特許拒絶査定不服審判
2022-015178
基板移載装置及びその制御方法
- 審判番号
- 2022-015178
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-546823外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月26日
- 審決日
- 2023年06月28日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】川崎重工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 【請求人】カワサキロボティクス(ユーエスエー),インク.
- 【請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-546823「基板移載装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月19日国際公開、WO2020/054386、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)8月26日(優先権主張 平成30年9月11日(以下、「本願の優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月27日 :意見書、手続補正書
同年 6月 3日付け:拒絶査定
同年 9月26日 :審判請求書、手続補正書
第2 原査定の理由の概要
原査定(令和4年6月3日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。
本願の請求項1~6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2003-152055号公報
2.特開2013-154453号公報
3.国際公開第2010/013422号
4.特開2012-195426号公報
第3 本願発明
本願請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、令和4年9月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
基板保持ハンドを有する基板搬送ロボットとアライナとを備えた基板移載装置の制御方法であって、
前記基板搬送ロボットに基板を保持している前記基板保持ハンドを前記アライナの周囲に規定された所定のレディ位置へ移動させる工程と、
前記基板保持ハンドが前記レディ位置にあるときに1つのコマンドが実行されて、当該コマンドに対応付けられたi)前記基板保持ハンドを前記アライナに規定された所定の載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナの回転台へ移載させること、ii)前記基板保持ハンドを前記載置位置から前記レディ位置よりも近い位置に規定された所定の待機位置で静止した状態で待機させながら、前記アライナに前記基板をアライメントさせること、iii)前記基板保持ハンドを前記載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナから前記基板保持ハンドへ移載させること、及び、iv)前記基板を保持している前記基板保持ハンドを前記レディ位置へ移動させること、からなる一連の動作を、途中で他のコマンドが実行されることなく前記基板搬送ロボットに上記i)乃至iv)の順番で連続的に行わせる工程と、を含む、
基板移載装置の制御方法。」
なお、本願発明2~3は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明4~6は、本願発明1~3に対応する物の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された文献である特開2003-152055号公報(平成15年5月23日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。
「【0023】この一方、上記本発明のウエハ位置決め方法を用いる本発明のウエハ位置決め装置は、ラインセンサと、ウエハを乗せ得るウエハ座と、そのウエハ座を2次元または3次元方向に移動させ得るとともに所定の回転軸線周りに回転させ得るウエハ座駆動手段と、演算手段と、を備え、前記ウエハ座駆動手段での前記ウエハ座の回転角度とそのウエハ座に乗せられた円形のウエハの外周縁の前記ラインセンサでの検出結果とに基づく前記演算手段でのウエハの中心点位置および切り欠き部角度の算出工程を経て、ウエハの中心点を所定位置に移動させるとともにそのウエハの切り欠き部を所定方向に向かせてウエハの位置決めを行うウエハ位置決め装置において、前記ウエハ座駆動手段が、前記ラインセンサの中心部を通ってその延在方向に延在する直線上に前記ウエハ座の回転軸線を位置させて、前記ウエハを乗せた前記ウエハ座をその回転軸線周りに回転させ、さらに、前記演算手段が算出する回転軸線位置および回転角度に前記ウエハ座の回転軸線位置および回転角度が一致するように前記ウエハ座を移動および回転させて停止させ、前記演算手段が、前記ウエハ座の回転角度と、そのウエハ座に乗せられた前記ウエハの外周縁の前記ラインセンサでの検出結果とに基づき、前記ウエハの切り欠き部位置と、前記ウエハの最大偏芯半径または最小偏芯半径とを求め、その求めた結果から、前記ウエハの中心点が前記所定位置に位置してそのウエハの切り欠き部が前記所定方向に向く時の前記ウエハ座の回転軸線位置および回転角度を幾何学的に算出することを特徴としている。
【0024】かかる本発明のウエハ位置決め装置によれば、上述した本発明のウエハ位置決め方法を実行し得るので、ウエハ持ち替えや回転途中での停止・再回転といった時間を要する動作工程や、演算手段に負荷をかける大量のデータの処理工程を不要にし得て、従来より大幅にウエハ位置決めを高精度化するとともに時間短縮することができる。
【0025】なお、本発明のウエハ位置決め装置は、ウエハ座駆動手段でのウエハ座の移動が2次元(X-Y軸方向)、3次元(X-Y-Z軸方向)の何れの場合にも適用できる。すなわち、例えばラインセンサの中心部を通ってそのセンサの延在方向に延在する直線の延在方向をY軸方向とすると、位置決めのためのウエハ座回転軸線の延在方向はZ軸方向、ウエハ座の移動はX-Y軸平面上とすることができる。そして、ウエハの載置あるいは取り出しの際、ウエハ座の上下動が必要ならばウエハ位置決め装置のウエハ座駆動手段をZ軸方向可動としてもよいが、ウエハ搬送装置がZ軸方向可動でウエハの載置・取り出しを行う場合は、ウエハ位置決め装置のウエハ座駆動手段はZ軸駆動機構を省略することができる。さらに本発明のウエハ位置決め装置は図5に示すように、ウエハ搬送用のアームおよびフィンガと、それらのアームおよびフィンガの駆動手段とを備えていてもよい。
【0026】また、本発明のウエハ処理システムは図1に示すように、上記本発明のウエハ位置決め装置と、ウエハ搬送用のアームおよびフィンガと、それらのアームおよびフィンガの駆動手段とを備え、上記本発明のウエハ位置決め方法を用いるウエハ処理システムにおいて、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置から前記ウエハ座を上昇させてウエハの位置決めを行う場合は、前記アームおよびフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置に待機させ、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置に前記ウエハ座を維持してウエハの位置決めを行う場合は、前記アームおよびフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させるものであることを特徴としている。
【0027】かかるウエハ処理システムによれば、フィンガを、ウエハ位置決め装置のウエハ座にウエハを引き渡した後、その位置または下方に少しさげた位置に待機させることによって、ウエハ位置決め装置へウエハ搬送用のアームがウエハをとりに行く時間が省略でき、より生産性の向上に寄与することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明のウエハ位置決め方法の一実施例を用いた、本発明のウエハ位置決め装置の一実施例を組込んだウエハ処理システムを示す一部切り欠き斜視図である。図1に示すように、ここにおけるウエハ位置決め装置1は、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置40と、ウエハのエッチング処理等を行う通常のウエハ処理装置30とに隣接して設けられてそれらとともに、本発明のウエハ処理システムの一実施例のウエハ処理システム50を構成し、ウエハ21が棚段状に収納されている清浄容器であるウエハカセット20内からウエハ搬送装置40によりウエハ処理装置30へウエハ21を移送する際にウエハ21の向きと中心点位置との位置決めを行うものである。
【0029】これらウエハ搬送装置40、ウエハ処理装置30およびウエハ位置決め装置1はそれぞれ、例えばコンピュータを有する図示しない通常の制御装置を備えており、このウエハ処理システム50は、それらの制御装置を制御してウエハ搬送装置40とウエハ処理装置30とウエハ位置決め装置1とを協調作動させるため、これも例えばコンピュータを有する図示しない上位の制御装置も備えている。なお、これらウエハ搬送装置40、ウエハ処理装置30およびウエハ位置決め装置1が置かれた領域をカバーで区切り、そのカバ-の天井部にファン・フィルタ・ユニットを設けることで、そのカバー内に一般にミニエンバイロンメントと呼ばれる高清浄領域を設けて、ウエハ上への異物の付着を防止することもできる。
【0030】上記実施例のウエハ位置決め装置1は、図2に示すように、その装置1の上部に、ウエハ仮置き台7が立設された上面プレ-ト15を備えるとともに、その装置1の下部に、互いに直交する直線移動機構であるX軸移動機構2とY軸移動機構3とを備えており、それらX軸移動機構2およびY軸移動機構3によって、上面プレ-ト15の下方に配置されたブラケット18を水平なXY平面上で移動可能としている。また上記実施例のウエハ位置決め装置1は、そのブラケット18上に昇降機構9を介して支持された、ウエハを回転させるためのモ-タ8を備えており、そのモ-タ8の、回転軸線が垂直方向であるZ軸方向に延在する出力軸は、ウエハを水平に乗せるウエハ座としてのスピンドル16の下部に設けられた回転軸19に直接的に結合されている。
・・・
【0036】図5(A)、(B)および(C)は、本発明のウエハ位置決め装置のさらに他の一実施例を示す平面図、正面図および側面図であり、この実施例のウエハ位置決め装置1は先の実施例と同様の構成を備えるとともに、ウエハ搬送用のアーム42およびフィンガ41と、それらのアーム42およびフィンガ41を通常のウエハ搬送装置40と同様に水平に2次元的に動かす、アームおよびフィンガの駆動手段としての図示しない通常の駆動機構とを備え、そこでのウエハの受け渡しは、図示のようにウエハ座としてのスピンドル16が上記昇降機構で駆動されて上下移動して行う。」
「【図1】
[図:0001399167000001.jpg]
【図2】
[図:0001399167000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001399167000003.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記(1)の【0028】には、ウエハ位置決め装置は、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置と、ウエハ処理装置とに隣接して設けられてそれらとともに、ウエハ処理システムを構成し、ウエハの向きと中心点位置との位置決めを行うものであることが記載されている。
また、同【0029】には、ウエハ搬送装置、ウエハ処理装置及びウエハ位置決め装置はそれぞれ、例えばコンピュータを有する通常の制御装置を備えており、このウエハ処理システムは、それらの制御装置を制御してウエハ搬送装置とウエハ処理装置とウエハ位置決め装置とを協調作動させるため、これも例えばコンピュータを有する上位の制御装置も備えていることが記載されている。
以上によれば、ウエハの向きと中心点位置との位置決めを行うウエハ位置決め装置と、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置とを有する装置は、制御装置により制御されるものといえる。
イ 同【0023】には、ウエハ位置決め装置は、ラインセンサと、ウエハを乗せ得るウエハ座と、そのウエハ座を2次元又は3次元方向に移動させ得るとともに所定の回転軸線周りに回転させ得るウエハ座駆動手段と、演算手段と、を備えることが記載されている。なお、上記「乗せ得る」は、「載せ得る」の明らかな誤記であるから、以下「載せ得る」と記載する。
ウ 同【0036】には、ウエハ位置決め装置は先の実施例と同様の構成を備えるとともに、ウエハ搬送用のアーム及びフィンガと、それらのアーム及びフィンガを通常のウエハ搬送装置と同様に水平に2次元的に動かす、アーム及びフィンガの駆動手段としての通常の駆動機構とを備えることが記載されているから、通常のウエハ搬送装置は、アーム及びフィンガと、アーム及びフィンガの駆動手段とを備えているといえる。
エ 同【0026】には、ウエハ処理システムは、ウエハ位置決め装置と、ウエハ搬送用のアーム及びフィンガと、それらのアーム及びフィンガの駆動手段とを備え、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置から前記ウエハ座を上昇させてウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置に待機させ、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置に前記ウエハ座を維持してウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させるものであることが記載されている。
オ 上記ア~エによれば、ラインセンサと、ウエハを載せ得るウエハ座と、そのウエハ座を2次元又は3次元方向に移動させ得るとともに所定の回転軸線周りに回転させ得るウエハ座駆動手段と、演算手段と、を備え、ウエハの向きと中心点位置との位置決めを行うウエハ位置決め装置と、アーム及びフィンガと、アーム及びフィンガの駆動手段とを備え、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置と、を有する装置は、制御装置により制御されるものであり、その制御方法は、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置から前記ウエハ座を上昇させてウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置に待機させ、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置に前記ウエハ座を維持してウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させるものである。
カ 以上から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「アーム及びフィンガと、アーム及びフィンガの駆動手段とを備え、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置と、
ラインセンサと、ウエハを載せ得るウエハ座と、そのウエハ座を2次元又は3次元方向に移動させ得るとともに所定の回転軸線周りに回転させ得るウエハ座駆動手段と、演算手段と、を備え、ウエハの向きと中心点位置との位置決めを行うウエハ位置決め装置と、
を有する装置の制御方法であって、
前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置から前記ウエハ座を上昇させてウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置に待機させ、前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置に前記ウエハ座を維持してウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させる、装置の制御方法。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された文献である特開2013-154453号公報(平成25年8月15日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
「【0012】
図1に示すように、搬送室2には、半導体ウェハや液晶パネルといった薄板状ワーク(以下、「ウェハ4」と記載する)が搬入出される受渡位置として開閉装置5が並設され、搬送室2内には、搬送ロボット10が配設される。
【0013】
搬送室2は、EFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれるクリーンルームのことである。かかる搬送室2は、気体を浄化するフィルタ(図示せず)を上部に備え、このフィルタにより浄化されてダウンフローされる清浄気流によって筺体内が局所クリーン化される。
【0014】
開閉装置5は、収納容器3に設けられる蓋体を開閉するための装置であり、搬送室2の側壁に設けられる開口部に設置される。たとえば、開閉装置5は、ロードポートまたはフープオープナと呼ばれ、一般的にSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠した装置である。
【0015】
収納容器3は、複数のウェハ4を高さ方向に多段に収納することができる箱状の容器であり、たとえば、SEMI規格に既定されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる装置である。
【0016】
収納容器3は、収納容器3の蓋体が搬送室2側へ向くように開閉装置5に載置され、開閉装置5が有する可動体が蓋体を保持しながら、可動体が搬送室2内でスライドするように下降することで蓋体を開放する。なお、各収納容器3内の破線で示す円は、ウェハ4の収納場所を示す。
【0017】
搬送ロボット10は、被搬送物であるウェハ4を保持可能なロボットである。具体的には、搬送ロボット10は、基部11と、アーム部20とを備える。
【0018】
アーム部20は、被搬送物であるウェハ4を保持可能なロボットハンド(以下、「ハンド23」と記載する)を有する。アーム部20は、昇降機構を備える基部11の上部で水平方向に回転可能に支持される。
【0019】
具体的には、基部11の上部には、第1アーム部21の基端部が回転可能に連結され、第1アーム部21の先端部の上部には、第2アーム部22の基端部が回転可能に連結される。そして、第2アーム部22の先端部には、ハンド23が回転可能に連結される。これらは互いに回転自在である。
【0020】
かかる構成により、搬送ロボット10は、アーム部20を昇降させたり、回転させたりしながら、収納容器3からウェハ4を取り出してハンド23に載置したり、所定の処理室(図示せず)へ移載したり、ウェハ4を目的の位置へと搬送することができる。なお、アーム部20の詳細については、図2を用いて後述する。
【0021】
搬送ロボット10は、収納容器3や処理室等の受渡位置へ搬送ロボット10のハンド23を侵入させる場合には、受渡位置の外部に設けられた所定の位置(以下、「待機位置」と記載する)から直線的な軌跡でハンド23を移動させる。なお、ここでは、受渡位置が収納容器3の場合について説明するが、処理室やアライナ装置であってもよい。
【0022】
たとえば、搬送ロボット10は、ハンド23を待機位置6b(図1の×印参照)から直線的な軌跡(以下、「受渡軌跡」と記載する)でウェハ4の受渡位置7b(図1の○印参照)まで移動させ、ウェハ4を収納容器3へ移載する。なお、ここでは、基準点として×印で示した待機位置6bおよび○印で示した受渡位置7bは、ハンド23に載置されるウェハ4の中心位置とするが、かかる基準点は、ハンド23のいずれに設けてもよい。」
「【図1】
[図:0001399167000004.jpg]
」
(2)上記(1)の記載によれば、基部と、被搬送物であるウェハを保持可能なロボットハンドを有するアーム部とを備える搬送ロボットにおいて、搬送ロボットが、アライナ装置の受渡位置へ搬送ロボットのロボットハンドを侵入させる場合に、受渡位置の外部に設けられた所定の待機位置から直線的な軌跡でロボットハンドを移動させることは、本願の優先日前における慣用技術であったといえる。
3 周知技術
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献である国際公開第2010/013422号(2010年(平成22年)2月4日国際公開。以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
「発明が解決しようとする課題
[0007] 本発明は、以上の点に鑑み、搬送ロボットの通信時間を削減でき、基板の搬送時間を短縮することが可能な搬送ロボットの制御方法を提供することをその課題とする。
課題を解決するための手段
[0008] 上記課題を解決するため、本発明は、処理すべき基板をロボットハンドにて支持した状態で同一平面内を旋回及び伸縮動作させ、旋回方向に沿って配置された複数の処理室間で基板を搬送する搬送ロボットの制御方法において、一の処理室に存する基板を他の処理室の所定の位置に搬送する際の搬送ロボットの一連の動作を1つのコマンドで実行することを特徴とする。
[0009] 本発明によれば、一の処理室に存する基板を他の処理室の所定の位置に搬送する際の一連の搬送ロボットの動作が、複数コマンドではなく1つのコマンドで制御される。従って、上記一連の搬送ロボットの動作を複数コマンドで制御する場合に比して、搬送ロボットの通信時間を削減できるため、基板の搬送時間を短縮することができる。」
(2)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された文献である特開2012-195426号公報(平成24年10月11日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、仕切りバルブまたは搬送ロボットの通信時間を削減でき、基板の搬送時間を短縮することが可能な処理装置の制御方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板処理装置の制御方法は、搬送室(トランスファーチャンバー)を介して複数の処理室が個別に仕切りバルブを介して連結されるとともに、前記搬送室を介して一方の処理室から他方の処理室へ基板を移動させる搬送手段(搬送ロボット)を前記搬送室内に有する基板処理装置において、
前記搬送手段のロボットアームを少なくとも同一平面内の旋回動作及び伸縮動作させ、旋回方向に沿って配置された前記複数の処理室間で前記基板を搬送する際に、
前記搬送手段の一連の動作および前記仕切りバルブの開閉動作を1つのコマンドで実行するとともに、前記一方の処理室の仕切りバルブと前記他方の処理室の仕切りバルブとが同時に開いた状態を有してなることにより上記課題を解決した。」
(3)上記(1)及び(2)の記載から、搬送ロボットの通信時間を削減し、基板の搬送時間を短縮するために、搬送ロボットの一連の動作を、途中で他のコマンドが実行されることなく、1つのコマンドで行うことは、本願の優先日前において周知技術であったといえる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 本願発明1の「基板保持ハンド」について、本願明細書の【0024】には、「ロボットアーム(以下、単に「アーム71」という)と、アーム71の手首部に連結されたエンドエフェクタの一例である基板保持ハンド」と記載されている。
一方、引用発明の「フィンガ」は、引用文献1の【図5】を参酌すると、「アーム」の先端、すなわち、手首部に連結にされるものである。
したがって、引用発明の「フィンガ」は、本願発明1の「基板保持ハンド」に相当する。
また、引用発明の「ウエハ」は、本願発明1の「基板」に相当する。
そうすると、引用発明の「アーム及びフィンガと、アーム及びフィンガの駆動手段とを備え、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置」は、本願発明1の「基板保持ハンドを有する基板搬送ロボット」に相当する。
イ 引用発明の「ウエハ位置決め装置」は、「ウエハの向きと中心点位置との位置決めを行う」もの、すなわち、ウエハをアライメントするものであり、本願発明1の「アライナ」は「基板をアライメント」するものであるから、引用発明の「ウエハ位置決め装置」は、本願発明1の「アライナ」に相当する。
ウ 上記ア及びイの検討を参酌すると、引用発明の「アーム及びフィンガと、アーム及びフィンガの駆動手段とを備え、工業用ロボット等からなる通常のウエハ搬送装置」と「ウエハ位置決め装置と、を有する装置」は、本願発明1の「基板保持ハンドを有する基板搬送ロボットとアライナとを備えた基板移載装置」に相当する。
エ 引用発明の「ウエハ位置決め装置」は、「ウエハを載せ得るウエハ座と、そのウエハ座を2次元又は3次元方向に移動させ得るとともに所定の回転軸線周りに回転させ得るウエハ座駆動手段」とを備えるものであるところ、「ウエハを載せ得るウエハ座」は、「ウエハ駆動手段」により「所定の回転軸線周りに回転」するものであるから、回転台であるといえる。
したがって、引用発明の「ウエハ位置決め装置」の「ウエハ座」は、本願発明1の「アライナの回転台」に相当する。
そして、引用発明において、「前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置から前記ウエハ座を上昇させてウエハの位置決めを行う場合」に、「前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取」るには、ウエハが載置されたフィンガを、ウエハ位置決め装置に規定された所定の載置位置へ移動させ、その後、ウエハをウエハ位置決め装置のウエハ座に移載させることは明らかである。
そうすると、引用発明の「前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取」ることは、本願発明1の「i)前記基板保持ハンドを前記アライナに規定された所定の載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナの回転台へ移載させること」に相当する。
オ 引用発明においては、「前記ウエハ位置決め装置がウエハを受け取った位置に前記ウエハ座を維持してウエハの位置決めを行う場合は、前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させる」ものであるから、「ウエハ位置決め装置」で「ウエハの位置決めを行う」間、「前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置の下の位置に待機させ」ているといえる。
そうすると、引用発明は、「フィンガ」を所定の待機位置で待機させながら、「ウエハ位置決め装置」に「ウエハ」を「位置決め」、すなわち、アライメントさせているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「ii)前記基板保持ハンド」を「所定の待機位置」で「待機させながら、前記アライナに前記基板をアライメントさせること」を含む点で共通する。
カ 引用発明において、「ウエハの位置決め」が終了すると、「ウエハ位置決め装置」から「ウエハ」を取り出すために、「アーム」を移載位置へ移動させて、「ウエハ」を「ウエハ位置決め装置」から「アーム」へ移載させることは明らかである。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「iii)前記基板保持ハンドを前記載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナから前記基板保持ハンドへ移載させること」を含んでいる点で共通する。
キ 引用発明は、上記エ~カにおける一連の動作を、「ウエハ搬送装置」に上記エ~カの順番で連続的に行わせているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、上記i)乃至iii)からなる「一連の動作を、前記基板搬送ロボット」に上記i)乃至iii)の「順番で連続的に行わせる工程」を含んでいる点で共通する。
ク 以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「基板保持ハンドを有する基板搬送ロボットとアライナとを備えた基板移載装置の制御方法であって、
i)前記基板保持ハンドを前記アライナに規定された所定の載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナの回転台へ移載させること、ii)前記基板保持ハンドを所定の待機位置で待機させながら、前記アライナに前記基板をアライメントさせること、iii)前記基板保持ハンドを前記載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナから前記基板保持ハンドへ移載させること、からなる一連の動作を、前記基板搬送ロボットに上記i)乃至iii)の順番で連続的に行わせる工程と、を含む、
基板移載装置の制御方法。」
<相違点>
相違点1:本願発明1は、「前記基板搬送ロボットに基板を保持している前記基板保持ハンドを前記アライナの周囲に規定された所定のレディ位置へ移動させる工程」を含むのに対し、引用発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点2:上記エ~キで検討したとおり、本願発明1と引用発明とは、「i)前記基板保持ハンドを前記アライナに規定された所定の載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナの回転台へ移載させること、ii)前記基板保持ハンドを所定の待機位置で待機させながら、前記アライナに前記基板をアライメントさせること、iii)前記基板保持ハンドを前記載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナから前記基板保持ハンドへ移載させること、からなる一連の動作を、前記基板搬送ロボットに上記i)乃至iii)の順番で連続的に行わせる工程と、を含む」点で共通しているものの、本願発明1は、「前記基板保持ハンドが前記レディ位置にあるときに1つのコマンドが実行されて、当該コマンドに対応付けられたi)前記基板保持ハンドを前記アライナに規定された所定の載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナの回転台へ移載させること、ii)前記基板保持ハンドを前記載置位置から前記レディ位置よりも近い位置に規定された所定の待機位置で静止した状態で待機させながら、前記アライナに前記基板をアライメントさせること、iii)前記基板保持ハンドを前記載置位置へ移動させて、前記基板を前記アライナから前記基板保持ハンドへ移載させること、及び、iv)前記基板を保持している前記基板保持ハンドを前記レディ位置へ移動させること、からなる一連の動作を、途中で他のコマンドが実行されることなく前記基板搬送ロボットに上記i)乃至iv)の順番で連続的に行わせる工程と、を含む」のに対し、引用発明は、そのような構成を有しているか不明である点(当審注:下線は、本願発明1と引用発明との相違する事項について当審が付与した。)。
(2)相違点についての判断
相違点1及び2は、いずれも「レディ位置」を含んでいるからまとめて検討する。
ア まず、相違点2の「静止した状態」について検討する。
上記(1)オで検討したとおり、引用発明においては、「ウエハ位置決め装置」で「ウエハの位置決めを行う」間、「前記アーム及びフィンガの駆動手段は、前記フィンガを、前記ウエハ座にウエハを引き渡した位置に待機」させているものであるところ、「フィンガ」は、「ウエハ位置決め装置」で「ウエハの位置決めを行う」間、動かす必要はなく、また、通常、「待機」しているとは、静止した状態で待機しているとするのが自然である。
そうすると、引用発明は、「フィンガ」を所定の待機位置で静止した状態で待機させながら、「ウエハ位置決め装置」に「ウエハ」を「位置決め」、すなわち、アライメントさせているといえる。
したがって、相違点2の「静止した状態」は、実質的な相違点ではない。
イ 上記第4 2(2)において示したとおり、基部と、被搬送物であるウェハを保持可能なロボットハンドを有するアーム部とを備える搬送ロボットにおいて、搬送ロボットが、アライナ装置の受渡位置へ搬送ロボットのロボットハンドを侵入させる場合に、受渡位置の外部に設けられた所定の待機位置から直線的な軌跡でロボットハンドを移動させることは、本願の優先日前における慣用技術である。
ここで、上記慣用技術の「被搬送物であるウェハ」、「被搬送物であるウェハを保持可能なロボットハンド」、「搬送ロボット」、「アライナ装置」、「アライナ装置の受渡位置」、「受渡位置の外部に設けられた所定の待機位置」は、それぞれ、本願発明1の「基板」、「基板保持ハンド」、「基板搬送ロボット」、「アライナ」、「アライナに規定された所定の載置位置」、「アライナの周囲に規定された所定のレディ位置」に相当する。
そうすると、慣用手段では、搬送物であるウェハをアライナ装置に渡す前に、ウェハを保持しているロボットハンドをアライナ装置の受渡位置の外部に設けられた所定の待機位置へ移動させているといえ、この構成は、相違点1に係る本願発明1の構成に相当する。
しかし、相違点2における「iv)前記基板を保持している前記基板保持ハンドを前記レディ位置へ移動させること」、すなわち、アライナ装置からウェハを取り出す際に、ロボットハンドをアライナ装置の受渡位置の外部に設けられた所定の待機位置へ移動させることは、引用文献1~4のいずれにも記載も示唆もされていないし、本願の優先日前における周知技術であるともいえない。
したがって、引用発明に上記慣用技術及び周知技術を採用しても、相違点2に係る本願発明1の構成は得られない。
ウ 小括
よって、本願発明1は、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明であり、いずれも上記相違点2に係る本願発明1の構成を有しているから、本願発明1と同様の理由により、本願発明2、3は、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
3 本願発明4~6について
本願発明4~6は、本願発明1~3に対応する物の発明であって、いずれも上記相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を有しているから、本願発明1~3と同様の理由により、本願発明4~6は、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1~3は、いずれも上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、また、本願発明4~6は、いずれも上記相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を有するものとなっており、上記第5で検討したとおり、本願発明1~6は、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものではないから、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015178