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特許拒絶査定不服審判

2022-014213

レジスタ装置、通知システム、通知方法および通知プログラム

審判番号
2022-014213
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-055826外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月09日
審決日
2023年08月15日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G07G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 55826号「レジスタ装置、通知システム、通知方法および通知プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日出願公開、特開2019-168902号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年3月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 4年 1月27日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 3月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 6月 3日付け:拒絶査定
令和 4年 9月 9日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~11に係る発明は、令和4年3月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「 【請求項8】
複数のレジスタ装置と、前記複数のレジスタ装置のそれぞれと通信可能な管理装置とを備えた通知システムであって、
前記管理装置は、
前記複数のレジスタ装置のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間を算出する算出手段と、
前記算出したレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報を、前記推定レジ待ち時間に関連付けられた前記レジスタ装置にそれぞれ送信する通信手段を備え、
前記複数のレジスタ装置は、
前記管理装置から受信した識別可能な情報を、自装置のレジ待ちの列の近傍に出力する出力手段を備えた
通知システム。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、令和4年1月27日付け拒絶理由通知書において示したとおり、

本願発明は、次の引用文献1、引用文献2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

引用文献1:特開2017-68717号公報
引用文献2:特開2017-162013号公報

第4 当審の判断

1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

・「【請求項1】

POS装置に並んでいる人の商品量を推定する商品量推定手段と、

前記POS装置に並んでいる人数を検出する人数検出手段と、

前記POS装置に並んでいる人の商品量および前記人数に基づいて、前記POS装置毎の待ち時間の予測値を算出する待ち時間算出手段とを備える

情報処理装置。

【請求項2】

請求項1に記載の情報処理装置において、

前記POS装置に並んでいる人の列を撮影した画像を示す情報を取得する取得手段をさらに備え、

前記商品量推定手段は、前記画像を用いて前記POS装置に並んでいる人の商品量を推定する情報処理装置。」

・「【技術分野】

【0001】

本発明は情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。」

・「【発明が解決しようとする課題】

【0007】

顧客は、各レジの行列の長さ等を見て、待ち時間が短そうな列を選択する。しかし、予想に反して、別の列の待ち時間が短く不満を感じる場合がある。

・・・

【0010】

本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、顧客に待ち時間に関する情報を提供することにある。」

・「【0017】

[第1の実施形態]

<処理構成>

図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置10を例示するブロック図である。本図において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。情報処理装置10は、商品量推定手段14(検出手段)、人数検出手段16および待ち時間推定手段18を備える。商品量推定手段14は、商品登録装置(POS装置)に並んでいる人の商品量を推定する。人数検出手段16は、商品登録装置に並んでいる人数を検出する。待ち時間推定手段18、商品登録装置に並んでいる人の商品量および当該人数に基づいて、商品登録装置毎の待ち時間の予測値を算出する。以下に詳細に説明する。

【0018】

なお、人が並ぶPOS装置は、商品登録機能のみを有するものであっても良いし、商品登録機能と清算機能の両方を備えても良い。」

・「【0061】

待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値は、顧客が見ることができるように、商品登録装置20ごとに客向け表示部に表示される。この表示は、たとえば『このレジの待ち時間はX分です。』というような文字表示、予測される待ち時間の長さに応じて色が異なる発光、待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号の表示等のいずれかでありうる。」

・「【0215】

[実施例3]

図32は、POSシステムの構成例を示す図である。本図に示されるように、実施例3は、第1から第13の実施形態のいずれかに係る情報処理装置10及び情報処理方法が、POSシステム50に適用された例を示す。本実施例におけるPOSシステム50は、サーバ装置51及び店舗側構成52から構成され、サーバ装置51と店舗側構成52とは、通信網53により通信可能に接続される。店舗側構成52には、通信中継装置を介して通信網53に接続可能な店舗端末54、スタンド55等が含まれる。スタンド55は、店舗端末54と、他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等)とを通信可能に接続するための機器である。

【0216】

店舗端末54は、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット型端末、スマートフォン等のような汎用コンピュータであり、サーバ装置51との間でデータのやり取りをすることにより、実施例1および2のPOSレジスタ装置と同様の機能を実現する。店舗端末54は、タッチパネルユニット56、撮像部57、マイクロフォン(図示せず)等を有する。上述の表示部105は、タッチパネルユニット56の表示部に相当する。上述の入力部106は、タッチパネルユニット56のタッチパネルに相当する。上述の撮像部107は、撮像部57に相当する。上述の集音部108は、店舗端末54に内蔵されるマイクロフォンに相当する。

【0217】

サーバ装置51は、一般的なサーバコンピュータであり、WEBサーバ、アプリケーションサーバ等として実現される。店舗端末54及びサーバ装置51は、図2と同様に、CPU101、メモリ102、入出力I/F103及び通信部104等を有する。

【0218】

上述の情報処理装置10は、店舗端末54のみ、又はサーバ装置51と店舗装置の組み合わせとして実現され得る。情報処理装置10の一部をサーバ装置51で実現する場合、例えば商品量推定手段14、人数検出手段16および待ち時間推定手段18が実行する処理がサーバ装置51で実現される。そして、取得手段12が実行する処理が店舗端末54で実現される。」

・以下の図面が示されている。

[図:0001403343000001.jpg]

[図:0001403343000002.jpg]

【図32】

[図:0001403343000003.jpg]

(2)引用文献1からの認定事項

上記(1)の記載事項から、次の事項が認定できる。

ア 段落【0215】の「実施例3は、第1から第13の実施形態のいずれかに係る情報処理装置10及び情報処理方法が、POSシステム50に適用された例を示す。」との記載により、実施例3のPOSシステム50として第1の実施形態に係る情報処理装置10を適用したものを認定できる。

イ 段落【0215】の下線部の記載により、POSシステム50は、サーバ装置51及び店舗側構成52から構成され、サーバ装置51と店舗側構成52とは、通信網53により通信可能に接続され、店舗側構成52には、通信中継装置を介して通信網53に接続可能な店舗端末54、スタンド55、他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等)が含まれるから、「POSシステム50は、サーバ装置51と、店舗端末54とスタンド55と他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等)とを有する」ものである。

ここで、店舗端末54、スタンド55、他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等)とからなるものは、その機能からみて、人が並ぶPOSレジスタ装置に対応するものといえる。

そして、【請求項1】の「前記POS装置毎の待ち時間の予測値を算出する待ち時間算出手段とを備える情報処理装置。」との記載、段落【0007】の「顧客は、各レジの行列の長さ等を見て、待ち時間が短そうな列を選択する。しかし、予想に反して、別の列の待ち時間が短く不満を感じる場合がある」との記載、及び段落【0010】の「本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、顧客に待ち時間に関する情報を提供することにある。」との記載に照らして、上記アを踏まえると、引用文献1は、複数の「POSレジスタ装置」を対象とする「POSシステム50」を構成することは明らかである。

そうすると、POSレジスタ装置に対応する、店舗端末54とスタンド55と他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等)(以下「店舗端末54等」という。)は当然複数あるといえる。

ウ 段落【0218】の「商品量推定手段14、人数検出手段16および待ち時間推定手段18が実行する処理がサーバ装置51で実現される。」という記載と、【請求項1】の記載及び上記イの対応関係を踏まえると、「複数の店舗端末54等のそれぞれに並んでいる人の商品量を推定する商品量推定手段14、前記並んでいる人数を検出する人数検出手段16、前記並んでいる人の商品量および前記人数に基づいて、前記複数の店舗端末54等の待ち時間の予測値を算出する待ち時間推定手段18が実行する処理を実現するサーバ装置51」といえる。

エ 段落【0061】の「待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値は、顧客が見ることができるように、商品登録装置20ごとに客向け表示部に表示される。この表示は、たとえば『このレジの待ち時間はX分です。』というような文字表示、予測される待ち時間の長さに応じて色が異なる発光、待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号の表示等のいずれかでありうる。」との記載と、この記載中の「商品登録装置20」は、段落【0017】中の「商品登録装置(POS装置)」との記載から、POSレジスタ装置に対応する「店舗端末54等は、待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値を、顧客が見ることができるように表示する客向け表示部を備え、この表示は、文字表示、予測される待ち時間の長さに応じて色が異なる発光、待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号の表示等のいずれかである」といえる。

オ 段落【0215】、【0216】の下線部の記載と、上記イの対応関係を踏まえると、「POSシステム50は、サーバ装置51及び複数の店舗端末54等から構成され、サーバ装置51と前記複数の店舗端末54等とは、通信網53により通信可能に接続され、店舗端末54等は、サーバ装置51との間でデータのやり取りをすることにより、POSレジスタ装置と同様の機能を実現するものである」といえる。

(3)引用文献1に記載された発明

上記(1)及び(2)から、第1の実施形態を(実施例3の)POSシステム50に適用したものに着目すると、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数の、店舗端末54とスタンド55と他の機器(ハンディスキャナ、キャッシュドロア、レシートプリンタ等(以下「複数の店舗端末54等」という。)と、
前記複数の店舗端末54等のそれぞれに並んでいる人の商品量を推定する商品量推定手段14、前記並んでいる人数を検出する人数検出手段16、前記並んでいる人の商品量および前記人数に基づいて、前記複数の店舗端末54等の待ち時間の予測値を算出する待ち時間推定手段18が実行する処理を実現するサーバ装置51と、
を有するPOSシステム50であって、
サーバ装置51と前記複数の店舗端末54等とは、通信網53により通信可能に接続され、店舗端末54等は、サーバ装置51との間でデータのやり取りをすることにより、POSレジスタ装置と同様の機能を実現するものであり、
前記複数の店舗端末54等は、前記待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値を、顧客が見ることができるように表示する客向け表示部を備え、この表示は、文字表示、予測される待ち時間の長さに応じて色が異なる発光、待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号の表示等のいずれかである、
POSシステム50。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2の記載事項

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引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【技術分野】

【0001】

本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。」

【背景技術】

【0002】

百貨店やスーパーマーケットなどの店舗では、顧客のニーズに応えるとともに販売効率を高めるために、監視領域内の顧客の位置情報に注目し、所定の領域にいる顧客の状況を把握する試みが行われている。例えば、購買行動を顧客別に調査できるように、顧客が店舗における自分の位置を識別できるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1)。」

・「【0012】

以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。

<第1実施形態>

[情報処理システムの全体構成]

まず、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す。本実施形態に係る情報処理システム1は、カゴ10a~10j及び情報処理装置20を有する。

【0013】

本実施形態では、店舗内のそれぞれのカゴ10a~10jが床面を撮像し、得られた画像から抽出される特徴量を情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、抽出された特徴量を受信し、前記特徴量に基づきカゴ10a~10jの位置を特定する。また、情報処理装置20は、特定したカゴ10a~10jの位置に基づきレジR1~R3付近のユーザの状況を示す情報を算出し、その情報を電光掲示板等の表示装置102a~102c(総称して、「表示装置102」ともいう。)を用いて店舗内のユーザに提示する。本実施形態では、表示装置102a~102cは、レジR1~R3に一対一に対応して設置されているが、表示装置102の設置場所は、これに限らない。

【0014】

ユーザの状況を示す情報は、例えば、店舗内の監視領域Vに設けられた区間TP1、TP2、TP3(総称して、「区間TP」ともいう。)のそれぞれにおけるユーザの待ち時間でもよいし、区間TPのそれぞれに存在するユーザの人数であってもよい。ユーザの状況を示す情報は、各区間TPのユーザの混雑度を比較した結果(例えば、混雑を高、中、低で示す等)であってもよい。」

・「【0039】

表示制御部25は、ユーザの混雑状況を示す情報を表示装置102に表示させる。表示制御部25は、ユーザの混雑状況を示す情報の一例として各区画のユーザの混雑度を表示させてもよい。図1では、レジR1、R2、R3を待つユーザの混雑度を示す一例である「待ち時間」を表示装置102a~表示装置102cに表示させている。ただし、ユーザの状況を示す情報の表示は、これに限らず、各区間に存在するユーザの人数、各区間の単位面積当たりのユーザの人数及び各区間のユーザの滞在時間の平均値等を表示させてもよい。ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。この場合、図1の例では、表示装置102aには、待ち時間「高」が表示され、表示装置102b、102cには、待ち時間「中」が表示されてもよい。」

・以下の図面が示されている。

[図:0001403343000004.jpg]

(2)引用文献2からの認定事項

上記(1)の記載事項から、「情報処理システム1」に関し、次の事項が認定できる。

ア 段落【0013】及び【図1】から、情報処理システム1は、複数のレジR1、R2、R3と、前記複数のレジR1、R2、R3のそれぞれと通信可能な情報処理装置20とを備えること。

イ 段落【0013】、段落【0014】及び【図1】から、情報処理装置20は、算出した情報を、レジR1、R2、R3にそれぞれ送信する通信手段を備えること。

ウ 段落【0014】の「店舗内の監視領域Vに設けられた区間TP1、TP2、TP3」という記載と図1からみて、各区間TP1、TP2、TP3はレジR1、R2、R3ごとにユーザの並ぶ監視領域であって、段落【0039】の「図1では、レジR1、R2、R3を待つユーザの混雑度を示す一例である「待ち時間」を表示装置102a~表示装置102cに表示させている。」、「ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。」という記載からみて「各区間を比較した結果」というのは、レジR1、R2、R3ごとに並ぶユーザの待ち時間等を比較した結果であるといえるから、段落【0013】、【0014】、【0039】の記載及び図1からみて、前記レジR1、R2、R3は、前記情報処理装置20から受信したレジR1、R2、R3ごとのユーザの待ち時間等を比較した結果として、その混雑度のレベルを高、中、低で示した情報を、店舗内のユーザに提示するレジR1、R2、R3に一対一に対応して設置されている表示装置102a~102cを備えること。

(3)引用文献2に記載された事項

引用文献2には、上記(1)及び(2)から、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。

「複数のレジR1、R2、R3と、前記複数のレジR1、R2、R3のそれぞれと通信可能な情報処理装置20とを備えた情報処理システム1において、情報処理装置20は、算出した情報をレジR1、R2、R3にそれぞれ送信する通信手段を備えるとともに、前記レジR1、R2、R3は、前記情報処理装置20から受信したレジR1、R2、R3ごとのユーザの待ち時間等を比較した結果として、その混雑度のレベルを高、中、低で示した前記情報を、店舗内のユーザに提示するレジR1、R2、R3に一対一に対応して設置されている表示装置102a~102cを備えること。」

3 発明の対比

本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。

(1)後者の「店舗端末54等」は前者の「レジスタ装置」に相当する。

(2)後者は「サーバ装置51と前記複数の店舗端末54等とは、通信網53により通信可能に接続され」るものであるから、後者の「サーバ装置51」は、前者の「複数のレジスタ装置のそれぞれと通信可能な管理装置」と、「複数のレジスタ装置のそれぞれと通信可能な装置」において共通する。

(3)後者の「複数の店舗端末54等のそれぞれに並んでいる人の商品量を推定する商品量推定手段14、前記並んでいる人数を検出する人数検出手段16、前記並んでいる人の商品量および前記人数に基づいて、前記複数の店舗端末54等の待ち時間の予測値を算出する待ち時間推定手段18が実行する処理を実現するサーバ装置51」と、前者の「前記管理装置は、前記複数のレジスタ装置のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間を算出する算出手段」を備えることとは、「前記装置は、前記複数のレジスタ装置のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間を算出する算出手段」を備えることにおいて共通する。

(4)上記(3)の対応関係を踏まえると、後者は「サーバ装置51と前記複数の店舗端末54等とは、通信網53により通信可能に接続され」ており、後者のサーバ装置51から送信される情報には「前記複数のレジスタ装置のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間」が含まれていることは明らかであるから、後者の「サーバ装置51と前記複数の店舗端末54等とは、通信網53により通信可能に接続され」ていることと、前者の「前記管理装置は、」「前記算出したレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報を、前記推定レジ待ち時間に関連付けられた前記レジスタ装置にそれぞれ送信する通信手段を備え」ていることとは、「前記装置は、」「前記算出したレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の情報を、前記推定レジ待ち時間に関連付けられた前記レジスタ装置にそれぞれ送信する通信手段を備え」ていることにおいて共通する。

(5)後者の「前記複数の店舗端末54等は、前記待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値を、顧客が見ることができるように表示する客向け表示部を備え」たことは、「客待ち表示部」に表示するための予測値を出力する手段を有することは明らかであるから、前者の「前記複数のレジスタ装置は、前記管理装置から受信した識別可能な情報を、自装置のレジ待ちの列の近傍に出力する出力手段を備えた」ことと、「前記複数のレジスタ装置は、前記装置から受信した情報を自装置のレジ待ちの列の近傍に出力する出力手段を備えた」ことにおいて共通する。

(6)後者の「POSシステム50」は、「サーバ装置51」の「待ち時間推定手段18により算出された待ち時間の予測値を」、「複数の店舗端末54等」に「備え」られた「客向け表示部」に「表示する」ものであり、該「POSシステム50」は、「客向け表示部」に通知するものといえるから、前者の「通知システム」を当然含むものである。

以上より、本願発明と引用発明は、以下の構成において一致する。

「複数のレジスタ装置と、前記複数のレジスタ装置のそれぞれと通信可能な装置とを備えた通知システムであって、
前記装置は、
前記複数のレジスタ装置のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間を算出する算出手段と、
前記算出したレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の情報を、前記推定レジ待ち時間に関連付けられた前記レジスタ装置にそれぞれ送信する通信手段を備え、
前記複数のレジスタ装置は、
前記装置から受信した情報を、自装置のレジ待ちの列の近傍に出力する出力手段を備えた
通知システム。」

本願発明と引用発明は、以下の各点で相違する。

<相違点1>

装置が、本願発明では、「管理装置」であるのに対して、引用発明では、「サーバ装置51」であり、「店舗端末54等」を管理しているか否かは不明である点。

<相違点2>

装置が送信するレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の情報が、本願発明では、「レジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報」であるのに対して、引用発明では、推定レジ待ち時間を、店舗装置54等ごとの「(予測される待ち時間の)文字表示」、「待ち時間の長さに応じて色が変わる発光」または「待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号」等のいずれかの表示により顧客がみることができるようにするための情報である点。

4 相違点の判断

<相違点1について>

引用発明のサーバ装置51は、店舗端末54等のそれぞれのレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間を算出する算出手段を備えるものではあるものの、店舗端末54等(レジスタ装置)の管理を行うものであるかは特定されていないが、POS装置に対応する複数の店舗端末54等と通信可能に構成されていること、及び、一般に複数のPOS装置を一括管理することは通常の態様であることを踏まえると、サーバ装置51を店舗端末54等の管理装置とすることは、自然なことであり、当業者が適宜成し得た事項である。

<相違点2について>

引用文献2には、上記2(3)で述べたように、

「複数のレジR1、R2、R3と、前記複数のレジR1、R2、R3のそれぞれと通信可能な情報処理装置20とを備えた情報処理システム1において、情報処理装置20は、算出した情報をレジR1、R2、R3にそれぞれ送信する通信手段を備えるとともに、前記レジR1、R2、R3は、前記情報処理装置20から受信したレジR1、R2、R3ごとのユーザの待ち時間等を比較した結果として、その混雑度のレベルを高、中、低で示した前記情報を、店舗内のユーザに提示するレジR1、R2、R3に一対一に対応して設置されている表示装置102a~102cを備えること」が記載されている。

ここで、引用文献2に記載された事項の「複数のレジR1、R2、R3」は、本願発明の「複数のレジスタ装置」に相当し、以下同様に、「情報処理システム1」は「通知システム」に、それぞれ相当し、「表示装置102a~102c」は「出力手段」を有することは明らかである。

また、引用文献2に記載された事項の「レジR1、R2、R3ごとのユーザの待ち時間等を比較した結果として、混雑度のレベルを高、中、低で示した前記情報」は、相対的な長さを識別可能な情報といえるから、本願発明の「前記算出したレジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報」に相当する。

また、引用文献2に記載された事項は、上記「情報を、レジR1、R2、R3にそれぞれ送信する通信手段」、及び、上記「情報を、店舗内のユーザに提示するレジR1、R2、R3に一対一に対応して設置されている表示装置102a~102cを備える」ことにより、本願発明の「前記複数のレジスタ装置」が上記「情報」を「出力手段」に出力していることは明らかである。

こうしたことを踏まえると、レジスタ装置の出力手段が出力する情報に関して、引用文献2に記載された事項には、相違点2に係る本願発明の構成である「レジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報」であることが開示されているといえる。

そして、引用発明の「客向け表示部」と引用文献2に記載された事項の「表示装置102a~102c」とは、POS装置(レジ)毎の待ち時間を算出し、該算出された待ち時間を、顧客が見ることができるように表示する出力手段であることにおいて共通しているから、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用する動機付けは充分存在するものである。

そうすると、レジスタ装置の出力手段が出力する情報に関して、引用発明の「客向け表示部」で「表示する」情報を「(予測される待ち時間の)文字表示」、「待ち時間の長さに応じて色が変わる発光」または「待ち時間の長さに応じたインジケーターや記号」等に代えて、引用文献2に開示された「レジスタ装置ごとの推定レジ待ち時間の比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報」にすることで、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2に記載された事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。

5 請求人の主張について

(1)請求人は、令和4年3月25日の意見書にて、「引用文献2では、「ユーザの状況を示す情報は、各区間TPのユーザの混雑度を比較した結果(例えば、混雑を高、中、低で示す等)であってもよい。」(引用文献2段落0014)と記載されています。さらに、引用文献2段落0039において、図1の「待ち時間5分」の表示装置102a、「待ち時間3分」の表示装置102b、「待ち時間2分」の102cに対し、「ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。この場合、図1の例では、表示装置102aには、待ち時間「高」が表示され、表示装置102b、102cには、待ち時間「中」が表示されてもよい。」と記載されています。これらの記載に基づくと、「待ち時間3分」の表示装置102b、「待ち時間2分」の102cは、どちらも「中」と表示されております。これに対し、混雑度を本願のように他の区間と比較している場合、「待ち時間3分」の表示装置102bは「中」、「待ち時間2分」の102cは「低」と表示されるものと想定されます。したがって、引用文献2に記載の「各区間TPのユーザの混雑度を比較した結果」として記載されている「混雑を高、中、低で示す」、「混雑度のレベル」との記載は、例えば各区間の混雑度を閾値と比較した結果であるとも読み取れます。すなわち、引用文献2には、本願のように、推定レジ待ち時間の、他のレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間に対する比較結果として、相対的な長さを識別可能な情報を出力する、という構成およびその効果の開示はありません。」と主張する。

しかしながら、「第4 2(2)ウ」で述べたように、引用文献2の段落【0014】の「店舗内の監視領域Vに設けられた区間TP1、TP2、TP3」という記載と図1からみて、各区間TP1、TP2、TP3はレジR1、R2、R3ごとにユーザの並ぶ監視領域であって、段落【0039】の「図1では、レジR1、R2、R3を待つユーザの混雑度を示す一例である「待ち時間」を表示装置102a~表示装置102cに表示させている。」、「ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。」という記載からみて「各区間を比較した結果」というのは、レジR1、R2、R3ごとに並ぶユーザの待ち時間等を比較した結果であるといえる。

また、「待ち時間3分」の表示装置102b、「待ち時間2分」の102cは、どちらも「中」と表示されてもよいと例示されていることについては、待ち時間が2、3分程度については、一例として、混雑度を「中」程度と表示したにすぎず、「各区間」の混雑度としての「待ち時間」を比較した結果である混雑度のレベルであることには、変わりがない。

(2)請求人は、審判請求書において、「拒絶査定の備考において審査官が示す、引用文献2の段落0039の「ユーザの状況を示す情報は、各区間を比較した結果得られる、各区間の混雑度のレベルであってもよい。」という記載の、特に、「各区間を比較した結果」の記載について、引用文献2には、「各区間」を何と比較したものかが記載されていません。すなわち、「推定レジ待ち時間の、他のレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間に対する比較結果」は、引用文献2に開示されていないと言えます。」と主張する。

しかしながら、「各区間を比較した結果」というのは、上述したとおり、レジR1、R2、R3ごとに並ぶユーザの待ち時間等を比較した結果であり、「推定レジ待ち時間の、他のレジ待ちの列の最後尾に並んだ場合の推定レジ待ち時間に対する比較結果」は、引用文献2に開示されているといえる。

(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。

第5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-014213

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