特許拒絶査定不服審判
2022-008791
サービスステーションルーチンを提供するためのシステム及び方法
- 審判番号
- 2022-008791
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-120656外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月08日
- 審決日
- 2023年10月18日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .55 -Z (B41J) / P18 .537-Z (B41J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-120656「サービスステーションルーチンを提供するためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月22日出願公開、特開2020-172112〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年12月6日(パリ条約による優先権主張2015年12月7日、米国)を国際出願日とする特願2018-529559号の一部を令和2年7月14日に新たな特許出願としたものであって、令和3年5月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月1日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年2月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月8日に拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年6月8日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであり、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年12月1日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至20を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至20へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
マイクロ流体のジェットノズルと格納された情報とを備えた流体含有カートリッジを含むハンドヘルドジェット分配装置を提供するための処理の方法であって、
ハンドヘルド印刷デバイスを、サービスシステムを含むサービスステーション内へ配置するステップであって、前記サービスシステムは、アクチュエータ、ワイピング要素、組成物受容要素、又は、これらの組み合わせを含む、該配置するステップと、
前記格納された情報から前記カートリッジ内の前記流体の特定の配合物を識別するステップと、
前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上の提供ステップを実行するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
マイクロ流体のジェットノズルと格納された情報とを備えた流体含有カートリッジを含むハンドヘルドジェット分配装置を提供するための処理の方法であって、
ハンドヘルド印刷デバイスを、サービスシステムを含むサービスステーション内へ配置するステップであって、前記サービスシステムは、アクチュエータ、ワイピング要素、組成物受容要素、又は、これらの組み合わせを含む、該配置するステップと、
前記格納された情報から前記流体の使用の量を判定するステップと、
前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、又は、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上のステップを実行するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記流体は、色素性溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流体は、色素性溶液であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、皮膚欠陥の被覆を提供するために構成されたことを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を提供するための当該処理は、前記ハンドヘルドジェット分配装置から前記カートリッジの取り外しを必要としないことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を提供するための当該処理は、前記ハンドヘルドジェット分配装置から前記カートリッジの取り外しを必要としないことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記流体の所望の流体均一性を維持するように、エネルギーを前記カートリッジ内に付与するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、カメラレンズを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、カメラレンズを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記カメラレンズを拭き取るステップをさらに備えたことを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を較正するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を較正するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されたかどうかを判定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されたかどうかを判定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項16】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されなかったと判定することに応答して、前記ハンドヘルドジェット分配装置の状態を監視するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記流体の前記使用の量から、前記カートリッジを交換するべきかどうかを判定するステップと、
前記カートリッジを交換するべきと判定したことに応答して、ユーザに前記カートリッジを交換する指示を提供するステップと、
のうちの1以上のステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギーを前記ハンドヘルドジェット分配装置内に付与するステップは、前記カートリッジを揺らすことと、前記カートリッジを振動させることと、前記カートリッジの向きを変えることと、前記カートリッジをわずかに動かすことと、前記カートリッジを回転させることと、前記カートリッジを磁場に露出させることと、前記カートリッジを電場に露出させることと、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項19】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が前記サービスステーションから外れる時間を判定するステップ、又は、
前記ハンドヘルドジェット分配装置の最後の使用の時間を判定するステップ、
のうちの1以上のステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項20】
前記提供するステップは、
前記ハンドヘルドジェット分配装置が前記サービスステーションから外れる時間、
前記ハンドヘルドジェット分配装置の最後の使用の時間、
前記カートリッジ内の前記流体の特定の配合物、又は、
これらの組み合わせ、
に基づいて判定されることを特徴とする請求項19記載の方法。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
マイクロ流体のジェットノズルと格納された情報とを備えた流体含有カートリッジを含むハンドヘルドジェット分配装置を提供するための処理の方法であって、
ハンドヘルド印刷デバイスを、サービスシステムを含むサービスステーション内へ配置するステップであって、前記サービスシステムは、アクチュエータ、ワイピング要素、組成物受容要素、又は、これらの組み合わせを含む、該配置するステップと、
前記格納された情報から前記カートリッジ内の前記流体の特定の配合物に必要なサービスルーチンの種類を判定するために、前記カートリッジの中身を識別するステップと、
前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上の提供ステップを実行するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
マイクロ流体のジェットノズルと格納された情報とを備えた流体含有カートリッジを含むハンドヘルドジェット分配装置を提供するための処理の方法であって、
ハンドヘルド印刷デバイスを、サービスシステムを含むサービスステーション内へ配置するステップであって、前記サービスシステムは、アクチュエータ、ワイピング要素、組成物受容要素、又は、これらの組み合わせを含む、該配置するステップと、
前記格納された情報から前記流体の使用を判定するステップと、
前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、又は、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上の提供ステップを実行するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記流体は、色素性溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流体は、色素性溶液であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、皮膚欠陥の被覆を提供するために構成されたことを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を提供するための当該処理は、前記ハンドヘルドジェット分配装置から前記カートリッジの取り外しを必要としないことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を提供するための当該処理は、前記ハンドヘルドジェット分配装置から前記カートリッジの取り外しを必要としないことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記流体の所望の流体均一性を維持するように、エネルギーを前記カートリッジ内に付与するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、カメラレンズを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドヘルドジェット分配装置は、カメラレンズを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記カメラレンズを拭き取るステップをさらに備えたことを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を較正するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記ハンドヘルドジェット分配装置を較正するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されたかどうかを判定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されたかどうかを判定するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項16】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が登録されなかったと判定することに応答して、前記ハンドヘルドジェット分配装置の状態を監視するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記流体の前記使用から、前記カートリッジを交換するべきかどうかを判定するステップと、
前記カートリッジを交換するべきと判定したことに応答して、ユーザに前記カートリッジを交換する指示を提供するステップと、
のうちの1以上のステップをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギーを前記ハンドヘルドジェット分配装置内に付与するステップは、前記カートリッジを揺らすことと、前記カートリッジを振動させることと、前記カートリッジの向きを変えることと、前記カートリッジをわずかに動かすことと、前記カートリッジを回転させることと、前記カートリッジを磁場に露出させることと、前記カートリッジを電場に露出させることと、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項19】
前記ハンドヘルドジェット分配装置が前記サービスステーションから外れる時間を判定するステップ、又は、
前記ハンドヘルドジェット分配装置の最後の使用の時間を判定するステップ、
のうちの1以上のステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項20】
前記提供ステップは、
前記ハンドヘルドジェット分配装置が前記サービスステーションから外れる時間、
前記ハンドヘルドジェット分配装置の最後の使用の時間、
前記カートリッジ内の前記流体の特定の配合物、又は、
これらの組み合わせ、
に基づいて判定されることを特徴とする請求項19記載の方法。」
2 補正の適否
(1)各補正事項
上記1によれば、本件補正は、
(1-1)本件補正前の【請求項1】の「方法」の発明特定事項である「前記流体の特定の配合物を識別するステップ」を「前記流体の特定の配合物に必要なサービスルーチンの種類を判定するために、前記カートリッジの中身を識別するステップ」とする補正(以下「補正事項1」という。)、
(1-2)本件補正前の【請求項2】の「方法」の発明特定事項である「前記格納された情報から前記流体の使用の量を判定するステップ」を「前記格納された情報から前記流体の使用を判定するステップ」とする補正(以下「補正事項2」という。)、
(1-3)本件補正前の【請求項2】の「方法」の発明特定事項である「前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、又は、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上のステップを実行するステップ」を「前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、又は、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上の提供ステップを実行するステップ」とする補正(以下「補正事項3」という。)、
(1-4)本件補正前の【請求項17】の「方法」の発明特定事項である「前記流体の前記使用の量から、前記カートリッジを交換するべきかどうかを判定するステップ」を「前記流体の前記使用から、前記カートリッジを交換するべきかどうかを判定するステップ」とする補正(以下「補正事項4」という。)、
(1-5)本件補正前の【請求項20】の「方法」の発明特定事項である「前記提供するステップ」を「前記提供ステップ」とする補正(以下「補正事項5」という。)、
からなるものである。
3 本件補正の適否について
(1)本件補正事項1について
ア 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
イ そこで、本件補正事項1について、以下、検討する。
ウ 本件補正前の請求項1における「識別するステップ」は、「前記格納された情報」から「流体の特定の配合物」を識別するステップであった。
エ ここで、「識別する」とは、「みわけること。」(広辞苑第6版)との意味であるから、本件補正前の請求項1における「識別するステップ」は、「前記格納された情報」から「流体の特定の配合物」をみわける、すなわち、「前記格納された情報」そのものに、「流体の特定の配合物」自体を特定する情報そのものが記憶されているのか否かをみわけるステップであったと理解できる。
オ これに対し、本件補正後の請求項1における「識別するステップ」は、「前記格納された情報」から「流体の特定の配合物に必要なサービスルーチンの種類を判定するために、前記カートリッジの中身」を識別するステップとなった。
カ ここで、「中身」とは、「中にはいっている物」との意味であるから、「流体」自体を指していると解せる。
すなわち、本件補正後の請求項1における「識別するステップ」は、「前記格納された情報」から「カートリッジの」という、「流体」自体をみわける、すなわち、「前記格納された情報」そのものに、「流体」自体を特定する情報そのものが記憶されているのか否かをみわけるステップとなった。
キ そうすると、本件補正により、流体の組成物である「特定の配合物」自体を識別するステップから、「カートリッジの中身」という、「流体」自体を識別するステップへと、識別する対象が上位概念化されたものと認められる。
ク してみると、本件補正事項1は、本件補正前の請求項1において特定されている発明特定事項をさらに特定するものには該当せず、本件補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
ケ また、上記キのとおり、本件補正事項1により、本件補正前の識別する対象を上位概念化したのであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものにも該当せず、本件補正事項1は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
コ さらに、本件補正事項1が、同項第1、3の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(2)小括
よって、本件補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、令和3年12月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項2】
マイクロ流体のジェットノズルと格納された情報とを備えた流体含有カートリッジを含むハンドヘルドジェット分配装置を提供するための処理の方法であって、
ハンドヘルド印刷デバイスを、サービスシステムを含むサービスステーション内へ配置するステップであって、前記サービスシステムは、アクチュエータ、ワイピング要素、組成物受容要素、又は、これらの組み合わせを含む、該配置するステップと、
前記格納された情報から前記流体の使用の量を判定するステップと、
前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを拭き取ること、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つを噴出させること、又は、前記マイクロ流体のジェットノズルの少なくとも1つをキャップすること、の1つ以上のステップを実行するステップと
を備えたことを特徴とする方法。」(以下、「本願発明」という。)
2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由は、以下の理由を含むものである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法
第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項 2、4-5、7-8、10-11、13、15-20
・備考
請求項2において、「前記格納された情報から前記流体の使用の量を判定するステップと、」と記載があるが、この記載は、例えば、流体が半分使用された、あるいは、2m/L使用されたといった使用の「量」を判定することを意味している。
これに対し、発明の詳細な説明には、(中略)カートリッジが新しいものか、使用されたことがあるものであるか、を判定することの記載はあるものの、発明の詳細な説明には、請求項2の記載から把握される「量」を判定することの記載は無い。
したがって、請求項2に係る発明及び従属項である請求項4-5、7-8、10-11、13、15-20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
3 当審の判断
(1)発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、以下のとおり記載されている。
「【0024】
別の例として、カートリッジが一度も使用されたためしがない新しいカートリッジである場合、いくつかの実施形態では、エネルギーが所望の流体均一性に到達するために導入される、特定量のエネルギー及び期間を費やすであろう。これらの実施形態では、カートリッジ上の識別子は、カートリッジが新しい若しくは事前に使用された、及び/又は他の情報であるかどうか、カートリッジの中身を判定するためにアクセスしてもよい。カートリッジが新しいものとして判定される場合、新しいカートリッジルーチンは、所望の流体均一性に到達するために実装されてもよい。カートリッジが使用されたものである場合、溶液の種類、最後の使用以降の時間等に基づいて、特有のサービスルーチンが起動してよい。いくつかの実施形態では、溶滴の数を追跡してもよく、それにより、カートリッジが使用されたものと判定された場合、製造されてからの期間又は最初の使用以降の時間により、カートリッジを交換するべきであることをユーザに伝えてよい。他の実施形態では、カートリッジの中身は、特定の配合物に必要なサービスルーチンの種類を判定するであろう。
【0025】
カートリッジが、カートリッジの全寿命の間、ハンドヘルドジェット分配装置102内に存在する実施形態では、サービスステーション104は、ハンドヘルドジェット分配装置102がサービスステーション104から外れる(それにより、カートリッジが外れる)時間を判定してもよい。いったん所定の時間閾値に到達すると、サービスステーション104は、閾値、溶液、及び/又は他の要因に基づいて、所定のエネルギー量、エネルギーの種類、及びエネルギーを付与する時間を導入するであろう。消費者がハンドヘルドジェット分配装置102内で複数のカートリッジを採用することが可能であることにより、カートリッジAを取り外し及びカートリッジBを挿入する実施形態において、その実施形態では、カートリッジ内の溶液に基づいて、カートリッジを認識し(新しい、使用済み、最後に使用されたときの使用回数等)及び特定のルーチンを判定するように構成されてもよい。いくつかの配合物がキャップされる及び/又は拭かれるだけである一方、他のもの(色素性があるような不安定な配合物)は、溶液を再分散するためにエネルギーを付与することだけでなく、拭き取り及び/又はキャップされることも必要とし得る。」
(2)判定するステップについて
ア 本願発明の「流体の使用」に係る「判定するステップ」における判定する対象は、「流体の使用の量」と特定されている。
イ これに対し、上記(1)のとおり、発明の詳細な説明には、
(ア)カートリッジが新しいものか、若しくは事前に使用されたものか、
(イ)カートリッジが使用されたものである場合、最後の使用以降の時間、
(ウ)カートリッジが使用されたものと判定された場合、製造されてからの期間又は最初の使用以降の時間
(エ)カートリッジが新しい、使用済み、最後に使用されたときの使用回数
を判定することが記載されている。
ウ しかし、「流体の使用の量」を判定することは、記載も示唆もされていない。
エ また、上記イ(ア)~(エ)に列記した事項が、「流体の使用の量」を判定することを示唆するものでもない。
オ そうすると、本願発明の「前記格納された情報から前記流体の使用の量を判定するステップ」は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
ク 本願発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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