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特許拒絶査定不服審判

2024-017677

双方向専用リアルタイムインターフェースを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ及び方法

審判番号
2024-017677
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-507342
請求日
2024年11月05日
審決日
2026年06月26日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社アドバンテスト
  • 【請求人代理人】森下 賢樹
  • 【請求人代理人】村田 雄祐
  • 【請求人代理人】三木 友由
  • 【請求人代理人】真家 大樹
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 井海田 隆
  • 審判官 柳 重幸
分類
P18 .121-Z (G01R) / P18 .575-Z (G01R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2023-507342「双方向専用リアルタイムインターフェースを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月10日国際公開、WO2022/029203、令和 5年 8月28日国内公表、特表2023-536605〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)8月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年8月4日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 2月 1日 :翻訳文の提出 同年12月28日付け:拒絶理由通知書 令和6年 5月 9日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 8月 6日 :原査定の謄本の送達) 同年11月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、2020年(令和2年)8月4日を「優先日」という。 第2 令和6年11月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年11月5日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年11月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年5月9日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、 双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを備え、 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され、 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され、 前記自動試験機器は、前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて試験フローを適合させるように構成されている、 自動試験機器。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、 双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを備え、 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され、 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され、 前記自動試験機器は、2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させて前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することによって試験フローを適合させるように構成されている、 自動試験機器。」 2 補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように」する構成について、その態様を「2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させ[る]」ことによるものに限定するとともに、同じく本件補正前の請求項1に記載された「試験フローを適合させる」構成について、その態様を「2つの試験の間の遅延時間を延長することによ[るもの]」に限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】に部材名を記入したもの、【図6】及び【図18】を掲載する。 <本件補正発明の分説> X 被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、 A 双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを備え、 B 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され、 C 前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースは、前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され、 D 前記自動試験機器は、2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させて前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することによって試験フローを適合させるように構成されている、 X 自動試験機器。 <参考図> 【図1】 [図:0001438777000001.jpg] 【図6】 [図:0001438777000002.jpg] 【図18】 [図:0001438777000003.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明に係る実施形態は、双方向専用リアルタイムインターフェースを使用して被試験デバイスを試験するための自動試験機器、ハンドラ、及び方法に関する。 【0002】 本発明に係る更なる実施形態は、例えば、トリガ、例えば、プレトリガ信号を使用する、高速同期及びデータ交換を伴う能動的温度制御に関する。本発明に係る更なる実施形態は、高速同期及びデータ交換を伴う能動的温度制御に関する。 【背景技術】 【0003】 例えば、MPU(例えば、マイクロプロセッサ)、GPU(例えば、グラフィックス処理ユニット)、及びMCU(例えば、マイクロコントローラ)などの複雑なデジタルデバイス(例えば、被試験デバイス(DUT)として機能し得る)は、多くの電力を消費する可能性がある。電力消費及びデバイス温度プロファイルは、例えば、試験全体を通して、例えば、自動試験機器(ATE)を用いた試験全体を通して変動する可能性があり、例えば、試験サイトに依存する可能性もある。一部の場合では、例えば、「平坦な」及び/又は予測可能な温度プロファイルを有するこれらのデバイスを試験するために、正確な温度制御が重要であり得るか、又は必須でさえあり得る。 【0004】 加えて、良好な精度及び少ない時間労力で試験を実施可能な試験機器を提供することが重要であり得る。例えば、配線の複雑さ及び手間が少ないことが有益となる場合がある。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 したがって、温度制御効率、試験精度、及び試験機器の複雑さの間のより良好な妥協を可能にする概念を得ることが望ましい。」 「【0031】 本発明の第1の態様に係る実施形態の概念を、自動試験機器との関連で以下に説明する。基本的な考え方は、かかる自動試験機器及び/又はハンドラとともに使用するための対応するハンドラ及び方法についても同様に理解されるべきである。したがって、自動試験機器に関して本明細書で論じた特徴、機能、及び詳細のいずれも、所望により、自動試験機器用、ハンドラ用、試験システム用、又は試験セル用のハンドラ、試験システム、試験セル、及び/又は方法において(例えば、同一又は類似の方法で)、個々に、かつ組み合わせて使用することができる。 【0032】 実施形態によれば、自動試験機器は、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを含み、当該インターフェースは、温度制御機能をトリガするためにハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成される。 【0033】 インターフェースがリアルタイムインターフェースである場合、温度制御のための情報を伝送することができ、その結果、特定の仕様、例えば温度限界による即時の反応が可能である。すなわち、実行時のデータ交換が可能であり得る。かかるシグナリングのレイテンシは、ある時間制限未満、例えば、1ms未満であり得る。これにより、情報伝送の高速化による温度制御の高精度化を図ることができる。かかるリアルタイム能力を提供するために、インターフェースは、例えば、試験ヘッドとハンドラとの間に直接配置することができる追加のインターフェースであってもよい。本発明者らは、他のインターフェース、例えば、従来のインターフェースよりも高速であり得るかかるインターフェースが、例えば、実行時に、リアルタイム試験適合を可能にすることを認識した。これにより、試験の精度及び効率を高めることができる。被試験デバイスの熱ホットスポット(又は更には熱暴走)をより速く認識することができるため、かかるリアルタイムインターフェースがない場合よりも早期に対策を実行することができる。 【0034】 更に、インターフェースは、専用のハンドラインターフェースである。例えば、情報の伝送に必要な速度を提供するために、インターフェースは、自動試験機器とハンドラとの間の通信に特に適合されていてもよい。所望により、インターフェースは、例えば、汎用インターフェースとは対照的に、特定用途向けインターフェースであってもよい。その結果、インターフェースによって使用される通信プロトコルは、例えばリアルタイムシグナリングを提供するように適合させることができる。 【0035】 本発明の第1の態様によれば、インターフェースは更に双方向インターフェースである。インターフェースの双方向性は、両側通信を可能にし、それにより、可能な試験適合範囲を広げることができる。例えば、テスタは、ハンドラに、例えば試験プログラムによって引き起こされる、被試験デバイスの次の予想される熱ピークを知らせることができる。これに応答して、ハンドラは、デバイスの現在の温度をテスタに通知することができ、ハンドラは、例えば事前の冷却時間を延長することによって、被試験デバイスの熱ホットスポット(又は熱暴走)を防止するために、温度を考慮して試験プログラムを適合させることができる。 【0036】 かかる本発明のリアルタイム双方向専用インターフェースは、テスタとハンドラとの間の差し迫った、例えば直接的で高速な通信経路を可能にする。加えて、かかるインターフェースは、例えば、被試験デバイスの試験サイクルに有用であり得る他のタイムクリティカルな情報を提供及び/又は受信するために使用され得ることに留意されたい。 【0037】 本発明者らは、リアルタイム双方向専用インターフェースが、ハンドラのタスクのためのテスタの計算性能の使用を可能にすることを認識した。制御ループ、例えば温度制御ループは、被試験デバイス、ハンドラ、及び自動試験機器を含めて実装することができる。リアルタイムインターフェースは、テスタが、例えば、実行時のハンドラの温度制御情報のための入力情報を用いて、被試験デバイスの温度制御に参加することを可能にし得る。逆に、ハンドラは、テスタが、例えば冷却振幅及び/又は冷却持続時間及び/又は冷却時間を含むかかる温度制御情報を計算することを可能にするために、測定データをリアルタイムで提供することができる。」 「【0278】 リアルタイムハンドラインターフェース120は、温度制御機能をトリガするために、ハンドラ130にトリガシグナリング122を提供するように構成される。逆に、ハンドラ130は、テスタインターフェース140を介して自動試験機器110からトリガシグナリング122を受信するように構成され、ハンドラ130は、受信したシグナリング122に応答して温度制御機能をトリガするように構成される。 【0279】 ハンドラ130は、例えば、過熱を防止するために、被試験デバイス152、154、156、158を冷却及び/又は加熱するように構成されてもよい。トリガシグナリング122は、ハンドラが被試験デバイス152、154、156、158の熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を打ち消すことができるように、被試験デバイスの次の温度ピークに関する情報を含むことができる。 【0280】 更に、ハンドラ130は、テスタインターフェース140を介して自動試験機器110にシグナリング142を提供するように構成され、リアルタイムハンドラインターフェース120は、ハンドラ130からシグナリング142を受信するように構成される。自動試験機器110は、ハンドラから受信したシグナリング142を考慮するように構成されている。 【0281】 ハンドラは、被試験デバイス152、154、156、158の温度情報をリアルタイムで自動試験機器110に伝送することができる。自動試験機器110は、例えば被試験デバイスの過熱を防止するために、例えば試験プロセスを適合させることによって、この情報を考慮することができる。試験フローは、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の冷却時間が2つのサブ試験の間で増加され得るように適合されてもよい。加えて、トリガシグナリング122は、例えばハンドラ130に温度管理戦略を適合させるように命令するために、受信したシグナリング142に基づいて適合されてもよい。 【0282】 所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、同期シグナリングをハンドラ130に提供するように構成することができる。ハンドラ130は、双方向専用リアルタイムテスタインターフェース140を介して同期シグナリングを受信するように構成することができる。同期シグナリングに基づいて、ハンドラ130は、温度制御機能のトリガを超える機能を自動試験機器110と同期させることができる。同期は、測定、例えば、被試験デバイス152、154、156、158の温度測定を実行するために、ハンドラ130によって特定の時間に、又は例えば、自動試験機器110による被試験デバイス152、154、156、158の刺激に対して特定の時間差で実行されてもよい。シグナリング122は、例えば、同期シグナリングを含むことができ、又は同期シグナリングは、別個のシグナリングとすることができる。 【0283】 所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、試験サイト固有のシグナリングをハンドラ130に提供するように構成することができる。ハンドラは、双方向専用リアルタイムテスタインターフェース140を介して自動試験機器110から試験サイト固有のシグナリングを受信するように構成することができる。ハンドラは、試験サイト固有のシグナリングに基づいて、又はそれに応答して、温度制御機能を制御することができ、例えば、特定の被試験デバイス152の冷却を実行することができる。 【0284】 所望により、ハンドラ130から自動試験機器110へのシグナリング142は、試験サイト固有のシグナリング、例えば、それぞれ特定の試験サイト又は被試験デバイス152の温度測定値であってもよい。 【0285】 所望により、双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース120は、トリガシグナリング122に加えて、追加のシグナリングを提供するように構成される。ハンドラ130は、リアルタイムテスタインターフェース140を介して、トリガシグナリング122に加えて、追加のシグナリングを受信するように構成することができる。追加のシグナリングは、ハンドラ130による温度制御プロファイル若しくは温度調節の決定若しくは修正のための制御情報、自動試験機器110によって決定された1又は複数の測定値に関する情報、1又は複数の試験状態パラメータ、及び/又はアラーム情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。ハンドラ130は、1又は複数の被試験デバイスサイト又は被試験デバイスそれぞれ152、154、156、158の温度を制御するために、追加のシグナリングを使用するように構成することができる。追加のシグナリングは、被試験デバイスの試験を改善するのに適した任意の情報を含むことができる。 【0286】 試験状態パラメータは、被試験デバイス152、154、156、158の次の電源変更に関するタイミング情報を含むことができる。これに基づいて、ハンドラ130は、その冷却戦略をデバイスに適合させることができる。更に、ハンドラは、温度管理をどのように適合させるかを判定するために、かかる情報を評価するように構成することができる。しかしながら、追加のシグナリングは、直接的な温度管理戦略であってもよく、例えば、前述のタイミング情報に基づいて処理された情報であってもよく、一例として制御情報の形態で、冷却すべき時間及び場所をハンドラに通知するだけである。例えば、被試験デバイスの誤動作の場合、アラーム情報は、損傷又は試験中止を防止するために、ハンドラ130に被試験デバイスを直ちに冷却させてよい。 【0287】 所望により、自動試験機器110は、ハンドラからのシグナリング142に反応して試験フローを適合させるように構成することができる。ハンドラは、被試験デバイス152、154、156、158に関する情報、例えば温度情報を提供することができる。かかる情報は、有益な試験適合を示し得る。例えば、被試験デバイスの温度が上昇する場合、自動試験機器110は、臨界温度に達する前にデバイスを冷却することを可能にするために、当該デバイスの2つの試験の間の遅延を延長することができる。 …(中略)… 【0299】 リアルタイムハンドラインターフェース220は、温度制御機能をトリガするために、ハンドラ230にトリガシグナリング122を提供するように構成される。逆に、ハンドラ230は、テスタインターフェース240を介して自動試験機器210からトリガシグナリング122を受信するように構成され、ハンドラ230は、受信したシグナリング122に応答して温度制御機能をトリガするように構成される。 【0300】 ハンドラ230は、例えば、過熱を防止するために、被試験デバイス152、154、156、158を冷却及び/又は加熱するように構成されてもよい。トリガシグナリング122は、ハンドラが被試験デバイス152、154、156、158の熱ホットスポット(又は更には熱暴走)を打ち消すことができるように、被試験デバイスの次の温度ピークに関する情報を含むことができる。」 (2) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開2007/010610号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 a 特許請求の範囲 「請求の範囲 [1] 共通の熱源に熱的に結合された複数のデバイス押圧部を備え、 前記複数のデバイス押圧部の各々が前記被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して押圧することにより、前記被試験半導体デバイスの各々を半導体試験装置の試験用ソケットに押圧し且つ前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ。 [2] 本体部と、前記本体部に対して揺動できるように前記本体部に支持されたデバイス押圧部とを備え、 前記デバイス押圧部が、被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して、前記被押圧面の傾斜に従って揺動することにより前記被押圧面に密着して、前記押圧面を均一に押圧して前記被試験半導体デバイスを半導体試験装置の試験用ソケットに向かって押圧するプッシャ。 [3] 熱源に熱的に結合された本体部と、前記本体部に対して物理的且つ熱的に結合され、各々が被試験半導体デバイスの被押圧面を押圧する複数のデバイス押圧部とを備え、 前記デバイス押圧部の各々が、前記被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して前記被試験半導体デバイスを半導体試験装置の試験用ソケットに向かって押圧し、且つ、前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ。 [4] 熱源に熱的に結合された本体部と、前記本体部に対して物理的且つ熱的に結合され、且つ、前記本体部に対して揺動できるように前記本体部に支持され、被試験半導体デバイスの被押圧面を押圧するデバイス押圧部とを備え、 前記デバイス押圧部が、被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して、前記被押圧面の傾斜に従って揺動することにより前記被押圧面に密着して、前記押圧面を均一に押圧し且つて前記被試験半導体デバイスを半導体試験装置の試験用ソケットに向かって押圧し、且つ、前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ。 [5] 前記デバイス押圧部が球面状の端部を有し、前記本体部が前記端部と相補的な形状の座部を有し、前記端部および座部が嵌合することにより両者が結合されている請求項2または請求項4に記載のプッシャ。 [6] 前記本体部および前記デバイス押圧部の間に、熱伝導率の高い流動体が介在する請求項5に記載のプッシャ。 [7] 前記デバイス押圧部が、その押圧方向について前記本体部に対して変位できるように前記本体部から弾性支持されている請求項2または請求4に記載のプッシャ。 [8] 前記本体部および前記デバイス押圧部の間の間隙が、熱伝導率の高い流動体で充填されている請求項7に記載のプッシャ。 [9] 前記デバイス押圧部が、弾性シートを介して前記本体部に支持されている請求項7に記載のプッシャ。 [10] 前記本体部が、前記押圧方向に積層されて積層体をなす複数の弾性変形できる薄板材と、前記薄板材が相互に密着するように締結する締結部材とを含む前記請求項2または請求項4に記載のプッシャ。 [11] 前記デバイス押圧部が、 一端が前記本体部に熱的に結合され、他端が前記被試験半導体デバイスに当接する当接面をなし、前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝播させる熱伝導部と、 一端において前記本体部から前記被試験半導体デバイスに向かって付勢され、他端において前記被試験半導体デバイスの前記熱伝導部が押圧していない領域を前記試験用ソケットに向かって押圧する基板押圧部と を含む請求項3または請求項4に記載のプッシャ。 [12] 前記デバイス押圧部がその表面に熱伝導率の高いシート状の弾性部材を備え、該弾性部材を介して前記被試験半導体デバイスを押圧する請求項3または請求項4に記載のプッシャ。 [13] 前記熱源から前記デバイス押圧部を介して前記被試験半導体デバイスに伝導される熱の経路上に配置され、自身の配置された場所の温度を測定する温度センサを備える請求項3から請求項12までのいずれか1項に記載のプッシャ。 [14] 前記デバイス押圧部が着脱できる請求項1から請求項13までの何れか1項に記載のプッシャ。 [15] 一端を前記熱源に熱的に結合され、他端を前記本体部に熱的に結合された熱的結合部を備え、前記熱的結合部に対して前記本体部および前記デバイス押圧部が着脱でき、仕様の異なる他の前記本体部および前記デバイス押圧部を装着できる請求項14に記載のプッシャ。 [16] 前記本体部からの押圧力により前記デバイス押圧部が前記試験用ソケット方向へ変位するときの変位量を規制する規制部材を更に備える請求項1から請求項13までの何れか1項に記載のプッシャ。 [17] ひとつの前記本体部に対して、複数の前記デバイス押圧部が装着されている請求項2から請求項15までの何れか1項に記載のプッシャ。 [18] 前記デバイス押圧部のそれぞれが、前記本体部からの押圧力により前記デバイス押圧部が前記試験用ソケット方向へ変位するときの変位量を規制する規制部材を備える請求項17に記載のプッシャ。 [19] 半導体試験装置において被試験半導体デバイスを保持して試験用ソケットに向かって押圧するプッシャユニットであって、 熱源と、 前記熱源に熱的に結合された本体部、及び、前記本体部に対して物理的且つ熱的に結合された複数のデバイス押圧部を有するプッシャであって、前記デバイス押圧部の各々が前記被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して、それぞれが前記被試験半導体デバイスを前記試験用ソケットに向かって押圧し且つそれぞれが前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャと、 前記被試験半導体デバイスをそれぞれが保持する複数の保持部と を備えるプッシャユニット。 [20] 半導体試験装置において被試験半導体デバイスを保持して試験用ソケットに向かって押圧するプッシャユニットであって、 熱源と、 前記熱源に熱的に結合された本体部、及び、前記本体部に対して揺動できるように前記本体部に支持され且つ前記本体部に対して熱的に結合されたデバイス押圧部とを有するプッシャであって、前記被試験半導体デバイスの表面の傾斜に従って揺動することにより前記被試験半導体デバイスの表面に密着して、前記被試験半導体デバイスを前記試験用ソケットに向かって押圧すると共に前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャと、 前記被試験半導体デバイスを保持する保持部と を備えるプッシャユニット。 [21] 半導体試験装置において被試験半導体デバイスを試験用ソケットに向かって押圧するプッシャユニットであって、 熱源と、 前記熱源に熱的に結合された本体部、前記本体部に対して前記被試験半導体デバイスに対する押圧方向に変位可能に前記本体部から弾性支持され且つ前記本体部に熱的に結合されたデバイス押圧部を有するプッシャであって、前記被試験半導体デバイスの表面に密着して前記被試験半導体デバイスを前記試験用ソケットに向かって押圧すると共に前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャと、 前記被試験半導体デバイスを保持する保持部と を備えるプッシャユニット。 [22] 熱源、前記熱源に熱的に結合された本体部と、前記本体部に対して物理的且つ熱的に結合された複数のデバイス押圧部とを有するプッシャであって、前記複数のデバイス押圧部は被試験半導体デバイスの被押圧面に当接して前記被試験半導体デバイスを前記試験用ソケットに向かって押圧し且つそれぞれが前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ、及び、前記被試験半導体デバイスをそれぞれが保持する複数の保持部を含むプッシャユニットと、 前記プッシャユニットによって前記試験用ソケットに装着された前記被試験半導体デバイスに対する試験を実行するテスト部と を備える半導体試験装置。 [23] 熱源、前記熱源に熱的に結合された本体部と、前記本体部に対して揺動できるように前記本体部に支持され且つ前記本体部に対して熱的に結合されたデバイス押圧部とを有するプッシャであって、被試験半導体デバイスの表面の傾斜に従って揺動することにより前記被試験半導体デバイスの表面に密着して前記被試験半導体デバイスを前記試験用ソケットに向かって押圧すると共に前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ、及び、前記被試験半導体デバイスを保持する保持部とを備えるプッシャユニットと、 前記プッシャユニットによって前記試験用ソケットに装着された前記被試験半導体デバイスに対する試験を実行するテスト部と を備える半導体試験装置。 [24] 熱源、前記熱源に熱的に結合された本体部と、前記本体部に対して被試験半導体デバイスに対する押圧方向に変位可能に前記本体部から弾性支持され且つ前記本体部に熱的に結合されたデバイス押圧部とを有するプッシャであって、前記本体部からの押圧力により試験用ソケットに向かって変位しつつ前記被試験半導体デバイスの表面に密着して前記被試験半導体デバイスを押圧すると共に前記熱源からの熱を前記被試験半導体デバイスに伝えるプッシャ、及び、前記被試験半導体デバイスを保持する保持部とを有するプッシャユニットと、 前記プッシャユニットによって前記試験用ソケットに装着された前記被試験半導体デバイスに対する試験を実行するテスト部と を備える半導体試験装置。」 b [0001]~[0008]、[0034] 「技術分野 [0001] 本発明はプッシャ、プッシャユニットおよび半導体試験装置に関する。より詳細には、半導体試験装置において被試験半導体デバイスを搬送して試験用ソケットに装着するプッシャユニットと、そのプッシャユニットに装着するプッシャ、更に、そのプッシャユニットを備えた半導体試験装置に関する。 背景技術 [0002] 半導体試験装置は、被試験半導体デバイスを試験用ソケットの位置に順次搬送して、押圧し、テスト部に実装された所定の試験プログラムに従って被試験半導体デバイスの各々に対して試験を実施し、試験結果に応じて搬送及び分類する。このような半導体試験装置の一連の動作においては、プッシャユニットが、被試験半導体デバイスを搬送と試験用ソケットへ押圧する。 [0003] 半導体試験装置のプッシャユニットは、搬送にあたって被試験半導体デバイスをひとつずつ保持する保持部を備える。この保持部は、負圧源に接続されて、負圧の吸着力により被試験半導体デバイスを保持する。また、プッシャユニットは、保持部に保持された被試験半導体デバイスを試験用ソケットに向かって押圧するプッシャを備える。プッシャは、被試験半導体デバイスまたはその基板に直接に当接して押圧する押圧部と、押圧部を支持すると共に押圧部に印加する押圧力を伝える本体部と有する。 [0004] 下記特許文献1には、被試験半導体デバイスを受け渡す複数の搬送手段を設けることにより、搬送中に被試験半導体デバイスを冷却させて連続的な処理ができる半導体試験装置の構造が提案されている。また、下記特許文献2には、被試験半導体デバイスを収容したトレイの変形に起因する被試験半導体デバイスの傾きに対応したIC搬送装置の構造が開示されている。 [0005] 更に、下記特許文献3には、負圧を利用して被試験半導体デバイスを吸着して搬送する装置において、負圧発生手段を利用して被試験半導体デバイスに空気を吹きつけて冷却する機能を与えることが提案されている。また更に、下記特許文献4には、個別の搬送装置で被試験半導体デバイスのロードとアンロードをすることにより、試験工程の効率を向上させることが提案されている。 特許文献1:特開平09-175647号公報 特許文献2:特開平10-058367号公報 特許文献3:特開2000-171521号公報 特許文献4:特開2002-174658号公報 発明の開示 発明が解決しようとする課題 [0006] 上記プッシャに、被試験半導体デバイスを加熱または冷却する機能の一部を担わせている半導体試験装置がある。この半導体試験装置において、プッシャは被試験半導体デバイスに直接に当接する部材なので、プッシャを介して熱を伝えることにより、被試験半導体デバイスを加熱または冷却する。これにより、試験中に被試験半導体デバイス自体が発生した熱を所望温度に冷却し、あるいは、プッシャに熱源を設けて被試験半導体デバイスを所望温度に加熱することができる。これにより、被試験半導体デバイスを所望の低温状態または高温状態を維持して試験が行われる。なお、プッシャは、外気とは遮断された恒温槽(チャンバ)の内部に収容されている。また、テストコスト低減する必要から、同時測定する個数は今後も増加する傾向にある。 [0007] 一方、生産性を向上すべく、例えば4個、8個といった複数の被試験半導体デバイスを同時測定できる半導体試験装置がある。このような半導体試験装置においては、複数のプッシャの各々に加熱/冷却構造を設けている。 [0008] しかしながら、複数のプッシャの各々に熱源を設けることによりプッシャを含む装置全体が大型化するので、結果的に恒温槽も大型化することになり好ましくない。また、恒温槽の大型化ばかりではなく、同時測定個数に比例して加熱/冷却構造体の数も増加するので、半導体試験装置のコストも単純に増加するという問題がある。」 「発明の効果 [0034] 上記のようなプッシャ、プッシャユニットおよびそれを備えた半導体試験装置は、ひとつのプッシャまたはプッシャユニットで複数の被試験半導体デバイスを取り扱うことができ、且つ、試験を実行するときにひとつの熱源から複数の被試験半導体デバイスに対して熱を伝えることができる。従って、被試験半導体デバイスに熱負荷を印加する半導体試験においても加熱のために消費されるエネルギーが小さい。また、一時に取り扱う被試験半導体デバイスの数に対して実装する熱源の数を少なくすることができるので、装置の寸法が拡大することもない。これにより、半導体試験を含む半導体デバイスの生産性を向上させることができる。」 c [0037]~[0049]、[図1] 「[0037] 図1は、プッシャユニット10の構造を示す縦断面図である。同図に示すように、プッシャユニット10は、ユニットケース100に組み付けられ、一対のデバイス押圧部220を備えたプッシャ200を備えている。」 「[図1] [図:0001438777000004.jpg] 」 「[0038] ユニットケース100は、図示されていない押圧力発生手段からの押圧力Pを受けるケース上部110と、保持部130を装着されたケース下部120とを含む。これらケース上部110とケース下部120は一体に結合されている。 [0039] ケース下部120には、保持部130が装着される。保持部130の内部は、図示されていない負圧源に接続されており、これにより、保持部130は、後述する被試験半導体デバイス300の平坦な基板320を吸着して保持する。なお、図1に示す保持部130の位置、個数、配置は一例であって、被試験半導体デバイス300の形状によって変わる。従って、例えば、保持部130がデバイス押圧部220に設けられる場合も有る。 [0040] また、ケース上部110とケース下部120との間にはプッシャ200の本体部210が収容されている。ケース上部110と本体部210との間には押圧バネ140が配されており、ケース上部110に印加された押圧力P1とこの押圧バネ140の押圧力P2との合力Pを本体部210に伝達する。従って、ユニットケース100とおよびプッシャ200は、一体に降下または上昇する。なお、本実施形態において、ケース上部110の中央付近には貫通穴が形成されており、本体部210がユニットケース100に対して上昇した場合に、本体部210の上面が逃げられるようになっている。 [0041] 本体部210は、その上面に熱的結合部201を備えていて、外部の熱源400に接続されている。外部の熱源400は、室温よりも低温または高温である所望の試験温度条件に被試験半導体デバイス300を維持する加熱源または冷却源である。熱的結合部201の具体的な構造の第1の例としては、熱源400により加熱または冷却された流体が流通する媒体管を接続されて自身が昇温または降温する部材を挙げることができる。また、第2の例として、外部の加熱源または冷却源に加えて熱的結合部201にペルチェ素子とそのための電流量/電流方向を所望に制御する制御装置を備える装置構成を挙げることができる。このような熱的結合部201は、プッシャ200の本体部210を介して被試験半導体デバイス300との間で熱を伝達する。なお、高温試験にだけ対応すればよい場合は、冷却源を省略しても良い。また、熱的結合部201に加熱用のヒータを更に設ける場合もある。さらに、熱的結合部201にペルチェ素子を追加配置することにより熱応答を俊敏にして、より安定した温度制御を行うこともできる。 [0042] 熱的結合部201は、本体部210の中央に配置されているので、熱は本体部210の両端に均等に伝えられる。なお、ここでは説明の便宜上「熱」と記載しているが、熱源400の温度が熱的結合部201の温度よりも低い場合は、熱的結合部201は冷却され、本体部210も冷却される。 [0043] 本体部210の下面の水平方向の両端近傍は、互いに離隔して装着された一対のデバイス押圧部220が配置される。デバイス押圧部220の各々は、ケース下部120の下方まで延在して、下面に平坦な押圧面を有する。なお、前記した保持部130は、この押圧面の周囲を包囲するように形成されている。 [0044] 一方、デバイス押圧部220の上端は球面状の球面端222を形成している。球面端222は、本体部210の下面に形成された同じ曲率の球面をなす座部212の内面に当接している。従って、球面端222が座部212の内面に沿って変位することにより、デバイス押圧部220は円滑に揺動できる。従って、デバイス押圧部220の下面とダイ310との当接面に傾斜が存在する場合でも、プッシャユニット10の押圧に伴ってデバイス押圧部220が円滑に揺動するので、デバイス押圧部220の当接面が被試験半導体デバイスに均一に当接する。 [0045] また、本体部210の座部212とデバイス押圧部220の球面端222は相補的な形状を有して相互に密着しているので、熱伝導特性の変動がほとんど無い。従って、上記のようなデバイス押圧部220の揺動があったとしても、本体部210およびデバイス押圧部220の間の熱伝導特性は変化しない。なお、座部212の周囲に止め具221が装着され、デバイス押圧部220の落下を防止している。 [0046] なお、本体部210およびデバイス押圧部220を含むプッシャ200は、熱伝導率に優れた材料で形成することが好ましい。具体的には、銅または銅を主体とする合金、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックスを例示できるが、これらに限定されるものではない。また、プッシャ200としての耐磨耗性、球面端222および座部212の間における摺動に対する潤滑性等を向上させる目的で、上記金属材料の表面をセラミックス等の硬質材料によって被覆し、あるいは硬質金属等によりメッキ処理することも好ましい。 [0047] また、座部212および球面端222の間の潤滑性を向上させると共にその微細な間隙を埋めて熱的な結合を向上させる目的で、熱伝導性の高い潤滑剤を両者の間に配することが好ましい。なお、熱電導性の高い潤滑剤としては、シリコンオイルを基材としてアルミナ、酸化チタン等のセラミックスを分散させたものが供給されている。 [0048] また、本体部210とデバイス押圧部220は、直接または上記潤滑剤を介して相互に密着する。これにより、熱的結合部201、本体部210およびデバイス押圧部220は、熱的に結合される。なお、球面端222と座部212とが、常時軽く当接するように、バネ部材(図示なし)でデバイス押圧部220を上方へ押圧支持することが望ましい。 [0049] 図1はまた、後述する半導体試験装置20における試験領域も模式的に示している。同図に示す状態では、プッシャユニット10は一対の試験用ソケット500の上方に位置している。試験用ソケット500は、それぞれ、複数のコンタクトピン510をフレーム520で一体にして形成されている。また、この試験用ソケット500を用いて試験される被試験半導体デバイス300の一例は、ダイ310を実装された基板320を含み、基板320の下面に電気的接続を得るためのデバイス端子(図示なし)を備えている。」 d [0050]~[0056] 「[0050] 被試験半導体デバイス300の試験工程において、上記のように形成されたプッシャユニット10は、まず、試験に供する被試験半導体デバイス300が保持部130で吸着した状態で試験用ソケット500がある試験領域まで搬送される。 [0051] 試験領域において、被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500の上方まで搬送されると、プッシャユニット10は降下しながら押圧開始する。これにより、被試験半導体デバイス300のデバイス端子はコンタクトピン510に当接する。さらに、デバイス押圧部220の押圧面がダイ310を押圧することにより各デバイス端子はコンタクトピン510に強く押し付けられる。このとき、デバイス押圧部220は円滑に揺動しながら平面で当接した後、更に押圧が進む。 [0052] この結果、被試験半導体デバイス300のダイ310の平面に対して均一な押圧力にできる。従って、被試験半導体デバイス300に対する安定した接触熱抵抗が維持できる結果、安定した温度条件でデバイス試験ができる。また、ダイ310に対して部分的に過度な押圧ストレスが無くなる結果、デバイスの劣化や破損も解消できる。 [0053] また、デバイス押圧部220の押圧面がダイ310に密着しているので、熱的結合部201および本体部210を介して熱源400から伝達された熱は、デバイス押圧部220からダイ310にも効率良く伝達される。従って、単一の熱的結合部201の温度を適切に設定することにより、2個の被試験半導体デバイス300の両者は、ほぼ同一温度条件を維持できる。 [0054] この結果、2個の被試験半導体デバイス300は、1系統の熱的結合部201と熱源400への接続経路を、両者で共用できる利点が得られる。従って、個別に2系統の熱的結合部201と熱源400への接続経路を備える場合よりも高密度に実装でき、小型で安価に実現できる。また、試験実施中における2個の被試験半導体デバイス300の消費電力は近似した消費電力なので、1系統の熱的結合部201で実用的に温度管理できる。 [0055] さらに、この実施形態に係るプッシャユニット10は、一対のデバイス押圧部220を備えているので、2つの被試験半導体デバイス300を同時に取り扱うことができる。これにより、半導体試験装置20における試験工程において高密度に実装できる結果、同時測定個数を増加することもできる。 [0056] なお、製造ばらつき等により、ダイ310の表面が水平では無く、微少に傾斜している場合がある。また、一対の被試験半導体デバイス300の高さが相互に異なっていた場合、デバイス押圧部230がダイ310の一部にだけ当接するおそれがある。しかしながら、本実施形態において、デバイス押圧部230は、ダイ310を押圧するときにダイ310から受ける反力により揺動するので、その押圧面は傾斜したダイ310の被押圧面に追従し、密着できる。また、デバイス押圧部220が揺動する場合であっても、本体部210とデバイス押圧部220とは密着できる。従って、デバイス押圧部230とダイ310とが傾斜した状態であっても、各被試験半導体デバイス300に対して良好な熱伝導が維持できる。」 e [0057]~[0063]、[図2] 「[0057] 図2は、上記図1で説明したプッシャユニット10を備えた半導体試験装置20の構造を模式的に示す図である。同図に示すように、半導体試験装置20は、プッシャユニット10を含むハンドラ610と、これに接続されたテスト部620とを備える。」 「[図2] [図:0001438777000005.jpg] 」 「[0058] テスト部620は、試験用ソケット500に接触状態にある被試験半導体デバイス300に対して電気的試験を実行するものであって、プッシャユニット10及びハンドラ610との通信制御を行うハンドラ制御部630と、ハンドラ610内で試験用ソケット500に装荷された被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640とを備える。さらに、テスト部(テスター本体)620は、これらハンドラ制御部630および試験実行部640を含むテスト部620全体の動作を統括する装置制御部650を備える。 [0059] ハンドラ610は、複数の被試験半導体デバイス300をストッカ(図示なし)から順次搬送して試験用ソケット500へ押圧載置して電気的試験を実行させる。ストッカには複数枚の搬送トレイ550が有り、各搬送トレイ550には多数の被試験半導体デバイス300が搭載されている。搬送装置(図示なし)によって搬送トレイ550から被試験半導体デバイス300が順次搬送されて、プッシャユニット10に渡される。 [0060] プッシャユニット10により複数個の被試験半導体デバイス300が搬送され、試験領域においてプッシャユニット10により吸着保持された状態で降下して、2つの被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500へ押圧接触する。これら動作は、ハンドラ内制御装置(図示なし)により、テスト部620側のハンドラ制御部630と通信しながら、連携した搬送制御される。なお、半導体試験装置20の全体動作は、ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受しながら、両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される。 [0061] 試験領域において、被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500の上方に到達すると、プッシャユニット10が降下し、被試験半導体デバイス300は試験用ソケット500上に当接する。さらに、プッシャユニット10が被試験半導体デバイス300を試験用ソケット500に向かって押圧することにより、被試験半導体デバイス300のデバイス端子と試験用ソケット500の対応するコンタクトピン510とが電気的に接触する。 [0062] 上記の接触状態で、試験実行部640は試験を実行して、試験の結果から個々の被試験半導体デバイス300の良否判定情報、電気的な特性等の情報を得る。この情報に基づいて分類された分類情報がハンドラ制御部630を介してハンドラ内制御装置へ送信される。ハンドラ制御部630は、試験済みの被試験半導体デバイス300を、プッシャユニット10および他の搬送装置(図示なし)により搬送して、前記分類情報に基づいて対応するストッカへ収容する。 [0063] この半導体試験装置20は、図1に示すように、単一の本体部210に対して複数のデバイス押圧部220を備えたプッシャ200を含むプッシャユニット10を備えている。また、各プッシャ200は、単一の熱源400及び単一の熱的結合部201により2つの被試験半導体デバイス300に均等の温度制御が維持できる。従って、単一の熱源とデバイス押圧部とを備えた半導体試験装置と比較した場合、高密度に実装でき、かつ小型で安価に実現できる。また、同一の試験領域であっても、より多数個の被試験半導体デバイスを同時測定することも可能となるので、試験コストの低減ができる。」 f [0102]~[0114]、[図10] 「[0102] 図10は、プッシャ200を含むチェンジキット610を容易に交換できるプッシャユニット15のひとつの実施形態の構造を模式的に示す断面図である。なお、同図において、他の図と共通の構成要素には同じ参照符号を付して重複する説明を省いている。」 「[図10] [図:0001438777000006.jpg] 」 「[0103] 同図に示すように、このプッシャユニット15は、熱的結合部201を含む常設部620と、プッシャ200を含み常設部620に対して着脱できるチェンジキット部610とを備えている。常設部620とチェンジキット部610は、その各側面に装着されたラッチ622、612により相互に結合されている。ただし、このラッチ622、612は開放することができ、その場合はチェンジキット部610を取り外すことができる。 [0104] 上記プッシャ15において、常設部620は、ロワーケース621およびアッパーケース623を積層して形成されたケース部と、フランジ部203を一体に有する熱的結合部201とを備えている。フランジ部203は、弾性部材624により上方から下方に向かって圧力P0で付勢されており、後述するプッシャ200を上方から圧下している。ただし、何らかの理由でプッシャ200が変位した場合は、熱的結合部201はそれに追従して上昇することも傾動することもできる。 [0105] また、常設部620には、アッパーケース623およびロワーケース621を上下に貫通する連通管135と、連通管135の下端に結合されてロワーケース621の下面に開口するコネクタ139も備えている。連通管135の上端は、図示されていない減圧源に結合されている。 [0106] 一方、チェンジキット部610は、やはりロワーケース112およびアッパーケースにより形成されたユニットケース100と、押圧バネ140によりユニットケース100に対して下方に向かって付勢されたプッシャ200とを備えている。また、ユニットケース100の下面には、複数の保持部130も装着されている。 [0107] ここで、保持部130の内部132は、ロワーケース112およびケース上部110にそれぞれ形成された連通管134、136を介して、ケース上部110の上面に開口したコネクタ138に連通している。また、コネクタ138は常設部620の下面に装着されたコネクタ135に結合されている。従って、常設部620とチェンジキット部610とが結合された状態では、保持部130の内部132は、減圧源に結合されている。なお、常設部620のロワーケース621内部では、連通管135は複数の分岐部137に結合されており、複数の保持部130のそれぞれを減圧源に結合されている。また、各保持部130の外側には、側壁部材114が装着されており、保持した被試験半導体デバイス300を位置決めする。 [0108] 上記のように形成されたプッシャユニット15は、保持部130に結合された減圧源を駆動することにより、被試験半導体デバイス300を保持部130に保持できる。また、試験用ソケット500上に被試験半導体デバイス300を降下させ、さらに、常設部620を上方から圧力P1で圧下して押圧バネ140に発生した力P2により、プッシャ200が押圧される。こうして、最終的に、デバイス押圧部220を介して被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500のコンタクトピン510に向かって押圧できる。 [0109] また、上記の動作において、被試験半導体デバイス300に当接するプッシャ200には、熱的結合部201が上方から当接し、付勢部材624により押圧されている。また、熱的結合部201は弾性支持されているので、プッシャ200の変位および傾きに追従できる。従って、熱的結合部201の下面は、その全体でプッシャ200に密着するので、プッシャ200は熱源400に効率よく結合される。 [0110] さらに、何らかの理由で一対の被試験半導体デバイス300上面の高さが異なっていた場合でも、プッシャ200はユニットケース100に対して変位できるので、双方の被試験半導体デバイス300を均等に押圧できる。また、個々の被試験半導体デバイス300が何らかの理由で傾斜していた場合でも、コンタクトピンは自身の弾性により伸縮するので、その範囲で対応できる。従って、プッシャ200のデバイス押圧部220の下面は、被試験半導体デバイス300に全面で密着する。従って、熱源400と被試験半導体デバイス300との熱的な結合も緊密になる。 [0111] なお、上記のプッシャユニット15において、プッシャ200のデバイス押圧部220に、既に説明した他の実施形態に係るプッシャユニット10、30、40、50、60、70、80、90のデバイス押圧部220の構造を適用できることはいうまでもない。これにより、デバイス押圧部220と被試験半導体デバイス300との熱的な結合を良好にできることは、既に述べた通りである。 [0112] また、ひとつの実施形態として、プッシャユニット15に温度センサを装着することができる。即ち、図10に示す通り、熱的結合部201およびプッシャ200の結合部付近に温度センサ710、720を設けることにより、半導体試験中の温度を精密に管理できる。ここで、温度センサ710、720は、熱的結合部201側に設けても、プッシャ200側に設けても、あるいは、その両方に設けてもよい。 [0113] 温度センサ720を熱的結合部201側に設けた場合は、熱源400の発生する温度と熱的結合部201の温度変化とを比較することにより、両者の結合を監視できる。また、温度センサ710をプッシャ200側に設けた場合は、プッシャ200に実際に伝達された熱量を監視できる。さらに、温度センサ720、710を熱的結合部201およびプッシャ200の両方に設けた場合は、それぞれの温度だけではなく、熱的結合部201およびプッシャ200の熱的な結合状態そのものを監視できる。 [0114] なお、これは一例に過ぎず、より多くの場所に温度センサを配置することができる。また、図中に示すように、チェンジキット部610側に装着された温度センサ710は、コネクタ712、714を介して半導体試験装置10に結合されている。従って、後述するようにチェンジキット部610を交換した場合でも、必要に応じて温度センサ710を半導体試験装置に接続することかできる。」 (イ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施形態([図1]、[図2])に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「プッシャユニット10を含むハンドラ610と、これに接続されたテスト部620とを備える半導体試験装置20であって、([0057]) プッシャユニット10は、ユニットケース100に組み付けられ、一対のデバイス押圧部220を備えたプッシャ200を備えており、([0037]) ユニットケース100は、押圧力発生手段からの押圧力Pを受けるケース上部110と、保持部130を装着されたケース下部120とを含むものであり、これらケース上部110とケース下部120は一体に結合されており、([0038]) ケース上部110とケース下部120との間にはプッシャ200の本体部210が収容されており、([0040]) 本体部210は、その上面に熱的結合部201を備えていて、外部の熱源400に接続されており、外部の熱源400は、室温よりも低温または高温である所望の試験温度条件に被試験半導体デバイス300を維持する加熱源または冷却源であり、熱的結合部201は、プッシャ200の本体部210を介して被試験半導体デバイス300との間で熱を伝達するものであり、([0041]) テスト部620は、試験用ソケット500に接触状態にある被試験半導体デバイス300に対して電気的試験を実行するものであって、プッシャユニット10及びハンドラ610との通信制御を行うハンドラ制御部630と、ハンドラ610内で試験用ソケット500に装荷された被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640とを備えるものであり、([0058]) さらに、テスト部(テスター本体)620は、これらハンドラ制御部630および試験実行部640を含むテスト部620全体の動作を統括する装置制御部650を備えるものであり、([0058]) ハンドラ610は、複数の被試験半導体デバイス300をストッカから順次搬送して試験用ソケット500へ押圧載置して電気的試験を実行させるものであり、([0059]) ストッカには複数枚の搬送トレイ550が有り、各搬送トレイ550には多数の被試験半導体デバイス300が搭載されており、搬送装置によって搬送トレイ550から被試験半導体デバイス300が順次搬送されて、プッシャユニット10に渡され、([0059]) プッシャユニット10により複数個の被試験半導体デバイス300が搬送され、試験領域においてプッシャユニット10により吸着保持された状態で降下して、2つの被試験半導体デバイス300が試験用ソケット500へ押圧接触され、これら動作は、ハンドラ内制御装置により、テスト部620側のハンドラ制御部630と通信しながら、連携した搬送制御されるものであり、半導体試験装置20の全体動作は、ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受しながら、両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される、([0060]) 半導体試験装置20。([0057])」 イ 引用文献4、3及び7に記載された事項及び周知技術1の認定 (ア) 引用文献4に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特表2004-527764号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。(第2において、以下同様。)。 「【0001】 本発明は、電子デバイスの温度制御装置及び温度制御方法に関し、より詳細には、試験中に電子デバイスの温度を所定の温度に維持するための温度制御装置及び温度制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 電子業界では、試験装置を利用して、所定の温度に維持された集積回路及びその他の電子デバイスの動作を試験している。一般に、試験装置は、試験中の電子デバイスに接触させるための温度制御された表面を有するサーマルヘッドを備えている。このサーマルヘッドは、所定の温度を維持するために同時に加熱かつ冷却される。この試験装置ユーザ(すなわち電子デバイス製造業者)は、一般に、サーマルヘッドがすべての条件下で±3℃のばらつきで所定温度を維持できることを規定している。 …(中略)… 【0024】 図1は、本発明の電子デバイスの温度制御装置の一実施形態を説明するための構成図で、試験中の電子デバイス10(DUT;DeviceUnderTest)の温度制御装置を示している。この場合に、電子デバイス10は、適当な試験設備12に装着された集積回路デバイスである。この試験設備12は、電子デバイス10に給電するためのエネルギーを供給するとともに、それによって電子デバイス10の性能が評価されるさまざまなリード/ライト命令を供給する。 【0025】 サーマルヘッド14は、電子デバイス10と熱接触する温度制御された表面16を有する。この場合には、サーマルヘッド14は、可動ロッド18の端部に取り付けられており、この可動ロッド18が、温度制御された表面16を移動させて、(矢印Aで示すように)電子デバイス10と係合させたり、離脱させたりする。例えば、可動ロッド18は、空気シリンダのピストンロッドを形成し、このピストンは、起動されてサーマルヘッド14を試験しようとする電子デバイスに隣接して配置する。 【0026】 図1に示されているように、熱電対20、またはその他の適切なセンサが、温度制御された表面16に設けられて、電子デバイス10の温度を検出する。この情報は、サーマルヘッド14の動作を制御するプロセッサ22に供給されて所定の温度が維持される。例えば、維持すべき温度は、温度セレクタ24から、ユーザによって入力される。当業者であれば、プロセッサ22及びび温度セレクタ24の機能は、単一のディジタルコンピュータなどによって実行できることを認識するであろう。 【図1】 [図:0001438777000007.jpg] 」 (イ) 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である韓国登録特許第10-0499909号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。(第2において、以下同様。)。 「 [図:0001438777000008.jpg] 」(本発明は[1]半導体素子検査プログラムで温度チェックサブルーチンを呼び出し(CALL)すると、検査プログラムに適合したあらかじめ入力されている基準温度値と温度範囲を引き出す(110)。これはハンドラー別に適合した温度条件を温度チェックサブルーチンの変数に設定する段階である。 [2]テスタに設定されているハンドラー各ステーションのGPIBアドレスを引き出して温度チェックサブルーチンの変数に設定する(112)。これはハンドラーのステーション別に適合したGPIBアドレスを温度チェックサブルーチンの変数に設定する段階である。これとして、ハンドラーのステーション別でGPIBアドレスの違うことをテスタが認識して適当に対処することができる。 [3]ハンドラーが現在動作中なのか判断する(114)。これは現在検査受ける半導体素子がハンドラーにかまれているのか可否を判断して成り立つ。仮にエンジニアがソケット修理やプログラムデバギングなどのために手動で検査を進行している時にはハンドラー温度をチェックしない。 [4]ハンドラーのモデルとバージョンなどを確認する(116)。ハンドラーの形式が違って温度データが不適合になることを防止するための段階である。 [5]ハンドラーから測定した現在温度値を読む(118)。 [6]読んだ温度を上[4]番で読んだハンドラーの形式別で実際演算することができるようにデータ変換して温度データを作る(120)。 [6]変換された温度データを、上[1]段階で引き出した温度範囲と比べて適合した温度なのか判定する(122)。ハンドラーの温度が設定された温度と違うと現在検査中のハンドラーを停止させてアラームを発生させて作業者に現在の問題点を知らせて正しい温度を設定するようにする。異常がない時には本検査へ復帰(RETURN)する。) (ウ) 引用文献7に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2020/0241040号明細書(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。 「[0030] An electronic component testing apparatus 1 of the embodiment is an apparatus for testing electrical characteristics of a DUT 90 such as a semiconductor integrated circuit device. As illustrated in FIG. 1, the DUT 90 of the embodiment includes a temperature detection circuit 92 for detecting a temperature of the DUT 90 in addition to a main circuit 91 to be tested by a tester 10. (本実施形態における電子部品試験装置1は、半導体集積回路素子等のDUT90の電気的特性を試験する装置である。本実施形態におけるDUT90は、図1に示すように、テスタ10の試験対象である主回路91に加えて、DUT90の温度を検出する温度検出回路92を備えている。) …(中略)… [0032] As illustrated in FIG. 1, the electronic component testing apparatus 1 of the embodiment includes a tester 10 and an electronic component handling device 50 (hereinafter, simply referred to as a handler 50). (本実施形態における電子部品試験装置1は、図1に示すように、テスタ10と、電子部品ハンドリング装置50(以下単にハンドラ50と称する。)と、を備えている。) 「(図1) [図:0001438777000009.jpg] 」 「[0033] A socket 20 is mounted on the tester 10. When the DUT 90 is pressed against the socket 20 by the handler 50, the DUT 90 is electrically connected to the tester 10 via the socket 20. Then, the tester 10 performs the test of the DUT 90 by executing a test program. Specifically, the tester 10 performs the test of the DUT 90 by inputting and outputting a test signal to and from the main circuit 91 of the DUT 90 via the socket 20. Further, a detection voltage signal of the temperature detection circuit 92 of the DUT 90 is transmitted to the tester 10 via the socket 20. (テスタ10には、ソケット20が装着されている。ハンドラ50によってDUT90がソケット20に押し付けられることで、ソケット20を介して、当該DUT90とテスタ10が電気的に接続される。そして、テスタ10は、テストプログラムを実行してDUT90の試験を実行する。具体的には、テスタ10は、ソケット20を介して、DUT90の主回路91に試験信号を入出力することで、DUT90の試験を実行する。また、DUT90の温度検出回路92の検出電圧信号は、ソケット20を介して、テスタ10に取り込まれる。) …(中略)… [0037] In the embodiment, the second controller 17 of the tester 10 is able to output the first signal S1 to the first transmitter 13. The first signal S1 is a signal for starting a second temperature control of a temperature adjuster 70. The second temperature control will be described later. (本実施形態では、テスタ10の第2の制御部17が、第1の送信部13に対して、第1の信号S1を出力することが可能となっている。第1の信号S1は温度調整装置70に第2の温度制御を開始させるための信号である。この第2の温度制御に関しては後に詳述する。) …(中略)… [0045] As illustrated in FIG. 1, the handler 50 of the embodiment includes a pusher 60, a temperature adjuster 70, and a control device 80. The pusher 60 presses the DUT 90 against the socket 20 and electrically connects the DUT 90 to the socket 20 in order to perform the test of the DUT 90. The temperature adjuster 70 adjusts the temperature of the DUT 90 by controlling the temperature of the pusher 60 using the refrigerant and the hot medium while the pusher 60 is in contact with the DUT 90 so as to transfer heat therebetween. The control device 80 calculates the temperature Tj′ of the DUT 90 by using the second and third signals S2 and S3 transmitted from the tester 10 and controls the temperature adjuster 70 on the basis of the calculation result Tj′. (本実施形態におけるハンドラ50は、図1に示すように、プッシャ60と、温度調整装置70と、制御装置80と、を備えている。プッシャ60は、DUT90の試験を実行するためにDUT90をソケット20に押し付けて、DUT90とソケット20を電気的に接続させる。温度調整装置70は、プッシャ60がDUT90と伝熱可能に接触している状態で、冷媒と温媒を用いてプッシャ60の温度を制御することで、DUT90の温度を調整する。制御装置80は、テスタ10から送信される第2及び第3の信号S2,S3を用いてDUT90の温度Tj’を算出し、当該算出結果Tj’に基づいて温度調整装置70を制御する。) …(中略)… [0050] As illustrated in FIG. 1, the control device 80 of the handler 50 includes a first receiver 81, a second receiver 82, a third receiver 83, a fourth receiver 84, a converter 85, a first calculator 86, a temperature controller 87, a first controller 88, and a fifth transmitter 89. (ハンドラ50の制御装置80は、図1に示すように、第1の受信部81と、第2の受信部82と、第3の受信部83と、第4の受信部84と、変換部85と、第1の演算部86と、温度制御部87と、第1の制御部88と、第5の送信部89と、を備えている。) [0051] The first receiver 81 receives the first signal S1 output from the first transmitter 13 of the tester 10. Further, the first receiver 81 outputs the received first signal S1 to a third calculator 872. (第1の受信部81は、テスタ10の第1の送信部13から出力された第1の信号S1を受信する。また、第1の受信部81は、受信した第1の信号S1を第3の演算部872に出力する。) …(中略)… [0063] The second temperature control is a control according to a method different from the first temperature control and is a temperature control which is forcedly started by temporarily stopping the first temperature control when the first signal S1 is input to the third calculator 872 during the first temperature control. (一方で、第2の温度制御は、テスタ10の第1の送信部13を介して第2の制御部17から送信された第1の信号S1が、第1の受信部81を経由して第3の演算部872に入力された場合に開始される。)」 (エ) 周知技術1の認定 前記(ア)に示した引用文献4の摘記事項、前記(イ)に示した引用文献3の摘記事項、及び、前記(ウ)に示した引用文献7の摘記事項に例示されているように、次の技術は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「半導体素子検査装置において、被検査デバイスに接する手段における温度制御を開始するために、当該手段に制御開始信号を送ること。」 ウ 引用文献5、6及び8に記載された事項及び周知技術2の認定 (ア) 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開昭60-13267号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「〔発明の技術分野〕 本発明は試験信号を与えることによる被試験回路上の素子の損傷を防止する回路試験装置に関する。」(第1頁左下欄第13行~第15行) 「上記目的を達成するため、本発明の回路試験装置においては試験速度を向上させながらも素子を損傷から保護するために必要な試験間の待ち時間を適宜選択する。更に、以下に示す構成により素子の保護を一層完全にすることができる。 (I) ドライバ電圧を下げることなくCMOS素子の入力に与えられるオーバーシュートやアンダーシュートを低減する。 (II) どの試験が素子を損傷する可能性があるかを見分け、その様な試験が行われない様にする。 (III) ホーミングできない素子に対して長時間ホーミング処理を継続することによる損傷を防止する。」(第4頁左下欄第6行~第19行) 「各素子試験について、この試験により逆駆動される素子の各々が解析され、これにより今度はこれら逆駆動される素子の各々が試験の影響から回復するための最長の冷却用待ち時間が計算される。 この待ち時間は待ち時間計算の対象となった試験の前後どちらに置いてもよい。」(第14頁右下欄第15行~右上欄第1行) 「試験を100回よりも多く繰返す場合には、パッケージ温度が15℃以上上昇しないようにするため冷却時間を延長しなければならない。」(第14頁右下欄第16行~第18行) (イ) 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開昭62-272166号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。 「本発明は、回路テスタに係り、より詳細には、デジタル装置に対して装置レベルの回路内テストを行う回路テスタに係る。」(第2頁右上欄第13行~第15行) 「この初期最大値が装置の現在温度より高い場合には、テストが長過ぎ、安全に行うことができない。このような状態においてはテストを開始できるまで冷却できねばならず、これは、テストの開始を遅らせねばならないことを意味する。」(第3頁左上欄第7行~第12行) 「1つの別の解決策は、行われるテストに基づくだけでなく、装置と、これをテストのための最大初期スタート温度まで冷却するに要する時間にも基づいて可変の遅延インターバルを指定することである。この解決策では、各テストの前に遅延時間が挿入されることになる。」(第3頁右上欄第6行~第11行) 「ATE(第1図)によってテストされるべき回路の部分において、装置10を形成しているD型フリップ-フロップの出力は、装置11の一部分を形成しているナンドゲートの入力に接続されている。」(第4頁右下欄第19行~第5頁左上欄第15行) 「各テストごとに温度パラメータを指定し、最適な冷却性能を確保できるようにすることにより改善が可能となる。温度パラメータは、装置加熱模型をテスト指定モードで動作させるか或いは好ましくはテスト中にオンラインで動作させて装置の温度の現在値を得、これをテストパラメータリスト値に変換するかまたはこのような値として保持することによって導出される。」(第7頁右上欄第6行~第17行) 「実際のテスト中に計算リソースを利用できるようなATEでは、特定のテストに使用するオーバードライブ電圧がその時の裁量の推定値として考えられ、その前のテスト結果のヒストグラムを用いて推定値が改善される。典型的に、大部分の場合に首尾よくテストを終わらせる最低の印加電圧に迅速に復帰するようなアルゴリズムを用いて、不当な装置ストレスや不当なテストの繰返しを回避するのが好ましい。このようなATEでは、必要に応じて対応する冷却インターバルがテスト中に計算されるか或いは種々の値に対して加熱模型を動作させながらテスト指定段階中に定められたパラメータルックアップテーブルから適当なインターバル値が選択される」(第9頁右下欄第16行~第10頁左上欄第9行) (ウ) 引用文献8に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2000-131380号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は半導体素子の試験装置及び試験方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、半導体素子の安全動作領域試験において半導体素子に電力を印加して破壊耐量を確認するには2通りの方法があり、その1つは設定電力をステップで上げ、実際に破壊する電力を確認し、その破壊した電力範囲と半導体素子メーカが提供する安全動作領域との差を確認する方法であり、他の1つは設定電力を一定とし、設定電力を繰り返し印加することにより、その設定電力における素子の寿命を確認する方法である。なお、図4は前者の方法を示す図であり、図5は後者の方 法を示す図である。 【0003】いずれの方法においても、電力の印加により半導体素子が発熱するため、繰り返し電力を印加する際のインターバルを、素子が充分に冷却されるような長い時間に設定して、安全動作領域試験を実施している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の半導体素子安全動作領域試験では、素子の周囲温度をモニタしているだけで、電力印加後の素子温度の上昇に対して温度モニタを行っていない。そのため、素子に再度電力を印加するためには、素子が充分に冷却されるまでの長いインターバルが必要となる。 【0005】また、印加電力が増加することにより、素子の発熱量は大きくなり、繰り返して電力を印加することにより、素子が劣化し、発熱量も大きくなるので、これらを考慮して冷却までのインターバルを充分に長い時間に設定しなければならず、素子が破壊するまでの総試験時間が長くなってしまうという問題がある。 【0006】本発明は上記の問題に鑑みなされ、その目的は、被試験用半導体素子に対して温度をモニタし、素子に繰り返し印加される電力のインターバルを素子温度Tに応じて変化させて、必要最小限の時間で試験ができる半導体素子の試験装置及び試験方法を提供することである。」 (エ) 周知技術2の認定 前記(ア)に示した引用文献5の摘記事項、前記(イ)に示した引用文献6の摘記事項、及び、前記(ウ)に示した引用文献8の摘記事項に例示されているように、次の技術は、当業者にとって周知の技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。) <周知技術2> 「半導体素子の回路検査装置において、被試験デバイスの温度情報に応じて、2つの試験の間の時間間隔を調整して、被試験デバイスの冷却時間を最適化すること。」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(自動試験機器) a 構成Xは、「被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明の「被試験半導体デバイス300」は、本件補正発明の「被試験デバイス」に相当し、引用発明において「被試験半導体デバイス300に対して電気的試験を実行する」ことは、本件補正発明において「被試験デバイスを試験する」ことに相当するところ、引用発明における「電気的試験を実行する」「半導体試験装置20」の「テスト部620」は、「被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640を備えるもの」であるから、本件補正発明の「被試験デバイスを試験するための自動試験機器」に相当する。 c そうすると、「被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明である本件補正発明と、「被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640を備える」「テスト部620」を備える「半導体試験装置20」の発明である引用発明は、「被試験デバイスを試験するための自動試験機器」の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点(双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース) a 構成Aは、「自動試験機器」が「双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」を備えることである。 b 引用発明の「ハンドラ610」は、「複数の被試験半導体デバイス300をストッカから順次搬送して試験用ソケット500へ押圧載置して電気的試験を実行させるものであ[る]」から、本件補正発明の「ハンドラ」に相当する。 c 引用発明における「テスト部620」は、「プッシャユニット10を含むハンドラ610」と「接続され」ているところ、上記「テスト部620」は「プッシャユニット10及びハンドラ610との通信制御を行うハンドラ制御部630」を備えるものであるから、当該「通信」を行うためのインターフェースを備えていることは明らかであり、「テスト部620」の当該インターフェースは、本件補正発明における「ハンドラインターフェース」に相当する。 d 引用発明においては、「ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受しながら、両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される」ものであるから、当該インターフェースは、「通信情報を授受」している以上「双方向」であり、「両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される」のであるから、「リアルタイム」のものであるといえる。そうすると、引用発明の「テスト部620」の当該インターフェースは、本件補正発明における「双方向」「リアルタイムハンドラインターフェース」に相当する。 e また、引用発明の当該インターフェースは「ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受」するために用いられるのだから、「専用」ともいえる。そうすると、引用発明の「テスト部620」の当該インターフェースは、本件補正発明における「双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」に相当する。 f したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。 「自動試験機器」が「双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」を備える点。 (ウ) 構成Bの観点(ハンドラにトリガシグナリングを提供することについて) a 構成Bは、「前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」が、「温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され」ていることである。 b 引用発明は、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。 「前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」について、 本件補正発明においては、「温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され」ているのに対して、 引用発明においては、そのように構成されていない点。 (エ) 構成Cの観点(温度情報を含むシグナリングを受信することについて) a 構成Cは、「前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」が、「前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され」ていることである。 b 引用発明は、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。 「前記双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」について、 本件補正発明においては、「前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され」ているのに対して 引用発明においては、そのように構成されていない点。 (オ) 構成Dの観点(試験フローを適合させることについて) a 構成Dは、「前記自動試験機器」が、「2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させて前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することによって試験フローを適合させるように構成されている」ことである。 b 引用発明における「テスト部620」は、「ハンドラ610内で試験用ソケット500に装荷された被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する試験実行部640を備えるものであり」、「これらハンドラ制御部630および試験実行部640を含むテスト部620全体の動作を統括する装置制御部650を備えるものであ[る]」ところ、「被試験半導体デバイス300の各々に対する試験を実行する」際に、「試験」が安定的かつ継続的に「実行」できるように「全体の動作」が「統括」されていることはいうまでもないから、引用発明においては、「被試験半導体デバイス300」における試験を継続できるように構成されているといえる。そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように」「構成されている」という点において共通する。 c また、引用発明の「装置制御部650」は、上記bにおいて述べたとおり、「試験」が安定的かつ継続的に「実行」できるように「全体の動作」を「統括」しているのだから、引用発明の「装置制御部650」を備える「テスト部620」は、「被試験半導体デバイス300」に対して、試験フローを適合させていると言える。そうすると、本件補正発明と引用発明は、「被試験デバイスに対する試験フローを適合させるように構成されている」という点において共通する。 d したがって、本件補正発明と引用発明は、「被試験デバイスにおける試験を継続できるように」「被試験デバイスに対する試験フローを適合させるように構成されている」点で共通する。 e 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。 (a) 構成Dの観点での一致点 「前記自動試験機器」が、「被試験デバイスにおける試験を継続できるように」「被試験デバイスに対する試験フローを適合させるように構成されている」点。 (b) 構成Dの観点での相違点 本件補正発明においては、 「2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させて前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することによって試験フローを適合させるように構成されている」のに対して、 引用発明においては、被試験デバイスに対する試験フローの適合をどのように行っているのか、特定されていない点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「 被試験デバイスを試験するための自動試験機器であって、 双方向専用リアルタイムハンドラインターフェースを備え、 前記自動試験機器は、被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスに対する試験フローを適合させるように構成されている、 自動試験機器。」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 「双方向専用リアルタイムハンドラインターフェース」について、 本件補正発明においては、「温度制御機能をトリガするために、ハンドラにトリガシグナリングを提供するように構成され」、「前記ハンドラから前記被試験デバイスの温度情報を含むシグナリングを受信するように構成され[ている]」のに対して、 引用発明においては、そのように構成されていない点 b 相違点2 本件補正発明においては、「2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させて前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように、前記被試験デバイスの温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することによって試験フローを適合させるように構成されている」のに対して、 引用発明においては、被試験デバイスに対する試験フローの適合をどのように行っているのか、特定されていない点 (4) 判断 ア 相違点1について (ア) 前記(2)イ(エ)において周知技術1として認定したように、「半導体素子検査装置において、被検査デバイスに接する手段における温度制御を開始するために、当該手段に制御開始信号を送ること」は、周知の技術である。 (イ) ここで、引用発明の「ハンドラ610」に含まれる「プッシャユニット10」についてみると、「プッシャ200の本体部210」が「外部の熱源400に接続されており」、「熱的結合部201は、プッシャ200の本体部210を介して被試験半導体デバイス300との間で熱を伝達するものであり」、「外部の熱源400は、室温よりも低温または高温である所望の試験温度条件に被試験半導体デバイス300を維持する加熱源または冷却源であ[る]」から、引用発明における「被試験半導体デバイス300」に接する手段である「プッシャユニット10」の温度が「試験温度条件」を満たすように制御されていることは当然の前提である。 (ウ) そうすると、引用発明において、上記周知技術1を採用することにより、「被試験半導体デバイス300」に接する手段である「プッシャユニット10」の温度制御を開始(トリガ)するために、「プッシャユニット10」を含む「ハンドラ610」に制御開始信号を送ること(トリガシグナリングを提供すること)は、当業者が容易に想到し得たことである。 (エ) その際、引用発明の「テスト部(テスター本体)620」は、「ハンドラ制御部630および試験実行部640を含むテスト部620全体の動作を統括する装置制御部650を備えるものであ[る]」から、「テスト部(テスター本体)620」からインターフェースを介して「ハンドラ610」に上記制御開始信号が送られるようにするのが自然な発想である。 (オ) さらに、引用発明においては、「ハンドラ610側とテスト部620側とで試験開始情報、試験終了情報、試験結果の良否判定/分類情報、その他の通信情報を授受しながら、両者が連携して搬送制御とデバイス試験とが同期して実行される」ものであるから、「テスト部(テスター本体)620」はインターフェースを介して「ハンドラ610」から「被試験半導体デバイス300」の温度情報を含む信号を受信していると考えるのが自然である。 (カ) 以上を踏まえると、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮範囲内であり、格別のものではない。 イ 相違点2について (ア) 前記(2)ウ(エ)において周知技術2として認定したように、「半導体素子の回路検査装置において、被試験デバイスの温度情報に応じて、2つの試験の間の時間間隔を調整して、被試験デバイスの冷却時間を最適化すること」は、周知の技術である。 (イ) ここで、引用発明の「装置制御部650」は、「試験」が安定的かつ継続的に「実行」できるように「全体の動作」を「統括」していることを踏まえると(前記(3)ア(オ)cを参照)、引用発明においても、「被試験半導体デバイス300」に対して連続する2つ以上の試験を行うことが想定されており、それらの試験の間に冷却時間が設定されていることは明らかである。 (ウ) そうすると、引用発明において、連続試験中に「被試験半導体デバイス300」の温度が上昇する事態が生じることが想定され、その場合に、上記周知技術2を採用し、2つの試験の間における「被試験半導体デバイス300」の冷却時間を増加させて前記「被試験半導体デバイス300」における試験を継続できるように、前記「被試験半導体デバイス300」の温度情報に応じて前記2つの試験の間の遅延時間を延長することにより、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮範囲内であり、格別のものではない。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1、2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張の内容 請求人は審判請求書において、引用文献1には被試験デバイスの温度情報に基づいて試験間の遅延時間を延長する構成は開示されておらず、引用文献2~4にも相違点2に係る構成の開示や示唆は認められないところ、本件補正発明は当該構成によりデバイス温度の上昇時に臨界温度到達前の冷却を可能とする効果を奏し、引用文献1~4を組み合わせても当該構成を導くことはできず、また本件補正発明を実現しようとする動機付けも存在しないため、当業者が引用発明から本件補正発明を容易に想到することはできない旨主張する。 (イ) 請求人の主張についての検討 しかしながら、被試験デバイスの温度情報に基づいて試験間の遅延時間を調整するという技術は、上記(2)ウ(エ)に示したとおり周知技術であり、発揮すると主張する「デバイス温度の上昇時に臨界温度到達前の冷却を可能とする」効果も、そのように設定することによって生じる程度の効果にすぎず、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果と認められるものではない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由4(進歩性の欠如) 本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2007/010610号(主たる引用文献) 引用文献2.特開2015-031414号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3.韓国登録特許第10-0499909号公報 引用文献4.特表2004-527764号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献) 3 引用発明の認定等 引用発明及び周知技術1~2は、前記第2の3(2)ア(イ)、第2の3(2)イ(エ)、及び、第2の3(2)ウ(エ)において示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から 「前記被試験デバイスにおける試験を継続できるように」する構成について、その態様を「2つの試験の間における前記被試験デバイスの冷却時間を増加させ[る]」ことによるものとした限定、及び、「試験フローを適合させる」構成について、その態様を「2つの試験の間の遅延時間を延長することによ[るもの]」とした限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び周知技術1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-017677

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