2022-008742
情報処理装置、自己位置推定方法、及び、プログラム
- 審判番号
- 2022-008742
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-169967外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月08日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソニーグループ株式会社
- 【請求人代理人】西川 孝
- 【請求人代理人】稲本 義雄
- 【請求人代理人】三浦 勇介
- 分類
- P18 .121-WY (G01C)
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 19項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年9月5日の出願であって、令和2年7月13日に手続補正書が提出され、令和3年7月14日付け(発送日:令和3年7月20日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の令和3年9月8日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年11月8日付け(発送日:令和3年11月16日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の令和4年1月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年3月4日付け(発送日:令和4年3月8日)で令和4年1月14日に提出した手続補正書でした手続補正が却下されると共に拒絶査定がなされ、これに対し、令和4年6月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の拒絶の概要は次のとおりである。
「この出願については、令和3年11月8日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」
そして、令和3年11月8日付け拒絶理由通知書の概要は以下の通りである。
(1) 請求項1ないし請求項6、請求項9ないし15に係る発明は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものである。
(2) 請求項7及び8に係る発明は、引用文献1ないし引用文献5に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものである。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2005/038402号
2.特開2006-277007号公報
3.特開2009-41932号公報
4.特開2014-219405号公報
5.特表2017-508166号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和4年6月8日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載されたとおりものであるところ、本願発明1は、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「移動体に設置されている撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像内の自己位置推定処理に用いる画像の範囲である使用範囲を航法衛星からの衛星信号の強度に応じて、変更し、前記使用範囲内の画像に基づいて前記移動体の第1の自己位置推定を行う第1の自己位置推定部と、前記衛星信号に基づいて、前記衛星信号の強度に応じた精度で前記移動体の第2の自己位置推定を行う第2の自己位置推定部と、前記第1の自己位置推定の結果、及び、前記第2の自己位置推定の結果に基づいて、前記移動体の第3の自己位置推定を行う第3の自己位置推定部とを備え、前記第1の自己位置推定に用いられる画像の前記使用範囲は、前記第2の自己位置推定に用いられる航法衛星からの前記衛星信号の強度に応じて変更される情報処理装置。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
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原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献1(国際公開第2005/038402号)には、「ナビゲーション装置」に関して、以下の記載及び図示事項がある(下線部は当審が付した。)。
ア 「[0005] しかしながら、このように位置精度の誤差が数十メートルの範囲にある従来のナビゲーションシステムでは、誤差が大きすぎて自動運転等には適用できなかった。例えば、道路上で車両の自動運転を実現するためには、道路上の車両位置精度を数cm程度の誤差にまで高める必要があり、この精度は測量の精度に近く、従来のナビゲーションシステムを利用する限り、いかなる方法であっても、数cmの精度で、しかも、リアルタイムに連続的な位置計測をして、それを出力するようなことは不可能であった。 また、自動運転に限らず、例えば、自動車の車庫入れや、航空機の離着陸時、ロボットのナビゲーションなどに用いる場合にも、数cm程度の位置精度をリアルタイムに取得することが必要であり、このようなナビゲーションシステムは現在まで実現されていない。[0006] そこで、本願発明者は、鋭意研究の結果、移動体に搭載したカメラで撮影される動画映像の複数のフレーム画像から充分な数の特徴点を自動検出し、各フレーム間で特徴点を自動追跡し、多数の特徴点について重複演算してカメラ位置と回転角を高精度に求めることができ、そのカメラ位置情報により、移動体の三次元位置座標を高精度に表示し得ることに想到した。[0007] すなわち、本発明は、従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、画像処理技術を用いて、移動体の移動経路について予め特徴点の三次元座標を精度良く計測しておき、その三次元座標と、現実の移動体の移動時に撮影されるカメラ映像を対比することにより、移動体のカメラ位置を示す三次元座標をGPSシステムより高精度に求め得ることができ、誤差数cmの範囲で移動体の現在位置を示すことができるナビゲーション装置の提供を目的とする。」
イ 「[0027] [第一実施形態]まず、図1~図26を参照して、本発明に係るナビゲーシヨン装置の第一実施形態について説明する。[基本構成]図1は、本発明の第一実施形態に係るナビゲーシヨン装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示す本実施形態に係るナビゲーション装置100は、特徴点三次元地図生成装置110と、記録媒体120と、地点探索ナビゲーシヨン装置130とを備えている。[0028] 車両や航空機,船舶等の移動体の現在地点座標をGPSより高い精度でリアルタイムに取得できるようにするために、本実施形態では、画像処理技術を用いて、画像内の複数の特徴有る点に着目し、特徴点三次元地図生成装置110を使用して前もって特徴点の三次元座標を精度良く計測し、その特徴点を三次元座標に記述した地図(3D地図)を生成する。生成した3D地図は、例えば DVDやハードディスク,CDなどの記録媒体120に記録する。そして、本ナビグーション装置を使用するナビゲーション対象となる車両等の移動体側では、地点探索ナビゲーション装置130により、実際に移動する移動体に備えられたカメラで得られた現在地点のカメラ画像から映像内の特徴点を抽出し、その特徴点の方向と、記録媒体に予め記録された三次元座標が既知である特徴点の方向とを比較して、複数の特徴点の方向が一致する地点の座標を演算により求める。これによって、移動体に備えられたカメラ位置を示す三次元座標、すなわち、現在の移動体の位置を示す三次元座標を得ることができる。なお、本ナビゲーション装置によってナビゲートされる移動体としては、例えば、自動車,船舶,航空機,ロボット,移動する機械,移動する人等があり、また、その用途等に応じて、重機 (重工業用機械),深海探査船、移動部分を持つ機械、さらには宇宙船等も含まれる。」
ウ 「[0034] [具体的構成]以下、より具体的に、本実施形態のナビゲーション装置100を構成する特徴点三次元地図生成装置110と記録媒体120及ぴ地点探索ナビゲーシヨン装置130について説明する。[特徴点三次元地図生成装置]図2は、本実施形態に係る特徴点三次元地図生成装置110の概略構成を示すブロック図である。特徴点三次元地図生成装置110は、車両等の移動体に備えられたカメラにより得られる現実の映像に基づき、移動体から観察される範囲における映像的な特徴点の三次元座標を含む所定の三次元情報を生成する。[0035] 具体的には、図2に示すように、カメラ映像取得部111,映像記録部112,特徴点抽出部113,特徴点対応処理部114,特徴点・カメラベクトル演算部115,誤差最小化部116,揺れ成分検出部117,絶対座標取得部118及び3D地図生成記録部119を備えている。カメラ映像取得部111は、移動する車両の車載カメラ等の移動体に備えられるカメラから移動体の周囲画像を取得する。映像記録部112は、カメラ映像取得部111において取得した画像を記録する。特徴点抽出部113は、において、記録した画像の中に、特徴点となるべき小領域画像を手動又は自動に指定し抽出する。」
エ 「[0046] [地点探索ナビゲーシヨン装置]地点探索ナビゲーシヨン装置130は、車両等の移動体側に設置される装置であり、移動体に備えられたカメラにより得られる現実の映像を、記録媒体120に記録された所定の三次元情報と比較し、現実の映像と一致する三次元座標上の地点と方向を求める。これによって、移動体に備えられたカメラの三次元座標上の位置、速度、加速度、視点方向、3軸回転姿勢、3軸回転速度、3軸回転加速度を含む所定項目のうち、いずれか又はそれらを組み合わせた複数の項目を出力する。具体的には、図3に示すように、特徴点3D地図再生部131,概略現在位置指定部132,現在地周辺特徴指定部133,カメラ映像取得部134,映像一時記録部135 ,映像内特徴点探索部136,映像内特徴点対応部137,カメラ座標演算部138,現在地点表示部139を備えている。[0047] 特徴点3D地図再生部131は、記録媒体120を再生し、記録されている所定の三次元情報を読み出す。上述したように、記録媒体120は、DVDやCDとして提供されるので、利用者は自己の車両等に備えられたナビゲーションシステムに記録媒体120を装填し、再生する。特徴点3D地図再生部131では、記録媒体120に記録されている特徴点3D地図を再生する。再生された3D地図には、特徴点の三次元座標と、その属性が記述されている。続きを表示(全14行)概略現在位置指定部132は、移動体の概略の現在位置を何らかの手段で決定して指定し、初期設定時の探索範囲を限定する。この現在位置の指定は、例えば利用者が手入力に指定することもでき、また、GPSによって得られた緯度経度高度データによって移動体の概略の現在位置を指定することもできる。移動体の概略位置情報を指定,入力することにより、現在地点周辺の特徴点を探すのに大きな手がかりとなる。そして、そのための手段としてGPSを利用することができる。GPSは本発明のナビゲーション装置100と比較して精度が悪いが、概略位置の情報としては適当な精度を持つといえ、概略位置情報の指定手段としては有効に利用できる。[0048] 現在地周辺特徴点指定部133は、記録媒体120の3D地図から現在地周辺の複数の特徴点を読み出し、それを現在地の探索目標として指定し、映像内特徴点探索部136に出力する。概略現在位置指定部132の指定により概略位置が分かるので、現在地周辺特徴点指示部133では、記録媒体120から現在地周辺の特徴点データ取り込み、それらの特徴点を三次元座標として配分する。カメラ映像取得部134は、特徴点三次元地図生成装置110のカメラ映像取得部111と同様、車載カメラにより、移動する車両の車載カメラ等の移動体に備えられるカメラから移動体の周囲画像を取得する。映像一時記録部135は、特徴点三次元地図生成装置110の映像記録部112と同様、カメラ映像取得部134において取得した画像を記録する。[0049] 映像内特徴点探索部136は、映像一時記録部135に記録された映像内に、現在地周辺特徴点指定部133で指定された探索目標と同一物となるべき特徴点の候捕をいくつか探し出す。映像内特徴点対応部137は、映像内特徴点探索部136で探索された特徴点の候補と現在地点周辺の探索目標とを比較照合して一致点を探し出し、同一物としての対応関係を求める。そして、対応関係が求められた候捕の中から演算に十分な数の対応点を決定する。ここで、記録媒体120に記録された三次元座標とカメラ映像の一致点を求めるには、例えば、マッチングや相関等の画像処理技術により行える。図4に、記録媒体120に記録された三次元座標とカメラ映像の対応関係を二次元的に示す。同図において、●はカメラ映像と三次元座標の対応が取れた特徴点であり、×は対応が取れなかった特徴点を示している。[0050] カメラ座標演算部138は、決定された対応点の三次元座標を記録媒体120から受け取り、決定された対応点とその三次元座標を用いて、現時点の車両状況を示す力メラ位置、方向、姿勢等の三次元データを演算して決定する。記録媒体120に記録されている多数の特徴点と、取り込んだ映像の特徴点の三次元配列が一致する地点が、求めるカメラ位置の三次元座標である。得られたカメラ位置の三次元座標、速度、加速度、回転姿勢等のデータを表示することで、ナビゲーションシステムが完了する。すなわち、現在地点表示部139は、カメラ座標演算部138で求められら現時点の移動体の状況を示す三次元データのいくつかの項目、又はその組み合わせ項目を、単独で、あるいは地図、映像、属性等、記録媒体120に記録されている情報とともに、それらのうちのいくつか又は全部を目的の形式で走行地図,予定走行路等の地図上に表示する。」
オ 「[0058] 以下、特徴点三次元地図生成装置110における、より具体的なカメラベクトルと特徴点の三次元座標の検出方法について、図5以下を参照しつつ説明する。特徴点三次元地図生成装置110では、まず、特徴点抽出部113において、適切にサンプリングしたフレーム画像中に、特徴点となるべき点又は小領域画像を自動抽出し、特徴点対応処理部114で、複数のフレーム画像間で特徴点の対応関係を自動的に求める。具体的には、カメラベクトルの検出の基準となる、十分に必要な数以上の特徴点を求める。画像間の特徴点とその対応関係の一例を、図5~図7に示す。図中「+」が自動抽出された特徴点であり、複数のフレーム画像間で対応関係が自動追跡される(図7に示す対応点1~4参照)。ここで、特徴点の抽出は、図8に示すように、各画像中に充分に多くの特徴点を指定,抽出することが望ましく(図8の〇印参照)、例えば、100点程度の特徴点を抽出する。[0059] 続いて、特徴点・カメラベクトル演算部115で、抽出された特徴点の三次元座標が演算により求められ、その三次元座標に基づいてカメラベクトルが演算により求められる。具体的には、特徴点・カメラベクトル演算部115は、連続する各フレーム間に存在する、十分な数の特徴の位置と、移動するカメラ間の位置ベクトル、カメラの3軸回転ベクトル、各カメラ位置と特徴点をそれぞれ結んだベクトル等、各種三次元ベクトルの相対値を演算により連続的に算出する。本実施形態では、カメラ映像として原則的に360度全周映像を使用し、360度全周映像のエピポーラ幾何からエピポーラ方程式を解くことによりカメラ運動 (カメラ位置とカメラ回転)を計算するようになっている。[0060] 360度全周映像は、例えば広角レンズや魚眼レンズ付きカメラや複数台のカメラ、あるいは回転カメラなどで撮影されるパノラマ映像や全方位映像,360度全周囲映像であり、通常のカメラで撮影される映像より広い範囲が示されるため、高精度なカメラベクトル演算をより簡易,迅速に算出することができ好ましい。なお、 360度全周映像といっても、必ずしも4π全空間を含む映像のみでなく360度全周の一部分を力メラベクトル演算用の映像として扱うこともできる。その意味では、通常のカメラで撮影される映像も、360度全周映像の一部と捉えることができ、本実施形態におけるような優れた効果は少ないものの、本質的に差異はなく、本発明の360度全周映像(4π映像)と同様に扱うことができる。」
カ 「[0107] [ナビゲーション動作]次に、以上説明したような本実施形態に係るナビゲーション装置における全体の動作の概要を図23~図26を参照しつつ説明する。図23に示すように、実施形態のナビゲーションの動作は大きく2 つに分けられ、一つはCV映像地図生成装置(特徴点三次元地図生成装置110)側で行われる前処理と、もう一つは車両等に積載されたナビゲーション装置(地点探索ナビゲーション装置130)側で行われる後処理である。[0108] [前処理]続きを表示(全15行)前処理としては、以下の手順により行う。まず、図23に示すように、車載カメラ等で360度全周映像が取得され (S2201 : 369度映像撮影)、この360度映像についてCV演算により全フレームのカメラべクトルが取得される(S2202:CVデータ付加)。なお、カメラで撮影される映像は原則として360度全周映像であることが望ましいが、必ずしも360度全周映像でなくてもよい。CV演算で得られたCVデータは相対値であるので、これを実測データやGPS等に基づいて絶対座標 (緯度・経度・高さ)に変換する(S2203:絶対座標取得)。[0109] また、CV映像中、後に計測基準となり得る画像部位を切り取り、当該部位の属性とともに付加・記録する(S2204:指定基準部位座標及び属性付加)。ここでは、さらに座標を与えてもよい。指定点は部分映像として切り取ることでデータ量を小さくする。専用マークを静止物体の映像として取得することもできる。CV映像中の重要ポイント及び看板等については、CG化して属性とともにCV映像に合成又は対応させておく(S2205:指定CG付加)。交通標識等は共通するものであるので、共通のCGとしてそのIDと座標のみを付加する。以上の手順により、各フレームに対応するCVデータ・属性等を生成する(S2206:CV映像生成)。なお、計測のみで映像を観察しない場合は、特徴部位のみの映像とする。そして、生成されたCV映像は、WEB, HDD又はDVD等により、後処理を行うナビゲーション装置側に配信する(S2207:CV映像配信)。[0110] [後処理]後処理としては、以下の手順により行う。まず、図23に示すように、配信されたCV映像をWEB等を介して受信し、あるいは購入したDVD等から読み取る(S2301:CV映像受信)。また、車両に積載したカメラで現在の360度映像を取得する(S2302:リアルタイム映像取得)。なお、ここでも取得映像は必ずしも360度映像でなくてもよい。そして、受信したCV映像と車載カメラで撮影されたリアルタイム映像を比較すること により、車両の現在位置を演算で求める(S2303 :リアルタイム車両位置計測)。なお、この車両の現在位置の演算は、(1)CV演算で求める方法と、(2)座標が既知の指定点から演算で車両の座標を求める方法と、(3)両者を組み合わせた中間の方法とがある。」
キ「図23
[図:0001396123000001.jpg]
」
(2)引用発明1
上記(1)の記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「車両に備えられたカメラにより得られる360度全周映像に基づいて前記車両の現在位置を演算で求める地点探索ナビゲーション装置、を備えるナビゲーション装置。」
2.引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
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原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献2(特開2006-277007号公報)には、「観測衛星、衛星通信地上局及び観測衛星システム」に関して、以下の記載がある。
ク 「【0007】この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、衛星搭載の撮像装置が撮像した画像の中で参照画像との比較により必要となる領域のみを抽出し、その参照画像との差分データを送信することにより、伝送効率のよい観測衛星、衛星通信地上局及び観測衛星システムを得ることを目的とする。【課題を解決するための手段】【0008】この発明に係る観測衛星は、衛星位置を算出して衛星位置情報を出力する衛星位置検出器と、衛星姿勢を算出して衛星姿勢情報を出力する衛星姿勢検出器と、登録番号毎に地球表面の観測対象の位置を示す観測対象位置と前記観測対象位置を含む画像データである参照画像とを格納した衛星搭載データベースと、地上局から受信した前記登録番号に対応する前記観測対象位置と前記参照画像を前記衛星搭載データベースから抽出し、抽出した参照画像を画像必要領域抽出装置に出力し、また、抽出した前記観測対象位置と前記参照画像と前記衛星位置情報と衛星姿勢情報とから、衛星姿勢変更データを算出して前記姿勢変更装置に出力すると共に撮像タイミングを算出して撮像装置に出力する計算機と、前記撮像タイミングに基いて撮像し、撮像した画像データを画像必要領域抽出装置に出力する撮像装置と、前記撮像装置からの前記画像データと前記参照画像との相関をとり、最も相関のある部分の画像データを抽出して伝送装置に出力する画像必要領域抽出装置と、前記画像必要領域抽出装置からの前記画像データを地上局に送信する伝送装置を備えた。【発明の効果】【0009】本発明によれば、衛星搭載の撮像装置が撮像した画像の中で参照画像との比較により必要となる領域のみを抽出し、その参照画像との差分データを送信することにより、観測衛星と衛星通信地上局間のデータ伝送の伝送効率を向上させることができる。」
ケ 「【0015】必要領域抽出装置5は、後で説明するように、観測対象が入るように撮像した画像データ103の中から観測対象を含んだ必要な領域のみを抽出する装置であり、衛星搭載データベース12に登録された参照画像14との相関を取ることにより参照画像14と最も相関のある部分を画像データ103の中から抽出する。参照画像14とは、観測対象を含む領域を予め撮影してデータベースに格納した画像であり、ある特定の地点を定期的に観測する際の基準の画像となるものである。【0016】また、必要領域抽出装置5は、相関のある部分を抽出した画像データと参照画像14との差分をとることで、相関画像差分データ108を算出する。」
コ 「【0034】一般に、画像データ103から座標を指定して必要領域(図3のY1、Y2、Y3、Y4で囲まれた領域)を抽出する際は、衛星位置情報101及び衛星姿勢情報102には誤差があるため、抽出した画像が必ずしも必要領域に一致するとは限らず、よって、位置誤差を加味して必要領域より一回り大きな領域(図3のZ1、Z2、Z3、Z4により囲まれるた領域)を抽出しなければならない。【0035】この発明の実施の形態の画像必要領域抽出装置5は、必要領域(図3のY1、Y2、Y3、Y4で囲まれた領域)を抽出するにあたり、撮像装置4により取得した画像データ103と予め衛星搭載データベース12に格納した参照画像14(図3のV1、V2、V3、V4で囲まれた領域)との相関処理を行う。すなわち、観測対象位置13を指定して撮像装置4が撮像した画像データ103の中で、同じ観測対象位置13と関連付けられた参照画像14と相関処理を行い、最も相関が高い領域を抽出することで必要領域を抽出するようにした。【0036】取得した画像データと参照画像から必要領域を抽出する相関処理の方法としては、例えば、取得した画像データの中で必要画像が含まれる衛星位置誤差、衛星姿勢誤差を考慮した画像データ範囲から参照画像と同じ大きさの画像を抽出位置をずらしながら抽出し、参照画像との間で、エリアごとに一致、不一致を調べて相関係数を算出し、相関係数の最も大きな画像を選択する方法や、取得した画像データと参照画像の特徴的な形状を比較することによるパターンマッチングなどの方法が挙げられる。【0037】さらに、画像必要領域抽出装置5は、相関処理により抽出した画像データと相関処理に用いた参照画像14との差分をとった相関画像差分データ108をデータ記録・伝送装置6に送信することを行う。」
(2)引用発明2
上記(1)の記載事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則り整理すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「撮像装置が撮像した画像の中で必要となる領域のみを抽出して、送信する観測衛星。」
3.引用文献3
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献3(特開2009-41932号公報)には、「移動体用測位装置」に関して、以下の記載及び図示事項がある。
サ 「【0050】図5を参照するに、ステップ500では、衛星航法測位装置110で受信される各GPS衛星の電波強度及び衛星位置に関する情報に基づいて、電波強度が所定閾値以上であり、且つ、緯度方向の位置が所定閾値距離(緯度方向閾値距離)内であるGPS衛星の個数C1が算出される。尚、衛星位置に関する情報は、航法メッセージに含まれる衛星軌道情報(エフェメリスやアルマナク)に基づくものであってよい。ここで、緯度方向閾値距離は、図6にて示すように、緯度方向を基準として一定の幅を有する距離(範囲)であってよい。【0051】ステップ502では、同様に、衛星航法測位装置110で受信される各GPS衛星の電波強度及び衛星位置に関する情報に基づいて、電波強度が所定閾値以上であり、且つ、経度方向の位置が所定閾値距離範囲内であるGPS衛星の個数C2が算出される。ここで、経度方向閾値距離は、図6にて示すように、経度方向を基準として一定の幅を有する距離(範囲)であってよい。【0052】ステップ504では、上記のステップ500で算出された衛星個数C1と上記のステップ502で算出された衛星個数C2が比較され、C1-C2が所定の衛星個数閾値より大きい場合には、ステップ506に進む。尚、衛星個数閾値は、例えば5以上の比較的有意な差を表すものであってもよい。【0053】ステップ506では、C1-C2が所定の衛星個数閾値より大きいので、緯度方向に電波状況が良好であると判断する。【0054】ステップ508では、緯度方向に電波状況が良好であるので、緯度方向に係る分散更新用ゲインの係数Kφを小さく設定し、緯度方向に係る誤差分散(車両位置の誤差分散)の補正割合が小さくされる。これは、仮に同じ測位分散σ2を持ったGPS衛星がN個観測可能であったときのトータルの位置分散はσ2/(N-1)で表せ、Nが大きいほど分散が小さくなるからである。即ち、例えば緯度方向で観測可能なGPS衛星の数が、経度方向で観測可能なGPS衛星の数よりも多い場合には、緯度方向の位置分散が小さくなる。」
シ 「【図5】[図:0001396123000002.jpg]」
4.引用文献4
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献4(特開2014-219405号公報)には、「電子受信機の電力消低減方法及びその方法を用いたデジタル信号処理装置並びにシステム」に関して、以下の記載及び図示事項がある。
ス 「【0050】図5は、本発明の一実施形態によるGNSS受信機の電力消費低減のために衛星感知ロジックを適用する方法を説明するフローチャートである。本実施形態による衛星感知ロジックの適用方法は、N個の追跡された衛星に対するデジタル情報が受信されるS210段階から開始される。N個の追跡された衛星は可視領域にある衛星に対応する。背景雑音と衛星信号とを相対的に高い確率で識別する信号強度の検出閾値はN個の追跡された衛星の精度を向上させるために使用される。各々の衛星に対する搬送波対受信機雑音比(Carrier-to-receiver Noise Density、以下、CNO)は衛星の最大信号強度の電力対受信機の雑音電力の比に基づいて推定される(S220段階)。受信機の雑音電力は雑音チャンネルを通じて衛星の最大信号強度の電力と別個に算出される。【0051】衛星距離及びドップラー効果による誤差の推定値は、2次元の時間及び周波数空間で最大信号電力区間を探すために衛星追跡又は開放ループ補間(Interpolation)を通じて得ることができる。誤謬がある追跡は、干渉又は衛星信号源間の相互相関により発生する。衛星阻止フィルタは、測定可能なK個(KはN以下)の衛星を残す(S230段階)。即ち、衛星阻止フィルタは、干渉追跡及び相互相関追跡等で言及した理由により特定衛星を排除する。続きを表示(全19行)【0052】次に、K個の衛星に基づいて衛星の精度低下率(Dilution of Precision、以下、DOP)を算出するS240段階に進む。衛星のDOPは、地理的DOP(Geometric DOP)、水平DOP(Horizontal DOP)、垂直DOP(Vertical DOP)、及び/又は時刻DOP(Time DOP)を含む。個別衛星のCNOの組み合せ(潜在的な多経路(Multi-path)推定値)及び上記組み合されたDOPが位置誤差を推定するために使用される。S250段階で、K個の衛星に基づいて位置-速度-時刻ソリューション(Position-Velocity-Time Solution、以下PVTソリューション)が算出される。PVTソリューションは、例えば最小自乗(Least Squares)、カルマンフィルタ(Kalman Filter)、又は他の適切な衛星ソリューションを含む。カルマンフィルタソリューションは、フィルタリングされた(即ち、時間にしたがう)航法ソリューションを提供するので、航法誤差を減少させる長所を有する。カルマンフィルタは、効率性のために頻繁に実行する必要がなく、むしろ雑音低減をさらに強化するために複数の衛星信号に対して同時に実行される。【0053】S260段階で、位置推定誤差(EPE:Estimated Position Error)が算出される。位置推定誤差は、特定次元(例えば、水平方向の位置推定誤差、垂直方向の位置推定誤差等)に限定される。S270段階で、算出された位置推定誤差が所定の閾値以下であるか否かの判断が行われる。位置推定誤差が所定の閾値を超過すると、位置準備状態は偽(False)であると判断(即ち、準備されていないと判断)される。S280段階で、対応する位置未準備信号が生成される。反対に、位置推定誤差が所定の閾値以下であれば、位置準備状態は真(True)であると判断(即ち、準備されたと判断)される。S290段階で、対応する位置準備信号が生成される。【0054】図5のフローチャートに含まれる要素と判断は、説明した特定順序にしたがって発生する必要はなく、むしろこの要素と判断とは異なる時間又は異なる順序で遂行され得る。【0055】図6~図9は、様々な信号観測時間における、搬送波対受信機雑音比(CNO)値に対する距離誤差(range error)測定値の標準偏差を示したグラフである。図6~図9の各々において、横軸は搬送波対受信機雑音比値(単位:dB-Hz)を示し、縦軸は距離誤差測定値の標準偏差(単位:メートル)を示す。【0056】図6は、信号観測時間が100msの場合のグラフを示す。図7は、信号観測時間が10msの場合のグラフを示す。図8は、信号観測時間が1msの場合のグラフを示す。図9は、図8のグラフの一部分を拡大したものであって、信号観測時間が1msの場合のグラフを示す。【0057】GNSS受信機100(図1~図3参照)は、図6~図9のグラフに関する曲線及び関連情報を格納する。曲線は、例えば、表又は数式の形態でGNSS受信機100に格納される。曲線は、GNSS受信機100内部の揮発性又は不揮発性メモリ装置、又は他の適切な記憶装置に格納される。信号感知ロジックは、位置決定が得られたか否かの判断を補助するために格納された曲線情報にアクセスする。【0058】図6~図8は、距離誤差(range error)が、使用可能な信号強度(例えば、CNO)に対する関数であることを示す。これは結果的に(名目上のDOP倍率(Multiplication Factor)を通じて)航法ソリューションの精度に影響を与える。」
セ 「【図5】[図:0001396123000003.jpg]」
ソ 「【図6】[図:0001396123000004.jpg]」
タ 「【図7】[図:0001396123000005.jpg]」
チ 「【図8】[図:0001396123000006.jpg]」
5.引用文献5
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献5(特表2017-508166号公報)には、「センサ融合」に関して、以下の記載及び図示事項がある。
ツ 「【0184】GPSセンサ302は、1つ以上のGPSデータ信号312を得るように1つ以上のGPS衛星310と通信することができる。GPSセンサ302は、GPSセンサ302の位置が可動オブジェクト300の位置に対応するように、可動オブジェクト300に堅く連結されることができる。代替として、GPSセンサ302は、最大で6自由度に関して可動オブジェクト300に対して移動することを許可され得る。GPSセンサ302は、可動オブジェクト300上に直接載置されるか、または可動オブジェクト300上に載置された支持構造に連結されることができる。場合によっては、支持構造は、キャリアまたはペイロード等の積み荷を含み得る。GPSセンサ302は、可動オブジェクトの外部に、または可動オブジェクトの筐体内に提供され得る。GPSセンサ302は、可動オブジェクトに永久的または取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、GPSセンサ302は、可動オブジェクト300のペイロードの要素であり得る。【0185】GPSセンサ302によって受信されるGPS信号は、全地球基準系に対する可動オブジェクト300の位置(例えば、緯度、経度、および高度)を決定し、それにより、可動オブジェクトの平行移動速度および/または加速度を決定するように処理することができる。GPSセンサ302は、ディファレンシャルGPS(DGPS)またはリアルタイム動的(RTK)GPS等の任意の好適なGPS技術を利用することができる。GPSセンサ302は、メータレベルの精度(例えば、10m、5m、2m、または1m以内の精度)またはセンチメートルレベルの精度(500cm、200cm、100cm、50cm、20cm、10cm、または5cm以内の精度)等の任意の好適なレベルの精度まで可動オブジェクト300の位置を決定するように構成することができる。【0186】IMU304は、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、1つ以上の磁力計、またはそれらの好適な組み合わせを含むことができる。例えば、IMU304は、最大で3つの平行移動軸に沿って可動オブジェクトの直線加速度を測定する最大で3つの直交加速度計、および最大で3つの回転軸の周囲で角加速度を測定する最大で3つの直交ジャイロスコープを含むことができる。IMU304は、可動オブジェクト300の運動がIMU304の運動に対応するように、可動オブジェクト300に堅く連結されることができる。代替として、IMU304は、最大で6自由度に関して可動オブジェクト300に対して移動することを許可され得る。IMU304は、可動オブジェクト300上に直接載置されるか、または可動オブジェクト300上に載置された支持構造に連結されることができる。IMU304は、可動オブジェクトの外部に、または可動オブジェクトの筐体内に提供され得る。IMUは、可動オブジェクトに永久的または取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、IMU304は、可動オブジェクト300のペイロードの要素であり得る。IMU304は、(例えば、1つ、2つ、または3つの平行移動軸、および/または1つ、2つ、または3つの回転軸に対する)可動オブジェクト300の位置、配向、速度、および/または加速度等の可動オブジェクト300の運動を示す信号を提供することができる。例えば、IMU304は、可動オブジェクトの加速度を表す信号を感知することができ、信号は、速度情報を提供するように一度、場所および/または配向情報を提供するように2度、積分されることができる。【0187】可動オブジェクト300の視覚センサ306、308は、標的318の画像データを生成するように処理することができる、周辺環境(例えば、地面320)内の標的318から光信号314、316を受信するための任意の好適なデバイスであり得る。視覚センサ306、308は、視覚センサ306、308によって得られる位置的情報が、可動オブジェクト300の位置的情報に対応するように、可動オブジェクト300に堅く連結されることができる。代替として、視覚センサ306、308は、最大で6自由度に関して可動オブジェクト300に対して移動することを許可され得る。視覚センサ306、308は、可動オブジェクト300上に直接載置されるか、または可動オブジェクト300上に載置された支持構造に連結されることができる。いくつかの実施形態では、視覚センサ306、308は、可動オブジェクト300のペイロードの要素であり得る。単一の視覚センサ、一対の視覚センサ、3つの視覚センサ、4つの視覚センサ、または任意の他の数の視覚センサ等の任意の好適な数の視覚センサを使用することができる。例えば、視覚センサ306、308は、一対のカメラ(例えば、双眼カメラ)であり得る。代替として、単一のカメラ(例えば、単眼カメラ)を使用することができる。いくつかの実施形態では、各視覚センサが、異なるカメラ視点からの画像を提供し、それにより、立体視覚撮像を可能にするように、視覚センサは、可動オブジェクト300上で横方向に離間している。例えば、視覚センサは、最大で1m、500cm、250cm、100cm、50cm、25cm、10cm、5cm、2cm、または1cmだけ横方向に分離されることができる。視覚センサは、可動オブジェクトの同一の側に、または可動オブジェクトの反対側に配置されることができる。1つ以上の視覚センサは、可動オブジェクトの前、後、上、底、または側面、またはそれらの好適な組み合わせの上に配置されることができる。」
テ 「【0198】図5は、本発明の実施形態による、可動オブジェクトの位置的情報および/または運動情報を決定するためのセンサ融合システム500のブロック図としての概略図である。システム500は、本明細書で説明されるシステム、方法、およびデバイスの任意の好適な実施形態と組み合わせることができる。システム500は、第1および第2の感知システム502および504を含み、それぞれのセンサ506および508は、それぞれの感知信号510および512を受信するように構成される。信号518を受信するためのセンサ516を含む、第3の感知システム514等の任意の好適な数の随意的な感知システムも提供することができる。感知システムからの感知データは、センサ融合モジュール520に伝送することができる。センサ融合モジュール520は、可動オブジェクト、ペイロード、キャリア、端末感知システム、または追加の外部デバイスのうちの1つ以上の上に配置された部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサ融合モジュール520は、感知システムに対して局所、または感知システムから遠隔にあり得る。センサ融合モジュール520は、感知システムから受信される感知データに基づいて、可動オブジェクトの3D空間的配置および/または運動を決定するように構成されている、1つ以上のプロセッサを含むことができる。センサ融合モジュール520は、空間的配置および/または運動を決定するために、任意の好適なセンサ融合方法を使用することができる。例えば、センサ融合方法は、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ(EKF)、アンセンテッド(unscented)カルマンフィルタ(UKF)、粒子フィルタ(PF)、またはそれらの好適な組み合わせに基づくアルゴリズムを含むことができる。」
ト 「【図3】[図:0001396123000007.jpg]」
ナ 「【図5】[図:0001396123000008.jpg]」
第5 対比・判断
1.本願発明1
本願発明1と引用発明1とを対比すると、後者の「車両」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「移動体」に相当し、以下同様に、「備えられた」は「設置されている」に、「カメラ」は「撮像装置」に、「現在位置」は「第1の自己位置」に、「ナビゲーション装置」は「情報処理装置」にそれぞれ相当する。
そして、後者の「カメラにより得られる360度全周映像」は、カメラにより車両の周囲を撮影することで得られる360度全周映像であることが明らかであるから、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「移動体の周囲を撮影した周囲画像」に相当する。そうすると、後者「カメラにより得られる360度全周映像」は前者の「撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像」に相当する。
また、後者の「カメラにより得られる360度全周映像に基づいて前記車両の現在位置を演算で求める地点探索ナビゲーション装置」は、360度全周画像に基づいて第1の自己位置を推定する動作であるから、前者の「撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像内の自己位置推定処理に用いる画像の範囲である使用範囲を航法衛星からの衛星信号の強度に応じて、変更し、前記使用範囲内の画像に基づいて前記移動体の第1の自己位置推定を行う第1の自己位置推定部」とは、「撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像に基づいて前記移動体の第1の自己位置推定を行う第1の自己位置推定部」という限りで一致する。
したがって、両者は、
「移動体に設置されている撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像に基づいて前記移動体の第1の自己位置推定を行う第1の自己位置推定部、を備える、情報処理装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
「第1の自己位置推定部」に関し、前者は「移動体に設置されている撮像装置を用いて前記移動体の周囲を撮影した周囲画像内の自己位置推定処理に用いる画像の範囲である使用範囲を航法衛星からの衛星信号の強度に応じて、変更し、前記使用範囲内の画像に基づいて前記移動体の第1の自己位置推定を行う第1の自己位置推定部」であり、さらに「 前記第1の自己位置推定に用いられる画像の前記使用範囲は、前記第2の自己位置推定に用いられる航法衛星からの前記衛星信号の強度に応じて変更される」のに対し、後者は「カメラにより得られる360度全周映像に基づいて前記車両の現在位置を演算で求める地点探索ナビゲーション装置」である点。
[相違点2]
前者は「前記衛星信号に基づいて、前記衛星信号の強度に応じた精度で前記移動体の第2の自己位置推定を行う第2の自己位置推定部」を備えるのに対し、後者はかかる事項を備えていない点。
[相違点3]
前者は「前記第1の自己位置推定の結果、及び、前記第2の自己位置推定の結果に基づいて、前記移動体の第3の自己位置推定を行う第3の自己位置推定部」を備えるのに対し後者はかかる事項を備えていない点。
相違点1について検討する。
引用発明2は「撮像装置が撮像した画像の中で必要となる領域のみを抽出すること」、すなわち、「撮像装置が撮像した画像内の画像の範囲である使用範囲を変更すること」を開示するものである。
しかしながら、引用発明2で抽出する「必要となる領域」は、第4、2.、(1)、クの段落【0007】に記載されるとおり「参照画像との比較により必要となる領域」であって、航法衛星からの衛星信号の強度に応じて変更するものではない。加えて、引用発明2は観測衛星の観測装置が撮像した画像に関するものであるから、必要となる領域のみを抽出する際に航法衛星からの衛星信号の強度を参照する合理的な事情を見出すこともできない。
そうすると、仮に引用発明1において引用発明2を適用する動機があるとしても、引用発明1に引用発明2を適用したものは、必要となる領域すなわち使用範囲を航法衛星からの衛星信号の強度に応じて変更するものではないから、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項にはならない。
また、「GPS衛星の電波強度及び衛星位置に関する情報に基づいて経度方向の位置が所定閾値距離範囲内であるGPS衛星の個数を算出する」ことを開示する引用文献3、「背景雑音と衛星信号とを相対的に高い確率で識別する信号強度の検出閾値はN個の追跡された衛星の精度を向上させるために使用される」ことを開示する引用文献4、及び「GPSセンサによって受信されるGPS信号は、全地球基準系に対する可動オブジェクト300の位置を決定し、それにより、可動オブジェクトの平行移動速度および/または加速度を決定するように処理することができる。」ことを開示する引用文献5も相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではないから、引用発明1において、引用文献3ないし引用文献5に開示するものを適用しても、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項に想到することはできない。
さらに、引用発明1は、第4、1.、(1)アの[0007]に記載されるとおり「移動体のカメラ位置を示す三次元座標をGPSシステムより高精度に求め得ることができる」ものすなわちGPSシステムの利用を前提としないものである。そうすると、引用発明1において、引用発明1よりも精度が低いGPSシステム活用し、航法衛星の強度に基づいて360度全周映像の使用範囲を変更する動機も見出すことはできない。
加えて、当業者の通常の創作能力の範囲内で、引用発明から相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想到し得たとする他の事情を見出すこともできない。
そして、本願発明1は、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項により、例えば「魚眼レンズを用いて撮像した画像を用いて、移動体の自己位置推定の精度を向上させることができる」などの、引用発明にはない格別顕著な効果も奏する。
したがって、他の相違点の検討をするまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし引用文献5に開示される事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
2. 本願発明2ないし本願発明11
本願発明2ないし本願発明11は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、加えて本願発明2ないし本願発明11において新たに特定される発明特定事項を全て備えるものである。
したがって、本願発明1と同様に、本願発明2ないし本願発明11は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし引用文献5に開示される事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
3. 本願発明12及び本願発明13
本願発明12は、「情報処理装置」に係る発明である本願発明1を「自己位置推定方法」に係る発明としたものと認められる。また、本願発明13は、「情報処理装置」に係る発明である本願発明1を「コンピュータに実行させるためのプログラム」としたものであって、いずれも本願発明1の発明特定事項を全て備えるものである。
したがって、本願発明1と同様に、本願発明12及び本願発明13は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし引用文献5に開示される事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし13は、引用文献1ないし引用文献5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008742