2022-015899
情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2022-015899
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-071288外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月05日
- 審決日
- 2023年05月29日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、令和3年4月20日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の請求項1-9、11-13に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、
この出願の請求項10に係る発明は、以下の引用文献1および2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、令和5年4月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。
「【請求項1】元データに基づいて生成される要約データであって、クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件に従って制約された前記要約データの候補データを学習により生成したモデルを用いて生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記要約データの候補データをユーザへ提示する提示部と、前記提示部によって提示された前記候補データに対する前記制約条件の追加を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データに対応する前記制約条件に前記ユーザから新たに受け付けた前記制約条件を加えることで更新する更新部と、続きを表示(全81行)を備え、前記生成部は、前記更新部によって更新された前記制約条件を用いて前記要約データの候補データを生成し、前記提示部によって提示された当該候補データの確定指示を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データを確定データとして確定し、前記モデルは、制約条件なしのモデルと、制約条件ありのモデルとを含み、前記制約条件なしのモデルは、過去の元データと、正解データである正解要約データとをデータセットとして学習することで生成され、前記制約条件ありのモデルは、前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成されることを特徴とする情報処理装置。【請求項2】前記制約条件は、前記要約データに含まれるキーワードのテキストを制約するキーワード制約を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。【請求項3】前記制約条件は、前記要約データに含まれるフレーズのテキストを制約するフレーズ制約の内容を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。【請求項4】前記制約条件は、前記要約データに含まれる文のテキストを制約する文制約の内容を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項5】前記制約条件は、前記要約データに前記テキストを含ませる制約であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項6】前記生成部は、前記制約条件として受け付けた前記テキストを類語変換したテキストとして前記要約データに含ませることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。【請求項7】前記制約条件は、前記要約データに前記テキストを含ませない制約であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項8】前記制約条件は、前記要約データにおける文字数を制約する文字数制約を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項9】前記元データおよび前記要約データは、データ種別が同じであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項10】前記元データおよび前記要約データは、データ種別が異なることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の情報処理装置。【請求項11】前記データ種別は、テキスト、画像および音声の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9または10に記載の情報処理装置。【請求項12】コンピュータが実行する情報処理方法であって、元データに基づいて生成される要約データであって、クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件に従って制約された前記要約データの候補データを学習により生成したモデルを用いて生成する生成工程と、前記生成工程によって生成された前記要約データの候補データをユーザへ提示する提示工程と、前記提示工程によって提示された前記候補データに対する前記制約条件の追加を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データに対応する前記制約条件に前記ユーザから新たに受け付けた前記制約条件を加えることで更新する更新工程と、を含み、前記生成工程は、前記更新工程によって更新された前記制約条件を用いて前記要約データの候補データを生成し、前記提示工程によって提示された当該候補データの確定指示を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データを確定データとして確定し、前記モデルは、制約条件なしのモデルと、制約条件ありのモデルとを含み、前記制約条件なしのモデルは、過去の元データと、正解データである正解要約データとをデータセットとして学習することで生成され、前記制約条件ありのモデルは、前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成されることを特徴とする情報処理方法。【請求項13】元データに基づいて生成される要約データであって、クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件に従って制約された前記要約データの候補データを学習により生成したモデルを用いて生成する生成手順と、前記生成手順によって生成された前記要約データの候補データをユーザへ提示する提示手順と、前記提示手順によって提示された前記候補データに対する前記制約条件の追加を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データに対応する前記制約条件に前記ユーザから新たに受け付けた前記制約条件を加えることで更新する更新手順と、をコンピュータによって実行させ、前記生成手順は、前記更新手順によって更新された前記制約条件を用いて前記要約データの候補データを生成し、前記提示手順によって提示された当該候補データの確定指示を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データを確定データとして確定し、前記モデルは、制約条件なしのモデルと、制約条件ありのモデルとを含み、前記制約条件なしのモデルは、過去の元データと、正解データである正解要約データとをデータセットとして学習することで生成され、前記制約条件ありのモデルは、前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成されることを特徴とする情報処理プログラム。」
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、要約対象文書を予め設定された要約方式にしたがって要約する文書要約装置に関する。【0002】【従来の技術】文書データを取り扱うパーソナルコンピュータやワードプロセッサの普及にともない、従来より、入力された文書を要約して出力する文書要約装置が多数提案されている。特に、インターネット等の情報ネットワークの発達により、多量の文書データが容易に収集できるようになったため、文書中においてユーザが必要とする部分を抽出することによりデータサイズを縮小し、後方処理やユーザにおける取扱いを容易化することができる文書要約装置に対する要求が高まっている。続きを表示(全11行)【0003】このため、従来の文書要約装置は、要約対象文書の最初の数行を抽出する方式、予め設定された単語の出現頻度等の評価に基づいて要約対象文書から重要な段落を抽出する方式、または、文書構造の解析結果に基づいて要約対象文書の目次を作成する方式等のいずれか1つの要約方式を備えている。【0004】例えば、単語の出現頻度等の評価に基づいて要約する方式の文書要約装置では、ユーザが予め設定した単語を要約対象文書の各段落中において検索し、その単語がユーザが予め設定した個数以上存在する段落、または、その単語が最も多数存在する段落を要約文書として抽出し、所定の書式によりディスプレイ上に表示し、または、プリンタにより印字する。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の文書要約装置では、単一の要約方式を実行するようにしたものが多く、複数の要約方式を実行できるものでも各要約方式に係る細かな要約条件は固定化されており、このように固定化された要約方式では、ユーザの要求に応じた要約文書を出力できない場合が多い。即ち、要約対象文書の様式やユーザにおける文書の収集目的は多用化しており、これらの様式や目的毎に適当な要約方式が異なるため、固定化された要約方式によってはユーザの要求の全てを満足させることができない。【0006】例えば、収集した多数の文書データの全ての項目を一覧する場合には文書中の大文字部分や強調処理されている部分を抽出する要約方式が適し、特定の項目に関する情報を収集する場合には予め指定されたキーワードを含む段落を抽出する要約方式が適し、結論部分のみを読む場合には各段落の文頭における接続詞を判別する要約方式が適するが、ユーザにおける処理内容がどの場合に該当するかは、要約対象文書の様式や文書の収集目的によって変化する。【0007】このように、要約対象文書の様式や文書の収集目的に応じてユーザの処理内容が変化した場合、単一の要約方式しか実行することができない従来の文書要約装置では、最適な要約方式により文書を要約することができず、ユーザが必要とする要約文書を出力することができない問題があった。【0008】この発明の目的は、要約対象文書の様式や文書の収集目的に応じて実行する要約方式を選択することができ、ユーザのニーズに応じた方式で文書を要約することができる文書要約装置を提供することにある。」
イ 図1
[図:0001398137000001.jpg]
ウ 「【0029】【発明の実施の形態】図1は、この発明の実施形態の一例である文書要約装置の構成を示すブロック図である。文書要約装置1は、実際には、図2に示す機能を実現する処理プログラムを、CD-ROM等の記憶媒体を介して、図1に示す構成のパーソナルコンピュータ等のハードウェアに搭載したものである。したがって、現実の文書要約装置1は、ROM22及びRAM23を備えたCPU21に、インタフェース23a~23gを介してキーボード24、マウス25、ディスプレイ26、プリンタ27、モデムやターミナルアダプタ等のデータ回線終端装置(以下、DCEと言う。)28、FDDやHDD等の外部記憶装置29を接続して構成される。」
エ 図2
[図:0001398137000002.jpg]
オ 「【0030】図2は、上記文書要約装置の機能ブロック図である。文書要約装置1は、文書入力部2、要約方式入力部3、要約条件入力部4、対応関係入力部5、対応関係記憶部6、対応関係解析部7、要約方式選択部8、要約方式記憶部9、要約条件記憶部10、文書要約部11、出力条件入力部12、出力条件記憶部13、要約文書作成部14及び要約文書出力部15から構成されている。【0031】文書入力部2は、要約対象文書の本文及び付属情報の入力を受け付ける。文書入力部2に入力される付属情報は、文書の保存場所、題名、日付並びに時刻、作成者、差出人、名宛人及び文書長等のプロパティデータを含む。この文書入力部2は、1度の入力処理において複数の要約対象文書の入力を受け付けるものであってもよい。【0032】要約方式入力部3は、要約対象文書に対して実行する要約方式の設定入力を受け付ける。要約条件設定部4は、各要約方式における要約処理の内容を決定する要約条件の設定入力を受け付ける。ここに、要約条件とは、例えば、「短い文や挨拶文は要約処理の対象としない」、「短い文とは語数5以下の文である」、「挨拶文とは『お世話になります』または『よろしくお願いします』の文字列を含む文である」、「使用頻度の高い単語が含まれている文を5つ抽出する」「単語『PQR』を含む段落を抽出する」、「強調文を抽出する」または「強調文とは装飾文字により他の文と区別される文である」等のより詳細な要約処理の内容を言う。【0033】また、要約方式とは、「見出し列挙」、「目次作成」、「概要把握」または「XYZ社に関する情報収集」等の要約処理の内容を言い、各要約方式は上述した要約条件の1以上の集合であって、要約処理の内容を一義的に設定したものである。この要約方式は、上述した要約条件のうちの任意の要約条件を1以上組み合わせて特定の名称を付与したものであってもよい。(中略)【0044】文書要約部11は、要約方式入力部3において設定入力された要約方式、または、要約方式決定部8において決定された要約方式を要約方式記憶部9から読み出すととともに、要約条件記憶部10に記憶されている要約条件を読み出し、読み出した要約方式及び要約条件にしたがって文書入力部2から入力された要約対象文書を要約し、要約結果を要約文書作成部14に出力する。(中略)【0048】要約文書作成部14は、出力条件記憶部13から読み出した出力条件にしたがって、文書要約部11における要約結果から要約文書を作成し、要約文書出力部15に供給する。要約文書出力部15は、要約文書作成部14から供給された要約文書を表示出力または印字出力する。」
(2)上記(1)より、特に、下線部に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「機能を実現する処理プログラムを、CD-ROM等の記憶媒体を介して、パーソナルコンピュータ等のハードウェアに搭載した文書要約装置1であって、文書要約装置1は、文書入力部2、要約方式入力部3、要約条件入力部4、対応関係入力部5、対応関係記憶部6、対応関係解析部7、要約方式選択部8、要約方式記憶部9、要約条件記憶部10、文書要約部11、出力条件入力部12、出力条件記憶部13、要約文書作成部14及び要約文書出力部15から構成されており、文書入力部2は、要約対象文書の本文及び付属情報の入力を受け付けており、要約方式入力部3は、要約対象文書に対して実行する要約方式の設定入力を受け付けており、要約条件設定部4は、各要約方式における要約処理の内容を決定する要約条件の設定入力を受け付けており、ここに、要約条件とは、例えば、「短い文や挨拶文は要約処理の対象としない」、「短い文とは語数5以下の文である」、「挨拶文とは『お世話になります』または『よろしくお願いします』の文字列を含む文である」、「使用頻度の高い単語が含まれている文を5つ抽出する」「単語『PQR』を含む段落を抽出する」、「強調文を抽出する」または「強調文とは装飾文字により他の文と区別される文である」等のより詳細な要約処理の内容を言い、また、要約方式とは、「見出し列挙」、「目次作成」、「概要把握」または「XYZ社に関する情報収集」等の要約処理の内容を言い、各要約方式は上述した要約条件の1以上の集合であって、要約処理の内容を一義的に設定したものであり、文書要約部11は、要約方式入力部3において設定入力された要約方式を要約方式記憶部9から読み出すととともに、要約条件記憶部10に記憶されている要約条件を読み出し、読み出した要約方式及び要約条件にしたがって文書入力部2から入力された要約対象文書を要約し、要約結果を要約文書作成部14に出力し、要約文書作成部14は、出力条件記憶部13から読み出した出力条件にしたがって、文書要約部11における要約結果から要約文書を作成し、要約文書出力部15に供給し、要約文書出力部15は、要約文書作成部14から供給された要約文書を表示出力する文書要約装置1。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
「【要約】 (修正有)【課題】音声と画像の双方から要約を得る要約装置,その制御方法,要約システム及びプログラムを提供する。【解決手段】会議システム100(要約システム)において,会議装置101は,音声データを含む音声情報テーブル,画像データを含む画像情報テーブル等を生成する。会議サーバ102は,音声情報テーブルの音声データをテキスト化して発話テーブルを生成し,画像情報テーブルの画像データをテキスト化して記入テーブルを生成する。そして会議サーバ102は,発話テーブル,記入テーブルを統合して会議テキストテーブルを生成し,さらに会議テキストテーブルを要約して,要約テーブルを生成し,要約テーブル等に基づいて議事録を生成する。」
第5 対比・判断
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と、引用発明とを対比する。
ア 引用発明は、「機能を実現する処理プログラムを、CD-ROM等の記憶媒体を介して、パーソナルコンピュータ等のハードウェアに搭載した文書要約装置1であって、」「文書入力部2、要約方式入力部3、・・・、文書要約部11、・・・、」「要約文書作成部14及び要約文書出力部15から構成されており、文書入力部2は、要約対象文書の本文及び付属情報の入力を受け付けており、要約方式入力部3は、要約対象文書に対して実行する要約方式の設定入力を受け付けており、要約条件設定部4は、各要約方式における要約処理の内容を決定する要約条件の設定入力を受け付けており、文書要約部11は、要約方式入力部3において設定入力された要約方式を要約方式記憶部9から読み出すととともに、要約条件記憶部10に記憶されている要約条件を読み出し、読み出した要約方式及び要約条件にしたがって文書入力部2から入力された要約対象文書を要約し、要約結果を要約文書作成部14に出力」するとされている。
ここで、引用発明の「入力された要約対象文書」、「要約結果」は、それぞれ、本願発明1の「元データ」、「要約データ」に相当するといえる。
また、引用発明の「要約対象文書に対して実行する要約方式の設定入力」および「各要約方式における要約処理の内容を決定する要約条件の設定入力」は、ユーザから受け付けた制約条件であるといえるから、本願発明1の「クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件」に対応するといえる。
さらに、引用発明の「要約結果」は、要約データの候補データであるともいえるから、引用発明の「要約文書作成部14」は、本願発明1と同様に、「要約データの候補データを」「生成」しているといえる。
そして、引用発明は、「機能を実現する処理プログラムを、CD-ROM等の記憶媒体を介して、パーソナルコンピュータ等のハードウェアに搭載した文書要約装置1であ」るから、本願発明1と同様に、「情報処理装置」であるといえる。
したがって、本願発明1と、引用発明とは、「元データに基づいて生成される要約データであって、クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件に従って制約された前記要約データの候補データを」「生成する生成部」「を備え」「る情報処理装置」である点で共通しているといえる。
しかし、本願発明1では、要約データの候補データを生成する際に、「学習により生成したモデルを用いて」いるのに対して、引用発明では、学習により生成したモデルを用いていない点で相違している。
イ 引用発明は、「要約文書作成部14は、出力条件記憶部13から読み出した出力条件にしたがって、文書要約部11における要約結果から要約文書を作成し、要約文書出力部15に供給し、要約文書出力部15は、要約文書作成部14から供給された要約文書を表示出力する」とされている。
ここで、上記アで述べたように、引用発明の「要約結果」は、本願発明1の「要約データの候補データ」に対応しているから、引用発明の「要約結果」から「作成」された「要約文書」にも、本願発明1と同様に,「要約データの候補データ」が含まれているといえる。
また、引用発明において、「要約文書を表示出力」しているから、本願発明1と同様に,「要約データの候補データをユーザへ提示」しているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記生成部によって生成された前記要約データの候補データをユーザへ提示する提示部」「を備え」「る情報処理装置」である点で共通しているといえる。
(2)一致点・相違点
本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。
ア 一致点
「元データに基づいて生成される要約データであって、クライアントユーザから受け付けた所定の制約条件に従って制約された前記要約データの候補データを生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記要約データの候補データをユーザへ提示する提示部と、を備えた情報処理装置。」
イ 相違点
(ア) <相違点1>
本願発明1では、要約データの候補データを生成する際に、「学習により生成したモデルを用いて」いるのに対して、引用発明では、学習により生成したモデルを用いていない点。
(イ) <相違点2>
本願発明1では、「前記提示部によって提示された前記候補データに対する前記制約条件の追加を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データに対応する前記制約条件に前記ユーザから新たに受け付けた前記制約条件を加えることで更新する更新部」を備えているのに対して、引用発明では、このような更新部を備えていない点。
(ウ) <相違点3>
本願発明1では、生成部が「前記更新部によって更新された前記制約条件を用いて前記要約データの候補データを生成し、前記提示部によって提示された当該候補データの確定指示を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データを確定データとして確定し」ており、「 前記モデルは、
制約条件なしのモデルと、制約条件ありのモデルとを含み、
前記制約条件なしのモデルは、
過去の元データと、正解データである正解要約データとをデータセットとして学習することで生成され、
前記制約条件ありのモデルは、
前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成される」ものであるのに対し、
引用発明では、生成部がこのような構成を備えていない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、まず、<相違点3>について検討する。
ア 引用文献1および2には、本願発明1の<相違点3>に係る構成である、生成部が「前記更新部によって更新された前記制約条件を用いて前記要約データの候補データを生成し、前記提示部によって提示された当該候補データの確定指示を前記ユーザから受け付けた場合、当該候補データを確定データとして確定し」ており、「 前記モデルは、
制約条件なしのモデルと、制約条件ありのモデルとを含み、
前記制約条件なしのモデルは、
過去の元データと、正解データである正解要約データとをデータセットとして学習することで生成され、
前記制約条件ありのモデルは、
前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成される」ものであるという点について、記載も示唆も無く、また、当該構成が本願出願日前に周知であったとも認められない。
したがって、引用発明および引用文献2に基づいて、当業者は本願発明1の<相違点3>に係る構成を容易に想到することができない。
オ 以上から、上記<相違点1>および<相違点2>について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明および引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-11
本願発明2-11は、いずれも、本願発明1を引用したものであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、上記1の本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明12、13について
本願発明12は、本願発明1の発明のカテゴリを、単に、情報処理装置の発明から、情報処理方法の発明へと変更したものであり、本願発明13は、本願発明1の発明のカテゴリを、単に、情報処理装置の発明から、情報処理プログラムの発明へと変更したものであるから、上記1で述べた本願発明1と同様の理由により、引用発明および引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
上記第5のとおり、本願発明1-13は、いずれも、引用発明および引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
よって、原査定の拒絶の理由1.(進歩性)は理由がない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由
当審が令和5年1月31日付けで通知した当審拒絶理由(最後)は次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の請求項1-13の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
審判請求時の補正後の請求項1には,「制約条件ありのモデル」に関して,「前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと,正解データとなる正解要約データ,当該要約データおよび当該正解要約データの差分から抽出された制約条件とをデータセットとして学習することで生成されること」と記載されている。
上記記載では,「制約条件」が,「情報処理装置」により「当該要約データおよび当該正解要約データの差分から抽出」されるのか,編集者等のユーザにより「当該要約データおよび当該正解要約データの差分から抽出」されるのか,不明確である。
なお,前者の場合,本願の出願時の明細書,図面,および,特許請求の範囲の記載を超えるものとなる恐れがある。
また,請求項1を引用する請求項2-11についても同じことが指摘される。
さらに,請求項12,13にも同様の記載があり,同じことが指摘される。
よって,請求項1-13に係る発明は明確でない。
2 検討
これに対し、令和5年4月10日に提出された手続補正書による補正により、
請求項1、12、13の「前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと,正解データとなる正解要約データ,当該要約データおよび当該正解要約データの差分から抽出された制約条件とをデータセットとして学習することで生成されること」を
「前記制約条件なしのモデルに元データを入力して得られた要約データと、正解データとなる正解要約データと、当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである制約条件とをデータセットとして学習することで生成されること」と補正した。
これにより、当該記載では、「制約条件」が、「当該正解要約データに有って当該要約データに無いキーワードである」ことが明確になり、請求項1、12、13に係る発明は、明りょうとなった。
また、請求項1を引用する請求項2-11についても、同様に、明りょうとなった。
したがって、当審拒絶理由の上記1の理由は解消した。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-015899