特許拒絶査定不服審判
2025-005792
試験サイト固有のシグナリングを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ及び方法
- 審判番号
- 2025-005792
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-507343
- 請求日
- 2025年04月16日
- 審決日
- 2026年06月26日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アドバンテスト
- 【請求人代理人】森下 賢樹
- 【請求人代理人】村田 雄祐
- 【請求人代理人】三木 友由
- 【請求人代理人】真家 大樹
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 井海田 隆
- 審判官 柳 重幸
- 分類
- P18 .121-Z (G01R) / P18 .561-Z (G01R) / P18 .575-Z (G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-507343「試験サイト固有のシグナリングを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月10日国際公開、WO2022/029205、令和 5年 8月28日国内公表、特表2023-536606〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)8月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年8月4日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 2月 1日 :翻訳文の提出
同年12月28日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月 9日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月29日付け:拒絶理由通知書
同年12月 4日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和7年 1月21日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
以下、2020年(令和2年)8月4日を「優先日」という。
第2 令和7年4月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年4月16日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和7年4月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年12月4日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「【請求項1】
複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、
前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含み、
前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度情報に基づいて、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローを個別に適合させるように構成される、
自動試験機器。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、
前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含み、
前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づいて、前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整するように構成される、
自動試験機器。」
2 補正の内容について
本件補正の内容を整理すると、補正は次の補正事項に分けられる。
(1) 「試験フロー」を「個別に適合させる」ことについて、「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度情報に基づ[く]」としていたものを、「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づ[く]」と限定すること(以下「補正事項1」という。)
(2) 「試験フロー」を「個別に適合させる」ことに係る「試験」を「複数の試験サイトに共通の試験」に限定すること(以下「補正事項2」という。)
(3) 「試験フロー」を「個別に適合させる」ことに係る「適合」の内容を、「試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整する」ことへと限定すること(以下「補正事項3」という。)
3 新規事項の追加の有無についての当審の判断
(1) 新規事項の追加の有無についての当審の判断の概要
本件補正後の請求項1の記載は、補正事項2及び3より、自動試験機器が「前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整する」という発明特定事項を備えるものとなった。
しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、自動試験機器が「前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整する」ことは記載も示唆もされていないから、本件補正は、以下(2)において詳細に説示するとおり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
(2) 新規事項の追加の有無についての当審の判断
以下では、当初明細書等に、自動試験機器が「前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整する」ことが記載又は示唆されているか否かを検討するため、当初明細書等の記載から、以下に示す構成1~3が記載又は示唆されているか否かを検討する。
<構成1>
自動試験機器が「複数の試験サイトに共通の試験」を行っていること
<構成2>
「共通の試験」において(2つのサブ試験の間に調整し得る遅延時間がある)「試験フロー」が実施されていること
<構成3>
「試験フロー」に「2つのサブ試験」が存在し、自動試験機器が「2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整」していること
ア 当初明細書等に記載された事項
(ア) 当初明細書等には、自動試験機器が行う「試験」の「調整」に関し、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。
a 「【0038】
したがって、双方向専用リアルタイムインターフェースであるインターフェースは、例えば、前述したように、テスタハンドラとデバイスとの間のリアルタイム制御ループを可能にする相乗効果を可能にする。加えて、かかるループは、伝送される情報、例えば、ハンドラによって提供される測定データ、及び自動試験機器によって決定及び提供される適合情報に基づいて、実行時に、試験フローを適合させるために使用されてもよい。」
b 「【0047】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態によれば、自動試験機器は、シグナリング、例えばハンドラからのシグナリングに応答して、例えば試験を中断することによって、かつ/又は電源を停止することによって、かつ/又は異なる試験を選択することによって、かつ/又はクロック周波数、供給電圧などの1又は複数の試験パラメータを修正することによって、試験フローを適合させるように構成される。
【0048】
反応は、例えば、リアルタイムで行ってもよい。例えば、被試験デバイスの熱ホットスポット(又は更には熱暴走)は、その電力供給を停止することによって停止されてもよい。更に、ハンドラからのシグナリングに従って試験サイクルを適合させることができる。異なる挙動を有する試験刺激に応答するデバイスは、品質の異なるカテゴリに分類されてもよく、例えば、異なる方法で更に試験されてもよい。試験フローの適合により、試験手順の効率及び柔軟性を増加させることができる。したがって、試験コストも低減することができる。」
c 「【0111】
本発明の第2の態様に係る更なる実施形態によれば、リアルタイムハンドラインターフェースは、ハンドラの較正、例えば自己較正のタイミングを決定するために、例えば同期シグナリングとして較正タイミング情報をハンドラに伝送するように構成され、較正は、例えば試験フローと同期して、例えば試験フローの所定の段階で実行される。」
d 「【0122】
本発明の第2の態様に係る更なる実施形態によれば、同期シグナリングは、例えば、ハンドラに試験フローについて知らせるために、かつ/又はハンドラの測定をスケジュールするために、かつ/又は予測温度制御、例えば、「P1」又は「P2」をトリガするために、例えば、試験サイト固有の試験状態情報又はデバイス状態情報を含む。」
e 「【0167】
本発明の第3の態様に係る更なる実施形態によれば、自動試験機器は、複数の試験サイトに対する単一の、例えば共通のトリガ、例えばプレトリガのシグナリングと、例えば単一の共通のトリガシグナリングによって定義されるトリガイベントと、異なる試験サイトに対して実行される熱的前処理動作の開始との間の遅延を記述する異なるサイト固有の遅延情報とを提供するように構成される。
【0168】
データ伝送効率は、ベース信号及び試験サイト依存適合信号、又はベース情報及び試験サイト依存情報を伝送することによって改善され得る。共通トリガ、例えば、試験又は試験シーケンスの開始に関する情報が伝送されてもよく、例えば、複数の被試験デバイスに供給電圧が提供される。例えば、電力ピークのタイミング情報、又はデバイスの刺激に関するより詳細な情報が、サイト固有の遅延情報を介してハンドラに提供されてもよく、例えば、ハンドラには、温度を測定する際、又は特定の被試験デバイスを冷却若しくは加熱する際の情報が提供される。」
f 「【0175】
本発明の第3の態様に係る更なる実施形態によれば、ハンドラは、複数の試験サイトに対する単一の、例えば共通のトリガ、例えばプレトリガのシグナリングと、例えば単一の共通のトリガシグナリングによって定義されるトリガイベントと、異なる試験サイトに対して実行される熱的前処理動作の開始との間の遅延を記述する異なるサイト固有の遅延情報とを、自動試験機器からテスタインターフェースを介して受信するように構成される。」
g 「【0281】
ハンドラは、被試験デバイス152、154、156、158の温度情報をリアルタイムで自動試験機器110に伝送することができる。自動試験機器110は、例えば被試験デバイスの過熱を防止するために、例えば試験プロセスを適合させることによって、この情報を考慮することができる。試験フローは、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の冷却時間が2つのサブ試験の間で増加され得るように適合されてもよい。加えて、トリガシグナリング122は、例えばハンドラ130に温度管理戦略を適合させるように命令するために、受信したシグナリング142に基づいて適合されてもよい。」
h 「【0291】
所望により、自動試験機器110は、ハンドラ130から試験サイト固有のシグナリングを受信するように構成することができる。ハンドラは、テスタインターフェース140を介して自動試験機器に試験サイト固有のシグナリングを提供するように構成されてもよい。その結果、前述した任意の特徴、例えば冷却戦略の個々の適合、電力シャットダウン、遅延時間適合を、それぞれ特定の被試験デバイス又は試験サイトに対して個々に実行することができる。」
イ 補正事項2及び3が新規事項を導入するものであることについて
(ア) 直接の記載の有無について
前記ア(ア)a~hの摘記(【0038】、【0047】~【0048】、【0111】、【0122】、【0167】~【0168】、【0175】、【0281】、【0291】)に見られるように、当初明細書には、構成1~3の直接的な記載は存在しない。もっとも、前記ア(ア)g(【0281】)には、試験プロセスの適合の一例として、「試験フローは、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の冷却時間が2つのサブ試験の間で増加され得る」と記載されており、前記ア(ア)h(【0291】)には、「冷却戦略の個々の適合」と、「遅延時間適合」が並び列記されているのだから、「試験フロー」に「2つのサブ試験」が存在し、自動試験機器が「2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整」していること、つまり、構成3については記載されているといえる。
(イ) 構成1の実質的な記載の有無について
前記ア(ア)e(【0167】~【0168】)及び前記ア(ア)f(【0175】)には、「複数の試験サイトに対する単一の、例えば共通のトリガ、例えばプレトリガのシグナリング」及び「共通トリガ、例えば、試験又は試験シーケンスの開始に関する情報」が記載されている。
そうすると、当初明細書等には、複数の試験サイトに対して単一の、又は共通のトリガシグナリングが提供され得ること、及び、当該共通トリガが試験又は試験シーケンスの開始に関する情報であり得ることは記載されているといえる。
しかしながら、前記ア(ア)e及びfに記載された「共通」の対象は、あくまで「トリガ」又は「トリガシグナリング」であって、「試験」自体ではない。また、前記ア(ア)eには、共通トリガによって定義されるトリガイベントと、異なる試験サイトに対して実行される熱的前処理動作の開始との間の遅延を記述する異なるサイト固有の遅延情報を提供することが記載されているにとどまり、複数の試験サイトにおいて実行される試験内容が共通であること、すなわち「複数の試験サイトに共通の試験」が行われることまでは記載されていない。
つまり、前記ア(ア)e及びfの記載は、複数の試験サイトに対して共通のトリガを用いつつ、異なる試験サイトごとに異なる遅延情報を用いることを示すものであって、複数の試験サイトにおいて共通の試験が実施されることを直接的又は一義的に導くものではない。
したがって、当初明細書等には、複数の試験サイトに対して単一の、又は共通のトリガシグナリングを提供することまでは記載されているといえるが、自動試験機器が「複数の試験サイトに共通の試験」を行っていることまでは記載されているとはいえない。
(ウ) 構成2の実質的な記載の有無について
前記ア(ア)a(【0038】)には、ハンドラによって提供される測定データ及び自動試験機器によって決定、提供される適合情報に基づいて、実行時に試験フローを適合させることが記載されている。また、前記ア(ア)b(【0047】~【0048】)には、自動試験機器が、ハンドラからのシグナリングに応答して、試験を中断すること、電源を停止すること、異なる試験を選択すること、又は試験パラメータを修正することによって、試験フローを適合させることが記載されている。さらに、前記ア(ア)c(【0111】)には、較正が試験フローと同期して試験フローの所定の段階で実行されることが記載され、前記ア(ア)d(【0122】)には、同期シグナリングがハンドラに試験フローについて知らせるための試験サイト固有の試験状態情報又はデバイス状態情報を含むことが記載されている。
そうすると、当初明細書等には、自動試験機器において「試験フロー」が存在し、当該試験フローが適合され得ること、及び、試験フローに関連して同期、較正、測定スケジュール又は予測温度制御が行われ得ることは記載されているといえる。
しかしながら、前記ア(ア)a~dのいずれの記載も、試験フロー一般について述べるものにすぎず、当該試験フローが「複数の試験サイトに共通の試験」において実施されるものであることを示す記載は存在しない。また、前記(イ)で述べたとおり、当初明細書等には、そもそも「複数の試験サイトに共通の試験」が記載されているとはいえないから、当該「共通の試験」において「試験フロー」が実施されていることも、当初明細書等の記載から導くことはできない。
さらに、前記ア(ア)e(【0167】~【0168】)及びf(【0175】)の「共通トリガ」は、試験又は試験シーケンスの開始に関する情報として記載されているにとどまり、当該共通トリガによって開始される試験又は試験シーケンスが、補正後の請求項1にいう「複数の試験サイトに共通の試験」であって、その中で特定の試験サイト又は被試験デバイスの(2つのサブ試験の間に調整し得る遅延時間がある)「試験フロー」が実施されることまでは記載されていない。
そもそも「試験」が「共通」であるというからには、当該「試験」を実施するための「試験フロー」も共通なものであると考えるのが自然であって、2つのサブ試験の間の遅延時間を「個別に調整」するように構成される「試験フロー」はもはや「共通」なものであるといえないから、構成2の「試験」の「共通」性と構成3の「調整」の「個別」性とは、もとより相容れない概念であって、その点からみても構成2に係る事項が当初明細書等に記載されているとはいえないのは明らかである。
したがって、当初明細書等には、自動試験機器において「試験フロー」が存在し、これを測定データによって決定される情報に基づいて「適合」させ得ることは記載されているといえるが、「複数の試験サイトに共通の試験」において(2つのサブ試験の間に調整し得る遅延時間がある)「試験フロー」が実施されていることまでは記載されているとはいえない。
(エ) 小括
以上のとおり、当初明細書等には、構成3については記載されているといえるが、構成1及び構成2は記載されていない。
当初明細書等の記載から把握できる技術的事項は、複数の試験サイトに対して共通のトリガシグナリングを提供し、試験フローを適合させ得ること、及び、2つのサブ試験の間の冷却時間を増加させ得ること、さらに、遅延時間適合を特定の被試験デバイス又は試験サイトに対して個々に実行し得ることにとどまる。
これに対し、本件補正後の請求項1は、これらの個別の記載を組み合わせた上で、さらに、自動試験機器が「複数の試験サイトに共通の試験」において、特定の試験サイト又は当該試験サイトに配置された被試験デバイスの「試験フロー」における「2つのサブ試験の間の遅延時間」を「個別に調整」するという、一体の構成を特定するものである。
しかし、当初明細書等には、かかる一体の構成を直接的に記載した箇所はなく、また、当初明細書等の全ての記載を総合しても、当該構成が自明な事項として導かれるとはいえない。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものではなく、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
4 補正の目的について
本件補正のうち請求項1に係る補正は、前記2(1)~(3)に補正事項1~3として示したように、補正前の請求項に係る構成を限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
5 独立特許要件の判断
本件補正は、前記3(2)イのとおり、新規事項を導入するものではあるが、仮に当該補正事項が当初明細書等に記載された事項の範囲内のものであったとすると、前記4のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Bまでに分説する。また、参考図として、本願の【図3】に部材名を記入したもの、【図10】及び【図18】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
X 複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、
A 前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含み、
B 前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づいて、前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整するように構成される、
X 自動試験機器。
<参考図>
【図3】
[図:0001438954000001.jpg]
【図10】
[図:0001438954000002.jpg]
【図18】
[図:0001438954000003.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、試験サイト固有のシグナリングを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ、及び方法に関する。
【0002】
本発明に係る更なる実施形態は、例えば、トリガ、例えば、プレトリガ信号を使用する、高速同期及びデータ交換を伴う能動的温度制御に関する。本発明に係る更なる実施形態は、高速同期及びデータ交換を伴う能動的温度制御に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、MPU(例えば、マイクロプロセッサ)、GPU(例えば、グラフィックス処理ユニット)、及びMCU(例えば、マイクロコントローラ)などの複雑なデジタルデバイス(例えば、被試験デバイス(DUT)として機能し得る)は、多くの電力を消費する可能性がある。電力消費及びデバイス温度プロファイルは、例えば、試験全体を通して、例えば、自動試験機器(ATE)を用いた試験全体を通して変動する可能性があり、例えば、試験サイトに依存する可能性もある。一部の場合では、例えば、「平坦な」及び/又は予測可能な温度プロファイルを有するこれらのデバイスを試験するために、正確な温度制御が重要であり得るか、又は必須でさえあり得る。
【0004】
加えて、良好な精度及び少ない時間労力で試験を実施可能な試験機器を提供することが重要であり得る。例えば、配線の複雑さ及び手間が少ないことが有益となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、温度制御効率、試験精度、及び試験機器の複雑さの間のより良好な妥協を可能にする概念を得ることが望ましい。」
「【0031】
本発明の第1の態様に係る実施形態の概念を、自動試験機器との関連で以下に説明する。基本的な考え方は、かかる自動試験機器及び/又はハンドラとともに使用するための対応するハンドラ及び方法についても同様に理解されるべきである。したがって、自動試験機器に関して本明細書で論じた特徴、機能、及び詳細のいずれも、所望により、自動試験機器用、ハンドラ用、試験システム用、又は試験セル用のハンドラ、試験システム、試験セル、及び/又は方法において(例えば、同一又は類似の方法で)、個々に、かつ組み合わせて使用することができる。
【0032】
実施形態によれば、自動試験機器は、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを含み、当該インターフェースは、温度制御機能をトリガするためにハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成される。
【0033】
インターフェースがリアルタイムインターフェースである場合、温度制御のための情報を伝送することができ、その結果、特定の仕様、例えば温度限界による即時の反応が可能である。すなわち、実行時のデータ交換が可能であり得る。かかるシグナリングのレイテンシは、ある時間制限未満、例えば、1ms未満であり得る。これにより、情報伝送の高速化による温度制御の高精度化を図ることができる。かかるリアルタイム能力を提供するために、インターフェースは、例えば、試験ヘッドとハンドラとの間に直接配置することができる追加のインターフェースであってもよい。本発明者らは、他のインターフェース、例えば、従来のインターフェースよりも高速であり得るかかるインターフェースが、例えば、実行時に、リアルタイム試験適合を可能にすることを認識した。これにより、試験の精度及び効率を高めることができる。被試験デバイスの熱ホットスポット(又は更には熱暴走)をより速く認識することができるため、かかるリアルタイムインターフェースがない場合よりも早期に対策を実行することができる。」
「【0037】
本発明者らは、リアルタイム双方向専用インターフェースが、ハンドラのタスクのためのテスタの計算性能の使用を可能にすることを認識した。制御ループ、例えば温度制御ループは、被試験デバイス、ハンドラ、及び自動試験機器を含めて実装することができる。リアルタイムインターフェースは、テスタが、例えば、実行時のハンドラの温度制御情報のための入力情報を用いて、被試験デバイスの温度制御に参加することを可能にし得る。逆に、ハンドラは、テスタが、例えば冷却振幅及び/又は冷却持続時間及び/又は冷却時間を含むかかる温度制御情報を計算することを可能にするために、測定データをリアルタイムで提供することができる。
【0038】
したがって、双方向専用リアルタイムインターフェースであるインターフェースは、例えば、前述したように、テスタハンドラとデバイスとの間のリアルタイム制御ループを可能にする相乗効果を可能にする。加えて、かかるループは、伝送される情報、例えば、ハンドラによって提供される測定データ、及び自動試験機器によって決定及び提供される適合情報に基づいて、実行時に、試験フローを適合させるために使用されてもよい。」
「【0041】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態によれば、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、温度制御機能を制御するために、試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成される。
【0042】
例えば、一部のデバイス(例えば、デバイスの試験サイト、又はサイト)は、異なる試験セットアップ(例えば、VDD電圧)を有し、これは、例えば、より多くの放熱をもたらし得る。一部の場合では、ハンドラがトリガポイント、例えばプレトリガポイントにおいて、過冷却/過熱が発生しないことを可能にするために、又は例えば保証するために、どのサイトを後で冷却する必要があるかを知らされることが有利であるか、又は必要でさえあり得る。試験サイト固有の情報を用いて、試験ルーチンの柔軟性を高めることができる。
【0043】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態によれば、ハンドラから受信されるシグナリングは、試験サイト固有のシグナリングである。異なる試験サイトに複数の被試験デバイスがある場合、例えば、被試験デバイスの特定の温度に関する個々の情報を伝送することができる。したがって、各被試験デバイスを個別に制御することができる。結果として、単一のデバイスの熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を検出することができ、当該デバイスは、他のデバイスのための試験ルーチンを中断することなく、シャットダウンすることができる。したがって、本発明に係る自動試験機器又はハンドラは、良好な試験速度及び良好な試験柔軟性を提供することができる。」
「【0278】
リアルタイムハンドラインターフェース120は、温度制御機能をトリガするために、ハンドラ130にトリガシグナリング122を提供するように構成される。逆に、ハンドラ130は、テスタインターフェース140を介して自動試験機器110からトリガシグナリング122を受信するように構成され、ハンドラ130は、受信したシグナリング122に応答して温度制御機能をトリガするように構成される。
【0279】
ハンドラ130は、例えば、過熱を防止するために、被試験デバイス152、154、156、158を冷却及び/又は加熱するように構成されてもよい。トリガシグナリング122は、ハンドラが被試験デバイス152、154、156、158の熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を打ち消すことができるように、被試験デバイスの次の温度ピークに関する情報を含むことができる。
【0280】
更に、ハンドラ130は、テスタインターフェース140を介して自動試験機器110にシグナリング142を提供するように構成され、リアルタイムハンドラインターフェース120は、ハンドラ130からシグナリング142を受信するように構成される。自動試験機器110は、ハンドラから受信したシグナリング142を考慮するように構成されている。
【0281】
ハンドラは、被試験デバイス152、154、156、158の温度情報をリアルタイムで自動試験機器110に伝送することができる。自動試験機器110は、例えば被試験デバイスの過熱を防止するために、例えば試験プロセスを適合させることによって、この情報を考慮することができる。試験フローは、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の冷却時間が2つのサブ試験の間で増加され得るように適合されてもよい。加えて、トリガシグナリング122は、例えばハンドラ130に温度管理戦略を適合させるように命令するために、受信したシグナリング142に基づいて適合されてもよい。
【0282】
所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、同期シグナリングをハンドラ130に提供するように構成することができる。ハンドラ130は、双方向専用リアルタイムテスタインターフェース140を介して同期シグナリングを受信するように構成することができる。同期シグナリングに基づいて、ハンドラ130は、温度制御機能のトリガを超える機能を自動試験機器110と同期させることができる。同期は、測定、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の温度測定を実行するために、ハンドラ130によって特定の時間に、又は例えば、自動試験機器110による被試験デバイス152、154、156、158の刺激に対して特定の時間差で実行されてもよい。シグナリング122は、例えば、同期シグナリングを含むことができ、又は同期シグナリングは、別個のシグナリングとすることができる。
【0283】
所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、試験サイト固有のシグナリングをハンドラ130に提供するように構成することができる。ハンドラは、双方向専用リアルタイムテスタインターフェース140を介して自動試験機器110から試験サイト固有のシグナリングを受信するように構成することができる。ハンドラは、試験サイト固有のシグナリングに基づいて、又はそれに応答して、温度制御機能を制御することができ、例えば、特定の被試験デバイス152の冷却を実行することができる。
【0284】
所望により、ハンドラ130から自動試験機器110へのシグナリング142は、試験サイト固有のシグナリング、例えば、それぞれ特定の試験サイト又は被試験デバイス152の温度測定値であってもよい。
【0285】
所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、トリガシグナリング122に加えて、追加のシグナリングを提供するように構成される。ハンドラ130は、リアルタイムテスタインターフェース140を介して、トリガシグナリング122に加えて、追加のシグナリングを受信するように構成することができる。追加のシグナリングは、ハンドラ130による温度制御プロファイル若しくは温度調節の決定若しくは修正のための制御情報、自動試験機器110によって決定された1又は複数の測定値に関する情報、1又は複数の試験状態パラメータ、及び/又はアラーム情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。ハンドラ130は、1又は複数の被試験デバイスサイト又は被試験デバイスそれぞれ152、154、156、158の温度を制御するために、追加のシグナリングを使用するように構成することができる。追加のシグナリングは、被試験デバイスの試験を改善するのに適した任意の情報を含むことができる。
【0286】
試験状態パラメータは、被試験デバイス152、154、156、158の次の電源変更に関するタイミング情報を含むことができる。これに基づいて、ハンドラ130は、その冷却戦略をデバイスに適合させることができる。更に、ハンドラは、温度管理をどのように適合させるかを判定するために、かかる情報を評価するように構成することができる。しかしながら、追加のシグナリングは、直接的な温度管理戦略であってもよく、例えば、前述のタイミング情報に基づいて処理された情報であってもよく、一例として制御情報の形態で、冷却すべき時間及び場所をハンドラに通知するだけである。例えば、被試験デバイスの誤動作の場合、アラーム情報は、損傷又は試験中止を防止するために、ハンドラ130に被試験デバイスを直ちに冷却させてよい。
【0287】
所望により、自動試験機器110は、ハンドラからのシグナリング142に反応して試験フローを適合させるように構成することができる。ハンドラは、被試験デバイス152、154、156、158に関する情報、例えば温度情報を提供することができる。かかる情報は、有益な試験適合を示し得る。例えば、被試験デバイスの温度が上昇する場合、自動試験機器110は、臨界温度に達する前にデバイスを冷却することを可能にするために、当該デバイスの2つの試験の間の遅延を延長することができる。
…(中略)…
【0299】
リアルタイムハンドラインターフェース220は、温度制御機能をトリガするために、ハンドラ230にトリガシグナリング122を提供するように構成される。逆に、ハンドラ230は、テスタインターフェース240を介して自動試験機器210からトリガシグナリング122を受信するように構成され、ハンドラ230は、受信したシグナリング122に応答して温度制御機能をトリガするように構成される。
【0300】
ハンドラ230は、例えば、過熱を防止するために、被試験デバイス152、154、156、158を冷却及び/又は加熱するように構成されてもよい。トリガシグナリング122は、ハンドラが被試験デバイス152、154、156、158の熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を打ち消すことができるように、被試験デバイスの次の温度ピークに関する情報を含むことができる。」
「【0315】
リアルタイムハンドラインターフェース320は、温度制御機能を制御するために、ハンドラ330に試験サイト固有のシグナリング322を提供するように構成される。逆に、ハンドラ330は、テスタインターフェース340を介して自動試験機器310からシグナリング322を受信するように構成され、ハンドラ330は、受信した試験サイト固有シグナリング322に応答して温度制御機能を制御するように構成される。
【0316】
被試験デバイス152、154、156、158は、試験中に異なる挙動、例えば、異なる温度傾向を示すことがある。したがって、自動試験機器310は、被試験デバイスの温度調節を適合させるための試験サイト固有の情報を提供することができる。ハンドラは、例えば、当該情報に従って、例えばデバイス又は試験サイトの冷却の順序及び大きさをそれぞれ適合させることができる。したがって、試験効率を増加させるために、個別試験適合が実行され得る。
【0317】
一例として、シグナリング322は、ハンドラがデバイスの熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を打ち消すことができるように、特定の被試験デバイスの次の温度ピークに関する情報を含むことができる。
【0318】
所望により、試験サイト固有のシグナリング322は、以下の情報、すなわち、試験サイト固有アラーム、試験サイト固有トリガ識別情報、試験サイト固有温度調整情報、試験サイト固有セットアップ情報、試験サイト固有放熱情報、及び/又は試験サイト固有タイミング情報のうちの1又は複数を含み得る。試験の効率及び精度を改善するのに適した任意の情報を伝送することができる。例えば、自動試験機器310が温度ホットスポット(又は熱暴走)又はデバイス誤動作を判定した場合に、ハンドラにアラームが送信されてもよい。試験サイト固有のセットアップ情報に基づいて、ハンドラ330は、そのセットアップに従って各被試験デバイス152、154、156、158をそのセットアップに従って最適に冷却するために、冷却動作をスケジューリングすることができる。同様に、放熱及びタイミング情報は、スケジュールされた試験又は試験刺激に従って、デバイスが放散し得る推定又は予想される熱についての情報を含むことができ、例えば、かかる熱が放散されるとき、又はハンドラがあるデバイスを冷却しなければならないときに放散することができる。これにより、試験効率及び試験中の熱管理を改善することができる。
【0319】
所望により、試験サイト固有のシグナリングは、試験サイト識別情報と調節情報との組み合わせを含み、試験サイト識別情報は、調節情報の試験サイト固有の関連付けを可能にするように構成される。したがって、温度管理戦略は、各試験サイト又は被試験デバイス152、154、156、158それぞれに対して個別に実装することができる。これにより、試験効率を改善することができる。
【0320】
所望により、試験サイト識別情報は、試験サイトIDを含んでもよく、かつ/又は試験サイトIDは、試験サイト固有のシグナリング上に変調されてもよい。特定の試験サイト又は被試験デバイスをそれぞれ識別するために、試験サイトIDを伝送することができる。試験サイトIDの変調により、単一の伝送線、例えば単一のトリガラインの使用を可能にし、配線を削減することができる。IDを介して、ハンドラ330に、どの試験サイトがトリガシグナリング又はシグナリング322に作用すべきかを通知することができる。
【0321】
所望により、調節情報は、タイミング情報及び/又は制御振幅情報を含むことができる。これに基づいて、ハンドラ330は、被試験デバイスを所望の温度間隔内に維持することができるように、適切な冷却/加熱を実行することができる。」
「【0403】
図18に関する以下の説明は、実施形態の所望による特徴を参照する。図18は、本発明の実施形態に係る試験サイト依存温度制御の概略的な例を示している。図18は、2つの試験サイト、第1の試験サイト1810、サイト1、及び第2の試験サイト1820、サイトNを示している。例えば、試験ルーチンの一部として、試験スイートバースト1830が試験サイトに適用される。所望により、試験サイト1810及び1820は、例えば、トリガシグナリング1840、例えば共通トリガ、例えばプレトリガ、又はトリガA、又はトリガポイントAを受信してもよい。各試験サイト1810、1820について、ダイ温度の経時的な温度図の一例が示されている。開始時間、例えば0秒において、第1のサイト1810は、第2のサイト1820よりも低いダイ温度を含むことができる。概して、所望により、実施形態は、サイト依存温度を考慮に入れるように構成されてもよい。前述したように、一例として、ハンドラ、又は例えばハンドラ内の温度制御は、例えば0秒の時間に近いトリガシグナリング1840によって示されるように、トリガポイントにおいて、サイト特性、例えば第2のサイト1820がより高温であることを通知されてもよい。したがって、第2のより高温のサイト1820に対する遅延は、より長い「冷却」時間を可能にするために、より少なく又はより短くすることができる。それによれば、図18に示されるように、第1のより低温の(0秒における)サイト1810は、より短い遅延時間、例えば100msを受け取るより高温の(0秒における)第2のサイト1820よりも長い遅延時間、例えば120msを受け取ることができる。簡単に言えば、図18に示されるような状況に関する一例として、ハンドラは、次の刺激の前に、より長い冷却時間を可能にするために、より高温の試験サイトの場合に、より短い期間にわたって冷却を遅らせてもよい。このようにして、全ての被試験デバイスを所望の温度間隔に保つために、例えば、被試験デバイスの冷却をスケジュールすることができる。」
(2) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献3の記載事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2013-145132号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
a 【0001】~【0004】
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドラ装置、試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドラ装置は、被試験デバイスを試験する試験装置に接続され、被試験デバイスをテストトレイに載置した状態で搬送し、当該テストトレイに載置された被試験デバイスと当該試験装置とを電気的に接続していた(例えば、特許文献1~5参照)。
特許文献1 特開2000-147055号公報
特許文献2 特開2000-46902号公報
特許文献3 特開2009-2860号公報
特許文献4 特開2011-39059号公報
特許文献5 特開2011-40758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、被試験デバイスが有する電極のサイズおよび当該電極のピッチが小さくなると、ハンドラ装置は、当該被試験デバイスをテストトレイ上に精度よく載置しなければならない。例えば、ハンドラ装置は、精度を保ちつつ短時間で数百個といった数の被試験デバイスを載置することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、複数の被試験デバイスを搬送して試験装置のテストヘッドに設けられた複数のソケットへと接続させるハンドラ装置であって、複数の被試験デバイスが載置されたトレイ上においてそれぞれの被試験デバイスを移動させて、それぞれのソケットに対する位置を調整する位置調整部と、位置調整部により位置が調整された複数の被試験デバイスを複数のソケットに装着するデバイス装着部と、を備えるハンドラ装置を提供する。」
b 【0008】~【0012】、【図1】
「【0008】
図1は、本実施形態に係るハンドラ装置100の構成例を、テストヘッド110、テストトレイ20、およびユーザトレイ10と共に示す。ハンドラ装置100は、試験装置のテストヘッド110と接続され、複数の被試験デバイス22を搬送して試験装置のテストヘッド110に設けられた複数のソケットへと接続させる。
【0009】
ここで、テストヘッド110は、複数のソケットを有するソケットボード120を備え、複数の被試験デバイス22と当該複数のソケットを介して電気的にそれぞれ接続される。テストヘッド110は、試験装置の一部であり、当該試験装置は、複数の被試験デバイス22を試験するための試験パターンに基づく試験信号を複数の被試験デバイス22のそれぞれに入力して、試験信号に応じてそれぞれの被試験デバイス22が出力する出力信号に基づいて複数の被試験デバイス22の良否を判定する。
【0010】~【0011】
(省略)
【0012】
ハンドラ装置100は、第1載置装置200と、熱印加部210と、テスト部220と、除熱部230と、搬送部240と、第2載置装置250と、検出部260と、制御部270とを備える。第1載置装置200は、複数の被試験デバイス22が搭載されたユーザトレイ10からテストトレイ20に当該複数の被試験デバイス22を載置する。第1載置装置200は、被試験デバイス22を吸着するアームを有してよく、当該被試験デバイス22を吸着固定してユーザトレイ10からテストトレイ20に移動させてよい。
」
「【図1】
[図:0001438954000004.jpg]
」
c 【0013】~【0017】
「【0013】
テストトレイ20は、複数の被試験デバイス22を行方向および列方向に配置して載置してよい。テストトレイ20は、複数の被試験デバイス22が載置され、試験装置が実行する高温/低温試験の温度条件におかれても、割れ、欠け、または変形等による被試験デバイス22へのストレスを生じさせない材質で形成される。
【0014】
熱印加部210は、搬入ローダを有し、当該搬入ローダによって試験前の複数の被試験デバイス22が載置されたテストトレイ20が熱印加部210内にロードされる。熱印加部210は、試験に先立って被試験デバイス22の温度を試験温度へと制御する。また、熱印加部210内において、複数の被試験デバイス22は、テストトレイ20上の位置を調整される。熱印加部210は、温度制御部212と、デバイス撮像部216と、位置調整部218とを有する。
【0015】
温度制御部212は、テストトレイ20を搭載し、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22の温度を制御する。温度制御部212は、複数の被試験デバイス22の温度を、試験装置が実行する試験の温度条件と略同一の温度となるように制御する。温度制御部212は、複数の温度制御ユニット214を有してよい。
【0016】
温度制御ユニット214は、複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられ、それぞれの被試験デバイス22をソケットボード120のソケットへと接続される電極面または端子面とは反対の面側から個別に加熱または冷却する。温度制御ユニット214は、ペルチエ素子等の熱電素子でよく、これに代えて、冷媒または熱媒を循環させるクーラーまたはヒータであってよい。
【0017】
温度制御ユニット214が、被試験デバイス22毎に、被試験デバイス22の裏面から温度を直接制御する場合、熱印加部210は、チャンバ全体の温度を精密に制御することなく、高速かつ低消費電力で複数の被試験デバイス22の温度を制御することができる。これに代えて、温度制御部212は、熱印加部210内の温度を略同一の温度となるように制御してもよい。」
d 【0024】~【0028】
「【0024】
テスト部220は、複数の被試験デバイス22を試験するための空間であって熱印加部210内のテストトレイ20が搬送される。テスト部220は、試験装置と接続され、当該試験装置のテストヘッド110に搭載されるソケットボード120がチャンバ内に配置される。テスト部220内において、テストトレイ20はソケットボード120へと搬送され、複数の被試験デバイス22は、対応するソケットと電気的に接続される。テスト部220は、デバイス装着部222と、駆動部226と、ソケット撮像部228とを有する。
【0025】
デバイス装着部222は、位置調整部218により位置が調整された複数の被試験デバイス22をソケットボード120の複数のソケットに装着する。デバイス装着部222は、複数の押付部224を有する。押付部224は、複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられる。押付部224は、それぞれの被試験デバイス22のソケットに接続される電極面または端子面とは反対の面を、ソケットボード120の方向へと押して、それぞれの被試験デバイス22を対応するソケットに装着する。
【0026】
また、デバイス装着部222は、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22の温度を制御する。デバイス装着部222は、複数の被試験デバイス22の温度を、試験装置が実行する試験の温度条件となるように制御する。デバイス装着部222は、複数の押付部224に複数の被試験デバイス22の温度を制御させてよい。ここで、複数の押付部224は、それぞれの温度をそれぞれ個別に制御してよく、これに代えて、2以上の押付部224の温度を一括して制御してよい。
【0027】
この場合、押付部224は、それぞれの被試験デバイス22の電極面または端子面とは反対の面側から個別に加熱または冷却する。押付部224は、ペルチエ素子等の熱電素子を含んでよく、これに代えて、冷媒または熱媒を循環させるクーラーまたはヒータを含んでよい。押付部224が、被試験デバイス22毎に、被試験デバイス22の裏面から温度を直接制御するので、テスト部220は、チャンバ全体の温度を精密に制御することなく、高速かつ低消費電力で複数の被試験デバイス22の温度を制御することができる。
【0028】
駆動部226は、デバイス装着部222を駆動する。駆動部226は、デバイス装着部222の移動を制御して、テストトレイ20をソケットボード120へと搬送し、複数の被試験デバイス22と対応するソケットとを電気的に接続させる。また、駆動部226は、押付部224の加熱または冷却を駆動してよい。」
e 【0033】~【0040】
「【0033】
除熱部230は、テスト部220からテストトレイ20が搬入される空間であって、搬入されたテストトレイ20は、当該除熱部230の外部へと搬出される。除熱部230は、搬出ローダを有し、当該搬出ローダによって試験後の複数の被試験デバイス22が載置されたテストトレイ20は除熱部230の外部にアンロードされる。除熱部230は、温度制御部280を有する。
【0034】
温度制御部280は、除熱部230内において、搬入されたテストトレイ20の温度を制御する。温度制御部280は、テスト部220内から搬入される試験温度程度の複数の被試験デバイス22を、室温と同程度の予め定められた温度範囲にまで加熱または冷却する。温度制御部280は、ペルチエ素子等の熱電素子を含んでよく、これに代えて、冷媒または熱媒を循環させるクーラーまたはヒータを含んでよい。
【0035】
搬送部240は、テストトレイ20を、熱印加部210からテスト部220へ、また、テスト部220から除熱部230へと搬送する。搬送部240は、熱印加部210が有する搬入ローダから搬入されるテストトレイ20を受け取ってよい。また、搬送部240は、除熱部230が有する搬出ローダにテストトレイ20を受け渡してよい。
【0036】
第2載置装置250は、複数の被試験デバイス22が搭載されたテストトレイ20からユーザトレイ10に当該複数の被試験デバイス22を載置する。第2載置装置250は、被試験デバイス22を吸着するアームを有してよく、当該被試験デバイス22を吸着固定してテストトレイ20からユーザトレイ10に移動させてよい。
【0037】
検出部260は、デバイス撮像部216およびソケット撮像部228が撮像した画像から、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22のそれぞれの配置と、ソケットボード120が有する複数のソケットのそれぞれの配置とを検出する。検出部260は、被試験デバイス22毎に、テストトレイ20上の配置と、当該被試験デバイス22が接続されるソケットの配置とを比較して、当該ソケットに対する位置を調整すべき被試験デバイス22を検出する。
【0038】
検出部260は、当該調整すべき被試験デバイス22の調整量となる移動方向および移動量を検出する。検出部260は、調整量として、テストトレイ上のXY方向および各方向の移動量を検出してよく、また、テストトレイ上の回転方向および回転角θを検出してよい。検出部260は、検出結果を制御部270に送信する。
【0039】
制御部270は、検出部260の検出結果を受信して、検出結果に基づき、調整すべき被試験デバイス22および調整量を位置調整部218に指定して、当該被試験デバイス22の位置を調整させる。また、制御部270は、第1載置装置200、搬送部240、駆動部226、第2載置装置250、搬入ローダ、搬出ローダ等に接続され、複数の被試験デバイス22の載置、テストトレイ20のロード/アンロード、デバイス装着部222の駆動、およびテストトレイ20の搬送を制御してよい。
【0040】
また、制御部270は、温度制御部212、デバイス装着部222、および温度制御部280と接続されて、複数の被試験デバイス22の温度を制御してよい。また、制御部270は、複数の被試験デバイス22を対応するソケットにそれぞれ装着した後に、複数の被試験デバイス22の装着完了を試験装置に通知してよい。」
f 【0064】
「【0064】
次に、試験装置は、複数の被試験デバイス22の試験を実行する(S450)。試験装置は、複数の被試験デバイス22に対する試験を同時に実行してよい。」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)に摘記した引用文献3の記載事項を総合すると、引用文献3には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「試験装置のテストヘッド110と接続され、複数の被試験デバイス22を搬送して試験装置のテストヘッド110に設けられた複数のソケットへと接続させるハンドラ装置100であって、(【0008】)
テストヘッド110は、複数のソケットを有するソケットボード120を備え、複数の被試験デバイス22と当該複数のソケットを介して電気的にそれぞれ接続されるものであり、(【0009】)
テストヘッド110は、試験装置の一部であり、当該試験装置は、複数の被試験デバイス22を試験するための試験パターンに基づく試験信号を複数の被試験デバイス22のそれぞれに入力して、複数の被試験デバイス22の良否を判定するものであり、(【0009】)
ハンドラ装置100は、第1載置装置200と、熱印加部210と、テスト部220と、除熱部230と、搬送部240と、第2載置装置250と、検出部260と、制御部270とを備え、(【0012】)
第1載置装置200は、複数の被試験デバイス22が搭載されたユーザトレイ10からテストトレイ20に当該複数の被試験デバイス22を載置するものであり、(【0012】)
熱印加部210は、試験に先立って被試験デバイス22の温度を試験温度へと制御するものであり、熱印加部210内において、複数の被試験デバイス22は、テストトレイ20上の位置を調整され、熱印加部210は、温度制御部212と、デバイス撮像部216と、位置調整部218とを有するものであり、(【0014】)
温度制御部212は、テストトレイ20を搭載し、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22の温度を制御するものであり、複数の被試験デバイス22の温度を、試験装置が実行する試験の温度条件と略同一の温度となるように制御するものであり、複数の温度制御ユニット214を有してよく、(【0015】)
温度制御ユニット214は、複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられ、それぞれの被試験デバイス22をソケットボード120のソケットへと接続される電極面または端子面とは反対の面側から個別に加熱または冷却するものであり、(【0016】)
テスト部220は、複数の被試験デバイス22を試験するための空間であって熱印加部210内のテストトレイ20が搬送されるものであり、試験装置と接続され、当該試験装置のテストヘッド110に搭載されるソケットボード120がチャンバ内に配置され、テスト部220内において、テストトレイ20はソケットボード120へと搬送され、複数の被試験デバイス22は、対応するソケットと電気的に接続され、(【0024】)
テスト部220は、デバイス装着部222と、駆動部226と、ソケット撮像部228とを有し、(【0024】)
デバイス装着部222は、位置調整部218により位置が調整された複数の被試験デバイス22をソケットボード120の複数のソケットに装着するものであり、複数の押付部224を有し、(【0025】)
押付部224は、複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられ、それぞれの被試験デバイス22のソケットに接続される電極面または端子面とは反対の面を、ソケットボード120の方向へと押して、それぞれの被試験デバイス22を対応するソケットに装着するものであり、(【0025】)
デバイス装着部222は、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22の温度を制御するものであって、複数の被試験デバイス22の温度を、試験装置が実行する試験の温度条件となるように制御するものであり、複数の押付部224に複数の被試験デバイス22の温度を制御させてよく、ここで、複数の押付部224は、それぞれの温度をそれぞれ個別に制御してよく、(【0026】)
この場合、押付部224は、それぞれの被試験デバイス22の電極面または端子面とは反対の面側から個別に加熱または冷却するものであり、押付部224が、被試験デバイス22毎に、被試験デバイス22の裏面から温度を直接制御するものであり、(【0027】)
除熱部230は、テスト部220からテストトレイ20が搬入される空間であって、搬入されたテストトレイ20は、当該除熱部230の外部へと搬出され、除熱部230は、温度制御部280を有するものであり、(【0033】)
温度制御部280は、除熱部230内において、搬入されたテストトレイ20の温度を制御するものであり、テスト部220内から搬入される試験温度程度の複数の被試験デバイス22を、室温と同程度の予め定められた温度範囲にまで加熱または冷却するものであり、(【0034】)
搬送部240は、テストトレイ20を、熱印加部210からテスト部220へ、また、テスト部220から除熱部230へと搬送するものであり、(【0035】)
第2載置装置250は、複数の被試験デバイス22が搭載されたテストトレイ20からユーザトレイ10に当該複数の被試験デバイス22を載置するものであり、(【0036】)
検出部260は、デバイス撮像部216およびソケット撮像部228が撮像した画像から、テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22のそれぞれの配置と、ソケットボード120が有する複数のソケットのそれぞれの配置とを検出するものであり、(【0037】)
制御部270は、検出部260の検出結果を受信して、検出結果に基づき、調整すべき被試験デバイス22および調整量を位置調整部218に指定して、当該被試験デバイス22の位置を調整させるものであり、第1載置装置200、搬送部240、駆動部226、第2載置装置250、搬入ローダ、搬出ローダ等に接続され、複数の被試験デバイス22の載置、テストトレイ20のロード/アンロード、デバイス装着部222の駆動、およびテストトレイ20の搬送を制御するものであり、(【0039】)
制御部270は、温度制御部212、デバイス装着部222、および温度制御部280と接続されて、複数の被試験デバイス22の温度を制御し、複数の被試験デバイス22を対応するソケットにそれぞれ装着した後に、複数の被試験デバイス22の装着完了を試験装置に通知するものであり、(【0040】)
試験装置は、複数の被試験デバイス22に対する試験を同時に実行する、(【0064】)
試験装置。」
イ 引用文献1の記載事項及び技術常識1及び2の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開2007/010610号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである(第2において、以下同様。)。
「[0021] また、他の実施の形態として、上記プッシャにおいて、熱源からデバイス押圧部を介して被試験半導体デバイスに伝導される熱の経路上に配置され、自身の配置された場所の温度を測定する温度センサを備える。これにより、熱源からの熱が所期の通りにプッシャに伝導されているかどうかを監視しながら半導体試験を実施できる。また、熱の経路上に複数の温度センサを配置することにより、何らかの原因で熱伝導が遮断された場合に、遮断箇所を容易に特定できる。」
「[0057] 図2は、上記図1で説明したプッシャユニット10を備えた半導体試験装置20の構造を模式的に示す図である。同図に示すように、半導体試験装置20は、プッシャユニット10を含むハンドラ610と、これに接続されたテスト部620とを備える。」
「[図2]
[図:0001438954000005.jpg]
」
「[0058] テスト部620は、試験用ソケット500に接触状態にある被試験半導体デバイス300に対して電気的試験を実行するものであって、プッシャユニット10及びハンドラ610との通信制御を行うハンドラ制御部630と、ハンドラ610内で試験用ソケット500に装荷された被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640とを備える。さらに、テスト部(テスター本体)620は、これらハンドラ制御部630および試験実行部640を含むテスト部620全体の動作を統括する装置制御部650を備える。
[0059] ハンドラ610は、複数の被試験半導体デバイス300をストッカ(図示なし)から順次搬送して試験用ソケット500へ押圧載置して電気的試験を実行させる。ストッカには複数枚の搬送トレイ550が有り、各搬送トレイ550には多数の被試験半導体デバイス300が搭載されている。搬送装置(図示なし)によって搬送トレイ550から被試験半導体デバイス300が順次搬送されて、プッシャユニット10に渡される。
[0060] プッシャユニット10により複数個の被試験半導体デバイス300が搬送され、試験領域においてプッシャユニット10により吸着保持された状態で降下して、2つの被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500へ押圧接触する。これら動作は、ハンドラ内制御装置(図示なし)により、テスト部620側のハンドラ制御部630と通信しながら、連携した搬送制御される。なお、半導体試験装置20の全体動作は、ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受しながら、両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される。」
「[0112] また、ひとつの実施形態として、プッシャユニット15に温度センサを装着することができる。即ち、図10に示す通り、熱的結合部201およびプッシャ200の結合部付近に温度センサ710、720を設けることにより、半導体試験中の温度を精密に管理できる。ここで、温度センサ710、720は、熱的結合部201側に設けても、プッシャ200側に設けても、あるいは、その両方に設けてもよい。
[0113] 温度センサ720を熱的結合部201側に設けた場合は、熱源400の発生する温度と熱的結合部201の温度変化とを比較することにより、両者の結合を監視できる。また、温度センサ710をプッシャ200側に設けた場合は、プッシャ200に実際に伝達された熱量を監視できる。さらに、温度センサ720、710を熱的結合部201およびプッシャ200の両方に設けた場合は、それぞれの温度だけではなく、熱的結合部201およびプッシャ200の熱的な結合状態そのものを監視できる。
[0114] なお、これは一例に過ぎず、より多くの場所に温度センサを配置することができる。また、図中に示すように、チェンジキット部610側に装着された温度センサ710は、コネクタ712、714を介して半導体試験装置10に結合されている。従って、後述するようにチェンジキット部610を交換した場合でも、必要に応じて温度センサ710を半導体試験装置に接続することかできる。」
(イ) 技術常識1及び2の認定
前記(ア)に示した引用文献1の摘記事項に例示されているように、次の技術は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」及び「技術常識2」という。)
<技術常識1>
「半導体試験装置において、ハンドラとテスタとの間で通信情報を授受しながら、ハンドラが有する機能の動作制御をテスタ側で行うこと。」
<技術常識2>
「半導体試験装置において、被試験デバイス又はこれに熱的に結合された部材の温度を温度センサにより測定し、半導体試験中にリアルタイムに温度を監視、管理すること」
ウ 引用文献11、6及び7に記載された事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献11に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特表2004-527764号公報(以下「引用文献11」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、電子デバイスの温度制御装置及び温度制御方法に関し、より詳細には、試験中に電子デバイスの温度を所定の温度に維持するための温度制御装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子業界では、試験装置を利用して、所定の温度に維持された集積回路及びその他の電子デバイスの動作を試験している。一般に、試験装置は、試験中の電子デバイスに接触させるための温度制御された表面を有するサーマルヘッドを備えている。このサーマルヘッドは、所定の温度を維持するために同時に加熱かつ冷却される。この試験装置ユーザ(すなわち電子デバイス製造業者)は、一般に、サーマルヘッドがすべての条件下で±3℃のばらつきで所定温度を維持できることを規定している。
…(中略)…
【0024】
図1は、本発明の電子デバイスの温度制御装置の一実施形態を説明するための構成図で、試験中の電子デバイス10(DUT;DeviceUnderTest)の温度制御装置を示している。この場合に、電子デバイス10は、適当な試験設備12に装着された集積回路デバイスである。この試験設備12は、電子デバイス10に給電するためのエネルギーを供給するとともに、それによって電子デバイス10の性能が評価されるさまざまなリード/ライト命令を供給する。
【0025】
サーマルヘッド14は、電子デバイス10と熱接触する温度制御された表面16を有する。この場合には、サーマルヘッド14は、可動ロッド18の端部に取り付けられており、この可動ロッド18が、温度制御された表面16を移動させて、(矢印Aで示すように)電子デバイス10と係合させたり、離脱させたりする。例えば、可動ロッド18は、空気シリンダのピストンロッドを形成し、このピストンは、起動されてサーマルヘッド14を試験しようとする電子デバイスに隣接して配置する。
【0026】
図1に示されているように、熱電対20、またはその他の適切なセンサが、温度制御された表面16に設けられて、電子デバイス10の温度を検出する。この情報は、サーマルヘッド14の動作を制御するプロセッサ22に供給されて所定の温度が維持される。例えば、維持すべき温度は、温度セレクタ24から、ユーザによって入力される。当業者であれば、プロセッサ22及びび温度セレクタ24の機能は、単一のディジタルコンピュータなどによって実行できることを認識するであろう。
【図1】
[図:0001438954000006.jpg]
」
(イ) 引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である韓国登録特許第10-0499909号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。なお、摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す(第2において、以下同様。)。
「
[図:0001438954000007.jpg]
」(本発明は[1]半導体素子検査プログラムで温度チェックサブルーチンを呼び出し(CALL)すると、検査プログラムに適合したあらかじめ入力されている基準温度値と温度範囲を引き出す(110)。これはハンドラー別に適合した温度条件を温度チェックサブルーチンの変数に設定する段階である。
[2]テスタに設定されているハンドラー各ステーションのGPIBアドレスを引き出して温度チェックサブルーチンの変数に設定する(112)。これはハンドラーのステーション別に適合したGPIBアドレスを温度チェックサブルーチンの変数に設定する段階である。これとして、ハンドラーのステーション別でGPIBアドレスの違うことをテスタが認識して適当に対処することができる。
[3]ハンドラーが現在動作中なのか判断する(114)。これは現在検査を受ける半導体素子がハンドラーに保持されているのか可否を判断して行われる。仮にエンジニアがソケット修理やプログラムデバギングなどのために手動で検査を進行している時にはハンドラー温度をチェックしない。
[4]ハンドラーのモデルとバージョンなどを確認する(116)。ハンドラーの形式が違って温度データが不適合になることを防止するための段階である。
[5]ハンドラーから測定した現在温度値を読む(118)。
[6]読んだ温度を上[4]番で読んだハンドラーの形式別で実際演算することができるようにデータ変換して温度データを作る(120)。
[6]変換された温度データを、上[1]段階で引き出した温度範囲と比べて適合した温度なのか判定する(122)。ハンドラーの温度が設定された温度と違うと現在検査中のハンドラーを停止させてアラームを発生させて作業者に現在の問題点を知らせて正しい温度を設定するようにする。異常がない時には本検査へ復帰(RETURN)する。)
(ウ) 引用文献7に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2020/0241040号明細書(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。
「[0030] An electronic component testing apparatus 1 of the embodiment is an apparatus for testing electrical characteristics of a DUT 90 such as a semiconductor integrated circuit device. As illustrated in FIG. 1, the DUT 90 of the embodiment includes a temperature detection circuit 92 for detecting a temperature of the DUT 90 in addition to a main circuit 91 to be tested by a tester 10.
(本実施形態における電子部品試験装置1は、半導体集積回路素子等のDUT90の電気的特性を試験する装置である。本実施形態におけるDUT90は、図1に示すように、テスタ10の試験対象である主回路91に加えて、DUT90の温度を検出する温度検出回路92を備えている。)
…(中略)…
[0032]
As illustrated in FIG. 1, the electronic component testing apparatus 1 of the embodiment includes a tester 10 and an electronic component handling device 50 (hereinafter, simply referred to as a handler 50).
(本実施形態における電子部品試験装置1は、図1に示すように、テスタ10と、電子部品ハンドリング装置50(以下単にハンドラ50と称する。)と、を備えている。)
「(図1)
[図:0001438954000008.jpg]
」
「[0033]
A socket 20 is mounted on the tester 10. When the DUT 90 is pressed against the socket 20 by the handler 50, the DUT 90 is electrically connected to the tester 10 via the socket 20. Then, the tester 10 performs the test of the DUT 90 by executing a test program. Specifically, the tester 10 performs the test of the DUT 90 by inputting and outputting a test signal to and from the main circuit 91 of the DUT 90 via the socket 20. Further, a detection voltage signal of the temperature detection circuit 92 of the DUT 90 is transmitted to the tester 10 via the socket 20.
(テスタ10には、ソケット20が装着されている。ハンドラ50によってDUT90がソケット20に押し付けられることで、ソケット20を介して、当該DUT90とテスタ10が電気的に接続される。そして、テスタ10は、テストプログラムを実行してDUT90の試験を実行する。具体的には、テスタ10は、ソケット20を介して、DUT90の主回路91に試験信号を入出力することで、DUT90の試験を実行する。また、DUT90の温度検出回路92の検出電圧信号は、ソケット20を介して、テスタ10に取り込まれる。)
…(中略)…
[0037]
In the embodiment, the second controller 17 of the tester 10 is able to output the first signal S1 to the first transmitter 13. The first signal S1 is a signal for starting a second temperature control of a temperature adjuster 70. The second temperature control will be described later.
(本実施形態では、テスタ10の第2の制御部17が、第1の送信部13に対して、第1の信号S1を出力することが可能となっている。第1の信号S1は温度調整装置70に第2の温度制御を開始させるための信号である。この第2の温度制御に関しては後に詳述する。)
…(中略)…
[0045]
As illustrated in FIG. 1, the handler 50 of the embodiment includes a pusher 60, a temperature adjuster 70, and a control device 80. The pusher 60 presses the DUT 90 against the socket 20 and electrically connects the DUT 90 to the socket 20 in order to perform the test of the DUT 90. The temperature adjuster 70 adjusts the temperature of the DUT 90 by controlling the temperature of the pusher 60 using the refrigerant and the hot medium while the pusher 60 is in contact with the DUT 90 so as to transfer heat therebetween. The control device 80 calculates the temperature Tj′ of the DUT 90 by using the second and third signals S2 and S3 transmitted from the tester 10 and controls the temperature adjuster 70 on the basis of the calculation result Tj′.
(本実施形態におけるハンドラ50は、図1に示すように、プッシャ60と、温度調整装置70と、制御装置80と、を備えている。プッシャ60は、DUT90の試験を実行するためにDUT90をソケット20に押し付けて、DUT90とソケット20を電気的に接続させる。温度調整装置70は、プッシャ60がDUT90と伝熱可能に接触している状態で、冷媒と温媒を用いてプッシャ60の温度を制御することで、DUT90の温度を調整する。制御装置80は、テスタ10から送信される第2及び第3の信号S2,S3を用いてDUT90の温度Tj’を算出し、当該算出結果Tj’に基づいて温度調整装置70を制御する。)
…(中略)…
[0050]
As illustrated in FIG. 1, the control device 80 of the handler 50 includes a first receiver 81, a second receiver 82, a third receiver 83, a fourth receiver 84, a converter 85, a first calculator 86, a temperature controller 87, a first controller 88, and a fifth transmitter 89.
(ハンドラ50の制御装置80は、図1に示すように、第1の受信部81と、第2の受信部82と、第3の受信部83と、第4の受信部84と、変換部85と、第1の演算部86と、温度制御部87と、第1の制御部88と、第5の送信部89と、を備えている。)
[0051]
The first receiver 81 receives the first signal S1 output from the first transmitter 13 of the tester 10. Further, the first receiver 81 outputs the received first signal S1 to a third calculator 872.
(第1の受信部81は、テスタ10の第1の送信部13から出力された第1の信号S1を受信する。また、第1の受信部81は、受信した第1の信号S1を第3の演算部872に出力する。)
…(中略)…
[0063]
The second temperature control is a control according to a method different from the first temperature control and is a temperature control which is forcedly started by temporarily stopping the first temperature control when the first signal S1 is input to the third calculator 872 during the first temperature control.
(一方で、第2の温度制御は、テスタ10の第1の送信部13を介して第2の制御部17から送信された第1の信号S1が、第1の受信部81を経由して第3の演算部872に入力された場合に開始される。)」
(エ) 周知技術1の認定
前記(ア)に示した引用文献11の摘記事項、前記(イ)に示した引用文献6の摘記事項、及び、前記(ウ)に示した引用文献7の摘記事項に例示されているように、次の技術は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「半導体素子検査装置において、被検査デバイスに接する手段における温度制御の動作を実行するために、当該手段に信号を送ること。」
エ 引用文献9、10及び12に記載された事項及び周知技術2の認定
(ア) 引用文献9に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開昭60-13267号公報(以下「引用文献9」という。)には、次の記載がある。
「〔発明の技術分野〕
本発明は試験信号を与えることによる被試験回路上の素子の損傷を防止する回路試験装置に関する。」(第1頁左下欄第13行~第15行)
「上記目的を達成するため、本発明の回路試験装置においては試験速度を向上させながらも素子を損傷から保護するために必要な試験間の待ち時間を適宜選択する。更に、以下に示す構成により素子の保護を一層完全にすることができる。
(I) ドライバ電圧を下げることなくCMOS素子の入力に与えられるオーバーシュートやアンダーシュートを低減する。
(II) どの試験が素子を損傷する可能性があるかを見分け、その様な試験が行われない様にする。
(III) ホーミングできない素子に対して長時間ホーミング処理を継続することによる損傷を防止する。」(第4頁左下欄第6行~第19行)
「各素子試験について、この試験により逆駆動される素子の各々が解析され、これにより今度はこれら逆駆動される素子の各々が試験の影響から回復するための最長の冷却用待ち時間が計算される。
この待ち時間は待ち時間計算の対象となった試験の前後どちらに置いてもよい。」(第14頁右下欄第15行~右上欄第1行)
「試験を100回よりも多く繰返す場合には、パッケージ温度が15℃以上上昇しないようにするため冷却時間を延長しなければならない。」(第14頁右下欄第16行~第18行)
(イ) 引用文献10に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開昭62-272166号公報(以下「引用文献10」という。)には、次の記載がある。
「本発明は、回路テスタに係り、より詳細には、デジタル装置に対して装置レベルの回路内テストを行う回路テスタに係る。」(第2頁右上欄第13行~第15行)
「この初期最大値が装置の現在温度より高い場合には、テストが長過ぎ、安全に行うことができない。このような状態においてはテストを開始できるまで冷却できねばならず、これは、テストの開始を遅らせねばならないことを意味する。」(第3頁左上欄第7行~第12行)
「1つの別の解決策は、行われるテストに基づくだけでなく、装置と、これをテストのための最大初期スタート温度まで冷却するに要する時間にも基づいて可変の遅延インターバルを指定することである。この解決策では、各テストの前に遅延時間が挿入されることになる。」(第3頁右上欄第6行~第11行)
「ATE(第1図)によってテストされるべき回路の部分において、装置10を形成しているD型フリップ-フロップの出力は、装置11の一部分を形成しているナンドゲートの入力に接続されている。」(第4頁右下欄第19行~第5頁左上欄第15行)
「各テストごとに温度パラメータを指定し、最適な冷却性能を確保できるようにすることにより改善が可能となる。温度パラメータは、装置加熱模型をテスト指定モードで動作させるか或いは好ましくはテスト中にオンラインで動作させて装置の温度の現在地を得、これをテストパラメータリスト値に変換するかまたはこのような値として保持することによって導出される。」(第7頁右上欄第6行~第17行)
「実際のテスト中に計算リソースを利用できるようなATEでは、特定のテストに使用するオーバードライブ電圧がその時の裁量の推定値として考えられ、その前のテスト結果のヒストグラムを用いて推定値が改善される。典型的に、大部分の場合に首尾よくテストを終わらせる最低の印加電圧に迅速に復帰するようなアルゴリズムを用いて、不当な装置ストレスや不当なテストの繰返しを回避するのが好ましい。このようなATEでは、必要に応じて対応する冷却インターバルがテスト中に計算されるか或いは種々の値に対して加熱模型を動作させながらテスト指定段階中に定められたパラメータルックアップテーブルから適当なインターバル値が選択される」(第9頁右下欄第16行~第10頁左上欄第9行)
(ウ) 引用文献12に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2000-131380号公報(以下「引用文献12」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子の試験装置及び試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体素子の安全動作領域試験において半導体素子に電力を印加して破壊耐量を確認するには2通りの方法があり、その1つは設定電力をステップで上げ、実際に破壊する電力を確認し、その破壊した電力範囲と半導体素子メーカが提供する安全動作領域との差を確認する方法であり、他の1つは設定電力を一定とし、設定電力を繰り返し印加することにより、その設定電力における素子の寿命を確認する方法である。なお、図4は前者の方法を示す図であり、図5は後者の方
法を示す図である。
【0003】いずれの方法においても、電力の印加により半導体素子が発熱するため、繰り返し電力を印加する際のインターバルを、素子が充分に冷却されるような長い時間に設定して、安全動作領域試験を実施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の半導体素子安全動作領域試験では、素子の周囲温度をモニタしているだけで、電力印加後の素子温度の上昇に対して温度モニタを行っていない。そのため、素子に再度電力を印加するためには、素子が充分に冷却されるまでの長いインターバルが必要となる。
【0005】また、印加電力が増加することにより、素子の発熱量は大きくなり、繰り返して電力を印加することにより、素子が劣化し、発熱量も大きくなるので、これらを考慮して冷却までのインターバルを充分に長い時間に設定しなければならず、素子が破壊するまでの総試験時間が長くなってしまうという問題がある。
【0006】本発明は上記の問題に鑑みなされ、その目的は、被試験用半導体素子に対して温度をモニタし、素子に繰り返し印加される電力のインターバルを素子温度Tに応じて変化させて、必要最小限の時間で試験ができる半導体素子の試験装置及び試験方法を提供することである。」
(エ) 周知技術2の認定
前記(ア)に示した引用文献9の摘記事項、前記(イ)に示した引用文献10の摘記事項、及び、前記(ウ)に示した引用文献12の摘記事項に例示されているように、次の技術は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。)
<周知技術2>
「半導体素子の回路検査装置において、被試験デバイスの温度情報に応じて、2つの試験の間の時間間隔を調整して、被試験デバイスの冷却時間を最適化すること。」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(自動試験機器)
a 構成Xは、「複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明であることを特定するものである。
b 引用発明の「被試験デバイス22」は、本件補正発明の「被試験デバイス」に相当するので、引用発明において「複数の被試験デバイス22を試験する」ことは、本件補正発明において「複数の被試験デバイスを試験する」ことに相当する。
c 引用発明の「ハンドラ装置100」は、「試験装置のテストヘッド110と接続され」るものであるところ、「テストヘッド110は、試験装置の一部であり、当該試験装置は、複数の被試験デバイス22を試験するための試験パターンに基づく試験信号を複数の被試験デバイス22のそれぞれに入力して、複数の被試験デバイス22の良否を判定するもの」であることを踏まえると、引用発明における「テストヘッド110」を一部に含む「試験装置」は、本件補正発明の「複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器」に相当する。
d そうすると、「複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明である本件補正発明と、「複数の被試験デバイス22を試験する」「試験装置」の存在を前提とする発明である引用発明は、構成Xの観点に関し、「複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(リアルタイムハンドラインターフェース)
a 構成Aは、「自動試験機器」が「前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェース」を含むことである。
b 引用発明の「ハンドラ装置100」は、「複数の被試験デバイスを搬送して試験装置のテストヘッドに設けられた複数のソケットへと接続させる」ものであり、本件補正発明の「ハンドラ」に相当する。
c また、引用発明の「テスト部220」が有する「デバイス装着部222」は、「位置調整部218により位置が調整された複数の被試験デバイス22をソケットボード120の複数のソケットに装着するものであ[る]」ところ、引用発明の「複数の被試験デバイス22」が「装着」された「複数のソケット」は、各被試験デバイス22が「対応するソケット」に電気的に接続される試験位置であるといえるから、本件補正発明の「前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイト」に相当する。
d また、引用発明では、「テスト部220」が有する「デバイス装着部222」が「テストトレイ20上の複数の被試験デバイス22の温度を制御」し、「デバイス装着部222」が有する「複数の押付部224に複数の被試験デバイス22の温度を制御させ」、「複数の押付部224は、それぞれの温度をそれぞれ個別に制御して」おり、「押付部224が、被試験デバイス22毎に被試験デバイス22の裏面から温度を直接制御するものであ[る]」から、本件補正発明と引用発明は、「ハンドラ」が「前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能」を有し、「前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理」を行う点で、共通する。
e しかしながら、引用発明においては、「試験装置」が「ハンドラ装置100」における「複数の被試験デバイス22の温度を制御」することに関与しているのか不明であり、「試験装置」は「ハンドラ装置100」と「接続され」ているものの、どのようなインターフェースで接続がされているのかについては特定されていない。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点に関し、次の(a)の点において共通し、後記(b)の点において相違する。
(a) 構成Aの観点での一致点
「ハンドラ」が、「前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能」を有し、「前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理を行って」いる点。
(b) 構成Aの観点での相違点
本件補正発明においては、
「自動試験機器」が「前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含[む]」ものであるのに対して、
引用発明においては、「ハンドラ装置100」が有する「複数の被試験デバイス22の温度を制御」する機能を制御するために「試験装置」がどのように関わっているのか、特定されていない点。
(ウ) 構成Bの観点(サブ試験の間の遅延時間を個別に調整することについて)
a 構成Bは、「自動試験機器」が、「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づいて、前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整するように構成」されていることである。
b 引用発明は、複数の被試験デバイス22の温度を制御しているものの、リアルタイムの測定値に基づいているかどうかは特定されておらず、被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整することについても特定されていない。
c また、引用発明は、「複数の被試験デバイス22に対する試験を同時に実行する」ものではあるが、当該試験が複数の試験サイトに共通の試験であることまでは特定されていない。
d つまり、引用発明は本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明では「自動試験機器」が、「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づいて、前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整するように構成」されているのに対して、
引用発明においては、そのように構成されていない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「複数の被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、
ハンドラが、前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を有し、
前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理を行う自動試験機器。」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明においては、
「自動試験機器」が「前記複数の被試験デバイスのための温度制御機能を制御するために、前記被試験デバイスがそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラに提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含[む]」ものであるのに対して、
引用発明においては、「ハンドラ装置100」が有する「複数の被試験デバイス22の温度を制御」する機能を制御するために「試験装置」がどのように関わっているのか、特定されていない点。
b 相違点2
本件補正発明においては、「自動試験機器」が「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づいて、前記複数の試験サイトに共通の試験において、前記複数の試験サイトのうちの特定の試験サイトの試験フロー又は前記試験サイトに配置された前記被試験デバイスの試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整するように構成される」のに対し、
引用発明においては、そのように構成されていない点。
(4) 判断
ア 相違点1について
(ア) 「温度制御機能」の制御主体について
a 前記(2)イ(イ)で技術常識1として示したように、「半導体試験装置において、ハンドラとテスタとの間で通信情報を授受しながら、ハンドラが有する機能の動作制御をテスタ側で行うこと」は、当業者にとって技術常識である。
b 引用発明においては、「ハンドラ装置100」にある、「複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられた」「押付部224」により、複数の被試験デバイス22の温度の個別の制御が行われるところ、上記技術常識1を踏まえると、「ハンドラ装置100」と接続される「テストヘッド110」を有する「試験装置」側において、「複数の被試験デバイス22」の温度を制御できるようにし、「複数の被試験デバイス22」がそれぞれ接続される「複数のソケット」(本件補正発明の「複数の試験サイト」に相当)に応じた熱管理を行うように構成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。
(イ) 「熱管理に関する」「シグナリング」の「提供」について
a 前記(2)ウ(エ)で周知技術1として示したように、「半導体素子検査装置において、被検査デバイスに接する手段における温度制御の動作を実行するために、当該手段に信号を送ること」は、周知である。
b 前記(ア)に説示したとおり、引用発明において、技術常識1を踏まえて、「試験装置」側において「複数の被試験デバイス22」の温度を制御できるようにし、複数の被試験デバイス22がそれぞれ接続される複数のソケット(本件補正発明の「複数の試験サイト」に相当)に応じた熱管理を行うように構成した場合に、前記周知技術1を適用することにより、「複数の被試験デバイス22の温度の個別の制御」という動作のための信号(本件補正発明の「熱管理に関する」「シグナリング」に相当するもの)を「試験装置」が「ハンドラ装置100」に提供するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 「試験サイト固有のシグナリング」について
引用発明では、「複数の被試験デバイス22」が「複数のソケットを介して電気的にそれぞれ接続され」、「押付部224」が「複数の被試験デバイス22に対応して複数設けられ」、「複数の被試験デバイス22」の「温度をそれぞれ個別に制御」するものであるから、前記(イ)の「複数の被試験デバイス22の温度の個別の制御」という動作のための信号(本件補正発明の「熱管理に関する」「シグナリング」に相当するもの)を、各被試験デバイス22が配置される各ソケット、すなわち各試験サイトに応じた熱管理に関する信号として構成し、各試験サイトに対応する「試験サイト固有のシグナリング」としてハンドラ装置100に提供するようにすることは、個別温度制御の構成に沿うものであり、当業者ならば当然になし得たことである。
(エ) 「リアルタイムハンドラインターフェース」について
a 引用発明において、技術常識1を踏まえて、「試験装置」側において「複数の被試験デバイス22」の温度を制御できるようにし、複数の被試験デバイス22がそれぞれ接続される複数のソケット(本件補正発明の「複数の試験サイト」に相当)に応じた熱管理を行うように構成した場合に、「ハンドラ装置100」と「試験装置」との間で通信情報を授受するためには、「ハンドラ装置100」と「試験装置」との間に通信のためのインターフェースを設けることが当然に予定される。
b そして、当該通信は、「複数の被試験デバイス22」の温度を制御できるようにするためのものであるから、そのインターフェースを、リアルタイムに「ハンドラ装置100」との通信を行うことができるように「リアルタイムハンドラインターフェース」として構成することに、格別の困難性はない。
(オ) 相違点1の検討のまとめ
前記(ア)~(エ)を踏まえると、引用発明において、技術常識1及び周知技術1を踏まえて、複数の被試験デバイス22のための温度制御機能を制御するために、被試験デバイス22がそれぞれ配置された複数の試験サイトに応じた熱管理に関する試験サイト固有のシグナリングをハンドラ装置100に提供するように構成されたリアルタイムハンドラインターフェースを含むものとすることにより、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点2について
(ア) 試験間遅延時間の調整について
a 前記(2)エ(エ)において周知技術2として認定したように、
「半導体素子の回路検査装置において、被試験デバイスの温度情報に応じて、2つの試験の間の時間間隔を調整して、被試験デバイスの冷却時間を最適化すること」は半導体素子の回路検査装置における温度調整の技術としては周知のものである。
b そうすると、引用発明において、複数の被試験デバイス22に対する試験を実行するに当たり、被試験デバイスの温度状態を考慮して試験間の時間間隔を調整するため、周知技術2を適用し、被試験デバイスの温度情報に応じて2つの試験の間の時間間隔を調整するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 「リアルタイムの測定値」について
前記(2)イ(イ)で技術常識2として示したように、「半導体試験装置において、被試験デバイス又はこれに熱的に結合された部材の温度を温度センサにより測定し、半導体試験中にリアルタイムに温度を監視、管理すること」も、当業者にとって技術常識であるから、前記(ア)における温度情報としてリアルタイムの測定値を用いることは、当業者が適宜なし得たことである。
(ウ) 「調整」の「個別」性について
引用発明は、複数の被試験デバイス22に対応して温度を個別に制御するものであるから、前記(ア)における時間間隔の調整を、温度状態に応じて特定の被試験デバイス22又はこれに対応する試験サイトについて個別に行うようにすることは、個別温度制御の構成に沿うものであり、当業者が適宜なし得たことである。
(エ) 「試験」の「共通」性について
引用発明において、複数の被試験デバイス22に対する試験を同時に実行する際に、どのような試験を行うかは、適宜設計し得る程度のものであるため、複数の試験サイトに共通の試験を行うことは格別のものではない。
(オ) 相違点2の検討のまとめ
前記(ア)~(エ)の検討をまとめると、相違点2に係る構成は、引用発明において、技術常識2及び周知技術2を踏まえて、当業者が容易に想到し得たものである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び技術常識1~2、周知技術1~2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1~2、周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張の内容
請求人は審判請求書において、引用文献3には、共通の試験において被試験デバイス22の温度を制御することや試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を調整することが開示されておらず、引用文献9に記載の発明も、必要な冷却時間を試験が始まる前に事前に計算しておくものであって、温度制御のためにリアルタイムの温度の測定値を用いるものではないのに対して、本件補正発明は、これにより、各被試験デバイスを適切な温度に維持しつつ、複数の被試験デバイスで共通の試験を同時に実行できるという効果を奏する旨主張している。
(イ) 請求人の主張についての検討
しかしながら、被試験デバイスの温度情報に基づいて試験間の遅延時間を調整するという技術は、上記(2)エ(エ)に示したとおり周知の技術(周知技術2)であり、温度制御のためにリアルタイムの温度の測定値を用いることも、上記(2)イ(イ)に示した技術常識(技術常識2)にすぎず、各被試験デバイスを適切な温度に維持しつつ、複数の被試験デバイスで共通の試験を同時に実行できるという効果も、周知技術を寄せ集めた結果生じる程度の効果にすぎず、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果と認められるものではない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1~2、周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
6 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(2)イのとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、また、仮に同項の規定に違反しないとしても、前記5(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.国際公開第2007/010610号
引用文献2.特開2015-031414号公報
引用文献3.特開2013-145132号公報(主たる引用文献)
引用文献4.特開2008-116220号公報
引用文献5.特開2006-119137号公報
引用文献6.韓国登録特許第10-0499909号公報
引用文献7.米国特許出願公開第2020/0241040号明細書
引用文献8.特開2020-016560号公報
引用文献9.特開昭60-13267号公報
引用文献10.特開昭62-272166号公報
3 引用発明の認定等
引用発明は、前記第2の5(2)ア(イ)において示したとおりであり、技術常識1~2は、同イ(イ)において示したとおりであり、周知技術1~2は、同ウ(エ)、エ(エ)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から自動試験機器による試験フローの適合について「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度情報に基づ[く]」ものであったものを、「前記試験サイト又は前記被試験デバイスの温度のリアルタイムの測定値に基づ[く]」ものへとする限定、自動試験機器が試験フローを「個別に適合」させる対象を「複数の試験サイトに共通の試験」とする限定、「試験フロー」に対する「個別に適合」させることを、「試験フローにおける2つのサブ試験の間の遅延時間を個別に調整する」ことへとする限定を省き、または上位概念へと戻したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の5(4)において説示したとおり、引用発明及び技術常識1~2、周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-005792