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特許拒絶査定不服審判

2022-016298

コイル位置決めシステム

審判番号
2022-016298
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-552020
請求日
2022年10月12日
審決日
2023年08月18日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 山村 浩
  • 審判官 松川 直樹
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .575-Z (H05H) / P18 .121-Z (H05H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-552020号「コイル位置決めシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年9月27日国際公開、WO2018/175679号、令和2年5月21日国内公表、特表2020-515016号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)3月22日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年(平成29年)3月24日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。 令和4年 2月17日付け:拒絶理由通知書 令和4年 5月31日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 6月 7日付け:拒絶査定 令和4年10月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和5年 2月14日 :上申書の提出 第2 令和4年10月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年10月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「低温質量部を具備する磁石であって、前記低温質量部が、標的に対する放射線の出力に影響を及ぼす磁場を発生させるために電流を伝導するための1つ又は複数のコイルを備えている、前記磁石と、 前記磁石を囲んでいるハウジングと、 前記ハウジングから前記低温質量部を支持しているストラップと、 1つ又は複数のアクチュエータであって、1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータが、前記ストラップのうち一のストラップに接続されており、前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために前記ストラップのうち前記一のストラップに作用する張力を変化させるように制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータと、 を備えている、システムにおいて、 1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置に基づく制御パラメータを能動的に維持するようにサーボ制御されることを特徴とするシステム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「低温質量部を具備する磁石であって、前記低温質量部が、標的に対する放射線の出力に影響を及ぼす磁場を発生させるために電流を伝導するための1つ又は複数のコイルを備えている、前記磁石と、 前記磁石を囲んでいるハウジングと、 前記ハウジングから前記低温質量部を支持しているストラップと、 1つ又は複数のアクチュエータであって、1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータが、前記ストラップのうち一のストラップに接続されており、前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために前記ストラップのうち前記一のストラップに作用する張力を変化させるように制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータと、 を備えている、システム。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「システム」について、「1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置に基づく制御パラメータを能動的に維持するようにサーボ制御されることを特徴とするシステム」に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特表2015-532509号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審が付した。以下同じ。) 「【請求項20】 磁場を発生する電流を伝導する超電導コイルを具備する低温保持装置と、 前記低温保持装置に隣接している磁性構造体であって、前記低温保持装置が、前記磁性構造体に取り付けられており、前記磁性構造体が、空洞を含んでいる、前記磁性構造体と、 前記空洞にプラズマ柱を形成するための粒子源と、 粒子をプラズマ柱から加速させるために、高周波(RF)電圧を前記空洞に印加するための電圧源であって、前記プラズマ柱から加速された前記粒子が、前記磁場によって、前記空洞の内部において軌道に沿って移動される、前記電圧源と、 前記プラズマ柱から加速された前記粒子を受ける引き出しチャネルであって、受けた前記粒子を前記空洞から出力する前記引き出しチャネルと、 前記磁性構造体に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能とされるアクチュエータと、 を備えている粒子加速器。 【請求項21】 前記粒子加速器が、所定の位置に対して相対的に回転可能であり、 前記粒子加速器が、前記粒子加速器の回転位置に基づいて前記アクチュエータを制御するために、制御信号を発生させるための制御システムをさらに備えている、請求項20に記載の粒子加速器。 【請求項22】 前記アクチュエータが、低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償するために、前記低温保持装置の移動を制御するように制御される、請求項21に記載の粒子加速器。」 (当審注:請求項22の「低温保持装置前記超電導コイル」との記載は、請求項20の「超電導コイルを具備する低温保持装置」との記載に照らして、「前記アクチュエータが、低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償する」との明らかな誤記であるから、誤記を正した上で摘記した。) 「【0028】 概要 本明細書では、陽子又はイオン治療システムなどの、システムにおいて使用するための粒子加速器の一例について説明する。システムは、ガントリー上に取り付けられた粒子加速器--この例では、シンクロサイクロトロン--を含む。ガントリーは、以下に詳述するように、加速器を患者の位置の周りに回転させることを可能にする。幾つかの実施例では、ガントリーは鋼製であり、患者の両側に配設された2つの軸受それぞれに回転するように取り付けられた2つの脚部を有する。粒子加速器は、患者が横たわる治療領域を跨設するに十分に長い鉄骨トラスによって支持されており、鉄骨トラスは、その両端においてガントリーの回転式脚部に安定して取り付けられている。患者の周りをガントリーが回転する結果、粒子加速器も回転する。 【0029】 例示的な一実施例において、粒子加速器(例えば、シンクロサイクロトロン)は、磁場(B)を発生する電流を伝導するための超電導コイルを保持する低温保持装置を含む。この例では、低温保持装置は、コイルを超電導温度、例えば4ケルビン(K)に維持するために液体ヘリウム(He)を使用する。磁気ヨークは、低温保持装置に隣接し(例えば、その周囲にあり)、粒子が加速される空洞を画成する。低温保持装置は、ストラップ又は同様のものを通じて磁気ヨークに取り付けられる。このように取り付けること、及び低温保持装置の内側に超電導コイルを取り付けることで、超電導コイルの移動は制限されるが、コイルの移動が完全に妨げられるわけではない。例えば、幾つかの実施例では、ガントリーが回転している間に重力によって引っ張られる結果、超電導コイルは、わずかな量(例えば、幾つかの場合において数10ミリメートル)だけ移動可能である。以下で説明されているように、この移動は、引き出しチャネルで受ける粒子ビームのエネルギーの大きさに影響を及ぼし、それにより、粒子加速器の出力に影響を及ぼし得る。(・・・省略・・・) 【0031】 超電導コイルの移動は、空洞の内側の軌道の配置に影響を及ぼし得る。例えば、一方の方向に移動すると、より低いエネルギーの軌道が再生器に衝突し得るが、他方の方向に移動すると、より高いエネルギーの軌道が再生器に衝突し得る(粒子軌道エネルギーは、発生源のプラズマ柱からの径方向距離に比例する)。したがって、過度に低いエネルギーの軌道が再生器に衝突する場合、粒子ビームは、上で指摘されているように、引き出しチャネルの内端に衝突するものとしてよい。過度に高いエネルギーの軌道が再生器に衝突する場合、粒子ビームは、上で指摘されているように、引き出しチャネルの外端に衝突するものとしてよい。本明細書で説明されている例示的なシステムでは、回転(例えば、重力の効果)によって生じる超電導コイルの運動の結果であるこれらの効果を補償する技術を使用する。これらの技術の要約を以下に提示し、その後、これらの技術が実装され得る例示的な粒子治療システムの説明及びこれらの様々な技術の詳細な説明を続ける。(・・・省略・・・) 【0036】 別の例では、低温保持装置全体をヨークに対して移動し、超電導コイルの移動を補償することができる。例えば、低温保持装置の移動は、粒子のどの軌道が再生器に衝突するかに影響を及ぼし得る。したがって、超電導コイルの移動が、一方向に行われる場合、低温保持装置は、その移動を補償する方向に移動され、超電導コイルの適切な位置変更を行わせることができる。」 「【0053】 コイルの幾何学的形状は、コイルを矩形リバースボビン56内に取り付けて、コイルが通電されたときに発生する歪みを起こす力に抗して作用する復元力60を与えることによって維持される。図5に示されているように、コイル位置は、一組の高温-低温支持ストラップ402、404、406を使用して磁石ヨーク及び低温保持装置に対して維持される。低温質量を細いストラップで支持することにより、剛体支持システムによって低温質量に与えられる熱漏洩が低減される。ストラップは、磁石が搭載された状態でガントリーを回転するときにコイルにかかる変化する重力に耐えるように構成される。これらは、重力と、磁気ヨークに対して完全対称位置から摂動したときにコイルによって生じる大きな偏心力との複合効果に耐える。それに加えて、リンクは、位置が変わった場合にガントリーが加減速する際にコイルに与えられる動的な力を低減する働きをする。それぞれの高温-低温支持体は、1つのS2ガラス繊維リンクと1つの炭素繊維リンクとを含む。炭素繊維リンクは、高温のヨークと中間温度(50~70K)との間のピン上で支持され、S2ガラス繊維リンク408は、中間温度ピン及び低温質量に取り付けられたピン上で支持される。それぞれのリンクは長さ5cm(ピン中心からピン中心までの間)、幅17mmである。リンクの厚さは、9mmである。それぞれのピンは、高張力ステンレス鋼から作られ、直径は40mmである。(・・・省略・・・) 【0055】 超電導コイルは、限定された一組の支持点71、73を除き、コイル構造体の周りに自由空間を設ける真空にされた環状アルミニウム又はステンレス製低温保持槽70の内側にコイルアセンブリ(コイル及びボビン)を封じ込めることによって絶対零度近くの温度(例えば、約4ケルビン)に維持される。代替的バージョン(図4)において、低温保持装置の外壁は、低炭素鋼で作られ、磁場に対する追加の帰還磁路をもたらすことができる。 【0056】 幾つかの実施例では、絶対零度近くの温度は、1つの単段ギフォードマクマホン冷凍機と3つの2段ギフォードマクマホン冷凍機とを使用して達成され、維持される。それぞれの2段冷凍機は、ヘリウム蒸気を液体ヘリウムに再凝縮する凝縮器に取り付けられた第2段低温端部を有する。冷凍機のヘッドには、圧縮機から圧縮ヘリウムが供給される。単段ギフォードマクマホン冷凍機は、電流を超電導巻線に供給する高温(例えば、50~70ケルビン)のリード線を冷却するように構成される。 【0057】 幾つかの実施例では、絶対零度近くの温度は、コイルアセンブリ上の異なる位置に配置された2つのギフォードマクマホン冷凍機72、74を使用して達成され、維持される。それぞれの冷凍機は、コイルアセンブリと接触する低温端部76を有する。冷凍機のヘッド78には、圧縮機80から圧縮ヘリウムが供給される。他の2つのギフォードマクマホン冷凍機77、79は、電流を超電導巻線に供給する高温(例えば、60~80ケルビン)のリード線を冷却するように構成される。 【0058】 コイルアセンブリ及び低温保持槽は、ピルボックス形状の磁石ヨーク82の2つの半分81、83内に取り付けられ、完全に封じ込められる。(・・・省略・・・)能動的帰還システムにおいて、本明細書で説明されている比較的大きな磁気ヨークは、磁極片と称される、より小さな磁気構造体で置き換えられる。超電導コイルは、本明細書で説明されている主コイルの反対側に電流を流し、磁気帰還をもたらし、それによって、漂遊磁場を低減する。」 「【0080】 図14に表すシステム602では、本明細書で説明されているタイプのビーム発生粒子加速器が、当該実施例ではシンクロサイクロトロン604が回転式ガントリー605に取り付けられている。回転式ガントリー605は、本明細書で説明されているタイプのものであり、患者支持体606の周りで角度的に回転することができる。この特徴によって、シンクロサイクロトロン604は、様々な角度から粒子ビームを患者に直接照射することができる。(・・・省略・・・)」 「【0097】 他の実施例では、引き出しチャネルに到達する粒子ビームのエネルギーを調整するステップは、回転の結果としてのコイルの移動を補償するように低温保持装置を物理的に移動することによって実現され得る。例えば、低温保持装置は、コイルが移動する方向と反対の方向に移動され得る。上記のように、低温保持装置の移動は、粒子治療システムの一部である制御システムを通じてコンピュータ制御され得る。例えば、低温保持装置の移動は、粒子加速器が取り付けられているガントリーの回転位置によって測定されるような、粒子加速器の回転位置に基づいて制御され得る。ガントリーの回転位置に対して低温保持装置の移動を設定するために使用される様々なパラメータは、経験的に測定され、制御システムのコンピュータにプログラムされ得る。1つ又は複数のコンピュータ制御アクチュエータは、低温保持装置の実際の移動を行わせることができる。 【0098】 例えば図24に表わすように、加速器が回転することによって、コイル709、710がチャンバーそれぞれの内部において矢印735の方向に移動する。このような移動に応答して、低温保持装置736の位置が変化する。例えば、低温保持装置736が、例えば矢印737の方向に(例えば逆方向に同一の移動量で)移動される。このような移動によって、対応してコイル709、710が移動するので、コイル709、710は再生器に対して適切に整列した状態で元の位置に復帰する。」 図4、5、14及び24は次のとおりである。 [図:0001406336000001.jpg] [図:0001406336000002.jpg] 【図14】 [図:0001406336000003.jpg] 【図24】 [図:0001406336000004.jpg] (イ)上記記載によれば、引用文献1には、請求項20を引用する請求項21を引用する請求項22に記載された「粒子加速器」について、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 a 当該請求項20には「前記低温保持装置に隣接している磁性構造体であって、前記低温保持装置が、前記磁性構造体に取り付けられており、前記磁性構造体が、空洞を含んでいる、前記磁性構造体」と記載されているところ、当該記載中の「磁性構造体」は、その一種として「磁気ヨーク」を含む概念であると解される。 すなわち、まず、当該請求項20の上記記載と「磁気ヨークは、低温保持装置に隣接し(例えば、その周囲にあり)、粒子が加速される空洞を画成する。低温保持装置は、ストラップ又は同様のものを通じて磁気ヨークに取り付けられる。」(【0029】)の記載とを対比すると、「磁性構造体」と「磁気ヨーク」とは、「低温保持装置に隣接している」点、「低温保持装置が」「取り付けられる」点、及び、「空洞」を含んでいる点で共通している。そして、「(・・・省略・・・)本明細書で説明されている比較的大きな磁気ヨークは、磁極片と称される、より小さな磁気構造体で置き換えられる。」(【0058】)の記載によれば、「磁気ヨーク」は「磁気構造体」の一種であると解される。このように、「磁性構造体」と「磁気ヨーク」との間には多くの共通点が存在していること、「磁気ヨーク」は「磁気構造体」の一種とされていること、「磁性構造体」と「磁気構造体」とは表現が極めて類似していることに照らせば、当業者であれば、当該請求項20の「磁性構造体」が、その一種として「磁気ヨーク」を含む概念であると理解するといえる。 b 当該請求項20には「前記磁性構造体に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能とされるアクチュエータ」と記載されているところ、当該「アクチュエータ」は、典型的には、「低温保持装置」とその周囲にある(「磁性構造体」の一種に該当する)磁気ヨークとの間に取り付けられていると解される。 すなわち、当該「アクチュエータ」は、「前記磁性構造体に対して相対的に前記低温保持装置を移動させる」ためのものであるから、「磁性構造体」と「低温保持装置」との間に取り付けられていると解するのが自然であり、このことは、「低温保持装置」が、上記aのとおり磁性構造体の一種とされる「磁気ヨーク」に「ストラップ又は同様のものを通じて」「取り付けられる」(【0029】)とされることからも首肯できる。そして、「磁気ヨーク」は、「低温保持装置に隣接し(例えば、その周囲にあり)」とされるものであるから、低温保持装置の周囲に存在する。このように、当該「アクチュエータ」は、「磁性構造体」と「低温保持装置」との間に取り付けられており、「磁性構造体」の一種である磁気ヨークが「低温保持装置」の周囲にあることから、当業者であれば、当該請求項20に記載された「アクチュエータ」は、典型的には、低温保持装置とその周囲にある(磁性構造体である)磁気ヨークとの間に取り付けられていると理解するといえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用文献1には、請求項20を引用する請求項21を引用する請求項22に記載された「粒子加速器」について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(以下、引用発明1の認定に用いた箇所の段落番号等を参考までに括弧内に付した。) 「磁場を発生する電流を伝導する超電導コイルを具備する低温保持装置と、 前記低温保持装置に隣接している磁性構造体であって、前記低温保持装置が、前記磁性構造体に取り付けられており、前記磁性構造体が、空洞を含んでいる、前記磁性構造体と、 前記空洞にプラズマ柱を形成するための粒子源と、 粒子をプラズマ柱から加速させるために、高周波(RF)電圧を前記空洞に印加するための電圧源であって、前記プラズマ柱から加速された前記粒子が、前記磁場によって、前記空洞の内部において軌道に沿って移動される、前記電圧源と、 前記プラズマ柱から加速された前記粒子を受ける引き出しチャネルであって、受けた前記粒子を前記空洞から出力する前記引き出しチャネルと、 前記磁性構造体に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能とされるアクチュエータと、 を備えている粒子加速器であって、(【請求項20】) 前記粒子加速器が、所定の位置に対して相対的に回転可能であり、 前記粒子加速器が、前記粒子加速器の回転位置に基づいて前記アクチュエータを制御するために、制御信号を発生させるための制御システムをさらに備えるものであり、(【請求項21】) 前記アクチュエータが、低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償するために、前記低温保持装置の移動を制御するように制御されるものであり、(【請求項22】) ガントリーが回転している間に重力によって引っ張られる結果、超電導コイルは、わずかな量だけ移動可能であり、この移動は、引き出しチャネルで受ける粒子ビームのエネルギーの大きさに影響を及ぼし、それにより、粒子加速器の出力に影響を及ぼし得るものであり、(【0029】) 前記アクチュエータは、1つ又は複数のものであり、(【0097】) 前記磁性構造体は、磁気ヨークであり、(上記(イ)a) 前記アクチュエータは、前記低温保持装置とその周囲にある前記磁気ヨークとの間に取り付けられている、(上記(イ)b) 粒子加速器。」 イ 引用文献2 (ア)同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特表2009-524201号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【0013】 例示的な陽子治療システムは、粒子が陽子を含んでいる粒子加速器と、粒子加速器が取り付けられているガントリーとを含んでいる。ガントリーが、患者の位置に対して相対的に回転可能とされる。陽子が、実質的に粒子加速器から患者の位置に直接出力される。」 「【0065】 半径方向の引張リンク30、32、および34は、ボビン20を半径方向に外向きの引張力下に設置し、コイル12および14が中心軸16を中心に保つ(すなわち、実質的に対称的である)ように、半径方向の引張リンク30、32、および34が、複数の点においてボビン20に対して外向きの周方向力を提供することができる構成で、コイル12および14ならびにボビン20と連結される。そのようなものとして、引張リンク30、32、および34は、磁気偏心力に対して半径方向支持を提供し、それにより、片側で鉄に接近するコールドマスは、飛躍的な力の増大を経験し、さらに鉄の近くへ動く。半径方向の引張リンク30、32、および34は、線形セグメントによって接合された丸い先端を(例えば、従来のレーストラックまたはランニングトラックの近似形状で)有する2つ以上の弾性引張バンド64および70を備え、直円断面を有する。バンドは、例えばエポキシを含浸させた螺旋巻きガラスまたはカーボンテープで形成され、高温の外枠から低温のコイル12および14への熱伝達を最小化するように設計される。低温のバンド64は、支持杭66と支持杭68との間に延在する。ボビン20と連結された最も低温の支持杭66は約4.5Kの温度であり、一方、中間杭68は約80Kの温度である。より高温のバンド70は、中間杭68と高温杭72との間に延在し、約300Kのほぼ周囲温度である。引張リンク30、32、および34のいずれかにさらなる引張を印加して、種々の偏心力がコイル12および14に作用する際にセンタリングを維持するために、高温の杭72に外向きの力を印加してもよい。杭66、68、および72は、ステンレス鋼で形成されてもよい。」 図11は次のとおりである。 [図:0001406336000005.jpg] (イ)上記(ア)の記載によれば、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「粒子加速器の技術分野において(【0013】)、 半径方向の引張リンク30、32、および34が、複数の点においてボビン20に対して外向きの周方向力を提供することができる構成で、コイル12および14ならびにボビン20と連結されるとともに、線形セグメントによって接合された丸い先端を有する2つ以上の弾性引張バンド64および70を備えており、弾性引張バンド64は、低温のバンドであり、最も低温の支持杭66と中間杭68との間に延在しており、最も低温の支持杭66はボビン20と連結されており、弾性引張バンド70は、より高温のバンドであり、中間杭68と高温杭72との間に延在しており、引張リンク30、32、および34のいずれかにさらなる引張を印加して、種々の偏心力がコイル12および14に作用する際にセンタリングを維持するために、高温杭72に外向きの力を印加する(【0065】)という技術的事項。」 (3)本件補正発明と引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)本件補正発明の「低温質量部を具備する磁石であって、前記低温質量部が、標的に対する放射線の出力に影響を及ぼす磁場を発生させるために電流を伝導するための1つ又は複数のコイルを備えている、前記磁石と、」との発明特定事項について a 引用発明は「磁場を発生する電流を伝導する超電導コイルを具備する低温保持装置」を備えるところ、当該「磁場を発生する電流を伝導する超電導コイル」とそれを「具備する」「低温保持装置」とが合わさった構造は、本件補正発明の「磁石」に相当する。また、当該構造は、「低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響」が観念されていることに照らせば、質量を有しているのが明らかであり、全体として「低温」であることも明らかであるから、当該構造は、本件補正発明の「低温質量部」にも相当する。 そして、当該構造は、本件補正発明でいう「低温質量部を具備する磁石」に相当するといえる。 b 引用発明の「磁場を発生する電流を伝導する超電導コイル」は、本件補正発明の「磁場を発生させるために電流を伝導するための1つ又は複数のコイル」に相当する。そして、引用発明は、「超電導コイルは、わずかな量だけ移動可能であり、この移動は、引き出しチャネルで受ける粒子ビームのエネルギーの大きさに影響を及ぼし、それにより、粒子加速器の出力に影響を及ぼし得るものであ」るから、当該「超電導コイル」に係る「磁場」は、本件補正発明でいう「標的に対する放射線の出力に影響を及ぼす」ものといえる。 c よって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たしている。 (イ)本件補正発明の「前記磁石を囲んでいるハウジングと、」との発明特定事項について a 引用発明は、「低温保持装置」が「超電導コイルを具備する」とともに、「磁性構造体」に該当する「磁気ヨーク」が「低温保持装置」の「周囲にある」から、当該「磁気ヨーク」は、本件補正発明の「ハウジング」に相当し、本件補正発明でいう「前記磁石を囲んでいる」ものといえる。 b よって、引用発明は、本件補正発明の上記発明特定事項を満たしている。 (ウ)本件補正発明の「前記ハウジングから前記低温質量部を支持しているストラップと、」との発明特定事項について a 引用発明の「アクチュエータ」は、「前記磁性構造体」(磁気ヨーク)「に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能とされる」ものであって、「前記低温保持装置とその周囲にある前記磁気ヨークとの間に取り付けられている」ものであるから、当該「アクチュエータ」は、「磁気ヨーク」(本件補正発明の「ハウジング」に相当。)から、「低温保持装置」と「超電導コイル」とが合わさった構造(本件補正発明の「低温質量部」に相当。)を支持しているということができ、そうすると、本件補正発明の「ストラップ」と引用発明の「アクチュエータ」とは、支持部材である点で共通する。 b よって、本件補正発明と引用発明とは、「前記ハウジングから前記低温質量部を支持している」支持部材を備える点で共通する。 (エ)本件補正発明の「1つ又は複数のアクチュエータであって、1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータが、前記ストラップのうち一のストラップに接続されており、前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために前記ストラップのうち前記一のストラップに作用する張力を変化させるように制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータと、」との発明特定事項について a 引用発明の「アクチュエータ」は、本件補正発明の「アクチュエータ」に相当する。そして、引用発明の当該「アクチュエータ」は、「前記低温保持装置とその周囲にある前記磁気ヨークとの間に取り付けられている」ものであって、前記磁気ヨーク(本件補正発明の「ハウジング」に相当。)「に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能とされる」ものであるとともに、「前記超電導コイルに対する重力の影響を補償するために、前記低温保持装置の移動を制御するように制御され」るものであるから、当該「アクチュエータ」は、本件補正発明でいう「前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために」「制御可能とされる」ものといえる。 b よって、本件補正発明と引用発明とは、「1つ又は複数のアクチュエータであって、」「前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために」「制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータ」を備える点で共通するが、本件補正発明は、「1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータが、前記ストラップのうち一のストラップに接続されており」、「前記ストラップのうち前記一のストラップに作用する張力を変化させるように」制御可能とされるのに対して、引用発明は、アクチュエータに接続されるストラップを備えるのかすら不明である。 (オ)本件補正発明の「1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置に基づく制御パラメータを能動的に維持するようにサーボ制御される」との発明特定事項について 引用発明の「アクチュエータ」は、「低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償するために、前記低温保持装置の移動を制御するように制御されるものであ」るところ、「前記低温保持装置の移動を制御する」ことは、「低温保持装置が具備する前記超電導コイル」の「移動を制御する」ことにほかならない。そして、このような「低温保持装置が具備する前記超電導コイル」の移動制御は、上記のとおり、「アクチュエータ」によりなされるものであるとともに、「低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償する」ためのものである以上、超電導コイルの位置を能動的に維持するような制御であることが明らかである。 よって、本件補正発明と引用発明とは、「1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置」「を能動的に維持するように」「制御される」点で共通するが、コイルの位置を能動的に維持する目的で具体的に維持するパラメータが、本件補正発明は、「前記コイルの位置に基づく制御パラメータ」であるのに対し、引用発明は、そうであるのかが不明であり、また、制御が、本件補正発明は「サーボ制御」であるのに対し、引用発明はそうであるのかが不明である。 (カ)引用発明の「粒子加速器」は、本件補正発明の「システム」に相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「低温質量部を具備する磁石であって、前記低温質量部が、標的に対する放射線の出力に影響を及ぼす磁場を発生させるために電流を伝導するための1つ又は複数のコイルを備えている、前記磁石と、 前記磁石を囲んでいるハウジングと、 前記ハウジングから前記低温質量部を支持している支持部材と、 1つ又は複数のアクチュエータであって、前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つの前記コイルを移動させるために制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータと、 を備えている、システムにおいて、 1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置を能動的に維持するように制御されるシステム。」 【相違点1】 ハウジングから低温質量部を支持している支持部材が、本件補正発明は、ストラップと、前記ストラップのうち一のストラップに接続されている、1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータであるのに対し、引用発明は、前記低温保持装置とその周囲にある前記磁気ヨークとの間に取り付けられている「アクチュエータ」を備えるが、「アクチュエータ」に接続されるストラップを備えるのかが不明である点。 【相違点2】 前記磁石の移動に基づいて前記ハウジングに対して前記低温質量部ひいては1つ又は複数の前記コイルを移動させるために制御可能とされる、1つ又は複数の前記アクチュエータが、本件補正発明は、1つ又は複数の前記アクチュエータのうち一のアクチュエータが、前記ストラップのうち一のストラップに接続されており、前記ストラップのうち前記一のストラップに作用する張力を変化させるように制御可能とされるのに対し、引用発明は、アクチュエータに接続されるストラップを備えるのかすら不明である点。 【相違点3】 アクチュエータが前記コイルの位置を能動的に維持するように制御される際に、コイルの位置を能動的に維持する目的で具体的に維持するパラメータが、本件補正発明は、「前記コイルの位置に基づく制御パラメータ」であるのに対し、引用発明は、そうであるのかが不明であり、また、その際の制御が、本件補正発明は「サーボ制御」であるのに対し、引用発明は、そうであるのかが不明である点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1及び2について a 引用発明から出発した当業者が相違点1及び2に係る本件補正発明の構成に至るためには、(i)「前記磁性構造体」(磁気ヨーク)「に対して相対的に前記低温保持装置を移動させるように制御可能と」するための「前記低温保持装置とその周囲にある前記磁気ヨークとの間に取り付けられている」構造が「アクチュエータ」であるのを、「アクチュエータ」及びそれに接続された「ストラップ」に置換すること、つまり、「低温保持装置」を「磁気ヨーク」に、「アクチュエータ」を用いて取り付けることに代えて、「アクチュエータ」及びそれに接続された「ストラップ」を用いて取り付けるようにすること、(ii)当該「アクチュエータ」の上記制御に当たり、当該「ストラップ」に作用する張力を変化させるようにすること、を満たせば足りる。 そこで、引用発明から出発した当業者がそのような変更を行うか否かについて検討する。 b まず、引用発明において、「アクチュエータ」を用いて取り付ける対象である「低温保持装置」は、低温に保持されるべきものである。そして、引用文献1には、当該「低温保持装置」を低温に保持することに関して、磁気ヨークと低温保持装置との間に高温-低温支持ストラップを使用し、低温保持装置のような低温質量を細いストラップで支持することにより、剛体支持システムによって低温質量に与えられる熱漏洩が低減される(【0053】)ことが記載されている。 そうすると、引用発明の「低温保持装置」を、低温に保持されるべきという観点から、磁気ヨークに対して、「アクチュエータ」を用いて取り付けることに代えて、「アクチュエータ」及びそれに接続された「高温-低温支持ストラップ」ないし「細いストラップ」を用いて取り付けるようにすること(つまり、上記(i)に係る構造とすること)は、引用文献1の上記記載に照らして当業者が自然に想定できることであるといえるし、仮にそうとまではいえないとしても、当業者が適宜になし得たことである。 また、上記(i)に係る構造とすることを当業者が適宜なし得たということは、引用文献2に記載された技術的事項に照らせばさらに明らかである。すなわち、引用文献2には、上記(2)イで認定したとおりの技術的事項が記載されているところ、当該技術的事項は、要するに、ボビン20に設けられたコイル12、14(低温である。)の位置を制御するために、当該ボビン20に弾性引張バンド等を介して連結された高温杭72に外向きの力を印加するものである。このように、当該技術的事項では、当該外向きの力を印加するために当然に存在すると解される手段を、低温のコイル12、14ないしボビン20に直接連結しているわけではなく、弾性引張バンド等を介して連結しているといえるから、引用発明において、「アクチュエータ」という外力を印加することに帰結する手段を、低温に保持されるべき「低温保持装置」に直接連結するのではなく、別途の支持手段を介して連結することは、当業者が適宜なし得たことといえる。そして、その際の別途の支持手段として、引用文献1に記載された上記の「高温-低温支持ストラップ」ないし「細いストラップ」を採用することは、当業者にとって自然な選択であるといえる。 c 次に、上記bのとおりに上記(i)に係る構造とした場合において、引用発明のように「アクチュエータが、低温保持装置が具備する前記超電導コイルに対する重力の影響を補償するために、前記低温保持装置の移動を制御するように制御され」れば、力学的にみて、当該ストラップに作用する張力が変化すると解される。 よって、当業者は、上記(ii)に係る構造にも至ったことになる。 d したがって、引用発明から出発した当業者は、引用発明並びに引用文献1及び必要に応じて引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、相違点1及び2に係る本件補正発明の構成に容易に至る。 イ 相違点3について (ア)まず、引用発明の「アクチュエータ」の「制御」は、上記(3)ア(オ)で説示したとおり、超電導コイルの位置を能動的に維持する制御であるといえる。そして、「サーボ制御」とは、一般に、位置・方向・姿勢など負荷の力学的な条件を目標として、目標の任意の変化に追従するように制御する自動制御を意味するものである。しかるに、引用発明の「アクチュエータ」の上記「制御」であっても、変化し得る超電導コイルの位置を能動的に維持するものである以上、上記の意味での「サーボ制御」といえるし、仮にそうとはいえないとしても、引用発明の当該「制御」を「サーボ制御」とすることは、サーボ制御が制御方法としてごく一般的なものであることを踏まえれば、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 よって、相違点3に係る本件補正発明の構成のうち、アクチュエータが前記コイルの位置を能動的に維持するような制御が「サーボ制御」であることは、実質的な相違点ではないし、仮にそうとはいえないとしても、格別のものではない。 (イ)次に、引用発明の「アクチュエータ」の上記「制御」において、超電導コイルの位置を把握する必要があることは明らかである。そうすると、引用発明において、超電導コイルの位置に応じたセンサ出力を用いて上記「制御」を行うことは、当業者が通常なし得たことであり、そのようにしたことによって、当業者は、相違点3に係る本件補正発明の構成のうち、アクチュエータが前記コイルの位置を能動的に維持するように制御される際に、コイルの位置を能動的に維持する目的で具体的に維持するパラメータが「前記コイルの位置に基づく制御パラメータ」であるという構成に至る。 (ウ)したがって、引用発明から出発した当業者は、引用発明に基づいて、相違点3に係る本件補正発明の構成に容易に至る。 ウ 本件補正発明の効果について 本件補正発明の奏する作用効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明、引用文献1及び必要に応じて引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が予測することができなかった顕著なものということはできない。 (5)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明並びに引用文献1及び必要に応じて引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~49に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2並びにその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「1つ又は複数の前記アクチュエータが、前記コイルの位置に基づく制御パラメータを能動的に維持するようにサーボ制御される」ことに係る限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(4)に説示したとおり、引用発明、引用文献1及び必要に応じて引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献1及び必要に応じて引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-016298

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