特許拒絶査定不服審判
2022-013437
ジカ感染の予防および/または治療方法における使用のためのデング熱に対する中和抗体
- 審判番号
- 2022-013437
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-564238外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月26日
- 審決日
- 2024年09月17日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インペリアル カレッジ オブ サイエンス,テクノロジー アンド メディスン
- 【請求人代理人】荒船 博司
- 【請求人代理人】荒船 良男
- 【請求人】アンスティテュ パストゥール
- 【請求人代理人】荒船 博司
- 【請求人代理人】荒船 良男
- 分類
- P18 .113-WZ (C12N) / P18 .536-WZ (C12N) / P18 .537-WZ (C12N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法36条4項1号特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-564238「ジカ感染の予防および/または治療方法における使用のためのデング熱に対する中和抗体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日国際公開、WO2017/212291、令和 1年 8月29日国内公表、特表2019-523647〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年6月10日 (GB)英国)を国際出願日とする出願であって、令和4年4月14日に拒絶査定がなされ、同年8月26日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。以後の主な手続の経緯は、次のとおりである。
令和 6年 3月21日付け 拒絶理由通知書
同 年 6月21日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和6年6月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。また、本願の願書に添付された明細書及び図面を「本願明細書等」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ジカウイルスによる感染の予防および/または治療のための方法における使用のための、単離された中和抗体またはその抗原結合断片であって、
a)配列番号71を含む重鎖及び配列番号37を含む軽鎖、
b)配列番号72を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖、
c)配列番号11を含む重鎖及び配列番号13を含む軽鎖、
d)配列番号12を含む重鎖及び配列番号14を含む軽鎖、
e)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖、または
f)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121と少なくとも90%の相同性を有する配列を含む軽鎖、
を含む、単離された中和抗体またはその抗原結合断片。」
第3 当審で通知した拒絶の理由の概要
令和6年3月21日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、本願発明(補正前の請求項10に係る発明を減縮したものである。)に対する理由1、3、4は、概略、次のとおりのものである。
理由1(新規性)
補正前の請求項10に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2016/012800号
理由3(実施可能要件)
この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由4(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
補正前の請求項10に係る発明が解決しようとする課題は、「安定化フラビウイルスエンベロープ二量体(sE二量体)」に対して中和活性を有し、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できる抗体またはその抗原結合断片を提供することにあると認められる。
本願明細書の実施例2及び実施例4の記載からすると、引用文献1に記載され、デングウイルス(DENV)のEDE(E-二量体-エピトープ)に結合することが知られたC8抗体及びC10抗体は、上記課題を解決できることを、当業者が本願明細書の発明の詳細な説明より認識できるといえる。
しかし、補正前の請求項10に記載された多種多様なアミノ酸配列を有する抗体またはその抗原結合断片が、おしなべて、C8抗体及びC10抗体と同様に、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できるとは、本願明細書の【0353】及び【0356】で、抗DENV抗体はZIKV(ジカウイルス)に対して中和が不十分であるとの結果が得られていることや抗体の結合活性がCDR領域に含まれるアミノ酸配列によって大きく左右されるという本願の出願時の技術常識に照らしても推認できない。
そうすると、本願は、補正前の請求項10について、サポート要件、実施可能要件を満たしているとはいえない。
第4 当審の判断
1.本願明細書の記載事項
本願明細書には、以下の事項が記載されている。下線は当審で付与した。
本a
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以下に記載の本発明は、デングウイルスを越えて新たに同定されたEDEの保存に関して、方法、使用、ワクチン、化合物、および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
・・・
【0018】
したがって、本発明の第1の態様は、1つ以上のフラビウイルスの感染の予防および/または治療のための方法における使用のために、1種を超える血清型のフラビウイルス、例えば1種を超える血清型のデングウイルスおよび/またはジフウイルスを中和する化合物を提供し、1つ以上のフラビウイルスは、ジカウイルス、ジカウイルスおよびデングウイルス、ジカウイルスおよび他のフラビウイルス、デング以外のフラビウイルスから選択される。」
本b
「【0158】
本発明は、上記の使用のための特定の化合物をさらに含む。例えば、一実施形態では、本化合物は、重鎖配列番号11および軽鎖配列番号13、または重鎖配列番号12および軽鎖配列番号14の配列を含む抗体である。抗体が含んでいてもよい軽鎖、重鎖、およびCRD配列のさらなる例は、下記の抗体の節に記載されている。本発明はまた、これらの抗体の切断および変異に関し、そのため、使用のための化合物はその抗原結合部分であることが理解されよう。少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR配列または可変領域配列全体、または抗体配列全体において、上記の配列に対して少なくとも80、90%、または少なくとも95%相同性の配列相同性を有する抗体は、本発明の使用のために含まれる。抗体、軽鎖および重鎖の特定の配列は、配列番号11~14、37~141、141~147、および例えばWO2016/012800の図29に記載されている。
【0159】
WO2016/012800・・・の群「EDE1」として特徴付けられる抗体が、特にジカウイルスに関連する使用に関連して、特に価値があり得る。EDE群1抗体は、N153(または等価残基)グリコシル化の存在または不在によって影響を受けない結合によって特徴付けられると考えられる。
【0160】
ジカおよびデングウイルスに関連する広範な中和抗体として特に有用であり得る抗体は、以下の抗体の節に論じられるように、752-2 C8またはEDE1 C8であり得る(WO 2016/012800・・・にあるような用語)、または753(3) C10 EDE C10(WO2016/012800・・・にあるような用語)。
【0161】
ジカエンベロープタンパク質二量体に対して高い親和性を有し得るが、中和にはあまり有用でなく、抗体依存性増強(ADE)を促進し得る抗体は、DENV結合のために153位にグリコシル化部位を必要とすると思われるが、ジカエンベロープ二量体上の154グリカン(存在する場合)と同じ相互作用をしない、EDE2 A11であり得る(WO2016/012800・・・にあるような用語)。実施例2を参照のこと。
【0162】
以下の実施例2においてさらに論じられるように、ジカ株は、154位でのグリコシル化に関して異なる場合がある。アフリカジカ株HD78788は、長年にわたり、マウスの脳をサックインする細胞培養に適合し継代されており、Eグリコシル化がないと考えられている。2013年にフランス領ポリネシアで単離されたPF13株は、150ループ、154位でグリコシル化されたEタンパク質を有する。EDE1群抗体、例えば、EDE1 C8はグリコシル化されていないアフリカ系統HD78788をグリコシル化PF13株よりも良好に中和することができるが、EDE1群抗体はこれらのジカ株の両方をDENV株と同等またはそれよりも中和することができる。
【0163】
EDE2抗体、例えばEDE2 A11は、これらのジカ株間で差異を示さないかもしれないが、EDE1抗体としていずれかの株を中和するほど強力ではないかもしれない。」
本c
「【0339】
抗体配列
WO2016/012800・・・で同定されたEDE1抗体は、フラビウイルス、例えばジカウイルスを中和するのに一般に有用であると考えられている。例えば、WO2016/012800・・・において同定された抗体EDE 1 752-2 C8(EDE1 C8とも呼ばれる)およびEDE1 753(3)C10(EDE1 C10とも呼ばれる) は、フラビウイルス、例えばジカウイルスを中和するのに有用であると考えられている。EDE1 C8およびEDE1 C10の配列を以下の表Aに示す。CRDアミノ酸配列は、配列番号15~26として示される。
【表2】
[図:0001418428000001.jpg]
・・・
【0340】
有用であると考えられる他のEDE1抗体は、結合として実施例1の図7に示したもの、およびその変異体である。抗体は、WO2016/012800で使用される用語を用いて示される。
・・・
【表3】
[図:0001418428000002.jpg]
・・・
[図:0001418428000003.jpg]
」
本d
「【図面の簡単な説明】
【0342】
・・・
【図17】実施例2 図1:ZIKV/DENV Eタンパク質の系統発生およびDENV誘発抗体との反応性。・・・b)ヒト組換えIgG mAb FLE P6B10、EDE1 C8、およびEDE2 A11とのZIKV sE反応性。左パネル:結合特性を、Octet RED(ForteBio)でのBiolayer干渉計によってモニタリングした。・・・結合部位占有率の割合として表される応答値を、対数尺度で示されるZIKV sE二量体の濃度に対してプロットする。線は、Kd評価に使用されるグローバル曲線適合を示す・・・。右パネル:抗ヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー上に固定化されたヒトIgG1 C8に対する溶液中のZIKV sE二量体の結合および解離動態;(示されるように)ZIKV sEの2倍連続希釈の個々のセンサーグラムが示されている。ED 図1aも参照のこと。
【図18】図2:FLE、EDE1、およびEDE2の3つのサブセットからそれぞれ3つの抗体を用いた中和曲線。結果は、PF13については三重に、HD78788株については二重に、それぞれ、4回の独立した実験の平均を表す。2つのZIKV株は、明るい色、赤色、および青色である。4つのDENV血清型(淡い色)の中和データは、参考文献27から得、ここでは比較のために与えられる。対応するIC 50値を表1に示す。使用したDENV4株は、N153グリコシル化部位を欠いている天然の分離株であったことに留意されたい。
・・・
【図36】実施例4の図1 AG129マウスモデルにおけるC10のインビボ有効性。AG129マウス(雌、8~10週齢;N=3)を、方法の節に記載されるように、50または200μgの精製されたC10または2-8Cにより腹腔内で処置した。マウスに、ZIKV PE243を含む、200μLの1.2×102FFU/マウスを抗体処置から24時間後に、腹腔内で感染させた。(A)C10抗体(赤色および青色の記号)または2-8Cアイソタイプ対照(緑色および紫色の記号)で処置したZIKV感染マウスの元の体重曲線の割合を、PBSで処置した未感染マウス(黒色の記号)と比較してプロットした。データは、1つの実験からの結果を表し、感染した群当たり3匹のマウスからの平均+/-重量測定値としてプロットされている。(B)感染後2日目および4日目に個々のマウスから単離した血漿サンプルからウイルス力価を測定した。血漿1ml当たりの病原体形成単位として計算されたウイルス力価は、個々のマウスにおける血漿ウイルス力価の平均+/- 標準誤差として表されている。」
「
[図:0001418428000004.jpg]
」(【図17】のb)
「
[図:0001418428000005.jpg]
」(【図18】)
「
[図:0001418428000006.jpg]
」(【図36】)
本e
「【0343】
実施例1
デング血清反応活性は、ジカウイルス感染の抗体依存性増強を引き起こす。
・・・
【0349】
DENVは、アミノ酸配列が30~35%異なる4つの血清型として存在し、DENV血清型は、同様にZIKVとは41~46%(Eタンパク質)異なる・・・
【0351】
ここでは、DENV感染個体から生成された132のヒトモノクローナル抗体のパネルを利用して、DENVとZIKVとの間の実質的な交差反応性を実証する。・・・
【0352】
結果
DENV血漿はZIKVと交差反応する
・・・すべての場合において、DENV免疫血漿は、DENVおよびZIKVの両方に結合した(図1a)。
・・・
【0353】
次に、回復期のDENV血漿によるZIKVの中和を試験した。すべての回復期のDENV血漿は、1:50の最低希釈率で使用してDENV感染をほぼ100%中和することができた(図2a)。しかしながら、ZIKVの中和は、ほとんどの血清が顕著な中和を示さないので、かなり効率的ではなかった(図2aおよびb)。抗DENV血漿がZIKVと実質的に交差反応するという所見は、ADEを促進することができるかどうかを決定するように促した。
・・・
【0355】
本発明者らは、ADEの非存在下でDENVによる感染に対して比較的耐性である骨髄系細胞株U937におけるADEを促進するDENV血漿の能力を試験し、U937はまた、ADEの非存在下でZIKV感染に対してほとんど許容されないことを示す。ZIKVを、2週間で得られたプールされた回復期の抗デング血漿の滴定と予めインキュベートし、次いでU937細胞を感染させるために使用した。プールされた回復期血漿は、ジカウイルスの両方に対して100倍超の感染の実質的な増強をもたらし、プールされた対照の非デング血清は感染を増強しなかった(図3a)。次に、急性二次的デング熱感染から6カ月後に得られた回復期血漿パネルを試験した。一例を除くすべてにおいて、DENV血漿はZIKV感染を増加させ、HD78788感染の中央値は12倍増加した(図3b)。要約すると、これらの結果は、交差反応性の抗DENV抗体がZIKVのADEを促進することができるが、中和が不十分であることを示している。
・・・
【0359】
EDE mAbは、DENV血漿のADEを阻害することができる
・・・融合ループ抗体は効果を示さなかったが、ZIKVの結合力が低い752-2B2を除くEDE1 mAbは、752-2C8および753(3)C10をそれぞれ0.091±0.007および0.034±0.006μg/mlの力価で50%阻害を生じるPF13感染のADEを強力に阻害することができた。EDE1 mAbよりもZIKVの結合力が低いEDE2 mAbは、このアッセイにおいてADEを阻害することができなかった。これらの研究は、EDE1抗体がZIKV ADEを強力に阻害することができ、存在する場合、十分なレベルでインビボで保護し得ることを実証する。
・・・
【0368】
要約すると、ZIKVはDENVとは配列が約41~46%(Eタンパク質)異なるが、抗DENV抗体とZIKVとの交差反応を可能にし、抗体依存性増強を引き起こすには十分の類似性がある。この点において、ZIKVは、これらの2つのウイルスに対するワクチンアプローチにおいて考慮されなければならない因子である、DENV血清型の第5のメンバーと見なされ得る。
・・・
【0379】
実施例2:ジカウイルスとデングウイルスとの間の強力な交差中和の構造的基礎
・・・
【0385】
この実施例では、EDE MabがDENVを中和するほど強力にZIKVを中和することを確認した。また、DENVを中和するFLE抗体(EDE Mabsほど強力ではないが)が、組換えZIKV Eタンパク質に対する非常に高い親和性にもかかわらず、1μMまでの濃度でZIKVを中和しないことも見出した。EDE1 C8およびEDE2 A11と複合して、それらの結合決定基を同定する、ZIKV Eタンパク質二量体の結晶構造をさらに記載する。結合のためにDENVの153位にグリコシル化部位を必要とするEDE2 A11が、nM IC50にもかかわらず、その結合能を強く減少させる、ZIKV sE上の154グリカンと同じ相互作用を起こすことができないことを示しており、このことは、実施例1に記載されるように、ADEを増加させたことを示す。
・・・
【0387】
BLI実験は、3つの抗体、EDE1 C8、EDE2 A11、および代表的なFLE抗体、P6B10を用いて行った。FLE Mabは、EDE1 C8(1.5nM対9nM)に対してほぼ1対数のより高い親和性で結合し、μM範囲に近い解離定数を有するEDE2 A11よりも約3対数高かった(図1bおよびED 図1a)。それらの結合親和性と一致して、SECによりZIKV sE/C8 Fab複合体を単離することができたが、A11についてはそのような複合体は観察されなかった(ED図1b)。これらおよび3つの抗体サブセットの他のメンバーを用いたアフリカミドリザル(ベロ)細胞における中和アッセイは、EDE1抗体がZIKVを強く中和したのに対して、EDE2は少なくとも1対数の効力が低いことを示した。その強力な結合親和性にもかかわらず、P6B10は使用濃度範囲で中和せず、2つの他のFLE抗体のいずれも試験しなかった(図2)。
・・・
【0389】
予想されるように、抗体は、前述の30DENV血清型2(DENV-2)SE二量体を認識するのと同じ方法で、ZIKV SE二量体で四次エピトープを認識する。ZIKVおよびDENV-2 sEアラインメント上のEアミノ酸ごとの抗体接触は、ED図2に表示され、一方、抗体の配列上のEタンパク質接触は、ED図3に示されている。予想どおりに、このパターンは、非常に似ており、少数の領域を有し、図の赤枠で様々にハイライト表示されている。占有されていないエピトープと非占有のエピトープの立体配座は類似しているが、C8を用いた複合体の場合には、sE二量体の両方のエピトープが占有され(図3)、A11の場合には1つの部位のみが占有されることが見出された(図4) 。結晶環境の検査により、結晶中の隣接する複合体と衝突することなく、第2のFabをこの位置にドッキングすることができないことが示された。この観察は、A11の低い親和性によって促進される単一のFabが結合したsE二量体の取り込みのために選択された結晶成長を示す。
・・・
【0444】
実施例4 インビボ保護
抗EDE1 mAbクローン753(3)C10(C10)を、AG129マウスモデルにおいて、Zika感染からの保護を付与する能力について試験した。AG129マウスをB&K(Hull,UK)から入手し、Imperial CollegeのCBS施設で飼育した。すべての動物実験は、英国本社の認可の下、Imperial Collegeの倫理委員会のガイドラインに従って、収容レベル3施設で実施された。ウイルスストックを上記のように産生し、マウスモデルでの使用の前にVero細胞で滴定した。インターフェロン(IFN)-α/βおよびIFN-γ受容体(AG129マウス、雌、8~10週齢)の両方が欠損した雌129/Svマウスに、ジカウイルス(ブラジリアン株PE243)による感染の24時間前に、精製ヒト抗EDE-1クローンC10またはアイソタイプ対照2-8Cを、200または50μg/マウスのいずれかで、腹腔内(腹腔内;200μL)投与した。マウスを、1.2×102FFU/マウスのジカPE243で腹腔内感染させた。PBSのみを投与したマウスを、実験対照として使用した。毎日の体重測定およびウイルス誘発性疾患の発症によって、マウスをモニタリングした。感染後2日目および4日目に、血液試料を採取した。血漿試料を、Vero細胞単層上のフォーカス形成アッセイを使用して、ウイルス負荷について滴定した。マウスは、人道的エンドポイントとしてプロジェクト認可の下で指定された、20%に近い体重減少および/または重度の病気の前に安楽死させた。元の体重の百分率は、感染直前の0日目の体重に基づいて計算した。体重測定値は、各実験群において3匹のマウスの平均+/- SEMとして表される。この実験を1回実施し、モノクローナル抗体C10によって保護されたことを示した。」
2.引用文献1の記載事項並びに引用発明の認定
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の記載がある。引用文献1は英文であるので、その翻訳文として引用文献1の公表公報(特表2017-529096号公報)を使用し、摘記箇所も当該公報に対応したものを記載する。下線は当審で付与したものである。
引1a
「【0194】
好ましい実施形態では、本EDEまたはEDE化合物は、高度に交差反応性があり強力に中和する抗体を作り出すことができると既に判断されているようなものである。実施例(実施例1~6)において特定される抗体は、デング熱ウイルスの自然感染において無傷ウイルスに作り出された。」
引1b
「【0330】
7人の患者からの試料(表1)を使用して、DENVエンベロープタンパク質に反応する145のヒトモノクローナル抗体を産生した・・・
【表1】
[図:0001418428000007.jpg]
」
引1c
「実施例7-抗EDE抗体は組換えsE二量体に結合する
【0356】
構造研究のために、A11、B7、C8、及びC10と称されるここから、特定された4種の最も強力な抗EDE抗体:747(4)A11及び747 B7(EDE2)及び752-2 C8及び753(3)C10(EDE1)を選択した。EDE2抗EDE抗体の両方を、同じ患者(DENV-2による二次感染があった)から単離し、IGHV3-74及びIGLV2-23生殖細胞系由来の体細胞変異の同じIgGクローンである。重鎖は、非常に長い(26アミノ酸)相補性決定領域3(CDR H3)を有する。EDE1抗EDE抗体を、異なる患者から単離し、対応する生殖細胞系は、VH及びVL遺伝子IGHV3-64及びIGKV3-11(EDE1 C8、この患者は、不確定の血清型の一次感染を有した)及びIGHV1-3*及びIGLV2-14(EDE1 C10、二次DENV-1感染を有する患者から)に由来する。これらの抗体における遺伝子の分析を、図7中に要約する。」
引1d
「【0391】
・・・
実施例16:配列情報
配列番号
配列番号1
抗体C8重鎖の完全配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSTYSMHWVRQAPGKGLEYVSAITGEGDSAFYADSVKGRFTISRDNSKNTLYFEMNSLRPEDTAVYYCVGGYSNFYYYYTMDVWGQGTTVTV
配列番号2
抗体C10重鎖の完全配列
EVQLVESGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINAGNGNTKYSQKFQDRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAIYYCARDKVDDYGDYWFPTLWYFDYWGQGTLVTV
・・・
配列番号37
C8軽鎖-以下の表を参照
配列番号38
抗体C10軽鎖の完全配列-以下の表を参照
・・・
【表2】
[図:0001418428000008.jpg]
・・・
[図:0001418428000009.jpg]
[図:0001418428000010.jpg]
」
(2)引用発明の認定
引用文献1には、7人のデング熱ウイルスの患者よりDENVエンベロープタンパク質に反応する145のヒトモノクローナル抗体を産生(単離)したことが記載され(引1b)、構造研究のためにC8及びC10(以下では「C8抗体」及び「C10抗体」ということがある。)と称される強力な抗EDE抗体:752-2 C8及び753(3)C10(EDE1)を含む4つの抗体を選択したこと(引1c)、抗体C8が配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号37の軽鎖を有し、抗体C10が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号38の軽鎖を有すること(引1d)が記載されている。
そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「a)配列番号1を含む重鎖及び配列番号37を含む軽鎖、または
b)配列番号2を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖、
を含む、単離された抗体。」
3.理由1(新規性)について
(1)本願発明と引用発明の対比
本願発明(第2)と引用発明(第4の2(2))を対比する。
引用文献1の実施例16に「配列番号1 抗体C8重鎖の完全配列」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表2】中の「752-2C8」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号11」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
上記の「配列番号1 抗体C8重鎖の完全配列」のアミノ酸配列のC末端に2つのセリンが付加した、引用文献1の【表2】中の「752-2C8」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号1」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表3】中の「752-2C8」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号71」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
また、引用文献1の【表2】中の「752-2C8」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号37」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表2】中の「752-2C8」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号13」として記載されるアミノ酸配列(本c)、及び、同【表3】中の「752-2C8」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号37」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
そうすると、引用発明のうち「a)配列番号1を含む重鎖及び配列番号37を含む軽鎖」「を含む、単離された抗体。」は、本願発明の「a)配列番号71を含む重鎖及び配列番号37を含む軽鎖」「を含む、単離された」「抗体」、及び、「c)配列番号11を含む重鎖及び配列番号13を含む軽鎖」「を含む、単離された」「抗体」に相当する。
一方、引用文献1の実施例16に「配列番号2 抗体C10重鎖の完全配列」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表2】中の「753(3)C10」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号12」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
上記の「配列番号2 抗体C10重鎖の完全配列」のアミノ酸配列のC末端に2つのセリンが付加した、引用文献1の【表2】中の「753(3)C10」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号2」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表3】中の「753(3)C10」の「配列AA(H鎖)」に「配列番号72」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
また、引用文献1の【表2】中の「753(3)C10」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号38」として記載されるアミノ酸配列(引1d)は、本願明細書等の【表2】中の「753(3)C10」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号14」として記載されるアミノ酸配列(本c)、及び、同【表3】中の「753(3)C10」の「配列AA(L鎖)」に「配列番号38」として記載されるアミノ酸配列(本c)と一致する。
そうすると、引用発明のうち「b)配列番号2を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖」「を含む、単離された抗体。」は、本願発明の「b)配列番号72を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖」「を含む、単離された」「抗体」、及び、「d)配列番号12を含む重鎖及び配列番号14を含む軽鎖」「を含む、単離された」「抗体」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明は、
「a)配列番号71を含む重鎖及び配列番号37を含む軽鎖、
b)配列番号72を含む重鎖及び配列番号38を含む軽鎖、
c)配列番号11を含む重鎖及び配列番号13を含む軽鎖、または
d)配列番号12を含む重鎖及び配列番号14を含む軽鎖
を含む、単離された抗体。」で一致し、以下の点で一応相違している。
<一応の相違点>
本願発明では、抗体について、「ジカウイルスによる感染の予防および/または治療のための方法における使用のための」抗体、及び、「中和」抗体と規定しているのに対して、
引用発明では、上記のような規定がなされていない点
(2)一応の相違点の検討
本願明細書等の【0339】の「WO2016/012800・・・で同定されたEDE1抗体は、フラビウイルス、例えばジカウイルスを中和するのに一般に有用であると考えられている。例えば、WO2016/012800・・・において同定された抗体EDE 1 752-2 C8(EDE1 C8とも呼ばれる)およびEDE1 753(3)C10(EDE1 C10とも呼ばれる) は、フラビウイルス、例えばジカウイルスを中和するのに有用であると考えられている。」との記載、同【0340】の「抗体は、WO2016/012800で使用される用語を用いて示される。」との記載に照らすと、本願発明と引用発明の抗体は、共に、引用文献1に記載された「7人のデング熱ウイルスの患者よりDENVエンベロープタンパク質に反応する145のヒトモノクローナル抗体」(引1b)より選択された、同じ名称の抗体であり、両発明の抗体が、重鎖及び軽鎖以外の化学構造において相違するとは認められない。
また、両発明の抗体が、「ジカウイルスによる感染の予防および/または治療のための方法における使用のための」や「中和」という用途や性質の規定により、異なる化学構造の抗体、すなわち、当該用途に供し得、当該性質を備えていることが外形的・客観的にも区別し得るペプチド化合物になるとも認められない。
そうすると、本願発明と引用発明は、上記の一応の相違点により、化学物質の発明として区別することはできない。
(3)審判請求人の主張
審判請求人は、「拒絶理由通知における審判官殿のご示唆に基づき、本発明の対象を、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用されるC8抗体及びC10抗体に特定いたしました。」と主張する。
しかし、令和6年3月21日付けで当審が通知した拒絶理由では、「審査基準第III部第2章第4節2.1.1及び2.2.1」を摘示したうえで、「<補正等の示唆>・・・請求項に係る発明を、C8抗体及びC10抗体、つまり、配列番号1の重鎖及び配列番号37の軽鎖を含む抗体、並びに、配列番号2の重鎖及び配列番号38の軽鎖を含む抗体から選択される抗体(ただし、「少なくとも90%の相同性を有する配列」を含む抗体を加えることはできない。)を有効成分とし、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用されることを特定した医薬組成物に補正されない以上、上記の拒絶理由は解消しないと考えられる。」(下線は当審で付与した。)との示唆をしている。
よって、本願発明が、上記拒絶理由の示唆に基づき補正されたものであるとはいえないので、上記の審判請求人の主張は理由がない。
(4)小括
以上によれば、本願発明は、引用発明、すなわち引用文献1に記載された発明である。
4.理由3(実施可能要件)及び理由4(サポート要件)について
(1)本願発明が解決しようとする課題
本願明細書等の【0018】に「本発明の第1の態様は、1つ以上のフラビウイルスの感染の予防および/または治療のための方法における使用のために、1種を超える血清型のフラビウイルス、例えば1種を超える血清型のデングウイルスおよび/またはジフウイルスを中和する化合物を提供し、1つ以上のフラビウイルスは、ジカウイルス、ジカウイルスおよびデングウイルス、ジカウイルスおよび他のフラビウイルス、デング以外のフラビウイルスから選択される。」との記載(本a)、及び、請求項1に「ジカウイルスによる感染の予防および/または治療のための方法における使用のための」との記載があることから、本願発明が解決しようとする課題は、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できる中和抗体またはその抗原結合断片を提供することにあると認められる。
(2)本願発明のサポート要件の判断
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
ここで、本願明細書等の【0160】には「ジカおよびデングウイルスに関連する広範な中和抗体として特に有用であり得る抗体は、以下の抗体の節に論じられるように、752-2 C8またはEDE1 C8であり得る(WO 2016/012800・・・にあるような用語)、または753(3) C10 EDE C10(WO2016/012800・・・にあるような用語)。」(本b)と記載されており、このことを技術的に裏付けるものとして、実施例2の【0387】及び【図18】において、EDE1抗体(C8抗体)がZIKV(ジカウイルス)を強く中和したこと(本d、本e)、実施例4の【0444】及び【図36】において、抗EDE1 mAbクローン753(3)C10(C10抗体)がZik(ジカウイルス)の感染からマウスを保護したこと(本d、本e)、実施例1の【0359】において、EDE1 mAb(C8抗体及びC10抗体)がADE(抗体依存性増強)を強力に阻害すること(本e)が記載されている。
そうすると、C8抗体及びC10抗体、すなわち、本願発明のうち、a)~d)で特定される重鎖及び軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片が、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用可能な抗体であり、上記(1)で示した課題を解決できることを、当業者は本願明細書等の発明の詳細な説明より認識できるといえる。
一方、本願明細書等の【0161】、【0163】、【0385】では、「ジカエンベロープタンパク質二量体に対して高い親和性を有し得るが、中和にはあまり有用でなく、抗体依存性増強(ADE)を促進し得る抗体」、
「ジカ株間で差異を示さないかもしれないが、EDE1抗体としていずれかの株を中和するほど強力ではないかもしれない」抗体、「ZIKV sE上の154グリカンと同じ相互作用を起こすことができ」ず「ADEを増加させた」抗体として、「EDE2 A11」(A11抗体)が紹介されており(本c)、このことを技術的に裏付けるものとして、実施例2の【0387】及び【図18】において、EDE2(A11抗体)は中和の効力が低いこと(本d、本e)、実施例1の【0359】において、ZIKVの結合力が低いA11抗体はADE(抗体依存性増強)を阻害できないこと(本e)が記載されている。
よって、A11抗体、すなわち、本願発明のうち、e)で特定される重鎖及び軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片は、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用可能な抗体であることを確認できず、上記(1)で示した課題を解決できることを、当業者は本願明細書等の発明の詳細な説明より認識できないといえる。
また、抗体の結合活性がCDR領域に含まれるアミノ酸配列によって大きく左右されるという本願の出願時の技術常識に照らすと、CDR領域を含めたアミノ酸配列に一定程度の変異を有するA11抗体、すなわち、f)で特定される重鎖及び軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片は、A11抗体以上に、上記(1)で示した課題を解決できることを、当業者は本願明細書等の発明の詳細な説明の記載より認識できないといえる。
したがって、本願発明は、サポート要件に適合していないので、本願明細書等の発明の詳細な説明に記載したものではない。
(3)本願発明の実施可能要件の判断
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要する。
上記(2)で検討したとおり、本願発明のうち、e)及びf)で特定される重鎖及び軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片は、本願明細書等の発明の詳細な説明より、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できるとは認識できないので、上記の抗体またはその抗原結合断片をジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用するには、当業者に過度の試行錯誤・実験を要するものと認められる。
したがって、本願発明は、実施可能要件に適合していないので、本願明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。
(4)審判請求人の主張
審判請求人は、図17及び18並びに明細書0342における同図の説明に記載されるように、A11抗体はジカウイルスのsEタンパクに結合することが証明されており、ジカウイルスのsEタンパクに結合するC8抗体及びC10抗体が、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できる抗体であることが裏付けられていることから、A11抗体も、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できることは言うまでもない旨を主張する。
しかし、上記(2)で述べたとおり、C8抗体及びC10抗体が、ADE(抗体依存性増強)を強力に阻害するのに対し、A11抗体は逆にADEを促進し得るとされること、FLE抗体が、組換えZIKV Eタンパク質に対し、非常に高い親和性を示すにもかかわらず、1μMまでの濃度でもZIKVを中和しないこと(【図17】のb及び【図18】(本d)、【0385】及び【0387】(本e))、C8抗体ではSECによりZIKV sE/C8 Fab複合体が単離されるが、A11抗体ではそのような複合体が観察されないこと(【0387】(本e))に照らすと、単に、A11抗体がsEタンパクに結合することだけを理由に、A11抗体及びCDR領域を含めたアミノ酸配列に変異を有するA11抗体が、C8抗体及びC10抗体と同じく、ジカウイルスによる感染の予防および/または治療に使用できるとは推認できない。
よって、審判請求人の主張は理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する。
また、本願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載が、請求項1に係る発明について、同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-013437