特許拒絶査定不服審判
2022-017907
冷蔵庫
- 審判番号
- 2022-017907
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-170404
- 請求日
- 2022年11月08日
- 審決日
- 2023年09月11日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 間中 耕治
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P18 .121-WY (F25D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2018-170404「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月19日出願公開、特開2020- 41769、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月12日の出願であって、令和4年5月13日付けで拒絶理由が通知され、同年7月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月6日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して同年11月8日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされ、令和5年1月5日に上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
●理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由2.(進歩性)
・請求項1に対して 引用文献1及び4
・請求項2に対して 引用文献1、3及び4
<引用文献等一覧>
1.特開2015-14373号公報
2.特開平8-327187号公報
3.特開2009-162425号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2000-161830号公報
第3 本願発明
令和4年11月8日の手続補正は、適法なものである。
よって、本願の請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和4年11月8日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器の下流に設けられる毛細管と、
前記毛細管から出力される冷媒を蒸発させることによって庫内を冷却する冷却器と、
前記冷却器から前記圧縮機へ戻される冷媒と前記毛細管を流れる冷媒との間で熱交換を行なうように構成された熱交換器と、
前記毛細管の上流に設けられ、前記凝縮器と前記毛細管との間の配管に設けられる膨張弁と、
前記凝縮器と前記膨張弁との間の配管に設けられるドライヤと、
前記膨張弁の開度を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記熱交換器を通過して前記圧縮機へ吸入される吸入冷媒の温度を、前記膨張弁の開度を絞ることによって低下させつつ、前記吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように前記開度を制御する、冷蔵庫。
【請求項2】
前記圧縮機及び前記凝縮器が配設される機械室をさらに備え、
前記膨張弁及び前記ドライヤは、前記機械室に配設される、請求項1に記載の冷蔵庫。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-14373号公報(以下「引用文献1」という。)には、「冷蔵庫」に関して、次の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
(1)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の冷蔵庫では、結露防止配管(防露パイプ)に冷媒を流す冷媒流路と、結露防止配管をバイパスさせる冷媒流路を設けている。この構成により、結露防止配管から放熱される熱を利用して断熱箱体に形成された貯蔵室の開口縁を加熱し、結露の発生を抑制している。しかしながら、同時に開口縁と隣接する貯蔵室内にもその熱の一部が侵入して加熱することになる。
【0007】
従って、結露防止配管による開口縁の加熱は、冷凍サイクルで吸熱する貯蔵室内の熱を増やしてしまうので、省エネルギー性能の低下をもたらす要因の一つであった。そのため、結露防止配管を備える冷媒流路と、結露防止配管をバイパスさせる冷媒流路を、冷媒流路制御手段により切り換えて、結露防止配管による加熱量を適切に制御して、省エネルギー性能を高めている。」
(2)「【0027】
次に本実施例の冷凍サイクル構成を示す。図3は、実施例1に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)の構成を説明する図である。本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である貯蔵室外放熱器41と壁面放熱配管42、仕切り壁28、29、30の前面部、すなわち開口縁への結露を抑制する結露防止配管43、冷媒を減圧させる減圧手段である第一のキャピラリチューブ44aと第二のキャピラリチューブ44b、冷媒と貯蔵室内の空気を熱交換させて、貯蔵室内の熱を吸熱する蒸発器7とを備え、これらにより貯蔵室内を冷却している。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ45と、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器46を備え、さらに冷媒合流部200と、冷媒流路を制御する二方弁100、三方弁110も備えており、これらを接続配管72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84によりそれぞれ接続することで冷凍サイクルを構成している。なお、本実施例の冷蔵庫1は、冷媒にイソブタンを用いている。また、本実施例の圧縮機24はインバータを備えて回転速度を変えることができるが、過度に低速で圧縮機24を駆動させると、圧縮機24内の潤滑油が流れ難くなるので、回転速度には下限を設けている。」
(3)「【0053】
圧縮機24に流入した状態Aの冷媒は、圧縮機24により圧縮されるので、冷媒の比エンタルピーはh1からh2、圧力はP1からP2に増加する(状態AからB)。圧縮されて高温高圧となった冷媒(状態B)は、貯蔵室外放熱器41(状態BからC)、壁面放熱器42(状態CからD)、結露防止配管43(状態DからE)の順に放熱して、冷媒の比エンタルピーはh2からh3に減少する。状態Eに至った冷媒は、第一のキャピラリチューブ44aを通過する際に減圧されながら、熱交換部47において接続配管84内の冷媒と熱交換するので、比エンタルピーはh3からh4に減少し、冷媒の圧力はP2からP1に減少する(状態EからF)。その後、蒸発器7の入口部の冷媒(状態F)は、貯蔵室内の空気と熱交換することによって吸熱し、冷媒の比エンタルピーはh4からh5に増加する(状態FからG)。蒸発器7の出口部の冷媒(状態G)は、熱交換部47において第一のキャピラリチューブ44aから移動する熱によって冷媒の比エンタルピーがh5からh1に増加した後、再び圧縮機24に戻る(状態GからA)。モリエル線図上に示す、状態A-B-C-D-E-F-Gの循環の間に、冷媒は大きく分けて気相域、気液二相域、液相域の3つの状態に変化する。」
(4)「【0103】
キャピラリチューブ44は、減圧手段としての機能と共に、冷媒配管84の冷媒と熱交換する熱交換部47としての機能も備えている。実施例1で図8を用いて説明したように、熱交換部47を設けることによって蒸発器7での吸熱量が増え、省エネルギー性能が向上する。そのため、実施例2の冷蔵庫1は、膨張弁120に加えて第三のキャピラリチューブ44cを設けることで、熱交換部47による省エネルギー性能向上効果を得ることができる。」
(5)「【0132】
(変形例3)
次に、図15cの冷凍サイクル構成について説明する。図15cは、四方弁130と膨張弁121を用いた、実施例3の変形例3に関する冷凍サイクルの構成を説明する図である。図15cに示す冷蔵庫では、図14に示した冷蔵庫における第一の三方弁111と逆止弁120の代わりに、四方弁130を備え、第二の三方弁112と第四のキャピラリチューブ44d、第五のキャピラリチューブ44eの代わりに、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cを備えている。膨張弁121は冷媒配管87と冷媒配管79によりドライヤ45と第三のキャピラリチューブ44cに接続され、第三のキャピラリチューブ44cの他端は冷媒配管82により蒸発器7と接続されている。その他の配管の接続と、四方弁130は図15aと同様のもので、説明は省略する。」
(6)「【0133】
本実施例の膨張弁121は、冷媒配管87と冷媒配管79との間での減圧を極力抑えて連通させる開モードと、冷媒流路を縮小させて冷媒配管79と冷媒配管80の間で減圧させる減圧モードを備えている。また、減圧モードには複数の段階を設けており、膨張弁121の絞りの強さを細かく調整することができる。第三のキャピラリチューブ44cの絞りの強さは熱負荷の大きい場合に適切な減圧量を得られるように調整されている。熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるようにしている。
【0134】
以上の構成から、結露防止配管43による加熱量を四方弁130のAモードとBモードの切り換えにより制御し、膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御することができる。さらに、図15cに示す冷蔵庫は、四方弁130がXモードを備えており、圧縮機24を停止した時に四方弁130をXモードとすることで、圧縮機24から結露防止配管43までの高温の冷媒が、圧縮機24を停止した時に蒸発器7へと流入することを抑制することができる。すなわち、結露防止配管による加熱量の制御と、蒸発器への高温冷媒の流入抑制と、蒸発圧力の制御を行うことができ、図14に示した冷蔵庫と同様に、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得られる。なお、四方弁130がXモードを備えていない場合においても、膨張弁121に冷媒流路を閉鎖させる閉モードを設けて、圧縮機24停止時に四方弁130をAモード、膨張弁121を閉モードとすることで、同様の効果を得ることができる。」
(7)「【図15c】
[図:0001402527000001.jpg]
」
(8)上記(1)ないし(7)から認められること
ア 上記(2)及び【図15c】から、貯蔵室外放熱器41は、圧縮機24からの冷媒を放熱するものであることが把握できる。
イ 上記【図15c】から、キャピラリチューブ44cは、放熱器41の下流に設けられていることが看取できる。
ウ 上記【図15c】から、蒸発器7は、キャピラリチューブ44cと冷媒配管により接続されることが看取できる。
エ 上記(4)及び【図15c】から、熱交換部47は、蒸発器7から圧縮機24への冷媒配管84の冷媒とキャピラリチューブ44cの冷媒との間で熱交換するものであることが把握できる。
オ 上記【図15c】から、膨張弁121は、キャピラリチューブ44cの上流に接続され、放熱器41とキャピラリチューブ44cの間の冷媒配管に設けられていることが看取できる。
カ 上記【図15c】から、ドライヤ45は、放熱器41と膨張弁121との間の冷媒配管に設けられていることが看取できる。
キ 上記(6)により、結露防止配管43による加熱量を制御し、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるように膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御することが把握できる。
そうすると、上記記載事項、認定事項及び図面(【図15c】を参照)の図示内容から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「流入した冷媒を圧縮する圧縮機24と、
圧縮機24からの冷媒を放熱する貯蔵室外放熱器41と、
放熱器41の下流に設けられているキャピラリチューブ44cと、
キャピラリチューブ44cと冷媒配管により接続され、冷蔵庫1内の空気を冷却する蒸発器7と、
蒸発器7から圧縮機24への冷媒配管84の冷媒とキャピラリチューブ44cの冷媒との間で熱交換する熱交換部47と、
キャピラリチューブ44cの上流に接続され、放熱器41とキャピラリチューブ44cの間の冷媒配管に設けられている膨張弁121と、
放熱器41と膨張弁121との間の冷媒配管に設けられているドライヤ45とを備え、
結露防止配管43による加熱量を制御し、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるように膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御する、冷蔵庫。」
2 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-161830号公報(以下「引用文献4」という。)には、「冷蔵庫及び冷蔵庫の制御方法」に関して、次の事項が記載されている。
(1)「【0012】そこで、本発明の目的は、液バックの発生をなくし、圧縮機の信頼性を向上させるとともに、圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止し、特別な防露処理及び排水処理を行う必要がない冷蔵庫及び冷蔵庫の制御方法を提供することにある。」
(2)「【0086】第1実施形態の冷蔵庫R1は、冷媒を圧縮するための圧縮機(コンプレッサ)1と、冷媒を凝縮するための凝縮器(コンデンサ)2と、冷媒を蒸発させるための蒸発器(エバポレータ)4と、液化された冷媒の減圧を行うための抵抗器5Aを含み配管の結露を防止するための熱回収器5と、冷蔵庫の庫内温度T6 を検出する庫内温度センサ6と、圧縮機1の吸入側の冷媒温度である吸入温度T7 を検出する吸入温度センサ7と、吸入温度T7 及び後述する室内温度T10に基づいて圧縮機1のオン/オフ制御及び後述の電動流量制御弁12の開度制御を行う制御回路8と、冷蔵庫R1の設置場所の周辺の温度である室内温度T10を検出する室内温度センサ10と、その開度を調整することにより冷媒の流量を制御するための電動流量制御弁12と、を備えて構成されている。」
(3)「【0091】図3に第1実施形態の冷蔵庫の処理フローチャートを示す。冷蔵庫R1の吸入温度センサ7は、圧縮機1の吸入側の冷媒温度である吸入温度T7を検出する(ステップS1)。一方、室内温度センサ10は、冷蔵庫R1の設置場所の周辺の温度である室内温度T10を検出する(ステップS2)。次に制御回路8の露点温度演算部8Aは、室内温度T10に基づいて予め定めた湿度(例えば、湿度80[%])における露点温度TR1を算出する(ステップS3)。
【0092】そして、電動流量制御弁弁開度制御部8Cは、比較対象露点温度TR (=露点温度TR1)及び吸入温度T7 のうちいずれが高いかを判別、すなわち、
T7 >TR =TR1
あるいは、
T7 <TR =TR1
のいずれであるかを判別する(ステップS4)。
【0093】ステップS4の判別において、
T7 >TR =TR1
である場合には、電動流量制御弁弁開度制御部8Cは、電動流量制御弁12を開方向に駆動し、電動流量制御弁12の開度を大きくし、
T7 =TR1
となるように制御する(ステップS5)。また、ステップS4の判別において、
T7 <TR =TR1
である場合には、電動流量制御弁弁開度制御部8Cは、電動流量制御弁12を閉方向に駆動し、電動流量制御弁12の開度を小さくして、
T7 =TR1
となるように制御する(ステップS6)。」
(4)「【0094】[1.4] 第1実施形態の効果
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、吸入温度T7及び露点温度TR1に基づいて、電動流量制御弁12の開度を制御し、吸入温度T7=露点温度TR1となるように制御するので、吸入配管が結露することが無くなる。従って、特別に防露処理、排水処理を施す必要が無くなる。この結果、熱回収器5を含めた冷媒系の制御を行うこととなるため、システム効率が向上し、省エネルギーを図ることができる。さらに圧縮機における液バックの発生を確実に抑制することができ、圧縮機の信頼性を向上させることができる。」
(5)「【図1】
[図:0001402527000002.jpg]
」
(6)「【図3】
[図:0001402527000003.jpg]
」
(7)上記(1)ないし(6)から認められること
冷蔵庫の圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止する制御方法として、抵抗器5Aの下流に設けた電動流量制御弁12の開度を制御して、圧縮機の吸入温度T7=露点温度TR1となるように制御することにより、吸入配管の結露を無くなるようにした技術事項が記載されている(以下、「引用文献4に記載の技術事項」という。)。
第5 対比及び判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「流入した冷媒を圧縮する圧縮機24」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明1における「冷媒を圧縮する圧縮機」に相当し、以下同様に、「圧縮機24からの冷媒を放熱する貯蔵室外放熱器41」は「前記圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器」に、「放熱器41の下流に設けられているキャピラリチューブ44c」は「前記凝縮器の下流に設けられる毛細管」に、「キャピラリチューブ44cと冷媒配管により接続され、冷蔵庫1内の空気を冷却する蒸発器7」は「前記毛細管から出力される冷媒を蒸発させることによって庫内を冷却する冷却器」に、「蒸発器7から圧縮機24への冷媒配管84の冷媒とキャピラリチューブ44cの冷媒との間で熱交換する熱交換部47」は「前記冷却器から前記圧縮機へ戻される冷媒と前記毛細管を流れる冷媒との間で熱交換を行なうように構成された熱交換器」に、「キャピラリチューブ44cの上流に接続され、放熱器41とキャピラリチューブ44cの間の冷媒配管に設けられている膨張弁121」は「前記毛細管の上流に設けられ、前記凝縮器と前記毛細管との間の配管に設けられる膨張弁」に、「放熱器41と膨張弁121との間の冷媒配管に設けられているドライヤ45」は「前記凝縮器と前記膨張弁との間の配管に設けられるドライヤ」に、「冷蔵庫」は「冷蔵庫」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「結露防止配管43による加熱量を制御し、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるように膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御する」ことは、少なくとも膨張弁121の開度を制御していることが明らかであるから、本願発明1の「前記膨張弁の開度を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記熱交換器を通過して前記圧縮機へ吸入される吸入冷媒の温度を、前記膨張弁の開度を絞ることによって低下させつつ、前記吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように前記開度を制御する」と、「前記膨張弁の開度を制御する」という限りにおいて一致している。
したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
〔一致点〕
「 冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器の下流に設けられる毛細管と、
前記毛細管から出力される冷媒を蒸発させることによって庫内を冷却する冷却器と、
前記冷却器から前記圧縮機へ戻される冷媒と前記毛細管を流れる冷媒との間で熱交換を行なうように構成された熱交換器と、
前記毛細管の上流に設けられ、前記凝縮器と前記毛細管との間の配管に設けられる膨張弁と、
前記凝縮器と前記膨張弁との間の配管に設けられるドライヤとを備え、
前記膨張弁の開度を制御する、冷蔵庫。」
〔相違点〕
「前記膨張弁の開度を制御する」ことに関して、本願発明1においては、「前記膨張弁の開度を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記熱交換器を通過して前記圧縮機へ吸入される吸入冷媒の温度を、前記膨張弁の開度を絞ることによって低下させつつ、前記吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように前記開度を制御する」のに対して、引用発明においては、「結露防止配管43による加熱量を制御し、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるように膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御する」点。
上記相違点について検討する。
本願発明1が「前記膨張弁の開度を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記熱交換器を通過して前記圧縮機へ吸入される吸入冷媒の温度を、前記膨張弁の開度を絞ることによって低下させつつ、前記吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように前記開度を制御する」ことの技術的意義は、発明の詳細な説明によれば「LEV40の開度を絞ることで吸入冷媒の温度T1を低下させることによって、圧縮機10の入力を低減することができる。そこで、この実施の形態に従う冷蔵庫1では、外気の露点温度T3よりも高い範囲で吸入冷媒の温度T1を下げるように、LEV40の開度が制御される。これにより、LEV40を設けることによる効果を得つつ、吸入冷媒が流れる配管86cに露が付着するのを防止することができる。」(段落【0057】)というものであり、上記膨張弁は圧縮機10の入力を低減することを前提に外気の露点温度T3よりも高い範囲で吸入冷媒の温度T1を下げる制御が行われているものと解される。
ここで、引用発明は、結露防止配管による加熱量を適切に制御して、省エネルギー性能を高めるために、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるようにしたものである。
一方、引用文献4に記載された冷蔵庫は、圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止するために、抵抗器5Aの下流に設けた電動流量制御弁12の開度を制御して、圧縮機の吸入温度T7=露点温度TR1となるように制御するものであり(引用文献4に記載の技術事項)、その制御の具体的方法として、T7>TR=TR1である場合には、電動流量制御弁12の開度を大きくし、T7<TR=TR1である場合には、同開度を小さくして、T7=TR1となるように制御するものである(第4 2 (3))から、上記電動流量制御弁12は、抵抗器5Aの下流に設けられており、本願発明1と弁を制御する開度の方向が逆ではあるものの、圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止する技術思想が記載されているものといえる。
しかしながら、引用発明は、結露防止配管による加熱量を適切に制御して、省エネルギー性能を高めることを課題としているところ(上記第4 1 (1))、引用文献4に記載された冷蔵庫は、圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止することを課題としており(上記第4 2 (1))、両者の課題は異なるものである。
してみると、引用文献4に記載された圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止する技術思想を引用発明の膨張弁121に適用する動機付けは存在しない。
仮に、引用発明の膨張弁121に上記技術思想を適用する動機付けが存在したとしても、引用発明の膨張弁121の開度を、圧縮機の吸入温度=露点温度となるように制御することは、引用発明における「結露防止配管43による加熱量を制御し、熱負荷が小さい場合には膨張弁121を減圧モードにして、膨張弁121と第三のキャピラリチューブ44cの二つの減圧手段で、適切な蒸発圧力になるように膨張弁121により冷媒の蒸発圧力を制御する」という制御を変更することになるから、引用発明に引用文献4に記載された技術思想を適用することに阻害要因があるいえる。
また、引用発明において、膨張弁121の開度を調整して圧縮機の冷媒入口側配管の結露を防止するように構成したとしても、引用文献4に記載された電動流量制御弁12を制御する際の開度の方向は本願発明1とは逆であることから、本願発明のように膨張弁の開度を絞ることによって吸入冷媒の温度を低下させつつ、吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように制御する構成、すなわち、相違点に係る本願発明1の発明特定事項にはならない。
さらに、前記膨張弁の開度を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記熱交換器を通過して前記圧縮機へ吸入される吸入冷媒の温度を、前記膨張弁の開度を絞ることによって低下させつつ、前記吸入冷媒の温度が外気の露点温度よりも高くなるように前記開度を制御することは、原査定において引用された引用文献2、3においても、記載も示唆もされていない。
してみると、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
そして、本願発明1は、「この実施の形態に従う冷蔵庫1では、外気の露点温度T3よりも高い範囲で吸入冷媒の温度T1を下げるように、LEV40の開度が制御される。これにより、LEV40を設けることによる効果を得つつ、吸入冷媒が流れる配管86cに露が付着するのを防止することができる。」(段落【0057】)という作用効果を奏する。
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1及び4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるから、本願発明1と同様の理由により、引用文献1、3、及び4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017907