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特許拒絶査定不服審判

2022-015372

遊技機

審判番号
2022-015372
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-090144外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月28日
審決日
2023年08月01日
公報発行日
2023年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (A63F) / P18 .121-WY (A63F) / P18 .537-WY (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-90144「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和2年8月20日出願公開、特開2020-124616、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成27年7月30日に出願した特願2015-151165号の一部を平成28年8月31日に新たな特許出願(特願2016-168727号)とし、さらにその一部を令和2年5月22日に新たな特許出願(特願2020-90144号)としたものであって、同年6月19日に手続補正書が提出され、令和3年5月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月9日付けで最後の拒絶の理由が通知され、令和4年2月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月16日付け(送達日:同月28日)で、同年2月14日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、これに対し、当審において、令和5年4月12日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月19日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

理由1(新規性)

この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2(進歩性)

この出願の請求項1-3に係る発明は、下記の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.特開2008-104741号公報

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(明確性)

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記

(1)請求項1の記載において、「演出シーン」を「実行」するとは、どのような態様を表現しているのか不明であり、請求項1に係る発明の構成が明確でない。

(2)請求項1における「遊技者にかせられた特定のミッションが所定の時刻から始まる所定期間内に達成されたか否かにより、次に実行する前記演出シーンを異ならせることが可能となっている」の記載によって特定される構成が明確でなく、請求項1に係る発明の構成が明確でない。

理由2(進歩性)

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2010-279608号公報(当審において新たに引用した文献)

2.特開2008-104741号公報(拒絶査定時の引用文献A)

第4 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年6月19日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、A~Cについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「構成A」等という。)。

「【請求項1】
A 遊技に関する演出シーンを表示し、予め設定された切替条件の成立に起因して前記演出シーンを切り替える演出実行手段を備え、
B 前記演出実行手段は、前記演出シーンを、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって表示可能となっていると共に、遊技者にかせられた特定のミッションが所定の時刻から始まる所定期間内に達成された場合と達成されなかった場合とで、次に表示する前記演出シーンを相互に異ならせることが可能となっている
C 遊技機。」

第5 当審拒絶理由についての検討

1 理由1について

(1) 令和5年6月19日付けの手続補正によって、補正前の請求項1における「遊技に関する演出シーンを実行し、」、及び、「前記演出シーンを、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって実行可能となっている」との記載が、それぞれ、「遊技に関する演出シーンを表示し、」、及び、「前記演出シーンを、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって表示可能となっている」との記載に補正されたことにより、当審拒絶理由の理由1の(1)は解消された。

(2) 上記手続補正によって、補正前の請求項1における「遊技者にかせられた特定のミッションが所定の時刻から始まる所定期間内に達成されたか否かにより、」との記載が、「遊技者にかせられた特定のミッションが所定の時刻から始まる所定期間内に達成された場合と達成されなかった場合とで、」との記載に補正されたことにより、当審拒絶理由の理由1の(2)は解消され、上記(1)とにより、補正後の請求項1に係る発明の構成は明確になった。

2 理由2について

(1)引用文献、引用発明等

(1-1) 引用文献1について

ア 引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。

(ア)

「【0001】
本発明は、大当たりの当選回数に関わる遊技条件が変動する遊技機に関する。」

(イ)

「【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1に示すように、遊技機1は、遊技球が流下する遊技領域5が形成された遊技盤2と遊技盤2の正面側に回転自在に配設されたガラス枠110とを有する。遊技機1の周辺には所定の情報を表示するデータ表示器700と、プリペイドカード(図示せず)を挿入するカード挿入口800aが形成されたカードユニット800とが遊技機1及びホールコンピュータ(図示せず)に通信的に接続可能に配設されている。また、遊技盤2の裏面には、遊技の進行を制御する制御基板100が設けられている。」

(ウ)

「【0032】
遊技領域5は主に、遊技盤2から突設されている区画部材4によって区画されており、遊技盤2の略中央に配設センター役物Cの周囲に形成されている。センター役物Cは、画像出力装置13、演出用役物装置14、演出用電飾装置15及び第1ステージS1からなる。遊技領域5は、センター役物Cの上側に形成される上遊技領域5Aと、センター役物Cの下側に形成される下遊技領域5Bと、センター役物Cの正面視左側に形成される左遊技領域5Cと、センター役物Cの右側に形成される右遊技領域5Dとからなる。」

(エ)

「【0036】
下遊技領域5Bのセンター役物Cの中心線より正面視右側、すなわち一般入賞口11の下流側には、遊技球が通過可能な入賞ゲート10が設けられている。入賞ゲート10には、遊技球を検出する入賞ゲート検出センサ10aが設けられており、この入賞ゲート検出センサ10aが遊技球を検出すると、後述する当たりの抽選が行われる。当たりの抽選において、「当たり」に当選すると第2始動口制御装置70が作動し、第2始動口7への入賞が可能となる。
【0037】
また、下遊技領域5Bのセンター役物Cの中心線上には、遊技球が常時入賞可能な第1始動口6、入賞可能な状態と入賞不可能な状態とが切り換えられる第2大入賞口9及び入賞可能な状態と入賞不可能な状態とが切り換えられる第2始動口7が上から(センター役物C側から)順に並設されている。第1始動口6には第1始動口検出センサ6aが、第2大入賞口9には第2大入賞口検出センサ9aが、第2始動口7には第2始動口検出センサ7aが設けられており、各センサが遊技球を検出すると、各入賞口に応じた所定個数(例えば、第1始動口6及び第2始動口7は3個、第2大入賞口9は14個)の遊技球が賞球として払い出される。」

(オ)

「【0057】
入賞ゲート10の直ぐ下には第1大入賞口8が形成されている。第1大入賞口8は通常の遊技状態においては、遊技盤2内に水平方向の回転軸を有する板状の回転扉80bによって封鎖されることで入賞不可能な状態に維持されている。回転扉80bは、その回転軸を介して第1大入賞口開閉ソレノイド80aに接続されており、所定条件が成立して(本実施の形態において、「長当たり」の当選)第1大入賞口開閉ソレノイド80bが通電されると、回転扉80bが回転軸周りに回転し、遊技盤2(又は、遊技領域5)に略垂直に保持される。すなわち、所定条件が成立すると、回転扉80bが回転し、遊技球を受け取ると共に第1大入賞口8へ導く役割を果たすので、第1大入賞口8への入賞が可能になる。第1大入賞口8の口縁側部には、回転扉80bの回転をガイドするガイド部81、82が遊技盤2から突設されている。」

(カ)

「【0064】
また、上記遊技盤2には、演出を行う様々な演出装置が設けられている。
具体的には、上記遊技領域6の略中央部分には、液晶表示器(LCD)等からなる画像出力装置13が設けられている。さらに、この画像出力装置13の上部正面側に演出用役物装置14が設けられ、両端部正面側に電飾装置15A、15Bが設けられている。なお、画像出力装置13、演出用役物装置14及び電飾装置15A、15Bはセンター役Cを構成する。また、遊技盤2の上方および下方に演出用照明装置16が設けられており、操作ハンドル3の左側には演出ボタン18が設けられている。
【0065】
上記画像出力装置13には、主に遊技の進行に応じた演出が表示されたりする。そのなかでも特に主要なものは、第1始動口6または第2始動口7に遊技球が入賞することを契機に行われる特賞抽選に対応した抽選演出である。抽選演出は、演出図柄が停止して当該抽選演出における演出図柄が確定すると共に、当該抽選演出が終了することを意味する演出図柄の停止表示と、内部的ではなく外部的(遊技者的)な特賞抽選の開始から、終了直前すなわち演出図柄の停止表示まで誘導する演出図柄の変動表示とからなる。なお、抽選演出は特賞抽選に対応して行われるが、あくまで特賞抽選に対する演出であるので、後述する演出図柄の停止表示における、有効ライン上の演出図柄の配列は必ずしも特賞抽選の結果、換言すれば、停止表示された特別図柄に対応付けられているわけではない。」

(キ)

「【0080】
(制御手段の内部構成)
次に、図12を用いて、遊技の進行を制御する制御手段について説明する。本実施形態においては、制御手段100は、主制御基板101、演出制御基板102、払出制御基板103、ランプ制御基板104及び画像制御基板105から構成されている。」

(ク)

「【0094】
画像制御基板105は、少なくとも画像出力装置13に表示される動画や静止画等の画像を制御する画像制御部105Bと、音出力装置17から出力される音を制御する音声制御部105Cと、画像制御部105B及び音制御部105Cを統括制御する統括部105Aとを有する。」

(ケ)

「【0109】
「大当たり」又は「小当たり」に当選すると大入賞口制御装置80、90が作動し、大入賞口が遊技球の入賞が可能な状態になる特別遊技が実行されるが、特別図柄表示装置19、20において停止表示される特別図柄の種類毎に停止図柄データが設定されており、停止図柄データは特別遊技の種類に関連付けられている(図14参照)。特別遊技の種類は、作動する大入賞口制御装置の種類(第1大入賞口制御装置80又は第2大入賞口制御装置90)と大入賞口制御装置の作動態様とで構成されている。停止図柄データはさらに、「大当たり」の当選に係る大当たり遊技の終了後に変動する遊技条件が関連付けられている遊技条件データにも関連付けられている(図15参照)。」

(コ)

「【0121】
大当たり遊技後にどのような遊技条件に変動するかは、当選した大当たりの種類、すなわち、特別図柄の種類によって決定される(図15参照)。大当たりの種類を構成する要素として、上述した大当たり遊技の種類(長当たり遊技・短当たり遊技)もあるので、これらを総合すると、大当たりの種類は、実行される特別遊技の種類と、当該大当たり遊技終了後に変動する遊技条件との組合せと言える。本実施の形態では、大当たりの種類は4種類(大当たり1(大当たり特別図柄1~5、11~15)、大当たり2(大当たり特別図柄6、7、16、17)、大当たり3(大当たり特別図柄8、18)及び大当たり4(大当たり特別図柄9、10、19、20)ある。」

(サ)

「【0190】
ここで、図24~図28に示す変動パターン判定テーブルについて説明する。上述した通り、変動パターン判定テーブルは、まず現時点が属する期間の種類(特定期間(特定期間の場合はその種類)、又は、通常期間)、すなわち、当該特別図柄変動処理が行われる時点での期間特定フラグ記憶領域に記憶されているフラグの種類によって大きく分けられている。そして、その分けられた中でさらに、特賞抽選の結果(特賞の種類(大当たり・小当たり)、大当たりの種類、リーチの有無)等によっても分けられている。このように2段階で細分化された各変動パターン判定テーブルにおいて、変動パターン判定値と変動パターンとが対応付けられている。変動パターンは、特図変動時間についての情報を有するものである。」

(シ)

「【0277】
このように、出玉確変大当たり又は突確大当たりに当選すると、当該大当たり遊技後は「高確率」且つ「時短」遊技条件の基で最大で70回の特賞抽選が行われ、この遊技条件による特賞抽選が70回行われると、特別移行期間になり「高確率」且つ「非時短」遊技条件の基で最大で4回の特賞抽選が行われる。「高確率」且つ「非時短」遊技条件での4回の特賞抽選が行われて特別移行期間が終了すると、通常期間となり再度大当たりに当選するまで「低確率」且つ「非時短」遊技条件の基で特賞抽選が行われる(図52参照)。特別移行期間における遊技条件は「高確率」且つ「非時短」であるので、潜確大当たり遊技後に変動する遊技条件、言い換えれば、潜確大当たりに付随する遊技条件と同一である。つまり、出玉確変大当たり又は突確大当たりによって遊技者が受ける恩恵(特典)は突然消滅するわけではなく、遊技条件について出玉確変大当たり又は突確大当たりより恩恵の度合いが低い潜確大当たりによる恩恵を経由して(介して)消滅する。遊技者にとっては、結果的には、本実施の形態では、ある大当たり当選に付随する最も有利な遊技条件から最も不利な遊技条件に変動することになるが、その途中で、他の大当たり当選に付随する、最も有利な遊技条件よりは不利で、最も不利な遊技条件よりは有利な遊技条件を経由することで、遊技者の落胆による遊技意欲の減退を緩和することができる。」

(ス)

「【0364】
図45に示すように、出玉確変大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「B」の演出が行われ、突確大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「C」の演出が行われる。一方、「潜確大当たり」又は「小当たり」に当選した場合、当該特別遊技以降、演出モード「D」又は演出モード「E」による抽選演出が行われる。つまり、出玉確変大当たり又は突確大当たりに当選すれば必ず演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が確定的に実行されるが、潜確大当たり又は小当たりに当選すればいずの場合においても共通して、演出モード「D」又は演出モード「E」の演出が選択的に行われる。このように、潜確大当たり遊技後と小当たり遊技後に同一の演出モードによる抽選演出が行われるのは、いずれの遊技後であるかの見分けを困難又は不可能にするためである。この結果、遊技者は特別遊技終了後以降においても、例えば潜確大当たりに当選して大当たりの当選確率が高確率になっているのか、あるいは、小当たりに当選して大当たりの当選確率が低確率のままであるのか分からないので、遊技者のドキドキ感を持続させることができる。しかしながら、各遊技後において出現しうる演出モードの確率は異なって設定されている。これによって、出現した演出モードに基づく潜確大当たり又は小当たりの期待度も異なることから、遊技者がおかれている遊技状況を推測できる余地が残るので、遊技の興趣を高めることができる。」

(セ)

「【0370】
次に、画像出力装置13による演出モード「F」の抽選演出について説明する。本実施の形態では、演出モード「F」の演出は、演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が終了したあと、最大で4回の抽選演出において行われる(図52参照)。「最大で4回の」とあるのは、この4回の抽選演出の間に、いずれかの大当たりに当選すると、他の演出モードに移行するからである。例えば、演出モード「F」の演出が開始されてから2回目の特賞抽選で「出玉確変大当たり」に当選すると、演出モード「F」による演出はその抽選演出で終了し、次の抽選演出からは演出モード「B」になる。
【0371】
図53(a)に示すように、演出モード「F」による抽選演出の開始時には、例えば、画像出力装置13に「4回転以内に○○を撃破せよ!」と、演出モード「F」による抽選演出、すなわち、特別移行期間での特賞抽選(特別図柄の変動表示)が残り4回であることを示唆する残り抽選回数示唆演出が表示される。この時、画像出力装置13の画面右上にも残り抽選回数示唆演出として「あと4回」と表示される。残り抽選回数示唆演出が表示される。
【0372】
そして、演出モード「F」に係る特賞抽選がハズレである場合、演出モード「F」における2回目の抽選演出(特賞抽選)が行われる。このとき、2回目の抽選演出の開始時には演出モード「F」による抽選演出の開始時と同様に、「3回転以内に○○を撃破せよ」と、演出モード「F」に係る抽選演出、すなわち、特別移行期間に係る特賞抽選が残り3回であることを示唆する残り抽選回数示唆演出が表示される(図54(a)参照)。この時も、残り抽選回数示唆演出として画像出力装置13の画面右上に「あと3回」と表示される。
【0373】
特賞抽選でハズレが続き、4回目の抽選演出が行われるときには、その開始時に「これがラストチャンスだ!○○を撃破せよ!」と、演出モード「F」に係る抽選演出、すなわち、特別移行期間に係る特賞抽選が残り1回であることを示唆する残り抽選回数示唆演出が表示される(図54(b)参照)。この時も、画像出力装置13の画面右上にも残り抽選回数示唆演出として「あと1回」と表示される。なお、画面右上の表示される「あと○回」という表示は、抽選演出中継続して表示されている。
【0374】
そして、演出モード「F」に係る最後の抽選演出においてもハズレである場合、このハズレである特賞抽選の結果に対応する装飾図柄の停止表示が当該抽選演出の終了間際に行われるが、この停止表示される時に次の演出モード、すなわち、演出モード「A」に切り替わる。したがって、演出モード「F」による最後の抽選演出においてもハズレであれば、装飾図柄の停止表示は演出モード「A」で行われる(図54(c)参照)。」

イ 引用文献1の記載より認定できる事項

引用文献1の【0080】に「遊技の進行を制御する制御手段について説明する。」と記載され、さらに「制御手段100は・・・。」と記載されていることから、遊技機1は、制御手段100を有する点(以下「認定事項1」という。)が認定できる。

ウ 引用発明

上記アの記載事項及び上記イの認定事項より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、符号ア等は、分説するため合議体が付した。)。

「ア 遊技球が流下する遊技領域5が形成された遊技盤2を有する遊技機1であって(【0028】)、
イ 遊技領域5は、上遊技領域5Aと、下遊技領域5Bと、左遊技領域5Cと、右遊技領域5Dとからなり(【0032】)、
ウ 下遊技領域5Bには、遊技球が通過可能な入賞ゲート10が設けられ(【0036】)、入賞ゲート10の直ぐ下には第1大入賞口8が形成され(【0057】)、
エ 下遊技領域5Bには、遊技球が常時入賞可能な第1始動口6、入賞可能な状態と入賞不可能な状態とが切り換えられる第2大入賞口9及び入賞可能な状態と入賞不可能な状態とが切り換えられる第2始動口7が上から順に並設され(【0037】)、
オ 遊技機は1、遊技の進行を制御する制御手段100を有し(認定事項1)、制御手段100は、主制御基板101、演出制御基板102、払出制御基板103、ランプ制御基板104及び画像制御基板105から構成され(【0080】)、上記遊技盤2には、液晶表示器(LCD)からなる画像出力装置13が設けられ(【0064】)、画像制御基板105は、画像出力装置13に表示される動画や静止画等の画像を制御する画像制御部105Bを有し(【0094】)、
カ 上記画像出力装置13には、第1始動口6または第2始動口7に遊技球が入賞することを契機に行われる特賞抽選に対応した抽選演出が表示され、抽選演出は、演出図柄が停止して当該抽選演出における演出図柄が確定すると共に、当該抽選演出が終了することを意味する演出図柄の停止表示と、特賞抽選の開始から演出図柄の停止表示まで誘導する演出図柄の変動表示とからなり(【0065】)、
キ 特賞抽選の結果(【0190】)、「大当たり」に当選すると大入賞口が遊技球の入賞が可能な状態になる特別遊技が実行され(【0109】)、大当たり遊技後にどのような遊技条件に変動するかは、当選した大当たりの種類、すなわち、特別図柄の種類によって決定され(【0121】)、
ク 出玉確変大当たり又は突確大当たりに当選すると、当該大当たり遊技後は「高確率」且つ「時短」遊技条件の基で最大で70回の特賞抽選が行われ、この遊技条件による特賞抽選が70回行われると、特別移行期間になり「高確率」且つ「非時短」遊技条件の基で最大で4回の特賞抽選が行われ(【0277】)、
ケ 出玉確変大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「B」の演出が行われ、突確大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「C」の演出が行われ(【0364】)、演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が終了したあと、演出モード「F」の演出が、最大で4回の抽選演出において行われ、この4回の抽選演出の間に、「出玉確変大当たり」に当選すると、演出モード「F」による演出はその抽選演出で終了し、次の抽選演出からは演出モード「B」になり(【0370】)、特賞抽選でハズレが続き(【0373】)、演出モード「F」に係る最後の抽選演出においてもハズレである場合、このハズレである特賞抽選の結果に対応する装飾図柄が停止表示される時に演出モード「A」に切り替わる(【0374】)、
コ 遊技機1(【0028】)。」

(1-2) 引用文献2について

当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 引用文献2に記載された事項

(ア) 「【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、コイン遊技機、スロットマシンなどで代表される遊技機に関する。詳しくは、遊技の演出を行なう演出装置を備え、遊技において特定の条件が成立したときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御される遊技機に関する。」
(イ) 「【0271】
月曜日~金曜日においては、図11の(f)の特別演出情報テーブルの設定にしたがって、10時00分になったときと、17時00分になったときとのそれぞれで、(a1),(a8)のように、変動表示装置9において「ゴールデンタイム」という第1特別演出の実行タイミングが到来したことを示すメッセージが表示されるともに、「20分以内に7でリーチを出せ」というようなミッションの達成条件が表示(提示)されることによる第1特別演出の開始時における演出表示(以下、第1の特別演出開始表示という)が行なわれ、特別演出の期間(ミッション期間)が開始する。このような「20分以内に7でリーチを出せ」というメッセージにより、ミッションが達成されると確変大当りとなることが暗に示されている。ミッション期間が開始されると、ミッション期間においては、通常演出の期間と比べて、飾り図柄の背景画像の色が予め定められた特別な色に変化する等、ミッション期間であることが遊技者にとって容易に識別できるようにする演出が行なわれる。また、ミッション期間中においては、(a2)において「残り3分」と示されるようなミッション期間の残り時間を示す表示が行なわれる。
【0272】
また、土曜日、日曜日および祝日においては、図11の(f)の特別演出情報テーブルの設定にしたがって、(b1),(b8)のように前述した第1特別演出が実行されることに加えて、12時00分になったときと、15時00分になったときとのそれぞれで、(b4),(b6)のように、変動表示装置9において「特別ゴールデンタイム」という第2特別演出の実行タイミングが到来したことを示すメッセージが表示されるともに、「20分以内にゴールデンリーチを出せ」というようなミッションの達成条件が表示(提示)されることによる第2特別演出の開始時における演出表示(以下、第2の特別演出開始表示という)が行なわれ、ミッション期間が開始する。ここで、ゴールデンリーチとは、リーチ状態において第2特別演出に対応して予め定められた特定のキャラクタが表示されるリーチである。このような「20分以内にゴールデンリーチを出せ」というメッセージにより、ミッションが達成されると確変大当りまたは通常大当りとなることが暗に示されている。また、ミッション期間中においては、(b2)において「残り3分」と示されるようなミッション期間の残り時間を示す表示が行なわれる。
【0273】
第1特別演出および第2特別演出のそれぞれについて、ミッション演出を行なう特別演出が実行される期間としてのミッション期間は、たとえば20分間であり、その20分間において、ミッションの達成条件を満足するときには、ミッションが達成したことが示され(第1特別演出の場合はミッション達成図柄が表示され、第2特別演出の場合は、特定のキャラクタが表示されるゴールデンリーチが表示される)、ミッションの達成条件を満足しないときには、ミッションが達成しないことが示される(後述する図20の(g)、(h)のような表示が行なわれる)。なお、第1特別演出と、第2特別演出とで、ミッション期間が異なるようにしてもよい。」

イ 引用文献2記載事項

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上記段落【0271】には、「10時00分になったときと、17時00分になったときとのそれぞれで、」「ミッション期間」「が開始する」ことが記載されており、また、上記段落【0272】には、さらに「12時00分になったときと、15時00分になったときとのそれぞれで、」「ミッション期間が開始する」ことが記載されていることから、引用文献2には、所定の時刻になると、ミッション期間が開始することが記載されていると認められる。

そして上記段落【0273】には、「ミッション演出を行なう特別演出が実行される期間としてのミッション期間は、たとえば20分間であり、その20分間において、ミッションの達成条件を満足するときには、ミッションが達成したことが示され」「ミッションの達成条件を満足しないときには、ミッションが達成しないことが示される」ことが記載されていることから、引用文献2には、所定期間内にミッションの達成条件を満足するときには、ミッションが達成したことが示され、ミッションの達成条件を満足しないときには、ミッションが達成しないことが示されることが記載されていると認められる。

してみると、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「所定の時刻になると、ミッション期間が開始され、所定期間内にミッションの達成条件を満足するときには、ミッションが達成したことが示され、ミッションの達成条件を満足しないときには、ミッションが達成しないことが示されるパチンコ遊技機。」

(2) 対比・判断

ア 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(ア) 本願発明の構成Aに関して

引用発明のオにおける「画像出力装置13に表示される動画や静止画等の画像を制御する画像制御部105B」は、同ケにおいて「出玉確変大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「B」の演出」を「行」い、「突確大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「C」の演出」を「行」い、「演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が終了したあと、演出モード「F」の演出」を「最大で4回の抽選演出において行」う点が特定されている。

してみると、引用発明のケにおける「出玉確変大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「B」の演出」を「行」い、「突確大当たりに当選した場合は、当該大当たり遊技終了以降演出モード「C」の演出」を「行」い、「演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が終了したあと、演出モード「F」の演出」を「最大で4回の抽選演出において行」うことは、上記「出玉確変大当たりに当選した場合」、「突確大当たりに当選した場合」、「演出モード「B」又は演出モード「C」の演出が終了」することは、本願発明の構成Aにおける「予め設定された切替条件の成立」に相当するから、本願発明の構成Aにおける「予め設定された切替条件の成立に起因して前記演出シーンを切り替える」ことに相当する。

引用発明のオ及びケにおける「画像出力装置13に表示される動画や静止画等の画像を制御する画像制御部105B」は、本願発明の構成Aにおける「演出実行手段」に相当する。

よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

(イ) 本願発明の構成Bに関して

引用発明のケにおける演出モード「B」及び演出モード「C」は、同クを参照すると、「70回の特賞抽選」の間において実行され、同ケにおける演出モード「F」は、「最大で4回の抽選演出において行われる」ものであるから、引用発明における演出モード「B」、演出モード「C」及び演出モード「F」は、いずれも、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって実行可能であると認められる。

してみると、引用発明における演出モード「B」及び演出モード「C」が「70回の特賞抽選」の間において実行され、演出モード「F」が「最大で4回の抽選演出において行われる」ことは、本願発明の構成Bにおける「演出シーン」が「複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって表示可能となっている」ことに相当する。

また、引用発明のケにおける「4回の抽選演出の間に、「出玉確変大当たり」に当選する」ことは、遊技者に課せられた「4回の抽選演出の間に、「出玉確変大当たり」に当選する」ことを達成することであるから、本願発明の構成Bにおける「遊技者にかせられた特定のミッションが」「達成された」ことに相当する。

そして、引用発明のケにおける「4回の抽選演出の間に、「出玉確変大当たり」に当選すると、」「次の抽選演出からは演出モード「B」になり」、「特賞抽選でハズレが続き」、「演出モード「F」に係る最後の抽選演出においてもハズレである場合、このハズレである特賞抽選の結果に対応する装飾図柄が停止表示される時に演出モード「A」に切り替わる」ことは、本願発明の構成Bにおける「遊技者にかせられた特定のミッションが」「達成された場合と達成されなかった場合とで、次に表示する前記演出シーンを相互に異ならせることが可能となっている」ことに相当する。

以上のことから、本願発明の構成Bに関して、本願発明と引用発明は、「前記演出実行手段は、前記演出シーンを、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって実行可能となっていると共に、遊技者にかせられた特定のミッションが」「達成された場合と達成されなかった場合とで、次に表示する前記演出シーンを相互に異ならせることが可能となっている」点で共通する。

(ウ) 本願発明の構成Cに関して

引用発明のコにおける「遊技機1」は、本願発明の構成Cにおける「遊技機」に相当する。

よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。

(エ) 一致点及び相違点について

以上のことから、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。

<一致点>

A 遊技に関する演出シーンを表示し、予め設定された切替条件の成立に起因して前記演出シーンを切り替える演出実行手段を備え、

B’前記演出実行手段は、前記演出シーンを、複数の当否判定の結果報知の期間にまたがって実行可能となっていると共に、遊技者にかせられた特定のミッションが達成された場合と達成されなかった場合とで、次に表示する前記演出シーンを相互に異ならせることが可能となっている

C 遊技機。

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点>(構成Bに関して)

本願発明は、遊技者にかせられた特定のミッションが所定の時刻から始まる所定期間内に達成された場合と達成されなかった場合とで、次に表示する前記演出シーンを相互に異ならせることが可能となっているのに対して、引用発明は、「特賞抽選が70回行われ」て「特別移行期間にな」った「4回の抽選演出の間」において達成されたか達成されなかったかを判別しており、「所定の時刻から始まる所定期間内に達成された場合と達成されなかった場合」によって判別するものではない点。

(オ) 相違点についての判断

上記引用文献2記載事項は、「所定の時刻になると、ミッション期間が開始され、所定期間内にミッションの達成条件」を「満足する」か「満足しない」かに着目するものであるから、本願発明の上記相違点に係る構成と同様、「遊技者にかせられた特定のミッション」が「所定の時刻から始まる所定期間内」に「達成された」か「達成されなかった」かに着目するものであるといえる。

そこで、引用発明に引用文献2記載事項が適用可能であるか否かについて以下に検討する。

引用発明は、「「高確率」且つ「時短」遊技条件の基で最大で70回の特賞抽選が行われ、この遊技条件による特賞抽選が70回行われると、特別移行期間にな」るものであるから、「特別移行期間にな」る契機は、「「高確率」且つ「時短」遊技条件の基で最大で70回の特賞抽選が行われ」ることであり、「特別移行期間」は、「4回の抽選演出の間」によって規定されるものである。

一方、引用文献2記載事項は「所定の時刻になると、ミッション期間が開始され」るものであるから、「ミッション期間が開始され」る契機は、「所定の時刻になる」ことであり、「ミッション期間」は「所定期間」により規定されるものである。

そして、引用発明に引用文献2記載事項を適用する場合、引用発明において「「高確率」且つ「時短」遊技条件」で遊技が行われている場合に、特賞抽選の回数とは無関係な条件である「所定の時刻にな」ったことを契機に「特別移行期間」とすることになるが、抽選の回数により規定される条件を、時刻により規定される条件に置換した場合、その遊技機の遊技性は全く異なるものとなるから、そのような置換を行う動機は見いだせず、また、「特別移行期間」の長さに関しても、「4回の抽選演出の間」とした抽選の回数により規定される条件を、時間的な概念である「期間」により規定される条件に置換した場合に、その遊技機の遊技性は全く異なるものとなると認められ、そのような置換を行う動機は見いだせない。

してみると、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機が存在するとは認められず、上記相違点に係る本願発明の構成は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に想到し得たものであるとはいえない。

(カ) 理由2についてのまとめ

以上のことから、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断

上記第5において検討したように、本願発明は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないことから、原査定における引用文献Aである引用文献2に記載された発明とはいえず、また、当業者が、引用文献2に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるともいえない。

第7 むすび

以上のとおり、当審より通知した理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-015372

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