2022-009040
電流検出器
- 審判番号
- 2022-009040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-021335外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月13日
- 審決日
- 2023年04月13日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東洋システム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人創成国際特許事務所
- 分類
- P18 .575-Z (G01R) / P18 .121-Z (G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、令和3年2月12日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年 3月31日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 5日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月13日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和4年6月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年6月13日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
令和4年6月13日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】環状のコイルが外装ケース内に固定された磁気平衡式の電流検出器であって、前記コイルは、測定対象である導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束する環状の磁性体コアと、該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケースと、該コア収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含んで成り、前記外装ケースは、前記導体が挿通される挿通孔と、該挿通孔を囲む環状の空間であって前記コイルを収容するコイル収容空間とを有しており、前記磁性体コアに収束した磁束を検知する磁束検知素子を実装した基板を備え、前記コア収容ケースは、前記基板と前記外装ケースの前記コイル収容空間の内壁面との間に配置され、前記コア収容ケースの外表面から前記基板の方向に突出する突出部であって前記コア収容ケースを該基板に固定する第1突出部が設けられ、前記コア収容ケースの外表面から前記第1突出部が突出する方向の反対側に突出する複数の突出部であって、前記コイル収容空間の内壁面に当接して前記コア収容ケースを該外装ケースに対して支持する第2突出部が設けられ、前記複数の第2突出部それぞれが突出する高さは、該複数の第2突出部それぞれの先端部が前記コイル収容空間の前記内壁面に当接したときに、該内壁面と前記コイルとの間に隙間を形成し、かつ前記コア収容ケースに収容された前記磁性体コアが形成する環と前記外装ケースの前記挿通孔に装着された前記導体とが直交するように位置決めする高さにされていることを特徴とする電流検出器。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】環状のコイルが外装ケース内に固定された磁気平衡式の電流検出器であって、前記コイルは、測定対象である導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束する環状の磁性体コアと、該磁性体コアを直接に被包して該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケースと、該コア収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含んで成り、前記外装ケースは、前記導体が挿通される挿通孔と、該挿通孔を囲む環状の空間であって前記コイルを収容するコイル収容空間とを有しており、前記磁性体コアに収束した磁束を検知する磁束検知素子を実装した基板を備え、前記コア収容ケースは、前記基板と前記外装ケースの前記コイル収容空間の内壁面との間に配置され、前記コア収容ケースの外表面から前記基板の方向に突出する突出部であって前記コア収容ケースを該基板に固定する第1突出部が設けられ、前記コア収容ケースの外表面から前記第1突出部が突出する方向の反対側に突出する複数の突出部であって、前記コイル収容空間の内壁面に当接して前記コア収容ケースを該外装ケースに対して支持する第2突出部が設けられ、前記複数の第2突出部それぞれが突出する高さは、該複数の第2突出部それぞれの先端部が前記コイル収容空間の前記内壁面に当接したときに、該内壁面と前記コイルとの間に隙間を形成し、かつ前記コア収容ケースに収容された前記磁性体コアが形成する環と前記外装ケースの前記挿通孔に装着された前記導体とが直交するように位置決めする高さにされていることを特徴とする電流検出器。」
2 本件補正の目的について
本件補正は、請求項1において、本件補正前の「該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケース」が「該磁性体コアを直接に被包」することを限定したものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件について
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献等
ア 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開2015-194508号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。以下同様である。)
「【0001】本発明は、二次コイルを備えたクローズドループ用トロイダルフラックスゲート電流変換器に関する。【背景技術】【0002】フラックスゲート変換器は、励磁コイルが巻かれた可飽和磁気コアを有し、この励磁コイルは、磁気コアを交互に飽和させる交番磁界を加える。外部磁界の存在下では、可飽和コアの飽和状態にバイアスがかかり、励磁信号の対称性に影響を及ぼす。この非対称性は外部磁界の振幅と相関しているため、外部磁界の振幅の読み取りに用いることができる。磁力計では、フラックスゲート変換器に巻かれた二次コイル(補償コイルとも呼ぶ)またはフラックスゲート変換器に連結した磁気回路に対してフィードバック信号を発生させる電子回路によって、励磁電流が処理される。補償電流は外部磁界の影響を打ち消そうとするため、二次(または補償)電流は、この磁界の大きさを表す。電流変換器では、磁界は一次導体内を流れる一次電流(測定対象の電流)によって生じる。通常一次導体は、磁場変換器が形成する、または磁場変換器に連結した磁気回路を通して配置される。」
「【0023】まず図1a~1dから図面を参照すると、本発明の一実施形態に係る電流変換器2は、筐体4と、筐体内に取り付けたトロイダルフラックスゲート検知ユニット6と、同様に筐体内に取り付けられ、たとえばプリント回路基板7を備え、かつ筐体を通して延在し、電源供給および測定信号出力用の外部回路への接続に用いる電気端子18を有する信号処理回路8とを備える。変換器は、測定対象の電流を伝導する1つの導体または複数の導体20、20a、20bが貫通して延在する中央通路16を備えてもよい。上記測定対象の電流を一次電流と称し、上記導体を一次導体と称する。変換器は、フラックスゲート検知ユニット6の半径方向内側に配置される内側磁気シールド12と、フラックスゲート検知ユニット6の半径方向外側に配置される外側磁気シールド10をさらに備えてもよい。有利には、磁気シールド10、12は、シリコン鋼、パーマロイ、スーパーマロイ、アモルファスまたはナノ結晶合金などの高い透磁率を有する材料の細片または帯状材を折り曲げて作製してもよい。シールドは、押出または鋳造材の円筒形状部で作製してもよいし、シート材を型打ち成形するなどの、別の方法で形成した非円筒形状を有してもよい。外側シールド10は、外部磁界の影響を低減する役割を果たし、特に、電流変換器の周囲または付近に位置する電気導体、電気モータ、およびその他の磁界発生装置による外乱などの、中央通路16の外で発生する磁界の影響を低減する役割を果たす。内側シールド12は、通路16を貫通して延在する一次導体の片寄りの影響を低減するために、中央通路16を貫通して延在する一次導体の磁界を再配分する磁気回路を形成する役割を果たす。【0024】トロイダルフラックスゲート検知ユニット6は、図に示すような閉鎖円形を有してもよいし、1つ以上の一次導体を通す開口を取り巻く正方形、長方形、多角形、楕円形、または規則的もしくは不規則的な形状などの別の閉鎖または略閉鎖形状を有してもよい。【0025】有利には、本発明に係る変換器は、複数の一次導体を流れる電流の合計である、いわゆる差動電流の測定に使用してもよい。たとえば、回路内の漏電を測定するために用いてもよい。たとえば、中央通路16を貫通する閉電気回路の一対の導体は、通常動作時は等振幅で反対方向の電流を有することになり、これらの対向電流によって発生した磁界は互いに打ち消し合う。回路に漏電がある場合、供給電流と戻り電流は振幅が異なるため、その差によって差動電流と相関するゼロでない磁界が生じる。半径方向内側シールド12は、導体が発生させた磁気双極子場を捕えて磁気シールド内で回転させる磁気回路の機能を果たし、各導体の片寄りによる磁界検知ユニット6への影響を低減する。」
「【図1a】[図:0001399009000001.jpg]」
「【図1b】[図:0001399009000002.jpg]」
「【図1c】[図:0001399009000003.jpg]」
「【図1d】[図:0001399009000004.jpg]」
「【0030】ここで、図3を参照し、トロイダルフラックスゲート検知ユニット6をさらに詳細に説明する。検知ユニット6は、32a、32bの二部で構成されるシールド32によって包囲され、さらに、34a、34bの二部を有する誘電シェル34によって包囲され、さらに、補償コイルとしても知られる二次コイル36によって包囲される可飽和コアユニット30を備える。クローズドループ変換器において周知のとおり、二次または補償コイル36は、フィードバックループで可飽和コアユニット30に接続される電子回路によって駆動されるが、二次コイルが駆動されることによって、可飽和コアユニット上で一次導体が発生させた磁界の影響を打ち消そうとする磁界が発生される。二次電流の振幅および方向は一次電流を表わすため、一次電流の測定基準として用いることができ、上記のとおり差動電流としてもよい。【0031】二次コイル36は、絶縁被膜を備える細い導線を誘電シェル34の周囲に巻き付けたもので形成される。したがって、このコイル線を図示しないことで図3の図説を簡略化しているが、この要素36が誘電シェル34の周囲に巻き付くコイルで形成されることが理解される。【0032】可飽和コアユニット30は、有利には細片または帯状材のMetglas2714Aなどの非晶質磁性材料であってもよい可飽和コア38を備え、可飽和コア38は、リング形状のたとえば射出成形させたプラスチック材料からなる誘電支持体40上に取り付けられる。図示のとおり、支持体40は単一部品で構成されることが好ましいが、変換器の組立て中に、互いに固定される2つ以上の部品で構成してもよい。非晶質磁性材料38の細片は、細片の片面に塗布した、または誘電支持体40上に塗布した接着剤で取り付けてもよいし、好ましくは絶縁テープ39上に設けて誘電支持体の外表面42に接着させてもよい。非晶質磁性材料の細片は、両自由端において任意にある程度の重なりをもって支持体上に単層を形成してもよいし、単一の細片を支持体に巻き付けるか複数の別々の細片を積み重ねて、支持体上に2層以上を形成してもよい。」
「【0040】有利には、絶縁シェル34a、34b(当審注:誘電シェル34a、34bの誤記。以下同様。)は、リング形状の絶縁シェルに間隔を置いて分散配置される半径方向フィン59を備える。半径方向フィンは、変換器筐体4内でフラックスゲート検知ユニット6の位置を決める位置決め縁または面を提供すると同時に、絶縁シェルに巻き付けられた二次コイルを横方向に支持する役割を果たす。絶縁シェルには、回路基板8に設けた相補型孔61に受け入れられる位置決め用または固定用の突起60をさらに設けて、検知ユニットに対して回路基板を位置決めし、堅固に保持してもよい。2つの筐体シェル34a、34bは、組み立ての際に自身を互いに固定する係合クリップを備えてもよい。あるいは、または、さらに、超音波溶接などの別の固定または接合手段を用いて、これら2つの絶縁シェル34a、34bを二次コイルおよび可飽和コアユニットの周囲で互いに固定してもよい。」
「【図3】[図:0001399009000005.jpg]」
(イ) 引用文献2から読み取れる事項
a 図1a~図1dから、「筐体4は、中央通路16を囲む環状の空間であって、トロイダルフラックスゲート検知ユニット6を収容する収容空間を有していること」が読み取れる。
b 段落【0023】、【0030】の記載及び図1b、図3から、「誘電シェル34は、プリント回路基板7と筐体4の前記収容空間の内壁面の間に配置されていること」が読み取れる。
c 段落【0040】の記載及び図1c、図3から、「誘電シェル34aには、プリント回路基板7の方向に突出する半径方向フィン59及び突起60の突出する方向の反対側に突出する、前記半径方向フィン59及び突起60と同一形状の半径方向フィン及び突起が複数設けられていること」が読み取れる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)の引用文献2の記載事項及び前記(イ)の引用文献2から読み取れる事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「筐体4と、筐体内に取り付けた閉鎖円形を有するトロイダルフラックスゲート検知ユニット6と、プリント回路基板7と、測定対象の電流を伝導する導体が貫通して延在する中央通路16を備える電流変換器2であって、(【0023】、【0024】)トロイダルフラックスゲート検知ユニット6は、32a、32bの二部で構成されるシールド32によって包囲され、さらに、34a、34bの二部を有する誘電シェル34によって包囲され、さらに、補償コイルとしても知られる二次コイル36によって包囲される可飽和コアユニット30を備え、(【0030】)可飽和コアユニット30は、非晶質磁性材料の可飽和コア38を備え、(【0032】)筐体4は、中央通路16を囲む環状の空間であって、トロイダルフラックスゲート検知ユニット6を収容する収容空間を有し、(引用文献2から読み取れる事項a)誘電シェル34は、プリント回路基板7と筐体4の前記収容空間の内壁面の間に配置され、(引用文献2から読み取れる事項b)誘電シェル34a、34bは、リング形状の誘電シェルに間隔を置いて分散配置される半径方向フィン59を備え、半径方向フィンは、変換器筐体4内でフラックスゲート検知ユニット6の位置を決める位置決め縁または面を提供すると同時に、誘電シェルに巻き付けられた二次コイルを横方向に支持する役割を果たし、誘電シェルには、回路基板8に設けた相補型孔61に受け入れられる位置決め用または固定用の突起60をさらに設けて、検知ユニットに対して回路基板を位置決めして堅固に保持し、(【0040】)誘電シェル34aには、プリント回路基板7の方向に突出する半径方向フィン59及び突起60の突出する方向の反対側に突出する、前記半径方向フィン59及び突起60と同一形状の半径方向フィン及び突起が複数設けられている、(引用文献2から読み取れる事項c)トロイダルフラックスゲート電流変換器。(【0001】)」
イ 引用文献1に記載された技術事項の認定
(ア) 引用文献1の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
原査定の拒絶の理由において引用された特開2018-163051号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、電流の測定に利用される磁気平衡式、磁気比例式等の電流検出器に関する。」
「【0021】〔磁性体コア〕図3は、電流検出器100の分解斜視図である。上記のように電流検出器100は、磁性体コア110及び電流検出回路を有しており、これらがケース本体102内に収容されている。このため、ケース本体102には収容部102gが正面側から背面側に向かって凹み状に形成されており、さらに全体として収容部102gが挿通孔104の周囲で環状をなしている。磁性体コア110は、ちょうど挿通孔104を取り巻くようにして収容部102g内に収容されている。本実施形態では、磁性体コア110が二次巻線110cを有するタイプであり、図3に示される外形のほとんどは二次巻線110cが占めている。磁性体コア110は、二次巻線110cの内側に磁性材料からなるリングコア(例えばトロイダルリング:図3では視認されない)を有しており、その一部にエアギャップが形成されている。このエアギャップ内にスペーサ110aを介して図示しないホール素子が配置されている。【0022】〔電流検出回路〕また、電流検出器100はベースプレート112及び回路基板114を有しており、これらベースプレート112及び回路基板114もまた、磁性体コア110とともにケース本体102の収容部102g内に収容されている。回路基板114には、上記のコネクタ108やホール素子とともに各種の電子部品が実装されることで電流検出回路が形成されている。【0023】ベースプレート112は中央に開口112aが形成されており、この開口112a内に挿通孔104周囲の壁板部102dを受け入れ可能である。また、回路基板114はベースプレート112の開口112aに合わせた切欠(符号なし)を有している。ベースプレート112は、収容部102g内にて磁性体コア110と回路基板114との間に位置しており、ベースプレート112に対して磁性体コア110と回路基板114が両面から取り付けられている。そして、ベースプレート112がケース本体102に固定されることで、磁性体コア110及び回路基板114がベースプレート112を介して収容部102g内にて位置決めされるものとなっている。図3ではポッティング樹脂106の図示を省略しているが、収容部102g内に磁性体コア110、ベースプレート112及び回路基板114が全て収容された状態で、その余の隙間にポッティング樹脂106が充填されるものとなっている。」
「【図3】[図:0001399009000006.jpg]」
(イ) 引用文献1に記載された技術事項の認定
前記(ア)の引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の技術事項(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献1に記載された技術事項]
「磁気平衡式の電流検出器であって、(【0001】)磁性体コア110及び電流検出回路を有し、磁性体コア110は、ちょうど挿通孔104を取り巻くようにして収容部102g内に収容され、二次巻線110cの内側に磁性材料からなるリングコアを有しており、(【0021】)回路基板114には、ホール素子とともに各種の電子部品が実装されることで電流検出回路が形成されている、(【0022】)電流検出器100。」
ウ 引用文献10、11の記載事項及び周知技術の認定
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 引用文献10の記載事項
当審において新たに引用する、本願出願前に発行された実願昭60-184424号(実開昭62-92622号)のマイクロフィルム(以下「引用文献10」という。)には、次の事項が記載されている。
「この考案はギャップを有する環状鉄心間にホール素子を挿入して電流或は磁場の強さ等を測定するホール素子変流器の鉄心保護ケースに関するものである。」(2ページ3行~6行)
「以下,図面に示した実施例に沿い説明する。第1図は本考案を実施したホール素子変流器の分解斜視図,第2図は同組立状態を示す要部斜視図である。図において,鉄心保護ケース1は鉄心装入部2を有するように環状に形成されると共に,その内側面31,32には対向するように突起41,42が形成されている。5はギャップ6を有する環状鉄心で,前記鉄心装入部2内に装入可能に鉄心装入部2と同一若しくはやや小さく形成されている。」(3ページ17行~4ページ7行)
「[図:0001399009000007.jpg]」
(イ) 引用文献11の記載事項
当審において新たに引用する、本願出願前に発行された特開平9-281152号公報(以下「引用文献11」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0020】このような本発明の実施の形態に係る電流センサ装置は図1に示すように、蓋部1と、当該電流センサ装置内に収納されるコア2と、上記コア2を収納する収納部3とで構成されたボビンを有している。」
「【0025】次に、上記コア2は、上面が「略Cの字状」の板状コア2aを複数枚積層して形成されるようになっている。この板状コア2aの外径は、上記収納部3の内径と略々同じ径で、該板状コア2aの内径は、上記円筒部7の外形と略々同じ径を有している。また、この板状コア2aには、一部を切り欠くようにして設けられた間隙部2bが設けられている。この間隙部2bの幅は、上記収納部3に設けられたホール素子保持部9の短手方向の長さと略々同じとなっている。このため、上記板状コア2aは、上記収納部3のコア収納用間隙部8に隙間なく収納される形状となっている。【0026】次に、このような構成を有する当該実施の形態に係る電流センサ装置の組み立て工程の説明をする。この電流センサ装置の組み立て工程は、大きくわけてホール素子及び板状コア2aを収納して上記ボビンを組み立てる該ボビンの組み立て工程と、この組み立てたボビンに対して巻線処理を施す巻線工程とからなっている。【0027】まず、上記ボビンの組み立て工程は、図1に示すように上記板状コア2aの間隙部2bにより上記収納部3のホール素子保持部9が挟持され、該板状コア2aの内径を形成する被貫通孔2cが上記収納部3の円筒部7により貫通されるように、該板状コア2aを収納部3のコア収納用間隙部8に複数枚積層して収納する。上述のように、各板状コア2aは、それぞれ上記収納部3のコア収納用間隙部8に隙間なく収納される形状を有しているため、このようにして各板状コア2aをコア収納用間隙部8に収納することにより、該板状コア2aの間隙部2bが上記ホール素子保持部9に沿って揃ったかたちで整列積層されることとなる。」
「【図1】[図:0001399009000008.jpg]」
「【図2】[図:0001399009000009.jpg]」
(ウ) 周知技術の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献10及び11の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認められる。
<周知技術>
「磁性体のコアを用いる電流検出器において、コア自体を収容容器に隙間なく直接収容すること。」
エ 引用文献6の記載事項及び技術常識の認定
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 引用文献6の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開平3-18765号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
「[産業上の利用分野]本発明は、被測定導体をクランプした時の被測定導体と磁気コアの位置の変化による測定値の変化を補正して出力するクランプ電流計に関する。[従来の技術]従来、磁気コアと磁気センサーの組み合わせによるクランプ電流計では1ないし2個の磁気センサーを磁気コアの磁路内に配して、その出力をA/D変換等によって表示素子に数値を表示させていた。[発明が解決しようとする課題]しかし、被測定導体の周辺に発生する磁界の強さは、被測定導体からの距離の二乗に反比例するため、被測定導体が磁気コアの中心に有って磁気コア内の磁界強度が一定している場合と、被測定導体が磁気コアの中心から外れたために磁気コア内の磁界強度が不均一となった場合では、磁気センサーからの出力値に差を生じてしまい、正確な測定を行なうためには、常に被測定導体を磁気コアの中心に来る様にし、かつ、直交する様に注意しなければならなかった。」(1ページ左欄下から4行目~同右欄下から3行目)
(イ) 技術常識の認定
前記(ア)に摘記した引用文献6の記載からも分かるように、次の事項は技術常識であると認められる。
<技術常識>
「被測定導体の周辺に発生する磁界の強さを磁気コアを用いて検出し、被測定導体を流れる電流を測定する電流計においては、被測定導体と磁気コアが直交するように位置決めする必要があること。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)a 次の引用発明の欄に記載した引用発明の各構成は、それぞれ、対応する本件補正発明の欄に記載した次の本件補正発明の構成に相当する。
<引用発明> <本件補正発明>
筐体4 外装ケース
プリント回路基板7 基板
導体 導体
中央通路16 挿通孔
b(a) 引用発明の「非晶質磁性材料の可飽和コア38」は、「閉鎖円形を有するトロイダルフラックスゲート検知ユニット6」が備えるものであるから、「閉鎖円形を有する」ことは明らかであって、本件補正発明の「環状の磁性体コア」に相当するといえる。
(b) 引用発明の「誘電シェル34」は「非晶質磁性材料の可飽和コア38」を間接的に包囲しており、本件補正発明の「該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケース」とは、「該磁性体コアを収容する環状の収容ケース」である点で共通する。
(c) 引用発明の「誘電シェルに巻き付けられた二次コイル」は、本件補正発明の磁性体コアを収容する前記環状の収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線である点で共通する。
(d) そうすると、引用発明における「可飽和コア38」と、「該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケース」と、「誘電シェルに巻き付けられた二次コイル」を備える「トロイダルフラックスゲート検知ユニット6」と、本件補正発明における「測定対象である導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束する環状の磁性体コアと、該磁性体コアを直接に被包して該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケースと、該コア収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含む」「コイル」は、磁性体コア及び該磁性体コアを収容する環状の収容ケースと、該収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含む「コイル」である点で共通する。
(イ)a 引用発明においては「閉鎖円形を有するトロイダルフラックスゲート検知ユニット6」が「筐体内に取り付け」られたことは、前記(ア)を踏まえると、本件補正発明において「環状のコイルが外装ケース内に固定された」ことに相当する。
b 引用発明の「電流変換器2」は「導体」を「伝導する」「電流を」「測定対象」とするものであるから、本件補正発明の「電流検出器」に相当する。
c 前記a及びbをまとめると、本件補正発明と引用発明は「環状のコイルが外装ケース内に固定された」「電流検出器」である点で共通する。
(ウ) 前記(ア)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は「前記コイル」は、「環状の磁性体コアと、」「該磁性体コアを収容する環状の収容ケースと、該収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含んで成[る]」点で共通する。
(エ) 引用発明は「筐体4は、中央通路16を囲む環状の空間であって、トロイダルフラックスゲート検知ユニット6を収容する収容空間を有[する]」から、前記(ア)も踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記外装ケースは、前記導体が挿通される挿通孔と、該挿通孔を囲む環状の空間であって前記コイルを収容するコイル収容空間とを有して[いる]」点において一致する。
(オ) 引用発明は「誘電シェル34は、プリント回路基板7と筐体4の前記収容空間の内壁面の間に配置され[る]」から、前記(ア)も踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記収容ケースは、前記基板と前記外装ケースの前記コイル収容空間の内壁面との間に配置され[る]」点で共通する。
(カ) 引用発明は「誘電シェル34a、34bは、リング形状の誘電シェルに間隔を置いて分散配置される半径方向フィン59を備え、半径方向フィンは、変換器筐体4内でフラックスゲート検知ユニット6の位置を決める位置決め縁または面を提供[し]」「回路基板8に設けた相補型孔61に受け入れられる位置決め用または固定用の突起60をさらに設けて、検知ユニットに対して回路基板を位置決めして堅固に保持[される]」から、前記(ア)も踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記収容ケースの外表面から前記基板の方向に突出する突出部であって前記収容ケースを該基板に固定する第1突出部が設けられ[る]」点において共通する。
(キ) 引用発明は「誘電シェル34aには、プリント回路基板7の方向に突出する半径方向フィン59及び突起60の突出する方向の反対側に突出する、前記半径方向フィン59及び突起60と同一形状の半径方向フィン及び突起が複数設けられている」から、前記(ア)bを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記収容ケースの外表面から前記第1突出部が突出する方向の反対側に突出する複数の第2突出部が設けられ[ている]」点において共通する。
イ 一致点及び相違点の認定
上記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
(ア) 一致点
「環状のコイルが外装ケース内に固定された電流検出器であって、前記コイルは、環状の磁性体コアと、該磁性体コアを収容する環状の収容ケースと、該収容ケースに巻き付けられて該環状のコイルを形成する導電性の巻線と、を含んで成り、前記外装ケースは、前記導体が挿通される挿通孔と、該挿通孔を囲む環状の空間であって前記コイルを収容するコイル収容空間とを有しており、基板を備え、前記収容ケースは、前記基板と前記外装ケースの前記コイル収容空間の内壁面との間に配置され、前記収容ケースの外表面から前記基板の方向に突出する突出部であって前記コア収容ケースを該基板に固定する第1突出部が設けられ、前記収容ケースの外表面から前記第1突出部が突出する方向の反対側に突出する複数の第2突出部が設けられる、電流検出器。」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明は「磁気平衡式の」電流検出器であって、「環状の磁性体コア」が「測定対象である導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束[し]」、基板が「前記磁性体コアに収束した磁束を検知する磁束検知素子を実装」し、収容ケースが「磁性体コアを直接に被包するコア収容ケース」であるのに対して、
引用発明は「トロイダルフラックスゲート」タイプのものであり、「可飽和コア38」が、導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束することは明示されておらず、プリント回路基板7は磁束検知素子を備えず、引用発明のコア収容ケースである誘電シェル34は「シールド32」などを介して可飽和コア38(本願の「磁性体コア」に相当する。)を包囲するものである点。
b 相違点2
本件補正発明においては、「第2突出部」が「前記コイル収容空間の内壁面に当接して前記コア収容ケースを該外装ケースに対して支持する」ものであって、「前記複数の第2突出部それぞれが突出する高さは、該複数の第2突出部それぞれの先端部が前記コイル収容空間の前記内壁面に当接したときに、該内壁面と前記コイルとの間に隙間を形成し、かつ前記コア収容ケースに収容された前記磁性体コアが形成する環と前記外装ケースの前記挿通孔に装着された前記導体とが直交するように位置決めする高さにされている」のに対し、引用発明では「プリント回路基板7の方向に突出する半径方向フィン59及び突起60の突出する方向の反対側に突出する、前記半径方向フィン59及び突起60と同一形状の複数の半径方向フィン及び突起」の機能が不明であり、また「二次コイル」の高さ及びそれにより位置決めされる「可飽和コア38」と「導体」の角度関係は不明である点。
(4) 判断
ア 相違点について
(ア) 相違点1について
a(a) 前記(2)イ(イ)で認定したように、引用文献1には次の技術事項が記載されている。
「磁気平衡式の電流検出器であって、磁性体コア110及び電流検出回路を有し、磁性体コア110は、ちょうど挿通孔104を取り巻くようにして収容部102g内に収容され、二次巻線110cの内側に磁性材料からなるリングコアを有しており、回路基板114には、ホール素子とともに各種の電子部品が実装されることで電流検出回路が形成されている、電流検出器100。」
(b) 引用文献1に記載された技術事項は、引用発明と同様に、リング状の磁性体コアを用いて当該リングを貫通する導体に流れる電流を検出するものであって、用途・機能を共通するものであり、引用発明の電流検出手段に換えて、引用文献1に記載された技術事項のような、二次巻線とリングコア、及びホール素子を実装した回路基板を備えるものを採用することは、当業者にとっては、設計変更にすぎず、容易になし得たことである。
b なお、引用文献1に記載された技術事項は、本件補正発明と同様の原理に基づいて電流検出を実現するものであるから、前記「磁性体コア110」が「測定対象である導体に流れる電流が生じさせる磁束を収束[する]」機能を奏することは明らかといえる。
c また、前記引用文献1に記載された技術事項の採用に伴い、引用発明における「トロイダルフラックスゲート検知ユニット6」のうち「非晶質磁性材料の可飽和コア38」及び「誘電シェルに巻き付けられた二次コイル」を除く、「シールド32」などの構成は不要となることが明らかであり、また、磁性体のコアを用いる電流検出器において、コア自体を収容容器に隙間なく直接収容することは、前記(2)ウ(ウ)で認定したように周知技術であるから、「シールド32」などの構成を除いて「非晶質磁性材料の可飽和コア38」を「誘電シェル」により直接に被包する構成とすることは、電流検出部の具体的な設計において当業者が検討すべき設計事項の範囲内のものである。
d 以上のとおりであるから、相違点1は格別のものではなく、引用発明において相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、設計事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ) 相違点2について
a(a) 引用文献2の段落【0040】には、前記「プリント回路基板7の方向に突出する半径方向フィン59及び突起60」が位置決め及び固定用の構造であることが記載されており、これらと同一形状である、それらの「反対側に突出する半径方向フィン及び突起」も同様の機能を奏するものであることは、合理的に推測できる。
(b) また、前記(2)エ(イ)で認定したように、「被測定導体の周辺に発生する磁界の強さを磁気コアを用いて検出し、被測定導体を流れる電流を測定する電流計においては、被測定導体と磁気コアが直交するように位置決めする必要があること」は技術常識である。
b(a) これらを踏まえると、引用発明において、前記「反対側に突出する半径方向フィン及び突起」が「前記内壁面に当接して、「導体」と「可飽和コア38」が直交するような高さとなるように、誘電シェル34bを筐体4に対して位置決め及び固定[する]ようにすることは、当然配慮されるべき事項といえる。
(b) そして、そのような高さに設定した場合、「半径方向フィン及び突起」の突出する高さが「トロイダルフラックスゲート検知ユニット6」の「誘電シェルに巻き付けられた二次コイル」よりも高く、内壁面と二次コイルの間に隙間を形成するようなものとなることは明らかである。
c 以上のとおりであるから、相違点2は格別のものではなく、引用発明において相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、当然の配慮事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。
(ウ) 総合評価
相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、当業者が当該構成のものとしては予測困難であり、かつ、格別顕著なものを認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1に記載された技術事項及び技術常識に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
イ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
折りたたみ中(クリックで表示)
審判請求書において、請求人は概略次のように主張している。
a 引用文献2の技術においては、誘電筐体シェル34と可飽和磁気コア38との間には、誘電支持体40及び磁気シェル32が介在している。このように、誘電筐体シェル34は可飽和磁気コア38(本願の磁性体コア21に相当)を直接に被包していないため、引用文献2の誘電筐体シェル34は、本願の「磁性体コアを直接に被包して磁性体コアを収容するコア収容ケース」に該当しない。
b そして、誘電筐体シェル34が「磁性体コアを直接に被包して磁性体コアを収容するコア収容ケース」に該当しないのであるから、誘電筐体シェル34の半径方向フィン59は、本願の第1突出部、第2突出部のいずれにも該当しない。
c また引用文献2の誘電支持体40が本願のコア収容ケースと想定したとしても誘電支持体40は半径方向フィン46を備えているものの、半径方向フィン46と基盤8(本願の基板に相当)との間及び、半径方向フィン46と変換機の取付面17(本願の外装ケースのコイル収容空間の内壁面に相当)との間には磁気シェル32及び誘電筐体シェル34が介在しているため、半径方向フィン46は、誘電支持体40を基盤8に固定しておらず、変換機の取付面17に当接して誘電支持体40を筐体に対して支持することもない。
d したがって誘電支持体40は本願のコア収容ケースに該当せず、半径方向フィン46は本願の第1突出部、第2突出部のいずれにも該当しない。
(イ) 請求人の主張についての検討
折りたたみ中(クリックで表示)
a 請求人は、引用文献2に記載の技術においては、誘電筐体シェル34は可飽和磁気コア38を直接に被包しておらず、本願の「磁性体コアを直接に被包して磁性体コアを収容するコア収容ケース」に該当せず、また誘電筐体シェル34の半径方向フィン59は、本願の第1突出部、第2突出部のいずれにも該当しない旨を主張している。
b(a) しかしながら、前記ア(ア)において検討したように、誘電筐体シェル34が可飽和磁気コア38を直接に被包するように構成することは、引用発明に引用文献1に記載された技術事項を採用する際における設計事項である。
(b) また、前記ア(イ)において詳述したように、前記「反対側に突出する半径方向フィン及び突起」が「前記内壁面に当接して、「導体」と「可飽和コア38」が直交するような高さとなるように、誘電シェル34bを筐体4に対して位置決め及び固定していること」は、本件補正発明の「第2突出部」に相当するものであるところ、当業者によって当然に配慮されるべき事項である。
(c) そして、「可飽和磁気コア38」を直接に被包する「誘電筐体シェル34」、「半径方向フィン59及び突起60」、それらの「反対側に突出する半径方向フィン及び突起」を備えることにより、コイルの巻き状態によって配置に影響を受けない位置決めがなされることは明らかといえる。
(d) 以上のとおりであるから、請求人の前記主張は、採用することができない。
(5) 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、令和4年2月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に係る拒絶の理由1の概略は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献2に記載された発明、下記の引用文献1に記載された技術事項、及び、下記の引用文献6に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2018-163051号公報
引用文献2.特開2015-194508号公報
引用文献6.特開平3-18765号公報(周知技術を示す文献)
3 引用文献に記載された事項等
前記引用文献1、2、6には、前記第2の2(2)において認定したとおりの引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び技術常識が記載されていると認められる。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「該磁性体コアを収容する環状のコア収容ケース」について、「該磁性体コアを直接に被包」するという限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の2において説示したとおり、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-009040