2022-011123
ユーザー選択補助装置、画像形成装置、ユーザー選択補助方法およびユーザー選択補助プログラム
- 審判番号
- 2022-011123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-141535外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2022年12月26日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年7月27日の出願であって、令和4年2月3日付けで拒絶理由通知がされ、令和4年4月5日に意見書と手続補正書が提出され、令和4年4月15日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年7月15日に審判請求書と手続補正書が提出され、令和4年8月15日に前置報告がされ、令和4年11月18日に上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年4月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし7に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2007-226293号公報
引用文献2 特開2005-275508号公報
第3 本願発明
本願請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和4年7月15日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は以下のとおりの発明である。
「複数人のユーザーについて生体特徴を含む各ユーザーの情報を予め登録してリストを作成する登録部と、一人のユーザーの現在の生体特徴を新たに検出する生体検出部と、検出された生体特徴を登録された前記生体特徴と照合し、それらの類似の程度を判定する判定部と、前記類似の程度が予め定められた基準を満たす生体特徴を有する一人以上の登録ユーザーを前記リストから選別して選別ユーザーリストを作成するユーザー選別部と、続きを表示(全11行)前記選別ユーザーリストを表示する表示部と、前記選別ユーザーリストから特定の登録ユーザーの選択を受け付ける入力部と、前記入力部が特定の登録ユーザーの選択を受け付けた場合、予め定められた処理を実行する実行処理部とを備え、前記登録部は、前記複数人のユーザーの第2の生体特徴を前記リストに追加し、前記選別ユーザーリストから一人の登録ユーザーの選択を前記入力部が受け付けた場合、ユーザーにログイン情報の入力を要求することなく、前記生体検出部は、前記一人のユーザーの現在の第2の生体特徴を新たに検出し、前記判定部は、検出された第2の生体特徴を登録された前記第2の生体特徴と照合し、それらの類似の程度を判定し、前記類似の程度が予め定められた認証基準を満たす場合、前記実行処理部は、予め定められた処理を実行することを特徴とするユーザー選択補助装置。」
なお、本願発明2ないし5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明7は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、いずれも本願発明1とはカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付したものである。以下、同様。)。
「【技術分野】【0001】本発明は、ユーザ認証方法、ユーザ認証機能を備えるシステム、ユーザ認証機能を備える装置及びコンピュータソフトウェアに関する。【背景技術】【0002】パーソナルコンピュータや文書蓄積可能なハードディスクが設けられた画像形成装置等にログインを行う際には、セキュリティ上、ログインID及びパスワードの入力が要求される。【0003】ログイン毎にログインID及びパスワードを入力することは煩雑であり、この煩雑さを解消するために、予めログインID及びパスワードと対応付けて指紋認証データを記憶し、指紋認証が成功すれば対応付けられたログインID及びパスワードをログイン入力画面のログインID欄及びパスワード欄に自動的に入力させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。」
「【発明が解決しようとする課題】【0004】一般に、指紋認証等の生体認証においては、入力された特徴データと登録済の特徴データとの一致度を算出し、一致度が所定値以上の特徴データを一致したとみなして認証を行っている。【0005】このため、類似する特徴データを有する他人を本人と誤認識する可能性があり、特許文献1に記載の方法では、他人が本人のログインID及びパスワードでログインしてしまうという危険性がある。また、複数の候補が抽出される可能性もあるが、特許文献1に記載の方法では、複数の候補が抽出された場合の対応方法については考慮されていない。【0006】本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、ログイン時の入力が簡単になるとともに、他人が本人のログインID及びパスワードでログインしてしまうことが抑制され、複数の候補が抽出された場合にも対応することができるユーザ認証方法を提供することを目的としている。」
「【0011】本発明によれば、生体認証の成功に伴いログインID及びパスワードをログイン入力画面のログインID欄及びパスワード欄に自動的に入力させる際に、パスワードについては全てを自動入力せず、一部をユーザ入力としたので、ログイン時の入力が簡単になるとともに、他人が本人のログインID及びパスワードでログインしてしまうことが抑制される。また、複数の候補が抽出された場合には、複数の候補を表示しユーザに選択させるようにしたので、確実に所望のユーザを特定することができる。【0012】(装置構成)続きを表示(全72行)図1は、本発明のユーザ認証方法を適用した画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、装置本体10と指紋認証モジュール30とから構成されている。【0013】装置本体10は、プログラムに従って装置本体10の制御を実行するCPU11を中心として、バス12により、ROM13、RAM14、原稿読取部15、画像形成部16、ハードディスク17、不揮発性メモリ18、操作部19、表示部20、及び通信部21が相互に接続されている。【0014】ROM13は、各種プログラムやデータを記憶しており、CPU11がこれらプログラムやデータを利用して画像形成装置1の制御を実行する。【0015】RAM14は、CPU11によってワークエリアとして利用され、CPU11が制御を実行する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。【0016】原稿読取部15は、原稿を読み取って画像データを生成する。生成された画像データは、画像形成部16又はハードディスク17等に出力される。【0017】画像形成部16は、原稿読取部15又はハードディスク17等から入力される画像データや文書データに基づいて記録媒体上に画像形成を行う。【0018】ハードディスク17は、原稿読取部15等から入力される画像データを記憶し保存する。【0019】不揮発性メモリ18は、ユーザ毎のログインID及びパスワードを登録番号に対応付けて記憶する。【0020】操作部19は、ユーザにより操作され、当該操作部19からログインID及びパスワードの入力、画像形成の指示、ハードディスクへの保存指示等が行われる。【0021】表示部20は、ログインID及びパスワードの入力をユーザから受け付けるユーザログイン画面等を表示する。表示部20がタッチパネルで構成され、操作部19を兼ねていてもよい。【0022】通信部21は、後述の指紋認証モジュール30に接続され、指紋認証の指示を指紋認証モジュール30に送信する。【0023】指紋認証モジュール30は、プログラムに従って指紋認証モジュール30の制御を実行するCPU31を中心として、バス32により、ROM33、RAM34、指紋入力部35、不揮発性メモリ36、及び通信部37が相互に接続されている。【0024】ROM33は、各種プログラムやデータを記憶しており、CPU31がこれらプログラムやデータを利用して指紋認証モジュール30の制御を実行する。【0025】RAM34は、CPU31によってワークエリアとして利用され、CPU31が制御を実行する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。【0026】指紋入力部35は、ユーザの指紋を読み取って指紋データを生成する。【0027】不揮発性メモリ36は、生成された指紋データが記憶されるメモリであり、登録番号に対応付けて指紋データを記憶する。【0028】通信部37は、装置本体10に接続され、指紋認証が成功すると不揮発性メモリ36に記憶される登録番号及び認証時の一致度を装置本体10に送信する。【0029】(装置制御)図2は、図1の画像形成装置のログイン処理に係る制御フロー図である。この制御は、ROM13及びROM33に記憶されるプログラムに基づいて、CPU11及びCPU31が協働して処理を実行することにより行われる。【0030】まず、CPU11は、表示部20に、例えば、「指紋を入力して下さい。」と表示させる(ステップS1)。また、CPU11は、CPU31に対して指紋認証を行うよう指示する(ステップS2)。この指示に従い、ユーザは、指紋入力部35に指を置く。【0031】次に、CPU31は、指紋入力部35にユーザの指紋を読み取らせ指紋データを入力させる(ステップS3)。【0032】次に、CPU31は、不揮発性メモリ36に記憶された指紋データの中に入力された指紋データと一致する指紋データが存在するか否かを判断し指紋認証を行う(ステップS4)。【0033】次に、CPU31は、指紋認証結果(認証成功又は認証失敗)を通信部37を介して装置本体10に送信する(ステップS5)。認証成功時には、一致した指紋データに対応する登録番号を付加したものをデータとして送信する。一致した指紋データが複数候補ある場合には、それぞれの候補の指紋データに対応する登録番号及び一致度を付加したものをデータとして送信する。一致度を付加して送信することにより、後に装置本体10で複数候補の表示をする際に、一致度の高い順に表示させることができる。また、候補の数が多い場合には、上位何個あるいは上位何%のデータに限定して送信してもよい。【0034】次に、CPU11は、指紋認証モジュール30から送信されてきた指紋認証結果が成功か否かを判断する(ステップS6)。認証成功であれば(ステップS6;Yes)、CPU11は、複数の候補が抽出されたか否かを判断する(ステップS7)。認証失敗であれば(ステップS6;No)、ステップS13に進む。【0035】ステップS7において、複数の候補が抽出されたと判断すると(ステップS7;Yes)、CPU11は、当該複数の候補のそれぞれの候補のデータに付加されてきた登録番号に対応するログインIDを不揮発性メモリ18から読み出し、例えば、図3に示すように、ログインIDの候補として一致度の高い順に表示部20に表示する。これにより、ユーザにログインIDの選択入力を促す(ステップS8)。一致度の高い順に表示することで、ユーザに選択される確率の高い候補が先頭近くに表示されることになるので、ユーザが選択候補を候補の中から容易に見つけることができる。また、候補の数が多い場合に、上位何個あるいは上位何%のデータに限定して表示すると、ユーザに選択される確率の高い候補に絞って表示されるので、ユーザが選択候補を候補の中から容易に見つけることができる。【0036】複数の候補が抽出されなかったと判断すると(ステップS7;No)、ステップS10に進む。【0037】ステップS8の表示に従いユーザが、操作部19により、表示部20に表示されたログインIDの候補から1つを選択入力すると、CPU11に、選択されたログインIDの選択情報が入力される(ステップS9)。【0038】ステップS10において、CPU11は、選択されたログインIDに対応するパスワード(ステップS9からの場合)、あるいは登録番号に対応するログインID及びパスワード(ステップS7;Noからの場合)を不揮発性メモリ18からRAM14に読み出す。【0039】次に、CPU11は、表示部20に、ステップS7で読み出したログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示し、ユーザにパスワードの補完入力を促す(ステップS11)。例えば、図4に示すように、パスワードが8文字であれば、先頭から6文字分のパスワード入力を自動的に行い6個の*を表示するとともに、末尾の*の後に2文字分のアンダーバーを表示する。この表示に従い、ユーザは、操作部19によりパスワードの補完入力を行う。図4の例の場合、ユーザはアンダーバーの表示されている部分に残りの2文字の補完入力を行う。入力されるべき文字数をアンダーバー等で表示することにより、例えば長い文字数のパスワードが表示されている場合であっても、ユーザは何文字の入力をしたらよいのかがすぐに認識できる。【0040】これにより、CPU11に、パスワードの補完入力がなされる(ステップS12)。図4の例の場合、ログイン画面には、表示されている6個の*の末尾に2個の*が追加されて表示される。【0041】このようにユーザに補完入力を行わせることで、他人を本人と誤認識して照合が成功したとしても、それだけでは当該他人はログインすることができず、パスワードを補完しなければならないので、他人が本人のログインID及びパスワードでログインしてしまうということが抑制される。【0042】ステップS6において、認証失敗であれば(ステップS6;No)、ステップS13に進み、CPU11は、表示部20に、ログインID及びパスワードが空欄のログイン画面を表示し、ユーザにログインID及びパスワードの入力を促す。この指示に従い、ユーザは、ログインID及びパスワードの全ての文字を操作部19により入力する。【0043】例えば、指紋登録の状態が悪く、本人であるにもかかわらず指紋認証失敗となってしまった場合にも、ログインID及びパスワードの全ての文字を入力することにより、ログインすることができる。【0044】ステップS14では、ログインID及びパスワードの全ての文字がCPU11に入力される。【0045】ステップS12又はステップS14において、ログインID及びパスワードが入力されログインが実行されると、CPU11は、不揮発性メモリ18に記憶されているログインID及びパスワードを参照し、入力されたログインID及びパスワードの認証を行う(ステップS12)。認証成功であれば(ステップS15;Yes)、CPU11は、画像形成装置の使用許可信号を出力する(ステップS16)。認証失敗であれば(ステップS15;No)、CPU11は、画像形成装置の使用禁止信号を出力する(ステップS17)。」
「【図1】[図:0001393014000001.jpg]」
「【図2】[図:0001393014000002.jpg]」
「【図3】[図:0001393014000003.jpg]」
「【図4】[図:0001393014000004.jpg]」
(2)引用発明
前記(1)の図3から、「候補1」、「候補2」、「候補3」から候補を選択するためにリストを表示していることが読み取れる。
そうすると、前記(1)より、特に下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザ毎のログインID及びパスワードを登録番号に対応付けて記憶する不揮発性メモリ18と(【0019】、図1)、ユーザの指紋を読み取って指紋データを生成する指紋入力部35と(【0026】、図1)、登録番号に対応付けて、生成された指紋データを記憶する不揮発性メモリ36と(【0027】、図1)、ログイン処理に際して、指紋入力部35にユーザの指紋を読み取らせ指紋データを入力させ、入力された指紋データと不揮発性メモリ36に記憶された指紋データとの一致度を算出し、一致度が所定値以上の指紋データが存在するか否かを判断し、複数候補ある場合には、対応する登録番号及び一致度を付加したものをデータとして、指紋認証結果を送信するCPU31と(【0004】、【0029】、【0031】、【0032】、【0033】、図1)、画像形成装置1の制御を実行するCPU11(【0013】、【0014】、図1)と、を備え、CPU11は、送信されてきた指紋認証結果から、複数の候補が抽出されたと判断すると、複数の候補のデータに付加されてきた登録番号に対応するログインIDを不揮発メモリ18から読み出して(【0034】、【0035】、図1)、表示部20に、ログインIDの候補として一致度の高い順にリストを表示し(【0035】、図1、図3)、ユーザが操作部19により、表示部20にログインIDの候補として表示されたリストから1つを選択入力すると(【0037】、図1、図3)、選択されたログインIDに対応するパスワードを不揮発性メモリ18からRAM14に読み出し(【0038】)、表示部20にログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示し、ユーザがパスワードの補完入力を行うと、入力されたログインID及びパスワードの認証を行い、認証成功であれば、使用許可信号を出力する(【0037】、【0039】、【0045】、図2、図4)画像形成装置1(【0012】、図1)。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0016】図1は、個人認証装置100の機能ブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。以下、認証の対象となるユーザのことを「被認証者」、個人認証装置100に生体情報を予め登録されているユーザのことを「登録者」とよぶ。個人認証装置100は、同一人物と言えるほどに被認証者の生体情報と類似する生体情報を有する登録者が存在するか否かを判定する。個人認証装置100は、そのような登録者が存在すれば被認証者を認証し、存在しなければ被認証者を認証しない。【0017】個人認証装置100は、生体情報取得部102、ユーザインタフェース処理部110、候補選定部112、認証部114、登録者情報記憶部116およびプロセス制御部118を含む。ユーザインタフェース処理部110は、被認証者とのユーザインタフェースに関する処理を担当する。ユーザインタフェース処理部110は、主として被認証者からの各種操作入力を受け付けると共に、被認証者に対して各種情報を表示する。登録者情報記憶部116は、登録者の各種生体情報から個人認証のための特徴を抽出した情報(以下、生体情報から特徴抽出した情報であることを強調する意味で言うときには、特に「生体特徴情報」ともよぶ)を記憶する。続きを表示(全18行)【0018】登録者情報記憶部116は、登録者の生体特徴情報の他にも、登録者間における各種生体特徴情報の類似関係を指標化した類似値を記憶する。たとえば、指紋の場合、その分岐点や端点の位置、指紋に現われる曲線の曲率や線間隔などには個人差がある。登録者Aと登録者Bのそれぞれの指紋形状における類似値は、指紋各部の類似具合を所定の関数に基づいて指標化したパラメータである。静脈や虹彩などその他の生体情報についても登録者間における類似性を指標化した類似値が同様に定められる。登録者情報記憶部116のデータ構造については図2に関連して後に詳述する。【0019】生体情報取得部102は、被認証者から各種生体情報を取得する。生体情報取得部102は、第1取得部104、第2取得部106および特徴抽出部108を含む。第1取得部104は、被認証者から第1生体情報を取得する。第2取得部106は、被認証者から第2生体情報を取得する。個人認証装置100は、第1生体情報と第2生体情報の二つの生体情報によって被認証者を認証する。個人認証装置100は、2回以上取得される生体情報、あるいは、2種類以上取得される生体情報に基づいて被認証者を認証してもよい。特徴抽出部108は、これらの生体情報から個人認証のための特徴を抽出して生体特徴情報を生成する。【0020】候補選定部112は、登録者情報記憶部116に記録されている登録者の中から被認証者に該当する候補者を選定する。候補選定部112は、被認証者の第1生体特徴情報と各登録者の第1生体特徴情報を比較し、その類似値を算出する。候補選定部112は、登録者の中から類似値が高い上位数名を候補者として選定する。認証部114は、第2生体特徴情報に基づいて、これらの候補者の中から被認証者を特定する。候補選定部112は、被認証者の第1生体特徴情報に対する類似値が所定値以上となる第1生体特徴情報を有する登録者が存在しなければ、ユーザインタフェース処理部110を介して認証失敗を被認証者に通知する。以下、候補選定部112が候補者選定のために実行する認証処理を「候補認証」、認証部114が候補者から被認証者を特定するために実行する認証処理を「特定認証」とよぶ。なお、候補選定部112は、登録者の中からもっとも類似値が高い登録者を候補者として選定してもよい。そして、認証部114は、その候補者について特定認証を実行してもよい。【0021】プロセス制御部118は、個人認証装置100の認証処理全体を統合的に制御する。プロセス制御部118は、種別選択部120、類似検出部122および類似閾値設定部124を含む。類似検出部122は、候補者間における生体特徴情報の類似値を登録者情報記憶部116から検出する。たとえば、候補選定部112は顔認証により候補者を選定し、認証部114は指紋認証により特定認証を実行する。この場合、類似検出部122は、登録者情報記憶部116に記録されている候補者間における指紋情報の類似値を検出する。候補選定部112は、登録者情報記憶部116に記録される生体特徴情報に基づいて候補者間における類似値を計算してもよい。【0022】候補者間で第2生体特徴情報が類似する場合には、特定認証においては高い認証精度が求められる。その場合には、特定認証の処理負荷や処理時間が増大しやすい。しかし、候補者間で第2生体特徴情報が類似しなければ、認証部114による特定認証の処理負荷が軽減され、処理時間も短縮される。そのため、候補者の第2生体情報がお互いに類似している場合には、プロセス制御部118は生体情報取得部102に指示して第1生体情報を再取得させる。被認証者は個人認証装置100からの指示にしたがって、第1生体情報を再入力する。候補選定部112は、再取得された第1生体情報に基づいて再度候補認証を実行する。【0023】候補者間で第2生体特徴情報が互いに類似しなくなるように候補者を再選定すれば、特定認証に必要とされる認証精度のレベルを下げることができる。これにより、認証部114の処理負荷を軽減させることができる。以下、このように候補者間で第2生体特徴情報が類似しないように候補認証を繰り返す認証処理方法を「第1の方法」とよぶ。通常、特定認証は候補認証よりも高い認証精度が求められる。第1の方法によれば、特定認証回数と候補認証の処理時間のトレードオフを取ることにより認証時間全体を最適化できる。【0024】類似閾値設定部124は、認証部114が特定認証を行うための類似閾値を設定する。認証部114は、被認証者の第2生体特徴情報と最も類似する第2生体特徴情報を有する候補者が被認証者と同一人物であるとして特定する。ただし、被認証者の第2生体特徴情報に対する類似値が最も高い第2生体特徴情報を有する候補者であっても、その類似値は所定の閾値(以下、「絶対認証閾値」とよぶ)以上でなければならない。また、被認証者の第2生体特徴情報に対して最も高い類似値を示す第2生体特徴情報を有する候補者と、次に高い類似値を示す第2生体特徴情報を有する候補者のそれぞれの類似値の差は、所定の閾値(以下、「相対認証閾値」とよぶ)以上でなければならない。以下、絶対認証閾値と相対認証閾値をまとめていうときには「類似閾値」とよぶ。これらの類似閾値に関する認証条件が満たされなければ、認証部114は被認証者を認証しない。」
「【0044】図6は、図5の続きのフローチャートである。図6は第2の方法における特定認証の処理過程を示すフローチャートである。プロセス制御部118は特定認証回数gを0に初期化する(S64)。第2取得部106は、S56にて選択した第2生体情報を被認証者から取得する(S68)。特徴抽出部108は、この第2生体情報から個人を識別するための特徴を抽出する(S70)。認証部114は、被認証者と候補者それぞれの第2生体特徴情報の類似値を計算し、候補者の中からその類似値が最も高い候補者を特定する(S72)。プロセス制御部118はgをインクリメントする(S73)。認証部114は、特定された候補者の第2生体情報が絶対認証閾値Pと相対認証閾値Sのそれぞれに関する認証条件を満たしたか否かを判定する(S74)。これら2つの条件のいずれかが満たされていなければ(S74のN)、類似閾値設定部124は特定認証回数gが最大特定認証回数vを超えるか否かを判定する(S76)。特定認証回数gが最大特定認証回数v以下であれば(S76のN)、処理はS68に戻り特定認証を繰り返す。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 一般に、「ユーザの指紋」には、ユーザに固有の生体特徴が含まれているといえるから、引用発明の「指紋データ」は本願発明1の「ユーザーについて生体特徴を含む各ユーザーの情報」に相当する。
そして、引用発明の「ユーザ毎のログインID及びパスワードを登録番号に対応付けて記憶する不揮発性メモリ18」と「登録番号に対応付けて、生成された指紋データを記憶する不揮発性メモリ36」とは、協働して、複数人のユーザーについて、指紋データを記憶していることになるから、引用発明の「不揮発メモリ18」及び「不揮発メモリ36」と、本願発明1の「複数人のユーザーについて生体特徴を含む各ユーザーの情報を予め登録してリストを作成する登録部」とは、「複数人のユーザーについて生体特徴を含む各ユーザーの情報を予め登録する登録部」である点で共通する。
一方、本願発明1の「登録部」は、各ユーザーの情報について「リストを作成する」ものであるのに対し、引用発明の「不揮発メモリ」は、各ユーザーの情報について「リストを作成する」ものかどうかが不明な点で相違する。
イ 引用発明の「ユーザの指紋を読み取って指紋データを生成する指紋入力部35」が、ログイン処理に際して読み取るユーザの指紋は、一人のユーザの現在の指紋であり、読み取りは都度“新たに”行われるものであるから、引用発明の「指紋入力部35」は、本願発明1の「一人のユーザーの現在の生体特徴を新たに検出する生体検出部」に相当する。
ウ 引用発明において、「CPU31」が算出する「入力された指紋データと不揮発性メモリ36に記憶された指紋データとの一致度」は、入力された指紋データを記憶されている指紋データと照合した結果の類似の程度ということができる。
そうすると、引用発明の「CPU31」は、本願発明1の「検出された生体特徴を登録された前記生体特徴と照合し、それらの類似の程度を判定する判定部」の機能を果たしているといえる。
エ 引用発明の「一致度が所定値以上の指紋データ」は、本願発明1の「類似の程度が予め定められた基準を満たす生体特徴」に相当するから、引用発明において、「CPU11」が、送信されてきた指紋認証結果から、複数の候補が抽出されたと判断した際に、「複数の候補のデータに付加されてきた登録番号に対応するログインIDを不揮発性メモリ18から読み出す」ことは、本願発明1の「ユーザー選別部」が、「前記類似の程度が予め定められた基準を満たす生体特徴を有する一人以上の登録ユーザー」を「選別」することに相当する。
そして、引用発明の「表示部20」は「ログインIDの候補として一致度の高い順にリストを表示」しているところ、引用発明の「CPU11」は“選別”した「ログインIDの候補」を“リスト”として“作成”しているといえる。
そうすると、引用発明の「CPU11」と、本願発明1の「ユーザー選別部」とは、「一人以上の登録ユーザーを」「選別して選別ユーザーリストを作成するユーザー選別部」である点で共通する。
また、引用発明の「ログインIDの候補として一致度の高い順にリストを表示する表示部20」は、本願発明1の「前記選別ユーザーリストを表示する表示部」に相当する。
オ 引用発明の「表示部20にログインIDの候補として表示されたリストから1つをユーザが選択入力する操作部19」は、本願発明1の「選別ユーザーリストから特定の登録ユーザーの選択を受け付ける入力部」に相当する。
カ 本願発明1の「実行処理部」が実行する「予め定められた処理」とは、本願明細書の段落【0010】によれば、「例えば、ユーザー認証後のログイン処理や印刷等の所定のジョブの実行処理、所定のデータの表示または送信処理などの処理である。」とされている。そうすると、引用発明において、「CPU11」が、「認証成功であれば、使用許可信号を出力する」ことや、その後に実行する画像形成装置の制御は、「ログインIDの候補として表示されたリストから1つを選択入力する」工程を経た後に実行される“予め定められた処理”ということができるから、引用発明の「CPU11」は、本願発明1の「前記入力部が特定の登録ユーザーの選択を受け付けた場合、予め定められた処理を実行する実行処理部」としても機能しているといえる。
キ 上記ア~カの検討から、引用発明の「画像形成装置1」は、総体として、ログイン処理の際にユーザによる自らのログインIDの選択を補助しているといえるから、後述する相違点に係る構成を除いて、本願発明1の「ユーザー選択補助装置」に対応する。
(2)一致点、相違点
前記(1)より、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
・一致点
「複数人のユーザーについて生体特徴を含む各ユーザーの情報を予め登録する登録部と、一人のユーザーの現在の生体特徴を新たに検出する生体検出部と、検出された生体特徴を登録された前記生体特徴と照合し、それらの類似の程度を判定する判定部と、前記類似の程度が予め定められた基準を満たす生体特徴を有する一人以上の登録ユーザーを選別して選別ユーザーリストを作成するユーザー選別部と、前記選別ユーザーリストを表示する表示部と、前記選別ユーザーリストから特定の登録ユーザーの選択を受け付ける入力部と、前記入力部が特定の登録ユーザーの選択を受け付けた場合、予め定められた処理を実行する実行処理部とを備える、ユーザー選択補助装置。」
・相違点
(相違点1)
本願発明1の「登録部」は、各ユーザーの情報について「リストを作成する」ものであり、本願発明1の「ユーザー選別部」は、登録ユーザーを「リストから選別」することにより、選別ユーザーリストを作成するのに対し、引用発明の「不揮発メモリ」は、各ユーザーの情報について「リストを作成する」ものかどうかは不明であり、また、「CPU11」は、当該リストからログインIDを読み出して、ログインIDの候補としてリストを表示する処理を行うものかどうかも不明な点。
(相違点2)
本願発明1は、登録部が、「前記複数人のユーザーの第2の生体特徴を前記リストに追加する」構成を有し、「前記選別ユーザーリストから一人の登録ユーザの選択を前記入力部が受け付けた場合に、ユーザーにログイン情報の入力を要求することなく、前記生体検出部は、前記一人のユーザーの現在の第2の生体特徴を新たに検出し、前記判定部は、検出された第2の生体特徴を登録された前記第2の生体特徴と照合し、それらの類似の程度を判定し、前記類似の程度が予め定められた認証基準を満たす場合、前記実行処理部が、予め定められた処理を実行する」ものであるのに対し、引用発明は、「指紋データ」以外の「第2の生体特徴」に対応するデータを記憶しておらず、ユーザが操作部19により、表示部20にログインIDの候補として表示されたリストから1つを選択入力すると、選択されたログインIDに対応するパスワードを不揮発性メモリ18からRAM14に読み出し、表示部20にログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示し、ユーザがパスワードの補完入力を行うと、入力されたログインID及びパスワードの認証を行い、認証成功であれば、使用許可信号を出力するものである点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2について先に検討すると、引用文献1に記載された発明は、「ログインID及びパスワードの入力を要求するユーザ認証」(段落【0002】)において、「ログイン時の入力が簡単になるとともに、他人が本人のログインID及びパスワードでログインしてしまうことを抑制し、複数の候補が抽出された場合にも対応することができる」ことを目的としており(段落【0006】)、ログイン処理に際して、指紋入力部にユーザの指紋を読み取らせることにより、ログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示し、ユーザがパスワードの補完入力を行うと、入力されたログインID及びパスワードの認証を行う構成とすることで、ログイン時の入力の簡単化と、他人によるログインの抑制とを両立しているものと解される。ここで、引用文献1記載の発明が抑制しようとしている「他人によるログイン」とは、生体認証を用いた認証を採用した場合に起こり得る「類似する特徴データを有する他人を本人と誤認識する可能性」を示唆するものである(段落【0005】、【0041】)。
そうすると、引用発明において、ユーザ毎の「ログインID及びパスワード」を記憶する「不揮発メモリ18」を備えたことや、「表示部20」に「ログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示」すること、さらには、ユーザに「パスワードの補完入力」を行わせることは、いずれも、上記した引用文献1記載の発明の目的を達成するための課題解決手段として、不可欠な構成であることは、当業者にとって明らかである。
そうすると、ログインにおける認証方法として生体情報を用いた認証や、引用文献2に記載されているように、第1の生体情報による認証に加えて第2の生体情報による認証を行うユーザ認証技術が知られているとしても、引用発明が備える「表示部20にログインID及びパスワードの一部を入力表示したログイン画面を表示」することや、ユーザに「パスワードの補完入力」を行わせる等の、「ログインID及びパスワードの入力」による認証のための構成を廃してまで、本願発明1のように、「ユーザーにログイン情報の入力を要求することなく」、「第2の生体情報」を用いた認証を行う構成を採用することには、何らの動機付けも見当たらないばかりか、引用文献1記載の発明が課題として掲げる「他人によるログインの抑制」に逆行するものであるから、引用発明に対して、上記相違点2に係る構成を付加ないし置換することは、当業者であっても、容易に想到し得ることとはいえない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の構成を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明6及び7について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明7は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、いずれも本願発明1の相違点2に係る構成に対応する技術事項を備えているものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし7は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011123