1)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(中国特許出願公開第108682700号明細書)の記載事項及び引用発明の認定は、前記第2の[理由]2(3)イ(イ)に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「複数の大列セルストリング」に係る限定事項を削除し、「離隔装置」との限定事項を削除したものである(前記第2の[理由]2(2)ア参照。)。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)イに記載したとおり、引用発明及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、同様の理由により、本願発明は、引用発明及び周知技術1~2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-018182

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