審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-018700

洗浄装置

審判番号
2022-018700
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-205887
請求日
2022年11月21日
審決日
2023年10月27日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社アイホー
  • 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 村上 聡
  • 審判官 五十嵐 康弘
分類
P18 .572-Z (A47L) / P18 .121-Z (A47L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-205887「洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月23日出願公開、特開2022- 92903〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和 2年12月11日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年 5月25日付け:拒絶理由通知書 令和 4年 7月20日 :意見書、手続補正書の提出 令和 4年 8月 8日付け:拒絶査定 令和 4年11月21日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和 4年11月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 4年11月21日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「矩形の容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら洗浄する洗浄装置であって、 前記容器の長手方向が前記搬送経路の上下方向に沿うように前記容器を上下に起立した姿勢にて保持するとともに前記搬送経路の前方から所定角度だけ側方に傾いた向きに前記容器が開口する姿勢にて前記容器を保持して移動する保持具と、前記搬送経路に沿って延びて前記側方に傾いた姿勢の前記容器の背面を支持する搬送ガイド部と、を有し、前記容器を前記搬送経路に沿って移動させるように構成される搬送装置と、 前記搬送経路の下方に設けられ、前記容器に向けて蒸気を噴射する蒸気噴射ノズルと、 前記搬送経路の前記側方に設けられ、前記容器の開口部内に向けて洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズルと、を備える、 洗浄装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和4年7月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら洗浄する洗浄装置であって、 前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持しながら前記搬送経路に沿って移動させるように構成される搬送装置と、 前記搬送経路の下方に設けられ、前記容器に向けて蒸気を噴射する蒸気噴射ノズルと、 前記搬送経路の側方に設けられ、前記容器に向けて洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズルと、を備える、 洗浄装置。」 2 補正の適否 本件補正は、「搬送装置」について本件補正前に特定されていなかった「前記搬送経路に沿って延びて前記側方に傾いた姿勢の前記容器の背面を支持する搬送ガイド部」を追加することを含むものである。 ここで、本件補正前の「搬送装置」をみると、「前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持しながら前記搬送経路に沿って移動させるように構成される搬送装置」とされており、搬送装置は、「前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持」する構成、「前記容器を・・・前記搬送経路に沿って移動させる」構成を含むものであるが、「搬送ガイド部」を下位概念として含む構成は存在しない。 つまり、本件補正では、本件補正前の「搬送装置」の「前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持」する構成について、さらに「前記搬送経路の前方から所定角度だけ側方に傾いた向きに前記容器が開口する姿勢にて前記容器を保持して移動する」と限定している。そして、この限定自体は、「前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持」する構成の態様を具体的に限定するものであり、また、産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないから限定的減縮であるといえる。しかし、「搬送ガイド部」は、当該限定された構成を採用することにより、容器が背面側に重心移動して傾くという、新たに生じる課題を解決するために、新たに必要となる構成であり(本願の発明の詳細な説明の段落【0044】参照)、本件補正前の「搬送装置」に存在する構成要素に包含される技術思想を下位概念化するものでない。さらに、「搬送ガイド部」を加えることにより、容器が背面側に重心移動して傾くという、新たな課題を解決するものとなり、解決しようとする課題も変更する。 したがって、本件補正の「搬送ガイド」を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明を目的とするものでないことは明らかである。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 なお、請求人は、令和4年11月21日提出の審判請求書の第3、2において、上記「搬送ガイド」を追加する補正について、「発明を特定するための事項である『搬送装置』について、搬送装置による『容器』の『保持』及び『移動』の態様を具体的に特定する(すなわち、概念的により下位の事項とする)ものであって、補正前後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が明らかに同一のものです。すなわち、上記補正(1)は、特許請求の範囲の限定的減縮に該当するものです。」と主張している。 しかし、「概念的に下位の事項」であるか否かは、特許請求の範囲に特定された発明特定事項について発明の詳細な説明を参酌しつつ実体的にその技術的意義を把握したうえで判断するべきものであり、上記のように上位概念化して漠然と概念を捉えるものでない。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年11月21日提出の手続補正書による補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-6に係る発明は、令和4年7月20日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 1.独国特許出願公開第102008055817号明細書 2.実願平2-73194号(実開平4-32660号)のマイクロフィルム 3.特表2011-530386号公報(周知技術を示す文献) 4.特開平5-269073号公報(周知技術を示す文献) 5.国際公開第2016/164537号(周知技術を示す文献) 3 引用文献の記載事項 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、独国特許出願公開第102008055817号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(日本語訳は当審で作成した。また、下線は当審で付した。以下、同様。) [図:0001405504000001.jpg] (日本語訳) 「【0001】 本発明は、コンベヤ式食器洗浄機および被洗浄物の洗浄方法に関する。このようなコンベヤ式食器洗浄機および方法は、特に大調理場で、皿、カップ、トレイ、カトラリー、グラスなどの大量の被洗浄物を洗浄するために使用される。しかしながら、基本的には、提案された食器洗浄機と提案された方法は、他のタイプの被洗浄物、例えば、食品または飲料に直接または間接的に接触しない被洗浄物の洗浄にも使用することができる。しかし、本発明の重点は、特に食器洗浄の分野にあり、特に、少なくとも1つの平らな表面を有する皿、トレイ、箱などの平らな被洗浄物の洗浄に重点を置いている。」 [図:0001405504000002.jpg] (日本語訳) 「【0049】 コンベヤ式食器洗浄機110では、被洗浄物114が洗浄室118を搬送方向116に通過する。被洗浄物114は、例えば搬送ベルト120からなる搬送装置112によって、図示のコンベヤ式食器洗浄機110内で搬送される。したがって、コンベヤ式食器洗浄機110は、例えば、ベルトコンベヤ式の食器洗浄機として設計することができる。しかし、他の形態も基本的には可能である。」 [図:0001405504000003.jpg] [図:0001405504000004.jpg] (日本語訳) 「【0051】 搬送ベルト120の上部に収容された被洗浄物114は、入口トンネル124を通過した後、いくつかの洗浄ゾーン119に分割された洗浄室118に入る。まず、被洗浄物114は、前洗いゾーン128の形体である第1の洗浄ゾーン119に搬送される。この前洗いゾーン128内に、前洗いシステム130が配置されている。前洗いシステム130は、循環する搬送ベルト120の下側および/または上側に配置された噴射管131を有する。図1には図示されていないポンプを介して前洗いシステム130に洗浄水が供給される。 【0052】 前洗いゾーン128は、さらなる仕切りカーテン126を介して、本洗いゾーン132の形体の隣接する洗浄ゾーン119と分離している。前洗いゾーン128を通過した後、被洗浄物114は本洗いゾーン132に入る。本洗いゾーン132は、同様に循環する搬送ベルト120の上部の上側と下側に配置された噴射管131を有する本洗いシステム134を備える。 【0053】 本洗いゾーン132は、さらなる仕切りカーテン126を介して、高圧すすぎゾーン136の形体の隣接する洗浄ゾーン119と分離している。これもまた、対向する2本の噴射管131の形の本洗いシステムを備える。高圧すすぎゾーン136に続いて、真水すすぎゾーン138の形体のさらなる洗浄ゾーン119が続く。真水すすぎゾーンもまた、搬送ベルト120の上下にある噴射管140を備える。真水すすぎゾーン138内で、被洗浄物114は、被洗浄物114が後続の乾燥ゾーン142に搬送される前に、この被洗浄物114から残っている汚れおよび/またはこれまで吹きかかった洗浄水を除去するために、真水ですすがれる。」 [図:0001405504000005.jpg] (日本語訳) 「【0056】 図2.1では、状況が側面図で示されており、これにより、被洗浄物114が搬送ベルト120上で、区画150の形態の収容部149に挿入されていることがわかる。噴射管140はそれぞれ搬送ベルト120の上下に配置されている。図2.2では、当技術分野による状況が平面図で示されている。 【0057】 図2.1と図2.2による配置においては、異なる平面を定義することができる。これらの平面は、この描出された配置の異なる方向の組み合わせから生じる。図2.1では、重力方向を参照番号154で示している。さらに、被洗浄物114は、被洗浄物表面156、すなわち、収容部149に具現された配置において斜め上方を向く前方表面158と、その都度斜め下方を向く後方表面160とを有する。参照番号162は、この被洗浄物表面156に対する面法線を示す。この面法線162と重力方向154によって被洗浄物面164が決まり、被洗浄物面は図2.2による平面図では破線で示され、図2.1による描出では図の面に対応するか、またはこの図の面に平行に配置される。」 [図:0001405504000006.jpg] [図:0001405504000007.jpg] (日本語訳) 「【0059】 図2.1および図2.2の平面164および170の描出に基づくと、公知の装置では、被洗浄物面164は搬送方向116に対して実質的に平行に、洗浄幕面170に対して実質的に垂直に配向されていることがわかる。一方、洗浄幕面170は、通常搬送方向116に対して垂直に向いている。したがって、真水すすぎゾーン138の噴射管140は、通常搬送ベルト120の区画150と平行に、かつ搬送方向116に対して直角に方向付けられている。洗浄アーム166は、その長手方向168に沿って洗浄ノズル172を有し、そこから洗浄水(真水すすぎゾーン138の場合、通常は加熱された真水であるが、場合によってはリンスが添加されている)が流出するか、または噴霧する。この洗浄水は幕を形成し、図2.1および図2.2では水幕152と呼ばれている。重力のため、この水幕152は実質的に垂直、すなわち図2.2の図の面に対して垂直な方向を向いている。洗浄ノズル172からの斜めに噴霧が行われる場合、この水幕152は、横から見たときにわずかに湾曲した形状をとることもできる。」 「図1 [図:0001405504000008.jpg] 」 「図2.1 [図:0001405504000009.jpg] 」 イ 引用発明1 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「コンベヤ式食器洗浄機に関し、少なくとも1つの平らな表面を有する皿、トレイ、箱などの平らな被洗浄物の洗浄に関するものであり、 コンベヤ式食器洗浄機110において、被洗浄物114が洗浄室118を搬送方向116に通過し、 被洗浄物114は、搬送ベルト120からなる搬送装置112によって、コンベヤ式食器洗浄機110内で搬送され、 前洗いゾーン128内に、前洗いシステム130が配置され、前洗いシステム130は、循環する搬送ベルト120の下側および/または上側に配置された噴射管131を有し、 本洗いゾーン132は、同様に循環する搬送ベルト120の上部の上側と下側に配置された噴射管131を有する本洗いシステム134を備え、 高圧すすぎゾーン136にも、対向する2本の噴射管131を有し、 真水すすぎゾーン138もまた、搬送ベルト120の上下にある噴射管140を備え、 被洗浄物114が搬送ベルト120上で、区画150の形態の収容部149に挿入され、被洗浄物114は、斜め上方を向く前方表面158と、その都度斜め下方を向く後方表面160とを有する、 コンベヤ式食器洗浄機110。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、実願平2-73194号(実開平4-32660号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (ア)「この実施例の自動洗浄装置は、第1図に示す如く、処理ケース1と食器類搬送機構2と前処理水噴射機構3と低圧蒸気雰囲気保持機構4と洗浄水噴射機構5と濯ぎ水噴射機構6とを具備してなる。」(明細書6ページ17-20行) (イ)「低圧蒸気雰囲気保持機構4は、蒸気処理室9に配設された水噴射ノズル28・・・及び蒸気噴出ノズル29・・・と、ボイラ等の蒸気供給源(図示せず)から蒸気噴出ノズル29・・・に導かれた蒸気供給管30と、蒸気供給管30に介設された制御弁31と、蒸気処理室9内の温度を検出する温度検出器32と、検出器32による検出温度に基づいて制御弁31を制御する制御器33とを具備する。・・・蒸気噴出ノズル29はベルト搬送部分18’の下位に配設されており、上方に向けて蒸気34を噴出する。」(明細書9ページ18行-10ページ12行) (ウ)「図1 [図:0001405504000010.jpg] 」 イ 引用文献2記載の技術的事項 (ア)上記ア(ア)の記載から以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「処理ケース1と食器類搬送機構2と前処理水噴射機構3と低圧蒸気雰囲気保持機構4と洗浄水噴射機構5と濯ぎ水噴射機構6とを具備する自動洗浄装置」 (イ)上記ア(ア)-(ウ)の記載から以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「ベルト搬送部分18’の下位に配置され、上方に向けて蒸気34を噴出する蒸気噴出ノズル29を備える自動洗浄装置」 (3)引用文献3 ア 引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、特表2011-530386号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「【0023】 本発明を、例としての好適実施形態を用いた図面を参照しながら、以下に続く本文において説明する。 図1は、コンベヤー食器洗浄機2のハウジングを通って食器6を搬送方向8に運搬する運搬装置4を有するコンベヤー食器洗浄機2を示している。コンベヤー食器洗浄機2には少なくとも1つの洗浄ゾーンがあり、例えば図1に示すように、予備洗浄ゾーン12と、搬送方向8において予備洗浄ゾーン12の下流側に位置する本洗浄ゾーン14とを備えている。 【0024】 後洗浄ゾーン16は、搬送方向8において少なくとも1つの洗浄ゾーン12、14の下流側に位置している。例えば、図では1つのみで示されているが、少なくとも1つの最終すすぎゾーン18が、搬送方向8において後洗浄ゾーン16の下流側に配置されている。」 「【0029】 図2は最終すすぎゾーン18の横断面図である。この実施形態では、最終すすぎゾーン18は、下向きの上スプレーノズル20、上向きの下スプレーノズル22、及び運搬装置4の各側で横を向いた2つの側方スプレーノズル24を有している。しかしながら、最終すすぎゾーン18に上下スプレーノズル20、22だけを設け、横向きの側方スプレーノズル24も設けない場合も実現可能である。 【0030】 図2に示すように、側方スプレーノズル24は上下スプレーノズル20、22に加えて最終すすぎゾーン18に使用可能であるため、影のゾーンにある皿部分に対し目標を定める形で噴霧することが可能である。側方スプレーノズル24を用いることは、横向きスプレーノズル24を設けず、上下スプレーノズル20、22だけを最終すすぎゾーン18に設けたシステムに比較して、運搬システムが満載状態、即ちディッシュラックに皿が連続して搭載されるような場合において特に、最終すすぎ結果(影のゾーンにある皿の表面からの洗剤残留物の効果的洗い流し)の点でかなりの利点がある。」 「図1 [図:0001405504000011.jpg] 」 イ 引用文献3記載の技術的事項 上記引用文献3の段落【0023】-【0024】、段落【0029】-【0030】、及び図1の記載から以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「搬送経路の側方に設けられ、皿部分に噴射する2つの側方スプレーノズル20、22を備えるコンベヤー食器洗浄機2」 (4)引用文献4 ア 引用文献4の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、特開平5-269073号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 「【0018】 【実施例】以下、本発明の実施例に就いて図面を参照して詳細に説明する。第1図はノズル部分1部省略の自動洗浄機の概念図である。図面に記載された如く本発明の自動洗浄機1は浸透槽2、洗浄槽3、すすぎ槽4、仕上げ槽5の4槽が縦方向に構成されて、その目的により作業を行い、一体として洗浄を完結するものである。」 「【0023】第3図は洗浄槽3のシヤワーノズル17よりの噴射状態説明図である。シヤワーノズルの前方の楕円形はシヤワーノズルよりの噴射の状態を示す。第4図はシヤワーノズル17と食器16との関係位置を示す説明図である。何れもパイプ18の先端に複数個、複数列のシヤワーノズル17が設置されて温水を噴出する。この場合のその方向は所定の方向である。この洗浄槽に於いて、食器かご8の食器16は温水にて四方からシヤワーノズルより充分に洗浄されて、次のすすぎ槽に送られる。」 「図4 [図:0001405504000012.jpg] 」 イ 引用文献4記載の技術的事項 上記引用文献4の段落【0023】の「食器かご8の食器16は温水にて四方からシヤワーノズルより充分に洗浄され」及び、図4の記載を併せてみると、シャワーノズル17は搬送経路の側方に設けられているといえる。してみれば、上記引用文献4の段落【0018】、【0023】及び図4の記載から以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「搬送経路の側方に設けられ、食器16に向けて温水を噴射するシャワーノズル17を備える自動洗浄機1」 (5)引用文献5 ア 引用文献5の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された引用文献である、国際公開第2016/164537号(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(日本語訳は当審で作成した。) 「[0042] FIG. 1 shows a conveyor dishwasher 2 having a conveyor apparatus 4 for conveying washware (not illustrated) in a direction 8 of conveying through the conveyor dishwasher 2. The conveyor dishwasher 2 has at least one wash zone, for example as illustrated in FIG. 1, a pre-wash zone 12 and a main wash zone 14 which is arranged after the pre-wash zone 12, as seen in the direction 8 of conveying. [0043] As seen in the direction 8 of conveying, after the at least one wash zone 12, 14 there is arranged an post-wash zone 16, and after the post-wash zone 16 there is arranged at least one final rinse zone, for example as illustrated only a single final rinse zone 18. In the conveyor dishwasher 2 that is illustrated schematically in FIG. 1, adjoining the final rinse zone 18, as seen in the direction 8 of conveying the washware, is a drying zone 40. The respective zones 12, 14, 16, 18, 40 of the conveyor dishwasher 2 may be separated from one another by means of parting curtains 47.」 (日本語訳) 「[0042]図1は、コンベア式食器洗浄機2を通る搬送方向8に洗浄対象(図示せず)を搬送するためのコンベア装置4を有するコンベア式食器洗浄機2を示す。コンベア式食器洗浄機2は、例えば図1に図示されているように、少なくとも1つの洗浄ゾーン、予備洗浄ゾーン12と、搬送方向8に見て予備洗浄ゾーン12の後に配置されている主洗浄ゾーン14とを有している。 [0043] 搬送方向8で見て、少なくとも1つの洗浄ゾーン12、14の後には、後洗浄ゾーン16が配置され、後洗浄ゾーン16の後には、例えば単一の最終すすぎゾーン18のみが図示されているように、少なくとも1つの最終すすぎゾーンが配置されている。図1に概略的に示されているコンベア式食器洗浄機2において、最終すすぎゾーン18に隣接して、洗浄物の搬送方向8から見て、乾燥ゾーン40が設けられている。コンベア式食器洗浄機2のそれぞれのゾーン12、14、16、18、40は、パーティングカーテン47によって互いに分離することができる。」 「[0046] In the conveyor dishwasher 2 which is illustrated schematically in FIG. 1, however, the final rinse zone 18 has not only downwardly directed upper spray nozzles 20 and upwardly directed lower spray nozzles 22 but also transversely directed lateral spray nozzles 24 on each side of the conveyor apparatus 4. The use of lateral spray nozzles 24 makes it possible to spray the washware surfaces (dish surfaces) with final rinse liquid in targeted manner even in zones that are hidden behind other objects. Specifically when the conveyor system is fully loaded, that is to say when the dish carrier is loaded with plates side by side, the use of lateral spray nozzles 24 in the final rinse zone 18 is clearly advantageous,in respect of the final rinse result (effective rinsing of detergent residues off dish surfaces even in hidden zones), over systems in which only upper and lower spray nozzles 20, 22 and no transversely directed lateral spray nozzles 24 are provided in the final rinse zone 18. (日本語訳) 「[0046]しかしながら、図1に図示されているコンベア式食器洗浄機2では、最終すすぎゾーン18は、下方に向けられた上側スプレーノズル20と上方に向けられた下側スプレーノズル22だけでなく、コンベア装置4の両側方に横方向に向けられた横方向スプレーノズル24も有している。横方向スプレーノズル24を使用することにより、他の物体の陰に隠れているゾーンであっても、最終すすぎ液を狙った方法で食器表面(食器表面)に噴射することが可能になる。特に、コンベヤシステムが完全に積載されている場合、すなわち、皿搬送装置が皿を並べて積載している場合、最終すすぎゾーン18における横方向スプレーノズル24の使用は、上側及び下側スプレーノズル20、22のみで、横方向スプレーノズル24が最終すすぎゾーン18に設けられていないシステムよりも、最終すすぎ結果(隠れたゾーンにおいても皿表面から洗剤残留物を効果的にすすぐこと)に関して明らかに有利である。」 「図1 [図:0001405504000013.jpg] 」 イ 引用文献5記載の技術的事項 引用文献5の上記段落[0042]-[0043]、[0046]及び図1の記載から以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「搬送経路の側方に設けられ、食器に向けて最終すすぎ液を噴射する横方向スプレーノズル24を備えるコンベア式食器洗浄機2」 4 対比 (1)対比 本願発明と引用発明を対比する。 ア 引用発明の「皿、トレイ、箱」、「被洗浄物114」は、ともに本願発明の「容器」に相当する。また、引用発明の「被洗浄物114が洗浄室118を搬送方向116に通過」することは、本願発明の「容器を所定の搬送経路に沿って搬送」することに相当する。さらに、引用発明の「被洗浄物114が洗浄室118を搬送方向116に通過」する際に洗浄が行われることは、洗浄室118の機能に照らし明らかである。したがって、引用発明の「コンベヤ式食器洗浄機110」は、本願発明の「容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら洗浄する洗浄装置」に相当する。 イ 引用発明の「搬送装置112」は、「被洗浄物114が搬送ベルト120上で、区画150の形態の収容部149に挿入され、被洗浄物114は、斜め上方を向く前方表面158と、その都度斜め下方を向く後方表面160とを有する」ものであり、さらに、図1及び図2.1に平らな被洗浄物114が搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持されていることが図示されているから、搬送経路に対して被洗浄物114を上下に起立した姿勢で保持しているものである。また、引用発明の「搬送装置112」は、「被洗浄物114は、搬送ベルト120からなる搬送装置112によって、コンベヤ式食器洗浄機110内で搬送され」るものであるから、被洗浄物114を搬送経路に沿って移動させるように構成されているものである。してみれば、引用発明の「搬送装置112」は、本願発明の「前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持しながら前記搬送経路に沿って移動させるように構成される搬送装置」に相当する。 ウ 引用発明の、前洗いゾーン128、本洗いゾーン132、高圧すすぎゾーン136に備えられる「噴射管131」、及び真水すすぎゾーンに備えられる「噴射管140」は、搬送ベルト120の上側と下側に設けられているものである。また、引用文献1の段落【0059】に、真水すすぎゾーン138の噴射管140に洗浄ノズル172を設けることが記載されているように、「噴射管131」、「噴射管140」が噴射ノズルを有することは明らかである。したがって、引用発明の「噴射管131」及び「噴射管140」は、本願発明の「搬送経路に設けられ、前記容器に向けて洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズル」に相当する。 (2)一致点及び相違点 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら洗浄する洗浄装置であって、 前記容器を前記搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持しながら前記搬送経路に沿って移動させるように構成される搬送装置と、 前記搬送経路に設けられ、前記容器に向けて洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズルと、を備える、 洗浄装置。」 【相違点1】 本願発明では、「前記搬送経路の下方に設けられ、前記容器に向けて蒸気を噴射する蒸気噴射ノズル」を有するのに対し、引用発明では、そのような構成を有さない点。 【相違点2】 本願発明では、「洗浄水噴射ノズル」が「前記搬送経路の側方に設けられ」るのに対し、引用発明では、「噴射管131」及び「噴射管140」が、「搬送ベルト120の上側と下側に設けられている」点。 5 判断 以下、相違点について検討する。 (1)相違点1について 引用文献2には、上記3(2)イ(イ)のとおり、「自動洗浄装置に、ベルト搬送部分18’の下位に配置され、上方に向けて蒸気34を噴出する蒸気噴出ノズル29を設ける」ことが記載されている。そして、上記3(2)イ(ア)に、「処理ケース1と食器類搬送機構2と前処理水噴射機構3と低圧蒸気雰囲気保持機構4と洗浄水噴射機構5と濯ぎ水噴射機構6とを具備する自動洗浄装置」が開示されていることからも明らかなように、洗浄機の技術分野において、洗浄水に加えて蒸気を噴出させることは周知技術であるから、引用文献1のコンベヤ式食器洗浄機110に引用文献2の蒸気噴出ノズル29を適用し得ることは明らかである。してみれば、引用文献1のコンベヤ式食器洗浄機110に、引用文献2の「自動洗浄装置に、ベルト搬送部分18’の下位に配置され、上方に向けて蒸気34を噴出する蒸気噴出ノズル29を設ける」構成を適用し、本願発明の「前記搬送経路の下方に設けられ、前記容器に向けて蒸気を噴射する蒸気噴射ノズル」を有する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について 引用文献3に、「搬送経路の側方に設けられ、皿部分に噴射する2つの側方スプレーノズル20、22を備えるコンベヤー食器洗浄機2」(上記3(3)イ参照)、引用文献4に、「搬送経路の側方に設けられ、食器16に向けて温水を噴射するシャワーノズル17を備える自動洗浄機1」(上記3(4)イ参照)、引用文献5に、「搬送経路の側方に設けられ、食器に向けて最終すすぎ液を噴射する横方向スプレーノズル24を備えるコンベア式食器洗浄機2」(上記3(5)イ参照)が開示されているように、洗浄水噴射ノズルを搬送経路の側方に設けることは周知技術である。 そうしてみると、引用発明の「噴射管131」及び「噴射管140」の配置を変更して、搬送経路の側方に設けるようにすることは、単なる周知技術の適用にすぎず、当業者であれば容易になし得たことである。 (3)作用効果について そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3-5に開示されている周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 6 結論 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3-5に開示されている周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-018700

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決4件(株式会社アイホー)
  • 2023-020355拒絶査定不服審判 / 2024-11-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)洗浄装置
    同じ当事者: 株式会社アイホー
  • 2020-014113拒絶査定不服審判 / 2021-11-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)食器洗浄装置および食器洗浄方法
    同じ当事者: 株式会社アイホー
  • 2019-008309拒絶査定不服審判 / 2020-07-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)連続炊飯装置
    同じ当事者: 株式会社アイホー
  • 2022-700129異議申立 / 2022-09-15 / 訂正認容加熱調理装置
    同じ当事者: 株式会社アイホー
同じ論点・分野の審決(審決分類)354件(121・A47L、572・A47L)
  • 2022-009563拒絶査定不服審判 / 2024-06-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気掃除機
    共通の審決分類: 121・A47L、572・A47L
  • 2022-008905拒絶査定不服審判 / 2023-03-22 / 請求不成立電気掃除装置
    共通の審決分類: 121・A47L、572・A47L
  • 2024-015339拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)洗浄装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-011313拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)清掃装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-008383拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)装置ベース、貯水可能な装置及び清掃ロボット
    共通の審決分類: 121・A47L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存