2022-013854
電子機器および電子機器の焼き付き防止方法
- 審判番号
- 2022-013854
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-208572外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月05日
- 審決日
- 2023年08月02日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】技嘉科技股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】河野 英仁
- 【請求人代理人】河野 登夫
- 分類
- P18 .121-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年12月16日の特許出願(パリ条約による優先権主張、2019年12月31日、台湾)であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年 5月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月17日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月 5日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~6に係る発明は、令和4年1月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。
「【請求項1】ディスプレイコントローラおよびディスプレイパネルを含む表示装置、および前記ディスプレイパネルに電気的に接続され、処理ユニットおよびグラフィックス処理ユニットを含むホストを含み、前記処理ユニットは、前記グラフィックス処理ユニットのドライバプログラムおよび特定のプログラムを実行して、前記特定のプログラムの表示画像をレンダリングし、前記表示画像は、ユーザインターフェースを含み、前記処理ユニットは、前記ユーザインターフェースの静止領域の位置情報を取得し、前記表示画像と前記静止領域の位置情報を前記ディスプレイコントローラに送信し、前記ディスプレイコントローラは、前記静止領域の前記位置情報に従って、前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスクを生成し、前記表示画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成し、前記出力画像を前記ディスプレイパネルに送信して表示する電子機器。」
第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
理由2(進歩性欠如)
本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
第4 当審の判断
1 引用文献及び引用発明の認定
(1) 引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特開2018-5172号公報)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は当合議体において付した。以下同様である。
ア 【0001】~【0007】
「【技術分野】【0001】本発明は、情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラムに関するものである。【背景技術】続きを表示(全14行)【0002】ディスプレイの発光方式は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)に代表される非自発光型と、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP:Plasma Display Panel)や有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)等の自発光型に大別することができる。自発光型のディスプレイのなかには、画素を構成する発光素子は発光時間が経過すると共に劣化して、同じエネルギー(画素値)を供給しても使用開始時より輝度が低下するいわゆる輝度劣化があらわれやすいものがある。【0003】ある画素を構成する発光素子の輝度劣化が周囲の画素を構成する発光素子よりも劣化すると、それらの画素に同一の色を表示する画素値を設定したときに劣化した発光素子の存在が人間の目で認識できる状態となる、いわゆる焼き付き現象が発生する。例えば、白色を表示し続けている画素と黒色を表示し続けている画素とで輝度劣化に差が生じる。このため、輝度劣化に差が生じた領域では、輝度劣化が弱い部分と強い部分の差が発色の違いが焼き付きとして視認されてしまう。(中略)【発明が解決しようとする課題】【0006】有機ELでは、他の発光方式に比べて輝度劣化の進行が早いため、焼き付きが発生しやすい。例えば、デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等、位置がほとんど変化せずに表示され続ける画像の領域は特に焼き付き易い。このため、画像や動画をフルスクリーン表示させた場合等にタスクバー等の画像が残像として視認される場合がある。【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、同じ画像を表示し続けることで生じるディスプレイの焼き付きを防止できる、情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラムを提供することを目的とする。」
イ 【0020】~【0025】、【図1】
「【0020】図1は、本実施形態に係るノートPC1の概略外観図である。【0021】ノートPC1は、図1に示すように一例として、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。続きを表示(全12行)【0022】本体側筐体2は、入力部4を備える。入力部4は、ユーザによる入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等の入力を受け付ける各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド、マウス、又はトラックポイント等を備えている。また、入力部4は、ソフトウェアキーボードとされてもよい。【0023】ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ7を備える。【0024】タッチパネルディスプレイ7は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共に、ユーザの指及びタッチペン等の指示体を用いて行われる各種操作を検出する。【0025】本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右一対の連結部8a,8bによって連結されている。連結部8a,8bは、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉自在に支持している。」
「【図1】[図:0001405383000001.jpg]」
ウ 【0026】~【0037】、【図2】
「【0026】図2は、ノートPC1のハードウェアの構成を示す概略図である。【0027】ノートPC1は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、メモリ22、OELD23、グラフィクスアダプタ24、タッチセンサ25、入力コントローラ26、フラッシュメモリ27、通信デバイス28、及び電源回路29を備えており、各部はバス30を介して直接または間接的に接続されている。なお、タッチパネルディスプレイ7は、OELD23とタッチセンサ25を含んで構成される。続きを表示(全24行)【0028】CPU20は、フラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部4やタッチパネルディスプレイ7等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する機能を有する。【0029】ROM21は、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。【0030】メモリ22は、キャッシュメモリやRAM(Random Access Memory)で構成されており、CPU20の実行プログラムの読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。【0031】OELD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示する。【0032】グラフィクスアダプタ24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をOELD23に出力する。【0033】タッチセンサ25は、OELD23に対するユーザの指及びタッチペン等のタッチ位置を検出して、入力コントローラ26に出力する。そして、タッチセンサ25は、OELD23の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、及びキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、テキストの入力操作や、スクロールやスワイプ等の画面操作がユーザの指やタッチペン等により行われる。【0034】入力コントローラ26は、プロセッサがROM21等に格納されたプログラムを実行することにより各種処理を行い、タッチセンサ25の動作を制御する。【0035】フラッシュメモリ27は、ノートPC1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する機能を有する。なお、ノートPC1は、フラッシュメモリ27に替わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段を備えてもよい。【0036】通信デバイス28は、他のデバイスとの間との通信を行う。【0037】電源回路29は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、及びDC/DCコンバータ等を備えており、CPU20の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。」
「【図2】[図:0001405383000002.jpg]」
エ 【0038】~【0053】、【図3】~【図5】
「【0038】ここで、デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等、OELD23の画面における位置がほとんど変化せずに固定的に表示される表示対象物である固定画像の領域は特に焼き付き易い。図3は、タスクバー31の焼き付きによって輝度劣化の差が生じる領域の例を示す。図3に示すように、デスクトップの下方にタスクバー31が位置している場合には、タスクバー31の上部とウィンドウの境目(エッジともいう。)である領域Aや、タスクバー31に表示されているアイコン32とその周辺との境目である領域Bに輝度劣化の差が生じる。【0039】そこで、本実施形態に係るノートPC1は、固定画像とその周辺領域との輝度劣化の差を抑制する焼き付き防止機能を有する。焼き付き防止機能は、固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のマスク(以下「オーバレイウィンドウ」という。)を固定画像の上に重ねて表示する。換言すると、ノートPC1は、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させる。続きを表示(全32行)【0040】以下の説明では、タスクバー31を固定画像の一例として説明する。隣接色を基準とした色とは、隣接色と同じ色、隣接色に近い色、隣接色から徐々に変化する色等である。【0041】図4は、オーバレイウィンドウ33がタスクバー31に重ねられた状態を示す。【0042】オーバレイウィンドウ33は、タスクバー31とそのサイズ(縦及び横の長さ)が同一である。オーバレイウィンドウ33の色は、一例として、半透明であり、隣接画素から遠ざかるに連れて(図4の例では下方に向けて)、隣接色から黒色に連続的に変化する。すなわち、オーバレイウィンドウ33の色は、半透明のグラデーションを有する色とされる。なお、タスクバー31の幅方向(x方向)で隣接色が異なっていると、これに応じて、オーバレイウィンドウ33の幅方向の色も異なる。【0043】このように、ノートPC1は、オーバレイウィンドウ33を固定画像(タスクバー31)に重ねることで、固定画像に隣接する部分から離れるにしたがって所定の範囲で、固定画像に隣接する部分の表示色から徐々に変化する色で、固定画像を表示することとなる。なお、所定の範囲とは、固定画像をタスクバー31とした図4の例では、タスクバー31の縦方向全域を示すが、これに限らず、タスクバー31の上から一部領域とし、残りの下までの領域は変化しない色(例えば黒色)であってもよい。また、図4の例では、隣接色(固定画像に隣接する部分の表示色)から黒色に変化するグラデーションとしたが、変化の最終的な色は黒色に限られず、他の色であってもよい。【0044】タスクバー31に対してオーバレイウィンドウ33が重ねられると、タスクバー31のエッジの色が隣接画素の色と同様となるので、タスクバー31が表示された領域とその周辺領域の輝度劣化の差が抑制される。また、図4の例では、タスクバー31に対して、上から下へ黒に向かってグラデーションをかけられることとなるので、タスクバー31全体の輝度が下がり、輝度劣化が抑制される。【0045】図5は、焼き付き防止機能に関する機能ブロック図である。【0046】CPU20は、固定画像位置取得部41、隣接色抽出部42、オーバレイウィンドウ生成部43、及び画像表示制御部44を備える。CPU20が備える各構成部は、フラッシュメモリ27に記憶されるコンピュータプログラムによって実現される。【0047】固定画像位置取得部41は、OELD23の画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する。【0048】隣接色抽出部42は、固定画像に隣接する隣接画素の色を隣接色として抽出する。【0049】オーバレイウィンドウ生成部43は、隣接色を基準としてオーバレイウィンドウ33の色を決定すると共にオーバレイウィンドウ33のサイズを決定することで、オーバレイウィンドウ33を生成する。【0050】画像表示制御部44は、オーバレイウィンドウ表示制御部45及び固定画像移動制御部46を備える。【0051】オーバレイウィンドウ表示制御部45は、生成されたオーバレイウィンドウ33を固定画像の上に重ねて表示する。すなわち、オーバレイウィンドウ表示制御部45は、上述のように、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させる。【0052】オーバレイウィンドウ表示制御部45は、固定画像にカーソル(マウスカーソル)が位置していない固定画像にオーバレイウィンドウ33を重ねて表示し、カーソルが位置している固定画像にオーバレイウィンドウ33を表示しない。例えば、オーバレイウィンドウ33が重ねられているタスクバー31にカーソルが移動すると、オーバレイウィンドウ33は非表示とされ、タスクバー31は本来の色で表示される。【0053】固定画像移動制御部46は、固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動(以下「微小量移動」という。)させる。」
「【図3】[図:0001405383000003.jpg]」
「【図4】[図:0001405383000004.jpg]」
「【図5】[図:0001405383000005.jpg]」
(2) 引用発明の認定
前記(1)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備えるノートPC1であって、(【0021】)本体側筐体2は、入力部4を備え、入力部4は、ユーザによる入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等の入力を受け付ける各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド、マウス、又はトラックポイント等を備えており、(【0022】)ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ7を備えており、(【0023】)タッチパネルディスプレイ7は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共に、ユーザの指及びタッチペン等の指示体を用いて行われる各種操作を検出するものであり、(【0024】)続きを表示(全25行)本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右一対の連結部8a,8bによって連結されており、連結部8a,8bは、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉自在に支持しており、(【0025】)ノートPC1のハードウェアの構成としては、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、メモリ22、OELD23、グラフィクスアダプタ24、タッチセンサ25、入力コントローラ26、フラッシュメモリ27、通信デバイス28、及び電源回路29を備えており、各部はバス30を介して直接または間接的に接続されており、タッチパネルディスプレイ7は、OELD23とタッチセンサ25を含んで構成されており、(【0026】、【0027】)CPU20は、フラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部4やタッチパネルディスプレイ7等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する機能を有するものであり、(【0028】)OELD23は、有機ELディスプレイであり、(【0002】)OELD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示し、(【0031】)グラフィクスアダプタ24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をOELD23に出力し、(【0032】)デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等、OELD23の画面における位置がほとんど変化せずに固定的に表示される表示対象物である固定画像の領域は特に焼き付き易いものであり、(【0038】)ノートPC1は、固定画像とその周辺領域との輝度劣化の差を抑制する焼き付き防止機能を有し、焼き付き防止機能は、固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のマスク(以下「オーバレイウィンドウ」という。)を固定画像の上に重ねて表示するものであり、ノートPC1は、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させ、(【0039】)タスクバー31を固定画像の一例として説明すると、隣接色を基準とした色とは、隣接色と同じ色、隣接色に近い色、隣接色から徐々に変化する色等であり、(【0040】)オーバレイウィンドウ33は、タスクバー31とそのサイズ(縦及び横の長さ)が同一であり、オーバレイウィンドウ33の色は、一例として、半透明であり、隣接画素から遠ざかるに連れて、隣接色から黒色に連続的に変化し、オーバレイウィンドウ33の色は、半透明のグラデーションを有する色とされ、タスクバー31の幅方向(x方向)で隣接色が異なっていると、これに応じて、オーバレイウィンドウ33の幅方向の色も異なるものであり、(【0042】)ノートPC1は、オーバレイウィンドウ33を固定画像(タスクバー31)に重ねることで、固定画像に隣接する部分から離れるにしたがって所定の範囲で、固定画像に隣接する部分の表示色から徐々に変化する色で、固定画像を表示することとなり、(【0043】)タスクバー31に対してオーバレイウィンドウ33が重ねられると、タスクバー31のエッジの色が隣接画素の色と同様となるので、タスクバー31が表示された領域とその周辺領域の輝度劣化の差が抑制され、タスクバー31に対して、上から下へ黒に向かってグラデーションをかけられることとなるので、タスクバー31全体の輝度が下がり、輝度劣化が抑制され、(【0044】)焼き付き防止機能に関して、CPU20は、固定画像位置取得部41、隣接色抽出部42、オーバレイウィンドウ生成部43、及び画像表示制御部44を備え、CPU20が備える各構成部は、フラッシュメモリ27に記憶されるコンピュータプログラムによって実現され、(【0045】、【0046】)固定画像位置取得部41は、OELD23の画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得し、(【0047】)隣接色抽出部42は、固定画像に隣接する隣接画素の色を隣接色として抽出し、(【0048】)オーバレイウィンドウ生成部43は、隣接色を基準としてオーバレイウィンドウ33の色を決定すると共にオーバレイウィンドウ33のサイズを決定することで、オーバレイウィンドウ33を生成し、(【0049】)画像表示制御部44は、オーバレイウィンドウ表示制御部45及び固定画像移動制御部46を備え、(【0050】)オーバレイウィンドウ表示制御部45は、生成されたオーバレイウィンドウ33を固定画像の上に重ねて表示し、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させるものであり、(【0051】)オーバレイウィンドウ表示制御部45は、固定画像にカーソル(マウスカーソル)が位置していない固定画像にオーバレイウィンドウ33を重ねて表示し、カーソルが位置している固定画像にオーバレイウィンドウ33を表示せず、例えば、オーバレイウィンドウ33が重ねられているタスクバー31にカーソルが移動すると、オーバレイウィンドウ33は非表示とされ、タスクバー31は本来の色で表示され、(【0052】)固定画像移動制御部46は、固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる、(【0053】)ノートPC1。」
2 引用文献2、3の記載事項及び周知技術1の認定
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(1) 引用文献2の記載事項
当合議体において周知技術を示す文献として新たに引用した特開2007-272341号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 【0012】~【0014】、【図1】
「【0012】図1は、本発明の実施形態にかかる演算装置システムの構成を示すブロック図である。この演算装置システムは演算装置11および表示装置31を備える。演算装置11と表示装置31とは互いに分離および結合可能である。分離時、演算装置11および表示装置31はそれぞれ無線通信IF17および無線通信IF36を介して無線通信を行う。結合時、演算装置11および表示装置31は表示装置結合部23および演算装置結合部40を介して有線通信を行い、表示装置結合部23および演算装置結合部40を介して相手装置に電力を供給可能である。【0013】演算装置11は、CPU(Central Processing Unit)12、メモリ装置13、グラフィックスプロセッサ(GPU:Graphics Processing Unit)14、記憶装置15、外部入出力IF群16、無線通信IF17、充電可能な電池18、外部電源入力部(外部電源接続部)19、分離/結合検出部20、電力モード検出部21、電力使用検出/記録部22、演算装置11を表示装置31に結合する表示装置結合部23を備える。演算装置のシステムアーキテクチャは特に限定されるものではなく、パソコンに搭載されるシステムなどが利用できる。【0014】表示装置31は、プロセッサ32、メモリ装置33、ディスプレイコントローラー34、外部入出力IF群35、無線通信IF36、充電可能な電池37、分離/結合検出部38、電力使用検出/記録部39、演算装置11を表示装置31に結合する演算装置結合部40、ディスプレイ41、タッチパネル42、スピーカー&マイク43を備える。タッチパネル、スピーカー&マイクは外部入出力機器の一例である。」
「【図1】[図:0001405383000006.jpg]」
イ 【0023】
「【0023】無線通信IF17および無線通信IF36は、たとえば無線LAN、Bluetooth、UWB(Ultra Wide Band)、PHS、携帯電話を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されない。演算装置11と表示装置31とが分離されているとき、無線通信IF17および無線通信IF36間でデータ通信が行われ、結合されているときは、表示装置結合部23および演算装置結合部40を介して、演算装置11および表示装置31間でデータ通信が行われる。ディスプレイコントローラー34は、無線通信IF36または演算装置結合部40からの画像情報を、プロセッサ32を介してまたは直接に受け取り、受け取った画像情報に基づきビデオ信号を生成してディスプレイ41に出力する。外部入出力IF群35は、スピーカー&マイク43、タッチパネル42からの入力信号を、プロセッサ32を介してまたは直接に、無線通信IF36または演算装置結合部40に出力する。ここで図2に示すようにマルチプレクサ72を表示装置に設ける構成も可能である。表示装置71におけるマルチプレクサ72は分離/結合検出部73から分離モードまたは結合モードを表す信号が入力され、結合モードを表す信号が入力された場合は、演算装置結合部40からのビデオ信号をディスプレイ41に出力し、また、スピーカー&マイク43、タッチパネル42からの入力信号を演算装置結合部40に出力する。一方、マルチプレクサ72は、分離モードを表す信号が入力された場合は、ディスプレイコントローラー34からのビデオ信号をディスプレイ41に出力し、また、スピーカー&マイク43、タッチパネル42からの入力信号を外部入出力IF群35に出力する。」
(2) 引用文献3の記載事項
当合議体において周知技術を示す文献として新たに引用した国際公開第2017/119095号(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
ア [0017]~[0019]、[図1]、[図2]
「[0017]以下この発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、参照する図において同一もしくは相当する部分には同一の符号を付している。実施の形態1.本実施の形態では、複数の異なるディスプレイモジュールを組み合わせて凹形のディスプレイを実現する場合を例に説明する。図1は、実施の形態1に係る映像配信システム1の構成の一例を示すブロック図である。映像配信システム1は、映像配信装置2およびディスプレイユニット3a~fを備えている。映像配信装置2は、ディスプレイユニット3a~fに映像情報を配信する。[0018]図2は、実施の形態1に係る映像配信装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。映像配信装置2は、設定部11、分割部12、配信処理部13および映像情報送信処理部14a~cを備えている。映像配信装置2はディスプレイユニットと接続する物理的なコネクタの数に応じて3個の映像情報送信処理部14a~cを備えている。図1の映像配信システム1に示したようにディスプレイユニット3a~fは1列に接続されており、ディスプレイユニット3aが映像情報送信処理部14aに接続している。映像情報送信処理部14b~cは接続するディスプレイユニットがないため、処理を行わない。映像配信装置2が備える映像情報送信処理部14b~cの数は、ディスプレイユニットと接続する物理的なコネクタの数に応じて決定される。[0019]設定部11は、ディスプレイユニット3a~fが備えるディスプレイモジュールの設定情報と配置情報を保持している。ディスプレイモジュールの設定情報と配置情報の説明は後述する。分割部12は、ディスプレイモジュールの設定情報に基づいて、入力された映像情報を分割し、ディスプレイユニット3a~fに1制御周期あたりに配信する映像情報を配信処理部13に出力する。配信処理部13は、ディスプレイモジュールの配置情報に基づいて、ディスプレイユニット3a~fに1制御周期あたりに配信する映像情報を多重化した配信データを映像情報送信処理部14aに出力する。映像情報送信処理部14aは、配信データを信号処理して送信信号に変換し、送信信号をディスプレイユニット3a~fに送信する。1制御周期は、複数のディスプレイユニットに配信する映像情報が多重化された1つの配信データを配信する期間である。配信データの大きさにより、1制御周期の時間は変わる。各機能部の詳細は後述する。」
「[図1][図:0001405383000007.jpg]」
「[図2][図:0001405383000008.jpg]」
イ [0020]~[0021]、[図3]
「[0020]図3は、実施の形態1に係るディスプレイユニット3aの機能構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイユニット3aは、ディスプレイコントローラ21aおよびディスプレイモジュール26aを備えている。ディスプレイコントローラ21aは、映像情報受信処理部22a、映像情報送信処理部23a、調整部24a、およびディスプレイモジュールインタフェース部25aを備えている。ディスプレイユニット3fの構成は、ディスプレイユニット3aと同様であるが、ディスプレイモジュールの符号は26bとする。[0021]映像情報受信処理部22aは、映像配信装置2が送信した送信信号を受信して信号処理し、1制御周期あたりの映像情報が多重化された配信データを映像情報送信処理部23aおよび調整部24aに出力する。映像情報送信処理部23aは配信データを信号処理して送信信号に変換し、送信信号を隣のディスプレイユニット3bに送信する。調整部24aは、配信データからディスプレイモジュール26a宛の映像情報を取り出し、取り出した映像情報の速度を調整し、調整後の映像情報をディスプレイモジュールインタフェース部25aに出力する。ディスプレイモジュールインタフェース部25aは、調整部24aから入力された映像情報をディスプレイモジュール26aの仕様に応じた映像信号に変換し、映像信号をディスプレイモジュール26aに出力する。各機能部の詳細は後述する。」
「[図3][図:0001405383000009.jpg]」
(3) 周知技術1の認定
前記(1)及び(2)に摘記した事項に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という)。
[周知技術1]
「ディスプレイパネルを含む表示装置(表示ユニット)が、ディスプレイコントローラーを含み、表示装置(表示ユニット)とは別体の装置(別のユニット)から送られた信号をディスプレイコントローラーが受信して、表示のための映像信号を生成すること。」
3 対比・判断
(1) 対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア(ア) 引用発明の「タッチパネルディスプレイ7」に含まれる「有機ELディスプレイ」である「OELD23」は、本願発明の「ディスプレイパネル」に相当する。
(イ) 引用発明の「画像を表示するタッチパネルディスプレイ7を備え」た「ディスプレイ側筐体3」は、本願発明の「ディスプレイパネルを含む表示装置」に相当する。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「ディスプレイパネルを含む表示装置」を含むものである点で共通する。
イ(ア) 通常のノート型PCのハードウェア構成に係る技術常識を踏まえると、引用発明の「ノートPC1のハードウェアの構成」のうち、「CPU(Central Processing Unit)20」、「ROM(Read Only Memory)21」、「メモリ22」、「グラフィクスアダプタ24」、「フラッシュメモリ27」、「通信デバイス28」、「電源回路29」は、「本体側筐体2」の内部に備えられたものであることは明らかである。
(イ) 引用発明の「CPU20」は、「フラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部4やタッチパネルディスプレイ7等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する機能を有するものであり」、本願発明の「処理ユニット」に相当する。
(ウ) 引用発明の「グラフィクスアダプタ24」は、「CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をOELD23に出力」するものであるから、本願発明の「グラフィックス処理ユニット」に相当する。
(エ) 引用発明において、「OELD23」を含む「ノートPC1のハードウェアの構成」の「各部はバス30を介して直接または間接的に接続されて」いるから、「本体側筐体2」の内部に備えられた「CPU20」や「グラフィクスアダプタ24」等は、「OELD23」に電気的に接続されているといえる。
そうすると、引用発明の「CPU20」及び「グラフィクスアダプタ24」を含む「本体側筐体2」は、本願発明の「前記ディスプレイパネルに電気的に接続され、処理ユニットおよびグラフィックス処理ユニットを含むホスト」に相当する。
(オ) 前記(ア)~(エ)の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記ディスプレイパネルに電気的に接続され、処理ユニットおよびグラフィックス処理ユニットを含むホスト」を含むものである点で共通する。
ウ(ア) 引用発明の「デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等」は、「ノートPC1」の画面においてユーザーに動作やコンテンツを視覚的に伝えるための記号や絵柄であるから、本願発明の「ユーザインターフェース」に相当する。
(イ) 引用発明において「グラフィクスアダプタ24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をOELD23に出力し」、「OELD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示[する]」ものであるから、引用発明の「CPU20」は、「タスクバーやアイコン等」を「デスクトップに表示」するために、グラフィクスアダプタ24のドライバプログラムを実行して、「タスクバーやアイコン等」の画像をレンダリング(あるデータを処理または演算することで画像や映像を表示させること)していることは明らかである。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記処理ユニットは、前記グラフィックス処理ユニットのドライバプログラムを実行して、ユーザインターフェースを含む画像をレンダリングする」点で共通する。
エ(ア) 引用発明の「デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等」は、「OELD23の画面における位置がほとんど変化せずに固定的に表示される表示対象物」であるところ、「タスクバーやアイコン等」の「特に焼き付き易い」「固定画像の領域」は、本願発明の「ユーザインターフェースの静止領域」に相当する。
(イ) 引用発明において、「タスクバーやアイコン等」の「特に焼き付き易い」「固定画像の領域」の「焼き付き防止」のために、「CPU20」が備える「固定画像位置取得部41」が「OELD23の画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得[する]」ことは、本願発明において、「前記処理ユニットは、前記ユーザインターフェースの静止領域の位置情報を取得[する]」ことに相当する。
(ウ) 引用発明の「ノートPC1」は、「固定画像とその周辺領域との輝度劣化の差を抑制する焼き付き防止機能を有し、焼き付き防止機能は、固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のマスク(以下「オーバレイウィンドウ」という。)を固定画像の上に重ねて表示するもの」であるところ、「CPU20」が備える、「隣接色抽出部42」、「オーバレイウィンドウ生成部43」、及び、「オーバレイウィンドウ表示制御部45」を含む「画像表示制御部44」は、「タスクバーやアイコン等」の「特に焼き付き易い」「固定画像の領域」の「焼き付き防止機能」を担う手段(以下「焼き付き防止手段」という。)であるといえる。
(エ) 引用発明では、前記焼き付き防止手段における処理を実行するために、「固定画像位置取得部41」が取得した固定画像の位置及び前記固定画像の情報を利用していることは明らかであるから、「CPU20」は、これらの情報を前記焼き付き防止手段に送信していることは明らかである。
(オ) そうすると、本願発明と引用発明は、「前記処理ユニットは、前記ユーザインターフェースの静止領域の位置情報を取得し、前記ユーザインターフェースを含む画像と前記静止領域の位置情報を送信する」点で共通する。
オ(ア) 引用発明の「オーバレイウィンドウ33」は、「固定画像の上に重ねて表示」される「マスク」であり、「タスクバー31に対してオーバレイウィンドウ33が重ねられると、タスクバー31のエッジの色が隣接画素の色と同様となるので、タスクバー31が表示された領域とその周辺領域の輝度劣化の差が抑制される」から、引用発明の「オーバレイウィンドウ33」は、本願発明の「前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスク」に相当する。
(イ) 前記エにおける検討結果を踏まえると、引用発明では、「固定画像位置取得部41」が取得した固定画像の位置情報に従って、焼き付き防止手段において前記マスクの生成が行われていることは明らかである。
(ウ) 引用発明において、「オーバレイウィンドウ表示制御部45」が「生成されたオーバレイウィンドウ33を固定画像の上に重ねて表示し、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させる」ことは、本願発明の「前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成し、前記出力画像を前記ディスプレイパネルに送信して表示する」ことに相当する。
(エ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記静止領域の前記位置情報に従って、前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスクを生成し、前記ユーザインターフェースを含む画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成し、前記出力画像を前記ディスプレイパネルに送信して表示する」点で共通する。
カ 引用発明の「本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備えるノートPC1」は、電子機器であるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「電子機器」の発明である点で一致する。
(2) 一致点及び相違点の認定
上記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアの一致点において一致し、後記イの相違点において相違する。
ア 一致点
「ディスプレイパネルを含む表示装置、および前記ディスプレイパネルに電気的に接続され、処理ユニットおよびグラフィックス処理ユニットを含むホストを含み、前記処理ユニットは、前記グラフィックス処理ユニットのドライバプログラムを実行して、ユーザインターフェースを含む画像をレンダリングし、前記処理ユニットは、前記ユーザインターフェースの静止領域の位置情報を取得し、前記ユーザインターフェースを含む画像と前記静止領域の位置情報を送信し、前記静止領域の前記位置情報に従って、前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスクを生成し、前記ユーザインターフェースを含む画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成し、前記出力画像を前記ディスプレイパネルに送信して表示する電子機器。」である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1
本願発明においては、「ディスプレイパネルを含む表示装置」が「ディスプレイコントローラ」を含み、「ディスプレイコントローラ」に対して「処理ユニットは、前記ユーザインターフェースを含む画像と前記静止領域の位置情報を送信し」、「ディスプレイコントローラ」が、「前記静止領域の前記位置情報に従って、前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスクを生成し、前記ユーザインターフェースを含む画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成し、前記出力画像を前記ディスプレイパネルに送信して表示する」のに対して、引用発明においては、「OELD23」を含む「ディスプレイ側筐体3」が「ディスプレイコントローラ」を内蔵しておらず、「本体側筐体2」にある「CPU20」が焼き付き防止に関する処理を行っている点。
(イ) 相違点2
本願発明においては、「処理ユニット」により「レンダリング」される「ユーザインターフェースを含む画像」が「特定のプログラムの表示画像」であり、「処理ユニット」は、「グラフィックス処理ユニットのドライバプログラムおよび特定のプログラムを実行して、特定のプログラムの表示画像をレンダリング」し、「前記表示画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成」しているのに対して、引用発明においては、「ユーザインターフェースを含む画像」が「デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等」であり、特定のプログラムの表示画像をレンダリングして前記表示画像の静止領域にマスクを重畳させて出力画像を生成したものではない点。
(3) 判断
ア 相違点についての検討
(ア) 相違点1について
a 前記2(3)において[周知技術1]として認定したように、「ディスプレイパネルを含む表示装置(表示ユニット)が、ディスプレイコントローラーを含み、表示装置(表示ユニット)とは別体の装置(別のユニット)から送られた信号をディスプレイコントローラーが受信して、表示のための映像信号を生成すること」は周知である。
b そうすると、引用発明において、周知技術1を採用することにより、「OELD23」を含む「ディスプレイ側筐体3」が「ディスプレイコントローラ」を内蔵するようにして、「本体側筐体2」にある「CPU20」から送信された信号を「ディスプレイコントローラ」が受信して、「ディスプレイコントローラ」が焼き付き防止に関する処理を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ) 相違点2について
a 引用発明の「ノートPC1」において、「デスクトップに表示される」、本願発明の「ユーザインターフェース」に相当する画像として、「タスクバーやアイコン等」の他に、特定のプログラム(特定のアプリケーション)のツールバー等の画像も想定されることは自明であり、特定のプログラムのツールバー等の画像をデスクトップに表示するために、「CPU20」が、グラフィクスアダプタ24のドライバプログラム及び特定のプログラムを実行して、特定のプログラムのツールバー等の表示画像をレンダリング(あるデータを処理または演算することで画像や映像を表示させること)していることは明らかである。
b そして、特定のプログラムのツールバー等の画像も、そのプログラムのウインドウの位置や大きさを特に変化させない限り、焼き付き易い領域であるといえるから、「タスクバーやアイコン等」についてした「焼き付き防止」の処理を、特定のプログラムのツールバー等の画像についても行うようにする契機は存在するというべきである。
c したがって、引用発明において、「CPU20」が、グラフィクスアダプタ24のドライバプログラム及び特定のプログラムを実行して、特定のプログラムのツールバー等の表示画像をレンダリングし、前記表示画像の静止領域(固定画像)にオーバレイウィンドウ(マスク)を重ねて表示することにより、特定のプログラムのツールバー等の画像について、「焼き付き防止」の処理を行うことは、当業者が適宜なし得た設計変更にすぎない。
イ 総合評価
前記アにおいて検討したとおり、前記相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、前記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張について
ア 請求人の主張の概要
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請求人は審判請求書において、概略次のように主張している。
(ア) 引用文献1には、CPU20が実行するソフトウェアモジュール「オーバレイウィンドウ生成部43」によってオーバレイウィンドウをレンダリングすることのみが開示されており、「ディスプレイコントローラは、前記静止領域の前記位置情報に従って、前記静止領域に対応する焼き付き防止領域のオンスクリーンディスプレイ(OSD)マスクを生成し、前記表示画像の前記静止領域に前記OSDマスクを重畳させて出力画像を生成する」ことが記載されていない。
(イ) OSDマスクが表示装置のディスプレイコントローラによって生成されるため、ホストのCPUが出力画像に対して焼き付き防止処理を実行しない場合でも、ディスプレイコントローラは、静止領域の位置情報に従ってOSDマスクを生成し、表示画像の静止領域にOSDマスクを重畳して出力画像を生成し、出力画像をディスプレイパネルに送信して表示させることが可能である。従って、ホストが焼き付き防止処理を実行しない、または実行できない場合に、表示装置において画像の焼き付きを防止する技術的効果を奏することができるのであって、表示装置のディスプレイコントローラによって実行される、静止領域に対応する焼き付き防止領域のOSDマスクを生成する技術は、「当業者が適宜決めうる単なる設計的事項にすぎない」とはいえない。
(ウ) ホストは、必ずしもパーソナルコンピュータを含むものではなく、ゲーム機、DVD/ブルーレイプレーヤ、携帯型メディア再生装置など、他の種類のメディア再生装置を含む場合があるが、表示装置のディスプレイコントローラが出力画像の静止領域に対応するOSDマスクを生成するため、画像の焼き付き防止の技術的効果は同様に達成できる。
イ 請求人の主張に対する当審の判断
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 主張(ア)について
前記(3)ア(ア)の相違点1の検討において説示したように、引用発明において周知技術1を採用し、「OELD23」を含む「ディスプレイ側筐体3」が「ディスプレイコントローラ」を内蔵するようにして、「本体側筐体2」にある「CPU20」から送信された信号を「ディスプレイコントローラ」が受信して、「ディスプレイコントローラ」が焼き付き防止に関する処理を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、請求人の主張(ア)を採用することはできない。
(イ) 主張(イ)及び主張(ウ)について
「ディスプレイパネルを含む表示装置(表示ユニット)」に含まれる「ディスプレイコントローラー」は、受信した信号から「表示のための映像信号を生成すること」ができるのであるから(前記周知技術1を参照)、焼き付き防止に関する処理をホスト側において実行するのか、表示装置側において実行するのかについては、当業者が適宜選択し得た事項にすぎないのであって、ホストが画像の焼き付き防止処理を実行しない又は実行できない場合に表示装置において画像の焼き付きを防止することができるという効果は格別のものであるとは認められない。
またそもそも、請求人は、ゲーム機などの場合であっても、表示装置において画像の焼き付きを防止する技術的効果を奏することができる旨を主張しているが、本願発明において、「前記ユーザインターフェースの静止領域の位置情報を取得し、前記表示画像と前記静止領域の位置情報を前記ディスプレイコントローラに送信[する]」のはホストに含まれる「処理ユニット」なのであるから、本願発明の焼き付き防止処理は、「表示装置」の「ディスプレイコントローラ」が単独で行うものではなく、「ホスト」の「処理ユニット」と「表示装置」の「ディスプレイコントローラ」が協働して行うものであって、請求人の主張に沿って検討すると、「ホスト」に相当するゲーム機においても、焼き付き防止処理の一部が実行されることになる。
しかしながら、一般にゲーム機などにおいては、そのような焼き付き防止処理の一部である、「ユーザインターフェースの静止領域の位置情報の取得」を行い、これを表示装置へ送信する機能を有するとはいえないから、ゲーム機などの場合において「表示装置において画像の焼き付きを防止する技術的効果を奏する」ことは明らかに不可能であり、請求人の主張は根拠の無いものである。
したがって、請求人の主張(イ)及び主張(ウ)を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-013854