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特許拒絶査定不服審判

2022-008905

電気掃除装置

審判番号
2022-008905
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-101945
請求日
2022年06月09日
審決日
2023年03月22日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
  • 【請求人代理人】樺澤 聡
  • 【請求人代理人】山田 哲也
  • 【請求人代理人】樺澤 襄
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 芳枝
  • 審判官 柿崎 拓
  • 審判官 山崎 孔徳
分類
P18 .561-Z (A47L) / P18 .572-Z (A47L) / P18 .121-Z (A47L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-101945「電気掃除装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月13日出願公開、特開2018-196511〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願は、平成29年5月23日の出願であって、令和3年3月16日付けで拒絶理由が通知され、令和3年4月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和3年9月1日付けで拒絶理由が、いわゆる「最後の拒絶理由通知」として、通知され、令和3年10月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、この令和3年10月28日にされた手続補正が令和4年3月15日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和4年6月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。 第2 令和4年6月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年6月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「 【請求項1】 自律走行可能な電気掃除機と、 この電気掃除機で捕集した塵埃の少なくとも一部を移送して収容する塵埃収容部を備えた基地装置とを具備し、 前記電気掃除機は、 本体ケースと、 この本体ケースを走行可能とする駆動部と、 塵埃を掃除する掃除部と、 この掃除部により掃除された塵埃を溜める集塵部と、 この集塵部に溜められた塵埃量を検出する集塵量検出手段と、 二次電池と、 前記駆動部の駆動を制御して前記電気掃除機を自律走行させるとともに、前記掃除部により掃除しているときに前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合には前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させるものであって、前記二次電池の容量が掃除の再開に不足していなければ前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、前記基地装置により前記二次電池を充電することなく掃除を再開させ、前記二次電池の容量が掃除の再開に不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の不足分の充電との後に掃除を再開させるように前記電気掃除機を前記基地装置から離脱させる走行制御手段と、 前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合に前記走行制御手段により前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させた場合に、前記電気掃除機が前記基地装置に一時的に帰還中であることを報知する報知手段と、を備えた ことを特徴とした電気掃除装置。 【請求項2】 電気掃除機は、掃除領域の地図を作成または保持する地図保持部を備え、 走行制御手段は、前記地図保持部により保持された地図に基づき基地装置へと前記電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除装置。 【請求項3】 掃除部は、集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに停止する ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除装置。 【請求項4】 走行制御手段は、集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり電気掃除機を基地装置へと走行させるときに走行速度を通常時よりも増加させる ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項5】 集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知する報知手段を具備した ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項6】 走行制御手段は、基地装置にて集塵部の塵埃を塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開する際に、前記基地装置から離脱させ前記集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項7】 電気掃除機は、掃除領域の地図を作成または保持する地図保持部を備え、 走行制御手段は、前記地図保持部により保持された地図に基づき前記電気掃除機を集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項6記載の電気掃除装置。 【請求項8】 集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときにこの塵埃量が所定量以上であると判断した位置の特徴を記憶する特徴記憶部を備え、 走行制御手段は、前記特徴記憶部により記憶された特徴に基づき前記電気掃除機を集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項6記載の電気掃除装置。 【請求項9】 掃除部は、基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで走行制御手段が電気掃除機を走行させるときに停止する ことを特徴とした請求項7または8記載の電気掃除装置。 【請求項10】 走行制御手段は、基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで電気掃除機を走行させるときに走行速度を通常時よりも増加させる ことを特徴とした請求項7ないし9いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項11】 基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで走行制御手段が電気掃除機を走行させるときに報知する報知手段を具備した ことを特徴とした請求項7ないし10いずれか一記載の電気掃除装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和3年4月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 自律走行可能な電気掃除機と、 この電気掃除機で捕集した塵埃の少なくとも一部を移送して収容する塵埃収容部を備えた基地装置とを具備し、 前記電気掃除機は、 本体ケースと、 この本体ケースを走行可能とする駆動部と、 塵埃を掃除する掃除部と、 この掃除部により掃除された塵埃を溜める集塵部と、 この集塵部に溜められた塵埃量を検出する集塵量検出手段と、 二次電池と、 前記駆動部の駆動を制御して前記電気掃除機を自律走行させるとともに、前記掃除部により掃除しているときに前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合には前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させるものであって、前記二次電池の容量が不足していなければ前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開させ、前記二次電池の容量が不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の充電との後に掃除を再開させるように前記電気掃除機を前記基地装置から離脱させる走行制御手段とを備えた ことを特徴とした電気掃除装置。 【請求項2】 電気掃除機は、掃除領域の地図を作成または保持する地図保持部を備え、 走行制御手段は、前記地図保持部により保持された地図に基づき基地装置へと前記電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除装置。 【請求項3】 掃除部は、集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに停止する ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除装置。 【請求項4】 走行制御手段は、集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり電気掃除機を基地装置へと走行させるときに走行速度を通常時よりも増加させる ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項5】 集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知する報知手段を具備した ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項6】 走行制御手段は、基地装置にて集塵部の塵埃を塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開する際に、前記基地装置から離脱させ前記集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項7】 電気掃除機は、掃除領域の地図を作成または保持する地図保持部を備え、 走行制御手段は、前記地図保持部により保持された地図に基づき前記電気掃除機を集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項6記載の電気掃除装置。 【請求項8】 集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときにこの塵埃量が所定量以上であると判断した位置の特徴を記憶する特徴記憶部を備え、 走行制御手段は、前記特徴記憶部により記憶された特徴に基づき前記電気掃除機を集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置へと電気掃除機を走行させる ことを特徴とした請求項6記載の電気掃除装置。 【請求項9】 掃除部は、基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで走行制御手段が電気掃除機を走行させるときに停止する ことを特徴とした請求項7または8記載の電気掃除装置。 【請求項10】 走行制御手段は、基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで電気掃除機を走行させるときに走行速度を通常時よりも増加させる ことを特徴とした請求項7ないし9いずれか一記載の電気掃除装置。 【請求項11】 基地装置から集塵部の塵埃量が所定量以上であると判断した位置まで走行制御手段が電気掃除機を走行させるときに報知する報知手段を具備した ことを特徴とした請求項7ないし10いずれか一記載の電気掃除装置。」 2 補正の適否 (1)補正事項1について 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された「前記二次電池の容量が不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の充電との後に掃除を再開させる」という事項を、「前記二次電池の容量が掃除の再開に不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の不足分の充電との後に掃除を再開させる」とする補正(以下「補正事項1」という。)を含むものである。以下、該補正事項1について検討する。 ア 新規事項の追加について (ア)この出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、二次電池の充電について、「次いで、電気掃除機11の掃除再開に当たり、二次電池30の容量が掃除の再開に不足している場合、基地制御部56(充電制御部68)は、充電回路54を介して二次電池30を充電してもよい。一方、二次電池30の容量が不足していない場合には、二次電池30を充電することなく、そのままダストステーション12から電気掃除機11を離脱させるように走行制御部26が駆動輪21(モータ37)の駆動を制御する。」(段落【0056】、下線は当審で付与した。以下、同様である。)と記載されており、二次電池30の容量が掃除の再開に不足している場合に、二次電池30を充電することは記載されているものの、この場合の二次電池30の充電量をどの程度にするか(例えば、二次電池30を満充電まで充電するのか、必要最小限の充電をするのか)については、何ら記載されていない。 そして、当初明細書等のその余の記載を考慮しても、二次電池の容量が掃除の再開に不足している場合に、二次電池の充電量をどの程度とするかについて、何ら記載されていないから、充電量を「不足分」とすること、つまり「不足分の充電」を行うことについても何ら記載されていない。また、二次電池の容量が掃除の再開に不足している場合に、「不足分の充電」を行うことが、当初明細書等の記載全体、及び出願時の技術常識に照らして、自明な事項であるともいえない。 (イ)この点に関し、審判請求人は、令和4年6月9日に提出された審判請求書(以下「審判請求書」という。)の【本願発明が特許されるべき理由】(2)において、「請求項1の下線部分の補正は、願書に最初に添付した明細書の段落番号[0025]、[0056]および[0059]に記載した事項に基づくものである。」と主張しているが、段落【0056】の記載については、前記(ア)で検討したとおりであり、また段落【0025】、【0059】の記載をみても、二次電池の容量が掃除の再開に不足している場合に、二次電池の充電量をどの程度にするかについて、何ら記載されていない。 (ウ)さらに、審判請求人が、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(3)において、「また、二次電池の容量が掃除の再開に不足していれば、集塵部の塵埃を塵埃収容部へ移送するとともに基地装置により二次電池の不足分を充電した後に、掃除を再開させる。これにより、本願の補正後の請求項1に係る発明では、掃除の再開を二次電池の必要最小限の充電量で行うことができるため、電気掃除機の集塵部の塵埃を基地装置の塵埃収容部へと移送した後、仮に二次電池を充電するとしても、この充電のために電気掃除機を基地装置に長時間に亘り待機させることなく、可能な限り短時間での掃除の再開が可能となる。したがって、掃除の残りが僅かである場合などには、早期に掃除を再開および終了可能となる。」、「しかしながら、引用文献2に記載された発明の場合には、乾電池の充電の要否を予め決められた所定値以下であるか否かに基づいて判断し、不足している場合には満充電まで充電するものであり、本願の補正後の請求項1に係る発明のように、二次電池の充電の要否を掃除の再開に不足しているか否かに基づいて判断し、不足している場合に掃除の再開の不足分を充電するものではない。」と主張していることからみて、「二次電池の不足分の充電」を行うことには、二次電池の充電を必要最小限の充電量で行い、短時間での掃除の再開を可能にするという技術的な意味が有ると解されるが、当初明細書等には、このような技術的事項について何ら記載されていない。 (エ)前記(ア)~(ウ)に示した事項を踏まえると、補正事項1により、「二次電池の不足分の充電」を行うとすることは、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 (2)補正事項2について 本件補正は、本件補正前の請求項1に「前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合に前記走行制御手段により前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させた場合に、前記電気掃除機が前記基地装置に一時的に帰還中であることを報知する報知手段」という事項を追加する補正(以下「補正事項2」という。)を含むものである。以下、該補正事項2について検討する。 ア 新規事項の追加について (ア)補正事項2により追加された「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知するという事項は、「前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合に前記走行制御手段により前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させた場合」に報知するものであるから、塵埃量が所定量以上であり電気掃除機を基地装置へと走行させているときに限らず、該走行後、基地装置に滞在中のときを含めた「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することを意味していると解される。このことは、本件補正後の【請求項5】として、「集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知する報知手段を具備したことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除装置。」という請求項が残されていることからみて、請求項1に記載された「前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させた場合に、前記電気掃除機が前記基地装置に一時的に帰還中であることを報知する」という事項と、請求項5に記載された「塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知する」という事項とが別の概念と捉え得ることからも裏付けられるものである。 (イ)一方、当初明細書等には、基地装置に一時的に帰還中であることを報知する報知手段について、「集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御手段が電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知する報知手段を具備した」(【請求項5】)、「また、この電気掃除機11は、報知手段としての表示部29を備えていてもよい。」(段落【0011】、「例えば、この表示制御部48は、電気掃除機11が待機中であること、二次電池30の充電中であること、ダストステーション12に一時的に帰還中であること、塵埃を集塵部23からダストステーション12側へと移送中であることなどの少なくともいずれかを表示部29に表示させることが可能となっている。」(段落【0025】)、「さらに、表示部29は、このように集塵量検出部25により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御部26が電気掃除機11をダストステーション12へと走行させるときに、電気掃除機11が集塵部23の塵埃をダストステーション12の集塵容器53へと移送するために一時的にダストステーション12へと帰還中であることを表示することが好ましい。」(段落【0053】)、「また、集塵量検出部25により検出した塵埃量が所定量以上であり走行制御部26が電気掃除機11をダストステーション12へと走行させる動作は、ユーザから見ると掃除動作でなく、無駄な動作に見えるおそれがあるため、このとき表示部29により報知することで、電気掃除機11が必要かつ有効な動作をしていることをユーザに認識させることが可能になる。」(段落【0087】)などと記載されており、塵埃量が所定量以上であり電気掃除機を基地装置(ダストステーション12)へと走行させるときに、基地装置へと走行させる動作が無駄な動作ではないことをユーザに認識させるべく、一時的に基地装置へと帰還中であることを報知することは記載されているものの、電気掃除機を基地装置へと走行させた後の基地装置に滞在中のときを含めた「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することまでは記載されていない。ここで、前記した段落【0025】には、ダストステーション12(基地装置)に「一時的に帰還中」であることを表示(報知)することが記載されているものの、同じく段落【0053】に、電気掃除機11をダストステーション12(基地装置)へと走行させるときに、一時的にダストステーション12(基地装置)へと帰還中であることを表示(報知)する旨の具体的な記載があることを踏まえると、当初明細書等において、「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することとは、電気掃除機を基地装置へと走行させるときに報知することを意味していると解されるから、段落【0025】の前記した記載も同様に解するべきである。 そして、当初明細書等のその余の記載を考慮しても、基地装置に滞在中のときを含めた「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することは、何ら記載されていない。また、基地装置に滞在中のときを含めた「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することが、当初明細書等の記載全体、及び出願時の技術常識に照らして、自明な事項であるともいえない。 (ウ)この点に関し、審判請求人は、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(2)において、「請求項1の下線部分の補正は、願書に最初に添付した明細書の段落番号[0025]、[0056]および[0059]に記載した事項に基づくものである。」と主張しているが、段落【0025】の記載については、前記(イ)で検討したとおりであり、また段落【0056】、【0059】の記載をみても、基地装置に滞在中のときを含めた「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することについて、何ら記載されていない。 (エ)さらに、審判請求人が、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(3)において、「また、このように掃除の途中で一時帰還した場合と、掃除の終了により電気掃除機が基地装置に帰還した場合と、は、ユーザによって容易に識別できないため、電気掃除機が基地装置に一時帰還している場合、それを見たユーザが、塵埃の取り残しがあるにも拘らず掃除を終了したと誤認しがちである。例えば、電気掃除機が基地装置に一時帰還して二次電池を充電する場合には、一時帰還した電気掃除機が基地装置に一定時間滞在することとなり、識別がより困難である。そこで、電気掃除機が基地装置に一時帰還中であることを報知することで、掃除が終了したのか、掃除の途中の一時帰還なのか、をユーザに気づかせることができ、上記のような誤認を生じにくくすることができる。」と主張していることからみて、「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することには、一時帰還した電気掃除機が基地装置に一定時間滞在していることをユーザに識別させるという技術的な意味が有ると解されるが、当初明細書等には、このような技術的事項について何ら記載されていない。 (オ)前記(ア)~(エ)に示した事項を踏まえると、補正事項2により、「前記電気掃除機を前記基地へと走行させた場合」に「基地装置に一時的に帰還中」であることを報知することを追加することは、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 イ 補正の目的について 補正事項2は、前記したように、本件補正前の請求項1に「前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合に前記走行制御手段により前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させた場合に、前記電気掃除機が前記基地装置に一時的に帰還中であることを報知する報知手段」という事項を追加するものであるが、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」という。)には、報知手段が存在しないから、補正事項2は、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項に別の発明特定事項を追加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項を概念的に、より下位の発明特定事項に限定するものではない。 したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、同第1号に規定された請求項の削除、同第3号に規定された誤記の訂正、同第4号に規定された明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことも明らかである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年6月9日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、この出願の請求項に係る発明は、令和3年4月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみてその請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定(令和4年3月15日付け拒絶査定)の拒絶の理由のうち、本願発明についての拒絶の理由は、この出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:国際公開第2016/093911号 引用文献2:韓国登録特許第10-0589793号公報 3 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 ア 原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった前記引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。 (ア)「Fig. 1 illustrates a robotic floor cleaning system 10 featuring a mobile floor cleaning robot 100 and an evacuation station 200. In some embodiments, the robot 100 is designed to autonomously traverse and clean a floor surface by collecting debris from the floor surface in a cleaning bin 122. In some embodiments, when the robot 100 detects that the cleaning bin 122 is full, it may navigate to the evacuation station 200 to have the cleaning bin 122 emptied.」(第8ページ第7行~第12行)[当審訳:図1は、移動型床清掃ロボット100及び排出ステーション200を備えるロボット床清掃システム10を示す図である。いくつかの実施形態では、ロボット100は、デブリを床面から清掃ビン122に回収することで自律的に床面を横断して清掃するよう設計されている。いくつかの実施形態では、ロボット100は、清掃ビン122が満杯であることを検出すると、清掃ビン122を空にするために排出ステーション200に移動することができる。] (イ)「The evacuation station 200 includes a housing 202 and a removable debris canister 204. The housing 202 defines a platform 206 and a base 208 that supports the debris canister 204. As shown in Fig. 1, the robot 100 can dock with the evacuation station 200 by advancing onto the platform 206 and into a docking bay 210 of the base 208. Once the docking bay 210 receives the robot 100, an evacuation vacuum (e.g., evacuation vacuum 212 shown in Fig. 5 A) carried within the base 208 draws debris from the cleaning bin 122 of the robot 100, through the housing 202, and into the debris canister 204. The evacuation vacuum 212 includes a fan 213 and a motor (see Fig. 5 A) for drawing air through the evacuation station 200 and the docked robot 100 during an evacuation cycle.」(第8ページ第13行~第21行)[当審訳:排出ステーション200は、ハウジング202と、取り外し可能なデブリキャニスタ204とを含む。ハウジング202は、プラットフォーム206と、デブリキャニスタ204を支持するベース208とを規定する。図1に示すように、ロボット100は、プラットフォーム206上を前進してベース208のドッキングベイ210内に入ることで、排出ステーション200とドッキングすることができる。ドッキングベイ210がロボット100を受けると、ベース208内に担持された排出真空部(例えば、図5Aに示す排出真空部212)が、ロボット100の清掃ビン122からハウジング202を通してデブリキャニスタ204にデブリを引き込む。排出真空部212は、排出サイクル中に排出ステーション200及びドッキングしているロボット100を通して空気を引き込むための、ファン213とモータ(図5A参照)とを含む。] (ウ)「Figs. 2 and 3 illustrate an example mobile floor cleaning robot 100 that may be employed in the cleaning system 10 shown in Fig. 1. In this example, the robot 100 includes a main chassis 102 which carries an outer shell 104. The outer shell 104 of the robot 100 couples a movable bumper 106 (see Fig. 2) to the chassis 102. The robot 100 may move in forward and reverse drive directions; consequently, the chassis 102 has corresponding forward and back ends, 102a and 102b respectively. The forward end 102a at which the bumper 106 is mounted faces the forward drive direction. In some embodiments, the robot 100 may navigate in the reverse direction with the back end 102b oriented in the direction of movement, for example during escape, bounce, and obstacle avoidance behaviors in which the robot 100 drives in reverse.」(第8ページ第22行~第9ページ第2行)[当審訳:図2及び図3は、図1に示す清掃システム10に採用可能な移動型床清掃ロボット100の一例を説明する図である。この例では、ロボット100は、外側シェル104を担持する主要シャーシ102を含む。ロボット100の外側シェル104は、可動バンパ106(図2参照)をシャーシ102に結合する。ロボット100は、前進及び後退駆動方向に動くことが可能であるため、シャーシ102は、対応する前方端102a及び後方端102bを有する。バンパ106が取り付けられている前方端102aは、前進駆動方向を向いている。いくつかの実施形態では、ロボット100は、例えば、ロボット100が後退駆動する退避行動、反跳行動及び障害物回避行動中に、後方端102bを移動方向に向けて後退方向に移動することができる。] (エ)「A cleaning head assembly 108 is located in a roller housing 109 coupled to a middle portion of the chassis 102. As shown in Fig. 4, the cleaning head assembly 108 is mounted in a cleaning head frame 107 attachable to the chassis 102. The cleaning head frame 107 supports the roller housing 109. The cleaning head assembly 108 includes a front roller 110 and a rear roller 112 rotatably mounted parallel to the floor surface and spaced apart from one another by a small elongated gap 114. The front 110 and rear 112 rollers are designed to contact and agitate the floor surface during use. Thus, in this example, each of the rollers 110, 112 features a pattern of chevron-shaped vanes 116 distributed along its cylindrical exterior. Other suitable configurations, however, are also contemplated. For example, in some embodiments, at least one of the front and rear rollers may include bristles and/or elongated pliable flaps for agitating the floor surface. Each of the front 110 and rear 112 rollers is rotatably driven by a brush motor 118 to dynamically lift (or "extract") agitated debris from the floor surface. A robot vacuum (e.g., the robot vacuum 120 shown in see Figs. 6, 12, and 14-18) disposed in a cleaning bin 122 towards the back end 102b of the chassis 102 includes a motor driven fan (e.g., the fan 195 shown in Figs. 14-16) that pulls air up through the gap 114 between the rollers 110, 112 to provide a suction force that assists the rollers in extracting debris from the floor surface. Air and debris that passes through the gap 114 is routed through a plenum 124 that leads to an opening 126 of the cleaning bin 122. The opening 126 leads to a debris collection cavity 128 of the cleaning bin 122. A filter 130 located above the cavity 128 screens the debris from an air passage 132 leading to the air intake of the robot vacuum (e.g., the air intake 121 shown in Figs. 13-16 and 18).」(第9ページ第3行~第24行)[当審訳:清掃ヘッドアセンブリ108が、シャーシ102の中央部に連結されたローラハウジング109内に位置している。図4に示すように、清掃ヘッドアセンブリ108は、シャーシ102に取り付け可能な清掃ヘッドフレーム107内に取り付けられている。清掃ヘッドフレーム107は、ローラハウジング109を支持する。清掃ヘッドアセンブリ108は、床面に平行に且つ小さく細長い隙間114だけ互いに間隔を空けて回転可能に取り付けられた、前側ローラ110と後側ローラ112とを含む。前側ローラ110及び後側ローラ112は、使用中に床面に接して撹拌するよう設計されている。従って、この例では、各ローラ110、112は、円筒型の外装に沿って配置されたシェブロン型の羽根116のパターンを特徴としている。なお、その他の適切な構成も考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、前側及び後側ローラの少なくとも一方が、床面を撹拌するための剛毛及び/又は細長く柔軟なフラップを含んでも良い。前側ローラ110及び後側ローラ112のそれぞれは、撹拌されたデブリを床面から動的に持ち上げる(又は「抽出する」)ために、ブラシモータ118によって回転駆動される。清掃ビン122内の、シャーシ102の後端102b側に配置されたロボット真空部(例えば、図6、12及び14-18に示すロボット真空部120)は、床面からのデブリの抽出においてローラを補助する吸引力を提供するためにローラ110、112の間の隙間114を通して空気を引き上げる、モータ駆動されるファン(例えば、図14-16に示すファン195)を含む。隙間114を通過する空気及びデブリは、清掃ビン122の開口126に通じるプレナム124を通る。開口126は、清掃ビン122のデブリ収集空洞128に通じる。空洞128の上に位置するフィルタ130は、ロボット真空部の空気取り入れ口(例えば、図13-16及び18に示す空気取り入れ口121)に通じる空気路132からのデブリをふるいにかける。] (オ)「Installed along either side of the chassis 102, bracketing a longitudinal axis of the roller housing 109, are independent drive wheels 142a, 142b that mobilize the robot 100 and provide two points of contact with the floor surface. The forward end 102a of the chassis 102 includes a non-driven, multi-directional caster wheel 144 which provides additional support for the robot 100 as a third point of contact with the floor surface.」(第10ページ第27行~第31行)[当審訳:ロボット100を移動可能にし、床面との2つの接触点を提供する独立駆動車輪142a、142bが、シャーシ102の両側に取り付けられ、ローラハウジング109の長手方向軸を囲っている。シャーシ102の前方端102aは、床面との第3の接触点としてロボット100の追加の支持を提供する、非駆動の多方向キャスタ車輪144を含む。] (カ)「A robot controller circuit 146 (depicted schematically) is carried by the chassis 102. The robot controller circuit 146 is configured (e.g., appropriately designed and programmed) to govern over various other components of the robot 100 (e.g., the rollers 110, 112, the side brush 140, and/or the drive wheels 142a, 142b). As one example, the robot controller circuit 146 may provide commands to operate the drive wheels 142a, 142b in unison to maneuver the robot 100 forward or backward. As another example, the robot controller circuit 146 may issue a command to operate drive wheel 142a in a forward direction and drive wheel 142b in a rearward direction to execute a clock- wise turn. Similarly, the robot controller circuit 146 may provide commands to initiate or cease operation of the rotating rollers 110, 112 or the side brush 140. For example, the robot controller circuit 146 may issue a command to deactivate or reverse bias the rollers 110, 112 if they become tangled. In some embodiments, the robot controller circuit 146 is designed to implement a suitable behavior-based-robotics scheme to issue commands that cause the robot 100 to navigate and clean a floor surface in an autonomous fashion. The robot controller circuit 146, as well as other components of the robot 100, may be powered by a battery 148 disposed on the chassis 102 forward of the cleaning head assembly 108.」(第11ページ第1行~第16行)[当審訳:ロボット制御回路146(模式的に示す)は、シャーシ102に担持されている。ロボット制御回路146は、ロボット100の他の様々な構成要素(例えば、ローラ110、112、サイドブラシ140、及び/又は駆動車輪142a、142b)を統制するよう構成(適切に設計及びプログラム)されている。一例として、ロボット制御回路146は、駆動車輪142a、142bを同調して動作させてロボット100を前進又は後退させるコマンドを提供することができる。別の例として、ロボット制御回路146は、駆動車輪142aを前進方向に動作させ、駆動車輪142bを後退方向に動作させて、時計回りの回転を実行させるコマンドを発行することができる。同様に、ロボット制御回路146は、回転ローラ110、112又はサイドブラシ140の動作を開始又は停止させるコマンドを提供することができる。例えば、ロボット制御回路146は、ローラ110、112が絡まった場合にローラ110、112を停止させる又は逆バイアスするコマンドを発行することができる。いくつかの実施形態では、ロボット制御回路146は、適切な行動ベースロボット工学(behavior-based-robotics)スキームを実行して、ロボット100に自律的に移動して床面を清掃させるコマンドを発行するよう設計されている。ロボット制御回路146は、ロボット100のその他の構成要素と同様に、清掃ヘッドアセンブリ108の前方においてシャーシ102に配置されたバッテリ148で動作させることができる。] (キ)「The robot controller circuit 146 implements the behavior-based-robotics scheme based on feedback received from a plurality of sensors distributed about the robot 100 and communicatively coupled to the robot controller circuit 146. For instance, in this example, an array of proximity sensors 150 (depicted schematically) are installed along the periphery of the robot 110, including the front end bumper 106. The proximity sensors 150 are responsive to the presence of potential obstacles that may appear in front of or beside the robot 100 as the robot 100 moves in the forward drive direction. The robot 100 further includes an array of cliff sensors 152 installed along the forward end 102a of the chassis 102. The cliff sensors 152 are designed to detect a potential cliff, or flooring drop, forward of the robot 100 as the robot 100 moves in the forward drive direction. More specifically, the cliff sensors 152 are responsive to sudden changes in floor characteristics indicative of an edge or cliff of the floor surface (e.g., an edge of a stair). The robot 100 still further includes a bin detection system 154 (depicted schematically) for sensing an amount of debris present in the cleaning bin 122. As described in U.S. Patent Publication 2012/0291809 (the entirety of which is hereby incorporated by reference), the bin detection system 154 is configured to provide a bin- full signal to the robot controller circuit 146. In some embodiments, the bin detection system 154 includes a debris sensor (e.g., a debris sensor featuring at least one emitter and at least one detector) coupled to a microcontroller. The microcontroller can be configured (e.g., programmed) to determine the amount of debris in the cleaning bin 122 based on feedback from the debris sensor. In some examples, if the microcontroller determines that the cleaning bin 122 is nearly full (e.g., ninety or one -hundred percent full), the bin- full signal transmits from the microcontroller to the robot controller circuit 146. Upon receipt of the bin- full signal, the robot 100 navigates to the evacuation station 200 to empty debris from the cleaning bin 122. In some implementations, the robot 100 maps an operating environment during a cleaning run, keeping track of traversed areas and untraversed areas and stores a pose on the map at which the controller circuit 146 instructed the robot 100 to return to the evacuation station 200 for emptying. Once the cleaning bin 122 is evacuated, the robot 100 returns to the stored pose at which the cleaning routine was interrupted and resumes cleaning if the mission was not already complete prior to evacuation. In some implementations, the robot 100 includes at least on vision based sensor, such as a camera having a field of view optical axis oriented in the forward drive direction of the robot, for detecting features and landmarks in the operating environment and building a map using VSLAM technology.」(第11ページ第17行~第12ページ第18行)[当審訳:ロボット制御回路146は、ロボット100に配置されロボット制御回路146に通信可能に連結された複数のセンサから受け取ったフィードバックに基づいて、行動ベースロボット工学スキームを実行する。例えば、この例では、一連の近接センサ150(模式的に示す)が、前方端のバンパ106を含むロボット110の外周に沿って取り付けられている。近接センサ150は、ロボット100が前進駆動方向に移動するとロボット100の前又は横に現れ得る潜在障害物の存在に応答する。ロボット100は、更に、シャーシ102の前方端102aに沿って取り付けられた、一連のクリフセンサ152を含む。クリフセンサ152は、ロボット100が前進駆動方向に移動している間、ロボット100の前方にある潜在クリフ又は床の段差を検出するよう設計されている。より具体的には、クリフセンサ152は、床面の縁やクリフ(例えば、階段の縁)を示す、床の特徴の急な変化に応答する。ロボット100は、更に、清掃ビン122内のデブリの量を検出するためのビン検出システム154(模式的に示す)を含む。米国特許出願第2012/0291809号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)で説明されているように、ビン検出システム154は、ロボット制御回路146にビン満杯信号を提供するよう構成されている。いくつかの実施形態では、ビン検出システム154は、マイクロコントローラに連結されたデブリセンサ(例えば、少なくとも一つの発信器及び少なくとも一つの受信器を特徴とするデブリセンサ)を含む。マイクロコントローラは、デブリセンサからのフィードバックに基づいて清掃ビン122内のデブリの量を判断するよう構成する(例えば、プログラムする)ことができる。いくつかの例では、清掃ビン122がほぼ満杯である(例えば、90パーセント又は100パーセント満杯である)とマイクロコントローラが判断した場合、ビン満杯信号がマイクロコントローラからロボット制御回路146に送信される。ロボット100は、ビン満杯信号を受信すると、清掃ビン122からデブリを出すために排出ステーション200に移動する。いくつかの実施例では、ロボット100は、清掃走行中に動作環境をマッピングし、横断した領域と横断していない領域を記録し、空にするために排出ステーション200に戻るようロボット制御回路146がロボット100に指示した時点のマップ上での姿勢を保存する。清掃ビン122の排出が完了すると、ロボット100は、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻り、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開する。いくつかの実施例では、ロボット100は、ロボットの前進駆動方向に配向された視野光軸を有するカメラといった、動作環境で特徴やランドマークを検出してVSLAM技術を用いてマップを構築するための、少なくとも一つの視覚ベースのセンサを含む。] (ク)前記(イ)によると、排出ステーション200は、デブリキャニスタ204を含み、排出真空部212が、移動型床清掃ロボット100の清掃ビン122からデブリキャニスタ204にデブリを引き込んでいるから、排出ステーション200は、移動型床清掃ロボット100の清掃ビン122から排出真空部212によりデブリが引き込まれるデブリキャニスタ204を含んでいるといえる。 (ケ)前記(エ)によると、前側ローラ110及び後側ローラ112が、撹拌されたデブリを床面から動的に持ち上げ、ロボット真空部120が、床面からのデブリの抽出において前側ローラ110、後側ローラ112を補助する吸引力を提供するために、前側ローラ110、後側ローラ112の間の隙間114を通して空気を引き上げ、該隙間114を通過する空気及びデブリは、清掃ビン122の開口126に通じるプレナム124を通り、該清掃ビン122の開口126が、清掃ビン122のデブリ収集空洞128に通じていることが把握できるから、清掃ビン122は、前側ローラ110及び後側ローラ112が床面から持ち上げたデブリをデブリ収集空洞128に収集しているといえる。 (コ)前記(カ)、(キ)によると、ロボット制御回路146は、移動型床清掃ロボット100の他の様々な構成要素(例えば、ローラ110、112、サイドブラシ140、及び/又は駆動車輪142a、142b)を統制するよう構成されるものであるから、移動型床清掃ロボット100の移動や、清掃ルーティンの中断、再開などの制御を行うものと解される。また、前記(キ)によると、ロボット制御回路146は、ビン検出システム154から、ビン満杯信号が提供されると解されるが、同じく前記(キ)に「ロボット100は、清掃走行中に動作環境をマッピングし、横断した領域と横断していない領域を記録し、空にするために排出ステーション200に戻るようロボット制御回路146がロボット100に指示した時点のマップ上での姿勢を保存する。清掃ビン122の排出が完了すると、ロボット100は、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻り、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開する。」と記載されていることからみて、ロボット制御回路146が、ビン検出システム154から、ビン満杯信号が提供されるのは、清掃中であるといえ、該ビン満杯信号が提供されると、ロボット制御回路146は、清掃ルーティンを中断するものと解される。すると、ロボット制御回路146は、独立駆動車輪142a、142bを同調して動作させて移動型床清掃ロボット100を前進又は後退させるコマンドを提供するとともに、清掃中にビン検出システム154から、ビン満杯信号が提供されると、清掃ルーティンを中断し、清掃ビン122からデブリを出すために移動型床清掃ロボット100を排出ステーション200に移動させ、清掃ビン122の排出が完了すると、移動型床清掃ロボット100を、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻し、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開させるものといえる。 イ 引用発明 前記引用文献1の記載事項(ア)~(コ)及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「自律的に床面を横断して清掃するよう設計された移動型床清掃ロボット100と、 前記移動型床清掃ロボット100の清掃ビン122から排出真空部212によりデブリが引き込まれるデブリキャニスタ204を含む排出ステーション200とを備え、 前記移動型床清掃ロボット100は、 外側シェル104及び前記外側シェル104を担持する主要シャーシ102と、 前記移動型床清掃ロボット100を移動可能にする独立駆動車輪142a、142bと、 撹拌されたデブリを床面から持ち上げる前側ローラ110及び後側ローラ112と、 前記前側ローラ110及び前記後側ローラ112が床面から持ち上げたデブリをデブリ収集空洞128に収集する清掃ビン122と、 前記清掃ビン122内のデブリの量を検出するためのビン検出システム154と、 バッテリ148と、 前記独立駆動車輪142a、142bを同調して動作させて前記移動型床清掃ロボット100を前進又は後退させるコマンドを提供するとともに、清掃中に前記ビン検出システム154から、ビン満杯信号が提供されると、清掃ルーティンを中断し、前記清掃ビン122からデブリを出すために前記移動型床清掃ロボット100を前記排出ステーション200に移動させ、前記清掃ビン122の排出が完了すると、前記移動型床清掃ロボット100を、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻し、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開させるロボット制御回路146とを備えた ロボット床清掃システム10。」 (2)引用文献2の記載 ア 原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった前記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 (ア)「 [図:0001397952000001.jpg] 」(第2ページ第8行~第10行)[当審訳:本発明は無人掃除が可能なロボット掃除機に関するものであって、特にロボット掃除機と制御ステーションに多数の収集筒が配置され、互いに交換可能にすることによって、収集筒の掃除に要する時間を節減することができるようにしたロボット掃除機の収集筒掃除に関するものである。] (イ)「 [図:0001397952000002.jpg] 」(第3ページ第15行~第19行)[当審訳:前記のような制御手段によってロボット掃除機が駆動されれば、設定された区域を運行し、掃除作業を行い、ロボット掃除機内部の収集筒がいっぱいになれば、これを感知してロボット掃除機が制御ステーションに移動して互いに接続し、収集筒の掃除作業を行う。このとき、制御ステーションは、ロボット掃除機の乾電池充電量を感知して乾電池充電量が設定値以下であれば接続された状態で乾電池の充電作業を行い、充電が完了すれば掃除作業を再び始める。] (ウ)「 [図:0001397952000003.jpg] 」(第3ページ第22行~第26行)[当審訳:例えば、ロボット掃除機の収集筒は、いっぱいにならない状態で乾電池充電量が設定値以下になると、収集筒の異物を感知する段階から乾電池充電量を感知する段階に切り替わるので、乾電池の充電を行うことができ、ロボット掃除機の乾電池充電量が設定値以上のときに収集筒がいっぱいになると、空の収集筒をロボット掃除機に移す段階以降に掃除を再開する段階に切り替わり、設定空間内に設定値以下の異物量が残存するかを検知して掃除作業が終了するかを検出するステップにつながる。] (エ)「 [図:0001397952000004.jpg] 」(第3ページ第30行~第36行)[当審訳:上述のように構成される本発明によるロボット掃除機の収集筒掃除方法は、多数の収集筒が制御ステーション及びロボット掃除機に配置され、互いに交換可能にすることによって、ロボット掃除機の収集筒がいっぱいになったときに制御ステーションの空の収集筒と交換するので、短い時間内に収集筒を掃除することができ、ロボット掃除機による掃除を行う時に要する時間及び費用を節減できるという利点がある。また、制御ステーションに接続された時に乾電池充電量を感知して設定値以下であれば充電作業を行うことができるようにすることで、収集筒交替作業と同時に充電作業を行うことができ、短時間で収集筒掃除と乾電池充電を同時に行うことができる利点があり、時間及び費用が追加的に節減される利点がある。] イ 引用文献2に記載された事項 前記引用文献2の記載事項(ア)~(エ)及び図面の図示内容を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 「無人掃除が可能なロボット掃除機において、掃除作業を行い、ロボット掃除機内部の収集筒がいっぱいになったことを感知すると、ロボット掃除機が制御ステーションに移動していっぱいになったロボット掃除機の収集筒と、制御ステーションの空の収集筒を交換し、このとき、ロボット掃除機の乾電池充電量が設定値以下であることを感知すれば、ロボット掃除機が制御ステーションに接続された状態で乾電池の充電作業を行い、充電が完了すれば掃除作業を再び始めることにより、短時間で収集筒掃除と乾電池充電を同時に行うことができ、時間及び費用が節減されること。」 4 対比 以下、本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「清掃」、「移動型床清掃ロボット100」及び「ロボット床清掃システム10」は、それぞれ本願発明の「掃除」、「電気掃除機」及び「電気掃除装置」に相当し、引用発明の「自律的に床面を横断して清掃するよう設計された移動型床清掃ロボット100」は、自律的に移動可能であり、自律的に走行可能であるともいえるから、本願発明の「自律走行可能な電気掃除機」に相当する。 (2)引用発明の「デブリ」、「デブリキャニスタ204」及び「排出ステーション200」は、それぞれ本願発明の「塵埃」、「塵埃収容部」及び「基地装置」に相当し、引用発明の「前記移動型床清掃ロボット100の清掃ビン122から排出真空部212によりデブリが引き込まれるデブリキャニスタ204を含む排出ステーション200」は、移動型床清掃ロボット100の清掃ビン122に収集、つまり捕集されたデブリを、デブリキャニスタ204に引き込んで移送し、デブリキャニスタ204に収容するという機能を備えることが明らかであるから、本願発明の「この電気掃除機で捕集した塵埃の少なくとも一部を移送して収容する塵埃収容部を備えた基地装置」に相当する。 (3)引用発明の「外側シェル104」及び「前記外側シェル104を担持する主要シャーシ102」を合わせたものは、移動型床清掃ロボット100の本体を形成することが明らかであるから、本願発明の「本体ケース」に相当する。 (4)引用発明の「移動可能」及び「独立駆動車輪142a、142b」は、それぞれ本願発明の「走行可能」及び「駆動部」に相当し、引用発明の「前記移動型床清掃ロボット100を移動可能にする独立駆動車輪142a、142b」は、移動型床清掃ロボット100の「外側シェル104」及び「前記外側シェル104を担持する主要シャーシ102」を移動可能にしているともいえるから、本願発明の「この本体ケースを走行可能とする駆動部」に相当する。 (5)引用発明の「前側ローラ110及び後側ローラ112」は、本願発明の「掃除部」に相当し、引用発明の「撹拌されたデブリを床面から持ち上げる前側ローラ110及び後側ローラ112」は、デブリを掃除するものといえるから、本願発明の「塵埃を掃除する掃除部」に相当する。 (6)引用発明の「清掃ビン122」は、本願発明の「集塵部」に相当し、引用発明の「前記前側ローラ110及び前記後側ローラ112が床面から持ち上げたデブリをデブリ収集空洞128に収集する清掃ビン122」は、前側ローラ110及び後側ローラ112が掃除したデブリをデブリ収集空洞128に溜めているといえるから、本願発明の「この掃除部により掃除された塵埃を溜める集塵部」に相当する。 (7)引用発明の「ビン検出システム154」は、本願発明の「集塵量検出手段」に相当し、引用発明の「前記清掃ビン122内のデブリの量を検出するためのビン検出システム154」は、清掃ビン122内のデブリ収集空洞128に溜められたデブリの量を検出するためのものといえるから、本願発明の「この集塵部に溜められた塵埃量を検出する集塵量検出手段」に相当する。 (8)引用発明の「バッテリ148」は、本願発明の「二次電池」に相当する。 (9)引用発明の「ロボット制御回路146」は、移動型床清掃ロボット100を前進又は後退させるコマンドを提供するものであるから、移動型床清掃ロボット100の走行を制御するものといえ、本願発明の「走行制御手段」に相当する。また、引用発明の「前記独立駆動車輪142a、142bを同調して動作させて前記移動型床清掃ロボット100を前進又は後退させるコマンドを提供する」という事項は、独立駆動車輪142a、142bの動作を制御して、移動型床清掃ロボット100を自律的に走行させるものといえ、本願発明の「前記駆動部の駆動を制御して前記電気掃除機を自律走行させる」という事項に相当する。さらに、引用発明の「清掃中」は、本願発明の「前記掃除部により掃除しているとき」に相当し、引用発明の「前記ビン検出システム154から、ビン満杯信号が提供されると」という事項は、本願発明の「前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合には」という事項に相当し、引用発明の「清掃ルーティンを中断し、前記清掃ビン122からデブリを出すために前記移動型床清掃ロボット100を前記排出ステーション200に移動させ」るという事項は、本願発明の「前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させる」という事項に相当する。そして、引用発明の「前記清掃ビン122の排出が完了すると」という事項は、排出ステーション200にて清掃ビン122のデブリをデブリキャニスタ204に引き込んで移送が完了した場合を意味し、引用発明の「前記移動型床清掃ロボット100を、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻し、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開させる」という事項は、清掃を再開させる際、移動型床清掃ロボット100を基地装置から離脱させているといえる。すると、引用発明の「前記清掃ビン122の排出が完了すると、前記移動型床清掃ロボット100を、保存された、清掃ルーティンが中断された時点の姿勢に戻し、排出前にミッションが完了していなかった場合は清掃を再開させる」という事項と、本願発明の「前記二次電池の容量が不足していなければ前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開させ、前記二次電池の容量が不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の充電との後に掃除を再開させるように前記電気掃除機を前記基地装置から離脱させる」という事項とは、「前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開させるように前記電気掃除機を前記基地装置から離脱させる」点において共通する。 (10)したがって、本願発明と引用発明とは、 「自律走行可能な電気掃除機と、 この電気掃除機で捕集した塵埃の少なくとも一部を移送して収容する塵埃収容部を備えた基地装置とを具備し、 前記電気掃除機は、 本体ケースと、 この本体ケースを走行可能とする駆動部と、 塵埃を掃除する掃除部と、 この掃除部により掃除された塵埃を溜める集塵部と、 この集塵部に溜められた塵埃量を検出する集塵量検出手段と、 二次電池と、 前記駆動部の駆動を制御して前記電気掃除機を自律走行させるとともに、前記掃除部により掃除しているときに前記集塵量検出手段により検出した塵埃量が所定量以上である場合には前記電気掃除機を前記基地装置へと走行させるものであって、前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開させるように前記電気掃除機を前記基地装置から離脱させる走行制御手段とを備えた 電気掃除装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 掃除の再開について、本願発明は、「前記二次電池の容量が不足していなければ」前記基地装置にて前記集塵部の塵埃を前記塵埃収容部へと移送した後、掃除を再開させ、「前記二次電池の容量が不足していれば前記集塵部の塵埃の前記塵埃収容部への移送と前記基地装置による前記二次電池の充電との後に掃除を再開させる」のに対し、引用発明は、バッテリ148を備えるものの、バッテリ148の容量が不足しているか否かに応じ、バッテリ148の容量が不足していれば、バッテリ148の充電も行った後に清掃を再開させるものであるか明らかでない点。 5 判断 (1)相違点について 以下、前記相違点について判断する。 まず、引用発明の移動型床清掃ロボット100は、バッテリ148を備えるものであるから、引用文献1に明示されていないものの、該バッテリ148の充電量が低下した場合に、充電を行う必要があることは明らかであり、また、引用文献1には、排出ステーション200に、バッテリ148を充電する機能があることについて明示されていないが、排出ステーション等の基地装置にバッテリを充電する機能を備えることが、この出願の出願前から慣用されている技術である(例えば、特開2016-15975号公報の段落【0071】参照。)ことを踏まえると、引用発明の排出ステーション200が、バッテリ148を充電する機能を備えていることも明らかである。すると、引用発明の排出ステーション200において、清掃ビン122からのデブリの排出の他、バッテリ148の充電についても短時間で効率の良い適切なタイミングで実行しようとする課題は、当業者であれば当然に認識し、改善を試み得るものである。 そして、前記3(2)イに示した引用文献2に記載された事項に触れた当業者であれば、ロボット掃除機の制御ステーションにおいて、乾電池充電量に応じて、乾電池充電量が設定値以下であれば、いっぱいになった塵埃の処理と乾電池の充電とを同時に行うことにより、時間等の節減が図れることを認識し得るから、引用発明において、前記課題の改善を図るべく、引用文献2に記載された事項を適用し、ビン満杯信号が提供された際、バッテリ148の充電量に応じて、バッテリ148の充電量が設定値以下であれば、つまり不足していれば、排出ステーション200にて清掃ビン122からのデブリの排出と、バッテリ148の充電とを実行した後、清掃を再開させ、バッテリ148の充電量が設定値より大きければ、つまり不足していなければ、排出ステーション200にてバッテリ148の充電を実行することなく、清掃ビン122からのデブリの排出のみを実行した後、清掃を再開させるようにして、本願発明の相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (2)本願発明の作用効果について 本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (3)請求人の主張について 審判請求人は、令和3年10月28日に提出された意見書の(3)、及び審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(3)において、二次電池の容量が不足している際、二次電池の「不足分」の充電を行うことを前提に、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された発明等との相違を主張しているが、令和3年10月28日にされた手続補正が令和4年3月15日付けの補正の却下の決定により却下され、令和4年6月9日にされた手続補正が前記第2に示したように却下されたことにより、本願発明は、二次電池の「不足分」の充電を行うことについての発明特定事項を備えていないから、審判請求人の前記主張は採用できない。 同様に、審判請求人は、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(3)において、「報知手段」を備えることを前提に、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された発明等との相違を主張しているが、令和4年6月9日にされた手続補正が前記第2に示したように却下されたことにより、本願発明は、「報知手段」についての発明特定事項を備えていないから、審判請求人の前記主張は採用できない。 6 むすび 以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含するこの出願は、この出願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-008905

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