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特許拒絶査定不服審判

2022-013535

冷却システム

審判番号
2022-013535
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-543624
請求日
2022年08月29日
審決日
2024年04月02日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
審判長/審判官
  • 審判長 渋谷 善弘
  • 審判官 菊地 牧子
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P18 .121-WZ (B21B) / P18 .537-WZ (B21B) / P18 .536-WZ (B21B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-543624「冷却システム」拒絶査定不服審判事件〔2019年(令和元年)8月22日国際公開、WO2019/160574、令和3年6月3日国内公表、特表2021-513917〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)7月11日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2018年2月17日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、出願後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和3年10月19日付け:拒絶理由を通知 令和3年12月 3日 :意見書、及び手続補正書の提出 令和4年 4月22日付け:拒絶をすべき旨の査定 令和4年 8月29日 :審判請求書、及び手続補正書の提出 令和5年 6月21日付け:拒絶理由を通知(以下、この通知を「当審拒絶理由通知」という。) 令和5年 9月 4日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~16に係る発明(このうち請求項1に係る発明を、以下「本願発明1」という。)は、令和5年9月4日提出の手続補正書により補正をした特許請求の範囲の請求項1~16に記載した事項により特定されるとおりのものであって、このうち、本願発明1を特定する請求項1に記載した事項は以下のとおりである。(下線は、上記補正の補正箇所に付したものである。) 「【請求項1】 冷却システムであって、 ターゲット素材と、 プレナムまたはヘッダー構造体と、 複数のノズル構造体であって、各ノズル構造体からの均一な流動ストリームを提供する前記プレナムまたは前記ヘッダー構造体に結合された複数のノズル構造体と を具備し、 前記ノズル構造体のそれぞれから前記ターゲット素材の移動方向と直交する方向における左右エッジに至る流体経路を提供し、隣接する前記ノズル構造体からの流体ストリームの相互作用を低減することにより、冷却の均一性を改善するように、前記ノズル構造体には、前記ターゲット素材の移動方向と平行な前記ターゲット素材の中心線から、前記ターゲット素材の移動方向と直交する横方向に離れるように角度が付けられると共に、前記ターゲット素材の移動方向に、あるいは前記ターゲット素材の移動方向から離れるように角度が付けられ、 前記ノズル構造体のそれぞれは、テーパー状ノズル構造体からなり、 前記テーパー状ノズル構造体の先端側における外周部分および内周部分は、円筒形部分に結合されるテーパー状部分を具備する、冷却システム。」 第3 当審拒絶理由通知 1 理由の概要 当審拒絶理由通知において、本願発明1に対して通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 A.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 B.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 C.(進歩性)本願発明1は、引用文献1、及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 引用文献 (1)引用文献1:特開2008-221298号公報 (2)引用文献2:特開2005-125278号公報 第4 引用文献の記載事項 1 引用文献1 (1)発明の詳細な説明 「【技術分野】 【0001】 本発明は、熱延鋼帯冷却設備に関するものである。 【背景技術】 【0002】 熱間圧延された鋼帯を冷却する方法として、鋼帯の上面に冷却水を散布するパイプラミナ方式がある・・・。ところが、これは冷却水の勢いが弱いため、鋼帯の表面で膜沸騰状態となり、均一で安定した冷却効果を得られない可能性があるので、鋼帯に対して冷却水を噴射することが考えられる。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 一般に、冷却水は鋼帯を搬送するローラ同士の隙間から排水されるが、上記のように大量の冷却水を噴射すると、ローラ同士の隙間からは十分な排水ができないので、冷却水が滞留し、均一で安定した冷却効果が得られない可能性がある。なお、ローラのピッチを広げ、排水性能を向上させることも考えられるが、鋼帯の先端を未拘束の状態で通過させるときに、これを円滑に行うためには、ローラのピッチを広げることは避けたい。 本発明の課題は、排水性能を向上させると共に、均一で安定した冷却効果を実現することである。 ・・・ 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明の実施形態について説明する。 図1及び図2は、冷却水噴射設備の概略構成である。熱間圧延された鋼帯1は、テーブルローラ2によって巻取り側へと搬送され、その途中で、図1に示すように、上下から噴射される冷却水によって両面が冷却される。 ・・・ 【0011】 一方、上面の冷却は、図1に示すように、鋼帯1の上方に配設された一対の上部ラミナーヘッダ4によって行われる。上部ラミナーヘッダ4は、冷却水が直線状に吐出し鋼帯1の所定位置(シャワー中心)に集中するように、高圧ノズルで構成され、図1及び図2に示すように、多数の吐水線が形成される。 先ず、幅方向から見ると(図1)、一方の側の上部ラミナーヘッダ4において、複数列の吐水線があるが、全て同一方向の角度で噴射される。一方、搬送方向から見ると(図2)、垂直方向に対して左側に傾斜して噴射される列と、右側に傾斜して噴射される列とがあり、これらは交互に配列されている。 【0012】 図3は、鋼帯1の上面に噴射された冷却水の水勢を示す。すなわち、幅方向の中心を境にして、左側は左方向へと斜行し、右側は右方向へと斜行し、尚且つシャワー中心を境にして、左方向へと斜行する一群同士が対抗すると共に、右方向へと斜行する一群同士が対抗する。したがって、搬送方向の水勢は相殺され、幅方向の水勢が残るため、冷却水の流れはシャワー中心に沿って幅方向の両側へと向かう。 ・・・ 【0018】 次に、本実施形態の作用効果について説明する。 鋼帯1の表面で冷却水が膜沸騰状態となることを避けるためには、冷却水を高圧噴射する必要があるが、大量の冷却水を噴射すると、テーブルローラ2の隙間からは十分な排水ができず、冷却水が滞留してしまう可能性がある。 そこで、搬送方向に離れた一対の位置から鋼帯1の所定位置(シャワー中心)に集中するように冷却水を噴射すると共に、その噴射方向を鋼帯1の幅方向に傾斜させる。これにより、一対の位置から噴射された冷却水は、搬送方向の水勢を相殺し合うので、相互に水切りを行うことができ、且つ冷却水の流れをシャワー中心に沿って幅方向の両側へと向かわせることができる。 【0019】 その先に、つまりシャワー中心を幅方向両側から挟むようにスプラッシュガード5を設けたことで、幅方向へと噴出する冷却水を効率的に集めて排水することができる。したがって、排水性能を向上させると共に、均一で安定した冷却効果を得ることができる。 ・・・」 (2)図面 ア 図1 「 [図:0001413710000001.jpg] 」 イ 図2 「 [図:0001413710000002.jpg] 」 ウ 図3 「 [図:0001413710000003.jpg] 」 (3)引用文献1の記載事項の整理 ア 段落【0001】、【0010】、及び図1~2の記載からみて、引用文献1には、鋼帯1に冷却水を噴射して冷却する熱延鋼帯冷却設備に関する発明が記載され、段落【0011】の記載からみて、この熱延鋼帯冷却設備は、鋼帯1、上部ラミナーヘッダ4、及びこの上部ラミナーヘッダ4を構成する高圧ノズルを配設し、多数の各高圧ノズルから冷却水を直線状に吐出して多数の吐水線が形成されるものである。 イ 段落【0011】、【0012】、【0018】~【0019】、及び図1~3の記載からみて、引用文献1記載の熱延鋼帯冷却設備においては、ラミナーヘッダ4を構成する高圧ノズルから多数の吐水線が形成されるように吐出される冷却水が、鋼帯1の幅方向の中心を境にして左側は左側に傾斜して噴射されるように、右側は右側に傾斜して噴射されるように、噴射方向を鋼帯1の幅方向に傾斜させ、それと共に、搬送方向に離れた一対の位置から、この一対の位置の中間にある所定の位置であるシャワー中心に集中するように噴射し、冷却水の流れを鋼帯1の幅方向の両側に向かわせて、均一で安定した冷却効果を得るものである。 したがって、引用文献1記載の熱延鋼帯冷却設備は、高圧ノズルのそれぞれから前記鋼帯1の幅方向の両側に冷却水の流れを向かわせ、高圧ノズルからの冷却水は多数の吐出線を形成して、均一で安定した冷却効果を得るために、高圧ノズルには、鋼帯1の幅方向の中心を境にして左側は左側に傾斜して冷却水が噴射されるように、右側は右側に傾斜して冷却水が噴射されるように、噴射方向を鋼帯1の幅方向に傾斜させると共に、鋼帯1の搬送方向に離れた一対の位置から鋼帯1のシャワー中心に集中するように冷却水を噴射させるものである。 (4)引用発明1 上記(1)~(3)より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「熱延鋼帯冷却設備であって、 鋼帯1と、 上部ラミナーヘッダ4と、 多数の高圧ノズルであって、各高圧ノズルからの冷却水を直線状に吐出して多数の吐水線が形成される前記上部ラミナーヘッダ4を構成する多数の高圧ノズルと を配設し、 前記高圧ノズルのそれぞれから前記鋼帯1の幅方向の両側に冷却水の流れを向かわせ、直線状に吐出した冷却水が多数の吐出線を形成して、均一で安定した冷却効果を得るために、前記高圧ノズルには、前記鋼帯1の幅方向の中心を境にして左側は左側に傾斜して冷却水が噴射されるように、右側は右側に傾斜して冷却水が噴射されるように、噴射方向を前記鋼帯1の幅方向に傾斜させると共に、前記鋼帯1の搬送方向に離れた一対の位置から前記鋼帯1のシャワー中心に集中するように冷却水を噴射させる、熱延鋼帯冷却設備。」 2 引用文献2 (1)発明の詳細な説明 「【技術分野】 【0001】 本発明は、流体噴射ノズルに係り、特に、熱延鋼板の圧延プロセスにおいて熱延鋼板の上下面及び端面の冷却に適した流体噴射ノズルの構造に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は、鋼材の圧延プロセスなどで使用されるスプレイノズルについての以上のような問題点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、詰まりが生じにくく且つ圧力損失を小さく抑えることができる流体噴射ノズルを提供することにある。 ・・・ 【0019】 図1に、本発明に基づく流体噴射ノズル1の一例を示す。図中、2はノズル本体、3はフィルタ管、8は入側流路、6は出側流路、7はテーパ部、4は流入孔である。【0020】 ノズル本体2の内部には、出側から順に、出口孔5、出側流路6、テーパ部7、及び入側流路8が形成されている。ノズル本体2の後端(流入側)にはフィルタ管3が接続されている。ノズル本体2の後端部近傍の外周にはネジが加工され(この部分を取付ネジ部9と呼ぶ)、このネジを介して流体噴射ノズル1が流体供給管(後述)に取り付けられる。 【0021】 出側流路6の内径d1の寸法は、出口孔5と同一である。なお、噴射される流体の直進性を確保するため、出側流路6は内径が一定に形成されている。入側流路8の内径d2は、出側流路6の内径d1よりも大きい。入側流路8を出側流路6につなぐテーパ部7は、頂角θの部分円錐面により構成され、後方に向かって径が拡大している。フィルタ管3の内径d3は、入側流路8の内径d2に等しい。【0022】 ここで、ノズル本体2の出側流路の断面積S1と入側流路8の断面積S2については、次の関係を満たすように設定する: S2/S1≧2 ・・・ 【0023】 図2に、上記の流体噴射ノズル1を流体供給管11に取り付けた状態を示す。・・・ ・・・ 【0026】 図4に、図1に示した流体噴射ノズルにおいて、出側流路6の断面積S1に対する入側流路8の断面積S2の比(S2/S1:以下、縮流比と呼ぶ)と、ノズルの損失係数λの関係を示す。ここで、ノズルの損失係数λとは、ノズルを組み付ける流体供給管内圧力と、ノズル出口速度から算出される流体の動圧との関係により、次式によって定義される値である。 [図:0001413710000004.jpg] 【0027】 但し、P0:流体供給管内圧力 V1:ノズル出口平均速度 g :重力加速度 図4において、ノズルの損失係数の値は、縮流比2の付近から減少し始め、縮流比3を越えたところで最小値に近付き、そのまま収束する。即ち、ノズルの圧力損失の低減効果は、縮流比が2以上の範囲で得られるが、3を超えると収束してほとんど変化しない。従って、縮流比を3程度に設定することが望ましい。縮流比を3とすることによって、フィルタ管の部分を流体供給管の内部流路内に突出させた状態で、流体噴射ノズルを流体供給管に取り付けても、縮流比1(入側から出側にかけて縮流させていないストレートなノズル)の場合と比較して、ノズルの圧力損失を約70%低減させることができる。(ただし、後述のフィルタ管流入面積S5については最適化してある。) ・・・ 【0034】 表1に、入側流路の長さL2とテーパ角を一定にした場合の、出側流路の長さL1と冷却水の直進性に関する調査結果を示す。表中のαは、図6に示す噴射の広がり角度である。この結果より、本発明の流体噴射ノズルにおいて、好ましくは、出側流路の長さL1をその径の1.5倍以上とする。なお、管摩擦損失を考慮して、好ましくは、L1/d1≦10とする。 【表1】 [図:0001413710000005.jpg] ・・・ 【0045】 次に、本発明の流体噴射ノズルの冷却に対する効果について調べた。ノズルは、上記実施例1の流体噴射ノズルおよび比較例として多孔板ノズル(比較例4)を用いて、鋼板の冷却実験を行った。本発明の例として、実施例1の流体噴射ノズルを、図7に示す通り、矩形断面をもつ中空ヘッダーの一面に高密度かつ規則的に配置し、流体噴射ノズルが設置された側の面を、鋼板の上下に、鋼板と平行に設置して、鋼板面へ冷却水を供給した。一方、比較例の多孔板ノズルは、図8に示すような矩形断面をもつ中空ヘッダーの一面に、多数の穴が上記流体噴射ノズルと同様の配置で開いており、穴の開いた側の面を、鋼板上下に、鋼板に平行に設置して、鋼板面へ冷却水を供給するノズルである。 ・・・ 【0048】 本発明の流体噴射ノズルを使用すると、多孔板ノズルの場合よりも3割冷却速度が向上した。このメカニズムについて、図10に示しながら説明する。本発明の流体噴射ノズル1の鳩合、水流の直進性が増強されるために、冷却水溜まりがあっても、鋼板搬送速度に対して相対速度2倍程度の冷却水流速を減衰させることなく供給することができ、鋼板に均一に強冷却を施すことが可能である。また下面側は、ノズル長さの分、使用後の冷却水溜まりの影響を回避することができる点で有利である。一方、多孔板ノズルの場合は、ノズルから噴射された直後から水流が広がると共に、溜まり水の影響で冷却水の流速が急激に低下してしまい、冷却能力が低下する。特に下面側の流速低下が大きいため、上下同一水量密度では、上下冷却能力バランスの変化が大きく、鋼板の歪みを生じる原因となる。 ・・・ 【0054】 1・・・流体噴射ノズル、2・・・ノズル本体、3・・・フィルタ管、4・・・流入孔、5・・・出口孔、6・・・出側流路、7・・・テーパ部、8・・・入側流路、9・・・取付ネジ部、10・・・フィルタ管内流路、11・・・流体供給管、12・・・冷却水ヘッダ、13・・・搬送ロール、14・・・水切りロール、15・・・鋼板、16・・・多孔板ノズルヘッダ。 (2)図面 ア 図1 「 [図:0001413710000006.jpg] 」 イ 図2 「 [図:0001413710000007.jpg] 」 ウ 図4 「 [図:0001413710000008.jpg] 」 エ 図6 「 [図:0001413710000009.jpg] 」 オ 図7 「 [図:0001413710000010.jpg] 」 カ 図8 「 [図:0001413710000011.jpg] 」 キ 図10 「 [図:0001413710000012.jpg] 」 (3)引用文献2の記載事項の整理 ア 段落【0001】、【0019】、及び図1~2、7、10の記載からみて、引用文献2には、熱延鋼板の冷却に適した流体噴射ノズル1であって、その多数が冷却水ヘッダ12に結合されたものが記載されている。 イ 段落【0020】の記載からみて、引用文献2記載の流体噴射ノズル1は、フィルタ管3が接続された流入側を後端とし、出口孔5が形成された出側を先端としていることが理解できる。 ウ 段落【0019】~【0021】、及び図1~2の記載からみて、ノズル本体2を有し、ノズル本体2の内部には、出側から順に、出口孔5、出側流路6、テーパ部7、及び入側流路8が形成された流体噴射ノズル1が記載されている。 エ また、ノズル本体2の出側流路6に対応する部分(図1のL1の範囲)の外周面にはテーパ状の部分を具備し、また、ノズル本体2の内部の出側流路6と入側流路8の間には後方に向かって径が拡大しているテーパ部7(図1のL4の範囲)を具備するテーパ状の流体噴射ノズル1が、記載されており、先端に出口孔5が形成され、即ち先端の方向に開口する出側流路6とテーパ部7(図1のL1とL4の範囲)は、ノズル本体の先端側に配置されているといえる。 オ 図1には、上記ウのノズル本体2の外周面のテーパ状の部分の後端と、内周面部のテーパ部7の後端は、ノズル本体2の円筒形部分に結合されていることが図示されている。 (4)引用文献2記載の技術的事項 上記(1)~(3)より、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「熱延鋼板の冷却に適した流体噴射ノズル1のそれぞれは、テーパ状の流体噴射ノズル1であって、ノズル本体2の先端側の外周面には、後端がノズル本体2の円筒形部分に結合されるテーパ状の部分を具備し、ノズル本体2の先端側の内周面には、後端がノズル本体2の円筒形部分に結合されるテーパ部7を具備する流体噴射ノズル1。」 第5 当審の判断 事案に鑑み、理由C(進歩性)を検討する。 1 本願発明1と引用発明1の対比 (1)上記第4の1(4)で認定した引用発明1の「熱延鋼帯冷却設備」は本願発明1の「冷却システム」に、以下同様に「鋼帯1」は「ターゲット素材」に、「上部ラミナーヘッダ4」は「プレナムまたはヘッダー構造体」に、「複数の」は「多数の」に、「高圧ノズル」は「ノズル構造体」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明1の「各高圧ノズルから冷却水を直線状に吐出して多数の吐水線が形成される」は、各高圧ノズルから吐出した冷却水が、他の高圧ノズルから吐出した冷却水に干渉されずに、それぞれの吐水線を形成するものであるから、本願発明1の「各ノズル構造体からの均一な流動ストリームを提供する」に相当する。 (2)引用発明1の「鋼帯1の幅方向の両側」は本願発明1の「ターゲット素材の移動方向と直交する方向における左右エッジ」に、同様に「冷却水の流れを向かわせ」は「流体経路を提供し」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明1の「直線状に吐出した冷却水が多数の吐出線を形成して」は、多数の吐出線は、高圧ノズルのそれぞれから直線状に吐出した冷却水がお互いに影響を及ぼさないことで形成されるから、本願発明1の「隣接する前記ノズル構造体からの流体ストリームの相互作用を低減することにより」に相当し、さらに引用発明1の「均一で安定した冷却効果を得るために」は、本願発明1の「冷却の均一性を改善するように」に相当する。 (3)引用発明1の「高圧ノズル」について「前記鋼帯1の幅方向の中心を境にして左側は左側に傾斜して冷却水が噴射されるように、右側は右側に傾斜して冷却水が噴射されるように、噴射方向を鋼帯1の幅方向に傾斜させ」ることは、このように傾斜させた高圧ノズルの噴射方向は、鋼帯1における幅方向の中心からみて左側、及び右側のそれぞれに離れる角度であり、本願発明1におけるターゲット素材の中心線から横方向に離れる角度にあたるから、本願発明1の「ノズル構造体」について「前記ターゲット素材の移動方向と平行な前記ターゲット素材の中心線から、前記ターゲット素材の移動方向と直交する横方向に離れるように角度が付けられる」ことに相当する。 そして、引用発明1の「高圧ノズル」について「前記鋼帯1の搬送方向に離れた一対の位置から前記鋼帯1のシャワー中心に集中するように冷却水を噴射させ」は、搬送方向に後方方向に離れた位置から鋼帯1のシャワー中心に冷却水を噴出する高圧ノズルの噴射方向は、本願発明1における移動方向に角度が付けられたものであり、搬送方向に前方方向に離れた位置から鋼帯1のシャワー中心に冷却水を噴出する高圧ノズルの噴射方向は、本願発明1の移動方向から離れるように角度が付けられたものであるから、本願発明1の「ノズル構造体」について「前記ターゲット素材の移動方向に、あるいは前記ターゲット素材の移動方向から離れるように角度が付けられ」に相当する。 2 本願発明1と引用発明1の一致点、及び相違点 上記1より、本願発明1と引用発明1は次の(1)の点で一致し、(2)の点で相違する。 (1)一致点 「冷却システムであって、 ターゲット素材と、 プレナムまたはヘッダー構造体と、 複数のノズル構造体であって、各ノズル構造体からの均一な流動ストリームを提供する前記プレナムまたは前記ヘッダー構造体に結合された複数のノズル構造体と を具備し、 前記ノズル構造体のそれぞれから前記ターゲット素材の移動方向と直交する方向における左右エッジに至る流体経路を提供し、隣接する前記ノズル構造体からの流体ストリームの相互作用を低減することにより、冷却の均一性を改善するように、前記ノズル構造体には、前記ターゲット素材の移動方向と平行な前記ターゲット素材の中心線から、前記ターゲット素材の移動方向と直交する横方向に離れるように角度が付けられると共に、前記ターゲット素材の移動方向に、あるいは前記ターゲット素材の移動方向から離れるように角度が付けられる、冷却システム。」 (2)相違点 ノズル構造体のそれぞれについて、本願発明1においては、「テーパー状ノズル構造体からなり、前記テーパー状ノズル構造体の先端側における外周部分および内周部分は、円筒形部分に結合されるテーパー状部分を具備する」のに対して、引用発明1においては「テーパー状ノズル構造体」であるかが不明であり、テーパー状部分の具体的な構成も不明である点。 3 相違点の検討 (1)引用発明1への引用文献2記載の技術的事項の適用について 上記第4の2(4)で認定した引用文献2記載の技術的事項における「テーパ状の流体噴射ノズル1」は本願発明1の「テーパー状ノズル構造体」に相当し、同様に、「先端側の外周面」の「テーパ状の部分」は「先端側の外周部分」における「テーパー状部分」に、「先端側の内周面」の「テーパ部7」は「先端側の内周部分」における「テーパー状部分」に、それぞれ相当する。そして、本願発明1におけるテーパ状ノズル構造体の「先端側」との発明特定事項について、一般に「○○側」とは、「物の一つの方向・面。」を意味する(広辞苑第六版)ことから、この意味において、引用文献2記載の技術的事項のノズル本体内2の「先端側」と差違があるとはいえず、また本願明細書及び図面の全体をみても、「先端側」についての記載はなく、特別な技術的意味があるともいえない。 そうすると、引用文献2記載の技術的事項における「流体噴射ノズル1のそれぞれは、テーパ状の流体噴射ノズル1であって、ノズル本体2の先端側の外周面には、後端がノズル本体2の円筒形部分に結合されるテーパ状の部分を具備し、ノズル本体2の先端側の内周面には、後端がノズル本体2の円筒形部分に結合されるテーパ部7を具備する」ことは、本願発明1の上記相違点に係る「ノズル構造体のそれぞれは、テーパー状ノズル構造体からなり、前記テーパー状ノズル構造体の先端側における外周部分および内周部分は、円筒形部分に結合されるテーパー状部分を具備する」ことに相当する。 そして、引用文献2記載の技術的事項は、引用発明1と同じく熱延鋼板の冷却に関するものであり、さらに、そのテーパー状の流体噴射ノズル1は、段落【0034】、【0045】、【0048】、及び図6~8、10(図8と図10(b)は比較例)の記載からみて、冷却水を直線状に吐出するものであるから、この点でも引用発明1と共通するものである。 したがって、引用発明1の熱延鋼帯冷却設備の高圧ノズルとして、引用文献2記載の技術的事項を適用し、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を想到することは、当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点による本願発明1の作用効果について 上記相違点に関連する本願発明1のノズルのテーパー状部分の利点として、本願明細書の段落【0011】には、「均一な流動ストリーム」が得られることと、「所与の冷却速度に関してノズルを通過する圧力降下が減少することと、そして冷却流体を加圧するために必要な関連電力が減少すること」が記載されている。 これに対して、引用文献2の段落【0026】~【0027】、【0036】~【0037】、図4には、引用文献2記載の技術的事項のテーパ状の流体噴射ノズル1も、本願発明1の上記利点と同様に、整流効果があり、圧力損失を低減させることが開示されている。そして、圧力損失を低減させれば、流体を加圧するために必要な関連電力が減少することは、当業者に自明である。 したがって、本願発明1が上記相違点に係る構成を備えることにより奏する作用効果も格別のものとはいえない。 4 小括 したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基づき、当業者が容易になし得たものであるから、理由C(進歩性)により、特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-013535

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  • 2020-014726拒絶査定不服審判 / 2021-07-21 / 請求不成立圧延機ポーリングリール
    同じ当事者: プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
  • 2017-011339拒絶査定不服審判 / 2018-12-07 / 請求不成立圧延機レイングヘッド
    同じ当事者: プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
同じ論点・分野の審決(審決分類)57件(121・B21B、536・B21B、537・B21B)
  • 2020-006248拒絶査定不服審判 / 2021-06-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)オーステナイト系TWIPまたはTRIP/TWIP鋼からなる部材の製造方法
    共通の審決分類: 121・B21B、536・B21B、537・B21B
  • 2018-013023拒絶査定不服審判 / 2020-03-10 / 請求不成立複合ロール
    共通の審決分類: 121・B21B、536・B21B、537・B21B
  • 2024-700294異議申立 / 2025-06-06 / 請求成立(取消)ばね部材用金属箔、ばね部材用金属箔の製造方法、および、電子機器用ばね部材
    共通の審決分類: 121・B21B、536・B21B、537・B21B
  • 2024-700293異議申立 / 2025-05-30 / 請求成立(取消)ばね部材用金属箔、ばね部材用金属箔の製造方法、および、電子機器用ばね部材
    共通の審決分類: 121・B21B、536・B21B、537・B21B
  • 2023-701401異議申立 / 2024-12-05 / 訂正認容中間金属製品のグループからの最終金属製品のグループの製造を制御するための方法およ…
    共通の審決分類: 121・B21B、536・B21B、537・B21B

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