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特許拒絶査定不服審判

2022-009602

付与装置、付与方法及び付与プログラム

審判番号
2022-009602
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-162604外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月22日
審決日
2023年06月05日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-162604「付与装置、付与方法及び付与プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月13日出願公開、特開2023- 53522〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

1 手続の経緯

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本願は、令和3年10月1日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年12月10日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月17日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月 6日付け:拒絶査定
令和4年 6月22日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 2月16日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と

いう。)

令和5年 4月21日: 意見書、手続補正書の提出

2 本願発明

本願の請求項1ないし17に係る発明は、令和5年4月21日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(下線は、補正された箇所を示す。)。

「 利用者と、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンと、該クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて管理する記憶部と、
利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済の対象である取引対象を識別する識別情報を含む決済情報を受け付ける受付部と、
クーポンごとに、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報に、前記識別情報が示す取引対象が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記識別情報が示す取引対象が前記リスト情報に含まれている場合は、前記リスト情報に含まれる取引対象を除外した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済においてクーポンを自動適用する決定部と、
前記決定部により決定された適用態様に基づく利益を前記利用者に付与する付与部と
を有することを特徴とする付与装置。」

3 拒絶の理由

令和5年2月16日付けで当審が通知した拒絶理由の理由1(進歩性)は、次のとおりのものである。

この出願の請求項1-17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-4に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特開2015-72526号公報
引用文献2: クーポンの利用や併用について、スギ薬局、[オンライン]、2021年9月21日、[検索日:2021年12月8日]、インターネット:<URL: https://faq.sugi-net.jp/print/faq/1510>
引用文献3: 特開2020-4122号公報
引用文献4: 国際公開第2020/189326号

4 引用文献1-4の記載及び引用発明、周知文献Aについて

(1) 引用文献1の記載、引用発明

当審拒絶理由で引用された、引用文献1には、下記の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。

ア 【図3】

「
[図:0001400116000001.jpg]
」

イ 段落【0031】

「【0031】
[電子商取引サーバ20の構成]
図3は、電子商取引サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。電子商取引サーバ20は、商品情報格納部200、商品情報提供部201、クーポン登録部202、クーポン情報格納部203、クーポン特定部204、注文受付部205、クーポン抽出部206、値引額算出部207、組合せ特定部208、および出力部209を有する。」

ウ 【図5】

「
[図:0001400116000002.jpg]
」

エ 段落【0035】-【0037】

「【0035】
図5は、第1の実施形態においてクーポン情報格納部に格納されているデータの構造の一例を示す図である。本実施形態におけるクーポン情報格納部203には、それぞれのユーザ13を識別するユーザID2030に対応付けて、クーポンテーブル2031が格納される。それぞれのクーポンテーブル2031には、それぞれの電子クーポンを識別するクーポンID2032に対応付けて、当該電子クーポンによる特典の内容2033、当該電子クーポンが適用される場合の適用条件2034、および、当該電子クーポンの利用可能数2035が格納される。
【0036】
内容2033には、対象商品、所定額の値引の場合にはその金額、所定割合の値引の場合にはその割合、送料無料などの情報が含まれる。適用条件2034には、他の電子クーポンとの併用の可否、金額条件、個数条件、適用対象期間、同時購入条件等が含まれる。金額条件とは、例えば、ショッピングカート40内の商品の合計金額が所定額以上である場合に適用可能となるという条件である。個数条件とは、例えば、ショッピングカート40内の商品数が所定数以上である場合に適用可能となるという条件である。同時購入条件とは、例えば、複数の対象商品が指定されており、指定された商品がショッピングカート40内に全て含まれている場合に適用可能となるという条件である。この場合、複数の対象商品は、同一の店舗で販売されている商品だけでなく、異なる店舗で販売されている商品が指定されてもよい。
【0037】
また、内容2033に対象商品の記載が含まれている電子クーポンは、対象商品が限定されている電子クーポンである。適用条件2034に対象店舗の記載が含まれている電子クーポンは、対象店舗が限定されている電子クーポンである。」

オ 【図6】-【図7】

「
[図:0001400116000003.jpg]
[図:0001400116000004.jpg]
」

カ 【0039】-【0055】

「【0039】
図3に戻って説明を続ける。クーポン登録部202は、通信回線11を介してユーザ端末12から、ユーザ13が獲得した電子クーポンと、当該ユーザ13のユーザIDとを受信した場合に、クーポン情報格納部203を参照して、受信したユーザIDに対応付けられているクーポンテーブルに、受信した電子クーポンを登録する。
【0040】
商品情報提供部201は、通信回線11を介してユーザ端末12から受信した要求に応じて、商品情報格納部200を参照して商品を検索し、検索した商品の情報を掲載した画面(例えば図1の商品画面30)のデータをユーザ端末12に提供する。ユーザ13は、所望の商品が検索された場合に、ユーザ端末12を操作して、商品および希望数量を選択する。ユーザ端末12は、選択された商品の商品ID、当該商品の商品名、当該商品の単価、当該商品の数量、および当該商品を販売している店舗の店舗ID等の情報を、ユーザ13のユーザIDと共に、通信回線11を介して電子商取引サーバ20へ送る。
続きを表示(全34行)
【0041】
注文受付部205は、ユーザID毎にショッピングカート40のデータを管理する。注文受付部205は、通信回線11を介してユーザ端末12から、ユーザIDと共に、商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を受信した場合に、受信したユーザIDに対応付けて管理しているショッピングカート40に、受信した商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を登録する。
【0042】
ユーザ13が、ユーザ端末12を操作して、例えば商品画面30(図1参照)内のボタン301を押下した場合、ユーザ端末12は、ユーザのユーザIDと共に、注文確認画面を、通信回線11を介して電子商取引サーバ20に要求する。注文受付部205は、当該要求を受信した場合に、受信したユーザIDをクーポン特定部204へ送る。また、注文受付部205は、受信したユーザIDに対応付けて管理しているショッピングカート40のデータを、対応するユーザIDと共にクーポン抽出部206へ送る。
【0043】
図6は、ショッピングカートに含まれるデータの構造の一例を示す図である。ショッピングカート40には、例えば図6に示すように、ユーザ13によって選択された商品の商品ID41に対応付けて、当該商品を販売している店舗ID42、当該商品の商品名43、当該商品の単価44、当該商品の数量45、および、当該商品の種別毎の小計46が含まれる。また、ショッピングカート40には、ショッピングカート40内の商品の金額の合計47、および、ショッピングカート40内の商品を発送する場合の送料48が含まれる。
【0044】
クーポン特定部204は、注文受付部205からユーザIDを受け取った場合に、当該ユーザIDに対応付けられている電子クーポンをクーポン情報格納部203内で特定する。そして、クーポン特定部204は、特定した電子クーポンを、クーポン情報格納部203から取得し、取得した電子クーポンを、注文受付部205から受け取ったユーザIDと共にクーポン抽出部206へ送る。
【0045】
クーポン抽出部206は、注文受付部205から受け取ったショッピングカート40のデータを参照し、クーポン特定部204から受け取った電子クーポンの中から、ショッピングカート40内の商品に適用可能な電子クーポンを抽出する。そして、クーポン抽出部206は、抽出した電子クーポンを、ショッピングカート40のデータと共に値引額算出部207へ送る。
【0046】
クーポン抽出部206は、例えば、クーポン特定部204から受け取ったそれぞれの電子クーポンの内容や適用条件を参照して、ショッピングカート40内に対象商品がない電子クーポンや、適用条件を満たさない電子クーポンを、クーポン特定部204から受け取った電子クーポンの中から除外し、残った電子クーポンを、適用可能な電子クーポンとして抽出する。
【0047】
適用条件を満たさない電子クーポンとしては、例えば、適用対象期間外、ショッピングカート40内の商品の合計金額が金額条件を満たさない、ショッピングカート40内の商品の個数が個数条件を満たさない、対象店舗の商品がショッピングカート40内に存在しない、同時購入条件で指定されているいずれかの商品がショッピングカート40内に存在しない等の電子クーポンが考えられる。
【0048】
値引額算出部207は、クーポン抽出部206から電子クーポンおよびショッピングカート40のデータを受け取った場合に、受け取ったショッピングカート40のデータを参照して、受け取った電子クーポンを適用した場合の値引額を、電子クーポン毎に算出する。
【0049】
例えば、値引額算出部207は、図7に示すように、ショッピングカート40内の各商品のデータを、単価が降順になるようにソートする。そして、値引額算出部207は、クーポン抽出部206から受け取った電子クーポンを1つずつ選択する。
【0050】
そして、選択した電子クーポンが、対象商品が限定されている電子クーポンであれば、値引額算出部207は、ショッピングカート40内の対象商品に当該電子クーポンを適用した場合の値引額を算出する。電子クーポンは、大きく分けて、対象商品が限定されている電子クーポン、対象店舗内の商品に限定されている電子クーポン、または送料無料の電子クーポンの3種類が存在する。
【0051】
例えば、選択した電子クーポンが、図5に例示したクーポンテーブル2031における「C001」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、図7に例示したショッピングカート40内の商品IDが「A」の商品に適用し、値引額を「500円」と算出する。
【0052】
また、選択した電子クーポンが、対象店舗内の商品に限定されている電子クーポンであれば、値引額算出部207は、ショッピングカート40内の商品であって、選択した電子クーポンで指定されている店舗で販売されている商品に当該電子クーポンを適用した場合の値引額を算出する。
【0053】
例えば、選択した電子クーポンが、図5に例示したクーポンテーブル2031における「C003」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、図7に例示したショッピングカート40内の商品のうち、選択した電子クーポンで指定されている店舗で販売されている全ての商品(すなわち、「a」の店舗IDが対応付けられている商品)に適用し、値引額を「1120円」と算出する。
【0054】
なお、選択した電子クーポンが、例えば、複数種類の商品を対象商品とする電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、ショッピングカート40内の対象商品のうち、単価が最も高い商品に適用して値引額を算出する。これにより、値引額算出部207は、商品の価格の所定割合を値引く電子クーポンについて、最も高い値引額を算出することができる。
【0055】
例えば、選択した電子クーポンが、図5に例示したクーポンテーブル2031における「C007」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、図7に例示したショッピングカート40内で、選択した電子クーポンで指定されている店舗で販売されている商品(すなわち、「a」の店舗IDが対応付けられている商品)のうち、単価が最も高い商品(すなわち、商品IDが「D」の商品)に適用し、値引額を「1000円」と算出する。」

キ 【図9】

「
[図:0001400116000005.jpg]
」

ク 段落【0062】-【0064】

「【0062】
そして、出力部209は、例えば図9に示すような注文確認画面31のデータを作成し、作成したデータを、通信回線11を介してユーザ端末12へ送信する。図9は、注文確認画面の構成の一例を示す概念図である。注文確認画面31内の領域310には、ショッピングカート40のデータに含まれるそれぞれの商品の商品ID、商品名、単価、数量、および小計、ならびに、値引前の商品価格の合計および送料が表示される。
【0063】
また、注文確認画面31内の領域311には、値引額が最大となる電子クーポンの組合せに含まれる電子クーポン毎の値引の内容および値引額、ならびに、値引額の合計が表示される。また、領域312には、電子クーポンを適用した後の金額の合計および送料が表示される。注文確認画面31には、この他に、支払方法、発送方法、発送先等の情報が含まれていてもよい。
【0064】
ユーザ端末12は、電子商取引サーバ20から送信されたデータに基づいて注文確認画面31を表示する。そして、ユーザ13によって注文確定ボタン314が操作された場合、ユーザ端末12は、画面31のデータを、ユーザIDと共に、通信回線11を介して決済サーバ(図示せず)へ送信する。」

ケ 【図12】

「
[図:0001400116000006.jpg]
」

コ 段落【0080】-【0083】

「【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0081】
[処理の概要]
図12は、第2の実施形態における処理の概略の一例を説明するための概念図である。本実施形態におけるクーポンシステム60では、顧客によって注文された商品がPOS端末14に入力されると、POS端末14は、注文された商品の商品名、単価、数量、および合計金額を含む注文情報80を、通信回線を介してクーポン管理サーバ70へ送信する。このとき、POS端末14は、顧客から提示された会員カード等のから取得した会員IDも併せて送信する。
【0082】
クーポン管理サーバ70の注文受付部205は、POS端末14から注文情報80および会員IDを受信すると、受信した注文情報80をクーポン抽出部206へ送り、受信した会員IDをクーポン特定部204へ送る。
【0083】
クーポン情報格納部203には、それぞれの電子クーポンを識別するクーポンIDに対応付けて、当該電子クーポンの特典の内容、および、適用条件が格納されている。本実施形態における電子クーポンは、ユーザ毎に利用可能な電子クーポンが定められているものではなく、適用条件を満たせば、誰でも使用できるものである。適用条件としては、例えば、顧客の属性、天候、気温、曜日、時間帯、または特定のイベントの発生などがある。」

サ 引用発明

よって、引用文献1には、特に「第1の実施形態」について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「電子商取引サーバ20は、商品情報格納部200、商品情報提供部201、クーポン登録部202、クーポン情報格納部203、クーポン特定部204、注文受付部205、クーポン抽出部206、値引額算出部207、組合せ特定部208、および出力部209を有し、
クーポン情報格納部203には、それぞれのユーザ13を識別するユーザID2030に対応付けて、クーポンテーブル2031が格納され、それぞれのクーポンテーブル2031には、それぞれの電子クーポンを識別するクーポンID2032に対応付けて、当該電子クーポンによる特典の内容2033、当該電子クーポンが適用される場合の適用条件2034、および、当該電子クーポンの利用可能数2035が格納され、
内容2033には、対象商品、所定額の値引の場合にはその金額、所定割合の値引の場合にはその割合、送料無料などの情報が含まれ、適用条件2034には、他の電子ククーポンとの併用の可否、金額条件、個数条件、適用対象期間、同時購入条件等が含まれ、内容2033に対象商品の記載が含まれている電子クーポンは、対象商品が限定されている電子クーポンであり、適用条件2034に対象店舗の記載が含まれている電子クーポンは、対象店舗が限定されている電子クーポンであり、
クーポン登録部202は、通信回線11を介してユーザ端末12から、ユーザ13が獲得した電子クーポンと、当該ユーザ13のユーザIDとを受信した場合に、クーポン情報格納部203を参照して、受信したユーザIDに対応付けられているクーポンテーブルに、受信した電子クーポンを登録し、
続きを表示(全15行)
注文受付部205は、通信回線11を介してユーザ端末12から、ユーザIDと共に、商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を受信した場合に、受信したユーザIDに対応付けて管理しているショッピングカート40に、受信した商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を登録し、
クーポン特定部204は、注文受付部205からユーザIDを受け取った場合に、当該ユーザIDに対応付けられている電子クーポンをクーポン情報格納部203内で特定し、
クーポン抽出部206は、例えば、クーポン特定部204から受け取ったそれぞれの電子クーポンの内容や適用条件を参照して、ショッピングカート40内に対象商品がない電子クーポンや、適用条件を満たさない電子クーポンを、クーポン特定部204から受け取った電子クーポンの中から除外し、残った電子クーポンを、適用可能な電子クーポンとして抽出し、
適用条件を満たさない電子クーポンとしては、例えば、適用対象期間外、ショッピングカート40内の商品の合計金額が金額条件を満たさない、ショッピングカート40内の商品の個数が個数条件を満たさない、対象店舗の商品がショッピングカート40内に存在しない、同時購入条件で指定されているいずれかの商品がショッピングカート40内に存在しない等の電子クーポンが考えられ、
値引額算出部207は、クーポン抽出部206から電子クーポンおよびショッピングカート40のデータを受け取った場合に、受け取ったショッピングカート40のデータを参照して、受け取った電子クーポンを適用した場合の値引額を、電子クーポン毎に算出し、
選択した電子クーポンが、対象商品が限定されている電子クーポンであれば、値引額算出部207は、ショッピングカート40内の対象商品に当該電子クーポンを適用した場合の値引額を算出し、電子クーポンは、大きく分けて、対象商品が限定されている電子クーポン、対象店舗内の商品に限定されている電子クーポン、または送料無料の電子クーポンの3種類が存在し、
例えば、選択した電子クーポンが、クーポンテーブル2031における「C001」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、ショッピングカート40内の商品IDが「A」の商品に適用し、値引額を「500円」と算出し、
例えば、選択した電子クーポンが、クーポンテーブル2031における「C003」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、ショッピングカート40内の商品のうち、選択した電子クーポンで指定されている店舗で販売されている全ての商品(すなわち、「a」の店舗IDが対応付けられている商品)に適用し、値引額を「1120円」と算出し、
出力部209は、注文確認画面31のデータを作成し、作成したデータを、通信回線11を介してユーザ端末12へ送信し、注文確認画面31内の領域311には、値引額が最大となる電子クーポンの組合せに含まれる電子クーポン毎の値引の内容および値引額、ならびに、値引額の合計が表示され、領域312には、電子クーポンを適用した後の金額の合計および送料が表示され、
ユーザ端末12は、電子商取引サーバ20から送信されたデータに基づいて注文確認画面31を表示し、ユーザ13によって注文確定ボタン314が操作された場合、ユーザ端末12は、画面31のデータを、ユーザIDと共に、通信回線11を介して決済サーバへ送信する、
電子商取引サーバ20。」

(2) 引用文献2の記載

当審拒絶理由で引用された、引用文献2には、下記の記載がある。

ア 1ページの【注1】

「【注1】1回のみ利用可能のアプリクーポンの場合、「このクーポンを利用する」をタップすると、ご利用の有無に関わらず一定時間(例:60分程度)で消失します。ご利用直前のタップをお願いいたします。」」

イ 2ページ1-9行

「『お客様用』割引・値引対象外商品リスト ※メーカー別 アイウエオ順
2021年5月12日 更新内容
・ファシオリニューアル商品
が割引・値引対象外商品に追加されました。
割引・値引対象外商品
カウンセリング化粧品、ベビーミルク、見切り品、酒類、飲料、米、地域指定ゴミ袋、POSAカード、処方箋、アリナミンEX PLUS(270錠)、リポビタンD(10本入、50本入)、FANCL、予約販売商品(母の日父の日ギフト、お中元、クリスマスケーキ、おせち、お歳暮、恵方巻)、タバコ、灯油、雑誌、商品券、宅配便、切手代を含むハガキ、その他一部除外品」

(3) 引用文献3の記載

当審拒絶理由で引用された、引用文献3には、下記の記載がある。

ア 【図1】、【図13】

「
[図:0001400116000007.jpg]
」

イ 段落【0013】

「【0013】
図1に示すユーザ端末10は、ユーザU01によって利用される情報処理端末であり、例えば、スマートフォンやタブレット型端末である。例えば、ユーザ端末10は、カメラ機能を備え、カメラによって店舗内に設置されたQR(Quick Response)コード(登録商標)等の二次元コードを読み取ることが可能である。」

ウ 段落【0019】-【0021】

「【0019】
【0019】
その後、情報処理装置100は、店舗端末20から取得したユーザIDおよび店舗IDに基づき、利用金額に適用可能なクーポン情報を選択する(ステップS4)。なお、このとき、情報処理装置100は、特定の商品に対して適用可能なクーポン情報がある場合、利用金額とともに商品情報を取得し、商品情報に基づき、かかる商品に対して適用可能なクーポン情報を選択することも可能である。
・・・(中略)・・・
【0021】
例えば、実施形態に係る情報処理では、クレジットカード決済や電子マネー決済等の決済処理を行うことが可能である。言い換えれば、クラウド上で決済処理を完了させることができる。したがって、ユーザU01が実店舗で決済金額を直接支払う必要がないので、ユーザU01による会計を素早く完結させることが可能である。」

エ 段落【0024】

「【0024】
したがって、実施形態に係る情報処理によれば、実店舗における決済を簡略化することができる。なお、ここでは、店舗端末20がユーザ端末10からユーザIDを取得し、店舗端末20からユーザIDおよび店舗IDを情報処理装置100へ通知する場合について示したが、ユーザ端末10が店舗IDを取得し、ユーザIDおよび店舗IDを情報処理装置100へ通知することも可能である。この点の具体例については、図13を用いて後述する。」

オ 段落【0028】-【0029】

「【0028】
店舗端末20は、実店舗で店員に使用される情報処理装置である。例えば、店舗端末20は、レジ端末や、スマートデバイス、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末である。
【0029】
例えば、店舗端末20は、ユーザU01が購入する商品のバーコードを読み取ることで、利用金額を算出する。また、店舗端末20は、ユーザ端末10に表示されたバーコード200やQRコード300を読み取ることで、ユーザIDや決済方法に関する情報を取得することも可能である。」

カ 段落【0110】-【0111】

「【0110】
[5.ハードウェア構成]
上述してきた実施形態に係る情報処理装置100やユーザ端末10等は、例えば図14に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報処理装置100を例に挙げて説明する。図14は、実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェース(I/F)1500、入出力インターフェース(I/F)1600、及びメディアインターフェース(I/F)1700を有する。
【0111】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。」

(4) 引用文献4の記載

当審拒絶理由で引用された、引用文献4には、下記の記載がある。

ア 段落【0015】-【0016】

「【0015】 ユーザ端末12は、ユーザの操作を受け付けるとともに、様々な情報を表示するコンピュータである。ユーザ端末12は、例えばスマートフォン、タブレット端末等の携帯端末である。店舗端末13は、店舗の中に設置されており、ユーザが購入する商品の情報を読み取るとともに、ユーザが提示した決済用コードを読み取るコンピュータである。店舗端末13は、例えばPOS(Point Of Sale)端末、又は店舗の店員が有する通信端末である。決済サーバ14は、ユーザが購入する商品の代金を決済するコンピュータである。商品は、ユーザが代金を支払って購入可能な物品又はサービスである。
【0016】 第1実施形態に係る決済システム1Sがクーポンを適用して決済を行う処理の概要を以下に説明する。特典提供装置11は、予めユーザに対してクーポンを付与し、ユーザを識別するためのユーザIDと、クーポンを識別するためのクーポンIDとを関連付けて、記憶部に記憶している。ユーザIDは、ユーザごとに割り振られてもよく、ユーザ端末12ごとに割り振られてもよい。クーポンは、ユーザが商品の購入時に利用することによって、ユーザに所定の特典を提供するものである。クーポンによる特典は、例えば商品の代金の値引き、景品の提供、ポイントの付与等である。ユーザは、所望のタイミングで、ユーザに付与されているクーポンを利用して商品を購入できる。」

イ 段落【0095】-【0100】

「【0095】[第3変形例]
以上の説明において、特典提供装置11は、ユーザがユーザ端末12において選択したクーポンを決済に用いているが、特典提供装置11がユーザに付与されているクーポンを特定して決済に用いてもよい。
【0096】図8は、第3変形例に係る決済方法(情報処理方法)のシーケンス図である。以下では図7のシーケンス図と異なる点を主に説明する。まずユーザ端末12の送信部1211は、ユーザ端末12に関連付けられたユーザIDを含む決済用トークン要求を、特典提供装置11へ送信する(S112a)。図7とは異なり、決済用トークン要求は、ユーザによって選択されたクーポンに関連付けられたクーポンIDを含まない。
【0097】 特典提供装置11において、決済用トークン要求受信部1111は、決済用トークン要求をユーザ端末12から受信する。有効性判定部1112は、クーポン記憶部1121において、決済用トークン要求受信部1111が受信した決済用トークン要求が含むユーザIDに関連付けられたクーポンID(すなわユーザに付与されているクーポン)を特定する(S112b)。クーポン記憶部1121においてユーザIDに関連付けられたクーポンIDが存在しない場合に、有効性判定部1112は、ステップS114aのトークン生成部1113による決済用トークンの生成に進む。クーポン記憶部111121においてユーザIDに関連付けられたクーポンIDが存在した場合に、有効性判定部1112は、ユーザID及びクーポンIDに基づいて、クーポンが有効であるか否かを判定する(S113a)。
・・・(中略)・・・
【0100】 受信部1212は、受信した決済用トークンを所定の方法で符号化することによって、決済用コードを生成する。そして受信部1212は、生成した決済用コードを提示する決済画面を、表示部124上に表示する(S115a)。また、ユーザ端末12は、受信部1212が決済用トークンとともにクーポン情報を受信した場合に、受信したクーポン情報を、表示部124上に表示する。ステップS116以降は、図7と同様である。ステップS119の再判定は省略されてもよい。また、ステップS113aの判定が省略され、ステップS119の判定のみが行われてもよい。このように第3変形例に係る決済方法では、特典提供装置11は、ユーザによるクーポンの選択を受け付けることなく、ユーザに付与されているクーポンを特定して自動的に決済に適用できる。」

(5) 周知文献Aについて

当審で新たに引用する、Zen-Cart.JP(Zen-Cart日本語化プロジェクト)著、「Zen Cartによるオンラインショップ 構築・運用テクニック」、 第1版、株式会社秀和システム、2008年4月14日、p.18-20、213-218(以下「周知文献A」という。)には、下記の記載がある。

ア 18ページ2行-19ページ4行

「■Zen Cartの機能
Zen Cartのショップ側、管理側の特徴的な機能について説明します。
筆者は、Zen Cartをまったく知らない人にその機能を説明する際、「ECサイトのお手本であるAmazon.co.jpのようなサイトが構築できるソフトウェアです」と説明することが多いのですが、およそ以下のような機能があります。
・・・(中略)・・・
■メールマーケティングとギフト券・クーポン券
Zen Cartには、顧客を分類して(登録済みの顧客に一斉にまたは過去3ヵ月以内に購入した顧客など)送ることができる「メールマガジン」機能、ユーザーに商品ごとに新着情報を贈ることができる「お知らせメール」があり、メールマーケティングに活用することができます。
また、顧客への割引きクーポンとして提供したり、顧客が別の顧客に送ることができる「ギフト券」「クーポン券」などもあります。」

イ 214ページ下から3行目-11行、214ページ欄外の注*13

「クーポン券の管理画面でインフォボックスの[編集]ボタンを押すとそのクーポン券の編集画面に遷移します。編集画面はクーポン券作成画面と同じインタフェースになります。
インフォボックスの[削除]ボタンを押すとそのクーポン券を削除します。
インフォボックスの[コピー]ボタンを押すとそのクーポン券の設定を引き継いで新たにクーポン券を作成することができます。
インフォボックスの[制限]ボタンを押すとそのクーポン券の利用制限をカテゴリ、商品単位に指定するクーポン券の利用制限設定画面に遷移します。
▽クーポン券利用制限設定画面
[図:0001400116000008.jpg]
カテゴリ別の利用制限ではカテゴリを選択し、[AIlow]、[Deny]を指定して[Add]ボタンを押すことで新しいカテゴリ別の利用制限設定を追加できます。[AIlow]を指定するとそのカテゴリでそのクーポン券を使えるようにできます。[Deny]を指定するとそのカテゴリではそのクーポン券を使えないようにできます。商品別の利用制限もカテゴリ別の利用制限と同様に商品を選択した後、[AIlow]、[Deny]を選択して設定追加します(*13)。カテゴリ別、商品別の各利用制限はANDで適応され、カテゴリ別の利用制限と商品別の利用制限が食い違うケースでは商品別の利用制限が優先されます。
インフォボックスの[E-Mail]ボタンを押すとそのクーポン券の送信画面に遷移します。
*13:利用制限設定を定義していないカテゴリ、商品は[Allow]として取り扱われます。したがって、利用制限般定が一つもない状態では全カテゴリ、商品に対してクーポン券が利用できます。[Allow]は[Deny]指定されているカテゴリ内で特定のサブカテゴリ、商品だけを[Allow]指定する際に利用します。」

ここで、上記「▽クーポン券利用制限設定画面」を参照すると、画面上で、「カテゴリ別の利用制限」と「商品別の利用制限」として、それぞれ、「クーポンID」、「クーポン名」、「カテゴリーID」、「カテゴリ名」、「許可」、「不許可」、「制御」の各項目の名前を1行に並べて表示すると共に、クーポンID「1」、クーポン名「サマークーポン」について、「カテゴリ別の利用制限」における「Tシャツ(カラー)」、「キッズT」と、「商品別の利用制限」における、商品名「アイコン(二人)」が、リストで列挙されていることが認定できる。

5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

(1)引用発明の「ユーザ」は、本願発明の「利用者」に相当する。

引用発明の「クーポン」は、「電子商取引サーバ20」における「クーポン特定部204は、注文受付部205からユーザIDを受け取った場合に、当該ユーザIDに対応付けられている電子クーポンをクーポン情報格納部203内で特定し」て適用されるクーポンであるから、「利用者がクーポンを提示することなく」適用されるクーポンであることが明らかであって、本願発明の「決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポン」に相当する。

さらに、引用発明の「クーポン」は、「ユーザ13が獲得した電子クーポン」であるから、本願発明の「利用者が予め獲得したクーポン」にも相当する。

引用発明の「対象商品」(「商品」)は、本願発明の「クーポンの適用対象」及び「取引対象」に相当する。

引用発明の「クーポンテーブル2031」(【図5】参照)を格納する「クーポン情報格納部203」は、本願発明の「記憶部」に相当する。

よって、引用発明の「クーポン情報格納部203には、それぞれのユーザ13を識別するユーザID2030に対応付けて、クーポンテーブル2031が格納され、それぞれのクーポンテーブル2031には、それぞれの電子クーポンを識別するクーポンID2032に対応付けて、当該電子クーポンによる特典の内容2033、当該電子クーポンが適用される場合の適用条件2034、および、当該電子クーポンの利用可能数2035が格納され」るとともに、「内容2033には、対象商品、所定額の値引の場合にはその金額、所定割合の値引の場合にはその割合、送料無料などの情報が含まれ、適用条件2034には、他の電子ククーポンとの併用の可否、金額条件、個数条件、適用対象期間、同時購入条件等が含まれ、内容2033に対象商品の記載が含まれている電子クーポンは、対象商品が限定されている電子クーポンであり、適用条件2034に対象店舗の記載が含まれている電子クーポンは、対象店舗が限定されている電子クーポンであ」ることは、本願発明の「利用者と、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンと、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて管理する記憶部」と、「利用者と、決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンの適用対象を選別するための取引対象を示す情報を管理する記憶部」を含む点で共通するといえる。

(2) 引用発明の「注文受付部205」は、本願発明の「受付部」に相当する。

引用発明の「商品ID」は、本願発明の「決済の対象である取引対象を識別する識別情報」に相当する。

よって、引用発明の「注文受付部205は、通信回線11を介してユーザ端末12から、ユーザIDと共に、商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を受信した場合に、受信したユーザIDに対応付けて管理しているショッピングカート40に、受信した商品ID、商品名、単価、数量、および店舗ID等の情報を登録し」ていることは、本願発明の「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済の対象である取引対象を識別する識別情報を含む決済情報を受け付ける受付部」と、「決済の対象である取引対象を識別する識別情報を含む決済情報を受け付ける受付部」である点で共通するといえる。

(3) 引用発明の「クーポン抽出部206」は、本願発明の「判定部」に相当する。

引用発明の「それぞれの電子クーポンの内容や適用条件」は、本願発明の「クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報」と、「クーポンの適用対象を選別するための取引対象を示す情報」である点で共通するといえる。

よって、引用発明の「内容2033には、対象商品、所定額の値引の場合にはその金額、所定割合の値引の場合にはその割合、送料無料などの情報が含まれ、適用条件2034には、他の電子ククーポンとの併用の可否、金額条件、個数条件、適用対象期間、同時購入条件等が含まれ、内容2033に対象商品の記載が含まれている電子クーポンは、対象商品が限定されている電子クーポンであり、適用条件2034に対象店舗の記載が含まれている電子クーポンは、対象店舗が限定されている電子クーポンであり」、

「クーポン抽出部206は、例えば、クーポン特定部204から受け取ったそれぞれの電子クーポンの内容や適用条件を参照して、ショッピングカート40内に対象商品がない電子クーポンや、適用条件を満たさない電子クーポンを、クーポン特定部204から受け取った電子クーポンの中から除外し、残った電子クーポンを、適用可能な電子クーポンとして抽出し、
適用条件を満たさない電子クーポンとしては、例えば、適用対象期間外、ショッピングカート40内の商品の合計金額が金額条件を満たさない、ショッピングカート40内の商品の個数が個数条件を満たさない、対象店舗の商品がショッピングカート40内に存在しない、同時購入条件で指定されているいずれかの商品がショッピングカート40内に存在しない等の電子クーポンが考えられ」ることは、本願発明の「クーポンごとに、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報に、前記識別情報が示す取引対象が含まれているか否かを判定する判定部」と、「クーポンの適用対象を選別するための取引対象を示す情報に、前記識別情報が示す取引対象が含まれているか否かを判定する判定部」である点で共通するといえる。

(4) 引用発明の「値引額算出部207」は、本願発明の「決定部」に相当する。

よって、引用発明の「値引額算出部207は、クーポン抽出部206から電子クーポンおよびショッピングカート40のデータを受け取った場合に、受け取ったショッピングカート40のデータを参照して、受け取った電子クーポンを適用した場合の値引額を、電子クーポン毎に算出し、

選択した電子クーポンが、対象商品が限定されている電子クーポンであれば、値引額算出部207は、ショッピングカート40内の対象商品に当該電子クーポンを適用した場合の値引額を算出し、電子クーポンは、大きく分けて、対象商品が限定されている電子クーポン、対象店舗内の商品に限定されている電子クーポン、または送料無料の電子クーポンの3種類が存在し、

例えば、選択した電子クーポンが、クーポンテーブル2031における「C001」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、ショッピングカート40内の商品IDが「A」の商品に適用し、値引額を「500円」と算出し、

例えば、選択した電子クーポンが、クーポンテーブル2031における「C003」のクーポンIDを有する電子クーポンである場合、値引額算出部207は、当該電子クーポンを、ショッピングカート40内の商品のうち、選択した電子クーポンで指定されている店舗で販売されている全ての商品(すなわち、「a」の店舗IDが対応付けられている商品)に適用し、値引額を「1120円」と算出し」ていることは、本願発明の「前記識別情報が示す取引対象が前記リスト情報に含まれている場合は、前記リスト情報に含まれる取引対象を除外した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済においてクーポンを自動適用する決定部」と、「前記識別情報が示す取引対象が前記情報に含まれているか否かに応じて、前記情報に含まれる取引対象を選別した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、決済においてクーポンを自動適用する決定部をさらに含む点で共通するといえる。

(5) 引用発明において、「出力部209は、注文確認画面31のデータを作成し、作成したデータを、通信回線11を介してユーザ端末12へ送信し、注文確認画面31内の領域311には、値引額が最大となる電子クーポンの組合せに含まれる電子クーポン毎の値引の内容および値引額、ならびに、値引額の合計が表示され、領域312には、電子クーポンを適用した後の金額の合計および送料が表示され、

ユーザ端末12は、電子商取引サーバ20から送信されたデータに基づいて注文確認画面31を表示し、ユーザ13によって注文確定ボタン314が操作された場合、ユーザ端末12は、画面31のデータを、ユーザIDと共に、通信回線11を介して決済サーバへ送信する」ことの結果として、送信先の「決済サーバ」で、表示された「値引額の合計」が値引きされた金額の「決済」が実行されることは明らかであって、これは、本願発明の「前記決定部により決定された適用態様に基づく利益を前記利用者に付与する付与部」に相当する。

(6) 引用発明の「電子商取引サーバ20」、及び、「決済サーバ」とは、例えば、これら2種類のサーバを単独の物理的な情報処理「装置」で実現可能であるから、本願発明の「付与装置」に相当する。

(7) よって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「利用者と、決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンの適用対象を選別するための取引対象を示す情報を管理する記憶部と、
決済の対象である取引対象を識別する識別情報を含む決済情報を受け付ける受付部と、
クーポンの適用対象を選別するための取引対象を示す情報に、前記識別情報が示す取引対象が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記識別情報が示す取引対象が前記情報に含まれているか否かに応じて、前記情報に含まれる取引対象を選別した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、決済においてクーポンを自動適用する決定部と、
前記決定部により決定された適用態様に基づく利益を前記利用者に付与する付与部と
を有することを特徴とする付与装置。」

[相違点1]

「記憶部」について、本願発明では、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンと、該クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて管理する」のに対して、引用発明は、「電子商取引」の決済におけるクーポンに係るものであって、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決裁のクーポンではなく、また、「クーポンと、該クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて」管理していない点。

[相違点2]

「受付部」について、本願発明では、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決裁情報を受け付けるのに対して、引用発明では、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決裁情報を受け付けていない点。

[相違点3]

「判定部」について、本願発明では、「クーポンごとに、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報」を用いて、取引対象が含まれているか否かを判定するのに対して、引用発明では、「クーポンごとに、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報」を用いて判定していない点。

[相違点4]

「決定部」について、本願発明では、「前記識別情報が示す取引対象が前記リスト情報に含まれている場合は、前記リスト情報に含まれる取引対象を除外した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済においてクーポンを自動適用する」のに対して、引用発明では、「前記識別情報が示す取引対象が前記リスト情報に含まれている場合は、前記リスト情報に含まれる取引対象を除外した前記決済情報に基づいて」クーポンの適用対象を決定しておらず、また、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決済のクーポンではない点。

6 当審の判断

[相違点1]-[相違点4]について、まとめて判断する。

(1) 一般に、「QRコード決済」などの名称で広く知られているように、スマートフォン等の利用者端末上のアプリケーションを利用する電子決済方式は、必要ならば、引用文献3、引用文献4(上記4(3)-(4)参照)に記載されるように、周知技術である。

引用発明は、「電子商取引」の決済用のクーポンに係るものであるが、引用発明が開示された引用文献1には、上記4(1)ケ-コの記載を参照すると、別の実施形態(「第2の実施形態」)についてであるものの、「クーポン」を、POS端末等を用いる「電子決済」に適用することが開示されているから、引用文献1には、「クーポン」を「電子決済」に適用することの開示、示唆があるといえる。

よって、引用発明のクーポンを、周知技術である、スマートフォン等の利用者端末上のアプリケーションを利用する電子決済方式に適用することによって、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決裁におけるクーポンとする点は、当業者が容易に推考し得ることである。

(2) クーポンの特典として、商品等の対象に対して、経済的利益を与える場合、例えば、引用文献2(上記4(2)参照)の「割引・値引対象外商品リスト」における、「カウンセリング化粧品」(なお、これが、メーカーや卸売業者による販売方法の規制に基づき除外されていることは明らかである。)、「タバコ」や「商品券」(なお、これらが、法的規制に基づき除外されていることは明らかである。)、小売業者の販売戦略などの、商慣習や人為的な取決めに基づく、各種の理由に基づいて、単独の商品に限らず、複数種類の商品やカテゴリーについて、クーポンの適用を制限すべき場合があることは、文献を挙げるまでもない周知技術である。

また、複数種類の商品やカテゴリーについて、クーポンの適用を制限すべき場合、例えば、ほとんどの対象がクーポン付与対象である一方で少数の例外があるようなケースでは、クーポンの特典を「受けられない」対象をリストで列挙することは、必要ならば、引用文献2、周知文献Aに記載される周知技術であって(上記4(2)、4(5)参照)、クーポンの特典を「受けられる」対象と「受けられない」対象のどちらをリストで列挙するかは、特典を「受けられる」対象と「受けられない」対象のどちらが多いかや、リストの管理の手間などを比較考慮して、当業者が適宜採用すべき設計的事項であると認められる。

さらに、一般に、複数項目のデータからなるリストをテーブル形式で格納する場合、1つのテーブルにまとめて管理することも、複数のテーブルに分割して各テーブルを互いに「紐付け」することも、例えば、リレーショナルデータベースの設計におけるテーブルの分割・統合操作のように、文献を挙げるまでもない周知技術であって、テーブルの分割や統合の程度は、リストのサイズや項目数、リストを管理する手間などを考慮して、当業者が適宜採用すべき設計的事項であると認められる。

よって、例えば、クーポンID「C001」の商品Aや、クーポンID「C003」の店舗aなどの一部の商品などについて、クーポンの適用を制限することを開示している引用発明において、クーポンを「受けられない」対象のみをリストで列挙する周知技術を採用することによって、「クーポンと、該クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて」管理するようにすることは、当業者が適宜選択すべき設計的事項である。

(3) 上記(1)、(2)から、引用発明のクーポンを、周知技術である、スマートフォン等の利用者端末上のアプリケーションを利用する電子決済方式に適用するとともに、クーポンの特典を「受けられない」対象のみをリストで列挙する周知技術を採用することによって、

「記憶部」について、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済において利用者が提示することなく自動適用されるクーポンであって利用者が予め獲得したクーポンとを紐付けて管理するとともに、クーポンと、該クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報とを紐付けて」管理するように構成すること(相違点1)、

「受付部」について、「利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの」決裁情報を受け付けるように構成すること(相違点2)、

「判定部」について、「クーポンごとに、クーポンの適用対象から除外する取引対象の一覧を示すリスト情報」を用いて判定するように構成すること(相違点3)、

「決定部」について、「前記識別情報が示す取引対象が前記リスト情報に含まれている場合は、前記リスト情報に含まれる取引対象を除外した前記決済情報に基づいて、前記利用者が予め獲得したクーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、利用者が利用する利用者端末を用いた電子決済用の決済アプリでの決済においてクーポンを自動適用する」ように構成することは、いずれも、当業者が容易に推考し得ることである。

(4) さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

(5) よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6) 請求人の主張について

ア 請求人は、意見書において、以下のように述べ、本願発明は、引用文献1-4に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有する旨主張している。

「本願発明は、「クーポンIDごとに紐づけられたリスト情報」に、取引対象が含まれているか否かを判定し、取引対象がリスト情報に含まれている場合は、「リスト情報に含まれる取引対象を除外した決済情報」に基づいて、クーポンの適用態様を決定し、決定された適用態様に基づいて、決済アプリでの決済においてクーポンを自動適用するというものです。
このような技術的思想及び概念は、本願の出願当時の技術常識において存在していません。また、引用文献1-4においても教示も示唆もされていません。
例えば、引用文献1の段落[0016]には、「電子クーポンには、当該電子クーポンを識別するクーポンIDと、当該電子クーポンによって得られる特典の内容と、当該電子クーポンが適用されるための適用条件とが含まれる。」と記載されています。
すなわち、引用文献1では、「適用条件」はあらかじめ「電子クーポン」に含まれています。
また、引用文献1の段落[0046]には、「クーポン抽出部206は、例えば、クーポン特定部204から受け取ったそれぞれの電子クーポンの内容や適用条件を参照して、ショッピングカート40内に対象商品がない電子クーポンや、適用条件を満たさない電子クーポンを、クーポン特定部204から受け取った電子クーポンの中から除外し、残った電子クーポンを、適用可能な電子クーポンとして抽出する。」と記載されています。
すなわち、引用文献1では、「クーポン特定部204から受け取った電子クーポン」の中から、「対象商品がない電子クーポン」や、「適用条件を満たさない電子クーポン」を除外しているに過ぎません。本願発明は、「リスト情報に含まれる取引対象を除外した決済情報」に基づいて、クーポンの適用態様を決定しています。
また、引用文献1の段落[0017]、[0047]、[0083]等に例示されている「適用条件」についても、明らかに本願発明とは趣旨が異なります。
たとえ当業者であっても、引用文献1から本願発明に想到し得る理由がありません。
また、引用文献2の1ページの[注1]には、「このクーポンを利用する」をタップすると、ご利用の有無に関わらず一定時間(例:60分程度)で消失します。ご利用直前のタップをお願いいたします。」と記載されています。すなわち、引用文献2のクーポンは、ユーザがタップすることで利用可能となるものであり、引用文献2に開示の「割引除外品」は、ユーザ(又は店員)がそれを見て自ら使用しないように判断するものでしかありません。少なくとも、引用文献2には、「割引除外品」の扱いについて店舗端末又は決済サーバ等による「具体的な処理内容」や「技術的な事項」は開示されておらず、「割引除外品」に関する処理は根拠のない「憶測」でしか語ることができません。

また、引用文献3、4から、「QRコード決済」などの名称で呼ばれる、「スマホ等の端末上のアプリケーションを用いる電子決済」自体が周知技術であったとしても、その「QRコード決済」の分野において、本願発明における技術的思想や処理内容が周知である訳ではありません。」

イ しかしながら、上記(2)で述べたとおり、各種の理由に基づいて、複数種類の商品やカテゴリーについて、クーポンの適用を制限すべき場合があることは、文献を挙げるまでもない周知技術である。

また、複数種類の商品やカテゴリーについて、クーポンの適用を制限すべき場合、クーポンの特典を「受けられない」対象をリストで列挙することは、周知技術であって、特典を「受けられる」対象と「受けられない」対象のどちらをリストで列挙するかは、当業者が適宜採用すべき設計的事項であると認められる。

さらに、一般に、複数項目のデータからなるリストをテーブルとして格納する場合、複数のテーブルに分割して各テーブルを互いに「紐付け」することは、文献を挙げるまでもない周知技術であって、テーブルの分割や統合の程度は、リストのサイズや項目数、リストを管理する手間などを考慮して、当業者が適宜選択すべき設計的事項であると認められる。

そして、上記(3)で述べたとおり、引用発明において、上記相違点1-4に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

ウ また、上記(2)で述べたとおり、引用文献2は、複数種類の商品やカテゴリーについて、クーポンの適用を制限べき場合、クーポンの特典を「受けられない」対象をリストで列挙する周知技術を示す文献であって、「割引除外品」について、店舗端末又は決済サーバ等による「具体的な処理内容」や「技術的な事項」について引用する文献ではない。

エ また、上記(1)で述べたとおり、引用文献3、4は、「QRコード決済」などの、スマートフォン等の利用者端末上のアプリケーションを用いた電子決済方式が周知技術であることを示す文献であって、「QRコード決済」の分野においての、本願発明の「技術的思想や処理内容」について引用する文献ではない。

オ したがって、請求人の上記主張は採用できない。

7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-009602

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