2022-010150
自動車用ホイール
- 審判番号
- 2022-010150
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2021-016036外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1734257
- 請求日
- 2022年06月30日
- 審決日
- 2022年11月10日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】本田技研工業株式会社
- 【請求人代理人】田▲崎▼ 聡
- 【請求人代理人】眞島 竜一郎
- 【請求人代理人】安部 聡
- 分類
- D18 .113-WY (G2-9)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の主な経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により本願に係る意匠を10月の間秘密にすることを請求した、令和3年(2021年)7月21日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
7月 7日付け :手続補正指令
8月 9日 :手続補正書の提出
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「自動車用ホイール」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
欧州連合意匠公報 2018年 9月28日
車両用ホイールの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH30205345号)
第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。
なお、形状の認定にあたっては、添付図面の「正面図」側を前側、「背面図」側を後側とする。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「自動車用ホイール」である。
(2)本願意匠の形状
〔形状A1〕前後両端にフランジを設けた、扁平(へんぺい)な略円筒状のリム部と、リム部の前側に設けたディスク部から成るものである。
〔形状A2〕ディスク部は、中央にハブ穴を設け、ナットホールを5つ設けたハブ部と、2本一組で五組10本のスポーク部から成っている。
〔形状A3〕一組のスポーク部における左右2本のスポーク部に挟まれる空隙の形状は、リム部からハブ部に向けて、仮想するやや縦長の長方形の上にその長方形の半分の高さの等脚台形を載せた形状となっており、2本のスポーク部の形状は、この空隙の、長方形の左右の長辺部分と等脚台形の脚部分をなぞるように、途中で屈曲した対称な形状である(以下、スポーク部の途中の屈曲より中心側を「スポーク中心側部分」、周縁側を「スポーク周縁側部分」という。)。
〔形状A4〕一組のスポーク部と、その隣の一組のスポーク部に挟まれた空隙は、リム部からハブ部に向けて、等脚台形の上に、頂角を丸くした狭角の二等辺三角形を載せたような倒立漏斗状の形状である。
〔形状A5〕リム部は、鉛直面のごく細い外周縁があり、リム部外径と内径の約半分ほどの幅の緩斜面があり、その内側に、急斜面があるという、外周縁と二段階の斜面で構成されている。
以下、スポーク部の形状とハブ部の形状を詳細に認定する。
〔形状A6〕スポーク周縁側部分は、断面形状が(裏面も合わせて)五角形であり、前側先端にごく細い平坦面(へいたんめん)を設けている。
〔形状A7〕スポーク中心側部分は、断面形状が(裏面も合わせて)台形であり、前側先端にごく細い平坦面を設けている。
〔形状A8〕一組のスポーク部の、前側先端のごく細い平坦面は、周縁側から中心側に向かって、直線状で一旦横方向に張り出してから、屈曲点で収束方向に折れ曲がった直線状である(下側の一組のスポーク部において、向かって左側のスポーク部では「く」の字に、右側のスポーク部では逆「く」の字に見えるように折れ曲がっている。)。
〔形状A9〕スポーク周縁側部分には、円周方向外側にスポーク幅ほぼ一杯の大きな緩斜面(前向き面)があり、その面は、屈曲点で山折りに屈曲して(断面形状が台形の)スポーク中心側部分の外側斜面となっている。
〔形状A10〕一組のスポーク部の相対する内側立面は、リム部近辺ではほぼ垂直の斜面であって、屈曲点に向かって徐々に傾斜が緩くなり、屈曲点にて谷折りに屈曲して(断面形状が台形の)スポーク中心側部分の内側斜面となっている。
〔形状A11〕ナットホールの周囲が、長方形の平坦面である。
〔形状A12〕形状A11によって、ハブ部の正面視形状は正五角形に見えるものである。
2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「車両用ホイール」である。
(2)引用意匠の形状
〔形状B1〕前後両端にフランジを設けた、扁平な略円筒状のリム部と、リム部の前側に設けたディスク部から成るものである。
〔形状B2〕ディスク部は、中央にハブ穴を設け、ナットホールを5つ設けたハブ部と、2本一組で五組10本のスポーク部から成っている。
〔形状B3〕一組のスポーク部における左右2本のスポーク部に挟まれる空隙の形状は、リム部からハブ部に向けて、仮想するやや縦長の長方形の上にその長方形の半分の高さの等脚台形を載せた形状となっており、2本のスポーク部の形状は、この空隙の、長方形の左右の長辺部分と等脚台形の脚部分をなぞるように、途中で屈曲した対称な形状である(以下、スポーク部の途中の屈曲より中心側を「スポーク中心側部分」、周縁側を「スポーク周縁側部分」という。)。
〔形状B4〕一組のスポーク部と、その隣の一組のスポーク部に挟まれた空隙は、リム部からハブ部に向けて、等脚台形の上に、頂角を丸くした狭角の二等辺三角形を載せたような倒立漏斗状の形状である。
〔形状B5〕リム部は、鉛直面の細い外周縁があり、そこからリム部内径に向かって斜面があるという、外周縁と1つの幅広な斜面で構成されている。
また、〔形状B9〕で後述するスポーク周縁側部分の前向き面における一組のスポーク部の内側に収束するように突出した先端の位置に合わせて、僅かなへこみ斜面を設けている。
以下、スポーク部の形状とハブ部の形状を詳細に認定する。
〔形状B6〕スポーク周縁側部分は、断面形状が(裏面も合わせて)略台形であり、前側先端には、平坦面を設けていない。
〔形状B7〕スポーク中心側部分は、断面形状が(裏面も合わせて)三角形であり、前側先端には、平坦面を設けていない。
〔形状B8〕一組のスポーク部の、前側先端は、山の尾根のように三角に尖っており、その尾根を形成する稜線は、周縁側から中心側に向かって、直線状で平行に走り、屈曲点付近で収束方向に大きく湾曲してから直線状となるものである。
〔形状B9〕スポーク周縁側部分には、円周方向外側にスポーク幅ほぼ一杯の大きなごく緩やかな斜面(前向き面)があり、その面は、リム部の外周縁に沿って一組のスポーク部の内側に収束するように突出しており、かつ、屈曲点で凸状に湾曲して(断面形状が三角形の)スポーク中心側部分の外側斜面となっている。
〔形状B10〕一組のスポーク部の相対する内側立面は、リム部近辺では垂直に近い斜面であって、屈曲点に向かってほとんど角度を変えることがなく、屈曲点にて凹状に湾曲して(断面形状が三角形の)スポーク中心側部分の内側斜面となっている。
〔形状B11〕ナットホールの周囲が、円錐台形状である。
〔形状B12〕形状B11によって、ハブ部の正面視形状は梅の花形状に見えるものである。
3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「自動車用ホイール」であり、引用意匠に係る物品は「車両用ホイール」である。
(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると、以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕前後両端にフランジを設けた、扁平な略円筒状のリム部と、リム部の前側に設けたディスク部から成るものである。(形状A1とB1)
〔共通点2〕ディスク部は、中央にハブ穴を設け、ナットホールを5つ設けたハブ部と、2本一組で五組10本のスポーク部から成っている。(形状A2とB2)
〔共通点3〕一組のスポーク部における左右2本のスポーク部に挟まれる空隙の形状は、リム部からハブ部に向けて、仮想するやや縦長の長方形の上にその長方形の半分の高さの等脚台形を載せた形状となっており、2本のスポーク部の形状は、この空隙の、長方形の左右の長辺部分と等脚台形の脚部分をなぞるように、途中で屈曲した対称な形状である。(形状A3とB3)
〔共通点4〕一組のスポーク部と、その隣の一組のスポーク部に挟まれた空隙は、リム部からハブ部に向けて、等脚台形の上に、頂角を丸くした狭角の二等辺三角形を載せたような倒立漏斗状の形状である。(形状A4とB4)
〔共通点5〕リム部は、鉛直面の細い外周縁があり、そこからリム部内径に向かって斜面があるという、外周縁と斜面で構成されている。(形状A5とB5)
〔共通点6〕スポーク周縁側部分には、円周方向外側にスポーク幅ほぼ一杯の大きな斜面(前向き面)があり、その面は、スポーク中心側部分の外側斜面となっている。(形状A9とB9)
〔共通点7〕一組のスポーク部の相対する内側立面は、リム部近辺では垂直に近い斜面であって、屈曲点を経てスポーク中心側部分の内側斜面となっている。(形状A10とB10)
イ.相違点について
〔相違点1〕リム部の斜面につき、本願意匠は、リム部外径と内径の約半分ほどの幅の緩斜面があり、その内側に、急斜面があるという、二段階の斜面で構成されているのに対して、引用意匠は、外周縁からリム部内径に向かって斜面があるという、1つの幅広な斜面で構成されており、かつ、前向き面における一組のスポーク部の内側に収束するように突出した先端の位置に合わせて、僅かなへこみ斜面を設けている。(形状A5とB5)
〔相違点2〕スポーク周縁側部分の形状につき、本願意匠は、断面形状が五角形であり、前側先端にごく細い平坦面を設けているのに対して、引用意匠は、断面形状が略台形であって、前側先端には平坦面を設けていない。(形状A6とB6)
〔相違点3〕スポーク中心側部分の形状につき、本願意匠は、断面形状が台形であり、前側先端にごく細い平坦面を設けているのに対して、引用意匠は、断面形状が三角形であって、前側先端には平坦面を設けていない。(形状A7とB7)
〔相違点4〕一組のスポーク部の、前側先端の形状につき、本願意匠は、ごく細い平坦面を設けており、周縁側から中心側に向かって、直線状で一旦横方向に張り出してから、屈曲点で収束方向に折れ曲がった直線状であり、下側の一組のスポーク部において、向かって左側のスポーク部では「く」の字に、右側のスポーク部では逆「く」の字に見えるように折れ曲がっているのに対して、引用意匠は、前側先端は山の尾根のように三角に尖っており、その尾根を形成する稜線は、周縁側から中心側に向かって、直線状で平行に走り、屈曲点付近で収束方向に大きく湾曲してから直線状となるものである。(形状A8とB8)
〔相違点5〕スポーク周縁側部分における、円周方向外側の、スポーク幅ほぼ一杯の大きな前向き面につき、本願意匠は、緩斜面であり、屈曲点で山折りに屈曲しているのに対して、引用意匠は、ごく緩やかな斜面であり、リム部の外周縁に沿って一組のスポーク部の内側に収束するように突出しており、かつ、屈曲点で凸状に湾曲している。(形状A9とB9)
〔相違点6〕一組のスポーク部の相対する内側立面につき、本願意匠は、リム部近辺ではほぼ垂直の斜面であって、屈曲点に向かって徐々に傾斜が緩くなり、屈曲点にて谷折りに屈曲しているのに対して、引用意匠は、リム部近辺では垂直に近い斜面であって、屈曲点に向かってほとんど角度を変えることがなく、屈曲点にて凹状に湾曲している。(形状A10とB10)
〔相違点7〕ナットホールの周囲の形状につき、本願意匠は、長方形の平坦面であって、ハブ部の正面視形状は正五角形に見えるものであるのに対して、引用意匠は、円錐台形状であって、ハブ部の正面視形状は梅の花形状に見えるものである。(形状A11、A12とB11、B12)
4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品は「自動車用ホイール」である。
対して、引用意匠の意匠に係る物品は「車両用ホイール」であるところ、「車両」とは、広辞苑によると「電車・自動車など、旅客・貨物を輸送するための車」であるが、引用意匠の形状からすると、自動車用のものであると推認できる。
よって、表記は異なるが、本願意匠の意匠に係る物品と引用意匠の意匠に係る物品は、共通していると認められる(以下、共に「自動車用ホイール」という。)。
(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点1は、自動車用ホイールの分野においては、基本的な構成態様であるから、両意匠の類否判断に与える影響は、ごく小さい。
共通点2及び共通点3は、両意匠を大まかに捉えたものであり、大まかに捉えた程度においては、この物品分野において出願前から見られる形状であるから、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、小さい。
共通点4は、一組のスポーク部と、その隣の一組のスポーク部との間の形状であるから、認識しづらい部分の共通点といえ、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、小さい。
共通点5は、両意匠を大まかに捉えたものであり、大まかに捉えた程度においては、この物品分野において出願前から見られる形状であるから、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、小さい。
共通点6及び共通点7は、基本的構成である共通点3の形状に載せた具体的な形状であって、この3つの共通点が相まって、一定程度の共通感が生じているが、具体的には、後述の相違点2ないし6を内包している共通点であるから、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、一定程度にとどまる。
イ.相違点について
相違点1は、周辺部分という認識となるリム部に存する相違であるから、両意匠の類否判断に与える影響は、小さい。
相違点2ないし6については、相まって、本願意匠は、シャープで硬い印象を醸し出すのに対して、引用意匠は、優雅で柔らかい印象を醸し出しており、この種物品の意匠的要部において、両意匠に別異の印象を生じさせているといえ、両意匠の類否判断に与える影響は、とても大きいといえる。
相違点7は、中心に位置する部分の相違といえるから、両意匠の類否判断に与える影響は、大きい。
(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり、共通点は、両意匠の類否判断に与える影響が、一定程度にとどまるまたは小さいものであり、この共通点によっては、両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して、相違点2ないし6によって、需要者に別異の印象を起こさせるものであるから、両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると、本願意匠の形状と引用意匠の形状は、類似するとは認められない。
(4)両意匠における類否判断
よって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから、本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。
5.結び
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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